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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】包装機用の帯状包装材吸着装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 20/10 20060101AFI20231107BHJP
   B65B 9/20 20120101ALI20231107BHJP
   B65H 19/16 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B65H20/10 B
B65B9/20
B65H19/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019227683
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021095253
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月9日にFOOMA JAPAN 2019 国際食品工業展(東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1))にて、株式会社川島製作所が、フィルム吸引装置を搭載した包装機を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年10月29日にJAPAN PACK 2019 日本包装産業展(幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1))にて、株式会社川島製作所が、フィルム吸引装置を搭載した包装機を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100193998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 純一
(72)【発明者】
【氏名】梓澤 祐
(72)【発明者】
【氏名】山本 博久
(72)【発明者】
【氏名】窪井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】中澤 健太
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-254084(JP,A)
【文献】特開2000-296961(JP,A)
【文献】特開2019-119508(JP,A)
【文献】特開2015-182375(JP,A)
【文献】実開平04-009845(JP,U)
【文献】特公昭47-011135(JP,B1)
【文献】特開昭51-051308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00- 19/30
B65H 21/00- 21/02
B65B 9/00- 9/24
B65B 47/00- 47/10
B65H 20/00- 20/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包装材の一部を吸引して一時的に保持する帯状包装材吸着手段を備えた包装機用の帯状包装材吸着装置であって、
前記帯状包装材吸着手段を、前記帯状包装材の一部を複数個の吸引孔を介して吸着する帯状包装材吸着プレートと、この帯状包装材吸着プレートに設けられ且つ外部からの負圧エアを前記吸引孔に供給する負圧エア供給部材とを備えて構成し、
前記帯状包装材吸着プレートには、その長さ方向にわたって前記各吸引孔をそれぞれ連結する非直線状の連続変形溝が形成され
前記連続変形溝は、波型形状であり、
前記波型形状の連続変形溝は、互いに平行な2列で構成され、
前記2列の連続変形溝は、その2列間の中心線に対して対称配置されると共に、互いの波型の最も近い位置のそれぞれの頂点部に前記複数の吸引孔を連結したことを特徴とする包装機用の帯状包装材吸着装置。
【請求項2】
請求項に記載の包装機用の帯状包装材吸着装置において、
前記負圧エア供給部材には、前記複数個の吸引孔に前記負圧エアを一括して供給する負圧エア供給室が形成されていることを特徴とする包装機用の帯状包装材吸着装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装機用の帯状包装材吸着装置において、
