(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】計測端末、計測端末の設定方法、地絡点標定システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/08 20200101AFI20231107BHJP
【FI】
G01R31/08
(21)【出願番号】P 2019189254
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000144108
【氏名又は名称】株式会社三英社製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 久征
(72)【発明者】
【氏名】絹村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 秀行
(72)【発明者】
【氏名】小林 和博
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/092850(WO,A1)
【文献】特開2001-133504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線の複数の位置に設置され、前記配電線に地絡事故が発生したとき、前記配電線の電流及び電圧を検出するセンサから出力される零相電流及び零相電圧を示す情報を、現在時刻を示す情報に対応付けて、前記配電線の地絡点を標定する地絡点標定装置に無線通信によって送信する計測端末であって、
前記センサと、
前記配電線の状態を監視するために遠制親局からの指令に基づいて、前記センサから出力される前記配電線の電流及び電圧を示す情報を取得する
遠制子局と、の間に前記計測端末を接続する場合、前記
遠制子局が前記配電線の電流及び電圧を示す情報を正しく取得することができるように、前記計測端末の終端インピーダンスを設定する設定回路
を備えたことを特徴とする計測端末。
【請求項2】
前記設定回路は、前記センサと前記
遠制子局との間に前記計測端末を接続する場合、前記終端インピーダンスを第1インピーダンスに設定し、前記センサと前記
遠制子局との間に前記計測端末を接続しない場合、前記終端インピーダンスを第2インピーダンスに設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の計測端末。
【請求項3】
前記設定回路は、前記地絡点標定装置からの指令に基づいて、前記終端インピーダンスを前記第1インピーダンス又は前記第2インピーダンスに設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の計測端末。
【請求項4】
前記設定回路は、前記計測端末の外部に設けられるスイッチの操作に基づいて、前記終端インピーダンスを前記第1インピーダンス又は前記第2インピーダンスに設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の計測端末。
【請求項5】
前記設定回路は、前記終端インピーダンスを前記第1インピーダンス又は前記第2インピーダンスに切り替える切替スイッチを有する
ことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の計測端末。
【請求項6】
前記第1インピーダンスは、前記
遠制子局のインピーダンスに含まれる抵抗値よりも大きい第1抵抗値を含み、
前記第2インピーダンスは、前記
遠制子局のインピーダンスに含まれる抵抗値と同じ第2抵抗値を含む
ことを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の計測端末。
【請求項7】
前記センサは、前記遠制子局からの指令に基づいて前記配電線の線路を接続又は遮断する開閉器に内蔵される
ことを特徴とする請求項
1に記載の計測端末。
【請求項8】
配電線の複数の位置に設置され、前記配電線に地絡事故が発生したとき、前記配電線の電流及び電圧を検出するセンサから出力される零相電流及び零相電圧を示す情報を、現在時刻を示す情報に対応付けて、前記配電線の地絡点を標定する地絡点標定装置に無線通信によって送信する計測端末において、
前記センサと、
前記配電線の状態を監視するために遠制親局からの指令に基づいて、前記センサから出力される前記配電線の電流及び電圧を示す情報を取得する
遠制子局と、の間に前記計測端末を接続する場合、前記
