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特許7378696アンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラム
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  • 特許-アンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラム 図1
  • 特許-アンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラム 図2
  • 特許-アンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラム 図3
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  • 特許-アンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】アンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0203 20230101AFI20231107BHJP
【FI】
G06Q30/0203
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023089387
(22)【出願日】2023-05-31
【審査請求日】2023-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523011211
【氏名又は名称】株式会社タウンペーパー
(74)【代理人】
【識別番号】100193839
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 周平
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 潤
(72)【発明者】
【氏名】木下 明
(72)【発明者】
【氏名】中宮 健吾
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-015022(JP,A)
【文献】特開2021-015549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別コードを読み取ったアンケート対象者の端末に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信ステップと、
アンケート対象者が提出する提出物に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力ステップと、
通信処理によって取得された前記第1アンケート情報と入力処理によって取得された前記第2アンケート情報を統合するために、前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のうち、前記アンケート内容に含まれるアンケート回答者を特定するための特定情報としての住所が重複するデータを1つに統合する統合処理を実行する統合ステップと、
前記統合処理の後に、前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のそれぞれの前記アンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析ステップと、
を含むアンケート解析方法。
【請求項2】
前記解析ステップでは、
アンケート内容を入力情報とし、当該アンケート内容に対応する分類を出力情報とするデータセットに基づいて学習処理を行った学習モデルに基づいて前記解析処理が実行される、
請求項1に記載のアンケート解析方法。
【請求項3】
ウェブページを通じて入力された前記アンケート内容が自由記入形式であり、
前記提出物における前記アンケート内容を記載又は印刷する欄が自由記入形式である、
請求項1又は2に記載のアンケート解析方法。
【請求項4】
前記識別コードは、前記アンケート対象者に対して配布される配布物に印刷されており、
前記提出物は、前記配布物に含まれる、
請求項1又は2に記載のアンケート解析方法。
【請求項5】
前記配布物の配布先を示す配布情報を取得し、当該配布情報とアンケートの回答数に基づいて前記第1アンケート情報と前記第2アンケート情報のデータ群が妥当なデータであるか否かを判定する考察処理ステップを更に含む、
請求項4に記載のアンケート解析方法。
【請求項6】
識別コードを読み取ったアンケート対象者の端末に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信処理部と、
アンケート対象者が提出する提出物に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力処理部と、
通信処理によって取得された前記第1アンケート情報と入力処理によって取得された前記第2アンケート情報を統合するために、前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のうち、前記アンケート内容に含まれるアンケート回答者を特定するための特定情報としての住所が重複するデータを1つに統合する統合処理を実行するデータ統合部と、
前記統合処理の後に、前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のそれぞれの前記アンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析部と、
を備えるアンケート解析装置。
【請求項7】