前記複数の吸引孔は、前記帯状包装材の幅方向中心が通過する位置を中心としてその左右側に均等間隔で配置されていることを特徴とする包装機用の帯状包装材吸着装置。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれか一項に記載の包装機用の帯状包装材吸着装置において、
前記帯状包装材の一部は巻取りロールから繰り出された帯状包装材の先端領域部で構成され、
この先端領域部は、先に使用された巻取りロールから繰り出された帯状包装材の後端領域部と接続されることを特徴とした包装機用の帯状包装材吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装機用の帯状包装材吸着装置に係り、さらに詳しくは、繰り出された帯状包装材の後端領域部と、巻取りロールに巻着された次の帯状包装材の先端領域部と、を接続する際に使用される包装機用の帯状包装材吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻取りロールから繰り出された帯状包装材である帯状フィルムを製袋器で筒状に成形し、成形されたその筒状フィルムを垂直下方に給送して筒状フィルムの重合端縁部に縦シールを施した後、被包装品である製品が投入、充填され、次いで、製品と製品の間の位置で、筒状フィルムの幅方向に横シールを施し、当該横シールの中央部においてカッタで切断することにより、製品が袋部内に充填された所謂ピロー包装体を製作する縦型製袋充填包装機が各種の産業分野で広く使用されている。
【0003】
上記縦型製袋充填包装機において、現在使用されている巻取りロールには、予め決められた数量のピロー包装体を製作できるような量の帯状フィルムが巻着されている。
そして、その巻取りロールに巻着された帯状フィルムを使い切った後は、次に使用される新しい巻取りロールが準備されており、この巻取りロールにも予め決められた量の帯状フィルムが巻着されている。
【0004】
新旧の巻取りロールの入れ替えに際しては、使用中の巻取りロールから繰り出された帯状フィルムが終端に達した時点を公知の終端判定手段により判定した後、所定の位置で終端近傍の帯状フィルムをカッターで切断し、次いで、この切断された帯状フィルムの後端領域と、所定位置に設定された次に使用される新しい巻取りロールの先端領域と、を接続するウェブ材の終端検出装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
この特許文献1に開示されたウェブ材の終端検出装置によれば、巻取りロール(ロール体)の帯状フィルムの流れの下流側にウェブ材吸着手段が配設され、このウェブ材吸着手段は一対の吸着プレートを備えて構成されている。
一対の吸着プレートには、それぞれ複数個の吸引孔が吸着プレートの長手方向に沿って1列状に、且つ所定間隔で形成され、これらの吸引孔から真空により帯状フィルムが吸引されるようになっている。また、一対の吸着プレート間にはスリットが形成されており、このスリット内をカッターがスライドすることで帯状フィルムの終端領域が切断されるようになっている。
【0006】
帯状フィルムの終端領域が切断された後は、その帯状フィルムの流れの下流側の後端領域部は、一対の吸着プレートの下流側の吸着プレートの吸引孔により吸引された状態でその位置に保持されるが、切断されたロール体側の帯状フィルムは使用済みとしてロール体ごと取外される。
【0007】
その後、取外されたロール体は、一定量の帯状フィルムが巻着され次に使用する新しいロール体と取り替えられるが、このとき、新しいロール体から帯状フィルムの先端部領域が、一対の吸着プレートの上流側の吸着プレート上にまで引き出される。
このとき一対の吸着プレートの吸引孔には真空が供給され作用が開始されており、これにより、帯状フィルムが吸引され、その帯状フィルムが一対の吸着プレートに吸着・固定されるようになっている。
【0008】
ここで、上述したように、前記特許文献1に開示されている一対の吸着プレートには、その長手方向に沿って1列状に、且つ所定間隔で複数個の吸引孔が形成されているが、このような吸着プレートに換えて、図10(A)に示すように、一対の吸着プレート51,51に複数本の縦溝51aを形成した構成の帯状フィルム吸着装置50も一般に使用されている。
【0009】
すなわち、一対の吸着プレート51,51は、幅寸法の異なる各種帯状フィルムFwに対応できるような長さに形成されており、この吸着プレート51,51には、その長さ方向と直交し、且つ長さ方向に所定間隔で複数本の上記縦溝51aが形成されている。なお、図10(A)では、19本の縦溝51aが形成されている。
