IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社industriaの特許一覧

特許7378719浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム
<>
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図1
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図2
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図3
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図4
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図5
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図6
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図7
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図8
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図9
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図10
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図11
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図12
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図13
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図14
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図15
  • 特許-浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/11 20060101AFI20231107BHJP
   B01D 36/00 20060101ALI20231107BHJP
   B01D 41/04 20060101ALI20231107BHJP
   B04C 5/04 20060101ALI20231107BHJP
   B04C 5/12 20060101ALI20231107BHJP
   B04C 5/185 20060101ALI20231107BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20231107BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B01D29/10 510C
B01D29/10 530A
B01D29/10 501Z
B01D36/00
B01D41/04
B04C5/04
B04C5/12 A
B04C5/185
B23Q11/10 E
B23Q11/00 U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019121468
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021007897
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501141769
【氏名又は名称】株式会社industria
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】中村 順一
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-323115(JP,A)
【文献】特開平09-087989(JP,A)
【文献】特開2000-117192(JP,A)
【文献】特開2000-317224(JP,A)
【文献】特表2017-502841(JP,A)
【文献】登録実用新案第3019592(JP,U)
【文献】特開平05-092111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/00-29/58
B04C 5/00-5/30
B23Q 11/00
D21D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入する浮遊物を含む流体から浮遊物をろ過して分離するフィルタ筒体と、
ろ過により浮遊物を分離した流体を送り出すカバー筒体と、を有し、
前記カバー筒体の内側に前記フィルタ筒体を配置して2重構造により、前記カバー筒体と前記フィルタ筒体との間に形成される外側流路を有する構成であり、
前記フィルタ筒体は、
軸芯に、流入する浮遊物を含む流体が流れる前記フィルタ筒体の内側に形成される内側流路と、
ろ過により浮遊物を分離するろ過スリットを有し、
前記カバー筒体は、
軸芯から偏位した位置に、ろ過して浮遊物を分離した流体を送り出す流体出口を有し、
流入する浮遊物を含む流体が、前記内側流路を流れ、
前記ろ過スリットにより浮遊物をろ過して分離して除去し、
浮遊物を除去した流体は、前記外側流路を介して前記流体出口から送り出す構成であり、
前記フィルタ筒体は、
入口側を入口側支持体に支持し、
出口側を出口側支持体に支持し、
前記入口側支持体に接続体を接続し、流入する浮遊物を含む流体を、前記接続体の通路から前記入口側支持体の通路を介して、前記フィルタ筒体の前記内側流路に流入させる構成であり、
前記カバー筒体の入口側と前記接続体とで、前記入口側支持体を挟むように入口側締付具により取り付け、
前記出口側支持体に蓋体を当てがい、
前記カバー筒体の出口側と前記蓋体とで、前記出口側支持体を挟むように出口側締付具により取り付け、
前記フィルタ筒体と前記カバー筒体は、前記入口側締付具及び前記出口側締付具により分離可能であることを特徴とする浮遊物除去フィルタ装置。
【請求項2】
流入する浮遊物を含む流体から浮遊物をろ過して分離するフィルタ筒体と、
ろ過により浮遊物を分離した流体を送り出すカバー筒体と、を有し、
前記カバー筒体の内側に前記フィルタ筒体を配置して2重構造により前記カバー筒体と前記フィルタ筒体との間に形成される外側流路を有する構成であり、
前記フィルタ筒体は、
軸芯に、流入する浮遊物を含む流体が流れる前記フィルタ筒体の内側に形成される内側流路と、
ろ過により浮遊物を分離するろ過スリットを有し、
前記カバー筒体は、
軸芯から偏位した位置に、ろ過して浮遊物を分離した流体を送り出す流体出口を有し、
流入する浮遊物を含む流体が、前記内側流路を流れ、
前記ろ過スリットにより浮遊物をろ過して分離して除去し、
浮遊物を除去した流体は、前記外側流路を介して前記流体出口から送り出す構成であり、
前記フィルタ筒体は、
筒状に配置した複数本の棒材の両端を支持する一対の支持体と、
複数本の棒材の外周に軸方向に沿って配置した複数の保持具と、を有し、
前記保持具は、
複数本の棒材を円周方向に巻いて保持するバンドと、
前記バンドの両側に配置されて複数本の棒材を保持するゴムリングと、を含むことを特徴とする浮遊物除去フィルタ装置。
【請求項3】
前記フィルタ筒体は、
前記保持具を前記支持体の少なくとも一方側に向けて移動させ、
前記複数本の棒材の中央側を外方へ広げて洗浄する構成であることを特徴とする請求項2に記載の浮遊物除去フィルタ装置。
【請求項4】
前記ろ過スリットは、前記フィルタ筒体の軸方向に形成され、
ろ過により分離された浮遊物を軸方向にガイドする構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の浮遊物除去フィルタ装置。
【請求項5】
前記フィルタ筒体は、
複数本の棒材を筒状に連続して配置し、
前記棒材により前記内側流路を形成するとともに、前記棒材間により前記ろ過スリットを形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の浮遊物除去フィルタ装置。
【請求項6】
軸芯に流体出口を有し、前記軸芯から偏位した位置に流体入口を有し、前記流体入口から微細物を含む流体を所定流速で供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて前記流体出口から微細物を分離した流体を排出し、前記渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させるフィルタ部と、
前記フィルタ部で沈降する微細物を沈殿させる沈殿部と、を含む遠心分離装置と、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の浮遊物除去フィルタ装置と、を備え、
前記遠心分離装置から流出する微細物を分離した流体を、前記浮遊物除去フィルタ装置に送り、
前記浮遊物除去フィルタ装置において、流体に含まれる浮遊物をろ過して分離して除去する構成であることを特徴とする固液分離装置。
【請求項7】
前記浮遊物除去フィルタ装置は、前記遠心分離装置に対して着脱可能であることを特徴とする請求項6に記載の固液分離装置。
【請求項8】
