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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】トルクセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
G01L3/10 305
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020077372
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021173635
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前原 秀雄
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-195361(JP,A)
【文献】特開2016-176847(JP,A)
【文献】特開2001-083027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/00-3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に回転自在に支持された第1シャフトと第2シャフトとを連結するトーションバーに作用するトルクを検出するトルクセンサであって、
前記第1シャフトと共に回転する磁気発生部と、
前記第2シャフトと共に回転する回転磁気回路部と、
前記トーションバーのねじれ変形に伴って前記磁気発生部から前記回転磁気回路部を通じて導かれる磁束密度を検出する磁気検出部と、を備え、
前記磁気検出部は、
前記磁束密度を検出する磁気検出器と、
前記回転磁気回路部からの磁束を集めて前記磁気検出器へと導く集磁ヨークと、
前記回転磁気回路部での漏れ磁束に対して前記磁気検出器を磁気的に遮蔽する遮蔽板と、
前記磁気検出器を収容するとともに前記集磁ヨーク及び前記遮蔽板を保持し、前記ハウジングに取り付けられるケースと、を有し、
前記ケースは、
前記磁気検出器を収容する収容部と、
前記収容部と前記ハウジング内の空間とを隔てる隔壁部と、
前記隔壁部を貫通して形成される検査用連通孔と、を有し、
前記検査用連通孔の一端は前記収容部に開口し、前記検査用連通孔の他端は前記遮蔽板が前記ケースに取り付けられることによって塞がれることを特徴とするトルクセンサ。
【請求項2】
前記隔壁部には、前記ケースに取り付けられた前記遮蔽板により覆われる被覆領域が設けられ、
前記検査用連通孔の前記他端は、前記被覆領域において開口することを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項3】
前記隔壁部には、前記遮蔽板を前記ケースに取り付ける際に端面が熱変形されるボス部が設けられ、
前記検査用連通孔の前記他端は、前記ボス部の前記端面において開口することを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力シャフトに固定される磁気発生部と、出力シャフトに固定される回転磁気回路部と、ハウジングに固定される固定磁気回路部と、固定磁気回路部に導かれる磁束密度を検出する磁気検出部と、を備えるトルクセンサが開示されている。
【0003】
磁気検出部は、磁束密度を検出する磁気センサと、回転磁気回路部からの磁束を集めて磁気センサへと導く集磁ヨークと、磁気センサを収容する収容部が設けられたケースと、を有しており、集磁ヨークは、樹脂によりモールドされケースと一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-195361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるようなトルクセンサにおいて、ケースの気密性を検査するために、ケースには、ハウジングに取り付けられる前に、ハウジングに挿入される挿入部を通じて検査用の圧力が印加される。印加された圧力が低下しなければ、磁気センサを収容する収容部の気密性が確保されていると判定されることになる。しかしながら、ハウジングに挿入される挿入部において収容部と連通する通路となり得るのは、集磁ヨークとモールド樹脂との間に形成される隙間程度であるため、この隙間が小さすぎると収容部に圧力が印加されにくくなり、収容部の気密性が確保されているか否かを判定することが困難となる。