そして、これらの各縦溝51aの長さ方向中心部(吸着プレート51,51の幅方向中心部)には、それぞれ縦溝51aの幅寸法と略等しい大きさの寸法の内径となった複数個の吸引孔51bがあけられている。
【0010】
また、前記特許文献1に開示されている一対の吸着プレートに換えて、図10(B)に示すように、1本の横溝61aを一対の吸着プレート61,61のそれぞれの長さ方向に沿って形成した構成の帯状フィルム吸着装置60も考えられる。
すなわち、吸着プレート61,61は、幅寸法の異なる各種帯状フィルムFwに対応できるような長さに形成されており、これらの吸着プレート61,61の幅方向中心部には、当該吸着プレート61,61の長さ方向にそって、その一部領域から他端部領域にわたって上記1本の横溝61aがそれぞれ形成されている。
そして、この横溝61aの長さ方向に、所定間隔で、横溝61aの幅寸法と略等しい大きさの寸法の内径となった複数個の上記吸引孔61bがあけられている。なお、図10(B)では、横溝61aの中央部寄りに7個の吸引孔61bがあけられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2007-254084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたウェブ材の終端検出装置では、上述のように、一対の吸着プレートにそれぞれ複数個の吸引孔が所定間隔で1列に配置されており、すべての吸引孔を駆動させた場合、使用される帯状フィルムFwの幅によっては、その幅より外側の吸引孔は無駄な駆動となる。そのため、吸引孔の制御が必要となり、帯状フィルムFwの幅に対応して吸引孔の位置を制御しなければならず、面倒である。
また、帯状フィルムFwの幅と吸引孔の位置とが合わないことがあり、その場合、吸引孔間の幅までしか吸引できず、帯状フィルムFwにおいて吸引孔を外れた部位を吸引できない、という課題がある。
【0013】
前記図10(A)に示すような構成の吸着プレート51では、吸着プレート51の長手方向に所定間隔で複数の縦溝51aが形成されており、使用される帯状フィルムFwによっては、その幅と各縦溝51aとの位置が最適の位置関係とならず、帯状フィルムFwの幅方向端部が縦溝51aから必要以上に離れてしまうこともあり、帯状フィルムFwの幅方向端部は吸引されない、という課題がある。そのため、帯状フィルムFwの幅によっては利用できる縦溝51aを選択する必要がある。
ここで、吸引孔51bおよび縦溝51aはそれぞれ別駆動となっているが、駆動源が少なくてすむように、幾つかの吸引孔51bをまとめたものを一ユニットとして、その設定したものを予め複数ユニット準備しておき、駆動源が少なくてすむように、フィルム幅に対応させて最適なユニットを用いて吸引することになるが、帯状フィルムFwに応じて、その都度ユニットを選択しなければならず、作業が面倒である。
【0014】
また、図10(B)に示すような構成では、使用される帯状フィルムFwが一般的な帯状フィルムFwに比べて柔らかい帯状フィルムだと、その帯状フィルムが吸引孔61bに吸引されたとき、吸引孔61bの周囲の横溝61aに帯状フィルムが密着して且つ横溝61aに入り込み、その吸引孔61b、横溝61aを塞いでしまい、その結果、帯状フィルムにおいて吸引孔61bの外側より広い部分のフィルム端まで吸引できない、という課題がある。
【0015】
〔発明の目的〕
本発明は上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、様々な種類および幅寸法の帯状包装材であっても、その帯状包装材の幅方向両端まで確実に吸引することができる包装機用の帯状包装材吸着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の包装機用の帯状包装材吸着装置は、帯状包装材の一部を吸引して一時的に保持する帯状包装材吸着手段を備えた包装機用の帯状包装材吸着装置であって、
前記帯状包装材吸着手段を、前記帯状包装材の一部を複数個の吸引孔を介して吸着する帯状包装材吸着プレートと、この帯状包装材吸着プレートに設けられ且つ外部からの負圧エアを前記吸引孔に供給する負圧エア供給部材とを備えて構成し、
前記帯状包装材吸着プレートには、その長さ方向にわたって前記各吸引孔をそれぞれ連結する非直線状の連続変形溝が形成され
前記連続変形溝は、波型形状であり、
前記波型形状の連続変形溝は、互いに平行な2列で構成され、
