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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】給水装置及び給水装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
F04D15/00 D
F04D15/00 L
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019036366
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020139479
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智大
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-194044(JP,A)
【文献】特開2017-106336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポンプと、
前記ポンプの温度が所定の第1閾値未満である低温ポンプを運転する、凍結防止処理を行うとともに、前記凍結防止処理において、停止していた低温ポンプを起動する場合に、複数の前記ポンプの運転状況に基づき、運転中ポンプがある場合に前記運転中ポンプを停止して前記運転中ポンプと停止ポンプを入れ替えるポンプ入替処理を行う、制御部と、を備え、
前記運転中ポンプの温度が前記第1閾値よりも高く設定された第2閾値未満である場合に、前記ポンプ入替処理の前に、前記運転中ポンプの運転周波数を上げるプレ入替運転を行う給水装置。
【請求項2】
前記制御部は、目標圧力一定制御にて通常運転を行うとともに、
前記凍結防止処理において、前記低温ポンプ以外に、通常運転中あるいは凍結防止運転中の運転中ポンプがある場合には、前記ポンプ入替処理を行い、ポンプ入替処理前の前記運転中ポンプの運転条件に対応する条件で、ポンプ入替処理後の前記低温ポンプを運転する、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記凍結防止処理における運転周波数は、通常運転における小水停止周波数を上限とする、請求項1または2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、目標圧力一定制御にて通常運転を行うとともに、前記凍結防止処理中に前記通常運転の制御を優先する、請求項1乃至のいずれかに記載の給水装置。
【請求項5】
前記プレ入替運転において、目標圧力一定制御に変更し、あるいは所定の割合で周波数を増加させて、前記運転中ポンプを運転する、請求項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記運転中ポンプが複数台ある場合に、温度の高いポンプから順番に停止して前記ポンプ入替処理を行う、請求項1乃至のいずれかに記載の給水装置。
【請求項7】
停止中の低温ポンプが複数ある場合に、温度の低いポンプから順番に起動する、請求項1乃至のいずれかに記載の給水装置。
【請求項8】
複数の前記ポンプ内の水の温度を直接的または間接的に検出する温度検出部が前記ポンプ毎に、設けられる、請求項1乃至のいずれかに記載の給水装置。
【請求項9】
前記温度検出部は、前記複数のポンプに接続されたインバータに搭載される、請求項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポンプ装置を備える給水装置及び給水装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置において、ポンプ装置や流路の温度が低下した場合に、ポンプ装置を運転することで、配管内の水の凍結を防止するものが知られている。また、配管にヒータを設置し、ヒータにより配管の温度を上昇させて凍結を防止する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-169568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような給水装置において、複数のポンプ装置を備えるものがある。ポンプ装置の台数や凍結防止運転の条件によっては消費電力が多くなる。一方で、凍結防止のためにヒータ等の加熱装置を用いる構成は、製造コストが増加する。
【0005】
