(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】電池モジュールおよび電池セルアセンブリー製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20231107BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/269 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20231107BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/289 101
H01M50/293
H01M50/269
H01M50/211
(21)【出願番号】P 2022512836
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(86)【国際出願番号】 KR2020019286
(87)【国際公開番号】W WO2021137576
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0001004
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0188256
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】フン・ビョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュンキュ・パク
(72)【発明者】
【氏名】シウォン・ジョン
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-176923(JP,A)
【文献】特開2015-002264(JP,A)
【文献】特開2018-081885(JP,A)
【文献】特開2008-226560(JP,A)
【文献】特開2019-009055(JP,A)
【文献】特開平05-190162(JP,A)
【文献】特開2017-066368(JP,A)
【文献】特表2018-511159(JP,A)
【文献】特開2008-208169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0016061(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109411667(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/05-10/0587
C09J 1/00-5/10;9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に積層されている複数の電池セルを含む電池セル積層体
、
前記電池セル積層体を収納するモジュールフレーム
、
前記モジュールフレームと前記電池セル積層体の間に位置する圧縮パッド、および
前記圧縮パッドと前記電池セル積層体の間に位置する第2接着部材を含み、
前記複数の電池セルのうちの互いに隣接する電池セルはスプレー型粘着剤が硬化された第1接着部材で結合され、
前記第1接着部材は、前記複数の電池セルが積層される一方向と異なる一方向に沿って伸びている少なくとも一つの
所定のパター
ンを有
し、
前記第2接着部材は、前記複数の電池セルが積層される一方向と異なる一方向に沿って伸びている少なくとも一つの所定のパターンを有し、
前記第1接着部材および前記第2接着部材の前記所定のパターンは、前記電池セルの一面に1個の渦巻パターンまたは2個以上の互いに平行な渦巻パターン(Swirl pattern)を有する、電池モジュール。
【請求項2】
前記第1接着部材は、前記
所定のパターンが伸びる方向に沿って配列される複数のドットパターンを含む、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記電池セルのスウェリング発生時、前記第1接着部材の厚さが減少する、請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
複数の電池セルが積層されている電池セルアセンブリーの製造方法において、
粘着剤タンクに入っているセル粘着剤をスプレーガン(spray gun)まで移動する段階、
前記スプレーガンのノズルを通じて前記電池セルの一面に前記セル粘着剤を噴射する段階
、
前記複数の電池セルが積層されるようにする段階
、および
前記複数の電池セルが積層されるようにする段階以後に、電池セルまたは不良に積層された電池セルを脱着する段階を含み、
前記ノズルを通じて出る前記セル粘着剤は、
所定のパターンを形成しながら前記電池セルの一面に噴射される、電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項5】
前記
所定のパターンは、渦巻パターン(Swirl pattern)を含む、請求項