遠制子局が前記配電線の電流及び電圧を示す情報を正しく取得することができるように、前記計測端末の終端インピーダンスを設定する
ことを特徴とする計測端末の設定方法。
【請求項9】
前記配電線の第1及び第2位置に設置される請求項1乃至
7の何れか一項に記載の
計測端末である第1及び第2計測端末と、
前記第1及び第2計測端末から前記配電線に地絡事故が発生したときの零相電流及び零相電圧を示す情報を、現在時刻を示す情報に対応付けて受信し、前記第1及び第2位置の間の距離と、前記第1及び第2位置の間のサージ伝搬速度と、前記第1及び第2位置の間のサージ到達時間差と、に基づいて、前記配電線の地絡点を標定する地絡点標定装置と、
を備えたことを特徴とする地絡点標定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測端末、計測端末の設定方法、地絡点標定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高圧配電線(例えば6kVの配電系統)に地絡事故が発生した場合に、高圧配電線のどの位置に地絡事故が発生したのかを標定する地絡点標定システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この地絡点標定システムは、高圧配電線が架設される支柱に設置される複数の計測端末と、電力会社等に設置される地絡点標定装置と、を含んで構成されている。複数の計測端末は、高圧配電線の電流及び電圧を検出するセンサから得られる零相電流及び零相電圧を示す情報を、GPS衛星から得られる現在時刻を示す情報に対応付けて、地絡点標定装置に送信する。一方、地絡点標定装置は、複数の計測端末から得られる零相電流及び零相電圧を示す情報及び現在時刻を示す情報に基づいて、所定の演算を行うことによって地絡点を標定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力系統には、高圧配電線の状態を監視し、高圧配電線に対して事故区間を検出すると健全区間への自動融通を行う配電自動化システムが設けられている。配電自動化システムは、例えば、高圧配電線が架設される支柱に設置される複数のセンサ、複数の開閉器、複数の遠制子局と、電力会社等に設置される遠制親局と、を含んで構成されている。ここで、センサは高圧配電線の電流及び電圧をそれぞれ検出する計器用変流器CT及び計器用変圧器PD等のセンサであって、開閉器の構造体を収納する収納箱内に設置されている場合がある。又、遠制子局は、遠制親局からの指令に従って開閉器の開閉を制御する機能の他に、センサから出力される高圧配電線の電流及び電圧を示す情報(零相電流及び零相電圧を示す情報を含む)を取得して高圧配電線の状態を監視する機能を有している場合とそうではない場合とがある。
【0006】
地絡点標定システムを構成する計測端末を設置するに際して、遠制子局がセンサの検出出力を取得する機能を有していない場合、計測端末のみがセンサの検出出力を取得することができるように、計測端末のみを開閉器に接続すればよく、一方、遠制子局がセンサの検出出力を取得する機能を有している場合、計測端末及び遠制子局がともにセンサの検出出力を取得することができるように、計測端末を開閉器と遠制子局との間に接続すればよい。しかし、後者の場合、遠制子局は、計測端末の終端インピーダンスの影響を受けるため、終端インピーダンスの値が1つの値に固定されていると、センサの検出出力を正しく取得することができなくなる虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、計測端末の後段に接続される電気機器(例えば遠制子局)がセンサから出力される電流及び電圧を示す情報を正しく取得することが可能な計測端末、計測端末の設定方法、地絡点標定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決する主たる本発明は、配電線の複数の位置に設置され、前記配電線に地絡事故が発生したとき、前記配電線の電流及び電圧を検出するセンサから出力される零相電流及び零相電圧を示す情報を、現在時刻を示す情報に対応付けて、前記配電線の地絡点を標定する地絡点標定装置に無線通信によって送信する計測端末であって、前記センサと、前記配電線の状態を監視するために遠制親局からの指令に基づいて、前記センサから出力される前記配電線の電流及び電圧を示す情報を取得する遠制子局と、の間に前記計測端末を接続する場合、前記遠制子局が前記配電線の電流及び電圧を示す情報を正しく取得することができるように、前記計測端末の終端インピーダンスを設定する設定回路、を備えている。