前記2列の連続変形溝は、その2列間の中心線に対して対称配置されると共に、互いの波型の最も近い位置のそれぞれの頂点部に前記複数の吸引孔を連結したことを特徴とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装機用の帯状包装材吸着装置によれば、負圧エア供給部材から帯状包装材吸着プレートに負圧エアが供給され吸引孔を介して帯状包装材の一部が吸引されるとき、帯状包装材吸着プレートに非直線状の連続変形溝が形成されており、この連続変形溝の抵抗により帯状包装材の連続変形溝への喰付きが防止される。その結果、様々な種類および幅寸法の帯状包装材であっても、その帯状包装材の幅方向両端まで確実に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る包装機用の帯状包装材吸着装置の一実施形態を装備した縦型製袋充填包装機を示す全体斜視図である。
図2】前記実施形態の帯状包装材吸着装置で吸着プレートと保持プレートとの間で帯状包装材を切断した状態を示す斜視図である。
図3】前記実施形態の帯状包装材吸着装置で次に使用する巻取りロールから帯状包装材の先端領域部が引き出された状態を示す斜視図である。
図4】前記実施形態の帯状包装材吸着装置で次に使用する巻取りロールの先端と切断された帯状包装材の後端領域部とを接続した状態を示す斜視図である。
図5】前記実施形態の帯状包装材吸着装置の吸着プレートを表し、図5(A)は吸着プレートの全体平面図であり、図5(B)は図5(A)のB矢視であり吸着プレートの全体側面図である。
図6図6(A)は前記図5(A)におけるVI矢視図であり、図6(B)は図5(A)におけるX―Xに沿った拡大断面図である。
図7】前記実施形態の吸着プレートと負圧エア供給部材とを示す分解斜視図である。
図8】前記実施形態の吸着プレートの裏面を示す平面図である。
図9図9(A)~()は本発明の吸着プレートの変形形態を示す平面図である。
図10図10(A)は従来の縦溝が形成されている吸着プレートを示す平面図であり、図10(B)は従来の横溝が形成されている吸着プレートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図1~8を参照して本発明に係る包装機用の帯状包装材吸着装置(以下、単に吸着装置という)10の一実施形態を説明する。
【0020】
〔吸着装置を装備した縦型製袋充填包装機の全体構成〕
図1に示すように、縦型製袋充填包装機1は、吸着装置10を装備して構成され、所定量の帯状包装材である帯状フィルムFwが巻着された巻取りロールFrを備えている。
巻取りロールFrの帯状フィルムFwの流れの下流側には、矢印A方向に揺動して帯状フィルムFwに最適のテンションを供給するテンション機構2が配置され、このテンション機構2の流れのさらに下流側には、当該テンション機構2を経由した帯状フィルムFwを筒状に形成する製筒器3と、この製筒器3で形成された筒状フィルムFtを装着する製袋充填筒4が配置されている。
【0021】
製袋充填筒4には、筒状フィルムFtを下流に送る紙送り機構5と、筒状フィルムFtの重ね合わされた両端部に縦シールを施す縦シール装置6が装備されている。
また、縦シール装置6の下流には、所定の製品Pが投入された筒状フィルムFtの製品投入側を、両側から加圧接触させ、その後に加熱シールする横シール装置7が配設されている。
【0022】
〔吸着装置の構成〕
前記吸着装置10は、前記巻取りロールFrとテンション機構2との間にガイドロール8を介して配設されている。
巻取りロールFrには、一定量の前記帯状フィルムFwが巻着されている。そして、吸着装置10は、先に使用されている巻取りロールFr1から帯状フィルムFwがその終端まで繰り出された後、その終端近傍で切断された帯状フィルムFwの後端領域部Fw1(図2参照)と、一定量の帯状フィルムFwが巻着されている次に使用される巻取りロールFr2の帯状フィルムFwの一部である先端領域部Fw3(図3参照)とを接続する際に使用されるものである。
【0023】
吸着装置10は、上述のように、次に使用される巻取りロールFr2の下流側に配設され、その巻取りロールFr2から引出された帯状フィルムFwの先端領域部Fw3を吸引して一時的に保持する帯状包装材吸着手段(以下、単に吸着手段という)12を備えて構成されている。
【0024】
吸着手段12は、上述のように帯状フィルムFwの先端領域部Fw3を吸引して一時的に保持するする帯状包装材吸着プレート(以下、単に吸着プレートという)13と、この吸着プレート13に着脱可能に設けられると共に、当該吸着プレート13に形成されている複数の吸引孔13bに負圧エアを供給する負圧エア供給部材14とを備えて構成されている。