4に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項6】
前記スプレーガンが前記電池セルの積層方向に垂直な一方向に沿って移動しながら前記セル粘着剤が噴射されるか、前記スプレーガンは固定された状態で前記電池セルが移動しながら前記セル粘着剤が前記電池セルの一面に噴射される、請求項
5に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項7】
前記セル粘着剤が噴射される前記電池セルの一面は、前記電池セルの積層方向に垂直な前記電池セルの面に対応する、請求項
6に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項8】
前記スプレーガンは前記ノズル周辺に位置するエアホールを含み、前記エアホールから出る風によって前記ノズルを通じて出る前記セル粘着剤が渦巻く、請求項
5~
7のいずれか一項に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項9】
前記スプレーガンのノズルを通じて前記電池セルの一面に前記セル粘着剤を噴射する段階は、前記セル粘着剤が前記ノズルから前記電池セルの一面に到達するまで空気中で自然冷却される段階を含む、請求項
8に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項10】
前記セル粘着剤はホットメルト粘着剤を含み、前記粘着剤タンクに入っている前記ホットメルト粘着剤を溶かす段階をさらに含む、請求項
4に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項11】
前記セル粘着剤はUV粘着剤を含み、前記電池セルの一面に前記UV粘着剤を噴射する段階以後に前記UV粘着剤を硬化する段階をさらに含む、請求項
4に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項12】
前記複数の電池セルが積層されるようにする段階は、前記電池セルの他の一面をピックアップして移動する段階を含む、請求項
4に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項13】
前記脱着された電池セルの一面を除去剤を使用して前記セル粘着剤を除去する段階をさらに含む、請求項
4に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項14】
前記除去剤は、イソパラフィンL(Isoparaffine L)、ヒドロ処理された軽蒸留液(Hydrotreated light distillate)、およびミネラルスピリット(Mineral Spirits)の混合物を含む、請求項
13に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項15】
前記セル粘着剤を除去する段階は、前記除去剤を第1無塵布(lint free wiper)に付け、前記第1無塵布で前記脱着された電池セルの一面に付着された前記セル粘着剤を除去する段階を含む、請求項
13に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項16】
不良セルに該当する前記電池セルまたは不良に積層された前記電池セルを脱着する段階は、互いに隣接する電池セルの間に前記除去剤を投入して物理的な力で前記電池セルを脱着する、請求項
15に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【請求項17】
前記第1無塵布で前記セル粘着剤を除去する段階以後に、エチルアセテートを付けた第2無塵布で前記脱着された電池セルの一面に残っている前記除去剤を除去する、請求項
15に記載の電池セルアセンブリーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年1月3日付韓国特許出願第10-2020-0001004号および2020年12月30日付韓国特許出願第10-2020-0188256号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池モジュールおよび電池セルアセンブリー製造方法に関するものであって、より具体的に、スプレー型粘着剤を使用して形成された電池モジュールおよび電池セルアセンブリー製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
製品群による適用容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は携帯用機器だけでなく電気的駆動源によって駆動する電気自動車またはハイブリッド自動車、電力貯蔵装置などに普遍的に応用されている。このような二次電池は化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的な長所だけでなくエネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点から環境に優しいおよびエネルギー効率性向上のための新たなエネルギー源として注目されている。
