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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】操作器
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/02 20060101AFI20231107BHJP
   B60P 3/16 20060101ALI20231107BHJP
   H01H 13/70 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H01H9/02 A
B60P3/16 A
H01H13/70
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020060570
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021163518
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 恵介
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-080925(JP,U)
【文献】実開昭63-059106(JP,U)
【文献】実開昭63-035707(JP,U)
【文献】特開2006-188133(JP,A)
【文献】特開平09-167537(JP,A)
【文献】特開2004-288440(JP,A)
【文献】実開昭52-121090(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28
H01H 13/00 - 13/88
H01H 89/00 - 89/10
B60P 3/00 - 9/00
B65F 1/00 - 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物としての特装車のキャビン内に固定配置される操作器であって、
筐体と、
前記筐体の第1取付面に設けられ操作対象の作動を制御するための操作部と、
前記筐体の第2取付面に設けられ前記操作対象の作動を非常停止させるための非常停止ボタンと、を備え、
前記第1取付面と前記第2取付面とは、互いに傾斜して設けられ、前記第2取付面が相対的に上向きに設定されており、
前記第1取付面から前記筐体の外側に向けて延びる第1仮想垂線と前記第2取付面から前記筐体の外側に向けて延びる第2仮想垂線との角度は、0度より大きく90度より小さい範囲内に設定され
前記非常停止ボタンは、前記キャビン内の運転席からみて前記操作部よりも奥に配置されていることを特徴とする操作器。
【請求項2】
前記操作部は、押しボタン式の操作ボタンを有し、
前記第1取付面には、前記操作ボタンを露出させる挿通孔が設けられ、
前記操作ボタンは、前記第1取付面から前記筐体の外部に向けて突出せずに凹んだ位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の操作器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ミキサ車のミキサドラムを操作する操作器が開示されている。この操作器は、筐体と、筐体に取付けられた操作部とを備え、操作部は、ドラムの回転方向および回転数を操作するボリューム型の操作スイッチと、制御装置の排出回転防止制御の死活を切換えるロッカー型の切換スイッチと、ドラムの回転を停止するプッシュスイッチ型の停止スイッチと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-188133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような操作器では、作業者による操作をしやすくすることが求められる一方、操作が容易になるとその分誤操作が生じるおそれも増加する。このように、操作器では、操作性の向上と誤操作の防止との両立が求められる。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、誤操作を防止しつつ操作性を向上させる操作器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、取付対象物としての特装車のキャビン内に固定配置される操作器であって、筐体と、筐体の第1取付面に設けられ操作対象の作動を制御するための操作部と、筐体の第2取付面に設けられ操作対象の作動を非常停止させるための非常停止ボタンと、を備え、第1取付面と第2取付面とは、互いに傾斜して設けられ、第2取付面が相対的に上向きに設定され、第1取付面から筐体の外側に向けて延びる第1仮想垂線と第2取付面から筐体の外側に向けて延びる第2仮想垂線との角度は、0度より大きく90度より小さい範囲内に設定され、非常停止ボタンは、キャビン内の運転席からみて操作部よりも奥に配置されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、第1取付面と第2取付面とは、水平に対する角度が互いにずれているため、第1取付面に設けられる操作部と第2取付面に設けられる非常停止ボタンとを間違って操作するおそれを低減することができる。また、第2取付面が相対的に上向きに設けられるため、咄嗟に非常停止ボタンを押圧しやすい。また、この発明では、運転席の作業者が第1取付面の操作部と第2取付面の非常停止ボタンとを感覚的に区別しやすくなり、誤操作が防止される。
