(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】剥離可能な機能性シールの製造方法及び機能性シール
(51)【国際特許分類】
G09F 3/03 20060101AFI20231107BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20231107BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20231107BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G09F3/03 E
G09F3/10 J
G09F3/00 E
G09F3/02 A
G09F3/00 D
(21)【出願番号】P 2022187010
(22)【出願日】2022-11-24
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000114813
【氏名又は名称】ヤマックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173406
【氏名又は名称】前川 真貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100067301
【氏名又は名称】安藤 順一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 重男
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-081549(JP,A)
【文献】特開2013-186133(JP,A)
【文献】特開2014-055995(JP,A)
【文献】特開2000-112358(JP,A)
【文献】特開2016-224358(JP,A)
【文献】特開2003-326618(JP,A)
【文献】米国特許第06749230(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00-5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離可能な機能性シールの製造方法であって、前記機能性シールの製造方法は、
基材層の一方の面に粘着層を形成する工程と、前記基材層のもう一方の面に下部剥離層を形成する工程と、粘着層と基材層と下部剥離層に一度に切り込みを形成する切り込み形成工程と切り込みが形成された下部剥離層上に上部剥離層を形成する工程と、上部剥離層上に保護層を形成する工程とを備える機能性シールの製造方法。
【請求項2】
保護層を形成した後に上部剥離層を硬化する請求項1記載の機能性シールの製造方法。
【請求項3】
前記基材層が装飾層を備える基材層である請求項1又は2記載の機能性シールの製造方法。
【請求項4】
前記粘着層は非粘着部を備え、前記切り込み形成工程は粘着層の非粘着部と基材層と下部剥離層の切り込みを一度に形成する工程である請求項1又は2記載の機能性シールの製造方法。
【請求項5】
上部剥離層と下部剥離層との間で剥離する機能性シールであって、前記機能性シールは、基材層の一方の面に粘着層と前記基材層のもう一方の面に下部剥離層と上部剥離層と保護層とをこの順で備え、前記粘着層は非粘着部を有し、前記粘着層の非粘着部、基材層、下部剥離層に切り込みを備え、上部剥離層に切り込みを備えない機能性シール。
【請求項6】
前記上部剥離層は保護層を形成した後に、硬化してなる上部剥離層である請求項5記載の機能性シール。
【請求項7】
前記上部剥離層と下部剥離層は剥離した後、再接着が不可能である請求項5又は6記載の機能性シール。
【請求項8】
前記基材層が装飾層を備える基材層である請求項5又は6記載の機能性シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性シールの製造方法に関する。詳しくは、上部剥離層と下部剥離層との間で剥離できる機能性シールであって、上部剥離層と保護層との接着性に優れるため安定した剥離を実現でき、また、剥離後の剥離層の残りや欠けがなく、しかも、上部剥離層と保護層との間にゴミや空気等が混入し難いため外観及び装飾層等の視認性に優れる機能性シールの製造方法である。
【背景技術】
【0002】
剥離可能な機能性シールは多数開発されており、例えば、店頭で販売されている商品の容器の開封の有無を判別するため、いったん剥離すると再度接着できない機能性シールや、剥離した後も装飾層を含む機能性シールの一部が商品に残って装飾等を表示できる機能性シールがある。
【0003】
また、剥離後の剥離部分が商品に残りPOP広告の機能を有する機能性シールもある。
【0004】
従来の剥離可能な機能性シールは
図3に示す通り、それぞれ硬化した非粘着部110を備える粘着層10、基材層20、装飾層210、下部剥離層30、上部剥離層40を積層し、切り込みを形成した後、粘着層510を備える保護層50を接着して製造する。
【0005】