【0025】
吸着プレート13は、帯状フィルムFwの幅方向にわたって配設されると共に、当該帯状フィルムFwの幅寸法を越えた長さに形成され、その長さ方向には、一端部領域から他端部領域にわたって形成された非直線状の連続変形溝13aが互いに平行となって2列設けられている。
【0026】
図5に示すように、連続変形溝13aは波形状に形成されており、この連続変形溝13aには、複数の吸引孔13bが連結されている。そして、実施形態では、2列の連続変形溝13aのそれぞれに7個の吸引孔13bがあけられている。
また、図6に示すように、連続変形溝13aの幅寸法wは、例えば、0.7mmに形成され、また、吸引孔13bの孔径φは、例えば、0.7mmに形成されている。つまり、溝幅と孔径とが同一寸法となっている。
但し、これらの各寸法に限定されないが、少なくとも、吸引孔13bの孔径φより連続変形溝13aの幅寸法が大きいことが好ましい。
【0027】
形状の連続変形溝13aの一つの波の高さhは、図5(A)に示すように、例えば10mmとなっており、底辺間の寸法Lは、例えば20mmとなっている。つまり、波の頂点の角度α°は90°となっている。但し、これらの各寸法に限定されない。
また、上述のように、連続変形溝13aは、互いに平行な2列で構成されている。
そして、2列の連続変形溝13a間の互いの波型の頂点同士が最も接近したときの頂点同士、つまり、吸引孔13b,13b間の間隔L1は、例えば、5mmに設定されている。但し、これらの各寸法には限定されない。
【0028】
図5(A)に詳細を示すように、平行な2列の連続変形溝13aの対向する7箇所の頂点位置に、それぞれ前記吸引孔13bがあけられている。これらの7個の吸引孔13bのうち、中央部の吸引孔13bは、その吸引孔13bを通過する帯状フィルムFwの幅方向中心と対応しており、中央部の吸引孔13bの左右に、他の吸引孔13bが均等間隔で3箇所にあけられている。
また、吸引孔13bは、図5(B)に示すように、帯状包装材吸着プレート13の上部から下部まで貫通している。
【0029】
連続変形溝13aが波形状に形成されているので、帯状フィルムFwが吸引される際に、吸引孔13bおよび連続変形溝13aに引き込まれないようにしようとする抵抗力が大きくなり、これにより、連続変形溝13a等に喰い付き難くなり、その結果、帯状フィルムFwの幅方向両端部まで、確実に吸着することができる。
また、連続変形溝13aが波形状に形成されているので、吸引力が及ぶ有効面積を広くすることができ、これによっても、帯状フィルムFwの幅方向両端部まで、確実に吸着することができる。
【0030】
図6(A)に示すように、前記負圧エア供給部材14は、取付けボルト15を負圧エア供給部材14側から差し込んで、負圧エア供給部材14の裏面がわにあけられているネジ孔13cに螺合させることにより、吸着プレート13の裏面に着脱自在に取り付けられている。
この負圧エア供給部材14には、複数の吸引孔13bに負圧エアを一括して供給できるような大きさの負圧エア供給室14aが形成されている。
すなわち、負圧エア供給室14aは、負圧エア供給部材14の裏面から所定深さに掘り下げられた凹部で形成されており、この凹部は、吸着プレート13の2列の波型の連続変形溝13,13にあけられている並列状態の14個の吸引孔13bの全部を覆える大きさとなっている。
【0031】
図5,7に示すように、前記負圧エア供給部材14の一側面には、負圧エアを負圧エア供給室14aに供給する負圧エア供給接続具16が取付けられている。
接続具16は、取付け本体部16aとその先端に形成されたネジ部16bとを有し、その取付け本体部16aおよび先端ネジ部16bの径方向中心には、負圧エア流入孔があけられており、この負圧エア流入孔を介して、次に述べる真空エジェクタから負圧エアが供給されるようになっている。
【0032】
取付け本体部16aには、配管ホース17が接続されており、この配管ホース17の基端部側所定位置には、図示しないが、真空発生器としての真空エジェクタが配設されている。そして、この真空エジェクタでは、当該真空エジェクタに送られた圧縮エアがノズルにより絞られ、高速でディフューザに流入することで圧力が低下し、これにより、真空が発生する構成となっている。
【0033】
図2~4に示すように、前記吸着装置10の下流側には、吸着プレート13と対向して保持プレート18が配置されており、この保持プレート18は、帯状フィルムFwの切断された後端領域部Fw1を一時的に保持するものである。