収容部の気密性を確認するために、この隙間を大きくすることも考えられるが、ケースがハウジングに取り付けられた状態では、この隙間を通じてコンタミ等が収容部内に侵入しやすくなることから、磁気センサにコンタミ等が付着し、磁気センサの検出値が不安定となり、結果として正確なトルクを検出することができなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、トルクセンサの気密性を容易に検査可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ハウジング内に回転自在に支持された第1シャフトと第2シャフトとを連結するトーションバーに作用するトルクを検出するトルクセンサが、第1シャフトと共に回転する磁気発生部と、第2シャフトと共に回転する回転磁気回路部と、トーションバーのねじれ変形に伴って磁気発生部から回転磁気回路部を通じて導かれる磁束密度を検出する磁気検出部と、を備え、磁気検出部が、磁束密度を検出する磁気検出器と、回転磁気回路部からの磁束を集めて磁気検出器へと導く集磁ヨークと、回転磁気回路部での漏れ磁束に対して磁気検出器を磁気的に遮蔽する遮蔽板と、磁気検出器を収容するとともに集磁ヨーク及び遮蔽板を保持し、ハウジングに取り付けられるケースと、を有し、ケースが、磁気検出器を収容する収容部と、収容部とハウジング内の空間とを隔てる隔壁部と、隔壁部を貫通して形成される検査用連通孔と、を有し、検査用連通孔の一端は収容部に開口し、検査用連通孔の他端は遮蔽板がケースに取り付けられることによって塞がれることを特徴とする。
【0008】
この発明では、ケースの収容部に気密検査用の圧力を導くための検査用連通孔が隔壁部に設けられており、この検査用連通孔は、気密性の検査が終了し、ケースに遮蔽板が取り付けられると塞がれるように形成されている。このように検査用連通孔を隔壁部に設けておくことによって、検査用連通孔を通じてケース内に気密検査用の圧力が導かれるため、収容部の気密性が確保されているか否かを容易に判定することができる。また、ケースがハウジングに取り付けられる際には、検査用連通孔は塞がれた状態となっていることから、検査用連通孔を通じて異物が収容部内に侵入することを防止することができる。
【0009】
本発明は、隔壁部に、ケースに取り付けられた遮蔽板によって覆われる被覆領域が設けられ、検査用連通孔の他端が、被覆領域において開口することを特徴とする。
【0010】
この発明では、検査用連通孔の他端は、ケースに取り付けられた遮蔽板によって覆われる被覆領域において開口している。つまり、検査用連通孔は、気密性の検査が終了しケースに遮蔽板が取り付けられると、遮蔽板によって他端が覆われることになる。このように、ケースがハウジングに取り付けられる際には、検査用連通孔は遮蔽板によって塞がれた状態となっていることから、収容部の気密性を容易に検査することができるとともに、検査用連通孔を通じて異物が収容部内に侵入することを防止することができる。
【0011】
本発明は、隔壁部に、遮蔽板をケースに取り付ける際に端面が熱変形されるボス部が設けられ、検査用連通孔の他端は、ボス部の端面において開口することを特徴とする。
【0012】
この発明では、検査用連通孔の他端は、遮蔽板をケースに取り付ける際に熱変形されるボス部の端面において開口している。つまり、検査用連通孔は、気密性の検査が終了し、ケースに遮蔽板を取り付けるために、ボス部の端面が溶融されると、閉塞されることになる。このように、ケースがハウジングに取り付けられる際には、検査用連通孔は塞がれた状態となっていることから、収容部の気密性を容易に検査することができるとともに、検査用連通孔を通じて異物が収容部内に侵入することを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トルクセンサの気密性を容易に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るトルクセンサが適用される電動パワーステアリング装置の断面図である。
図2】回転磁気回路部の斜視図である。
図3図1において矢印Aで示される部分の拡大図である。
図4図3のB-B線に沿う断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るトルクセンサのケースの気密検査について説明するための図である。
図6】本発明の実施形態に係るトルクセンサの変形例を示す断面図であって、図4に相当する断面図である。
図7】本発明の実施形態に係るトルクセンサの変形例のケースの気密検査について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るトルクセンサ100について説明する。
【0016】
