(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】迅速な焼入れライン
(51)【国際特許分類】
C21D 9/56 20060101AFI20231106BHJP
C21D 9/573 20060101ALI20231106BHJP
B21C 47/18 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
C21D9/56 101Z
C21D9/573 101Z
B21C47/18 B
(21)【出願番号】P 2022522737
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 US2020055327
(87)【国際公開番号】W WO2021076473
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-14
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ゲーンズバウアー,デイビッド アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】スー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ワグスタッフ,サミュエル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ミック,スティーブン リー
(72)【発明者】
【氏名】ホッビス,アンドリュー ジェイムズ
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/132604(WO,A1)
【文献】特表2019-502562(JP,A)
【文献】特開平07-314037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0009325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/46
C21D 9/48
C21D 9/52- 9/66
B21C 45/00-49/00
B65H 16/00-16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
金属ストリップの金属コイルを受け取り、巻き戻すための低張力巻き戻しユニット、
前記金属コイルの巻き戻し中に前記金属ストリップに前記金属コイルの中心に向かって力を供給するために、前記低張力巻き戻しユニットに隣接して配置された非接触ホールドダウン装置、
前記金属ストリップを冷却するための一組の焼入れゾーンであって、前記金属ストリップの温度を少なくとも毎秒30℃の速度で低下させるのに十分な冷却剤を供給する、前記一組の焼入れゾーン、
前記一組の焼入れゾーンの下流に配置された冷却剤除去ユニット、及び
前記金属ストリップの張力を増加させるために、前記冷却剤除去ユニットの下流に配置されたブライドルユニット、
を含む、前記システム。
【請求項2】
前記低張力巻き戻しユニットは、前記金属コイルのコイル状部分内に熱を保持するように配置された断熱材を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記低張力巻き戻しユニットは、前記金属コイルのコイル状部分に熱を供給するための熱源を含み、前記熱源は、前記金属コイルを閾値温度以上に維持するためのコントローラに結合されている、請求項1または2のシステム。
【請求項4】
前記非接触ホールドダウン装置が、前記金属ストリップを通して、変化する磁場を生成するための1つまたは複数の磁石を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記変化する磁場が、前記力を前記金属ストリップの幅全体に経時的に分散させるように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記非接触ホールドダウン装置が、前記金属ストリップに対して加熱された空気を吹き付けるためのノズルを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記金属ストリップの平坦度を測定するために配置された平坦度測定ユニットと、
前記金属ストリップの測定された平坦度に基づいて前記冷却剤の送達を調整するために、前記平坦度測定ユニットと前記一組の焼入れゾーンに結合されたコントローラとをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記金属ストリップに波
形を導入するために前記一組の焼入れゾーンの上流に配置された安定化システムをさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記金属ストリップが、前記金属コイルと前記冷却剤除去ユニットとの間の機械的接触なしに支持されたままである、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記一組の焼入れゾーンは、湿った空気を前記一組の焼入れゾーンの少なくとも1つから、前記一組の焼入れゾーンの前記少なくとも1つの下流の場所にある前記金属ストリップに向け直すための蒸気再生モジュールを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記一組の焼入れゾーンの前記少なくとも1つの下流の前記場所が、前記金属ストリップの前記温度がライデンフロスト点以下である場所である、請求
項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記低張力巻き戻しユニットの下流に配置されたプレクエンチ加熱ユニットと、
前記金属ストリップが前記一組の焼入れゾーンに入る前に、前記金属ストリップを目標温度に加熱するための前記プレクエンチ加熱ユニットに結合されたコントローラと、をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記非接触ホールドダウン装置は、重力によって前記金属ストリップが前記金属コイルから落下する場所またはそれに隣接する場所で前記金属ストリップに前記力を与えるように配置されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
方法であって、
低張力アンワインダを使用して
高温金属コイルを巻き戻すことであって、前記
高温金属コイルを巻き戻すことは、前記
高温金属コイルに
、前記高温金属コイルの中心に向かって非接触のホールドダウン力を加え、前記
高温金属コイルの金属ストリップを金属コイルから落下させることを含む、前記巻き戻すこと、
一組の焼入れゾーンで前記金属ストリップを急速に焼入れすることであって、前記金属ストリップを急速に焼入れすることは、前記金属ストリップに冷却剤を適用して、少なくとも毎秒100℃の速度で前記金属ストリップの温度を下げることを含む、前記焼入れすること、
前記金属ストリップから前記冷却剤を除去すること、及び
前記金属ストリップに下流の張力を加えること、
を含む、前記方法。
【請求項15】
前記低張力アンワインダで前記
高温金属コイルの初期温度を維持することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記金属ストリップを急速に焼入れする直前に前記金属ストリップを予熱することをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記非接触ホールドダウン力を加えることは、前記金属ストリップを通して、変化する磁場を生成することを含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記非接触ホールドダウン力を加えることは、前記金属ストリップに対して加熱された空気を吹き付けることを含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記金属ストリップの平坦度を測定すること、及び
前記測定された平坦度に基づいて、前記冷却剤の送達を調整することをさらに含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記金属ストリップに接触することなく前記金属ストリップに波
形を誘導することをさらに含む、請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記焼入れゾーンの少なくとも1つから蒸気を捕捉すること、及び
前記捕捉された蒸気を前記金属ストリップに向け直すこと、をさらに含む、請求項14から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記捕捉された蒸気を向け直すことは、前記金属ストリップの温度がライデンフロスト点以下である場所で、前記捕捉蒸気を前記金属ストリップの方へ向け直すことを含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年10月16日に出願された米国仮出願第62/915,915号、発明の名称「RAPID QUENCH LINE」の利益を主張する。
【0002】
本開示は、概して金属加工に関し、より具体的には、金属物品の製造中に金属物品の温度を制御することに関する。
【背景技術】
【0003】
金属物品の冶金学的構造は、金属物品の強度及び/または成形性などの金属物品の様々な特性に実質的な影響を与える可能性がある。製造工程では、製造される金属物品が望ましい冶金学的特性を備えていることを確認するように注意する必要がある。金属物品の製造中の金属物品の温度の正確な制御は、金属物品が所望の冶金学的特性及び所望の冶金学的構造で製造されることを可能にすることができる。
【0004】
直接冷却(DC)と連続鋳造は、液体金属から固体金属を鋳造する2つの方法である。DC鋳造では、液体金属は、型内の液体金属の凝固速度で引き抜くことができる格納式の偽の底部を有する型に注がれ、多くの場合、大きくて比較的厚いインゴット(例えば、1500mm x 500mm x 5m)をもたらす。インゴットは、処理、均質化、熱間圧延、冷間圧延、焼なまし及び/または熱処理される、あるいは金属物品の消費者に配布可能な金属ストリップ製品(例えば、自動車製造施設)に巻かれる前に仕上げることができる。
【0005】