識別コードを読み取ったアンケート対象者の端末に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信機能と、
アンケート対象者が提出する提出物に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力機能と、
通信処理によって取得された前記第1アンケート情報と入力処理によって取得された前記第2アンケート情報を統合するために、前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のうち、前記アンケート内容に含まれるアンケート回答者を特定するための特定情報としての住所が重複するデータを1つに統合する統合処理を実行するデータ統合機能と、
前記統合処理の後に、前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のそれぞれの前記アンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析機能と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、QRコード(登録商標)等の識別コードを利用してアンケート対象者からアンケートの回答を得る技術が知られている。この種の技術が記載されるものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、受取人側端末が、ポスティング配布物の二次元バーコードによりウェブサーバにアクセスし、表示画面にアンケート手段へのリンク手段が表示されること等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-246800号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のように、配布物に識別コードを記載しておくことにより、端末を所持しているアンケート対象者の回答を効率的に得ることができる。しかしながら、端末を所持していないアンケート対象者や端末の操作に不慣れなアンケート対象者から回答を得ることができない。アンケート対象者からできるだけ多くの回答を得たい場合や端末を所持していないアンケート対象者から回答を得る必要がある場合において、従来技術には改善の余地があった。
【0005】
本開示は、端末の有無にかかわらず幅広いアンケート対象者からの回答に基づくアンケート解析を実現できるアンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、識別コードを読み取ったアンケート対象者の端末に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信ステップと、アンケート対象者が提出する提出物に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力ステップと、前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のそれぞれの前記アンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析ステップと、を含むアンケート解析方法である。
【0007】
前記解析ステップでは、アンケート内容を入力情報とし、当該アンケート内容に対応する分類を出力情報とするデータセットに基づいて学習処理を行った学習モデルに基づいて前記解析処理が実行されてもよい。
【0008】
ウェブページを通じて入力された前記アンケート内容が自由記入形式であり、前記提出物における前記アンケート内容を記載又は印刷する欄が自由記入形式であってもよい。
【0009】
前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のうち、前記アンケート内容に含まれるアンケート回答者を特定するための特定情報が重複するデータを1つに統合する統合処理を実行する統合ステップを更に含み、前記解析ステップは、前記統合ステップの後に実行されてもよい。
【0010】
前記識別コードは、前記アンケート対象者に対して配布される配布物に印刷されており、前記提出物は、前記配布物に含まれてもよい。
【0011】
本発明の一態様は、識別コードを読み取ったアンケート対象者の端末に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信処理部と、アンケート対象者が提出する提出物に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力処理部と、前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のそれぞれの前記アンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析部と、を備えるアンケート解析装置である。
【0012】
本発明の一態様は、識別コードを読み取ったアンケート対象者の端末に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信機能と、アンケート対象者が提出する提出物に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力機能と、前記第1アンケート情報及び前記第2アンケート情報のそれぞれの前記アンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析機能と、をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本開示のアンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラムによれば、端末の有無にかかわらず幅広いアンケート対象者からの回答に基づくアンケート解析を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る集計装置が適用されるアンケートシステムの模式図である。