剥離後は、非粘着部110を備える粘着層10、基材層20、装飾層210及び下部剥離層30が商品等の貼着対象物に残る(以下「剥離後のシール」ということがある)。
【0006】
しかし、従来の製造方法であると、硬化した上部剥離層40の表面には凹凸があるため、
図4に示す通り、保護層の粘着層510と上部剥離層との間に空気等が混入し易いという問題がある。
【0007】
空気等が混入すると、白濁するため装飾層の視認性が悪くなったり、保護層の表面が波打ったりという問題がある。
【0008】
また、硬化した下部剥離層30と上部剥離層40は、積層はしているものの剥離し易い状態であり、特に、前述の通り、いったん剥離すると再度接着できないような機能性シールであるとかなり剥離し易い状態で積層していることになる。
【0009】
剥離し易い状態で積層している下部剥離層30と上部剥離層40と基材層20及び粘着層10を併せて一度に切り込みを形成すると、下部剥離層30と上部剥離層40の積層が安定していないので剥離層に欠けが生じたり、亀裂が入ったりすることがある。
【0010】
剥離層に欠けが生じれば、貼着対象物に貼着時や、剥離後のシールの外観が悪くなるという問題がある。
【0011】
また、剥離層に亀裂が入ると、
図5に示す通り、剥離しても全ての剥離層が除去されずに剥離後のシール上に残るという問題がある。
【0012】
加えて、切り込みを形成した後に保護層を形成するため、欠けた剥離層が上部剥離層40と保護層50との間に挟まって外観が悪くなったり、空気が更に混入し易くなったりという問題がある。
【0013】
そこで、剥離層が欠けて外観が悪くなったり、剥離層の一部が剥離後のシールに残ったりせずに安定した剥離を実現でき、また、上部剥離層と保護層との間に欠けた剥離層や空気等が混入し難く、白濁したり、保護層が波打ったりせず外観及び装飾層等の視認性に優れる剥離可能な機能性シールの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
出願人に係る特許文献1には、基材層の裏面に粘着層を形成する粘着層形成工程と剥離層形成工程と切断工程と保護層形成工程とを備える剥離可能な機能性シールの製造方法が記載されており、前記切断工程は上下の剥離層以下の各層、即ち、上下剥離層、基材層、粘着層を切断する工程であることが記載されている。
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載される製造方法では、上下の剥離層の接着が弱いため、上下剥離層と基材層と粘着層とを一度に切断すれば、剥離層に欠けや亀裂が入り易いため機能性シールの外観が悪くなるという問題がある。
【0017】
また、剥離層を硬化後、保護層を接着させるので空気等が混入し易いという問題がある。
【0018】
本発明者らは、前記諸問題点を解決することを技術的課題とし、試行錯誤的な数多くの試作・実験を重ねた結果、基材層の一方の面に粘着層を形成する工程と、前記基材層のもう一方の面に下部剥離層を形成する工程と、粘着層と基材層と下部剥離層に一度に切り込みを形成する切り込み形成工程と切り込みが形成された下部剥離層上に上部剥離層を形成する工程と、上部剥離層上に保護層を形成する工程とを備える機能性シールの製造方法であれば、切り込み形成工程において下部や上部の剥離層に欠けや亀裂が入り難いので、外観に優れる機能性シールになると共に、上部剥離層と保護層との間に欠けた剥離層が混入し難いので、外観及び装飾層等の視認性に優れる機能性シールになるという刮目すべき知見を得て、前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記技術的課題は、次のとおり本発明によって解決できる。
【0020】
本発明は、剥離可能な機能性シールの製造方法であって、前記機能性シールの製造方法は、基材層の一方の面に粘着層を形成する工程と、前記基材層のもう一方の面に下部剥離層を形成する工程と、粘着層と基材層と下部剥離層に一度に切り込みを形成する切り込み形成工程と切り込みが形成された下部剥離層上に上部剥離層を形成する工程と、上部剥離層上に保護層を形成する工程とを備える機能性シールの製造方法である。
【0021】
また本発明は、保護層を形成した後に上部剥離層を硬化する前記の機能性シールの製造方法である。
【0022】
また本発明は、前記基材層が装飾層を備える基材層である前記の機能性シールの製造方法である。
【0023】
また本発明は、前記粘着層は非粘着部を備え、前記切り込み形成工程は粘着層の非粘着部と基材層と下部剥離層の切り込みを一度に形成する工程である前記の機能性シールの製造方法である。
【0024】
また本発明は、上部剥離層と下部剥離層との間で剥離する機能性シールであって、前記機能性シールは、基材層の一方の面に粘着層と前記基材層のもう一方の面に下部剥離層と上部剥離層と保護層とをこの順で備え、前記粘着層は非粘着部を有し、前記粘着層の非粘着部、基材層、下部剥離層に切り込みを備え、上部剥離層に切り込みを備えない機能性シールである。
【0025】
また本発明は、前記上部剥離層は保護層を形成した後に、硬化してなる上部剥離層である前記の機能性シールである。
【0026】