【0004】
小型モバイル機器にはデバイス1台当り一つまたは二、三、四個の電池セルが使用されるのに反し、自動車などのように中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、複数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが使用される。
【0005】
中大型電池モジュールはできれば小さな大きさと重量で製造されるのが好ましいので、高い集積度で積層でき容量に比べて重量の小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に使用されている。特に、アルミニウムラミネートシートを電池ケースとして使用するパウチ型電池が最近多くの関心を集めている。
【0006】
図1は、従来のパウチ型電池を示す斜視図である。
図2は、
図1のパウチ型電池に両面テープを貼る過程を示す斜視図である。
【0007】
図1を参照すれば、二次電池10は二つの電極リード11、12が互いに対向して電池本体13の一端部14aと他の一端部14bからそれぞれ突出している構造であって、電池ケース14に電極組立体(図示せず)を収納した状態でケース14の両端部14a、14b)とこれらを連結する両側面14cを接着することによって製造される。
【0008】
電池ケースは一般に樹脂層/金属薄膜層/樹脂層のラミネート構造からなっており、例えば、電池ケース表面がO(oriented)-ナイロン層からなっている場合には、中大型電池モジュールを形成するために複数の電池セルを積層する時、外部衝撃によってよく滑る傾向がある。したがって、
図2を参照すれば、これを防止し電池セルの安定した積層構造を維持するために、電池ケースの表面にロール型両面テープ20などの接着剤を付着し電池セルを積層して中大型電池モジュールを形成する。
【0009】
しかし、このような類型の接着剤は適用できる最小幅が定められている場合があり、所望の部位に接着剤を付着するためのカスタマイジング(Customizing)に制限がある。だけでなく、両面テープは長期間使用時、接着成分が劣化して接着力が大きく低下することがある。また、両面テープは転写されないか延びる問題など不良が発生して工程中に持続的な管理が必要であり、単価が高くて収益性が低下している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、両面テープを代替することができるスプレー型粘着剤を使用して形成された電池モジュールおよび電池セルアセンブリー製造方法を提供するためのことである。
【0011】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による電池モジュールは一方向に積層されている複数の電池セルを含む電池セル積層体、および前記電池セル積層体を収納するモジュールフレームを含み、前記複数の電池セルのうちの互いに隣接する電池セルはスプレー型粘着剤が硬化された第1接着部材で結合され、前記第1接着部材は前記複数の電池セルが積層される一方向と異なる一方向に沿って伸びている少なくとも一つのウォブルパターン(Wobble pattern)を有する。
【0013】
前記第1接着部材のウォブルパターンは、前記電池セルの一面に少なくとも2個の互いに平行な渦巻パターン(Swirl pattern)を有することができる。
【0014】
前記第1接着部材は、前記ウォブルパターンが伸びる方向に沿って配列される複数のドットパターンを含むことができる。
【0015】
前記電池モジュールは、前記モジュールフレームと前記電池セルアセンブリーの間に位置する圧縮パッドをさらに含むことができる。
【0016】
前記電池モジュールは前記圧縮パッドと前記電池セルアセンブリーの間に位置する第2接着部材をさらに含み、前記第2接着部材は前記複数の電池セルが積層される一方向と異なる一方向に沿って伸びている少なくとも一つのウォブルパターンまたは両面テープを含むことができる。
【0017】
前記電池セルのスウェリング発生時、前記第1接着部材の厚さが減少し得る。
【0018】
本発明の他の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法は複数の電池セルが積層されている電池セルアセンブリーの製造方法において、粘着剤タンクに入っているセル粘着剤をスプレーガン(spray gun)まで移動する段階、前記スプレーガンのノズルを通じて前記電池セルの一面に前記セル粘着剤を噴射する段階、および前記複数の電池セルが積層されるようにする段階を含み、前記ノズルを通じて出る前記セル粘着剤はウォブルパターンを形成しながら前記電池セルの一面に噴射される。
【0019】
前記ウォブルパターンは、渦巻パターン(Swirl pattern)を含むことができる。
【0020】