まず、図1を参照して、トルクセンサ100が適用される電動パワーステアリング装置1について説明する。電動パワーステアリング装置1は、車両に搭載され、ドライバによるステアリングホイールの操舵を補助する装置である。
【0017】
電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイールに連結されステアリングホイールの回転に応じて回転するステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2の回転に応じて車輪を転舵させるラックシャフトと、を有する。
【0018】
ステアリングシャフト2は、ドライバによるステアリングホイールの操舵に伴って回転する第1シャフトとしての入力シャフト3と、車輪を転舵するラックシャフトに連係する第2シャフトとしての出力シャフト4と、入力シャフト3と出力シャフト4を連結するトーションバー5と、を有する。
【0019】
出力シャフト4の下部には、ラックシャフトに形成されたラックギアと噛み合うピニオンギアが形成される。ステアリングホイールが操舵されると、ステアリングシャフト2が回転し、その回転がピニオンギア及びラックギアによってラックシャフトの直線運動に変換され、ナックルアームを介して車輪が転舵される。なお、ラックシャフトに噛み合うピニオンシャフトと出力シャフト4とをインターミディエートシャフトを介して連結する構成であってもよい。
【0020】
電動パワーステアリング装置1は、ドライバの操舵を補助するアシスト機構として、出力シャフト4に連結されたウォームホイールと、ウォームホイールと噛合するウォームシャフトと、ウォームシャフトを回転駆動する電動モータと、を備える。電動パワーステアリング装置1は、電動モータによって出力シャフト4に操舵補助トルクを付与する。
【0021】
入力シャフト3は、転がり軸受13を介して金属製の第1ハウジング11に回転自在に支持される。出力シャフト4は、転がり軸受14を介して金属製の第2ハウジング12に回転自在に支持される。入力シャフト3の下端側と出力シャフト4の上端側との間には、滑り軸受15が介装される。入力シャフト3と出力シャフト4は、同一軸上で回転自在に第1及び第2ハウジング11,12に支持される。第1ハウジング11と第2ハウジング12は、ボルト16を介して締結される。
【0022】
入力シャフト3は円筒状に形成され、入力シャフト3の内部にはトーションバー5が同軸に収容される。トーションバー5の上端部は、ピン17を介して入力シャフト3の上端部に連結される。トーションバー5の下端部は、入力シャフト3の下端開口部より突出し、セレーション5aを介して出力シャフト4に連結される。トーションバー5は、ステアリングホイールを介して入力シャフト3に入力される操舵トルクを出力シャフト4に伝達し、その操舵トルクに応じて軸中心にねじれ変形する。
【0023】
電動パワーステアリング装置1には、入力シャフト3と出力シャフト4との回転角度差に基づいてトーションバー5に付与される操舵トルクを検出する非接触式のトルクセンサ100が設けられる。
【0024】
続いて、図1~3を参照して、トルクセンサ100について説明する。なお、図2は、後述の回転磁気回路部30の斜視図であり、図3は、図1において矢印Aで示される部分を拡大して示した拡大図である。
【0025】
図1~3に示すように、トルクセンサ100は、入力シャフト3に固定され入力シャフト3と共に回転する磁気発生部20と、出力シャフト4に固定され出力シャフト4と共に回転する回転磁気回路部30と、トーションバー5のねじれ変形に伴って磁気発生部20から回転磁気回路部30を通じて導かれる磁束密度を検出する磁気検出部50と、回転磁気回路部30から磁気検出部50へと磁束を導く固定磁気回路部40と、を備える。トルクセンサ100は、トーションバー5に作用する操舵トルクを磁気検出部50に設けられた後述の磁気センサ54の出力に基づいて検出する。
【0026】
なお、上記構成に代えて、磁気発生部20を出力シャフト4と共に回転するように出力シャフト4に固定し、回転磁気回路部30を入力シャフト3と共に回転するように入力シャフト3に固定するようにしてもよい。
【0027】
磁気発生部20は、入力シャフト3に圧入される環状のバックヨーク21と、バックヨーク21の下端面に結合される環状のリング磁石22と、を備える。
【0028】
リング磁石22は、入力シャフト3の回転軸O方向に磁気を発生する永久磁石である。リング磁石22は、回転軸O方向に向けて硬磁性体を着磁することによって形成される多極磁石であり、周方向に等しい幅で形成される12個の磁極を有する。つまり、リング磁石22の上端面及び下端面には、6個のN極と6個のS極が周方向に交互に配設される。リング磁石22の端面に形成される磁極数は、2個以上の範囲で任意に設定される。