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、計測端末の後段に接続される電気機器(例えば遠制子局)がセンサから出力される電流及び電圧を示す情報を正しく取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】配電自動化システムを模式的に示す図である。
【
図2】地絡点標定システムを概略的に示す図である。
【
図3A】地絡点標定システムの接続の一例を示す図である。
【
図3B】地絡点標定システムの接続の他の例を示す図である。
【
図3C】地絡点標定システムの接続の他の例を示す図である。
【
図4A】本実施形態に係る計測端末の一例を示す図である。
【
図4B】本実施形態に係る計測端末の他の例を示す図である。
【
図4C】本実施形態に係る計測端末の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。尚、本実施形態において、計測端末が接続される電気機器は、例えば、配電自動化システムに用いられる遠制子局であることとする。遠制子局の詳細については後述する。
===配電自動化システム===
【0012】
図1は、配電自動化システムを模式的に示す図である。
配電自動化システム100は、高圧配電線110(例えば6kVの配電系統)の状態を常時監視し、高圧配電線110の事故区間を検出した場合、高圧配電線110を健全区間へと自動的に融通するシステムである。配電自動化システム100は、例えば、高圧配電線110が架設される支柱120に設置される複数のセンサ130、複数の開閉器140、複数の遠制子局150と、電力会社等に設置される遠制親局160と、を含んで構成されている。
【0013】
センサ130は、支柱120上の高圧配電線110から電流及び電圧を検出し、特に、高圧配電線110に地絡事故が発生した場合には、零相電流及び零相電圧を検出するセンサを含んで構成されている。
【0014】
開閉器140は、高圧配電線110の線路を接続又は遮断する電力機器である。例えば、高圧配電線110に地絡等の事故が発生した場合、事故区間の最も近くに設置されている開閉器140を開くことによって、高圧配電線110の線路を遮断する。開閉器140は、開閉器140の開閉機能を実現する構造体(スイッチ等)を収納して保護するための収納箱141を有している。センサ130は、この構造体とともに収納箱141に収納されている。開閉器140の収納箱141内に収納されているセンサ130は、センサ130の検出出力を送信するための通信線180を介して遠制子局150と接続されている。又は、開閉器140は、開閉器140の開閉動作を制御するための通信線190を介して遠制子局150と接続されている。つまり、開閉器140は、遠制親局160からの指令に従って遠制子局150から出力される開閉器140の開閉動作を制御するための制御信号によって自動的に開閉する自動開閉器であることとする。
【0015】
遠制子局150は、通信線170を介して遠制親局160と接続されている。遠制子局150は、高圧配電線110の線路を遮断する場合、遠制親局160からの指令に従って開閉器140を開くための制御信号を開閉器140に出力し、一方、高圧配電線110の線路を接続する場合、遠制親局160からの指令に従って開閉器140を閉じるための制御信号を開閉器140に出力する。又、遠制子局150は、高圧配電線110の状態を監視する機能を有している場合、センサ130から出力される高圧配電線110の電流及び電圧を示す情報を取得する。
【0016】
遠制親局160は、例えば高圧配電線110に地絡事故が発生した場合であっても、高圧配電線110を健全区間へと自動的に融通することによって、停電から短時間で復帰できるように、通信線170を介して複数の遠制子局150を統括的に管理している。
===地絡点標定システム===
【0017】
図2は、地絡点標定システムを概略的に示す図である。
地絡点標定システム200は、高圧配電線110に地絡事故が発生した場合に、高圧配電線110のどの位置に地絡事故が発生したのかを標定するシステムである。地絡点標定システム200は、例えば、高圧配電線110が架設される支柱120に設置される複数のセンサ210(センサ130と実質的に同一)、複数の計測端末220と、電力会社等に設置される地絡点標定装置230と、を含んで構成されている。