前記浮遊物除去フィルタ装置と、前記遠心分離装置とは、鉛直方向に配置されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の固液分離装置。
【請求項9】
前記浮遊物除去フィルタ装置は、直列に接続した複数個であり、
前記直列に接続した複数個において、少なくともいずれかの1個は、前記流体出口を有することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の固液分離装置。
【請求項10】
加工液を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽に貯留する加工液を加工装置に供給し、この加工に用いた加工液を前記貯留槽へ戻して循環させる循環経路を備え、
前記循環経路に、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の浮遊物除去フィルタ装置、
または、
請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の固液分離装置を備えることを特徴とする液浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体に含まれるごみ等の浮遊物を除去する浮遊物除去フィルタ装置及び流体に含まれる微粉末状クズ等の微細物や浮遊物を除去する固液分離装置並びに液浄化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、機械加工では、供給タンクから切削液を供給しながら切削加工が行なわれ、切削液には微粉末状の切削クズ等の微細物やごみ等の浮遊物が含まれる。この微粉末状の切削クズ等の微細物やごみ等の浮遊物が含まれる切削液をフィルタに供給し、このフィルタで切削クズを除去して切削液を供給タンクに戻している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-137743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなフィルタとして、例えばフィルタ膜によって切削クズを除去したり、沈殿によって切削クズを除去するものがあるが、いずれも切削液に大量に含まれる微粉末状の切削クズを、小型の装置で短時間に確実に除去することができない等の問題がある。
【0005】
また、フィルタ膜が目詰まりを起こすことがあり、詰まってしまった場合まずフィルタ装置の分解作業をし、そのフィルタ膜を洗浄しなければならない。この洗浄作業や使用不能になると交換作業が発生する。
【0006】
また、フィルタ膜は大抵繰り返し使用すると、濾過精度は悪くなり、詰まり易くなるため、フィルタ膜の殆どが使い捨てフィルタ膜であり、コストがかかる等の問題がある。
【0007】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、第1に小型の装置で短時間に大量に微細物や浮遊物を分離して確実に除去することが可能であり、第2に洗浄を簡単に行い再使用を可能とし、あるいは交換が容易である浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0009】
請求項1に記載の発明は、
流入する浮遊物を含む流体から浮遊物をろ過して分離するフィルタ筒体と、
ろ過により浮遊物を分離した流体を送り出すカバー筒体と、を有し、
前記カバー筒体の内側に前記フィルタ筒体を配置して2重構造により、前記カバー筒体と前記フィルタ筒体との間に形成される外側流路を有する構成であり、
前記フィルタ筒体は、
軸芯に、流入する浮遊物を含む流体が流れる前記フィルタ筒体の内側に形成される内側流路と、
ろ過により浮遊物を分離するろ過スリットを有し、
前記カバー筒体は、
軸芯から偏位した位置に、ろ過して浮遊物を分離した流体を送り出す流体出口を有し、
流入する浮遊物を含む流体が、前記内側流路を流れ、
前記ろ過スリットにより浮遊物をろ過して分離して除去し、
浮遊物を除去した流体は、前記外側流路を介して前記流体出口から送り出す構成であり、
前記フィルタ筒体は、
入口側を入口側支持体に支持し、
出口側を出口側支持体に支持し、
前記入口側支持体に接続体を接続し、流入する浮遊物を含む流体を、前記接続体の通路から前記入口側支持体の通路を介して、前記フィルタ筒体の前記内側流路に流入させる構成であり、
前記カバー筒体の入口側と前記接続体とで、前記入口側支持体を挟むように入口側締付具により取り付け、
前記出口側支持体に蓋体を当てがい、
前記カバー筒体の出口側と前記蓋体とで、前記出口側支持体を挟むように出口側締付具により取り付け、
前記フィルタ筒体と前記カバー筒体は、前記入口側締付具及び前記出口側締付具により分離可能であることを特徴とする浮遊物除去フィルタ装置である。