連続鋳造は、一対の移動する対向する鋳造面の間に画定された鋳造空洞に、溶融金属を連続的に注入し、鋳造空洞の出口から鋳造される金属物品(例えば、金属ストリップ)を引き出すことを含むことができる。連続鋳造は、任意の適切な長さの金属物品を製造することができ、これは、コイル状にすることが可能な金属ストリップを製造するのに特に適している可能性がある。
【0006】
多くの場合、金属物品は、所望の冶金学的構造及び/または冶金学的特性を達成するために熱処理されなければならない。そのような熱処理の例には、高温焼なましまたは均質化が含まれ、これらは両方とも、金属物品を比較的高温に加熱することを伴う。焼なましは、加工された(例えば、加工硬化された)金属物品に対して行われる高温のプロセスであり、多くの場合、金属の再結晶温度またはその近くの温度(例えば、一部のタイプのアルミニウム合金では約300~400℃)で行われる。均質化は、鋳造されたままの微細構造の粒子レベルでの不均一性を低減するために、金属物品に対して実行される高温プロセスである。均質化は、金属の再結晶化温度を超える温度で実行されることがよくある。例えば、一部のタイプのアルミニウム合金では、合金系に応じて、約450~600℃の温度になる。これらの温度の範囲(例えば、再結晶温度以上)に加熱されると、金属物品の冶金学的微細構造は、より均質になり、金属物品の成形性及び/または他の冶金学的特性を改善することができる。しかしながら、これらの高温では、金属物品は、扱いを誤ると、特に損傷を受けやすくなる。多くの場合、焼なましまたは均質化はDC鋳造インゴットで実行される。
【0007】
コイル状の金属ストリップなどの金属ストリップの焼なましまたは均質化は、多くの場合、連続焼なまし及び溶体化熱処理(CASH)ラインを使用する必要がある。これらのCASHラインは非常に大きな設置面積を占め、金属ストリップをほどき、炉と冷却ゾーンを通して金属ストリップを浮揚させ、金属ストリップを再コイル化するように設計された多くの特殊な機器を必要とする。金属ストリップを浮揚させないのであれば、ローラーなどとの物理的接触は、金属ストリップが高温にあるときに繊細な金属ストリップに害を及ぼす可能性がある。金属ストリップがCASHラインを通る経路は長くて遠回りであることが多く、処理を開始するために金属ストリップをCASHラインに通す必要があるため、長い金属ストリップをスクラップする必要がある。さらに、コイルごとにこれらの大量の金属ストリップをスクラップする必要をなくすために、CASHラインでは、アキュムレータとカッターを使用して、別々のコイルを組み合わせて連続金属ストリップにし、その後、連続金属ストリップを、別々の処理済みコイルに切断する必要が往々にしてある。
【発明の概要】
【0008】
実施形態という用語及び同様の用語は広義には、本開示の主題のすべて及び以下の特許請求の範囲を指すものとする。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載された主題を限定するものでもなく、以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものでもないと理解されるべきである。本明細書で網羅される本開示の実施形態は、この発明の概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、開示の様々な態様の大まかな概要であり、以下の発明を実施するための形態の節でさらに説明される概念のいくつかを紹介する。この発明の概要は、特許請求された主題の重要な、または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求された主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図されていない。この主題は、本開示の明細書全体、任意またはすべての図面、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0009】
本開示の実施形態は、システムであって、金属ストリップの金属コイルを受け取り、巻き戻すための低張力巻き戻しユニット、金属コイルの巻き戻し中に金属ストリップに金属コイルの中心に向かって力を供給するために、低張力巻き戻しユニットに隣接して配置された非接触ホールドダウン装置(non-contacting hold-down device)、金属ストリップを冷却するための一組の焼入れゾーンであって、金属ストリップの温度を少なくとも毎秒100℃の速度で低下させるのに十分な冷却剤を供給する、一組の焼入れゾーン、一組の焼入れゾーンの下流に配置された冷却剤除去ユニット、及び金属ストリップの張力を増加させるために、冷却剤除去ユニットの下流に配置されたブライドルユニット(bridle unit)を含む、システムを含む。
【0010】
場合によっては、低張力巻き戻しユニットは、金属コイルのコイル状部分内に熱を保持するように配置された断熱材を含む。場合によっては、低張力巻き戻しユニットは、金属コイルのコイル状部分に熱を供給するための熱源を含み、熱源は、金属コイルを閾値温度以上に維持するためのコントローラに結合されている。場合によっては、非接触ホールドダウン装置は、金属ストリップを通して、変化する磁場を生成するための1つまたは複数の磁石を含む。場合によっては、変化する磁場は、金属ストリップの幅全体に時間の経過とともに力を分散させるように構成される。場合によっては、非接触ホールドダウン装置は、金属ストリップに対して加熱された空気を吹き付けるためのノズルを含む。場合によっては、システムは、金属ストリップの平坦度を測定するために配置された平坦度測定ユニットと、金属ストリップの測定された平坦度に基づいて冷却剤の送達を調整するために、平坦度測定ユニットと一組の焼入れゾーンに結合されたコントローラとをさらに含む。場合によっては、システムは、金属ストリップに波を導入するために、一組の焼入れゾーンの上流に配置された安定化システムをさらに含む。場合によっては、金属ストリップは、金属コイルと冷却剤除去ユニットが機械的に接触することなく支持されたままになる。場合によっては、一組の焼入れゾーンは、湿った空気を一組の焼入れゾーンの少なくとも1つから、一組の焼入れゾーンの少なくとも1つの下流の場所にある金属ストリップに向け直すための蒸気再生モジュールを含む。場合によっては、焼入れゾーンのセットの少なくとも1つの下流の場所は、金属ストリップの温度がライデンフロスト点以下である場所である。場合によっては、システムは、低張力巻き戻しユニットの下流に配置されたプレクエンチ加熱ユニットと、金属ストリップが一組の焼入れゾーンに入る前に、金属ストリップを目標温度に加熱するためのプレクエンチ加熱ユニットに結合されたコントローラとをさらに含む。場合によっては、非接触ホールドダウン装置は、重力のために金属ストリップが金属コイルから離れる場所またはそれに隣接する場所で金属ストリップに力を与えるように配置される。
【0011】
本開示の実施形態は、方法であって、低張力アンワインダ(又は巻き戻し機、unwinder)を使用して高温金属コイル(hot metal coil)を巻き戻すことであって、高温金属コイルを巻き戻すことは、高温金属コイルに非接触のホールドダウン力(hold-down force)を加え、高温金属コイルの金属ストリップを金属コイルから落下させることを含む、巻き戻すこと、一組の焼入れゾーンで金属ストリップを急速に焼入れすることであって、金属ストリップを急速に焼入れすることは、金属ストリップに冷却剤を適用して、少なくとも毎秒100℃の速度で金属ストリップの温度を下げることを含む、焼入れすること、金属ストリップから冷却剤を除去すること、及び金属ストリップに下流の張力を適用すること、を含む、方法を含む。
【0012】
場合によっては、方法は、低張力アンワインダで高温金属コイルの初期温度を維持することをさらに含む。場合によっては、方法は、金属ストリップを急速に焼入れする直前に金属ストリップを予熱することをさらに含む。場合によっては、非接触のホールドダウン力を加えることは、金属ストリップを通して、変化する磁場を生成することを含む。場合によっては、非接触ホールドダウン装置は、金属ストリップに対して加熱された空気を吹き付けることを含む。場合によっては、方法は金属ストリップの平坦度を測定すること、及び測定された平坦度に基づいて、冷却剤の送達を調整することをさらに含む。場合によっては、方法は、金属ストリップに接触することなく金属ストリップに波形を誘導することをさらに含む。場合によっては、方法は焼入れゾーンの少なくとも1つから蒸気を捕捉すること、及び捕捉された蒸気を金属ストリップに向け直すこと、をさらに含む。場合によっては、捕捉された蒸気を向け直すことは、金属ストリップの温度がライデンフロスト点以下である場所で、捕捉蒸気を金属ストリップに向け直すことを含む。
【0013】
本明細書は、以下の添付の図を参照しており、異なる図中での同様の参照番号の使用は、同様のまたは類似の構成要素を例示することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の特定の態様による、
高温金属コイルを急速に焼入れ及び再コイルするためのシステムの概略側面図である。
【
図2】本開示の特定の態様による、
高温金属コイルを急速に焼入れし、再度ロールするためのシステムの概略側面図である。
【
図3】本開示の特定の態様による、急速焼入れラインの概略的なブロック図である。
【
図4】本開示の特定の態様による、急速焼入れラインを通過する金属ストリップの相対的な温度を示す、概略的なブロック図と温度グラフの組み合わせである。
【
図5】本開示の特定の態様による急速焼入れライン上の蒸気再生モジュールの概略的な側面図である。
【
図6】本開示の特定の態様による、磁気ロータの非接触ホールドダウンロールの概略的な上面図である。
【
図7】本開示の特定の態様による、