したがって、低コストで凍結防止できる、給水装置及び給水装置の制御方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態にかかる給水装置は、複数のポンプと、前記ポンプの温度が所定の第1閾値未満である低温ポンプを運転する、凍結防止処理を行うとともに、前記凍結防止処理において、停止していた低温ポンプを起動する場合に、複数の前記ポンプの運転状況に基づき、運転中ポンプがある場合に前記運転中ポンプを停止して前記運転中ポンプと停止ポンプを入れ替えるポンプ入替処理を行う、制御部と、を備え、前記運転中ポンプの温度が前記第1閾値よりも高く設定された第2閾値未満である場合に、前記ポンプ入替処理の前に、前記運転中ポンプの運転周波数を上げるプレ入替運転を行う
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低コストで凍結防止できる、給水装置及び給水装置の制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態にかかる給水装置の構成を示す説明図。
図2】同給水装置の動作を示す説明図。
図3】同給水装置の動作を示す説明図。
図4】同給水装置の動作を示す説明図。
図5】他の実施形態にかかる給水装置の構成を示す説明図。
図6】他の実施形態にかかる給水装置の構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係る給水装置について、図1乃至図4を用いて説明する。図1は給水装置の構成を示すブロック図であり、図2乃至図4は給水装置の動作を示す説明図である。なお、説明のため、各図において適宜構成を省略して示している。
【0010】
図1に示すように、給水装置10は、複数のポンプ装置12A,12Bと、圧力検出部としての圧力センサ13と、流量検出部としての流量センサ14A,14Bと、各ポンプ装置12A,12Bに接続された複数のインバータ15A,15Bと、温度検出部としての温度センサ16A,16Bと、制御部17及び記憶部18を備える制御盤19と、を備える。一例として、給水装置10は2台のポンプ装置12A,12Bを備える。
【0011】
複数のポンプ装置12は、モータ21と、モータ21に接続されたインペラを有するポンプ部22と、を備える。ポンプ装置12は例えば所定の設置箇所に設けられたベース上に設置される。ポンプ装置12は例えば遠心ポンプであり、流体を増圧して二次側に圧送する。
【0012】
モータ21はケーブルによって制御盤19に接続される。モータ21はインバータ15を介して制御盤19内の制御基板に接続され、制御基板に搭載された制御部17の制御によって回転数制御される。
【0013】
ポンプ部22は、例えば1以上のインペラと、ポンプ吸込口及びポンプ吐出口を備えるケーシングと、を備える。
【0014】
ポンプ装置12は、モータ21の回転に伴ってインペラが回転することにより、水道配管に接続されたポンプ吸込口から液体を吸込み、給水先に接続されるポンプ吐出口から吐出する。複数のポンプ装置12の一次側は吸込管を介して水道配管、井戸または受水槽等に接続される。
【0015】
複数のポンプ装置12のポンプ吐出口の二次側には複数の個別吐出管と、複数の個別吐出管を合流する吐出連結管とを備える吐出配管が設けられている。吐出配管は例えば給水先の、例えば水道装置に接続される。
【0016】
圧力センサ13A,13Bは、複数のポンプ装置12A,12Bの二次側に接続される吐出配管において、例えば、合流管に設けられる。圧力センサ13は、例えばダイヤフラム式のセンサであり、各ポンプ装置12A,12Bの二次側の流路の圧力を検出する。圧力センサ13は、信号線を介して制御盤19の制御部17に接続され、検出した圧力信号を制御部17に送信する。
【0017】
流量センサ14A,14Bは、各ポンプ装置12A,12Bの二次側の吐出配管における個別吐出管の所定箇所に設けられている。流量センサ14A,14Bは、例えば磁石が設けられたパドル等を備え、磁石が近接された場合にホールIC等にて流量検出を行う近接式センサである。流量センサ14A,14Bは、信号線を介して制御部17に接続され、検出した流量信号を制御部17に送信する。
【0018】
複数のインバータ15A,15Bは、信号線によってポンプ装置12A、12Bのモータ21にそれぞれ電気的に接続されている。各インバータ15A,15Bは制御部17からの制御信号に応じた所定の周波数を出力することで、接続されたポンプ装置12A、12Bのモータ21A,21Bをそれぞれ所定の回転速度で回転させる。