請求項2に記載の発明は、
流入する浮遊物を含む流体から浮遊物をろ過して分離するフィルタ筒体と、
ろ過により浮遊物を分離した流体を送り出すカバー筒体と、を有し、
前記カバー筒体の内側に前記フィルタ筒体を配置して2重構造により前記カバー筒体と前記フィルタ筒体との間に形成される外側流路を有する構成であり、
前記フィルタ筒体は、
軸芯に、流入する浮遊物を含む流体が流れる前記フィルタ筒体の内側に形成される内側流路と、
ろ過により浮遊物を分離するろ過スリットを有し、
前記カバー筒体は、
軸芯から偏位した位置に、ろ過して浮遊物を分離した流体を送り出す流体出口を有し、
流入する浮遊物を含む流体が、前記内側流路を流れ、
前記ろ過スリットにより浮遊物をろ過して分離して除去し、
浮遊物を除去した流体は、前記外側流路を介して前記流体出口から送り出す構成であり、
前記フィルタ筒体は、
筒状に配置した複数本の棒材の両端を支持する一対の支持体と、
複数本の棒材の外周に軸方向に沿って配置した複数の保持具と、を有し、
前記保持具は、
複数本の棒材を円周方向に巻いて保持するバンドと、
前記バンドの両側に配置されて複数本の棒材を保持するゴムリングと、を含むことを特徴とする浮遊物除去フィルタ装置である。
請求項3に記載の発明は、
前記フィルタ筒体は、
前記保持具を前記支持体の少なくとも一方側に向けて移動させ、
前記複数本の棒材の中央側を外方へ広げて洗浄する構成であることを特徴とする請求項2に記載の浮遊物除去フィルタ装置である。
【0010】
請求項に記載の発明は、
前記ろ過スリットは、前記フィルタ筒体の軸方向に形成され、
ろ過により分離された浮遊物を軸方向にガイドする構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の浮遊物除去フィルタ装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、
前記フィルタ筒体は、
複数本の棒材を筒状に連続して配置し、
前記棒材により前記内側流路を形成するとともに、前記棒材間により前記ろ過スリットを形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の浮遊物除去フィルタ装置である
【0016】
請求項に記載の発明は、
軸芯に流体出口を有し、前記軸芯から偏位した位置に流体入口を有し、前記流体入口から微細物を含む流体を所定流速で供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて前記流体出口から微細物を分離した流体を排出し、前記渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させるフィルタ部と、
前記フィルタ部で沈降する微細物を沈殿させる沈殿部と、を含む遠心分離装置と、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の浮遊物除去フィルタ装置と、を備え、
前記遠心分離装置から流出する微細物を分離した流体を、前記浮遊物除去フィルタ装置に送り、
前記浮遊物除去フィルタ装置において、流体に含まれる浮遊物をろ過して分離して除去する構成であることを特徴とする固液分離装置である。
【0017】
請求項に記載の発明は、
前記浮遊物除去フィルタ装置は、前記遠心分離装置に対して着脱可能であることを特徴とする請求項に記載の固液分離装置である。
【0018】
請求項に記載の発明は、
前記浮遊物除去フィルタ装置と、前記遠心分離装置とは、鉛直方向に配置されることを特徴とする請求項または請求項に記載の固液分離装置である。
【0019】
請求項に記載の発明は、
前記浮遊物除去フィルタ装置は、直列に接続した複数個であり、
前記直列に接続した複数個において、少なくともいずれかの1個は、前記流体出口を有することを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の固液分離装置である。
【0020】
請求項10に記載の発明は、
加工液を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽に貯留する加工液を加工装置に供給し、この加工に用いた加工液を前記貯留槽へ戻して循環させる循環経路を備え、
前記循環経路に、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の浮遊物除去フィルタ装置、
または、
請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の固液分離装置を備えることを特徴とする液浄化システム。
【発明の効果】