【0018】
センサ210は、高圧配電線110に地絡事故が発生した場合に、支柱120上の高圧配電線110から零相電流及び零相電圧を検出する。
【0019】
計測端末220は、無線通信を介して地絡点標定装置230と接続されている。計測端末220は、センサ210から得られる零相電流及び零相電圧を示す情報を、GPS衛星300から得られる現在時刻を示す情報に対応付けて、地絡点標定装置230に送信する。
【0020】
地絡点標定装置230は、地絡点を標定することができるように、無線通信を介して複数の計測端末220を統括的に管理している。地絡点標定装置230は、地絡点を挟む2つの計測端末220の組合せのうち、設置間距離が最短となる2つの計測端末220(220A、220B)から得られる零相電流及び零相電圧を示す情報と現在時刻を示す情報とに基づいて、所定の演算を行うことによって地絡点を標定する。
【0021】
具体的には、地絡点標定装置230は、以下の式(1)に従って地絡点から計測端末220Aまでの距離L1を算出する。
L1=(L+(T1-T2)v)/2 ・・・(1)
但し、L:計測端末220A、220B間の高圧配電線110上の距離
L1:地絡点から計測端末220Aまでの高圧配電線110上の距離
T1-T2:サージ到達時刻の差
v:サージ伝播速度
である。尚、地絡点の標定手法については例えば特許文献1に開示されているため、その詳細については説明を省略する。
===配電自動化システム及び地絡点標定システムの接続===
【0022】
図3Aは、配電自動化システム100における遠制子局150がセンサ130からの電流及び電圧を示す情報を取得する機能を有している場合の、配電自動化システム100及び地絡点標定システム200の接続の一例を示す図である。尚、地絡点標定システム200におけるセンサ210は、配電自動化システム100における開閉器140の収納箱141内に収納されているセンサ130であることとする。
【0023】
図3Aの場合、センサ130の出力端子が遠制子局150と接続される専用の端子として開閉器140に設けられているため、計測端末220を開閉器140(センサ130の出力端子)と遠制子局150との間に接続することによって、センサ130から出力される電流及び電圧を示す情報を、計測端末220に供給するとともに計測端末220を介して遠制子局150にも供給することが可能となる。ここで、計測端末220を接続する前の遠制子局150の入力側からみたインピーダンスと、計測端末220を接続した後の遠制子局150の入力側からみたインピーダンスとは異なるため、開閉器140から遠制子局150に直接的に供給される電流及び電圧を示す情報と、開閉器140から計測端末220を介して間接的に供給される電流及び電圧を示す情報とは異なることとなる。つまり、計測端末220を介して遠制子局150に供給される電流及び電圧を示す情報は、計測端末220の終端インピーダンスの影響を受けて変動することとなる。特に、遠制子局150には、電圧を示す情報の方が電流を示す情報よりも計測端末220の終端インピーダンスの影響を大きく受けて供給されることとなる。そのため、計測端末220を開閉器140と遠制子局150との間に接続する場合、遠制子局150に供給される電流及び電圧を示す情報が配電自動化システム100の動作に影響を与えないように、計測端末220の終端インピーダンスを遠制子局150のインピーダンスよりも大きく設定する必要がある。
【0024】
図3Bは、配電自動化システム100における遠制子局150がセンサ130からの電流及び電圧を示す情報を取得する機能を有していない場合の、配電自動化システム100及び地絡点標定システム200の接続の一例を示す図である。尚、地絡点標定システム200におけるセンサ210は、配電自動化システム100における開閉器140の収納箱141内に収納されているセンサ130であることとする。
【0025】
図3Bの場合、開閉器140(センサ130の出力端子)に計測端末220を接続することによって、センサ130から出力される電流及び電圧を示す情報を、計測端末220のみに供給することが可能となる。この場合、計測端末220の終端インピーダンスは、遠制子局150に影響を与えないため、計測端末220のみで電流及び電圧を示す情報を正しく取得することが可能な値に設定されていればよい。
===計測端末の終端インピーダンスの設定===