高温金属コイルを急速に焼入れするためのプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の特定の態様及び特徴は、金属ストリップの再結晶点の近くの温度、再結晶点の温度、またはそれより上の温度でのホットコイルまたはコイル状の金属ストリップでの使用に適した急速焼入れラインに関する。再結晶点は、金属ストリップの溶融温度の約40%~50%の間である可能性がある。急速焼入れラインは、非接触ホールドダウン装置を利用する低張力アンコイラを含むことができる。低張力アンコイラから外れる金属ストリップは、複数の焼入れゾーンを通して急速に焼入れされる(例えば、30℃/秒、50℃/秒、100℃/秒、または200℃/秒以上の速度で)。冷却剤は、エアナイフやウルトラコンプライアントワイパー(ultra-compliant wiper)を使用するなどして取り除くことができる。場合によっては、以前の焼入れゾーンから収集された蒸気を再利用して、金属ストリップの温度がライデンフロスト点以下の領域で金属ストリップに湿った空気を供給することができる。冷却された金属ストリップは、ブライドルを通過して金属ストリップの張力を増加させてから、金属ストリップを任意に潤滑し、次に再コイルするか、さもなければさらに処理することができる。
【0016】
金属製造において、連続鋳造プロセスまたは圧延プロセス(例えば、熱間圧延)は、コイル状の金属ストリップなどのコイル状の製品をもたらす可能性がある。本明細書に開示されるように、金属ストリップという用語は、金属シートまたは金属シェートなど、コイル状に巻くことができる任意の適切な厚さの金属物品を含む。金属ストリップは、任意の適切な長さまたは幅を有することができる。場合によっては、本開示の特定の態様は、必ずしもコイル状ではない金属ストリップ製品での使用に適している可能性があるが、場合によっては、本開示の特定の態様は、金属コイルでの使用に特に適している可能性がある。金属コイルは、コイル状に巻かれた金属ストリップを含むことができる。
【0017】
本明細書で使用される場合、シートは通常、約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製造物を指す。例えば、シートは、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満、または約0.3mm未満、(例えば、約0.2mm)の厚みを有し得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「鋳造金属製造物」、「鋳造製造物」、「鋳造アルミニウム合金製造物」などの用語は、互換可能であり、直接チル鋳造(直接チル共鋳造を含む)または半連続鋳造、連続鋳造(例えば、双ベルト鋳造機、双ロール鋳造機、ブロック鋳造機、または他の任意の連続鋳造機の使用によるものを含む)、電磁鋳造、ホットトップ鋳造、または他の任意の鋳造法によって製造された製造物を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「室温」の意味には、約15℃~約30℃、例えば、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃の温度が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「周囲条件」の意味には、ほぼ室温の温度、約20%~約100%の相対湿度、及び約975ミリバール(mbar)~約1050mbarの気圧が含まれ得る。例えば、相対湿度は、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、またはそれらの間のいずれかであり得る。例えば、気圧は、約975mbar、約980mbar、約985mbar、約990mbar、約995mbar、約1000mbar、約1005mbar、約1010mbar、約1015mbar、約1020mbar、約1025mbar、約1030mbar、約1035mbar、約1040mbar、約1045mbar、約1050mbar、またはそれらの間のいずれかであり得る。
【0020】
本開示の特定の態様は、任意のタイプの金属での使用に適している可能性があるが、本開示の特定の態様は、アルミニウムでの使用に特に適している可能性がある。本明細書において、「シリーズ」または「7xxx」などの、AA番号及び他の関連する記号によって識別される合金に対する言及がなされる。アルミニウム及びその合金の命名及び特定において最も一般的に使用されている番号指定システムの理解のため、「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys”または“Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」(いずれもアルミニウム協会によって発行されている)を参照されたい。
【0021】
本開示の特定の態様は、他の合金を使用することができるが、2xxx、6xxx、7xxx、または8xxxシリーズのアルミニウム合金での使用に特に適している。特定のアルミニウム合金が製造されると、合金元素が析出物を形成する可能性がある。2xxx、6xxx、7xxx、または8xxxシリーズの合金などの一部の合金の場合、アルミニウム合金が高温から室温などに冷却されたとき、特に大量の析出物が形成される可能性がある。これらの大量の析出物はアルミニウム製品にうまく溶解せず、修正が困難または不可能である可能性があり、望ましくない機械的特性をもたらす可能性がある。例えば、6xxxシリーズのアルミニウム合金では、従来の速度で高温から室温に冷却すると、大きなMg2Si沈殿物が形成される可能性があり、これはアルミニウム製品の望ましい冶金学的構造に悪影響を与える可能性がある。これらの問題は、焼なましまたは均質化プロセス中など、金属の再結晶温度を超える温度から、室温まで冷却するときに、特によく見られる。しかしながら、本明細書に開示されるように、金属物品を十分に迅速に冷却することができる場合、さもなければ析出物を形成する溶解元素は、室温までずっと過飽和固溶体中に留まることができる。
【0022】
均質化ステップにおいて、本明細書に記載の金属製造物は、約400℃~約600℃の範囲の温度に加熱され得る。例えば、この製造物は、約400℃、約410℃、約420℃、約430℃、約440℃、約450℃、約460℃、約470℃、約480℃、約490℃、または約500℃の温度に加熱してもよい。次いでこの製造物は、所定期間浸漬される(すなわち、指示された温度で保持される)。いくつかの例では、加熱及び浸漬段階を含む均質化ステップの合計時間は、最大24時間であり得る。例えば、この製造物を、均質化ステップのために最大18時間の合計時間、最大500℃まで加熱して浸漬してもよい。必要に応じて、均質化ステップのために合計18時間をこえて、製造物を490℃未満に加熱して浸漬してもよい。場合によっては、均質化ステップは複数のプロセスを含む。いくつかの非限定的な例において、均質化ステップは、生成物を第1の期間の間第1の温度に加熱し、続いて第2の期間の間第2の温度に加熱することを含む。例えば、この製造物を、約465℃に約3.5時間加熱し、次いで約480℃に約6時間加熱してもよい。
【0023】
均質化工程に続いて、熱間圧延工程が実施され得る。熱間圧延を開始する前に、均質化された製造物を300℃~520℃の間の温度に冷却させてもよい。例えば、均質化された製造物は、325℃~425℃の間または350℃~400℃の温度に冷却させてもよい。次に、その製造物を300℃~450℃の間の温度で熱間圧延して、熱間圧延プレート、熱間圧延されたシェート、または3mmから200mm(例えば、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、100mm、110mm、120mm、130mm、140mm、150mm、160mm、170mm、180mm、190mm、200mm、またはその間のいずれか)の間のゲージを有する熱間圧延シートを形成してもよい。
【0024】
任意に、鋳造製造物は、300℃~520℃の間の温度に冷却され得る連続鋳造製造物であり得る。例えば、連続鋳造製造物は、325℃~425℃の間または350℃~400℃の温度に冷却させてもよい。次に、その連続鋳造製造物を300℃から450℃の間の温度で熱間圧延して、熱間圧延プレート、熱間圧延されたシェート、または3mmから200mm(例えば、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、100mm、110mm、120mm、130mm、140mm、150mm、160mm、170mm、180mm、190mm、200mm、またはその間のいずれか)の間のゲージを有する熱間圧延シートを生成してもよい。熱間圧延中、温度及び他の動作パラメータは、熱間圧延機から出るときに熱間圧延仲介製造物の温度が470℃を超えない、450℃を超えない、440℃を超えない、または430℃を超えないように制御され得る。
【0025】
次に、プレート、シェート、またはシートを従来の冷間圧延機及び技術を使用して冷間圧延してシートにしてもよい。冷間圧延されたシートは、約0.5~10mmの間、例えば、約0.7~6.5mmの間のゲージを有してもよい。必要に応じて、冷間圧延シートは、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm、5.5mm、6.0mm、6.5mm、7.0mm、7.5mm、8.0mm、8.5mm、9.0mm、9.5mm、または10.0mmのゲージを有してもよい。冷間圧延を実行して、最大85%(例えば、最大10%、最大20%、最大30%、最大40%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、または最大85%の削減)というゲージ削減を表す最終ゲージ厚を得てもよい。必要に応じて、冷間圧延ステップ中に中間焼なましステップを実行してもよい。中間焼なまし工程は、約300℃~約450℃(例えば、約310℃、約320℃、約330℃、約340℃、約350℃、約360℃、約370℃、約380℃、約390℃、約400℃、約410℃、約420℃、約430℃、約440℃、または約450℃)の温度で実施され得る。場合によっては、中間焼なましステップは複数のプロセスを含む。いくつかの非限定的な例では、中間焼なましステップは、プレート、シェート、またはシートを第1の期間で第1の温度に加熱すること、続いて第2の期間で第2の温度に加熱することを含む。例えば、そのプレート、シェート、またはシートは約410℃に約1時間加熱され、次に約330℃に約2時間加熱され得る。
【0026】
