(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】デジタルヒューマン技術に基づく肺葉分割方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20231107BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20231107BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231107BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B6/03 360J
A61B6/03 360D
G06T7/00 350C
(21)【出願番号】P 2022562001
(86)(22)【出願日】2022-01-15
(86)【国際出願番号】 CN2022072198
(87)【国際公開番号】W WO2022183851
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2022-10-10
(31)【優先権主張番号】202110241193.X
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521162399
【氏名又は名称】之江実験室
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲聞▼▲タオ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲饒▼ ▲ファン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲鐸▼
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0251694(US,A1)
【文献】Eva M. van Rikxoort, et al.,Automatic Segmentation of Pulmonary Lobes Robust Against Incomplete Fissures,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2010年,VOL. 29, NO. 6,pp.1286-1296
【文献】Li Zhang, et al.,Atlas-Driven Lung Lobe Segmentation in Volumetric X-Ray CT Images,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2006年,VOL. 25, NO. 1,pp.1-16
【文献】Stefan Klein, et al.,Evaluation of Optimization Methods for Nonrigid Medical Image Registration Using Mutual Information and B-Splines,IEEE TRANSACTIONS ON IMAGE PROCESSING,2007年,VOL. 16, NO. 12,pp.2879-2890
【文献】Almar Klein, et al.,Multimordal image registration by edge attraction and regularization using a B-spline grid,Medical Imaging,2011年,Proc. of SPIE Vol.7962,pp.796220-1-796220-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
A61B 5/055
A61B 6/00
G01T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルヒューマン技術に基づく肺葉分割方法であって、以下のステップ1~ステップ6を含み、
前記ステップ1では、肺部画像に対して位置合わせ及びデータ統計を行うことにより、デジタルヒューマンモデルを構築して取得し、
前記ステップ2では、デジタルヒューマンモデルにおけるデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像を用いて非剛体位置合わせを行い、変形場及び変換後のデジタルヒューマン画像を取得し、