【0029】
バックヨーク21の下端面には、リング磁石22の上端面である上部磁極面が接着剤を介して固定される。バックヨーク24は軟磁性体によって形成されるため、リング磁石22が及ぼす磁界によって磁化され、リング磁石22に吸着する。このように、バックヨーク21とリング磁石22は、接着剤の接着力と磁力とによって結合される。バックヨーク21は、リング磁石22を入力シャフト3に連結する連結部材としての機能と、リング磁石22の隣り合う磁極を結んで磁束を導く継鉄としての機能とを有し、リング磁石22の下端面である下部磁極面に磁力を集中させる。
【0030】
図1~3に示すように、回転磁気回路部30は、リング磁石22から発生する磁束が導かれる第1軟磁性リング31及び第2軟磁性リング32と、出力シャフト4に取り付けられる取付部材33と、取付部材33に第1軟磁性リング31及び第2軟磁性リング32を固定するモールド樹脂34と、を備える。なお、図3では、モールド樹脂34の図示を省略している。
【0031】
第1軟磁性リング31は、環状の第1磁路環部31Cと、第1磁路環部31Cから下向きに突出する6個の第1磁路柱部31Bと、各第1磁路柱部31Bの下端からそれぞれ内向きに屈折してリング磁石22の下端面に対峙する第1磁路先端部31Aと、を有する。第2軟磁性リング32は、環状の第2磁路環部32Cと、第2磁路環部32Cから上向きに突出する6個の第2磁路柱部32Bと、各第2磁路柱部32Bの上端からそれぞれ内向きに屈折してリング磁石22の下端面に対峙する第2磁路先端部32Aと、を有する。
【0032】
第1軟磁性リング31及び第2軟磁性リング32は、プレス加工によって形成される。第1軟磁性リング31及び第2軟磁性リング32は、プレス加工に限らず、鋳造、焼結等によって形成してもよい。
【0033】
第1磁路先端部31A及び第2磁路先端部32Aは平板状に形成される。第1磁路先端部31Aと第2磁路先端部32Aは、トーションバー5の回転軸Oと直交する同一平面上に、その回転軸Oを中心として周方向に交互に等間隔を空けて配置される。また、第1磁路先端部31Aと第2磁路先端部32Aは、トーションバー5にトルクが作用していない中立状態で、トーションバー5の径方向に延びるそれぞれの中心線がリング磁石22のN極とS極の境界を指すように配置される。
【0034】
第1磁路柱部31Bと第2磁路柱部32Bは、それぞれ平板状に形成され、トーションバー5の回転軸O方向に延設される。第1磁路柱部31Bは、所定の間隙を空けてリング磁石22の外周面を囲むように配置される。第1磁路柱部31Bは、リング磁石22の磁束を短絡しないように設けられる。第2磁路柱部32Bは、トーションバー5の回転軸Oに沿って第1磁路柱部31Bと反対方向に延設される。
【0035】
第1磁路環部31C及び第2磁路環部32Cは、トーションバー5の回転軸Oと直交する平面上に配置され、全周がつながった環状に形成される。第1磁路環部31C及び第2磁路環部32Cは、この形状に限られず、部分的にスリットが形成されたC字形状であってもよい。
【0036】
第1磁路環部31Cはリング磁石22の下端面より上方に配置され、第2磁路環部32Cはリング磁石22より下方に配置される。つまり、リング磁石22は、トーションバー5の回転軸O方向について第1磁路環部31Cと第2磁路環部32Cの間に配置される。
【0037】
固定磁気回路部40は、図1及び図3に示すように、第1軟磁性リング31の第1磁路環部31Cの外周に沿って設けられた環状の第1集磁リング41と、第2軟磁性リング32の第2磁路環部32Cの外周に沿って設けられた環状の第2集磁リング42と、を備える。
【0038】
第1集磁リング41及び第2集磁リング42は、部分的にスリットが形成されたC字形状であり、第1ハウジング11の内周面にかしめ固定される。第1集磁リング41の内周面は第1軟磁性リング31の第1磁路環部31Cに対峙し、第2集磁リング42の内周面は第2軟磁性リング32の第2磁路環部32Cに対峙する。
【0039】
このように、第1集磁リング41及び第2集磁リング42は、回転磁気回路部30の外周に配置され、回転磁気回路部30の回転振れや偏心の影響を緩和して磁気検出部50へと磁束を導く機能を有する。
【0040】
磁気検出部50は、磁束密度を検出する磁気検出器としての磁気センサ54と、磁気センサ54が接続される基板55と、回転磁気回路部30からの磁束を集めて磁気センサ54へと導く集磁ヨークとしての第1集磁ヨーク51及び第2集磁ヨーク52と、回転磁気回路部30での漏れ磁束に対して磁気センサ54を磁気的に遮蔽する遮蔽板53と、これらの構成部材を収容ないし保持する樹脂製のケース60と、を備える。