図2】アンケート対象者に配布される配布物の一例を示す模式図である。
図3】配布物の識別コードを通じてモバイル機器に表示されるアンケート画面の一例を示す模式図である。
図4】アンケート解析装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図5】アンケート解析装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図6】アンケート解析装置によるアンケート処理の一例を示すフローチャートである。
図7】変形例におけるアンケート解析装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
<全体構成>
まず、図1を参照して全体的な構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアンケート解析装置10が適用されるアンケートシステム1の模式図である。なお、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0017】
本実施形態のアンケートシステム1は、アンケート対象者に対してアンケート用の配布物100を配布する。この例では、対象エリアに存在する住居2a,2b,3に配布物100が配布される。配布物100は、例えば、アンケートの管理を行うA社によって直接配布、又は配送業者や郵送を用いて間接的に配布される。このように、配布方法は、新聞折込や郵送はもちろん、ポスティング等、種々の方法を用いることができる。図では、3戸のみが図示されているが、配布先の住居の数がこれに限られる訳ではない。また、配布物100の配布先は、住居に限られる訳ではなく、街中等でアンケート対象者に対して直接配布されてもよい。
【0018】
配布物100には、アンケート返送用のハガキ110と、識別コード115と、が含まれている。図2は、アンケート対象者に配布される配布物100の一例を示す模式図である。
【0019】
図2に示される配布物100は、アンケートの依頼主を示す依頼主表示部101、アンケートの依頼文を示す依頼表示部102、アンケート対象者にプレゼントがあたる可能性を示すプレゼント表示部103、アンケートを主催する主催者を示す主催者表示部104、アンケート期限を示す期限表示部105及びハガキ110を有する。
【0020】
ハガキ110は、アンケート対象がアンケートを手書きで記載するための提出物である。ハガキ110は、例えば、配布物100の一部であり、ハサミ等によって切り取ることで使用できる。この例では、ハガキ110は、その配送先が予めアンケート主催のA社に設定されるとともに配送費用が予め又は事後的に支払われている。従って、アンケート対象者が費用を支払うことなくアンケートの回答をA社に配送することができる。
【0021】
ハガキ110は、アンケート対象者がB社へのアンケート内容を記載するアンケート記載欄111、プレゼントの届け先を記載する届け先記載欄112及び識別コード115を有する。この例では、識別コード115は、ハガキ110のアンケート記載欄111の内側に表示されている。
【0022】
識別コード115は、例えば、QRコード(登録商標)等のカメラで読み取るためのコードである。識別コード115は、カメラ機能を有する端末5によって読み取られると、アンケトート入力用のウェブページに遷移させるための情報を端末5に提示する。識別コード115は、QRコード(登録商標)のような二次元コードに限定される訳ではなく、一次元バーコードを利用するものであってもよい。
【0023】
アンケート対象者が、スマートフォン等の端末5のカメラ機能によって識別コード115を読み取ると、端末5の画面上でアンケートを入力するためのウェブページに遷移する。図3は、配布物100の識別コード115を通じて端末5に表示されるアンケート画面の一例を示す模式図である。
【0024】
図3に示されるウェブページは、アンケートを依頼するテキストを表示する依頼表示部121、応募期間を示す応募期間表示部122、アンケート送付者へのプレゼントを説明するプレゼント表示部123、アンケート対象者がアンケート内容を記載するためのアンケート入力部131、名前を記載する名前入力部132及びプレゼント送付先を入力する住所入力部133を有する。
【0025】
本実施形態では、アンケート入力部131は自由記載形式となっている。アンケート入力部131、名前入力部132及び住所入力部133のそれぞれに入力された情報が、アンケート情報としてアンケート解析装置10に取得される。なお、アンケート情報は、クラウド上に保存される編集可能なデータに対して端末5を通じた入力が保存される形式でもよいし、ウェブページによって提供されるアンケートを入力するためのフォームに従ってアンケート対象者が入力を行う形式であってもよい。
【0026】
次に、アンケート解析装置10について説明する。本実施形態のアンケート解析装置10は、郵送等により物理的に送付されるアンケートと、スマートフォン等の端末5を通じてデータ化されるアンケートと、の2種類の方法により集められたデータを解析及び管理するコンピュータである。図1の例では、住居2aのアンケート対象者は端末5aを通じてアンケートの回答を行い、住居2bのアンケート対象者は、端末5bを通じてアンケートの回答を行っている。また、住居3のアンケート対象者は、端末5は利用せず、ハガキ110の郵送によるアンケートの回答を行っている。
【0027】
<ハードウェア構成>