続いて、そのプレート、シェート、またはシートは溶体化熱処理ステップを受けてもよい。溶体化熱処理ステップは、可溶性粒子の溶解をもたらすシートの任意の従来の処理であり得る。そのプレート、シェート、またはシートは、最大590℃(例えば、400℃から590℃)のピーク金属温度(PMT)まで加熱し、その温度で一定時間浸漬してもよい。例えば、そのプレート、シェート、またはシートを480℃で最大30分の浸漬時間(例えば、0秒、60秒、75秒、90秒、5分、10分、20分、25分または30分)浸漬してもよい。加熱及び浸漬後、そのプレート、シェート、またはシートを、200℃/秒を超える速度で500~200℃の間の温度に急速に冷却する。一例では、このプレート、シェート、またはシートは、450℃から200℃の間の温度で200℃/秒を超える焼入れ速度を有する。任意に、冷却速度は、他の場合ではより速い場合がある。場合によっては、本明細書に開示されるような急速焼入れラインを使用して焼入れが起こり得る。
【0027】
焼入れ後、プレート、シェート、またはシートは、冷却前にそのプレート、シェート、またはシートを再加熱することにより、必要に応じて、予備時効処理を受けてもよい。その予備時効処理は、約70℃~約125℃の温度で最大約6時間実施してもよい。例えば、予備時効処理は、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、または約125℃の温度で実施してもよい。必要に応じて、予備時効処理は、約30分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、または約6時間実施してもよい。予備時効処理は、プレート、シェート、またはシートを、加熱装置、例えば、放射熱、対流熱、誘導熱、赤外線熱などを放出する装置、に通過させることにより実施してもよい。
【0028】
本明細書に記載の鋳造製造物はまた、プレートの形態の製造物または他の好適な製造物を作製するために使用され得る。例えば、本明細書に記載される製造物を含むプレートは、均質化工程においてインゴットを処理し、または熱間圧延工程が続く連続鋳造機における鋳造を鋳造し得る。熱間圧延工程では、鋳造製造物は、200mm以下(例えば、約10mm~約200mm)の厚さゲージに熱間圧延され得る。例えば、鋳造製造物は、約10mm~約175mm、約15mm~約150mm、約20mm~約125mm、約25mm~約100mm、約30mm~約75mm、または約35mm~約50mmの最終ゲージ厚を有するプレートに熱間圧延され得る。
【0029】
場合によっては、金属コイルの形で(例えば、金属の再結晶温度以上の温度で)高温金属ストリップ(hot metal strip)を保管することが望ましい場合がある。この高温金属コイルは、連続鋳造プロセスまたは圧延プロセスの結果である(例えば、連続鋳造またはDC鋳造製品から)可能性がある。金属コイルの形態は、長尺の金属ストリップを効率的に保管するのに役立ち得る。長い炉と冷却ゾーンを備えたCASHラインまたは他の同様の処理ラインに長尺の金属ストリップを通すのではなく、単一の金属コイルを炉内に配置し、所望の温度で所望の期間保持して、所望の熱処理効果を達成することができる。例えば、アルミニウムの金属コイルは、金属ストリップを焼なましする間、約350℃~400℃の炉内に保持できる。
【0030】
高温金属コイルは、比較的小さな設置面積で長尺の金属ストリップを保管するのに役立ち得るが、高温金属コイルは慎重に取り扱う必要がある。金属ストリップが再結晶温度を超えるといつでも、過度の圧力、張力、機械的接触、またはその他の力が金属ストリップに損傷を与え、金属ストリップの一部またはすべてをスクラップする必要が生じるリスクがある。例えば、高温金属コイルをほどくときに張力が高すぎると、金属ストリップの持続的な裂け目、変形、及び/または表面の損傷が生じる可能性がある。したがって、高温金属コイルの取り扱いは特に困難である。特定の時間(例えば、焼なましまたは均質化などの熱処理中)に金属ストリップをホットコイルとして保管することが望ましい場合があるが、それ以外の時に金属ストリップをウォームコイルまたはコールドコイルとして保管することが望ましい場合がある(例えば、フォークリフトやその他の共通の工場設備を使用するなど、金属ストリップの取り扱いを促進するため)。場合によっては、特定の機器(熱間圧延機など)は、動作するのに十分なバックテンションを必要とする。これは、高温金属ストリップが耐えられるよりも高い張力である可能性がある。このような場合、高温金属コイルを十分に低い温度に冷却して、所望の装置に供給することができるようにする必要がある場合がある。本明細書に開示されるように、温及び冷という用語は、金属の再結晶点より低い温度を指す。
【0031】
従来、コイルは、高温金属コイルを室温またはその近くの周囲温度に保つことによって、または金属コイル上に空気を送り込み、ホットコイルを何時間にもわたって冷却させることによって、冷却することができる。場合によっては、高温金属コイルに圧延油などの流体を噴霧することが試みられるが、それでも所望の冷却温度を得るのに何時間も要し、環境に優しくなく、非常に高価であり、コイルを圧延油に浸したままにし、それにより、次の操作が冷間圧延機のみに制限される。本開示の特定の態様によれば、急速焼入れシステムは、短時間、例えば数分で、より環境に優しい様式で、費用が少なく、金属ストリップに残留冷却剤がほとんどないかまたはまったく残さず、高温金属コイルを温または冷金属コイルに冷却することができる。
【0032】
本開示の特定の態様によれば、ホットコイルを安全に解くことができる低張力アンコイラが開示されている。従来のコイラは張力を使用して金属ストリップを金属コイルから適切にペイオフする(pay-off)が、低張力アンコイラは自然の重力を利用して金属ストリップを金属コイルの残りの部分から分離しやすくする。
【0033】
さらに、非接触ホールドダウン装置を使用して、金属ストリップを通して金属コイルに向かって十分な力を加え、金属ストリップの適切なペイオフを制御するのに役立てている。本明細書で使用される場合、非接触という用語は、金属ストリップと別の構造との間の非機械的接触または物理的接触の欠如を指す。例えば、非接触のホールドダウンロールは、磁気ロータまたは電磁石のセットの形をとることができる。この電磁石は、金属ストリップに接触することなく、金属ストリップを通して変化する磁場を生成し、レンツの法則によって金属ストリップに力を誘導する。別の例では、非接触ホールドダウン装置は、金属ストリップに対して熱風(例えば、金属ストリップの焼入れを回避するのに十分に熱い)を吹き付けて、金属のストリップを金属コイルの残りの部分からペイオフするのを制御するように設計された、1つまたは複数のノズルの形式をとることができる。1つまたは複数のノズルは金属ストリップと接触せず、代わりに流体を金属ストリップに向ける。
【0034】
場合によっては、非接触ホールドダウンロールは、任意の時点で金属ストリップを通過する総磁束が一定またはほぼ一定になるように、シェブロンパターン(または山形パターン、chevron pattern)で配向された交互の極を有する磁気ロータであり得る。このようなシェブロンパターンは、金属ストリップに作用する均一な力を生成し、張力の振動を回避することができる。
【0035】
場合によっては、非接触ホールドダウンロールをペイオフポイント(例えば、金属ストリップが金属コイルの残りの部分から分離するポイント)に配置することも、ペイオフポイントの5°、10°、15°、または20°以内に配置することもできる。
【0036】
金属ストリップが金属コイルの残りの部分からペイオフされるので、ペイオフされる金属ストリップの曲率を測定し(例えば、距離測定装置またはマシンビジョンを介して)、金属コイルのペイオフ率を制御するために使用することができる。
【0037】
場合によっては、断熱材や追加の発熱体を使用するなどして、アンコイラを特定の温度に維持することができる。ホットコイル自体の温度低下を回避することにより、焼入れゾーンに入る金属ストリップの温度が比較的安定するため、その後の焼入れステップをより正確に実行することができる。場合によっては、焼入れプロセスの安定した開始温度は、アンコイラの下流に配置された追加の発熱体を使用することによって任意に達成でき、金属ストリップの初期温度の変動にもかかわらず、金属ストリップを目標温度に加熱することができる。そのような追加の発熱体は、放射、対流、赤外線、炎、または磁気発熱体などの任意の適切な形態をとることができる。場合によっては、そのような追加の発熱体は、金属ストリップに隣接して配置され、金属ストリップに接触することなく金属ストリップ内の温度を上昇させるのに十分な速度で回転する、回転磁石の形をとることができる。場合によっては、非接触ホールドダウン装置は、1つまたは複数の追加の発熱体と協調して機能し、金属ストリップの温度を目標温度にすることができる。場合によっては、磁気ロータまたは電磁石のセットである追加の発熱体を使用するとき、追加の発熱体を通過する前または後にそれらのコールドスポットに追加の熱を導入することによって、金属ストリップの縁の近くのコールドスポットを回避できる。このような場合、金属ストリップの縁のすぐ前の場所で金属ストリップに隣接して配置された一対の磁気ロータの形の非接触ホールドダウン装置を使用して、金属ストリップが磁気ロータの追加の発熱体を通過するときにこの追加の熱を導入して、コールドスポットの形成を回避することができる。
【0038】
場合によっては、磁気ロータ、電磁石、及び/またはエアノズルを使用して、波(例えば、正弦波)を誘導してシートを安定させることができる。
【0039】
ほどけた金属ストリップは、一組の焼入れゾーン(例えば、1つ以上の焼入れゾーンまたは2つ以上の焼入れゾーン)を通過することができる。各焼入れゾーンは、金属ストリップに冷却剤を送達するように構成された一組のスプレーヘッダ(例えば、上部スプレーヘッダ及び下部スプレーヘッダ)を含むことができる。本明細書で使用される場合、スプレーヘッダは、単一のノズル、複数のノズル、または任意の他の適切な構成を含むことができる。冷却剤には、水、オイル、空気、またはライデンフロスト現象のない流体など、適切な冷却剤を含めることができる。スプレーヘッダは、金属ストリップに冷却剤を供給して、少なくとも100℃/秒または200℃/秒の速度で金属ストリップの温度を下げるようなサイズにすることができる。一組の焼入れゾーンは、金属ストリップが平らになっているときにペイオフポイントに隣接して開始するか、金属ストリップが平らになっている後にペイオフポイントから離れて開始することができる。場合によっては、1つまたは複数の焼入れゾーンのスプレーヘッダをアクチュエーターに結合して、金属ストリップとスプレーヘッダとの間の所望の間隔を維持するなど、金属ストリップに対するそれらの相対位置を制御することができる。