【0026】
開閉器140の収納箱141に収納されるセンサ130は、高圧配電線110の各相に現れる電圧を検出する計器用変圧器PDと、高圧配電線110の各相に流れる電流を検出する計器用変流器CTと、高圧配電線110の全相(三相)に流れる電流を合成して零相電流を検出する零相変流器ZCTと、を含んで構成されている。
【0027】
図4Aは、本実施形態に係る計測端末であって、開閉器140内の計器用変圧器PDと遠制子局150との間に接続することが可能な計測端末400を示す図である。尚、遠制子局150は、計器用変圧器PDの検出出力を取得する機能を有していることとする。
【0028】
計器用変圧器PDは、高圧配電線110の各相における対地電圧を例えば2つのコンデンサC1、C2で分圧し、対地電圧に比例した低い電圧として検出する機器である。尚、零相電圧は、計器用変圧器PDから出力される三相分の電圧を合成することによって得ることができる。
【0029】
計測端末400は、計器用変圧器PDから出力される電圧の情報を取得することができるように、ケーブル710を介して計器用変圧器PDと接続されている。又、計測端末400は、計器用変圧器PDから出力される電圧の情報を遠制子局150に供給することができるように、ケーブル720を介して遠制子局150と接続されている。
【0030】
計測端末400は、第1抵抗410、第2抵抗420、切替スイッチ430、通信部440、外部スイッチ450、CPU460を含んで構成されている。
【0031】
第1抵抗410は、計測端末400の終端インピーダンスを第1インピーダンスに設定するための値を有する抵抗であって、計測端末400を計器用変圧器PDと遠制子局150との間に接続するときに選択される抵抗である。
【0032】
第2抵抗420は、計測端末400の終端インピーダンスを第2インピーダンスに設定するための値を有する抵抗であって、計測端末400を計器用変圧器PDのみと接続するときに選択される抵抗である。
【0033】
尚、第1インピーダンスは、計測端末400及び遠制子局150がともに計器用変圧器PDの検出出力を正しく取得することが可能な値のことである。又、第2インピーダンスは、計測端末400のみが計器用変圧器PDの検出出力を正しく取得することが可能な値のことである。又、第1インピーダンスを決定する第1抵抗410の値は、第2インピーダンスを決定する第2抵抗420の値よりも大きい値であり、第2抵抗420の値は、遠制子局150の終端抵抗の値と同値である。
【0034】
切替スイッチ430は、第1抵抗410及び第2抵抗420の何れか一方を選択する内部スイッチである。切替スイッチ430は、計測端末400を計器用変圧器PDと遠制子局150との間に接続するときに第1抵抗410を選択し、計測端末400を計器用変圧器PDのみと接続するときに第2抵抗420を選択する。
【0035】
通信部440は、無線通信を介して地絡点標定装置230からの指令を受信するインターフェースである。通信部440は、例えば、地絡点標定装置230から第1抵抗410及び第2抵抗420の何れか一方を選択するための指令を受信する。
【0036】
外部スイッチ450は、第1抵抗410及び第2抵抗420の何れか一方を選択するための操作スイッチである。
【0037】
CPU460は、計測端末400の高圧配電線110側と接地との間に現れる電圧Vを監視しつつ、地絡点標定装置230からの指令又は外部スイッチ450の操作に応じて、切替スイッチ430の切り替えを制御する。地絡点標定装置230からの指令と外部スイッチ450は排他制御となり、例えば外部スイッチ450が中立で第1抵抗410、第2抵抗420のいずれも選択していない状態の場合のみ、地絡点標定装置230からの指令を有効とする。尚、CPU460が切替スイッチ430を切り替える機能は、CPU460のソフトウエア処理によって実現される。
【0038】
CPU460は、地絡点標定装置230から第1抵抗410を選択するための指令を受信するか、或いは、外部スイッチ450が第1抵抗410を選択する側に切り替えられたことを示す信号を受信した場合、切替スイッチ430を第1抵抗410に接続する。これによって、計測端末400の終端インピーダンスが第1インピーダンスとなるように、計測端末400の高圧配電線110側と接地との間に第1抵抗410が接続される。つまり、計測端末400は、
図3Aの接続に対応することとなる。
【0039】