前記ステップ3では、ステップ2における変換後のデジタルヒューマン画像に対してデジタルヒューマンの形状パラメータをフィッティングし、デジタルヒューマンの形状パラメータに応じて、ステップ1におけるデジタルヒューマンモデルによって新たなデジタルヒューマン画像を生成し、
前記ステップ4では、反復回数の閾値に達する又はデジタルヒューマンの形状パラメータが収束するまで、新たなデジタルヒューマン画像に対してステップ2及びステップ3に従って複数回の反復を実行し、
前記ステップ5では、最後の反復で得られたデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像に対して非剛体位置合わせを行って変形場を取得し、
前記ステップ6では、ステップ5で得られた変形場を、最後の反復で得られたデジタルヒューマン画像の肺葉の境界点群又はマスク画像に追加し、肺葉の分割結果を得
、
前記ステップ1は、デジタルヒューマン統計グラフを構築してサンプルセットを設定するサブステップを含み、
前記サブステップにおいては、
【数1】
(1)
2次元の状況を例とする場合に、i番目のサンプルX
i
={(x
1
,y
1
),(x
2
,y
2
),(x
k
,y
k
),…,(x
1
,y
1
)}はk個のトップポイントを含み、次にデータを統計して正規化処理し、
【数2】
(2)
【数3】
(3)
【数4】
(4)
次に主成分分析のプロセスに従って平均ベクトルと共分散行列を計算し、
【数5】
(5)
【数6】
(6)
次に共分散行列Sの固有ベクトルφ
j
及びその対応する固有値λ
j
を計算し、最大の最初のc個の固有値及びその対応する固有ベクトルを選択し、主成分分析の定義に従って、各サンプルの形状推定は式7に表され、
【数7】
(7)
b=[b
1
,b
2
,…b
c
,]は形状パラメータであり、最小二乗法又は行列直交化によって計算されることができる
ことを特徴とするデジタルヒューマン技術に基づく肺葉分割方法。
【請求項2】
前記ステップ2において、訓練済の非剛体位置合わせモデルを用いてデジタルヒューマンモデルにおけるデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像に対して非剛体位置合わせを行い、非剛体位置合わせモデルはUNetを位置合わせネットワークとして用い、その後で、変換ネットワークに接続され、非剛体位置合わせモデルの入力はデジタルヒューマンモデルにおけるデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像であり、位置合わせネットワークは変形場を出力し、変換ネットワークは変換後のデジタルヒューマン画像を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の肺葉分割方法。
【請求項3】
前記非剛体位置合わせモデルは参照画像と浮動画像のペアを訓練セットとして用い、参照画像と浮動画像の肺葉マスクはラベルとして用いられ、訓練時に用いられる目的関数は、以下の式9に示され、
【数9】
式9の中には、CT1は参照画像を表し、CT2は浮動画像を表し、M1はCT1の肺葉マスクであり、STN(CT2)はCT2の変換後の画像であり、STN(M2)は変換後のマスク画像であり、Dは画像類似度計量関数であり、D
iceはDice計量関数であり、R(DVF)は画像の変形場の正則化項である
ことを特徴とする請求項2に記載の肺葉分割方法。
【請求項4】
前記ステップ3において、特異値分解、一般化逆行列の計算又は訓練済のVGGネットワークを用いて、ステップ2における変換後のデジタルヒューマン画像に対してデジタルヒューマンの形状パラメータをフィッティングする
ことを特徴とする請求項1に記載の肺葉分割方法。
【請求項5】
前記VGGネットワークは畳み込み層、最大プーリング層及び完全接続層からなる
ことを特徴とする請求項4に記載の肺葉分割方法。
【請求項6】
前記マスク画像は、画像充填又はシード成長方法を利用して、閉じた境界点群データを変換することにより取得される
ことを特徴とする請求項1に記載の肺葉分割方法。
【請求項7】
前記肺部画像のタイプはCT画像、MRI画像、超音波画像又はPET画像である
ことを特徴とする請求項1に記載の肺葉分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像分割の分野に関し、特にデジタルヒューマン技術に基づく肺葉分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肺葉分割は、画像分割の方法で肺葉の境界情報を取得する方法であり、肺部の可視化及び肺部の定量分析の重要な前提であり、肺癌の早期診断及び治療に非常に重要な役割を果たしている。臨床的には、肺葉の機能は比較的独立し、肺部疾患は通常単一の肺葉で発生し、正確な肺葉分割は多くの肺部手術(例えば、肺葉容積縮小手術)の前提である。肺葉は肺破裂によって分離されているが、実際の応用では、肺葉分割は、CT解像度に限界があること、不完全な肺破裂、周囲の異常な構造の分布及び異常な肺実質等の要因により影響されており、肺葉分割は依然として肺部画像の処理における難しい問題である。