【0021】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0022】
請求項1乃至請求項5に記載の発明では、カバー筒体の内側にフィルタ筒体を配置して2重構造により、カバー筒体とフィルタ筒体との間に形成される外側流路を有する構成であり、軸芯に、流入する浮遊物を含む流体が流れるフィルタ筒体の内側に形成される内側流路を流れ、ろ過スリットにより浮遊物をろ過して分離して除去し、浮遊物を除去した流体を流体出口から送り出すことで、小型の装置で短時間に大量に浮遊物を分離して確実に除去することが可能であり、また洗浄を簡単に行い再使用が可能であり、あるいは交換が容易である。
【0023】
請求項乃至請求項に記載の発明では、渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させるフィルタ部と、フィルタ部で沈降する微細物を沈殿させる沈殿部と、を含む遠心分離装置を備え、カバー筒体の内側にフィルタ筒体を配置して2重構造により流路を形成する構成である浮遊物除去フィルタ装置を備え、浮遊物除去フィルタ装置のフィルタ筒体は、軸芯に形成した流路を有し、流路を遠心分離装置の流体出口と連通させ、浮遊物除去フィルタ装置のカバー筒体は、軸芯から偏位した位置に流体を送り出す流体出口を有し、浮遊物を含む流体が流路を渦巻状に旋廻して流れ、ろ過スリットにより浮遊物をろ過して分離して除去し、浮遊物を除去した流体を流体出口から送り出す構成であることで、遠心分離装置と浮遊物除去フィルタ装置を簡単、かつコンパクトな構造で一体化でき、小型の装置で短時間に大量に微細物や浮遊物を分離して確実に除去することが可能であり、また洗浄を簡単に行い再使用を可能とし、あるいは交換が容易である。
【0024】
請求項10に記載の発明では、加工液を貯留する貯留槽と、貯留槽に貯留する加工液を加工装置に供給し、この加工に用いた加工液を前記貯留槽へ戻して循環させる循環経路を備え、循環経路に、浮遊物除去フィルタ装置、または、固液分離装置を備えることで、微細物や浮遊物を分離して確実に除去することが可能である。

【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】液浄化システムの概略構成図である。
図2】浮遊物除去フィルタ装置の断面図である。
図3】浮遊物除去フィルタ装置の両端の拡大断面図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5】入口側から見た図である。
図6】出口側から見た図である。
図7】フィルタ筒体とカバー筒体を分離した状態を示す図である。
図8】ろ過状態を示す図である。
図9】清掃状態を示す図である。
図10】棒材の形態を示す図である。
図11】形態1の固液分離装置の断面図である。
図12】遠心分離装置と浮遊物除去フィルタ装置を分離した断面図である。
図13】分離したフィルタ筒体の断面図である。
図14】形態2の固液分離装置の断面図である。
図15】遠心分離装置と浮遊物除去フィルタ装置を分離した断面図である。
図16】分離したフィルタ筒体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システムの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0027】
この発明の浮遊物除去フィルタ装置及び固液分離装置並びに液浄化システムは、製薬、化学、食品、飲料の原料他の微細物及び浮遊物の除去に、また自動車、工作機、加工業の切削粉等の微細物及び浮遊物の除去に、また各工場、水処理等の循環水、排水の微細物及び浮遊物の除去に、また半導体、バイオ等の不純物等の微細物及び浮遊物の除去に、また洗浄水、溶剤等の異物である微細物及び浮遊物の除去等に使用され、液体、気体の流体に含まれる微細物及び浮遊物を分離除去するものに広く使用される。
【0028】
(液浄化システム)
この実施の形態の液浄化システムを、図1に基づいて説明する。図1(a)の例は、加工液を貯留する貯留槽Aと、貯留槽Aに貯留する加工液を加工装置Bに供給し、この加工に用いた加工液を貯留槽Aへ戻して循環させる循環経路Cを備え、循環経路Cに、固液分離装置100を備える。固液分離装置100は、遠心分離装置50と浮遊物除去フィルタ装置1を備える。遠心分離装置50は、容器2を備え、この容器2は、カップで構成され、微細物を含む流体から微細物を分離し、この微細物はバルブを開くことで容器2に溜まる。
【0029】
図1(b)の例は、加工液を貯留する貯留槽Aと、貯留槽Aに貯留する加工液を加工装置Bに供給し、この加工に用いた加工液を貯留槽Aへ戻して循環させる循環経路Cを備え、循環経路Cに、浮遊物除去フィルタ装置1と遠心分離装置50を備える。遠心分離装置50で加工液に含まれる微細物を除去し、分離した微細物を容器2に排出する。この容器2は、タンクで構成される。また、容器2は、遠心分離装置1を含む固液分離システムに配置されるタンクであってもよい。