一方、CPU460は、地絡点標定装置230から第2抵抗420を選択するための指令を受信するか、或いは、外部スイッチ450が第2抵抗420を選択する側に切り替えられたことを示す信号を受信した場合、切替スイッチ430を第2抵抗420に接続する。これによって、計測端末400の終端インピーダンスが第2インピーダンスとなるように、計測端末400の高圧配電線110側と接地との間に第2抵抗420が接続される。つまり、計測端末400は、
図3Bの接続に対応することとなる。
【0040】
例えば、第1抵抗410、第2抵抗420の抵抗値はそれぞれ数十MΩ(Hiインピーダンス)、数MΩ(Loインピーダンス)に設定される。
【0041】
図4Bは、本実施形態に係る計測端末であって、開閉器140内の計器用変流器CTと遠制子局150との間に接続することが可能な計測端末500を示す図である。尚、遠制子局150は、計器用変流器CTの検出出力を取得する機能を有していることとする。
【0042】
計器用変流器CTは、高圧配電線110の各相における電流を検出する機器である。
計測端末500は、計器用変流器CTから出力される電流の情報を取得することができるように、ケーブル710を介して計器用変流器CTと接続されている。又、計測端末500は、計器用変流器CTから出力される電流の情報を遠制子局150に供給することができるように、ケーブル720を介して遠制子局150と接続されている。
【0043】
計測端末500は、第2抵抗510、切替スイッチ520、通信部530、外部スイッチ540、CPU550、第1抵抗560を含んで構成されている。
【0044】
第1抵抗560は、計測端末500の終端インピーダンスを第1インピーダンスに設定するための値を有する抵抗であって、計測端末500を計器用変流器CTと遠制子局150との間に接続するときに選択される抵抗である。
【0045】
第2抵抗510は、計測端末500の終端インピーダンスを第1インピーダンスとは異なる第2インピーダンスに設定するための値を有する抵抗であって、計測端末500を計器用変流器CTのみと接続するときに選択される抵抗である。
【0046】
尚、第1インピーダンスは、計測端末500及び遠制子局150がともに計器用変流器CTの検出出力を正しく取得することが可能な値のことである。又、第2インピーダンスは、計測端末500のみが計器用変流器CTの検出出力を正しく取得することが可能な値のことである。
【0047】
切替スイッチ520は、第1抵抗560及び第2抵抗510の何れか一方を選択する内部スイッチである。切替スイッチ520は、計測端末500を計器用変流器CTと遠制子局150との間に接続するときに第1抵抗560を選択し、計測端末500を計器用変流器CTのみと接続するときに第2抵抗510を選択する。
【0048】
通信部530は、無線通信を介して地絡点標定装置230からの指令を受信するインターフェースである。通信部530は、例えば、地絡点標定装置230から第1抵抗560及び第2抵抗510の何れか一方を選択するための指令を受信する。
【0049】
外部スイッチ540は、第1抵抗560及び第2抵抗510の何れか一方を選択するための操作スイッチである。
【0050】
CPU550は、計測端末500の高圧配電線110側を流れる電流を監視しつつ、地絡点標定装置230からの指令又は外部スイッチ540の操作に応じて、切替スイッチ520の切り替えを制御する。尚、CPU550が切替スイッチ430を切り替える機能は、CPU550のソフトウエア処理によって実現される。
【0051】
CPU550は、地絡点標定装置230から第1抵抗560を選択するための指令を受信するか、或いは、外部スイッチ540が第1抵抗560を選択する側に切り替えられたことを示す信号を受信した場合、切替スイッチ520を第1抵抗560に接続する。これによって、計測端末500の終端インピーダンスが第1インピーダンスとなるように、計測端末500の高圧配電線110側と接地との間に第1抵抗560が接続される。つまり、計測端末500は、
図3Aの接続に対応することとなる。
【0052】
一方、CPU550は、地絡点標定装置230から第2抵抗510を選択するための指令を受信するか、或いは、外部スイッチ540が第2抵抗510を選択する側に切り替えられたことを示す信号を受信した場合、切替スイッチ520を第2抵抗510に接続する。これによって、計測端末500の終端インピーダンスが第2インピーダンスとなるように、計測端末500の高圧配電線110側と接地との間に抵抗510が接続される。つまり、計測端末500は、