【0003】
既存の方法は主に2種があり、第1種は肺破裂検出の方法で肺破裂を得て、次に肺破裂によって肺葉の表面を得ることであり、第2種は画像分割の方法を直接用いて肺葉を得ることである。ある学者は2次元空間内の肺破裂の構造的特徴に基づいてVanderBurg線形演算子を設計して肺破裂検出を行ったが、該方法は病変のない肺部画像のみに適用でき、多くの研究者は該方法を構造的特徴及び解剖学的知識と組み合わせることにより肺破裂検出の安定性及び精度を向上させる。また、深層学習の急速な発展に伴い、一部の人々は深層学習の関連知識を肺破裂検出に適用し、ある学者は多層Seg3DNetに基づいたFissureNet肺破裂検出ネットワークを提案し、該方法は肺部の左側画像及び右側画像を別々に処理し、粗いものから細かいものへの戦略を用いており、該方法は、主流のデータベースで検証され、従来の方法よりも優れた検出結果を取得している。
【0004】
コンピュータ技術の発展に伴い、画像分割を直接用いて肺葉を得る方法も急速に発展しており、この方法は先験的な知識の利用をより重視している。この方法では、最も典型的なものはAtlasに基づいた肺葉分割であり、該方法は、先ず1セットの肺葉画像のAtlasアトラスを作成し、次にアトラスにおける患者画像に最も近い画像を選択して患者画像と位置合わせすることにより肺葉の分割結果を得る。また、一部の学者は深層学習の方法で肺葉の分割を実現し、Ferreiraらは肺葉分割のためのFRV-Netを提案しており、該方法はVNet構造に基づくものであり、各層でDice関数を計算し、少数のサンプルのみでモデルの訓練を完了することができる。
【0005】
デジタルヒューマンモデル技術は、統計モデル化方法によって多数のサンプル画像からグラフの形状パラメータを学習して得る方法の1つであり、それは、これらのパラメータを利用してモデルにおける臓器形状を調整する。デジタルヒューマンモデルは一般的に、画像分割、標準と個人の曲面位置合わせ、及びデジタルヒューマン統計グラフの構築というステップを含む。デジタルヒューマンモデルには臓器の境界点群又はマスク画像情報が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の欠陥に対して、デジタルヒューマン技術に基づく肺葉分割方法を提案し、該方法は画像位置合わせに基づいて肺葉の分割を実現する。該方法では、肺部画像に対して位置合わせ及びデータ統計を行うことによりデジタルヒューマンモデルを取得し、デジタルヒューマンモデルを利用してデジタルヒューマン画像を生成し、デジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像を位置合わせ、変形後のデジタルヒューマン画像の形状パラメータに基づいて新たなデジタルヒューマン画像を生成し、患者の分割対象の肺部画像により近いデジタルヒューマン画像を得るまで継続的に反復し、次に新たなデジタルヒューマン画像と患者の分割対象の肺部画像に対して非剛体位置合わせを行って変形場を取得し、変形場をデジタルヒューマンの肺葉の境界点群又はマスク画像に追加して肺葉の分割結果を得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は以下の技術的解決手段により実現される。デジタルヒューマン技術に基づく肺葉分割方法であって、
肺部画像に対して位置合わせ及びデータ統計を行うことによりデジタルヒューマンモデルを構築して取得するステップ1と、
デジタルヒューマンモデルにおけるデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像を用いて非剛体位置合わせを行い、変形場及び変換後のデジタルヒューマン画像を得るステップ2と、
ステップ2における変換後のデジタルヒューマン画像に対してデジタルヒューマンの形状パラメータをフィッティングし、デジタルヒューマンの形状パラメータに応じて、ステップ1におけるデジタルヒューマンモデルによって新たなデジタルヒューマン画像を生成するステップ3と、
反復回数の閾値に達する又はデジタルヒューマンの形状パラメータが収束するまで、新たなデジタルヒューマン画像に対してステップ2及びステップ3に従って複数回の反復を実行するステップ4と、