【0019】
各インバータ15A,15Bには、各インバータ15A,15Bの温度を検出する温度センサ16A,16Bが設けられている。
【0020】
温度センサ16A,16Bは、インバータ内の温度を検出することで停止時の外気温を想定することができる。よって、検出した温度からポンプ内の水の温度を推定することが可能である。本実施形態においては、応用例としては、水温をインバータとは別の温度センサを用いることもできる。温度センサ16A,16Bは、例えばサーミスタである。温度センサ16A,16Bは、制御部17に接続され、検出した温度情報を信号に変換して制御部17に送る。
【0021】
制御盤19は、記憶部18や制御部17等の各種制御機器が搭載された回路基板を備える。また、制御盤19には漏電遮断器、直流リアクトル、電源端子台、ノイズフィルタ等の、各種制御機器や表示装置が設けられている。
【0022】
制御部17は例えばプロセッサを備える。制御部17は、流量センサ14A,14Bや圧力センサ13、温度センサ16A,16B等の各種検出装置によって検知した情報に基づき、予め記憶部18に記憶された各種プログラムに従って、複数のポンプ装置12A,12Bの動作を制御する。具体的には、制御部17は、インバータ15A,15Bに制御信号を送信し各ポンプ装置12A.12Bに対応するインバータ15A,15Bを制御する。
【0023】
例えば制御部17は、各種センサによって検出される検出値に基づき、各種の演算処理を行い、インバータ15A、15Bの周波数制御により、ポンプ装置12A,12Bのモータ21を変速運転し、または停止させる。具体的には、制御部17は、圧力センサ13で検出される吐出圧力が所定の目標圧力になるように、回転数制御及び運転停止制御を行い、吐出圧力一定制御、推定末端圧力一定制御などの、圧力フィードバック制御をする。例えば通常運転制御として、また、制御部17は、ポンプ装置12A,12Bの停止中あるいは運転中に、ポンプ装置12A,12Bの温度に基づいて凍結防止運転を行わせる凍結防止制御をする。
【0024】
記憶部18は、例えばプログラムメモリやRAM、書き換え可能なROMを備える記憶装置である。記憶部18には、例えば、制御に必要な情報として、各種プログラム、算出式、データテーブル、基準値、閾値等が記憶されている。
【0025】
例えば第1閾値T1は、停止しているポンプ装置の凍結を防止するために、凍結防止運転を開始する温度である。例えば第1閾値T1は、氷点以上である。例えば水源が井戸の場合には井戸水の水温よりも低い温度に設定される。
【0026】
第2閾値T2は凍結防止運転を終了する温度である。第2閾値T2は第1閾値T1よりも高い温度に設定される。例えば第2閾値T2は、第1閾値T1よりも数℃高い温度に設定される。
【0027】
また、凍結防止運転における上限周波数として、通常運転における小水停止時の周波数(小水停止周波数)が記憶部18に予め記憶されている。
【0028】
次に、本実施形態にかかる給水装置10の制御方法について、説明する。
【0029】
制御部17は、流量センサ14A,14Bや圧力センサ13等の各種検出装置で検出した圧力値及び流量値を検出し、流量や圧力に基づき、吐出圧力一定制御や推定末端圧一定制御などの目標圧力一定制御により通常運転制御を行う。制御部17は、各インバータ15A,15Bに制御信号を出力することで、ポンプ装置12A,12Bを駆動する。
【0030】
制御部17はさらに、温度センサ16A、16Bで検出される温度情報に基づき、凍結防止処理を行う。凍結防止処理として、制御部17は、検出温度が第1閾値T1を下回る低温ポンプについて、低温ポンプを運転する。凍結防止処理において、例えば低温ポンプが停止中であった場合には起動して凍結防止運転を開始する。
【0031】
制御部17は、複数のポンプ装置12A,12Bの運転状況に基づき、凍結防止処理において運転中ポンプを停止して運転中ポンプと前記停止ポンプを入れ替えるポンプ入替処理を行う。例えば、制御部17は、凍結防止制御において、低温ポンプ以外に、運転している運転中ポンプがある場合、当該運転中ポンプを停止して、低温ポンプを起動する、ポンプ入替処理を行う。このポンプ入替処理により、ポンプ装置の運転台数が維持される。
【0032】
