(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ネジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/24 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
B65D51/24 200
(21)【出願番号】P 2018245966
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】小松 冨士夫
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-96396(JP,A)
【文献】特開2008-137710(JP,A)
【文献】特開2002-293343(JP,A)
【文献】実開平2-25453(JP,U)
【文献】国際公開第2015/198443(WO,A1)
【文献】特開2000-219261(JP,A)
【文献】特開2003-104417(JP,A)
【文献】特開2005-104519(JP,A)
【文献】特開2012-81966(JP,A)
【文献】特開2012-91845(JP,A)
【文献】特表2018-502789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に取り付けられるネジキャップであって、
前記ネジキャップは、上面部、および、筒状の側面部を有し、
前記側面部の内面は円筒形状からなり、かつ、ネジが設けられており、
前記上面部の底面には、
垂直方向に位置決め用の円弧状の傾斜面が
一体に設けられており、
前記傾斜面のリードは、前記ネジのリードと同じまたはそれ以下であり、0ではないことを特徴とするネジキャップ。
【請求項2】
前記傾斜面は、前記底面から下方に傾斜する凸部として設けられていることを特徴とする請求項1に記載のネジキャップ。
【請求項3】
前記傾斜面は、前記底面に設けられた環状凸部から下方に傾斜する凸部として設けられていることを特徴とする請求項1に記載のネジキャップ。
【請求項4】
前記傾斜面は、前記底面から上方に傾斜する凹部として設けられていることを特徴とする請求項1に記載のネジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾が施されるネジキャップに関し、加飾の際に位置決め可能な手段を有するネジキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体、および、容器本体の口部に螺合されるネジキャップから構成される容器は、様々な用途で用いられているが、用途に応じて容器には印刷などの加飾が施されている。容器本体だけでなくネジキャップにも加飾を施す場合、加飾の形態によってはネジキャップの加飾と容器本体の加飾にずれが生じないようにしなければならないケースがある。
【0003】
このように加飾のずれを防止するためにネジキャップの所定の場所に加飾を正確に行うためには、ネジキャップに加飾をする際にネジキャップの向きを特定し位置決めを行った上で、所定の位置に加飾を正確に行う必要があるが、円筒形状の側面部を有するネジキャップの場合特に位置決めが困難であった。
【0004】
このようなネジキャップに加飾する際にネジキャップを位置決めする方法として、従来は、ネジキャップ裾の回り止めの一部を大きく形成し、位置決め用部材として利用する方法、ネジ始まりに位置決め手段を設ける方法、その他にはネジキャップの側面部の内側面に位置決め用リブを設ける方法(特許文献1参照)などが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のネジキャップの位置決め方法は、ネジキャップ裾の回り止めを利用する場合、ネジ位置が一定でないと位置決めの機能を果たせないという問題があり、ネジ始まりを利用する方法の場合、ネジを滑らかにボカスことができないという問題があり、また、ネジキャップの側面部の内側面に位置決め用リブを設ける方法は、ネジ螺合するキャップには適用できないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は従来のネジキャップの位置決め問題を解決するためのネジキャップを提供することを目的とし、ネジ始まりを滑らかなままで、簡単に位置決めが可能なネジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のネジキャップは、容器本体の口部に取り付けられるネジキャップであって、前記ネジキャップは、上面部、および、筒状の側面部を有し、前記側面部の内面は円筒形状からなり、かつ、ネジが設けられており、前記上面部の底面には、前記ネジとリードが同じまたはそれ以下である、円弧状の傾斜面が設けられていることを特徴とする。
【0009】
前記傾斜面は、前記底面から下方に傾斜する凸部として設けられている。
【0010】
前記傾斜面は、前記底面に設けられた環状凸部から下方に傾斜する凸部として設けられている。
【0011】
前記傾斜面は、前記底面から上方に傾斜する凹部として設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のネジキャップは、容器本体の口部に取り付けられるネジキャップであって、前記ネジキャップは、上面部、および、筒状の側面部を有し、前記側面部の内面は円筒形状からなり、かつ、ネジが設けられており、前記上面部の底面には、前記ネジとリードが同じまたはそれ以下である、円弧状の傾斜面が設けられていることにより、ネジと連動した傾斜面によって、加飾作業の際に、所定の位置で前記ネジキャップを固定することができるようになり、さらに、ネジ自体に部材を設けることがないので、キャッピング性能を維持することができる。
【0013】
前記傾斜面は、前記底面に設けられた環状凸部から下方に傾斜する凸部として設けられていることにより、前記環状凸部をパッキンなどを収容するための壁を用いることができる。
【0014】