前記スプレーガンが前記電池セルの積層方向に垂直な一方向に沿って移動しながら前記セル粘着剤が噴射されるか、前記スプレーガンは固定された状態で前記電池セルが移動しながら前記セル粘着剤が前記電池セルの一面に噴射されてもよい。
【0021】
前記セル粘着剤が噴射される前記電池セルの一面は、前記電池セルの積層方向に垂直な前記電池セルの面に対応し得る。
【0022】
前記スプレーガンは前記ノズル周辺に位置するエアホールを含み、前記エアホールから出る風によって前記ノズルを通じて出る前記セル粘着剤が渦巻き得る。
【0023】
前記スプレーガンのノズルを通じて前記電池セルの一面に前記セル粘着剤を噴射する段階は、前記セル粘着剤が前記ノズルから前記電池セルの一面に到達するまで空気中で自然冷却される段階を含むことができる。
【0024】
前記セル粘着剤はホットメルト粘着剤を含み、前記電池セルアセンブリー製造方法は前記粘着剤タンクに入っている前記ホットメルト粘着剤を溶かす段階をさらに含むことができる。
【0025】
前記セル粘着剤はUV粘着剤を含み、前記電池セルアセンブリー製造方法は前記電池セルの一面に前記UV粘着剤を噴射する段階以後に前記UV粘着剤を硬化する段階をさらに含むことができる。
【0026】
前記複数の電池セルが積層されるようにする段階は、前記電池セルの他の一面をピックアップして移動する段階を含むことができる。
【0027】
前記電池セルアセンブリー製造方法は、前記複数の電池セルが積層されるようにする段階以後に、不良セルに該当する電池セルまたは不良に積層された電池セルを脱着する段階、および前記脱着された電池セルの一面を除去剤を使用して前記セル粘着剤を除去する段階をさらに含むことができる。
【0028】
前記除去剤は、イソパラフィンL(Isoparaffine L)、ヒドロ処理された軽蒸留水(Hydrotreated light distillate water)、およびミネラルスピリット(Mineral Spirits)の混合物を含むことができる。
【0029】
前記セル粘着剤を除去する段階は、前記除去剤を第1無塵布(lint free wiper)に付け、前記第1無塵布で前記脱着された電池セルの一面に付着された前記セル粘着剤を除去することができる。
【0030】
不良セルに該当する前記電池セルまたは不良に積層された前記電池セルを脱着する段階は、互いに隣接する電池セルの間に前記除去剤を投入して物理的な力で前記電池セルを脱着することができる。
【0031】
前記第1無塵布で前記セル粘着剤を除去する段階以後に、エチルアセテートを付けた第2無塵布で前記脱着された電池セルの一面に残っている前記除去剤を除去することができる。
【発明の効果】
【0032】
実施形態によれば、両面テープを代替することができるスプレー型粘着剤を使用して電池セル間付着のための粘着剤塗布設備を電池セルアセンブリーの製造工程ラインに直接適用することができる。
【0033】
電池セルの一面にスプレーガンのノズルを通じて電池セルの一面にスプレー型粘着剤を噴射することによって、渦巻パターンを有する接着部材を形成することができる。
ウォブルパターンを有する接着部材を形成することによって、不良が発生した電池セルを脱着する時、再作業が可能なように塗布量制御が可能である。
再作業時、除去剤でスプレー型粘着剤を除去することによって電池セル表面の物理的スクラッチおよび化学的残留物を最少化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】
図1のパウチ型電池に両面テープを付ける過程を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法を示す図である。
【
図10】本発明の他の一実施形態による電池セルアセンブリーを示す斜視図である。
【
図11】本発明の他の一実施形態による電池セルアセンブリーを示す斜視図である。
【
図12】本発明の他の一実施形態による電池モジュールを示す断面図である。
【
図13】
図12の電池モジュールに含まれている電池セルアセンブリーの電池セルの一面に形成された渦巻パターンを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0036】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0037】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張されるように示した。
【0038】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分“の上に”または“上に”あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって“の上に”または“上に”位置することを意味するのではない。
【0039】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0040】
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0041】