この保持プレート18は、図示しない吸着手段を装備しており、この吸着手段を駆動させることで、帯状フィルムFwの後端領域部Fw1を保持するようになっている。
【0034】
〔吸着装置の作用〕
次に、前記実施形態の吸着装置10の作用を図2~4に基づいて説明する。
まず、図2に示すように、吸着プレート13と保持プレート18との隙間Sにカッター(図略)の刃先を沿わせて移動させて、帯状フィルムFwを、既に供給されているテンション機構2側の帯状フィルムFwの後端領域部Fw1と、現在使用されている巻取りローFr2に巻着されている帯状フィルムFwの巻残り領域部Fw2とに切断される。
このとき、帯状フィルムFwの後端領域部Fw1は、保持プレート18に保持されている。
【0035】
次いで、帯状フィルムFwの巻残り領域部Fw2ごと巻取りローFr1が所定の位置から取り外され、この巻取りローFr1に代わって、図3に示すように、所定量の帯状フィルムFwが巻着されて次に使用される巻取りローFr2が所定の位置に設置される。
そして、巻取りローFr2から帯状フィルムFwの先端領域部Fw3が引出されると共に、その先端領域部Fw3は、吸着プレート13の上面に載せられる。
【0036】
前述したように、この時点では、すでに吸着プレート13の吸引孔13bには負圧エアが供給され、その負圧エアが吸引孔13bを介して連続変形溝13に作用している。そのため、帯状フィルムFwの先端領域部Fw3は吸着プレート13に吸着される。
その後、図4に示すように、テープTにより帯状フィルムFwの後端領域部Fw1と先端領域部Fw3とが接続されて、両者Fw1,Fw3が一体化される。
この際、テープTは幅広のものが使用され、その幅方向の一方側が後端領域部Fw1の端部領域に貼られると共に、幅方向の他方側が先端領域部Fw3の端部領域に貼られ、その状態で、帯状フィルムFwの幅方向全域にわたって貼り付けられる。
【0037】
新旧の帯状フィルムの先端領域部Fw3、後端領域部Fw1の確実な接続を確認したら、吸着プレート13および保持プレート18の吸着動作を停止させ、一体化した帯状フィルムFwが吸着プレート13および保持プレート18の上面を支障なく走行できることを確認して正常な製袋作業に移行する。
ただし、接続された新旧の帯状フィルムの先端領域部Fw3、後端領域部Fw1の部分が含まれた袋部は、横シールが施行された後、不良品として排出されるようになっている。
【0038】
以上のような構成の吸着装置10によれば、次のような効果が得られる。
(1)負圧エア供給部材14から吸着プレート13に負圧エアが供給され吸引孔13bを介して帯状フィルムFwの引出された先端領域部Fw3が吸引されるとき、吸着プレート13に形成された連続変形溝13の抵抗により帯状フィルムFwの連続変形溝13への喰付きが防止される。その結果、様々な種類および幅寸法の帯状フィルムFwであっても、その帯状フィルムFwの幅方向両端まで確実に吸引することができる。
【0039】
(2)連続変形溝13が波型に形成されており、その波型の頂点部に吸引孔13bがあけられ、その頂点部から90°で連続変形溝13が折り返された形状となっているので、帯状フィルムFwが吸引される際に吸引孔13bおよび連続変形溝13aに引き込まれないようにしようとする抵抗力が大きくなるので、連続変形溝13a等に喰い付き難くなり、その結果、帯状フィルムFwの幅方向両端部まで、確実に吸着することができる。
【0040】
(3)連続変形溝13aが波形状に形成されているので、吸引力が及ぶ有効面積を広くすることができ、これによっても、帯状フィルムFwの幅方向両端部まで、確実に吸着することができる。
【0041】
(4)吸着プレート13には、連続変形溝13aが互いに平行となって2列設けられ、それぞれの連続変形溝13aが波形状となっているので、吸引力が及ぶ有効面積を、1列の場合に比べて2倍の広さとすることができ、これにより、帯状フィルムFwの幅方向両端部まで、より確実に吸着することができる。
【0042】
(5)負圧エア供給部材14に形成されている負圧エア供給室14aは、吸着プレート13に形成された2列の波型連続変形溝13の互いに最も近い位置の12個の吸引孔13bを覆える大きさに形成されているので、負圧エア供給部材14を小型化することができる。
【0043】
(6)複数の吸引孔13bのうち、中央の吸引孔13bは帯状フィルムFeの幅方向中心に対応しており、他の吸引孔13bがそこから左右方向に均等に配置されているのでバランスよく配置され、これにより、帯状フィルムFwの幅方向両端部まで、より確実に吸着することができる。