図3Bの接続に対応することとなる。
【0053】
例えば、第1抵抗560、第2抵抗510の抵抗値はそれぞれ数kΩ(Hiインピーダンス)、数Ω(Loインピーダンス)に設定される。
【0054】
図4Cは、本実施形態に係る計測端末であって、開閉器140内の零相変流器ZCTと遠制子局150との間に接続することが可能な計測端末600を示す図である。尚、遠制子局150は、零相変流器ZCTの検出出力を取得する機能を有していることとする。
【0055】
零相変流器ZCTは、高圧配電線110の全相(三相)を合成することによって零相電流を検出する機器である。
【0056】
計測端末600は、零相変流器ZCTから出力される零相電流の情報を取得することができるように、ケーブル710を介して零相変流器ZCTと接続されている。又、計測端末600は、零相変流器ZCTから出力される零相電流の情報を遠制子局150に供給することができるように、ケーブル720を介して遠制子局150と接続されている。
【0057】
計測端末600は、第1抵抗610、第2抵抗620、切替スイッチ630、通信部640、外部スイッチ650、CPU660を含んで構成されている。
【0058】
第1抵抗610は、計測端末600の終端インピーダンスを第1インピーダンスに設定するための値を有する抵抗であって、計測端末600を零相変流器ZCTと遠制子局150との間に接続するときに選択される抵抗である。
【0059】
第2抵抗620は、計測端末600の終端インピーダンスを第2インピーダンスに設定するための値を有する抵抗であって、計測端末600を零相変流器ZCTのみと接続するときに選択される抵抗である。
【0060】
尚、第1インピーダンスは、計測端末600及び遠制子局150がともに零相変流器ZCTの検出出力を正しく取得することが可能な値のことである。又、第2インピーダンスは、計測端末600のみが零相変流器ZCTの検出出力を正しく取得することが可能な値のことである。又、第1インピーダンスを決定する第1抵抗610の値は、第2インピーダンスを決定する第2抵抗620の値よりも大きい値である。
【0061】
切替スイッチ630は、第1抵抗610及び第2抵抗620の何れか一方を選択する内部スイッチである。切替スイッチ630は、計測端末600を零相変流器ZCTと遠制子局150との間に接続するときに第1抵抗610を選択し、計測端末600を零相変流器ZCTのみと接続するときに第2抵抗620を選択する。
【0062】
通信部640は、無線通信を介して地絡点標定装置230からの指令を受信するインターフェースである。通信部640は、例えば、地絡点標定装置230から第1抵抗610及び第2抵抗620の何れか一方を選択するための指令を受信する。
【0063】
外部スイッチ650は、第1抵抗610及び第2抵抗620の何れか一方を選択するための操作スイッチである。
【0064】
CPU660は、計測端末600の高圧配電線110側を流れる零相電流を監視しつつ、地絡点標定装置230からの指令又は外部スイッチ650の操作に応じて、切替スイッチ630の切り替えを制御する。尚、CPU660が切替スイッチ630を切り替える機能は、CPU660のソフトウエア処理によって実現される。
【0065】
CPU660は、地絡点標定装置230から第1抵抗610を選択するための指令を受信するか、或いは、外部スイッチ650が第1抵抗610を選択する側に切り替えられたことを示す信号を受信した場合、切替スイッチ630を第1抵抗610に接続する。これによって、計測端末600の終端インピーダンスが第1インピーダンスとなるように、計測端末600の高圧配電線110側と接地との間に第1抵抗610が接続される。つまり、計測端末600は、
図3Aの接続に対応することとなる。
【0066】
一方、CPU660は、地絡点標定装置230から第2抵抗620を選択するための指令を受信するか、或いは、外部スイッチ650が第2抵抗620を選択する側に切り替えられたことを示す信号を受信した場合、切替スイッチ630を第2抵抗620に接続する。これによって、計測端末600の終端インピーダンスが第2インピーダンスとなるように、計測端末600の高圧配電線110側と接地との間に第2抵抗620が接続される。つまり、計測端末600は、
図3Bの接続に対応することとなる。
【0067】
例えば、第1抵抗610、第2抵抗620の抵抗値はそれぞれ数kΩ(Hiインピーダンス)、数Ω(Loインピーダンス)に設定される。