【0030】
この液浄化システムでは、循環経路Cに、浮遊物除去フィルタ装置1、または、固液分離装置100を備えることで、微細物や浮遊物を分離して確実に除去することが可能である。
【0031】
以下、この実施の形態では、工作機、工作機械、工作機器などによる加工業の切削粉等の微細物の回収に用いる場合について説明する。この実施の形態では、流体として液体に含まれる微粉末状クズの微細物を除去する場合について用いているが、気体に含まれる微細物を除去する場合にも同様に用いることができる。また、微細物であればよく、微粉末状クズに限定されない。
【0032】
(浮遊物除去フィルタ装置)
この実施の形態の浮遊物除去フィルタ装置を、図2乃至図10に基づいて説明する。図2は浮遊物除去フィルタ装置の断面図、図3は浮遊物除去フィルタ装置の両端の拡大断面図、図4図3のIV-IV断面図、図5は入口側から見た図、図6は出口側から見た図、図7はフィルタ筒体とカバー筒体を分離した状態を示す図、図8はろ過状態を示す図、図9は清掃状態を示す図、図10は棒材の形態を示す図である。
【0033】
この実施の形態の浮遊物除去フィルタ装置1は、流入する浮遊物を含む流体から浮遊物をろ過して分離するフィルタ筒体10と、浮遊物を分離した流体を送り出すカバー筒体20と、を有し、カバー筒体20の内側にフィルタ筒体10を配置して2重構造により流路を形成する構成である。フィルタ筒体10及びカバー筒体20を構成する部材は、ステンレスなどの金属、または合成樹脂などの部材で成形され、これらの部材は流入する浮遊物を含む流体の性質に応じて好ましものが選択して使用される。
【0034】
フィルタ筒体10は、軸芯に、流入する浮遊物を含む流体が流れる流路11を有し、複数本の棒材12を筒状に連続して配置し、棒材12により流路11を形成するとともに、棒材12間の隙間によりろ過スリットSを形成した構成である。
【0035】
フィルタ筒体10は、一対の支持体13,14を有し、この一対の支持体13,14によって筒状に配置した複数本の棒材12の両端を支持する。この一対の支持体13,14は、弾性を有する樹脂やゴムなどによって成形される。一対の支持体13,14によって支持された複数本の棒材12の外周には、軸方向に沿って複数の保持具15が配置されている。
【0036】
複数の保持具15は、複数本の棒材12を円周方向に巻いて保持するバンド16と、バンド16の両側に配置されて複数本の棒材12を保持するゴムリング17と、を含む。複数本の棒材12の外周面とバンド16との間に僅かの隙間が存在し、ゴムリング17が隙間を無くすように複数本の棒材12を保持する。ゴムリング17は、Oリングが好ましいが、これに限定されない。
【0037】
カバー筒体20は、軸芯から偏位した位置に、浮遊物をろ過して分離した流体を送り出す流体出口21を有する。
【0038】
カバー筒体20の入口側には鍔部20aが形成されており、この鍔部20aに支持体13の鍔部13aを当て、この鍔部13aを押さえるように接続体22を当てがい、鍔部20aと接続体22とでカバー筒体20の鍔部20aを挟むように締付具23により取り付ける。
【0039】
カバー筒体20の鍔部20aと支持体13の鍔部13aの間は、パッキン24でシールされ、接続体22と支持体13の鍔部13aの間は、パッキン25でシールされる。
【0040】
流入する浮遊物を含む流体は、接続体22の通路22aから支持体13の通路13bを通り、フィルタ筒体10の流路11に流入する。
【0041】
カバー筒体20の出口側には鍔部20bが形成されており、この鍔部20bに支持体14の鍔部14aを当て、この鍔部14aを押さえるように蓋体26を当てがい、鍔部20bと接続体26とでカバー筒体20の鍔部20bを挟むように締付具27により取り付ける。
【0042】
カバー筒体20の鍔部20bと支持体14の鍔部14aの間は、パッキン28でシールされ、接続体26と支持体14の鍔部14aの間は、パッキン29でシールされる。
【0043】
フィルタ筒体10とカバー筒体20は、締付具23及び締付具27により取り付ける構成であり、フィルタ筒体10は、カバー筒体20から分離可能である。
【0044】
フィルタ筒体10は、カバー筒体20から分離した状態で、複数の保持具15を支持体13,14の側に向けて移動させ、複数本の棒材12の中央側を外方へ広げて清掃可能である。複数の保持具15は、支持体13,14の少なくとも一方側に向けて移動させ、複数本の棒材15の中央側を外方へ広げて清掃する構成であればよい。
【0045】
[ろ過分離]