制御部17は、ポンプ入替処理として、例えば凍結防止運転中または通常運転中ポンプの温度が、第2閾値T2以上である場合には、運転中ポンプを停止して、停止されていた低温ポンプを起動する。一方、制御部17は、凍結防止運転中のポンプ温度が第2閾値T2未満である場合には、運転周波数を上げるプレ入替運転を行うことで、温度上昇させる。そして、プレ入替運転により運転中ポンプの温度が第2閾値T2以上となったら運転を停止し、代わりに低温ポンプを起動して切替え運転を行う。プレ入替運転において、例えば周波数一定にて凍結防止運転をしていた場合には、例えば目標圧一定制御に切替えることにより周波数を上げ、あるいは周波数を所定時間毎に所定の増加割合で周波数を上昇させる。なお、凍結防止運転における周波数は、通常運転における小水停止運転周波数を上限とする。
【0033】
なお、ポンプ入替後の低温ポンプの運転条件は、ポンプ入替前の運転中ポンプの運転状況に対応させる。例えば運転中ポンプが通常運転中であった場合には、当該運転中ポンプの通常運転の条件を引き継いで運転する。運転中ポンプの運転状態が凍結防止用の周波数一定運転であった場合には、入替後の低温ポンプは当該凍結防止運転の条件を引き継ぎ、周波数一定にて運転する。
【0034】
制御部17は、凍結防止制御において、通常運転制御を優先することとする。例えば、凍結防止運転中に、通常運転におけるポンプ起動条件を満たした場合には、当該通常運転制御における運転条件に切替えて運転する。
【0035】
以下、2台のポンプ装置を、最大運転台数1台として、交互運転する場合の具体例について、図2乃至図4を用いて説明する。図2は、2台のポンプ装置12A,12Bが共に停止していた場合に、いずれか一方が低温ポンプである場合を示す。例えば図2に示すように、例えば2台のポンプ装置12A,12Bが停止している場合(ST21)に、一方のポンプ装置12Aの温度TH1を検出し、検出温度TH1が凍結防止運転基準温度である第1閾値T1未満の場合(ST22)、ポンプ装置12Aを起動し、凍結防止運転として、例えば周波数一定にて運転する(ST23)。そして、凍結防止運転中のポンプ装置12Aの温度TH1が所定の停止基準温度である第2閾値T2以上になったら(ST24)、凍結防止運転を停止する(ST21)。
【0036】
また、制御部17は、もう一方のポンプ装置12Bの温度TH2を検出し、検出温度TH2が第1閾値T1以上である場合には(ST25)、ポンプ装置12Bは停止したままとする(ST26)。
【0037】
なお、上記実施形態においては、ポンプ装置12Aのみが低温ポンプである場合を説明したが、ポンプ装置12Bのみが低温ポンプである場合も同様であり、検出温度TH2が第1閾値T1未満である場合に、ポンプ装置12Bを起動して凍結防止運転を開始し、検出温度TH2が第2閾値T2以上になったら、ポンプ装置12Bの凍結防止運転を停止する。
【0038】
図3は、2台のポンプ装置12A,12Bがいずれも停止中であって、2台とも、所定の第1閾値T1を下回る低温ポンプである場合を示す。図3に示すように、2台のポンプ装置12A,12Bがいずれも停止中であって、ポンプ装置12Bの検出温度TH2も第1閾値T1未満である場合(ST27)、すなわち2台とも第1閾値T1を下回った場合には、凍結防止運転をしていたポンプ装置12Aを停止して、運転ポンプを入れ替える入れ替え処理を行う。具体的には、先に凍結防止運転をしていた運転中のポンプ装置12Aについて、運転条件を変更し、例えば目標圧一定制御として周波数を上げることで、温度を上昇させる(ST28)。そして、ポンプ装置12Aの検出温度TH1が所定の停止基準温度である第2閾値T2以上になったら(ST29)、ポンプ装置12Aの凍結防止運転を停止し(ST31)、ポンプ装置12Bを起動して凍結防止運転を開始する(ST32)。そして、ポンプ装置12Bの検出温度TH2が上昇して第2閾値T2以上となったら(ST33)、ポンプ装置12Bの凍結防止運転を停止する(ST34)。
【0039】
なお、運転中ポンプが、凍結防止運転中ではなく、通常の運転条件に基づく給水運転中であった場合には、当該給水運転の条件を引き継いで運転する。なお、ポンプ装置12A、12Bの検出温度TH1、TH2がいずれも第1閾値T1以上であればポンプ装置12A,12Bの運転状態はそのまま維持し、例えば停止中の場合は停止したままとする。
【0040】