また本発明は、前記上部剥離層と下部剥離層は剥離した後、再接着が不可能である前記の機能性シールである。
【0027】
また本発明は、前記基材層が装飾層を備える基材層である前記の機能性シールである。
【発明の効果】
【0028】
本発明における機能性シールの製造方法は、それぞれ硬化した粘着層と基材層と下部剥離層に一度に切り込みを形成してから上部剥離層と保護層を形成する。
【0029】
粘着層と基材層と下部剥離層の接着状態は安定しているため、一度に切り込みを形成しても下部剥離層が欠けたり、亀裂が入ったりし難いので、外観に優れる機能性シールを製造することができる。
【0030】
また、下部剥離層や上部剥離層が欠けたり、亀裂が入ったりし難いので、上部剥離層と保護層との間に欠けた剥離層が混入し難い。
【0031】
また、上部剥離層を硬化させる前に保護層を形成し、保護層を形成後に、上部剥離層を硬化させれば、上部剥離層と保護層との間に空気が混入し難く、空気が混入することによる白濁や保護層が波打ったりすることを抑制できるため外観及び装飾層等の視認性に優れる機能性シールを製造することができる。
【0032】
また、装飾層を備える基材層であれば、装飾性に優れる機能性シールを製造できるため、各種広告に好適に使用できる機能性シールを製造することができ、POP広告用のシールにも好適に使用することができる。
【0033】
また、粘着層に非粘着部を備え、非粘着部に切り込みを形成すれば、機能性シールを製造後に仮止めした剥離シートから剥がし易くなるので、貼着対象物へ貼着する作業に資する機能性シールになる。
【0034】
また、下部剥離層と上部剥離層が一度剥離したら再接着が不可能である機能性シールであれば、商品の容器の開封の有無を判別するのに好適に使用できる機能性シールになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明における機能性シールの一例の模式図である。
【
図2】本発明における機能性シールの一例を剥離した時の模式図である。
【
図3】従来の機能性シールの製造方法を表した模式図である。
【
図5】従来の機能性シールを剥離した時の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、基材層2の一方の面に粘着層1を形成する工程を有する。
【0037】
基材層は特に限定されず、ステッカー、ラベル又はシールなどの基材として一般的に使用される紙材又はPET材、PP(合成紙)材のフィルムを使用することができる。
【0038】
紙材の基材層として、55 PW 8K、アートE PW 8K、グロスPC 8K、PL80G11、PL100G01*、PL90G01(いずれもリンテック株式会社製)を例示する。
【0039】
PETフィルムの基材層としては、透明:PET50(A)PAT1 8LK、LVA5555、KP5000、RE5054、白色:PET50 K2411 PAT18LK、PETWH50 PAT18LK、RE5034、銀色:FNSツヤ50 PAT1 8LK2、KP5010、RE5014(いずれも厚み50μm/リンテック株式会社製)を例示する。
【0040】
PPフィルムの基材層としてユポ80(UV)PAT1 8LK(厚み80μm/リンテック株式会社製)を例示する。
【0041】
基材層の厚みは16μm~100μmが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0042】
基材層の色は特に限定されず、透明であっても着色されていてもよい。
【0043】
本発明における基材層2は一方の面又は両方の面に文字や図柄等の装飾を付加する装飾層21を備えてもよい。
【0044】
装飾層の形成方法は特に限定されず、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、デジタル出力印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等の公知の印刷方法で形成することができる。
【0045】
基材層の一方の面に形成する粘着層の粘着剤は特に限定されず、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤を使用することができる。
【0046】
本発明においては予め基材層2に粘着層1を備える市販品を使用することもできる。
【0047】
本発明における粘着層1は非粘着部11を備えてもよい。
貼着対象物への貼着作業に資するからである。
【0048】
非粘着部は、粘着剤に糊止め剤を塗布して非粘着部を形成させてもよいし、粘着剤が塗布されていない部分であってもよい。
【0049】
糊止め剤としては特に限定されないが、No.2UVフレキソニスFT-P、UV-161メジウム(いずれも株式会社T&K TOKA製)、FDMPメジウム(東洋インキ製造株式会社製)を例示する。
【0050】
粘着層や糊止め剤の塗布方法は特に限定されず、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、デジタル出力印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等の公知の印刷方法で形成させてもよい。