【0040】
場合によっては、一組の焼入れゾーンのパラメータを調整して、特定の合金に最適化された所望の焼入れ速度を達成することができる。場合によっては、自動か手動かにかかわらず、入ってくる合金の識別を使用して、一組の焼入れゾーンのパラメータを事前に調整することができる。
【0041】
場合によっては、蒸気再生モジュールは、一組の焼入れゾーン(例えば、最初の1つまたは複数の焼入れゾーン)の1つまたは複数から蒸気を収集し、さらに下流の点で金属ストリップに蒸気を向けることができる。金属ストリップがライデンフロスト点以下の温度に達するのに十分に冷却された場所で金属ストリップに向けて蒸気を向けることは特に有利である可能性があるが、常にそうである必要はない。蒸気再生モジュールは、任意選択で、収集された蒸気の方向転換を容易にするために必要なブロワー(例えば、ファン)または他の機器を含むことができる。ライデンフロスト点の後に金属ストリップの周りにこの湿った空気が存在すると、金属ストリップでの凝縮が回避され、乾燥している空気よりも金属ストリップから熱を抽出する熱容量が大きくなる。したがって、再捕捉された蒸気の使用は、ライデンフロスト点を通過する、及び/またはその後の熱抽出のため、一貫した環境を提供することができる。この一貫した湿度の高い環境は、冷却金属ストリップの平坦度を保護できることがわかっている。ただし、場合によっては、蒸気再生モジュールは、蒸気を収集及び/または金属コイルから遠ざけるように向け直して、さらに下流にあるポイントで蒸気を金属ストリップに向け直すかどうかにかかわらず、まだ金属コイル上にある金属ストリップの汚れを防ぐのに役立ち得る。
【0042】
ライデンフロスト点より上では、冷却剤が沸騰する速度のため、金属ストリップの表面を乾いた状態に保つのは簡単である。ただし、ライデンフロスト点より下では、金属ストリップから残留冷却剤を除去することは簡単ではない。したがって、エアナイフを使用して、金属ストリップの上部から冷却剤を拭き取ることができる(例えば、中心線から離れて、金属ストリップの端を越えて)。場合によっては、スキージを使用して余分な冷却剤を取り除くことができる。金属ストリップの下には、ウルトラコンプライアントなどのワイパーを使用できる。ウルトラコンプライアントワイパーには、金属ストリップの波に合わせてウルトラコンプライアントワイパーの形状を変更するように設計された多数のアクチュエーターを含めることができる。場合によっては、ワイパーに到達する前に、潤滑スプレー(オイルスプレーなど)を金属ストリップに塗布することができる。
【0043】
金属ストリップが急速に焼入れされ、過剰な冷却剤が除去された後、金属ストリップは装置を通過して、ブライドルなどの金属ストリップに張力を戻すことができる。ブライドルは、下流方向の張力を維持するために金属ストリップが巻き付けられるローラーのセットを含むことができる。急速焼入れシステムは、個々の溶銑ロールを処理するのに特に適しているので、上部及び/または外側のロールから離れてスレッド(thread)のためのスレッド位置に移動して、次に張力を金属ストリップに導入するための操作位置に戻せる下部及び/または内側のロールを有するブライドルなど、スレッドが容易なブライドルを使用することが有益である可能性がある。
【0044】
ブライドルロールの後、金属ストリップは、任意選択でルブリケータを通過し、次にデフレクターロールの周りを通過してから、コイラなどの下流の機器の所望の部分に進むことができる。場合によっては、デフレクターロールは金属ストリップの平坦度を測定することができる(例えば、平坦度測定ロール)。場合によっては、この測定された平坦度を使用して、一組の焼入れゾーンにフィードバックを提供し、金属ストリップの平坦度の制御を容易にすることができる。
【0045】
場合によっては、本明細書に開示される急速焼入れシステムは、CASHラインを使用せずに完全に溶解した金属製品の製造を容易にし、したがって時間、費用、及び資本的支出を節約することができる。
【0046】
本明細書に記載されているアルミニウム合金製造物は、自動車の用途や航空機、鉄道などの用途を含む他の輸送の用途に使用できる。例えば、開示されたアルミニウム合金製造物を使用し、バンパー、サイドビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラー補強材(例えば、Aピラー、Bピラー、及びCピラー)、インナーパネル、アウターパネル、サイドパネル、インナーフード、アウターフード、またはトランクリッドパネルなどの自動車構造部品を作ってもよい。本明細書に記載のアルミニウム合金製造物及び方法は、航空機または鉄道車両の用途にも、例えば、外部及び内部パネルを作るためにも使用され得る。
【0047】
本明細書に記載されているアルミニウム合金製造物及び方法は、電子機器の用途にも使用できる。例えば、本明細書に記載されているアルミニウム合金製造物及び方法は、携帯電話及びタブレットコンピュータを含む電子装置用のハウジングを作るために使用され得る。いくつかの例では、アルミニウム合金製造物は、携帯電話(例えば、スマートフォン)のアウターケーシング用のハウジング、タブレットボトムシャーシ、及び他の携帯電子機器を作るために使用してもよい。
【0048】
本明細書に開示されるすべての範囲は、それらに包含されるありとあらゆる部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、記載された範囲「1~10」は、最小値1と最大値10の間の(かつこれらを含む)ありとあらゆる部分範囲を含むと考えられるべきであり、すなわち、すべての部分範囲は、1以上の最小値、例えば、1~6.1から始まり、かつ、10以下の最大値、例えば、5.5~10で終わる。特に明記しない限り、元素の組成量を指す場合の「最大」という表現は、その元素が任意であり、その特定の元素のゼロパーセント組成を含むことを意味する。特に明記されていない限り、全ての組成パーセンテージは重量パーセント(wt.%)である。
【0049】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」及び「the」の意味には、文脈が別段明らかに示さない限り、単数及び複数の言及が含まれる。
【0050】
これらの説明のための例は、本明細書で論じられる一般的な主題を読者に紹介するために与えられており、開示された概念の範囲を限定することを意図するものではない。以下の節は、同様の数字が同様の要素を示す図面を参照して様々な追加の特徴及び例を説明しており、方向の説明は、例示的な実施形態を説明するために使用されているが、例示的な実施形態と同様に、本開示を限定するために使用されるべきではない。本明細書の図に含まれる要素は、縮尺通りに描写されていない場合がある。
【0051】
図1は、本開示の特定の態様による、
高温金属コイル104を急速に焼入れ及び再コイルするためのシステム100の概略側面図である。
高温金属コイル104は、高温(例えば、金属ストリップ124の再結晶温度以上の温度)の金属ストリップ124を含む。
【0052】
金属コイル104は、アンワインダ102によって巻き戻すことができる。アンワインダ102は、
高温金属コイル104を巻き戻し方向106に巻き戻すことができる。非接触ホールドダウン装置108は、わずかな力を加えて、金属コイル104の残りの部分からの金属ストリップ124の制御されたペイオフを容易にすることができる。
図1に示すように、非接触ホールドダウン装置108は、方向110に回転して金属ストリップ124にわずかな下流の張力を加える非接触ホールドダウンロールである。
【0053】
金属ストリップ124は、重力のために金属コイル104の残りの部分から自然に落下し、湾曲させることができる。曲率は、距離センサ及び/またはカメラなどのセンサ194によって監視することができる(例えば、マシンビジョンを介して感知される曲率)。センサ194は、コントローラ192に結合することができる。コントローラ192は、曲率測定を使用して、アンコイラ102のペイオフ率を調整することなどによって、システム100を調整することができる。場合によっては、調整は、一組の焼入れゾーン112の1つまたは複数のスプレーヘッダ114、116の位置を操作することを含むことができる。
【0054】
場合によっては、アンコイラ102は、金属コイル104内に熱を保持するために、金属コイル104の少なくとも一部を取り囲む断熱材を含むことができる。場合によっては、アンコイラ102は、金属ストリップ124が金属コイル104内にある間、金属ストリップ124の温度を維持するのに十分な、加熱アーバーなどのヒーターを含むことができる。
【0055】
ほどけた金属ストリップ124は、一組の焼入れゾーン112を通過することができる。焼入れゾーンのセットのそれぞれは、上部スプレーヘッダ114及び下部スプレーヘッダ116を含むことができる。各スプレーヘッダ114、116は、それ自体、冷却剤が金属ストリップの方へと向けられる1つまたは複数のポートを備えることができる。冷却剤の流れの速度は、コントローラ192を介するなどによって制御することができる。冷却剤の流量は、金属ストリップ124の温度を少なくとも100℃/秒または200℃/秒低下させるのに十分であり得る。
【0056】
焼入れゾーン112のセットを通過した後、金属ストリップは、金属ストリップ124の上部から過剰な冷却剤を吹き飛ばすエアナイフ118を通過することができる。場合によっては、任意選択のスキージ122を使用して、余分な冷却剤をさらに除去することができる。場合によっては、ワイパー120を使用して、金属ストリップ124の底部から過剰な冷却剤を除去することができる。場合によっては、ワイパー120はウルトラコンプライアントワイパーである。
【0057】
冷却剤が金属ストリップ124から除去された後、金属ストリップ124は、ブライドルゾーン126を通過することができる。ブライドルゾーン126において、金属ストリップ124は、ブライドルゾーン126の上流にある金属ストリップ124に追加の張力を与えることなく、ブライドルゾーン126の下流の金属ストリップ124に所望の量の張力を与えるために、上部ブライドルロール130及び下部ブライドルロール132を包み込むことができる。場合によっては、ブライドルロール130、132以外の、またはそれに加えて、金属ストリップ124に必要な張力を与えるためにデバイスを使用することができる。場合によっては、ブライドルゾーン126は、平易なスレッドブライドルを含むことができる。