図4を参照し、アンケート解析装置10のハードウェア構成について説明する。図4は、本実施形態のアンケート解析装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、アンケート解析装置10は、プロセッサ11、ROM(read-only memory)12、RAM(random-access memory)13、補助記憶装置14、通信I/F(interface)15、入力装置16及び表示装置17を備える。アンケート解析装置10を構成するハードウェアの各部はバス等によって接続される。
【0028】
プロセッサ11は、アンケート解析装置10の動作に必要な演算及び制御等の処理を行うコンピュータの中枢部分であり、各種演算及び処理等を行う。プロセッサ11は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)等である。あるいは、プロセッサ11は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサ11は、これらにハードウェアアクセラレーター等を組み合わせたものであっても良い。
【0029】
プロセッサ11は、ROM12又は補助記憶装置14等に記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア等のプログラムに基づいて、各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ11は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ11の回路内に組み込まれていてもよい。
【0030】
ROM12及びRAM13は、プロセッサ11を中枢としたコンピュータの主記憶装置である。ROM12は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM12は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェア等を記憶する。また、ROM12は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ等も記憶する。RAM13は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリア等として利用される。RAM13は、典型的には揮発性メモリである。
【0031】
補助記憶装置14は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はフラッシュメモリ等である。補助記憶装置14は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア等を記憶する。また、補助記憶装置14は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値等を記憶する。
【0032】
通信I/F15は、端末5等の外部の装置と通信するためのインターフェースである。入力装置16はユーザの操作を受け付ける手段であり、キーボードやタッチパネル等によって構成される。表示装置17はユーザに各種の情報を出力する手段であり、ディスプレイによって構成される。入力装置16及び表示装置17は、タッチパネルディスプレイによって構成されてもよい。
【0033】
<機能構成>
アンケート解析装置10は、上述したハードウェア構成により、各種機能部を実現する。図5を参照し、アンケート解析装置10上で実現される機能部のうち、アンケートに関する機能について説明する。図5は、アンケート解析装置10の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態のアンケート解析装置10は、プロセッサ11上に実現される機能部として、通信処理部31と、入力処理部32と、データ統合部33と、解析部34と、仕訳処理部35と、出力処理部36と、を備える。
【0035】
通信処理部31は、外部のコンピュータと通信してデータを送受信する処理を実行する。本実施形態では、通信処理部31は、端末5を通じて入力されたアンケートに関するアンケート情報を通信により取得する。以下、通信処理部31が端末5を通じて取得するアンケート情報を第1アンケート情報として説明する。
【0036】
図4の例では、通信処理部31は、アンケート入力部131、名前入力部132及び住所入力部133のそれぞれに入力された情報を含む第1アンケート情報を取得する。即ち、この例における第1アンケート情報には、アンケート内容、アンケート内容を入力したアンケート回答者の名前及び住所が含まれる。
【0037】
入力処理部32は、アンケート解析装置10のオペレータ等による入力装置16の操作やデータを受け付ける処理を実行する。本実施形態では、入力処理部32は、配布物100を受け取ったアンケート対象者が手書又は印刷によって記載したアンケートの内容をアンケート情報として受け付ける処理を実行する。以下、入力処理部32が配布物100に記載された情報に基づいて取得するアンケート情報を第2アンケート情報として説明する。
【0038】
第2アンケート情報は、オペレータが目視で確認して入力装置16が別のコンピュータを通じてテキスト情報を入力する形式でもよいし、OCR(Optical Character Recognition)等の技術を用いてスキャンした画像データに含まれる文字を読み取り、デジタルデータのテキストに自動変換する形式でもよい。このように、入力処理部32が第2アンケート情報を受け付ける形式が特に限定される訳ではない。
【0039】
図3の例では、入力処理部32は、アンケート記載欄111及び届け先記載欄112のそれぞれに記載された内容をデータに変換したものを第2アンケート情報として取得する。即ち、この例における第2アンケート情報には、アンケート記載欄111に記載されたアンケート内容、届け先記載欄112に記載されたアンケート回答者の住所及び名前が含まれる。