この実施の形態の浮遊物除去フィルタ装置1では、フィルタ筒体10は、軸芯に、流入する浮遊物を含む流体が流れる流路11を有し、カバー筒体20は、軸芯から偏位した位置に、浮遊物をろ過して分離した流体を送り出す流体出口21を有しており、流入する浮遊物を含む流体が、流路11を流れる。
【0046】
複数本の棒材12を筒状に連続して配置し、棒材12により流路11を形成し、棒材間の隙間によりろ過スリットSを形成したことで、棒材12間のろ過スリットSを流体が流れ、浮遊物をろ過して分離し除去する(図8(a))。
【0047】
複数の保持具15は、複数本の棒材12の外周面とバンド16との間に僅かの隙間が存在し、ゴムリング17が隙間を無くすように複数本の棒材12を保持するから、流路11を流れる流体の圧力が高い場合には、この圧力によって
棒材12間のろ過スリットSが広がり、このろ過スリットSを流体が流れて浮遊物をろ過して分離し除去する(図8(b))。
【0048】
この浮遊物除去フィルタ装置1が鉛直方向に配置されると、ろ過スリットSは、フィルタ筒体10の軸方向に形成され、ろ過により分離された浮遊物を軸方向にガイドする構成であり、分離された浮遊物が下方に落下していき(図8(c))、ろ過スリットSから流出する流体の流れを妨げることが防止され、ろ過して浮遊物を分離した流体を流体出口21から円滑に送り出すことができる。
【0049】
このように、流入する浮遊物を含む流体が、流路11を流れ、浮遊物をろ過スリットSによりろ過して分離した流体を流体出口21から送り出し、分離した浮遊物はフィルタ筒体10の内面に溜まる。
【0050】
[洗浄]
この実施の形態の浮遊物除去フィルタ装置1では、分離した浮遊物はフィルタ筒体10の内面に付着して溜まり、このフィルタ筒体10の洗浄を行う場合には、締付具23及び締付具27を緩めて、フィルタ筒体10をカバー筒体20から分離する。このように、分離した浮遊物はフィルタ筒体10の内面に付着して溜まるが、棒材12間の隙間によりろ過スリットSを形成した構成であるから、分離した浮遊物が溜まり難いなどの利点がある。
【0051】
フィルタ筒体10は、一対の支持体13,14の内、少なくとも一方側に、軸方向に沿って複数の保持具15を移動して集める(図9(a))。
【0052】
これにより、複数本の棒材12は、一対の支持体13,14によって保持されているが、中央側は外方に広がり易くなっており、フィルタ筒体10の内面に溜まる分離した浮遊物に、例えば洗浄液を噴射して洗浄することで、簡単、かつ確実に除去することができ、再使用可能になる(図9(b))。
【0053】
[棒材の形態]
棒材12の形態は、図10に示すように、断面が円形、楕円形、四角形、三角形などを用い特に限定されないが、断面が円形のものが好ましい。
【0054】
(液浄化システム)
この実施の形態の液浄化システムを、形態1及び形態2に基づいて説明する。
【0055】
[形態1]
形態1は、遠心分離装置に1個の遠心分離装置を備える構成であり、図11は固液分離装置の断面図、図12は遠心分離装置と分離したカバー筒体の断面図、図13は分離したフィルタ筒体の断面図である。
【0056】
この形態1の固液分離装置100は、遠心分離装置50と浮遊物除去フィルタ装置1を備え、浮遊物除去フィルタ装置1は、図2乃至図10の実施の形態と同様に構成は同じ符号を付して説明を省略する。
【0057】
この実施の形態の遠心分離装置50は、装置本体51の上部位置において、
軸芯に流体出口52を有し、軸芯から偏位した位置に流体入口53を有する。
装置本体51には、フィルタ部54と沈殿部55を有し、フィルタ部54は、流体入口53から微細物を含む流体を所定流速で供給して渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて流体出口52から微細物を分離した流体を排出し、渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させる。
【0058】
沈殿部55は、フィルタ部54で沈降する微細物を沈殿させ、所定量堆積すると、バルブ56を操作して沈殿物を排出可能に構成されている。
【0059】
遠心分離装置50に、微細物除去フィルタ装置1を1個直列に着脱可能に接続した構成である。この実施の形態では、微細物除去フィルタ装置1の蓋体26は、にぎり部26aを有しており、このにぎり部26aを持って遠心分離装置1を、装置本体51の上部に載せ、装置本体51の鍔部とカバー筒体20の鍔部を締付具60で締め付けて着脱可能に接続する。
【0060】
装置本体51の上部には、軸芯の位置に排出筒57が配置され、この排出筒57によって流体出口52が形成されている。排出筒57の外周位置に対応して流体入口53が開口している。
【0061】
「液浄化」
流体入口53から微細物を含む流体が流入すると、フィルタ部54では、