図1に示すように、ブライドルゾーン126は、2つのブライドルアーム128を含み、それぞれが、上部ブライドルロール130を下部ブライドルロール132に結合する。ブライドルアーム128は、
図1の操作位置にある。金属ストリップ124をブライドルゾーン126にスレッドするために、ブライドルアーム128を上部ブライドルロール130の周りで回転させて、下部ブライドルロール132が上部ブライドルロール130の上に配置されるようにすることができる。次に、金属ストリップ124は、上部ブライドルロール130と下部ブライドルロール132との間を容易に通過することができる(例えば、金属ストリップ124は、上部ブライドルロール130の上及び下部ブライドルロール132の下を通過することができる)。次に、ブライドルアーム128を操作位置に戻すために、ブライドルアーム128は、
図1に示されるように、下部ブライドルロール132が金属ストリップ124に完全に係合するまで、上部ブライドルロール130の周りで再び回転することができる。
【0058】
場合によっては、金属ストリップ124は、金属ストリップ124を巻く前に金属ストリップ124を潤滑するなど、金属ストリップ124に潤滑剤を塗布するために、任意選択でルブリケータ134を通過することができる。
【0059】
場合によっては、金属ストリップ124は、偏向ロール136の周りを通過することができる。偏向ロール136は、金属ストリップ124を、コイラ134によって適切に巻かれるように向け直すことができる。場合によっては、偏向ロール136は、金属ストリップの平坦度を測定することができる。そのような場合、偏向ロール136をコントローラ192に結合して、偏向ロール136で測定された平坦度に基づいて一組の焼入れゾーン112のフィードバック制御を容易にすることができる。偏向ロール136は、平坦度測定ロールであり得る。
【0060】
図1に示すように、金属ストリップ124は、冷却された後や張力が加えられた後、コイラ138によって金属コイル140に巻かれる。金属コイル140は、金属ストリップ124の再結晶温度よりも低い温度でのウォームコイルまたはコールドコイルである。場合によっては、金属コイル140は室温にある。場合によっては、金属コイル140(例えば、焼入れ後の金属ストリップ124)は、温間または冷間圧延に適した温度にある。
【0061】
図2は、本開示の特定の態様による、再度ロールするため
高温金属コイル204を急速に焼入れするシステム200の概略側面図である。システム200は、システム100と類似しているが、いくつかの異なる要素と構成がある。システム200の特定の態様及び機能は、必要に応じてシステム100とともに使用することができ、システム100の特定の態様及び機能は、必要に応じてシステム200とともに使用することができる。
高温金属コイル204は、高温(例えば、金属ストリップ224の再結晶温度以上の温度)の金属ストリップ224を含む。
【0062】
金属コイル204は、アンワインダ202によってほどくことができる。アンワインダ202は、
高温金属コイル204をほぐし方向206にほぐすことができる。非接触ホールドダウン装置208は、わずかな力を加えて、金属コイル204の残りの部分からの金属ストリップ224の制御されたペイオフを容易にすることができる。
図2に示すように、非接触ホールドダウン装置208は、方向210に回転して金属ストリップ224にわずかな下流の張力を加える非接触ホールドダウンロールである。
【0063】
金属ストリップ224は、重力のために金属コイル204の残りの部分から自然に落下し、湾曲させることができる。
図1のシステム100を参照して開示されるように、曲率はセンサによって監視することができる。コントローラを使用して、
図1のシステム100を参照して開示されているように、システム200を調整することができる。
【0064】
場合によっては、アンコイラ202は、金属コイル204内に熱を保持するために、金属コイル204の少なくとも一部を取り囲む断熱材を含むことができる。場合によっては、アンコイラ202は、金属ストリップ224が金属コイル204内にある間、金属ストリップ224の温度を維持するのに十分な、加熱アーバーなどのヒーターを含むことができる。
【0065】
ほどけた金属ストリップ224は、一組の焼入れゾーン212を通過する前に、一組の予熱器246を通過することができる。
図2に示されるように、予熱器246は、回転し、金属ストリップ224の温度を目標温度まで上昇させるのに十分な金属ストリップ224を通して変化する磁場を生成する磁気ロータである。しかしながら、場合によっては、直接火炎ヒーター、赤外線ヒーター、熱風ブロワー、または他のヒーターなどの他のタイプの予熱器246を使用することができる。
【0066】
一定の目標温度に加熱された後、金属ストリップ224は、一組の焼入れゾーン212を通過することができる。焼入れゾーンのセットのそれぞれは、上部スプレーヘッダ214及び下部スプレーヘッダ216を含むことができる。各スプレーヘッダ214、216は、それ自体、冷却剤が金属ストリップの方へと向けられる1つまたは複数のポートを備えることができる。冷却剤の流量を制御できる。冷却剤の流量は、金属ストリップ224の温度を少なくとも100℃/秒または200℃/秒低下させるのに十分であり得る。
【0067】
場合によっては、蒸気再生モジュール242を一組の焼入れゾーン212に隣接して配置して、一組の焼入れゾーンの1つまたは複数の近くのエリアから蒸気を捕捉し、蒸気をさらに下流の場所の金属ストリップ224に向け直すことができる。
図2に示されるように、蒸気再生モジュール242は、蒸気を捕捉して金属ストリップ224に向け直すように構成されたダクト配管を備えるが、常にそうである必要はない。例えば、場合によっては、蒸気再生モジュール242は、蒸気を金属ストリップ224からブロワーを通して運び去り、金属ストリップ224に向かって戻すことができる。ただし、場合によっては、蒸気再生モジュール242は、蒸気を収集及び/または金属コイル204から遠ざけるように向け直して、まだ金属コイル204上にある金属ストリップ224の汚れを防ぐのに役立ち得る。
【0068】
一組の焼入れゾーン212を通過した後、金属ストリップ224は、金属ストリップ224の上部から過剰な冷却剤を吹き飛ばすエアナイフ218を通過することができる。場合によっては、任意選択のスキージ222を使用して、余分な冷却剤をさらに除去することができる。場合によっては、ワイパー220を使用して、金属ストリップ224の底部から過剰な冷却剤を除去することができる。場合によっては、ワイパー220はウルトラコンプライアントワイパーである。
【0069】
冷却剤が金属ストリップ224から除去された後、金属ストリップ224は、ブライドルゾーン226を通過することができる。ブライドルゾーン226において、金属ストリップ224は、ブライドルゾーン226の上流にある金属ストリップ224に追加の張力を与えることなく、ブライドルゾーン226の下流の金属ストリップ224に所望の量の張力を与えるために、外部ブライドルロール230及び内部ブライドルロール232を包み込むことができる。場合によっては、ブライドルロール230、232以外の、またはそれに加えて、金属ストリップ224に必要な張力を与えるためにデバイスを使用することができる。
図2に示されるように、ブライドルロール230、232は、操作位置にある。ブライドルゾーン226を容易にスレッドするために、内側ブライドルロール232を持ち上げることができ、金属ストリップ224を外側ブライドルロール230の上及び内側ブライドルロール232の下に通すことができる。次に、内側ブライドルロール232を、金属ストリップ224と係合させるべく
図2に見られる位置に戻し、操作位置に入るようにすることができる。
【0070】
場合によっては、金属ストリップ224は、金属ストリップ224をロールする前に金属ストリップ224を潤滑するなど、金属ストリップ224に潤滑剤を塗布するために、任意選択でルブリケータ234を通過することができる。
【0071】
場合によっては、金属ストリップ224は、圧延機のロールスタック224などの下流の装置に向けることができる。下流の機器は、ホットコイル204の温度での金属ストリップ224の降伏強度よりも大きい量の逆張力を必要とする下流の機器、または金属ストリップ224がホットコイル204の温度よりも低い温度にあることを必要とする下流の機器などの、任意の適切な下流の機器であり得る。したがって、システム200は、ホットコイル204が以前はホットコイル204で使用できなかった下流の機器に供給されることを可能にすることができる。
【0072】
図2に示されるように、下流の機器に入る金属ストリップ224は、金属ストリップ224の再結晶温度よりも低い温度などの暖かいまたは冷たい温度にある。場合によっては、金属コイル240は室温にある。場合によっては、下流の機器に入る金属ストリップ224は、温間または冷間圧延に適した温度にある。
【0073】
図3は、本開示の特定の態様による、急速焼入れライン300の概略的なブロック図である。急速焼入れライン300は、
図1、2のシステム100、200であり得る。金属ストリップ324は、
図3に示されるように、左から右へ、急速焼入れライン300を通って下流に移動する。
【0074】
アンコイラ302は、高温金属コイル(例えば、再結晶温度以上の金属コイル)を受け入れ、低張力でホットコイルから金属ストリップ324をアンコイルすることができる。アンコイラ302は、重力に依存して金属ストリップ324をペイオフすることができる。場合によっては、アンコイラ302は、金属ストリップ324のペイオフを容易にするために金属コイルに力を加えるのに適した非接触ホールドダウン装置308を含むことができる。
【0075】
任意選択の非接触ヒーター346は、アンコイラ302の下流に配置することができる。非接触ヒーター346(例えば、
図2の予熱器246などの予熱器)は、磁気ロータヒーターなど、焼入れ前に金属ストリップ324を加熱するための任意の適切な装置であり得る。磁気ロータヒーターは、ロータ上に配置された一組の永久磁石を含むことができ、回転時に、隣接する金属ストリップに温度の上昇を付与することができる。
【0076】