図3~
図9は、本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法を示す図である。
【0042】
図3を参照すれば、本実施形態による電池セル100は互いに異なる極性を有する二つの電極リード110、120が互いに対向して電池本体の一端部と他の一端部からそれぞれ突出している構造であって、電池ケースに電極組立体を収納した状態で電池ケースの両端部とこれらを連結する両側面を接着することによって製造できる。電池ケースは一般に樹脂層/金属薄膜層/樹脂層のラミネート構造からなっている。
【0043】
本実施形態による電池セルアセンブリー製造方法は、電池セル100がコンベヤによってスプレーステーション500に自動移送される段階を含むことができる。ここで、コンベヤは一定の距離の間を自動的に連続運搬する機械装置であり、例示としてベルトコンベヤまたはローラコンベヤが使用できる。コンベヤは一般によく知られた機械装置であるので図示を省略する。
【0044】
本実施形態によれば、電池セル100間付着のためのセル粘着剤300の塗布設備が電池セルアセンブリー製造方法のための工程ラインに直接適用できる。このために、スプレーガン310から噴射されるセル粘着剤300は先ず粘着剤タンクに入って高温で溶ける過程を経たホットメルト粘着剤であり得る。粘着剤タンクに入っているセル粘着剤300はホースなどに乗ってスプレーガン310まで移動できる。変形実施形態として、セル粘着剤300はUV粘着剤であってもよく、UV粘着剤は常温で溶けた状態で粘着剤タンクに入っており、ホースなどに乗ってスプレーガン310まで移動できる。
【0045】
スプレーステーション500に移送されてきた電池セル100は、その位置が固定された状態でスプレーガン310が既設定の入力座標値によって動き得る。この時、スプレーガン310は電池セル100の一面100Lに向かってセル粘着剤300を噴射し、電池セルの一面100Lに噴射されたセル粘着剤300は接着部材を形成することができる。このように、本実施形態によれば、工程ラインでセル粘着剤300を直接塗布するためセル粘着剤300を塗布する部位をカスタマイジング(Customizing)しやすい。
【0046】
一例として、
図3および
図4に示されているように、正極リード120に隣接した電池セルの一面100Lから負極リード110の電池セルの一面100Lに向かってスプレーガン310が移動しながらセル粘着剤300を噴射することができる。スプレーガン310は電池セル100の積層方向に垂直な一方向に沿って移動しながらセル粘着剤300を噴射することができる。この時、本実施形態によれば、セル粘着剤300はウォブルパターン(Wobble pattern)を形成しながら電池セル100の一面100Lに噴射できる。ウォブルパターンは、セル粘着剤300が噴射される経路が揺れることを意味し得る。これについては、
図5~
図7を参照して詳しく説明することにする。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法において粘着剤塗布方式を示す斜視図である。
図6は、
図5の実施形態によるスプレーガンに含まれているノズルを示す斜視図である。
図7は、
図6のスプレーガンに含まれているノズルから噴射されるセル粘着剤パターンを示す斜視図である。
【0048】
図5および
図6を参照すれば、本実施形態によるスプレーガン310はその端部にノズル320を含んでいる。ノズル320は総4個の噴出口330を有することができ、ノズル320の噴出口330個数はこれに制限されず、電池セル100の幅によって変形可能である。スプレーガン310内部の圧力ポンプによってノズル320を通じてセル粘着剤300が噴射されてノズル320が向かう電池セル100の一面100Lに到達し得る。セル粘着剤300が噴射される電池セル100の一面100Lは、電池セル100の積層方向に垂直な電池セル100の面に対応する。
【0049】
図6および
図7を参照すれば、本実施形態によるスプレーガン310はノズル320周辺に位置するエアホール340を含む。より具体的に、ノズル320の噴出口330周辺にエアホール340が複数個形成でき、エアホール340から出る風によってノズル320を通じて出るセル粘着剤300が渦巻き得る。本実施形態によるウォブルパターンは、このようにエアホール340から出る風によって渦巻パターンを有するセル粘着剤300噴射構造を含むことができる。セル粘着剤300がホットメルト粘着剤である場合、スプレーガン310のノズル320を通じて電池セル100の一面にセル粘着剤300を噴射する時、セル粘着剤300がノズル320から電池セル100の一面100Lに到達するまで空気中で自然冷却できる。電池セル100の温度が大略摂氏60度以上になれば電池セル100の寿命に問題を起こすことがあり、本実施形態によれば別途の冷却過程なくノズル320を通じてセル粘着剤300が噴射されながら自動冷却されて電池セル100の温度が高まるのを防止することができる。変形実施形態として、セル粘着剤300がUV粘着剤である場合、電池セル100の一面にセル粘着剤300を噴射する段階以後にUV装備を通じて前記UV粘着剤を硬化することができる。この時、UV粘着剤が酸素と接触して接着力が弱まることを防止するために窒素パージ工程が追加できる。