前記傾斜面は、前記底面から上方に傾斜する凹部として設けられていることにより、前記ネジキャップを使用する際に底面の全面にパッキンを取り付けることにより、凹部を隠すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態のネジキャップの下方からの斜視図である。
【
図2】第1の実施形態のネジキャップの下方からの斜視断面図である。
【
図3】第1の実施形態のネジキャップの底面図である。
【
図4】第2の実施形態のネジキャップの下方からの斜視図である。
【
図5】第2の実施形態のネジキャップの下方からの斜視断面図である。
【
図6】第2の実施形態のネジキャップの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のネジキャップについて、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1に示すのが、本発明の第1の実施形態のネジキャップ1の斜視図であり、
図2に示すのが斜視断面図である。
図3に示すのが平面図である。
【0017】
本発明の第1の実施形態のネジキャップ1は、
図1~3に示すように、円筒形状の側面部2、前記側面部2の上部に一体に形成されている上面部3から構成され、前記側面部2の内面に設けられたネジ4によって、容器本体の口部(図示せず)に螺合されて固定される。前記上面部3の底面には、パッキン7をネジキャップ1に固定する際の壁となる環状凸部6が下方に突出するように設けられており、前記環状凸部6の下面に円弧状の傾斜面5が設けられている。
【0018】
前記環状凸部6の高さは前記ネジ4のリード以下に形成されており、前記側面部2の内面から所定の間隔を有するように前記環状凸部6が形成されており、前記環状凸部6と前記側面部2の内面との間に前記パッキン7が収容される。
【0019】
前記傾斜面5は、前記環状凸部6の下面から、前記環状凸部6と同じ幅で下方に傾斜して円弧状に延伸する凸部として形成されている。前記傾斜面5は前記ネジ4のリードと同じまたはそれ以下のリードを有している。本実施形態のネジキャップ1は、加飾を施すために、例えば印刷装置の加飾対象物を保持する治具に取り付ける際に、前記治具に凸部の形態の前記傾斜面5に対応する凹部を設けておき、前記ネジキャップ1を螺合させて取り付けると、前記傾斜面5が前記凹部に挿入され、前記傾斜面5の端部の段差が前記凹部の端部と当接し、前記ネジキャップ1は前記治具との相対位置が常に一定の状態で正確に位置決めされて固定されることができる。
【0020】
本実施形態のネジキャップ1は、容器本体の口部に螺合された時、前記口部の上端は前記パッキン7と当接することになるので、前記傾斜面5は前記口部の内側に位置し、前記ネジキャップ1の使用には全く影響を与えることがない。そして、前記ネジキャップ1のネジ4は従来と同様にネジ始まりを滑らかにぼかすことができるので、キャッピング性能も十分に確保することができる。
【0021】
前記ネジキャップ1の円弧状の傾斜面5の長さは一周内であればよい。そして、前記傾斜面5の幅については、特に制限は無い。前記傾斜面5は、前記ネジ4のリードと同じまたはそれ以下のリードを有していればよいので、前記ネジ4のリードを変更する場合は、前記傾斜面5のリードを同様に変更することで対応可能である。前記傾斜面5のリードは、前記ネジ4のリードよりも大きくすると、ネジキャップ1を金型で成形した後、金型から前記ネジキャップ1を取り外すことができなくなることから、前記ネジ4のリードの変更に合わせて、前記傾斜面5のリードは前記ネジ4のリードと同じまたはそれ以下となるように変更する必要がある。また、前記環状凸部6を設けないで、前記上面部3の底面に直接、前記傾斜面5を設けることも可能である。
【0022】
また、前記側面部2の形状は円筒形状に限定するものではなく、内面がネジ4が設けられるように円筒形状であればよく、外面については円筒形状だけではなく、様々な形状とすることが可能である。
【0023】
次に、第2の実施形態のネジキャップ11について説明する。第2の実施形態のネジキャップ11は、
図4~6に示すように、円筒形状の側面部12、前記側面部12の上部に一体に形成されている上面部13から構成され、前記上面部13の底面に傾斜面15が設けられており、前記側面部12の内面に設けられたネジ14によって、容器本体の口部に螺合されて固定される。
【0024】
前記傾斜面15は、前記底面から上方に傾斜し、円弧状に延伸する凹部の形態で設けられており、前記傾斜面15は前記ネジ14のリードと同じまたはそれ以下のリードを有している。前記傾斜面15のリードは、前記ネジ14のリードよりも大きくすると、ネジキャップ11を金型で成形した後、金型から前記ネジキャップ11を取り外すことができなくなることから、前記傾斜面15のリードは前記ネジ14のリードと同じまたはそれ以下とする。
【0025】
本実施形態のネジキャップ11は、印刷装置の治具に取り付ける際に、前記治具に凹部の形態の前記傾斜面15に対応する凸部を設けておき、前記ネジキャップ11を螺合させて取り付けると、凹部の形態である前記傾斜面15に前記治具の凸部が挿入され、前記傾斜面15の端部の段差が前記凸部の端部と当接し、前記ネジキャップ11は前記治具との相対位置が常に一定の状態で正確に位置決めされて固定されることができる。
【0026】
本実施形態のネジキャップ11は、前記傾斜面15が凹部の形態で形成されていることから、様々な形態のネジキャップとして使用することができる。例えば、前記ネジキャップ11の上面部12の底面全面にパッキンを取り付ける場合でも、前記傾斜面15は突出していないことから、特に加工することなく、前記パッキンを取り付けることができる。
【0027】
本実施形態のネジキャップ11は、第1の実施形態のネジキャップ1と同様に、前記ネジ14は従来と同様にネジ始まりを滑らかにボカスことができるので、キャッピング性能も従来と同様に十分に確保することができる。
【符号の説明】
【0028】
1,11 ネジキャップ
2,12 側面部
3,13 上面部
4,14 ネジ
5,15 傾斜面
6 環状突起
7 パッキン