【0044】
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0045】
例えば、前記実施形態では、非直線状の連続変形溝13を波型形状としたが、これに限らず、図9(A)~()に示すような非直線状の連続変形溝としてもよい。
すなわち、図9(A)に示す吸着プレート13-1には、当該吸着プレート13-1の一端部側から他端部側に延び、かつ長手方向に沿って、前記実施形態の波型連続変形溝13と略同一形状で1列の変形溝13a-1が形成されている。
ただし、この変形溝13a-1では、波型の対向する端部同士間に所定の隙間が設けられた形状となっている。そして、左右それぞれの変形溝13a-1,13a-1における中央部寄りの波型の、例えば、3箇所の頂点部のそれぞれに前記吸引孔13bがあけられている。
【0046】
図9(B)に示す吸着プレート13-2には、当該吸着プレート13-2の長手方向に沿って、形状が異なる部分を含むが、蛇行形状の変形溝13a-2が形成されている。そして、この変形溝13a-2の中央部寄りの蛇行形状の6箇所の頂部に、それぞれ前記吸引孔13bがあけられている。
【0047】
図9(C)に示す吸着プレート13-3には、当該吸着プレート13-3の長手方向に沿って、中央部に所定長さの直線部が形成され、その直線部の左右両側に波型の溝が連続する形状の変形溝13a-3が形成されている。そして、この変形溝13a-3において直線部の左右両側2箇所の波型の頂点部に前記吸引孔13bがあけられている。
【0048】
図9(D)に示す吸着プレート13-4には、当該吸着プレート13-4の長手方向に沿って、前記9(B)に示す蛇行形状より緩やかな蛇行形状の変形溝13a-4が形成されている。そして、この変形溝13a-4の中央部寄りの蛇行形状の頂部3箇所と、大きな蛇行溝の途中のそれぞれ1か所に前記吸引孔13bがあけられている。
【0049】
図9(E)に示す吸着プレート13-5には、当該吸着プレート13-5の長手方向に沿って、多数の角型の変形溝13a-5が形成されている。そして、この変形溝13a-5の中央部寄りの角型の9か所の角部のそれぞれに前記吸引孔13bがあけられている。
【0050】
そして、上述した図9(A)~()に示す各吸着プレート13-1等にも、図示しないが、前記負圧エア供給部材14が取付けられており、その負圧エア供給部材14から吸引孔13bおよび変形溝13a-1等に負圧が供給されるようになっている。
また、図9(A)~()に示す各吸着プレート13-1等によっても、前記(1)~()と略同様の効果を得ることができる。
なお、図9(A)~()に示す各吸着プレート13-1等には、1列の変形溝13a-1等が形成されているが、変形溝を2列形成してもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、吸着装置10によって吸着して一時的に保持する帯状フィルムFwの一部としては、巻取りロールFrから引出された先端領域部Fw3が該当し、この先端領域部Fw3が吸着装置10によって吸着され一時的に保持されるものであったが、これに限らない。
吸着装置10を、例えば、フィルムブレーキとして利用することができる。そして、このフィルムブレーキは、帯状フィルムの送りが減速停止した際に、その帯状フィルムが緩むのを防止するものである。
【0052】
また、本実施形態の吸着装置10は縦型製袋充填包装機1に適用されているが、横型製袋充填包装機にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば、縦型製袋充填包装機において先に使用されている巻取りロールの帯状フィルムの終端と次に使用される巻取りロールの先端とを接続する際に利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 縦型製袋充填包装機
10 包装機用の帯状包装材吸着装置
12 帯状包装材吸着手段
13 吸着プレート
13a 非直線状の連続変形溝
13b 吸引孔
14 負圧エア供給部材
14a 負圧エア供給室
16 負圧エア供給接続具
Fr 巻取りロール
Fr1 先に使用の巻取りロール
Fr2 次に使用の巻取りロール
Fw 帯状フィルム(帯状包装材)
Fw1 帯状フィルムの後端領域部
Fw3 帯状フィルムの先端領域部
図1
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