【0010】
また、本発明は、操作部が、押しボタン式の操作ボタンを有し、第1取付面には、操作ボタンを露出させる挿通孔が設けられ、操作ボタンは、第1取付面から筐体の外部に向けて突出せずに凹んだ位置に配置されることを特徴とする。
【0011】
この発明では、操作ボタンは第1取付面から突出しないため、誤操作が防止される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作器の誤操作を防止しつつ操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る操作器を搭載するミキサ車の側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る操作器を搭載するミキサ車の平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る操作器の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る操作器の正面図である。
図5】本発明の実施形態に係る操作器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る操作器100について説明する。
【0015】
操作器100は、取付対象物に固定配置されて使用される固定式のものである。以下では、取付対象物として特装車、より具体的にはミキサ車1のキャビンC(運転室)内に固定配置されるミキサドラム3の操作器100について説明する。
【0016】
まず、ミキサ車1の全体構成について説明する。
【0017】
ミキサ車1は、図1に示すように、モルタルやレディミクストコンクリート等(以下、「生コン」と称する。)を架台2に搭載されたミキサドラム3にて運搬するものである。
【0018】
ミキサドラム3は、回転可能に架台2に搭載され、ミキサ車1に搭載された走行用エンジン(図示省略。以下、単に「エンジン」と称する。)を動力源として駆動し、ミキサドラム3の回転軸4に連結されるドラム駆動装置5によって正逆転及び増減速する。ドラム駆動装置5は、後述するコントローラ6からの指令や操作器100からの指令によって、ミキサドラム3の回転を制御する。ドラム駆動装置5によってミキサドラム3が正転運転される時には、ミキサドラム3内の生コンが攪拌され、また、ミキサドラム3が逆転運転される時には、ミキサドラム3内の生コンが外部へと排出される。なお、ミキサドラム3を駆動する動力源は走行用エンジンに限らず、例えば、ミキサドラム3を駆動するためのエンジン等の動力源を別に設けてもよい。
【0019】
ミキサ車1は、エンジンの回転速度に応じてミキサドラム3が目標回転状態となるようにドラム駆動装置5の動作を制御するコントローラ6と、コントローラ6に指令信号を出力する操作器100と、を備える。
【0020】
コントローラ6は、例えば、キャビンC内に設けられる。操作器100は、作業者の操作入力に応じて、ミキサドラム3の作動を制御する指令をコントローラ6を通じてドラム駆動装置5に出力する。
【0021】
次に、図2図5を参照して、操作器100の具体的構成について説明する。なお、以下では、ミキサ車1の進行方向を「前後方向」、進行方向に垂直な方向を「左右方向」及び「上下方向」とする。前後方向、左右方向、及び上下方向は、X,Y,Zの直交3軸に沿った方向である(図3参照)。また、以下では、上下方向(Z軸方向)は鉛直方向に相当するものとして説明する。
【0022】
図2は、ミキサ車1の平面図である。図3は、操作器100の斜視図である。図4は、操作器100の正面図であり、図2中矢印A方向から見た図(車両の後方側から見た図)に相当する。図5は、操作器100の左側面図である。
【0023】
図2に示すように、操作器100は、キャビンC内でステアリングホイールSWが設けられる運転席Sの前方右側であって、運転席Sの作業者によって操作可能な位置に設けられる。具体的には、操作器100は、運転席Sの前方右側のインストルメントパネル(インパネ)IP上に固定して配置される。
【0024】
図3~5に示すように、操作器100は、樹脂製の筐体10と、操作対象であるミキサドラム3の作動を制御するための操作部20と、ミキサドラム3の作動を非常停止させるための非常停止ボタン30と、を有する。
【0025】