【0040】
また、入力処理部32は、アンケートの依頼者(例えば、B社)に対してアンケート回答者の筆跡や絵等を再現したデータをアンケートのサンプルとして提示するための画像処理を実行する。この画像処理では、ハガキ110を読み取った画像データに対して氏名や住所等の個人情報をマスクするマスク処理が実行される。これによって個人情報を保護しつつ、アンケート回答者が実際に書いた字や絵により、B社への希望をより直感的に伝達することができる。
【0041】
データ統合部33は、通信処理部31の通信処理によって取得された第1アンケート情報と入力処理部32の入力処理によって取得された第2アンケート情報を統合するための処理を実行する。本実施形態では、データ統合部33は、第1アンケート情報及び第2アンケート情報のそれぞれに関連付けられるアンケート対象者を特定するための情報に基づいて重複がないか否かを判定する。データ統合部33は、重複がある場合は、何れかの情報を削除したり、アンケート内容を組み合わせたりする等の統合処理を行う。
【0042】
アンケート対象者を特定するための情報は、例えば、住所、氏名又はその両方である。アンケート対象者を特定するための情報として住所のみを用いる場合は、アンケート対象を住居単位にすることができる。アンケート対象者を特定するための情報として氏名のみを用いる場合は、アンケート対象を住所に関係なく個人単位にすることができる。更に、アンケート対象者を特定するための情報として住所と氏名の両方を用いる場合は、氏名だけを用いる場合に比べて同性同名を区別することができる。
【0043】
なお、データ統合部33に入力される第1アンケート情報及び第2アンケート情報の少なくとも何れか一方に対し、住所の表記を統一する名寄せ処理が実行されてもよい。例えば、住所は、同じ場所であっても、入力者や記載者によってひらがな、カタカナ又は漢字が用いられて表記の揺れが生じることになる。名寄せ処理を行うことにより、文字列として完全に一致しないデータの正規化が行われる。
【0044】
解析部34は、アンケート情報に含まれるアンケート内容の解析を行って解析に対応する分類を設定する。解析部34は、通信処理部31の通信処理によって取得されたアンケート情報と入力処理部32の入力処理によって取得されたアンケート情報の両方に対して解析処理を行う。なお、解析部34は、第1アンケート情報と第2アンケート情報を区別する必要がある訳ではない。以下、第1アンケート情報と第2アンケート情報に対して共通する説明の場合は単にアンケート情報として説明する場合がある。
【0045】
アンケートの内容は、自由記入方式の文章である。アンケートの分類は、アンケートの内容である文章が示す意味を簡潔に表現した言葉である。アンケ―トの分類は、例えば、価格、サービス、設備、エリア、等である。価格は、アンケートの内容に商品の値段の高低に関する情報が含まれることを意味する分類である。サービスは、従業員やスタッフの接客に関する情報が含まれることを意味する分類である。設備は、アンケートの内容に店舗のトイレ等の設備に関する情報が含まれることを意味する分類である。エリアは、アンケートの内容に立地や利便性等に関する情報が含まれることを示す分類である。なお、ここで示した分類はあくまで一例であり、アンケートの目的や用途に応じて適宜設定することができる。
【0046】
解析部34による解析処理は、いわゆるAI(Artificial Intelligence)技術によって行われる。解析処理は、例えば、教師あり学習、教師なし学習、強化学習等の機械学習によって構築された学習モデルによって実行される。
【0047】
教師あり学習を用いる場合について説明する。アンケートの内容を入力情報とし、アンケートの内容が示す分類を出力情報とする大量のデータセットを用意する。データセットとして用いられるアンケートの内容も自由記入方式の文章であり、分類はアンケートの内容である文章が示す意味を簡潔に表現した単語や文章である。
【0048】
なお、解析部34による解析処理は、機械学習等のAI技術を用いる構成に限定される訳ではない。解析部34による解析処理は、例えば、文章の単語(キーワード)や組合せ等に基づいてプログラム言語等を用いてアルゴリズムを構築し、当該アルゴリズムを利用してアンケート内容に対応する分類(タグ)を設定してもよい。
【0049】
更に、解析部34は、統合した第1アンケート情報と第2アンケート情報のデータ群に対して母集団が正しいか否かを考察する考察処理を実行することもできる。考察処理では、解析部34は、配布物100の配布先及び配布時期を示す配布情報を取得し、当該配布情報に基づいて第1アンケート情報と第2アンケート情報のデータ群が妥当なデータであるか否かを判定する。例えば、配布先情報は、A市の配布先が1000箇所、B市の配布先が1000箇所であることを示している場合において、A市の回答数300であるのに対してB市の回答先が0であった場合は、解析部34は、B市に適切な配布が行われたかった等の問題があり、データ群に問題があると判定する。あるいは、配布情報は、配布時期が2月であることを示している場合においてアンケート回答日時が1月の場合に、解析部34は、データ群に問題が生じていると判定する。解析部34は、配布情報とデータ群の間に配布場所や時期的に齟齬が生じていない場合は処理を継続し、齟齬が生じる場合はデータ群に問題が生じていることを示すアラームを出力する。
【0050】
仕訳処理部35は、解析部34によって解析された分類(タグ)に基づいてアンケート情報を整理する処理を実行する。仕訳処理部35によって複数のアンケート情報が分類ごとにグループ分けされる。
【0051】