最後の反復で得られたデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像に対して非剛体位置合わせを行って変形場を取得するステップ5と、
ステップ5で得られた変形場を、最後の反復で得られたデジタルヒューマン画像の肺葉の境界点群又はマスク画像に追加し、肺葉の分割結果を得るステップ6と、を含む。
【0008】
さらに、前記ステップ2において、訓練済の非剛体位置合わせモデルを用いてデジタルヒューマンモデルにおけるデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像に対して非剛体位置合わせを行い、非剛体位置合わせモデルはUNetを位置合わせネットワークとして用い、その後で、変換ネットワークに接続され、非剛体位置合わせモデルの入力はデジタルヒューマンモデルにおけるデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像であり、位置合わせネットワークは変形場を出力し、変換ネットワークは変換後のデジタルヒューマン画像を出力する。
【0009】
さらに、前記非剛体位置合わせモデルは参照画像と浮動画像のペアを訓練セットとして用い、参照画像と浮動画像の肺葉マスクはラベルとして用いられ、訓練時に用いられる目的関数は、以下の式9に示され、
【数9】
式9の中には、CT1は参照画像を表し、CT2は浮動画像を表し、M1はCT1の肺葉マスクであり、STN(CT2)はCT2の変換後の画像であり、STN(M2)は変換後のマスク画像であり、Dは画像類似度計量関数であり、D
iceはDice計量関数であり、R(DVF)は画像の変形場の正則化項である。
【0010】
さらに、前記ステップ3において、特異値分解、一般化逆行列の計算又は訓練されたVGGネットワークを用いて、ステップ2における変換後のデジタルヒューマン画像に対してデジタルヒューマンの形状パラメータをフィッティングする。
【0011】
さらに、前記VGGネットワークは畳み込み層、最大プーリング層及び完全接続層からなる。
【0012】
さらに、前記マスク画像は、画像充填又はシード成長方法を利用して、閉じた境界点群データを変換することにより取得される。
【0013】
さらに、前記肺部画像のタイプはCT画像、MRI画像、超音波画像又はPET画像等である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明の方法は、デジタルヒューマンモデルを初めて利用して医学画像における臓器の分割を行い、デジタルヒューマンモデルを利用して、形状パラメータを設定することにより異なる形態の肺部のデジタルヒューマン画像を得ることができ、且つデジタルヒューマンモデルが生成したデジタルヒューマン画像は歪みのない特性を有し、デジタルヒューマン画像と分割対象の肺部画像を継続的に反復して位置合わせし、新たなデジタルヒューマン画像を生成し、最終的に生成されたデジタルヒューマン画像が分割対象の画像に近くなるようにし、それにより、患者画像に異常や病変が存在する場合の肺葉分割の精度及び安定性を効果的に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は肺葉分割の全体的なフローチャートである。
【
図2】
図2は深層学習に基づいた非剛体位置合わせモデルの構造図である。
【
図3】
図3は深層学習に基づいた形状パラメータがフィッティングされたニューラルネットワークの構造図である。
【
図4】
図4は形状パラメータがフィッティングされたニューラルネットワークにおけるコーディングネットワークの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例及び図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0017】
実施例1
図1はデジタルヒューマン技術に基づく肺葉分割方法の模式図であり、該方法はステップ1~ステップ6を含む。
【0018】
ステップ1:肺部CT画像に対して位置合わせ及びデータ統計を行うことにより肺葉マスク情報を含む肺部デジタルヒューマンモデルを生成し、具体的に以下のサブステップを含む。
【0019】
サブステップ(1.1)では、収集された各枚の肺部CT画像に対して閾値区分を利用して肺葉分割の前処理を行い、次に対話型分割ソフトウェアによって正確な肺葉分割を行う。
【0020】
サブステップ(1.2)では、各枚の分割された肺部CT画像とテンプレートに対して曲面位置合わせを行い、位置合わせされた境界点群データをサンプルセットとして得る。該過程では、常にTPS-RPM及びnon-rigid ICP等の非剛体点群位置合わせアルゴリズムが用いられる。