【0051】
本発明は、基材層2の粘着層1を備える面の反対側の面に下部剥離層3を形成する工程を有する。
【0052】
下部剥離層は基材層に剥離剤を基材層の一部又は全面に塗布することで形成することができる。
【0053】
下部剥離層3に使用する剥離剤は特に限定されない。
剥離剤として、UVハクリOP-ニスJUP2(株式会社T&K TOKA製)、UVエースハクリOPニス ST(久保井インキ株式会社製)を例示する。
【0054】
下部剥離層の形成方法は特に限定されない。
剥離剤や、剥離剤と混合したインキを公知の印刷方法で印刷して形成させてもよい。
【0055】
剥離剤と混合させるインキは、重ね印刷ができるインキであればよく、特に限定されない。
【0056】
本発明は、硬化した粘着層1、基材層2、下部剥離層3に一度に切り込みを形成する切り込み形成工程を有する。
【0057】
粘着層1と下部剥離層3は基材層2の表面に硬化して接着しているため、安定した状態で切り込みを形成することができるから下部剥離層3に欠けや亀裂が生じ難い。
【0058】
切り込みは公知の切り込み方法で形成すればよい。
【0059】
公知の切り込み方法として、抜き型を切り抜きたい形状に合わせてポリ塩化ビニルや木、金属等の板に埋め込み、材料に押し付けて埋め込んだ形に切り抜く方法、金属をラベルの形状に削る等して押し付けて切ることのできる型で押し付けて切り抜く方法、プロッターと呼ばれる刃物を切りたい形状に走らせて切る方法を例示する。
【0060】
切り込みは直線状であっても、部分的に切り込みが欠落している点線状であってもよい。
【0061】
本発明は、切り込みが形成された下部剥離層3上に上部剥離層4を形成する工程を有する。
【0062】
上部剥離層は下部剥離層上に形成させればよく、下部剥離層上のみ部分的に形成させてもよいし、基材層を含む全面に形成させてもよい。
基材層を含む全面に形成させれば、より安定した剥離が実現できる。
【0063】
上部剥離層4は硬化する前に保護層5を形成し、その後、上部剥離層4を硬化させるとよい。
【0064】
上部剥離層を硬化後に保護層を形成すると硬化した上部剥離層表面に細かな凹凸があるため、保護層の粘着剤とのなじみが悪いと接着が弱くなると共に空気が混入して白濁したり、保護層5が波打ったりすることがあるため機能性シールの外観が悪くなったり、装飾層を備える場合は、装飾層の視認性が悪くなる虞がある。
【0065】
上部剥離層を硬化させる前に保護層を形成させて、その後上部剥離層を硬化させれば、上部剥離層と保護層とがなじみ、空気が混入し難いので白濁したり、保護層が波打ったりし難くなるから、機能性シールの外観が優れると共に、装飾層を備える場合は、装飾層の視認性に優れる機能性シールになる。
【0066】
また、上部剥離層と保護層が強固に接着するので安定した剥離を実現できるため、剥離層の一部が残り難い機能性シールになる。
【0067】
上部剥離層は下部剥離層との間で剥離できる剥離剤であって、光硬化性や電子線硬化性の剥離剤が好ましい。
【0068】
保護層を形成した後、光照射や電子線照射によって短時間で硬化させることができるからである。
【0069】
上部剥離層に使用する剥離剤としては、No.2フレキソニスFT-P、UVコートニスHTA-W(いずれも株式会社T&K TOKA製)を例示する。
【0070】
上部剥離層の形成方法は特に限定されない。
剥離剤や、剥離剤と混合したインキを公知の印刷方法で印刷して形成させてもよい。
【0071】
剥離剤と混合させるインキは、重ね印刷ができるインキであればよく、特に限定されない。
【0072】
なお、下部剥離層の剥離剤としてUVハクリOP-ニスJUP2、上部剥離層の剥離剤としてNo.2フレキソニスFT-Pを使用すれば、一度剥離した後に再接着しないようにすることができる。
【0073】
上部剥離層4を形成後、上部剥離層4が硬化していない状態で保護層5を形成することが好ましい。
【0074】
保護層は特に限定されないがPET材、PP材を好適に使用することができる。
【0075】
保護層の色は特に限定されない。
【0076】
光硬化させる場合は、保護層は透明であることが好ましい。
【0077】
保護層の厚みは16μm~100μmが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0078】
PET系の保護層としては、PET16 PLシン 7LK(透明/16μm/リンテック株式会社製)、PET25 PLシン 8LK(透明/25μm/リンテック株式会社製)、ハイパーPET16-L-F(透明/16μm/日榮新化株式会社製)を例示する。
【0079】
PP(合成紙)系の保護層としては、PP20 PLシン 7LK(透明/20μm/リンテック株式会社製)、ハイパーPP20-L-F(透明/20μm/日榮新化株式会社製)を例示する。
【0080】
保護層は一方の面又は両方の面に文字や図柄等の装飾を備えてもよい。
【0081】