【0050】
以上ではスプレーガン310が電池セル100上で移動しながらセル粘着剤300を噴射すると説明したが、必ずしもこれに限定されるのではなく、スプレーガン310は固定された状態で電池セル100が移動しながらセル粘着剤300が電池セル100の一面100Lに噴射されてもよい。
【0051】
図8および
図9を参照すれば、本実施形態による電池セルアセンブリー製造方法は、電池セル100の他の一面をピックアップして複数の電池セル100が積層されるようにする段階をさらに含むことができる。電池セル100の他の一面はセル粘着剤300が塗布された電池セル100の一面100Lと対応する面であり、セル粘着剤300が塗布されない面であり得る。本実施形態による電池セルアセンブリーは、第1電池セル100a、第1電池セル100aの上にセル粘着剤300によって接着されている第2電池セル100b、および第2電池セル100bの上に積層される第3電池セル100cを含むことができる。このように複数の電池セルが積層されて電池セルアセンブリーを形成し、複数の電池セルの電極リードが電気的に連結できる。セル粘着剤300は電池モジュールで接着部材になり得る。
【0052】
電池セル100の他の一面をピックアップするためにピックアップロボット400を使用することができる。ピックアップロボット400には既設定の座標値が入力されて電池セル100の他の一面を安定的にピックアップして隣接の電池セルに接着することができるように積層工程を行うことができる。このような積層方法は一例であり、他の方式に変形可能である。
【0053】
本発明の一実施形態による電池セルアセンブリー製造方法は、複数の電池セルが積層されるようにする段階以後に、不良セルに該当する電池セルを脱着する段階、および前記脱着された電池セルの一面を除去剤を使用して前記セル粘着剤を除去する段階をさらに含むことができる。前記脱着の必要な電池セルは、電池セル自体に不良が発生した場合だけでなく、複数の電池セル積層時に積層が誤って行われた電池セルをさらに含むことができる。以後説明する再作業は不良積層された電池セルが対象であり、不良が発生した電池セルは廃棄されることがある。
【0054】
従来の両面テープの場合、接着力が強くて実質的に前記のような再作業が不可能であった。しかし、本実施形態によれば、ホットメルト粘着剤を使用して脱着後、再付着する再作業が可能なように電池セル100に塗布されるセル粘着剤300の塗布量を最少化または最適化することができる。また、原材料を電池セル100に直接塗布するため両面テープを製品化して入手することに比べて費用を大きく節減することができる。また、本実施形態による電池セルアセンブリー製造方法によれば、既存の両面テープの未転写またはテープの弛みで発生される固形分塊りを防止することができる。
【0055】
前記除去剤は、イソパラフィンL(Isoparaffine L)、ヒドロ処理された軽蒸留液(Hydrotreated light distillate)、およびミネラルスピリット(Mineral Spirits)の混合物を含むことができる。セル粘着剤300を除去する段階は、前記除去剤を第1無塵布(lint free wiper)に付けて、前記第1無塵布で前記脱着された電池セル100の一面に付着されたセル粘着剤を除去する段階を含むことができる。不良セルに該当する電池セルまたは不良に積層された電池セルを脱着する段階は、互いに隣接する電池セルの間に前記除去剤を投入して物理的な力で電池セルを脱着することもできる。前記第1無塵布で前記セル粘着剤を除去する段階以後に、エチルアセテートを付けた第2無塵布で前記脱着された電池セルの一面に残っている前記除去剤を除去することができる。
【0056】
以上で説明した無塵布を用いた除去方法は電池セル100のパウチPET(ポリエチレンテレフタレート)面を損傷させないための一例に該当し、電池セル100のパウチを損傷させなければ多様な方法を使用してセル粘着剤を除去することができる。
【0057】
図10は、本発明の他の一実施形態による電池セルアセンブリーを示す斜視図である。
【0058】
図10を参照すれば、本実施形態による電池セル100は二つの電極リード110、120が互いに対向して電池本体130の一端部140aと他の一端部140bからそれぞれ突出している構造であって、電池ケース140に電極組立体(図示せず)を収納した状態で電池ケース140の両端部140a、140bとこれらを連結する両側面140cを接着することによって製造できる。その後、
図3~
図7で説明した方法によって電池セル100の一面100Lにセル粘着剤300が塗布されるようにすることができる。
【0059】