一組の焼入れゾーン312は、アンコイラ302及び任意選択の非接触ヒーター346の下流に配置することができる。各焼入れゾーンは、金属ストリップ324上に冷却剤を分配するように配置された1つまたは複数のスプレーヘッダを含むことができる。場合によっては、任意選択の蒸気再生モジュール342を配置して、一組の焼入れゾーン1つまたは複数から蒸気を収集し、蒸気を金属ストリップ324に向け直して、金属ストリップ324の冷却を、特に金属ストリップ324がライデンフロスト点以下にあるときに、容易にすることができる。
【0077】
冷却剤除去ゾーン318は、一組の焼入れゾーンの下流に配置することができる。冷却剤除去ゾーン318は、金属ストリップ324から冷却剤を除去するのに適した任意の機器を含むことができる。場合によっては、冷却剤除去ゾーン318は、1つまたは複数のエアナイフを含むことができる。場合によっては、冷却剤除去ゾーン318は、1つまたは複数のスキージを含むことができる。場合によっては、冷却剤除去ゾーン318は、1つまたは複数のワイパー(例えば、ウルトラコンプライアントワイパー)を含むことができる。
【0078】
ブライドルゾーン326は、冷却剤除去ゾーン318の下流に配置することができる。ブライドルゾーン326は、金属ストリップ324に下流の張力(例えば、ブライドルゾーン326の下流の張力)を達成するために金属ストリップ324を部分的に巻き付けることができる一組のブライドルロールを含むことができる。場合によっては、ブライドルゾーン326は、ねじ切りが容易なブライドルロールを含むことができる。
【0079】
場合によっては、任意のルブリケータ334をブライドルゾーン326の下流に配置して、下流の機器338に到達する前に金属ストリップに潤滑を与えることができる。
【0080】
金属ストリップ324は、さらなる処理または保管のために下流の機器338に到達することができる。場合によっては、下流の機器338は、コイラを含むことができる。場合によっては、下流の機器338は、温間または冷間圧延機などの他の機器を含むことができる。金属ストリップ324が下流の機器338に到達するまでに、金属ストリップは、再結晶点より低い温度に冷却され、それに張力が与えられる(例えば、アンコイラ302のホットコイルに適したよりも高い張力)。
【0081】
図4は、本開示の特定の態様による、急速焼入れラインを通過する金属ストリップ424の相対的な温度を示す、概略的なブロック
図400と温度グラフ401の組み合わせである。金属ストリップ424は、
図4に示されるように、左から右へ、急速焼入れラインを通って下流に移動する。ブロック
図400は、
図3の急速焼入れライン300の図であり得る。温度グラフ401は、説明のみを目的とした相対的なグラフであり、縮尺通りにすることを意図したものではない。ブロック
図400及び温度グラフ401は、ブロック
図400に示される急速焼入れラインの様々な構成要素を通過するときの金属ストリップ424のおおよその相対温度を示すために垂直に整列されている。
【0082】
アンコイラ402において、金属ストリップ424は、金属ストリップ424の再結晶温度457以上の温度など、高温と見なされる温度を有することができる。場合によっては、アンコイラ402は、様々な初期温度450でホットコイルを受け取ることができる。場合によっては、アンコイラ402に統合された加熱及び/または断熱が、金属ストリップ424の初期温度450を維持するのを助けることができる。
【0083】
場合によっては、任意選択の非接触ヒーター446は、ホットコイルの初期温度450にもかかわらず、金属ストリップ424の温度を目標温度456に上昇させるように設計された追加の加熱を与えることができる。場合によっては、非接触ホールドダウン装置408は、そうである必要はないが、金属ストリップ424に、ある程度の熱を与えることができる。
【0084】
一組の焼入れゾーン412内で、いくつかの焼入れゾーンを使用して、金属ストリップ424を迅速に焼入れすることができる。
図4に示すように、任意の数のゾーンを使用することができるが、4つの焼入れゾーン458、460、462、464が示されている。場合によっては、任意選択の蒸気再生モジュール442が使用されるとき、蒸気再生モジュール442は、第1の焼入れゾーン458及び第2の焼入れゾーン460などの上流の焼入れゾーン(複数可)から蒸気を収集し、蒸気及び/または湿った空気を、蒸気が収集された場所の下流の場所で、金属ストリップ424に向かう向け直すことができる。場合によっては、蒸気再生モジュール442は、後続の焼入れゾーン(例えば、第3の焼入れゾーン462及び第4の焼入れゾーン464)にある前、最中、または後に、蒸気を金属ストリップ424に向け直すことができる。場合によっては、蒸気再生モジュール442は、金属ストリップ424がライデンフロスト点470を下回ろうとしている、現在、またはすでに下がっている場所468で、蒸気を金属ストリップ424に向け直すことができる。
【0085】
一組の焼入れゾーン412の後、金属ストリップ424の温度は、暖かいまたは冷たい温度になり得る。金属ストリップ424の温度は、冷却剤除去ゾーン418、ブライドルゾーン426、任意選択のルブリケータ434、または下流の機器438を通過するときなど、一組の焼入れゾーン412の後で顕著に変化してはならない。ただし、場合によっては、金属ストリップ424の温度がゆっくりと室温または周囲温度に近づくことがある。場合によっては、一組の焼入れゾーン412の後の金属ストリップ424の温度は、冷却温度472として知られ得る。
【0086】
図5は、本開示の特定の態様による急速焼入れライン500上の蒸気再生モジュール542の概略的な側面図である。
図5は、アンコイラとブライドルゾーンとの間に位置する急速焼入れライン500の一部を示している。急速焼入れライン500は、
図3の急速焼入れライン300であり得る。
【0087】
金属ストリップ524が左から右に下流方向に通過するとき、金属ストリップは、いくつかの焼入れゾーン558、560、562、564、566を通過することができる。各焼入れゾーンは、冷却剤574を金属ストリップ524に分配するスプレーヘッダ514を含むことができる。冷却剤は、金属ストリップ524から、特に最初の1つ、2つ、またはいくつかの焼入れゾーン(例えば、焼入れゾーン558、560、562)の近くで熱を抽出し、相当量の蒸気576を生成する。
【0088】
蒸気再生モジュール542は、蒸気576を捕捉し、蒸気576を金属ストリップ524に向け直すように配置することができる。場合によっては、蒸気再生モジュール542は、蒸気を収集するためのフード578と、蒸気を金属ストリップ524に向け直すためのダクト配管580とを備えることができる。場合によっては、蒸気再生モジュール542は、蒸気576を金属ストリップ524に向かって(例えば、フード578の反対側のダクト配管580の端に向かって)移動させることを容易にする任意選択のブロワー582を備えることができる。
【0089】
図5に示されるように、蒸気再生モジュール542は、蒸気576を、最初の3つの焼入れゾーン558、560、562の下流、及び最後の2つの焼入れゾーン564、566の上流の場所で、金属ストリップ524に向け直すが、ただし、常にこのようにする必要はない。代わりに、蒸気再生モジュール542は、蒸気576が収集される場所の上流または下流を含む、任意の適切な場所で、蒸気576を金属ストリップ524に向け直すことができる。しかしながら、金属ストリップ524の温度がライデンフロスト点以下である場所568に隣接して、その場所で、及び/またはその直後に、蒸気576を金属ストリップ524に向け直すことが特に有用であり得ると判定された。
【0090】
図5にまた示されているのは、金属ストリップ524の上に配置された一組のエアナイフ518であり、金属ストリップ524から冷却剤を除去するべく空気584を金属ストリップ524の表面に向けるようにする。
【0091】
図6は、本開示の特定の態様による、磁気ロータ690を含む非接触ホールドダウンロール608の概略的な上面図である。場合によっては、非接触ホールドダウンロール608は、磁気ロータ690であり得る。任意の適切な磁気ロータを使用することができるが、シェブロンパターンの磁極を有する磁気ロータ690は、金属ストリップに一貫した(例えば、変動しない)張力を与えるのに特に適しており、したがって、壊れやすいホットコイルに損傷を与えるリスクを最小限にすることができると判定されてきた。
【0092】
図6に示されるシェブロンパターンは、磁気ロータ690の幅及び円周にわたって分布する交互の北極686及び南極688を示している。場合によっては、シェブロンパターンは、磁気ロータ690の回転に沿ったすべての点について、磁気ロータ690が常に、またはほぼ同じ量の磁束を金属ストリップに提示するように構成される。シェブロンパターンは、オーバーラップ、ギャップ、迎え角、及びその他の特性が異なる場合がある。場合によっては、磁気ロータ690は、シェブロンパターンの方向に回転するように構成される(例えば、
図6に示されるように、ページの上部からページの下部まで)が、常にそうである必要はない。場合によっては、他のタイプのパターンを使用して、金属ストリップに一定の張力をかける。
【0093】
図7は、本開示の特定の態様によるホットコイルを急速に焼入れするためのプロセス700を示すフローチャートである。場合によっては、プロセス700は、
図1、2のシステム100、200、または
図3の急速焼入れライン300を使用することができる。
【0094】
ブロック702で、高温金属コイルが巻き戻されている。高温金属コイルを巻き戻すことは低張力アンワインダで行われる。場合によっては、高温金属コイルを巻き戻すことは、非接触ホールドダウン装置を介して金属コイルに非接触ホールドダウン力を加えることをさらに含む。場合によっては、高温金属コイルを巻き戻すことは、重力を使用することによって金属ストリップが金属コイルからペイオフできるようにすることを含む。
【0095】
任意選択のブロック706では、金属ストリップを目標温度まで加熱(例えば、予熱)することができる。場合によっては、高温金属コイルがすでに目標温度になっている場合は、予熱は必要ない。
【0096】