保護層の装飾は公知の印刷方法で形成することができる。
【0082】
保護層5と上部剥離層4とは保護層の粘着層51を介して接着させることが好ましい。保護層に粘着層があることで強固に接着することができると共に、部分的にしか上部剥離層がない場合でも保護層を形成することができるからである。
【0083】
本発明においては、予め保護層5に粘着層51を備える市販品を使用することもできる。
【0084】
また、上部剥離層にUV硬化型の接着剤を使用して粘着層のない保護層を貼りつけてもよい。
【0085】
上部剥離層と保護層を接着後、保護層を介して光や電子線を照射して上部剥離層を硬化させれば保護層と上部剥離層がさらに強固に接着した機能性シールを製造することができる。
【0086】
保護層と上部剥離層が強固に接着していれば、安定した剥離を実現することができる。
【0087】
本発明の製造方法によれば、基材層2の一方の面に粘着層1又は非粘着部11を備える粘着層1ともう一方の面に下部剥離層3と上部剥離層4と保護層5を備え、粘着層1、基材層2、下部剥離層3に切り込みを備え、上部剥離層4に切り込みを備えない機能性シールを製造することができる。
【0088】
本発明における製造方法で製造した機能性シールは、粘着層1と下部剥離層3が基材層2の表面に硬化して接着しているので、安定した状態で切り込みを形成することができるから下部剥離層3に欠けや亀裂が生じ難いため、外観に優れる機能性シールである。
【0089】
(実施の形態)
図1に示す本発明に係る機能性シールを作製した。
【0090】
基材層2としてPETフィルムと粘着剤と剥離紙とが一体となっているPET50 K2411 PAT18LK(リンテック株式会社製)を使用した。
【0091】
基材層2の剥離紙を剥がし、粘着層上に糊止め剤としてUV-161メジウム(株式会社T&K TOKA製)を凸版印刷により印刷して非粘着部11を形成した。
【0092】
非粘着部を形成した後、UV光照射することで糊止め剤を硬化させ、先に剥がした剥離紙を再度張り合わせて仮止めした。
【0093】
基材層2の粘着層1と反対側の面にFDMPシリーズのインキ(東洋インキ株式会社製)を使用し、凸版印刷にて装飾層21を形成した。
【0094】
装飾層を構成する各色ごとに印刷、UV光照射して硬化することで装飾層21を形成した。
【0095】
装飾層21上の一部にUVハクリOPニスJ UP-2(株式会社T&K TOKA製)を凸版印刷により印刷し、UV光を照射して硬化させて下部剥離層を形成した。
【0096】
形成した非粘着部11、粘着層1、基材層2、装飾層21及び下部剥離層3を抜型を用いて一度に切り込みを形成した。
【0097】
切り込みが形成された下部剥離層3上にNo.2フレキソニスFT-P(株式会社T&K TOKA製)を基材層2を含む全面にフレキソ印刷して上部剥離層4を形成した。
【0098】
フィルムと粘着剤がセットになっているハイパーPET16-L-F(透明/日榮新化株式会社製)を、硬化させていない上部剥離層に重ね、機能性シールをロールで挟み、エア圧0.2MPa~0.25Mpaで張り合わせ、保護層5を形成した。
【0099】
保護層5を張り合わせた後にUV光照射して上部剥離層4を硬化させた。
【0100】
所望の形状に抜型で切り抜いた後、周囲の不要な部分を取り除いて機能性シールを作製した。
【0101】
実施の形態における機能性シールは剥離した後、再接着が不可能な機能性シールであるため、容器の開封の有無を判別する機能性シールとして使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明における製造方法で製造した機能性シールは、上部剥離層と保護層との接着性に優れるため安定した剥離を実現でき、また、剥離後に剥離層が欠けたり、欠けた剥離層が剥離後のシール上に残ったりすることがなく、しかも、上部剥離層と保護層との間にゴミや空気等が混入し難いため外観や装飾層等の視認性に優れる機能性シールである。
本発明に係る機能性シールであれば容器の開封の有無を判別するため、いったん剥離すると再度接着できない機能性シールや、剥離した後も機能性シールの一部が商品に残って表示可能なシールや、POPシールとしても好適に使用できる。
よって、本発明の産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0103】
1 粘着層
2 基材層
3 下部剥離層
4 上部剥離層
5 保護層
11 非粘着部
21 装飾層
51 保護層の粘着層
【要約】
【課題】
安定した剥離を実現でき、また、剥離後の下部や上部の剥離層の残りや欠けがなく、しかも、上部剥離層と保護層との間の混入物を抑制することができるため外観及び装飾層の視認性に優れる機能性シールの製造方法を提供する。
【解決手段】
基材層の一方の面に粘着層を形成する工程と、前記基材層のもう一方の面に下部剥離層を形成する工程と、粘着層と基材層と下部剥離層に一度に切り込みを形成する切り込み形成工程と切り込みが形成された下部剥離層上に上部剥離層を形成する工程と、上部剥離層上に保護層を形成する工程とを備える機能性シールの製造方法。
【選択図】
図1