操作部20は、ミキサドラム3の回転方向及び回転速度を操作する制御ダイヤル21と、ミキサドラム3の自動撹拌を停止する操作ボタンとしての撹拌解除ボタン22と、を有する。
【0026】
制御ダイヤル21は、円形のダイヤル式(ボリューム式)の操作手段であり、その操作位置に応じてミキサドラム3の回転方向が切り換えられる。また、制御ダイヤル21の操作位置に応じてミキサドラム3の回転速度が制御される。
【0027】
具体的には、図4に示す中立位置から右方向(時計回り)に制御ダイヤル21を回転させると、ミキサドラム3は正転運転され、ミキサドラム3内への生コンの投入又は撹拌が行われる。反対に、中立位置から左方向(反時計回り)に制御ダイヤル21を回転させると、ミキサドラム3は逆転運転され、ミキサドラム3から生コンが排出される。制御ダイヤル21では、中立位置からの回転角度が大きいほど、ミキサドラム3が高速で回転される。
【0028】
撹拌解除ボタン22は、押しボタン式のスイッチであり、その周囲にはLEDランプ23が設けられる。LEDランプ23が設けられることで、夜間等であっても撹拌解除ボタン22を容易に認識することができ、操作性が向上する。
【0029】
なお、自動撹拌動作とは、ミキサ車1が走行中であるとコントローラ6が判定した場合に、ミキサドラム3を自動的に正転運転して生コンを撹拌する機能である。このような自動撹拌動作中では、操作器100にはインターロックがかかっており、操作器100(より具体的には制御ダイヤル21)によるミキサドラム3の操作は不能な状態(操作器100には操作権がない状態)とされる。よって、自動撹拌動作中に操作器100を操作しても基本的には操作器100からコントローラ6には制御信号が送信されない。このような自動撹拌動作中に撹拌解除ボタン22が押下されることで、操作器100に対するインターロックが解除され、ミキサ車1の走行中に操作器100よるミキサドラム3の制御が可能となる。これにより、例えば、ミキサ車1の走行中に生コンクリートを排出するといった作業も可能となる。
【0030】
非常停止ボタン30は、押しボタン式のスイッチである。非常停止ボタン30を押下することで、ミキサドラム3の作業状態にかかわらず、ミキサドラム3の回転が停止される。
【0031】
筐体10の内部には、配線(図示省略)を通じて操作部20(制御ダイヤル21、撹拌解除ボタン22)及び非常停止ボタン30に電気的に接続されると共に、配線(図示省略)を通じてコントローラ6に電気的に接続される回路基板(図示省略)が設けられる。操作部20又は非常停止ボタン30が作業者によって操作されることで、回路基板からコントローラ6に操作の態様に応じた指令が送信される。
【0032】
筐体10は、全体が略直方体形状に形成されており、筐体10の正面である運転席S側(車両の後方側)に、操作部20と非常停止ボタン30とが配置される(図3、5参照)。つまり、操作器100では、操作部20及び非常停止ボタン30が運転席Sに向けて筐体10の片側に配置されるように構成されており、筐体10の上下左右の側面16a,16b,16c,16d及び車両前方側の背面17(図5参照)には、操作部20や非常停止ボタン30は設けられない。筐体10の側面16a,16b,16c,16d及び背面17は、略平面に形成されている。
【0033】
筐体10は、前後方向に略垂直な第1垂直面11、第2垂直面12、及び第3垂直面13を有する。第1垂直面11、第2垂直面12、及び第3垂直面13は、前後方向における位置が互いにずれており、この順で車両の後方側から前方側に配置される(図3、5参照)。つまり、第1垂直面11、第2垂直面12、及び第3垂直面13は、互いに略平行に設けられている。
【0034】
図3及び図4に示すように、第1垂直面11には、筐体10の内部と外部を連通する挿通孔11aが形成される。撹拌解除ボタン22及びLEDランプ23は、挿通孔11aを通じて筐体10の外部に露出する。撹拌解除ボタン22及びLEDランプ23は、図3及び5に示すように、第1垂直面11から後方に向けて(運転席Sに向けて)突出せず、第1垂直面11から筐体10内部に向けて凹んだ位置に配置される。これにより、撹拌解除ボタン22の誤操作が防止されると共に、LEDランプ23の光の拡散が抑制されるため、フロントウィンドに対するLEDランプ23の光の映り込みや反射が抑制される。よって、図2に示すように、作業者にとって操作しやすい運転席Sの前方のインパネIP上に操作器100を設置しやすくなる。
【0035】
図3から図5に示すように、第1垂直面11には、第1垂直面11から窪んで形成され略左右方向に延びる溝12aが形成される。言い換えれば、第1垂直面11は、溝12aによって上下方向に2つに分断されている。図5に示す正面図において、下方側の第1垂直面11の左側に挿通孔11aが形成される。溝12aの底部が、第2垂直面12として形成される。
【0036】
制御ダイヤル21は、第2垂直面12に取り付けられる。第2垂直面12には、図示しない挿通孔が形成され、制御ダイヤル21と回路基板とを接続する配線が挿通孔を通過する。
【0037】