ブロック708で、金属ストリップを急速に焼入れすることができる。急速焼入れは、少なくとも100℃/秒または200℃/秒の速度で金属ストリップの温度を下げることを含むことができる。急速焼入れには、1つまたは複数のスプレーヘッダを使用して金属ストリップに冷却剤を分配することが含まれる。場合によっては、ブロック708で金属ストリップを急速に焼入れすることは、任意選択のブロック710、712、714のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。ブロック710で、1つまたは複数の焼入れゾーンからの蒸気を収集することができる。ブロック712で、金属ストリップは、ライデンフロスト点より低い温度に焼入れすることができる。ブロック714で、ブロック710から収集された蒸気は、金属ストリップに向くよう直すことができる。場合によっては、ブロック712が最初に発生することなく、ブロック714が発生する可能性がある。しかしながら、場合によっては、ブロック714は、金属ストリップがブロック712でのライデンフロスト点より低い温度に達した後にのみ、発生する。
【0097】
場合によっては、ブロック708で金属ストリップを焼入れすることは、平坦度の情報を(例えば、偏向ロールなどの下流の平坦度測定装置から)受け取り、所望の平坦度を達成するためにスプレーヘッダからの冷却剤の分配を調整することを含み得る。
【0098】
ブロック716で、冷却剤が金属ストリップから除去される。場合によっては、金属ストリップから冷却剤を除去することは、エアナイフ、スキージ、ワイパー(例えば、ウルトラコンプライアントワイパー)、または他の冷却剤除去装置の任意の組み合わせを使用することを含むことができる。
【0099】
ブロック718で、張力が金属ストリップに加えられる。ブロック718で金属ストリップに加えられる張力は、張力がアンコイラでの熱間ロールを通って伝わらないが、むしろ下流の装置まで伝わるように、下流の張力であり得る。ブロック718で張力を加えることは、金属ストリップをブライドルゾーンのブライドルロールに通して金属ストリップに張力を与えることを含むことができる。
【0100】
任意選択のブロック720では、潤滑を任意選択で金属ストリップに適用することができる。
【0101】
金属ストリップは、下流の任意の適切な下流の機器に進むことができる。場合によっては、下流の装置はコイラであり得、その場合、金属ストリップはブロック722でコイリングされ得る。結果として得られる金属コイルは、ウォームメタルコイルまたはコールドメタルコイルになる。場合によっては、他の下流の機器を使用することができ、その場合、金属ストリップは、温間圧延または冷間圧延などの他の下流での処理を受けることができる。
【0102】
例示された実施形態を含む実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のためにのみ提示されており、網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。多数の修正、改作、及びそれらの使用は、当業者らには明らかであろう。
【0103】
本明細書に記載される概念による、様々な例示的実施形態のさらなる説明を提供する、「例示」として明示的に列挙された少なくともいくつかを含む、例示的実施形態の集合体を以下に提供する。これらの例示は、相互に排他的、網羅的、または制限的であることを意図しておらず、本開示は、これらの例の例示に限定されるのではなく、むしろ発行された特許請求の範囲及びその均等物の範囲内の全ての考えられる修正及び変形を包含する。
【0104】
例示1は、システムであって、金属ストリップの金属コイルを受け取り、巻き戻すための低張力巻き戻しユニット、金属コイルの巻き戻し中に金属ストリップに金属コイルの中心に向かって力を供給するために、低張力巻き戻しユニットに隣接して配置された非接触ホールドダウン装置、金属ストリップを冷却するための一組の焼入れゾーンであって、金属ストリップの温度を少なくとも毎秒100℃の速度で低下させるのに十分な冷却剤を供給する、一組の焼入れゾーン、一組の焼入れゾーンの下流に配置された冷却剤除去ユニット、及び金属ストリップの張力を増加させるために、冷却剤除去ユニットの下流に配置されたブライドルユニットを含む、システムである。
【0105】
例示2は、低張力巻き戻しユニットが、金属コイルのコイル状部分内に熱を保持するように配置された断熱材を含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0106】
例示3は、低張力巻き戻しユニットは、金属コイルのコイル状部分に熱を供給するための熱源を含み、熱源は、金属コイルを閾値温度以上に維持するためのコントローラに結合されている、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0107】
例示4は、非接触ホールドダウン装置が、金属ストリップを通して、変化する磁場を生成するための1つまたは複数の磁石を含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0108】
例示5は、変化する磁場が、力を金属ストリップの幅全体に経時的に分散させるように構成される、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0109】
例示6は、非接触ホールドダウン装置が、金属ストリップに対して加熱された空気を吹き付けるためのノズルを含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0110】
例示7は、金属ストリップの平坦度を測定するために配置された平坦度測定ユニットと、金属ストリップの測定された平坦度に基づいて冷却剤の送達を調整するために、平坦度測定ユニットと一組の焼入れゾーンに結合されたコントローラとをさらに含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0111】
例示8は、金属ストリップに波を導入するために一組の焼入れゾーンの上流に配置された安定化システムをさらに備える、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0112】
例示9は、金属ストリップが、金属コイルと冷却剤除去ユニットとの間の機械的接触なしに支持されたままである、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0113】
例示10は、一組の焼入れゾーンは、湿った空気を一組の焼入れゾーンの少なくとも1つから、一組の焼入れゾーンの少なくとも1つの下流の場所にある金属ストリップに向け直すための蒸気再生モジュールを含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0114】
例示11は、一組の焼入れゾーンの少なくとも1つの下流の場所が、金属ストリップの温度がライデンフロスト点以下である場所である、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0115】
例示12は、低張力巻き戻しユニットの下流に配置されたプレクエンチ加熱ユニットと、金属ストリップが一組の焼入れゾーンに入る前に、金属ストリップを目標温度に加熱するためのプレクエンチ加熱ユニットに結合されたコントローラとをさらに含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0116】
例示13は、非接触ホールドダウン装置が、重力によって金属ストリップが金属コイルから落下する場所またはそれに隣接する場所で金属ストリップに力を与えるように配置されている、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせのシステムである。
【0117】
例示14は、方法であって、低張力アンワインダを使用して高温金属コイルを巻き戻すことであって、高温金属コイルを巻き戻すことは、高温金属コイルに非接触のホールドダウン力を加え、高温金属コイルの金属ストリップを金属コイルから落下させることを含む、巻き戻すこと、一組の焼入れゾーンで金属ストリップを急速に焼入れすることであって、金属ストリップ急速に焼入れすることは、金属ストリップに冷却剤を適用して、少なくとも毎秒100℃の速度で金属ストリップの温度を下げることを含む、焼入れすること、金属ストリップから冷却剤を除去すること、及び金属ストリップに下流の張力を加えること、を含む、方法である。
【0118】
例示15は、低張力アンワインダで高温金属コイルの初期温度を維持することをさらに含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせの方法である。
【0119】
例示16は、金属ストリップを急速に焼入れする直前に金属ストリップを予熱することをさらに含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせの方法である。
【0120】
例示17は、非接触ホールドダウン力を加えることは、金属ストリップを通して、変化する磁場を生成することを含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせの方法である。
【0121】
例示18は、非接触ホールドダウン力を加えることは、金属ストリップに対して加熱された空気を吹き付けることを含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせの方法である。
【0122】
例示19は、金属ストリップの平坦度を測定すること、及び測定された平坦度に基づいて、冷却剤の送達を調整することをさらに含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせの方法である。
【0123】
例示20は、金属ストリップに接触することなく金属ストリップに波を誘導することをさらに含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせの方法である。
【0124】
例示21は、焼入れゾーンの少なくとも1つから蒸気を捕捉すること、及び捕捉された蒸気を金属ストリップに向け直すこと、をさらに含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせの方法である。
【0125】
例示22は、捕捉された蒸気を向け直すことが、金属ストリップの温度がライデンフロスト点以下である場所で、捕捉蒸気を金属ストリップの方へ向け直すことを含む、任意の先行または後続の例示または例示の組み合わせの方法である。