【0068】
尚、説明の便宜上、個別の計測端末400、500、600として説明したが、1つの計測端末220の中に各計測端末400、500、600の機能を備え、各計測端末400、500、600の一部の機能(通信部、外部スイッチ、CPU)を共用する構成であることとする。
【0069】
図3Cは、作業者の操作によって開閉する手動の開閉器140及び地絡点標定システム200の接続の一例を示す図である。計測端末400の終端インピーダンスは、計器用変圧器PDのみと接続されるときに第2インピーダンスに設定され、計測端末500の終端インピーダンスは、計器用変流器CTのみと接続されるときに第2インピーダンスに設定され、計測端末600の終端インピーダンスは、零相変流器ZCTのみと接続されるときに第2インピーダンスに設定される。従って、計測端末400、500、600は、手動の開閉器140との接続にも対応することとなる。
===まとめ===
【0070】
以上説明したように、高圧配電線110の複数の位置に設置され、高圧配電線110に地絡事故が発生したとき、高圧配電線110の電流及び電圧を検出するセンサ130(210)から出力される零相電流及び零相電圧を示す情報を、現在時刻を示す情報に対応付けて、高圧配電線110の地絡点を標定する地絡点標定装置230に無線通信によって送信する計測端末400(500、600)であって、センサ130(210)と、センサ130(210)から出力される高圧配電線110の電流及び電圧を示す情報を取得する遠制子局150と、の間に計測端末400(500、600)を接続する場合、遠制子局150が高圧配電線110の電流及び電圧を示す情報を正しく取得することができるように、計測端末400(500、600)の終端インピーダンスを設定する設定回路を備えている。これによって、計測端末400(500、600)の後段に接続される遠制子局150がセンサ130から出力される電流及び電圧を示す情報を正しく取得することが可能となる。更に、計測端末400(500、600)は、地絡点標定装置230と無線によって接続され、通信線170が敷設されていない配電区間に設けられる手動の開閉器140とも接続可能であるため、広範囲に亘る配電区間の地絡点を標定することが可能となる。
【0071】
又、設定回路は、センサ130(210)と遠制子局150との間に計測端末400(500、600)を接続する場合、終端インピーダンスを第1インピーダンスに設定し、センサ130(210)と遠制子局150との間に計測端末400(500、600)を接続しない場合、前記終端インピーダンスを第2インピーダンスに設定する。
【0072】
又、設定回路は、地絡点標定装置230からの指令に基づいて、終端インピーダンスを第1インピーダンス又は第2インピーダンスに設定する。
【0073】
又、設定回路は、計測端末の外部に設けられるスイッチ450(540、650)の操作に基づいて、終端インピーダンスを第1インピーダンス又は第2インピーダンスに設定する。
【0074】
設定回路は、終端インピーダンスを第1インピーダンス又は第2インピーダンスに切り替える切替スイッチ430(520、630)を有する。
【0075】
又、第1インピーダンスは、遠制子局150のインピーダンスに含まれる抵抗値よりも大きい第1抵抗値を含み、第2インピーダンスは、遠制子局150のインピーダンスに含まれる抵抗値と同じ第2抵抗値を含む。
【0076】
又、遠制子局150は、高圧配電線110の状態を監視するために遠制親局160からの指令に基づいて高圧配電線110の電流及び電圧を示す情報を取得する。
【0077】
センサ130(210)は、遠制子局150からの指令に基づいて高圧配電線110の線路を接続又は遮断する開閉器140に内蔵される。
【0078】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0079】
100 配電自動化システム
110 高圧配電線
120 支柱
130 センサ
140 開閉器
150 遠制子局
160 遠制親局
170 通信線
200 地絡点標定システム
210 センサ
220、400、500、600 計測端末
230 地絡点標定装置
300 GPS衛星
410、560、610 第1抵抗
420、510、620 第2抵抗
430、520、630 切替スイッチ
440、530、640 通信部
450、540、650 外部スイッチ
460、550、660 CPU
710、720 ケーブル