【0021】
サブステップ(1.3)では、デジタルヒューマン統計グラフを構築してサンプルセットを設定し、
【数1】
(1)
i番目のサンプルX
i={(x
1,y
1),(x
2,y
2),(x
k,y
k),…,(x
1,y
1)}(2次元の状況を例とする)はk個のトップポイントを含み、次にデータを統計して正規化処理し、
【数2】
(2)
【数3】
(3)
【数4】
(4)
次に主成分分析のプロセスに従って平均ベクトルと共分散行列を計算し、
【数5】
(5)
【数6】
(6)
次に共分散行列Sの固有ベクトルφ
j及びその対応する固有値λ
jを計算し、最大の最初のc個の固有値及びその対応する固有ベクトルを選択し、主成分分析の定義に従って、各サンプルの形状推定は以下のように表されてもよく、
【数7】
(7)
b=[b
1,b
2,…b
c,]は形状パラメータであり、最小二乗法又は行列直交化によって計算されることができる。
【0022】
サブステップ(1.4)では、閉じた境界点群データを画像充填又はシード成長でマスク画像に変換する。
【0023】
ステップ2:デジタルヒューマンモデルにおけるデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部CT画像を用いて非剛体位置合わせを行い、変形場と変形後のデジタルヒューマン画像を得る。
【0024】
本実施例では、訓練済の非剛体位置合わせモデルを利用して非剛体位置合わせを実現する。
図2に示すように、非剛体位置合わせモデルの構造はUNetを位置合わせネットワークとして用い、その後、変換ネットワーク(STN:Spatial Transform Network、空間変換ネットワーク)に接続し、非剛体位置合わせモデルの入力は参照画像と位置合わせ対象の浮動画像であり、位置合わせネットワークによって位置合わせされた後に変形場を出力し、変形場にデジタル人画像を加えて、変換ネットワークによって変形して変形後の画像を得る。モデルを訓練する時に、訓練セットにおける画像に対して肺葉マスクをラベルとして分割し、訓練しながら浮動画像である肺葉マスクを変換ネットワークに入力し、変形後のポイントセットを得る。訓練の目的関数は画像類似度計量(例えばNCC計量)、マスク画像類似度計量(Dice計量)及び変形場正則化項(一次導関数のL2ノルム)を含み、具体的に以下のように表され、
【数9】
式の中で、CT1は参照画像を表し、CT2は浮動画像を表し、M1はCT1の肺葉マスクであり、STN(CT2)はCT2の変換後の画像であり、STN(M2)は変換後のマスク画像のポイントセットであり、R(DVF)は画像変形場の正則化項である。
【0025】
本実施例では、ステップ1のデジタルヒューマン画像及びその肺葉マスクと、臨床的に収集された肺部CT画像及びその肺葉マスクとを用いて、目的関数が収束するまでモデルを訓練して、訓練後の非剛体位置合わせモデルを得ることができる。
【0026】
最後にデジタルヒューマン画像(AAM画像)を浮動画像とし、分割対象の肺部CT画像を参照画像として非剛体位置合わせモデルに入力して、変形場と変形後のデジタルヒューマン画像を得ることができる。
【0027】
ステップ3:ステップ2で変換後のデジタルヒューマン画像に対してデジタルヒューマンの形状パラメータをフィッティングし、デジタルヒューマンの形状パラメータに応じて新たなデジタルヒューマン画像を生成し、
本実施例では、同様にニューラルネットワークの方法で変換後のデジタルヒューマン画像に対して形状パラメータをフィッティングし、形状パラメータがフィッティングされたニューラルネットワークは
図3に示されており、コーディングネットワーク及び画像生成ネットワークを含み、コーディングネットワークの構造は
図3及び表1に示されており、画像生成ネットワークは式(7)で実現される。
【0028】
【0029】
コーディングネットワークはフィッティングされた形状パラメータを出力し、フィッティングされた形状パラメータは画像生成ネットワークを介してフィッティングされた画像を出力する。入力画像と出力されたフィッティングされた画像をそれぞれA、Bに設定し、ラベル形状パラメータとフィッティングされた形状パラメータをそれぞれ
に設定すると、目的関数は以下のように表されてもよく、
【数8】
(8)
NCC(A,B)はA、Bの間の正規化された関連係数であり、μ
1、μ
2は重みであり、||*||
FはF-ノルムである。
【0030】
ステップ1で構築されたデジタルヒューマンモデルにおけるデジタルヒューマン画像を入力として、形状パラメータをラベルとして利用してネットワークを訓練し、目的関数が減少しなくなると、訓練が完了する。