出力処理部36は、仕訳処理部35によってグループ分けされたアンケート情報を出力する処理を実行する。出力処理部36は、グループ分けされたアンケート情報をまとめたデータを単純に生成したり、外部のコンピュータに送信したり、紙等の記録媒体に印刷してもよい。また、出力処理部36は、予め設定される形式や学習モデルに基づいてグループ分けされたアンケート情報をレポート形式で出力してもよい。
【0052】
次に、図6を参照し、アンケート処理の一連の流れについて説明する。図6は、アンケート解析装置10によるアンケート処理の一例を示すフローチャートである。
【0053】
ステップS101において、通信処理部31は、配布物100の識別コード115を読み取った端末5を通じて入力された情報に基づく第1アンケート情報を受信する処理を実行する。通信処理部31は、応募期間経過後に複数の第1アンケート情報を同じタイミングで取得してもよいし、第1アンケート情報が入力されたタイミングで逐次取得してもよい。このように、第1アンケート情報の取得タイミングが特に限定される訳ではない。
【0054】
ステップS102において、入力処理部32は、配布物100のハガキ110のアンケート記載欄111及び届け先記載欄112の記載をデータに変換した第2アンケート情報を取得する。入力処理部32は、応募期間経過後に複数の第2アンケート情報を同じタイミングで取得してもよいし、配布物100のアンケート内容がデータ形式に変換されるタイミングで逐次取得してもよい。このように、第2アンケート情報の取得タイミングが特に限定される訳ではない。
【0055】
ステップS103において、データ統合部33は、端末5を介して取得された第1アンケート情報と、ハガキ110を介して取得された第2アンケート情報と、を集約する。データ統合部33は、集約したアンケート情報のうち、アンケート対象者を特定するための情報(住所)が重複するものを1つにまとめたり、何れか一方を削除したりする統合処理を実行する。
【0056】
ステップS104において、解析部34は、集約されたアンケート情報に対して解析処理を実行し、アンケート情報にタグ情報を付加する。
【0057】
ステップS105において、仕訳処理部35は、タグ情報に基づいて集約されたアンケート情報をグループ分けする。
【0058】
ステップS106において、出力処理部36は、グループ分けされたアンケート情報をレポート等として出力する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態のアンケート解析方法は、識別コード115を読み取ったアンケート対象者の端末5に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信ステップと、アンケート対象者が提出するハガキ110(提出物)に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力ステップと、第1アンケート情報及び第2アンケート情報のそれぞれのアンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析ステップと、を含む。
【0060】
また、本実施形態のアンケート解析装置10は、識別コード115を読み取ったアンケート対象者の端末5に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信処理部31と、アンケート対象者が提出するハガキ110(提出物)に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力処理部32と、第1アンケート情報及び第2アンケート情報のそれぞれのアンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析部34と、を備える。
【0061】
また、本実施形態のプログラムは、識別コード115を読み取ったアンケート対象者の端末5に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信機能と、アンケート対象者が提出するハガキ110(提出物)に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力機能と、第1アンケート情報及び第2アンケート情報のそれぞれのアンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析機能と、をコンピュータに実行させる。
【0062】
以上説明した構成のアンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラムにより、端末の有無にかかわらず幅広いアンケート対象者からの回答に基づくアンケート解析を実現できる。
【0063】
また、本実施形態の解析ステップでは、アンケート内容を入力情報とし、当該アンケート内容に対応する分類を出力情報とするデータセットに基づいて学習処理を行った学習モデルに基づいて解析処理が実行される。これにより、教師あり学習等の機械学習を用いて正確かつ迅速にアンケートの分類を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、ウェブページを通じて入力されたアンケート内容が自由記入形式であり、ハガキ110におけるアンケート内容を記載又は印刷するアンケート記載欄111が自由記入形式である。これにより、自由記入形式というアンケート内容を確認する必要のある作業をコンピュータに実行させることができるので、アンケート内容の分析作業を効率化できる。本実施形態のように機械学習を用いることにより、自然文等の文章に対しても、同義語や類義語等のシソーラスを考慮した複雑なロジックを構築することなく、学習モデルを用いて正確に分類を付与することができる。
【0065】