流体が排出筒57の外周に沿って旋廻するように流れ、所定流速の渦巻きが生じる。遠心状態で微細物を外側へ移動させ、液体よりも重い微細物は遠心力でフィルタ部54の内壁に押付けられながら滑り降りて下方の円錐形の中心部から落下する。このように、フィルタ部54では、渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させ、沈降する微細物を沈殿部55に沈殿させる。
【0062】
流体出口52から微細物を分離した流体を排出し、微細物除去フィルタ装置1に送る。この流体出口52から送られる流体には、ごみ等の浮遊物が混入していることがある。
【0063】
浮遊物除去フィルタ装置1は、カバー筒体20の内側にフィルタ筒体10を配置した2重構造であり、遠心分離装置50の流体出口52から排出される微細物を分離した流体が、フィルタ筒体10の軸芯に形成した流路11に流入する。この流体には、ごみ等の浮遊物が混入していることがあり、浮遊物を含む流体が流路11を渦巻状に旋廻して流れ、フィルタ筒体10のろ過スリットSによりろ過して浮遊物を分離した流体を流体出口21から送り出す。
【0064】
この実施の形態では、液浄化システムの運転を停止すると、固液分離装置100を構成する遠心分離装置50及び浮遊物除去フィルタ装置1を流体が流れなくなるために、浮遊物除去フィルタ装置1に溜まるごみ等の浮遊物が落下して遠心分離装置50の内部に流体出口52から入り込み、フィルタ部54を通り更に落下して沈殿部55に溜まる。このように、浮遊物除去フィルタ装置1に溜まるごみ等の浮遊物は、液浄化システムの運転を停止することで、落下して自動的に遠心分離装置50の沈殿部55に溜めることができる。
【0065】
このように、固液分離装置100では、連続的に、時間をかけず、微細物及び浮遊物などを効率よく分離し、例えば、クーラント中に混合した異種油分を浮上分離、除去し、再生したクーラントがごみ等の浮遊物や、ワークに付着していた防錆油などの異種油分を含まないようにすることができる。
【0066】
また、固液分離装置100は、遠心分離装置50と浮遊物除去フィルタ装置1を備え、一体化した簡単かつコンパクトな構造で、微細物と浮遊物などを効率よく分離して除去することができる。
【0067】
この浮遊物除去フィルタ装置1は、遠心分離装置50から簡単に分離して洗浄することができ、省エネルギー(廃棄なし)、ローコスト(何度もつかえる)である。
【0068】
[形態2]
形態2は、遠心分離装置に2個の遠心分離装置を備える構成であり、図14は固液分離装置の断面図、図15は遠心分離装置と分離したカバー筒体の断面図、図16は分離したフィルタ筒体の断面図である。
【0069】
この形態2の固液分離装置100は、遠心分離装置50と浮遊物除去フィルタ装置1を備え、浮遊物除去フィルタ装置1は、図2乃至図10の実施の形態と同様に構成は同じ符号を付して説明を省略する。この形態2では、遠心分離装置50に、浮遊物除去フィルタ装置1を、2個直列に着脱可能に接続した構成である。
【0070】
2個の浮遊物除去フィルタ装置1は、連結体30を中間に介在させ、連結体30とそれぞれの浮遊物除去フィルタ装置1を締付具31,32で締め付けて着脱可能に接続する構成である。
【0071】
この形態2では、遠心分離装置50側の浮遊物除去フィルタ装置1が、流体出口21を有し、他の浮遊物除去フィルタ装置1は流体出口21を有しない構成であるが、他の浮遊物除去フィルタ装置1にも流体出口21を設けるようにしてもよい。浮遊物除去フィルタ装置1は、1個または直列に接続した複数個であり、直列に接続した複数個において、少なくともいずれかの1個は、流体出口21を有すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
この発明は、流体に含まれるごみ等の浮遊物を除去する浮遊物除去フィルタ装置及び流体に含まれる微粉末状クズ等の微細物や浮遊物を除去する固液分離装置並びに液浄化システムに適用され、第1に小型の装置で短時間に大量に微細物や浮遊物を分離して確実に除去することが可能であり、第2に洗浄を簡単に行い再使用を可能とし、あるいは交換が容易である。
【符号の説明】
【0073】
A 貯留槽
B 加工装置
C 循環経路
1 浮遊物除去フィルタ装置
10 フィルタ筒体
11 流路
12 棒材
13,14 支持体
15 保持具
16 バンド
17 ゴムリング
20 カバー筒体
21 流体出口
22 接続体
23,27 締付具
26 蓋体
S ろ過スリット
50 遠心分離装置
51 装置本体
52 流体出口
53 流体入口
54 フィルタ部
55 沈殿部
56 バルブ
57 排出筒
100 固液分離装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16