次に、1台のポンプ装置12Aが運転中で、もう1台のポンプ装置12Bが停止中の場合について、図4を参照して説明する。例えばポンプ装置12Aが運転中で(ST41)、もう1台のポンプ装置12Bが停止中の場合には(ST45)、制御部17は、まず2台のポンプ装置の温度TH1、TH2を検出し、運転中ポンプであるポンプ装置12Aの検出温度TH1が第2閾値T2以上であり、かつ、停止中ポンプであるポンプ装置12Bの温度TH2が第1閾値T1未満である場合には(ST42)、運転中ポンプと停止中ポンプを入れ替えて運転するポンプ入れ替え処理を行う。具体的には、例えば、通常運転中または凍結防止運転中であって温度が第2閾値以上であるポンプ装置12Aを停止し(ST43)、停止していたポンプ装置12Bを起動し(ST44)、入替前のポンプ装置12Aの運転条件で、運転する。
【0041】
一方、1台のポンプ装置12Aが運転中で、もう1台のポンプ装置12Bが停止中の場合、運転中ポンプの検出温度TH1がT1未満で、ポンプ装置12Bの検出温度TH2がT1上だった場合、すなわちST42に該当しない場合、そのままの状態を維持し、ポンプ装置12Aは運転を継続し(ST41)、ポンプ装置12Bは停止したままとする(ST45)。
【0042】
また、1台のポンプ装置12Aが運転中で、もう1台のポンプ装置12Bが停止中の場合に、ポンプ装置12A,12Bの検出温度TH1,TH2が両方とも第1閾値T1未満の場合には、制御部17は、プレ入替運転を行ってからポンプを入れ替える。すなわち、既に運転している運転中ポンプであるポンプ装置12Aの運転条件を変更して温度上昇を促進させ、当該ポンプ装置12Aの温度が第2閾値T2以上となったら停止し、停止していたポンプ装置12Bを運転する。通常運転中の運転中のポンプ装置が低温ポンプである場合には、その通常運転を継続する。
【0043】
本実施形態にかかる給水装置10によれば、温度センサを用いる簡単な構成にて、凍結防止が可能となる。したがって、例えば高価な加熱装置を用いる場合と比べて低コストで実現できる。また、温度に応じた周波数制御をすることで、外気温が比較的高い凍結防止運転時には従来のヒータを使用した凍結防止に比べて電力消費を抑えることができる。さらに、ポンプ入替処理を行うことで、たとえ消費電力が最大値以下であっても、最大運転台数維持することができ、最大運転台数の設定に応じた運転が可能であり、ユーザの仕様に応じた制御が可能である。
【0044】
さらに、給水装置10によれば、インバータに搭載された温度センサを兼用することにより凍結防止のための構成を追加する必要がなく、より安価に実現できる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態において、2台のポンプ装置12A、12Bを備える構成を例示したが、これに限られるものではなく、ポンプ装置を3台、あるいは4台以上、備える構成であってもよい。例えば他の実施形態として図6に示す給水装置10Aは、3台のポンプ装置12A,12B,12Cを備える。この場合、制御部17は、例えば、複数台の停止中のポンプ装置を起動する場合には、起動順番は、温度の低いポンプ装置から順番に起動するように制御する。
【0046】
また、制御部17は、複数台のポンプを運転中に、ポンプ入替制御を行う場合には、温度の高いポンプ装置から順番に減台する。
【0047】
具体的には、例えば2台以上のポンプを運転している状態で、第1閾値T1未満の低温ポンプがある場合、その他の運転中のポンプのうち、最も温度が高いポンプ装置の温度が第2閾値T2以上であれば停止し、第2閾値T2未満である場合には周波数をあげて第2閾値T2以上になったら停止し、停止していた低温ポンプを起動して、ポンプの入れ替えをする。なお、例えば2台以上のポンプを通常運転している場合、一方が定格運転であり、他方が変速運転であるような場合には、より温度の高い定格運転中のポンプ装置を停止し、変速運転していたポンプ装置を定格運転とし、新たに起動する低温ポンプ装置は、変速運転していたポンプ装置の運転条件で、変速運転するように、制御してもよい。
【0048】
上記第1実施形態においては、運転台数を維持するようにポンプ入替処理を行う例を示したが、最大運転台数の設定によっては、ポンプ入替処理をせずに、低温ポンプを起動して増台するように制御してもよい。例えば、複数台のポンプ装置のいずれかが第1閾値T1を下回ったら、当該ポンプ装置を起動するように制御してもよい。この場合にあっても、例えばインバータに搭載された温度センサを用いることで、低コストにて、凍結防止の実現が可能である。
【0049】