【0041】
磁気センサ54には、ホール素子が用いられる。ホール素子は、これを通過する磁束密度に応じた電圧を信号として出力するものである。磁気センサ54は、第1集磁ヨーク51と第2集磁ヨーク52との間に形成される後述の磁気ギャップ内に配置され、第1集磁ヨーク51と第2集磁ヨーク52との間の磁束の方向及び大きさに応じた電圧値を出力する。磁気センサ54から出力された電圧値は、基板55を通じて電動パワーステアリング装置1の駆動を制御するEPSコントローラに入力される。
【0042】
なお、磁気センサ54は、複数設けられていてもよく、この場合、複数の磁気センサ54の出力電圧を比較することによってトルクセンサ100の故障診断を行うことが可能である。換言すれば、磁気センサ54を用いてトルクセンサ100の故障診断を行わない場合には、磁気センサ54は1つだけ設けられていればよい。
【0043】
第1集磁ヨーク51と第2集磁ヨーク52は、互いに同一形状である。第1集磁ヨーク51は、第1集磁リング41の外周面に接触するように周方向に沿って円弧状に形成された接触部51aと、接触部51aから突出して形成される脚部51bと、を有する。同様に、第2集磁ヨーク52は、第2集磁リング42の外周面に接触するように周方向に沿って円弧状に形成された接触部52aと、接触部52aから突出して形成される脚部52bと、を有する。
【0044】
第1集磁ヨーク51と第2集磁ヨーク52とは、接触部51aと接触部52aとがトーションバー5の軸方向において所定の間隔を空けて互いに平行に配置された状態で、射出成形によって、ケース60と一体的にインサート成形される。
【0045】
このようにケース60と一体的となった第1集磁ヨーク51及び第2集磁ヨーク52は、ケース60が第1ハウジング11に取り付けられることで、第1集磁リング41及び第2集磁リング42にそれぞれ接触した状態となり、第1集磁リング41及び第1集磁ヨーク51と、第2集磁リング42及び第2集磁ヨーク52と、によって、磁気センサ54へと磁束を導く磁路がそれぞれ構成される。
【0046】
第1集磁ヨーク51の脚部51bと、第2集磁ヨーク52の脚部52bとは、接触部51aと接触部52aとがトーションバー5の軸方向において互いに対向する端面から延び、径方向外側に向かって折り曲げて形成される。脚部51bの先端部と脚部52bの先端部とは、図3に示すように、所定の隙間である磁気ギャップをもって互いに対向する。磁気ギャップ内には、上述のように、磁気センサ54が配置される。なお、磁気センサ54が2つ設けられる場合には、第1集磁ヨーク51及び第2集磁ヨーク52には、それぞれ2つの脚部51b,52bが設けられる。
【0047】
遮蔽板53は、軟磁性体によって形成される部材であり、図3及び図4に示すように、第1集磁ヨーク51及び第2集磁ヨーク52の接触部51a,52aと略同一の曲率半径を有する円弧状に形成される円弧部53aと、円弧部53aの長手方向において両端に設けられる取付部53bと、を有する。取付部53bには、後述のボス部61dが挿通する挿通孔がそれぞれ設けられる。なお、図4は、図3のB-B線に沿う断面の一部を示す断面図であり、主に遮蔽板53が設けられる部分を示し、それ以外の部分については省略している。
【0048】
遮蔽板53は、第1集磁ヨーク51と第2集磁ヨーク52との間において、第1集磁ヨーク51及び第2集磁ヨーク52の両者との間に所定の隙間を空けて配置され、熱カシメによって、ケース60に組み付けられる。なお、遮蔽板53は、ケース60とは別部材であるネジ等の結合部材を介してケース60に組付けられてもよい。
【0049】
第1集磁ヨーク51と第2集磁ヨーク52の間に遮蔽板53が配置されることによって、回転磁気回路部30からの漏れ磁束は、遮蔽板53に誘導され、磁気センサ54に到達しにくくなる。つまり、磁気センサ54は、遮蔽板53によって回転磁気回路部30からの漏れ磁束に対して磁気的に遮蔽される。これによりトーションバー5のねじれ変形とは関係のない漏れ磁束の変化が磁気センサ54により検出されてしまうことが避けられ、トルクセンサ100の検出誤差が低減されることで、トルクセンサ100の検出精度を向上させることができる。
【0050】
ケース60は、図3に示すように、有底筒状に形成された本体部61と、本体部61の開口部を封止するカバー62と、本体部61とカバー62とにより区画された空間であって磁気センサ54及び基板55が収容される収容部64と、を有する。また、ケース60は、本体部61の外周から径方向に突出して形成されボルトを介して第1ハウジング11に締結される図示しないフランジ部と、基板55とEPSコントローラとを電気的に接続する図示しないコネクタと、を有する。