下方側の第1垂直面11と第2垂直面12とは、第1テーパ面14によって接続される。第1テーパ面14は、後方から前方へ向かうにつれて上方へ伸びるようなテーパ面である。
【0038】
また、第2垂直面12と第3垂直面13とは、後方から前方へ向かうにつれて上方へ伸びるような第2テーパ面15によって接続される。第2テーパ面15は、筐体10の後方端部において、上方左側に設けられる(図4参照)。
【0039】
第2テーパ面15には、非常停止ボタン30が設けられる。第2テーパ面15には、図示しない挿通孔が形成され、非常停止ボタン30と回路基板とを接続する配線が挿通孔を通過する。
【0040】
図5に示すように、第1テーパ面14と第2テーパ面15とは、それぞれ前後及び左右の2軸を含む平面(XY平面、水平面)に対して傾斜すると共に、XY平面に対する傾斜角が異なるように形成される。よって、第1テーパ面14と第2テーパ面15とは、互いに同一平面上に配置されないようにずれた位置に設けられている。また、第2テーパ面15は、第1垂直面11に対して前方側(言い換えれば、運転席から見て奥側)に配置される。
【0041】
また、第2テーパ面15は、第1垂直面11、第2垂直面12、及び第3垂直面13に対して傾斜して設けられる。より具体的に説明すると、第2テーパ面15は、XY平面に対する角度が第1垂直面11及び第2垂直面12とは異なっており、相対的に上向きに設定される。第2テーパ面15が相対的に上向きとは、XY平面に対する第2テーパ面15の垂線の角度が、第1垂直面11及び第2垂直面12の垂線の角度よりも大きく、第2テーパ面15の垂線が相対的に鉛直(Z軸)に近くなることを意味する。
【0042】
別の観点から、第2テーパ面15について説明する。図5に示すように、第1垂直面11を含む仮想平面を第1仮想平面P1、第2テーパ面15を含む仮想平面を第2仮想平面P2、第1垂直面11に対して筐体10の外部から引いた仮想垂線(第1垂直面11の垂線であって筐体10から離れる方向に延びる仮想線)を第1仮想垂線L1、第2テーパ面15に対して筐体10の外部から引いた垂線(第2テーパ面15の垂線であって筐体10から離れる方向に延びる仮想線)を第2仮想垂線L2とする。第1仮想垂線L1は、前後方向(Y軸)に平行である。
【0043】
図5に示すように、第1垂直面11と第2テーパ面15とは、第1仮想垂線L1と第2仮想垂線L2との角度θが、0度より大きく90度よりも小さくなるように設定される(0°<θ<90°)。つまり、第1仮想垂線L1と第2仮想垂線L2とは、互いに平行でも垂直でもない。そして、第1仮想平面P1と第2仮想平面P2との交線Lcは、左右方向(X軸)に平行(図5において紙面に対して垂直)である。第1仮想平面P1と第2仮想平面P2との角度も、0度より大きく90度よりも小さくなるように設定される。なお、第2垂直面12は第1垂直面11と平行であるため、第2テーパ面15と第2垂直面12との関係も、第2テーパ面15と第1垂直面11との関係と同様のものとなる。
【0044】
このような第2テーパ面15が設けられることにより、作業者は、第2テーパ面15に設けられる非常停止ボタン30と、第1垂直面11や第2垂直面12に設けられる操作部20(撹拌解除スイッチ及び制御ダイヤル21)とを感覚的に区別しやすくなるため、誤操作を防止することができる。このように、本実施形態では、第1垂直面11及び第2垂直面12が第1取付面に相当し、第2テーパ面15が第2取付面に相当する。
【0045】
また、撹拌解除ボタン22の押圧方向が略水平であって相対的にミキサ車1の前後方向に近くなるのに対し、第2テーパ面15に設けられる非常停止ボタン30の押圧方向は相対的にミキサ車1の上下方向に近くなる。これにより、作業者は、運転席Sに座った状態において、非常停止ボタン30を咄嗟に操作しやすくなる。
【0046】
また、図4に示すように、非常停止ボタン30と撹拌解除ボタン22とは、左右方向の位置がほぼ同一であり、それぞれ制御ダイヤル21に対して左側(運転席から見て車両中央側)に設けられている。また、非常停止ボタン30は、運転席からみて撹拌解除ボタン22よりも奥側に設けられている。よって、作業者は、非常停止ボタン30と撹拌解除ボタン22とを感覚的に区別しやすくなる。
【0047】
本実施形態では、図5に示すように、第2テーパ面15は、水平面(XY平面)に対して略45度だけ傾斜して設けられる。第2テーパ面15は、水平面に対する角度が、0度よりも大きく90度よりも小さい範囲内であって、第1垂直面11の水平面に対する角度よりも小さく形成されるものであれば、その角度は任意に形成できる。鉛直面(XZ平面)と基準として換言すれば、図5に示す方向で角度の正負を設定すると、鉛直面(XZ平面)に対して、第1垂直面11は0度±45度の範囲内で傾斜し、第2テーパ面15は0度より大きく90度より小さい範囲内で第1垂直面11よりも大きな角度となるように設定されればよい。また、作業者による操作性を良好にするには、第2テーパ面15は、水平に対して45度±10度の範囲内で傾斜することが望ましい。第1垂直面11は、鉛直面(XZ平面)に対して、0度±45度の範囲内で傾斜することが望ましい。