前述の実施形態による製造方法によれば電池セル100の一方向に長く伸びた一つのセル粘着剤300パターンを形成することもできるが、変形実施形態として以下で説明の通り多様なパターンを有するセル粘着剤300形状を実現することもできる。
【0060】
この時、本実施形態によれば
図10に示したように、スプレー方式による塗布形状を変更して“コ”字形状のセル粘着剤300パターンを形成することもできる。これは塗布形状の一例であり、本実施形態によるセル粘着剤300はホットメルト粘着剤またはUV粘着剤から形成することができ、セル粘着剤は電池セル100の一面に少なくとも2個の互いに平行なパターン部を形成することができる。“コ”字形状以外にも電池セルの幅によって多様なパターンを有するセル粘着剤300形状を実現することができる。例えば、
図10に示したところとは異なり、セル粘着剤300が11字形に示されてもよい。即ち、
図10に示された“コ”字形において上下部セル粘着剤300ラインが互いに連結されずそれぞれ一字形に平行な形態の構造を形成することができる。セル粘着剤300は自然冷却されて、隣接の電池セル100間の接着部材となる。
【0061】
図11は、本発明の他の一実施形態による電池セルアセンブリーを示す斜視図である。
【0062】
図11を参照すれば、本実施形態による電池セル101に含まれているセル粘着剤300はウォブルパターンが伸びる方向に沿って配列される複数のドットパターン300dを含むことができる。一字形のセル粘着体300と同一な長さで、複数のドットパターン300dのように不連続的なパターンを形成するようになれば、セル粘着体300の材料量を減らしながら同一な接着効果を得ることができる。
【0063】
以上で説明した差異点以外に
図10の実施形態で説明した内容は全て本実施形態に適用可能である。
【0064】
前述の多様な実施形態による電池セルアセンブリーは、バスバー、バスバーフレームおよびケースなどと結合して電池モジュールを形成することができる。
【0065】
図12は、本発明の他の一実施形態による電池モジュールを示す断面図である。
図13は、
図12の電池モジュールに含まれている電池セルアセンブリーの電池セルの一面に形成された渦巻パターンを示す写真である。
【0066】
図12を参照すれば、本実施形態による電池モジュールは、電池セルアセンブリー120、電池セルアセンブリー120が装着されたモジュールフレーム105、およびモジュールフレーム105と電池セルアセンブリー120の間に位置する圧縮パッド550を含む。本実施形態による電池セルアセンブリー120には隣接の電池セル100の間に第1接着部材250が位置し、本実施形態による電池モジュールは圧縮パッド550と電池セルアセンブリー120の間に位置する第2接着部材260をさらに含むことができる。第2接着部材260は複数の電池セルが積層される一方向と異なる一方向に沿って伸びている少なくとも一つのウォブルパターンまたは両面テープを含むことができる。図示しなかったが、圧縮パッド550は互いに隣接する電池セル100の間に形成されてもよい。互いに隣接する電池セル100の間に形成される圧縮パッドはウォブルパターンまたは両面テープを含む接着部材によって電池セル100と接着できる。
【0067】
第1接着部材250は前述のセル粘着剤300が自然冷却されて、隣接の電池セル100を結合して電池セルアセンブリー120を形成することができる。本実施形態による第1接着部材250は常温で柔らかい物性を有し、電池セル100のスウェリング発生時、第1接着部材250は圧着される。第1接着部材250が電池セル100スウェリングによって圧着されてその厚さが減少できる。このように、電池セル100スウェリングによって第1接着部材250の厚さが減少するため、セルスウェリングによるモジュールフレーム105に加えられるストレスを減らすことができる。
【0068】
図12および
図13を参照すれば、本実施形態による第1接着部材250はスプレー型粘着剤が硬化されて形成され、互いに隣接する電池セル100を結合する。第1接着部材250は複数の電池セル100が積層される一方向と異なる一方向に沿って伸びている少なくとも一つのウォブルパターン(Wobble pattern)を有することができる。この時、第1接着部材250は電池セル100の一面に少なくとも2個の互いに平行な渦巻パターン(Swirl pattern)300SPを有することができる。ウォブルパターンとして多様な形態を有することができるが、本実施形態による渦巻パターンの場合、セル粘着剤塗布時に飛散(scattering)が殆どなく塗布されるので塗布ラインがきれいに維持できる。なぜなら、
図5~
図7で説明したスプレーガン310のそれぞれのノズル320から出る粘着剤が細い紐で連結されてウォブル形式につながって塗布されるためである。
【0069】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0070】
100 電池セル
105 モジュールフレーム
120 電池セルアセンブリー
250 第1接着部材
260 第2接着部材
300 セル粘着剤
300SP 渦巻パターン
320 ノズル
340 エアホール