【0031】
最後に、ステップ2で変換後のデジタルヒューマン画像をコーディングネットワークに入力してフィッティングされた形状パラメータを得ることができる。
【0032】
ステップ4:反復回数の閾値に達する又はデジタルヒューマンの形状パラメータが収束するまで、ステップ2及びステップ3を繰り返し実行し、新たなデジタルヒューマン画像に対して位置合わせ及び形状パラメータのフィッティングを複数回行い、デジタルヒューマンモデルが生成した最終的なデジタルヒューマン画像を得て、該デジタルヒューマン画像は分割対象の肺部CT画像により近い。
【0033】
ステップ5:ステップ4で得られた新たなデジタルヒューマン画像と分割対象の肺部CT画像をステップ2で構築された非剛体位置合わせモデルの入力として再使用し、位置合わせされた変形場を得る。
【0034】
ステップ6:ステップ5で得られた変形場をデジタルヒューマン画像の肺葉の境界点群又はマスク画像に追加し、得られた結果は本方法で得られた肺葉の分割結果である。
【0035】
本実施例は、ニューラルネットワークアルゴリズムを用いて非剛体画像位置合わせ及びデジタルヒューマンの形状パラメータのフィッティングを実現し、計算速度がより速く、肺葉の分割結果を迅速に得ることができる。
【0036】
実施例2
好ましい解決手段として、本発明はさらにElastixツールキットのelastix関数を用いてデジタルヒューマン画像と、臨床患者の肺部CT画像の変形場と変形後のデジタルヒューマン画像とを取得し、具体的には、
デジタルヒューマン技術に基づく肺葉分割方法であって、該方法は、
Elastixツールキットのelastix関数を用いて、実施例1で構築されたデジタルヒューマンモデルが生成したデジタルヒューマン画像と臨床患者の肺部CT画像を入力として、変形場と変形後のデジタルヒューマン画像を得るステップ1と、
ステップ1で変換後のデジタルヒューマン画像を用いて、訓練済のコーディングネットワーク(
図4)を利用してデジタルヒューマンの形状パラメータをフィッティングし、デジタルヒューマンの形状パラメータに応じて新たなデジタルヒューマン画像を生成するステップ2と、
反復回数の閾値に達する又はデジタルヒューマンの形状パラメータが収束するまで、ステップ1及びステップ2を複数回繰り返し実行し、最終的にフィッティングして生成された新たなデジタルヒューマン画像を得るステップ3と、
Elastixツールキットのelastix関数を用いて、ステップ3で生成された新たなデジタルヒューマン画像と臨床患者の肺部CT画像を入力として、変形場を得るステップ4と、
ステップ4で得られた変形場をデジタルヒューマンの肺葉の境界点群又はマスク画像に追加し、得られた結果は本方法で得られた肺葉の分割結果であるステップ5と、を含む。
【0037】
実施例3
別の好ましい解決手段として、本発明はさらに訓練済の非剛体位置合わせモデルをコーディングネットワークに接続し、フィッティングされた形状パラメータを1ステップで出力し、具体的には、
デジタルヒューマン技術に基づく肺葉分割方法であって、該方法は、
実施例1で構築されたデジタルヒューマンモデルが生成したデジタルヒューマン画像と臨床患者の肺部CT画像を、非剛体位置合わせモデルとコーディングネットワークが接続されて形成された連携ネットワークの入力として、変換後のデジタルヒューマンの形状パラメータを取得し、デジタルヒューマンの形状パラメータに応じて新たなデジタルヒューマン画像を生成するステップ1と、
反復回数の閾値に達する又はデジタルヒューマンの形状パラメータが収束するまで、ステップ1を複数回繰り返し実行し、最終的にフィッティングして生成された新たなデジタルヒューマン画像を得るステップ2と、
ステップ2で生成された新たなデジタルヒューマン画像と臨床患者の肺部CT画像を非剛体位置合わせモデルの入力として、変形場を得るステップ3と、
ステップ3で得られた変形場をデジタルヒューマンの肺葉の境界点群又はマスク画像に追加し、肺葉の分割結果を得るステップ4と、を含む。
【0038】
本発明は、主にCT画像に用いられるが、MRI画像、超音波画像及びPET画像にも拡張され得る。
【0039】
明らかなように、上記実施例は明確に説明するために挙げられる例に過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他の様々な形態の変化や変更を行うことができる。ここでは、すべての実施形態を網羅する必要がなく、網羅することもできない。これから派生する明らかな変化や変更は依然として本発明の保護範囲にある。