また、本実施形態では、第1アンケート情報及び第2アンケート情報のうち、アンケート内容に含まれるアンケート回答者を特定するための特定情報が重複するデータを1つに統合する統合処理を実行する統合ステップを更に含み、解析ステップは、統合ステップの後に実行される。これにより、同じアンケート対象者の回答が重複することを回避でき、より正確なアンケート分析を行うことができる。また、アンケート回答者の中から抽選で商品やサービスをプレゼントするような場合であっても、重複を排除して公正な抽選を実現できる。
【0066】
また、本実施形態では、識別コード115は、アンケート対象者に対して配布される配布物100に印刷されており、提出物としてのハガキ110は、配布物100に含まれる。これにより、配布物100を配布することにより、アンケート対象者に対して端末5を利用した回答と、ハガキ等の提出を利用した回答と、の2種類の選択肢を提供することができる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態の内容に限定される訳ではない。例えば、図6のフローチャートで説明した処理の流れはあくまで一例である。例えば、ステップS101やステップS102の処理は並行で実行してもよいし、順番を逆にしてもよい。また、ステップS103の統合処理は、ステップS101やステップS102の処理と並行して行われてもよい。このように、処理のタイミングは、適宜変更することができる。
【0068】
図7を参照して上記実施形態の変形例について説明する。図7は、変形例におけるアンケート解析装置10aの機能的構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、変形例のアンケート解析装置10aは、データ統合部33を備えていない点が上記実施形態のアンケート解析装置10と異なっている。従って、変形例では、図6のステップS103の処理で説明したようなデータ統合部33による統合処理が実行されない。なお、アンケート解析装置10aのデータ統合部33以外の構成は、上記実施形態のアンケート解析装置10の構成と同様であるものとする。変形例のアンケート解析装置10aでは、入力処理の前段階でアンケート対象者を特定するための特定情報(例えば、住所)に基づいて重複するアンケート対象者が除外されることになる。このように、上記実施形態のアンケート解析装置10aの構成の一部を省略することもできる。
【0069】
以上、本発明の一実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での更なる変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、上記実施形態では、アンケートは自由記入方式であるが、アンケートの方式がこれに限られる訳ではない。年代、世帯人数、店舗利用頻度等の項目を選択する項目選択式のアンケートとしてもよい。項目選択式のアンケートは、webページ及び配布物(提出物)の何れにも適用できる。
【0070】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能ブロックは例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能がコンピュータやシステムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、アンケート解析装置10の機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをアンケート解析装置10に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0071】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。また、大量のデータを取り扱う場合は量子コンピュータ等の技術を用いてもよい。また、プログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるメディアで構成されてもよいし、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体であってもよい。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0072】
なお、本明細書において、プログラムに関する記述は、時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0073】
1 アンケートシステム
10,10a アンケート解析装置
31 通信処理部
32 入力処理部
33 データ統合部
34 解析部
35 仕訳処理部
36 出力処理部
100 配布物
115 識別コード
【要約】
【課題】端末の有無にかかわらず幅広いアンケート対象者からの回答に基づくアンケート解析を実現できるアンケート解析方法、アンケート解析装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】アンケート解析方法は、識別コード115を読み取ったアンケート対象者の端末5に表示されたウェブページを通じて入力されたアンケート内容を示す第1アンケート情報を通信により取得する通信ステップと、アンケート対象者が提出するハガキ110(提出物)に手書又は印刷により記載されたアンケート内容をデータ形式に変換した第2アンケート情報の入力を受け付ける入力ステップと、第1アンケート情報及び第2アンケート情報のそれぞれのアンケート内容を解析し、内容に応じた分類を付与する解析処理を実行する解析ステップと、を含む。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7