上記第1実施形態において、インバータに搭載された温度センサを兼用する例を示したが、これに限られるものではなく、例えば温度センサ16A,16Bは制御盤19やポンプ部22A,22B、あるいは配管に、設けてもよい。温度センサ16A,16Bは例えばポンプ内の水の温度を直接的または間接的に検出する。例えば他の実施形態として図6に示すように、ポンプ装置12A,12Bに温度センサ16A,16Bが設けられている。この場合にあっても、温度センサ16A,16Bを用い、低コストにて凍結防止が可能である。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(1)
複数のポンプと、
前記ポンプの温度が所定の第1閾値未満である低温ポンプを運転する、凍結防止処理を行うとともに、前記凍結防止処理において、停止していた低温ポンプを起動する場合に、複数の前記ポンプの運転状況に基づき、運転中ポンプがある場合に前記運転中ポンプを停止して前記運転中ポンプと停止ポンプを入れ替えるポンプ入替処理を行う、制御部と、を備える、給水装置。
(2)
前記制御部は、停止ポンプと運転中ポンプとがあり、前記停止ポンプの温度が第1閾値未満であり、前記運転中ポンプの温度が前記第1閾値よりも高く設定された第2閾値以上である場合に、前記ポンプ入替処理を行う、(1)に記載の給水装置。
(3)
前記制御部は、温度が前記第1閾値未満となる前記低温ポンプ以外に、通常運転中あるいは凍結防止運転中のポンプが無い場合には、凍結防止処理において、一定周波数で凍結防止運転するとともに、第1閾値よりも高い第2閾値以上となった場合に前記凍結防止運転を終了する、(1)に記載の給水装置。
(4)
前記制御部は、目標圧力一定制御にて通常運転を行うとともに、
前記凍結防止処理において、前記低温ポンプ以外に、通常運転中あるいは凍結防止運転中のポンプがある場合には、前記ポンプ入替処理を行い、ポンプ入替処理前の前記運転中ポンプの運転条件に対応する条件で、ポンプ入替処理後の前記低温ポンプを運転する、(1)乃至(3)のいずれかに記載の給水装置。
(5)
前記凍結防止処理における運転周波数は、通常運転における小水停止周波数を上限とする、(1)乃至(4)のいずれかに記載の給水装置。
(6)
前記制御部は、目標圧力一定制御にて通常運転を行うとともに、前記凍結防止処理中に前記通常運転の制御を優先する、(1)乃至(5)のいずれかに記載の給水装置。
(7)
前記運転中ポンプの温度が前記第1閾値よりも高く設定された第2閾値未満である場合に、前記ポンプ入替処理の前に、前記運転中ポンプの運転周波数を上げるプレ入替運転を行う、(1)乃至(6)のいずれかに記載の給水装置。
(8)
前記プレ入替運転において、目標圧力一定制御に変更し、あるいは所定の割合で周波数を増加させて、前記運転中ポンプを運転する、(7)に記載の給水装置。
(9)
前記運転中ポンプが複数台ある場合に、温度の高いポンプから順番に停止して前記ポンプ入替処理を行う、(1)乃至(8)のいずれかに記載の給水装置。
(10)
停止中の低温ポンプが複数ある場合に、温度の低いポンプから順番に起動する、(1)乃至(9)のいずれかに記載の給水装置。
(11)
複数の前記ポンプ内の水の温度を直接的または間接的に検出する温度検出部が前記ポンプ毎に、設けられる、(1)乃至(10)のいずれかに記載の給水装置。
(12)
前記温度検出部は、前記複数のポンプに接続されたインバータに搭載される、(11)に記載の給水装置。
(13)
複数のポンプと、
前記複数のポンプに接続されたインバータに搭載され、複数の前記ポンプの温度を間接的に検出する温度検出部と、
前記ポンプの検出温度に基づき、検出温度が所定の第1閾値未満である低温ポンプを運転する、凍結防止処理を行う給水装置。
(14)
複数のポンプの温度を直接的または間接的に検出し、
前記ポンプの検出温度に基づき、検出温度が所定の第1閾値未満である低温ポンプを運転する、凍結防止処理を行うとともに、前記凍結防止処理において、停止していた低温ポンプを起動する場合に、複数の前記ポンプの運転状況に基づき、運転中ポンプがある場合に前記運転中ポンプを停止して前記運転中ポンプと停止ポンプを入れ替えるポンプ入替処理を行う、給水装置の制御方法。
【符号の説明】
【0051】
10…給水装置、10A…給水装置、12(12A,12B,12C)…ポンプ装置、13…圧力センサ(圧力検出部)、14(14A、14B、14C)…流量センサ、15(15A,15B,15C)…インバータ、16(16A、16B、16C)…温度センサ、17…制御部、18…記憶部、19…制御盤、21(21A,21B,21C)…モータ、22(22A,22B,22C)…ポンプ部、T1…第1閾値、T2…第2閾値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6