【0048】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0049】
操作器100では、制御ダイヤル21及び撹拌解除ボタン22が設けられる第1垂直面11及び第2垂直面12と非常停止ボタン30が設けられる第2テーパ面15とは、互いに傾斜して設けられ、第2テーパ面15は相対的にミキサ車1に対して上向きに設定される。これにより、作業者は、制御ダイヤル21及び撹拌解除ボタン22と非常停止ボタン30とを感覚的に区別しやすくなり、誤操作が防止される。また、非常停止ボタン30の押圧方向が相対的に上向きであるため、作業者は非常停止ボタン30を咄嗟に操作しやすくなる。このように、操作器100では、非常停止ボタン30と操作部20(制御ダイヤル21、撹拌解除ボタン22)との誤操作を防止しつつ、非常停止ボタン30の操作性を向上させることができる。
【0050】
また、非常停止ボタン30と撹拌解除ボタン22とは、左右方向の位置は略一致する一方、前後方向の位置はずれており、非常停止ボタン30は運転席Sから見て相対的に奥側に設けられる。さらに、第1テーパ面14と第2テーパ面15とは同一面上に配置されないように構成される。これらの構成により、作業者は、非常停止ボタン30と撹拌解除ボタン22とをより一層感覚的に区別しやすくなり、誤操作が防止される。
【0051】
また、撹拌解除ボタン22及びその周囲のLEDランプ23は、第1垂直面11から凹んだ位置に配置される。これにより、撹拌解除ボタン22の誤操作を防止すると共に、フロントウィンドに対するLEDランプ23の映り込み等を防止できる。
【0052】
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0053】
上記実施形態では、操作器100は、ミキサ車1のキャビンC内に設けられる場合を説明した。これに対し、操作器100の用途は、ミキサ車1に限定されるものではない。操作器100は、作業者が携帯するハンディ型の操作器ではなく、取付対象物に固定される固定型の操作器であれば、種々の用途に利用できる。操作器100は、ミキサ車1以外の特装車として、例えば、パッカー車(塵芥車)、ダンプトラック車、はしご消防車、剪定枝粉砕処理車などの操作器として使用されるものでもよい。また、操作器100は、工場に設置され設備の作動を制御する操作器として使用されるものでもよい。
【0054】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0055】
操作器100は、筐体10と、筐体10の第1取付面(第1垂直面11、第2垂直面12)に設けられ操作対象(ミキサドラム3)の作動を制御するための操作部20(撹拌解除ボタン22、制御ダイヤル21)と、筐体10の第2取付面(第2テーパ面15)に設けられ操作対象の作動を非常停止させるための非常停止ボタン30と、を備え、第1取付面と第2取付面とは、互いに傾斜して設けられ、第2取付面が相対的に上向きに設定されており、第1取付面から筐体10の外側に向けて延びる第1仮想垂線L1と第2取付面から筐体10の外側に向けて延びる第2仮想垂線L2との角度θは、0度より大きく90度より小さい範囲内に設定される。
【0056】
この構成では、第1取付面と第2取付面とは、互いに傾斜しているため、第1取付面に設けられる操作部20と第2取付面に設けられる非常停止ボタン30とを間違って操作するおそれを低減することができる。また、第2取付面が相対的に上向きに設けられるため、咄嗟に非常停止ボタン30を押圧しやすい。したがって、操作器100によれば、誤操作を防止しつつ操作性が向上する。
【0057】
また、操作器100は、ミキサ車1のキャビンC内に固定配置され、非常停止ボタン30は、運転席Sからみて操作部よりも奥に配置されている。
【0058】
この構成では、運転席Sの作業者が第1取付面の操作部20と第2取付面の非常停止ボタン30とを感覚的に区別しやすくなるため、誤操作がより一層防止される。
【0059】
また、操作器100では、操作部20は、押しボタン式の操作ボタン(撹拌解除ボタン22)を有し、第1取付面には、操作ボタンを露出させる挿通孔11aが設けられ、操作ボタンは、第1取付面から筐体10の外部に向けて突出せずに凹んだ位置に配置される。
【0060】
この構成では、操作ボタンは第1取付面から突出しないため、誤操作が防止される。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0062】
100…操作器、10…筐体、11…第1垂直面(第1取付面)、11a…挿通孔、12…第2垂直面(第1取付面)、15…第2テーパ面(第2取付面)、20…操作部、22…撹拌解除ボタン(操作ボタン)、30…非常停止ボタン、C…キャビン(取付対象物)、L1…第1仮想垂線、L2…第2仮想垂線
図1
図2
図3
図4
図5