【0051】
本体部61は、第1ハウジング11に形成された開口部11aに一部が挿入される筒状に形成された筒部61aと、筒部61aの一端側を閉塞する底部61bと、を有する樹脂製部材である。
【0052】
筒部61aの外周面と開口部11aの内周面との間にはOリング18が設けられ、これにより、開口部11aとケース60との間を通じて外部から第1ハウジング11内へ泥水等が侵入することが防止される。
【0053】
収容部64と第1ハウジング11内の空間とを隔てる隔壁部となる底部61bには、第1集磁ヨーク51及び第2集磁ヨーク52がインサート成形されることによって保持されるとともに、熱カシメによって遮蔽板53が取り付けられる。
【0054】
遮蔽板53を熱カシメによってケース60の底部61bに取り付けるために、底部61bには、遮蔽板53の形状に合わせて円弧状に凹んで形成された円弧面61cと、遮蔽板53の取付部53bに形成された挿通孔に挿通するボス部61dと、が設けられる。
【0055】
取付部53bの挿通孔を挿通したボス部61dの端面が熱カシメ機により溶融され熱変形することによって、遮蔽板53は底部61bに固定される。このように熱カシメにより遮蔽板53が底部61bに固定されることで、円弧面61cが形成された領域およびボス部61dの周辺の領域は、遮蔽板53によって覆われた被覆領域となる。この被覆領域では、遮蔽板53が底部61bに対してほぼ接触した状態となっているが、遮蔽板53と底部61bとの間には、わずかな隙間があってもよい。
【0056】
また、底部61bには、底部61bを貫通して形成される検査用連通孔65が設けられる。検査用連通孔65の一端は、収容部64に開口し、検査用連通孔65の他端は、円弧面61cにおいて開口している。このように検査用連通孔65の他端は、遮蔽板53が底部61bに固定された際に遮蔽板53によって覆われる被覆領域において開口している。このため、底部61bに遮蔽板53が取り付けられることによって検査用連通孔65の他端は塞がれることになる。なお、検査用連通孔65の他端は、遮蔽板53により覆われていれば完全に封止されていなくともよく、遮蔽板53と検査用連通孔65の他端との間には、わずかな隙間があってもよい。また、例えば、検査用連通孔65の他端周りに座繰りを設け、座繰り部を介して検査用連通孔65の他端が被覆領域において開口する構成、すなわち、座繰り部を遮蔽板53により覆うことで検査用連通孔65の他端を塞ぐ構成としてもよい。
【0057】
カバー62は、板状に形成された平板部62aと、平板部62aの外縁に設けられ、本体部61に結合される結合部62bと、を有する樹脂製の円盤状部材である。カバー62は、結合部62bが筒部61aの他端側に熱溶着されることによって本体部61に結合される。なお、カバー62は、熱溶着とは異なる方法で本体部61に結合されてもよい。
【0058】
続いて、上記構成のトルクセンサ100によりトーションバー5に作用する操舵トルクを検出する方法について説明する。
【0059】
トーションバー5にトルクが作用しない中立状態では、第1軟磁性リング31の第1磁路先端部31Aと第2軟磁性リング32の第2磁路先端部32Aとは、それぞれリング磁石22のN極及びS極に同一の面積で対峙して両者を磁気短絡する。そのため、磁束は回転磁気回路部30と固定磁気回路部40に導かれない。
【0060】
運転者によるステアリングホイールの操作によってトーションバー5に特定の方向のトルクが作用した場合には、このトルクの方向に応じてトーションバー5はねじれ変形する。トーションバー5がねじれ変形すると、第1磁路先端部31AがS極よりN極に大きな面積を持って対峙する一方、第2磁路先端部32AがN極よりS極に大きな面積を持って対峙する。リング磁石22からの磁束は回転磁気回路部30を通じて固定磁気回路部40に導かれる。具体的には、N極から第1軟磁性リング31、第1集磁リング41、第1集磁ヨーク51、第2集磁ヨーク52、第2集磁リング42、第2軟磁性リング32を経由してS極に向かう経路である。第1集磁ヨーク51と第2集磁ヨーク52の間の磁気ギャップに設置された磁気センサ54は、磁束の大きさ及び方向に応じた電圧値を出力する。
【0061】
一方、運転者によるステアリングホイールの操作によってトーションバー5に上記とは逆方向のトルクが作用した場合には、このトルクの方向に応じてトーションバー5が逆方向にねじれ変形する。トーションバー5がねじれ変形すると、第1磁路先端部31AがN極よりS極に大きな面積を持って対峙する一方、第2磁路先端部32AがS極よりN極に大きな面積を持って対峙する。リング磁石22からの磁束は、回転磁気回路部30を通じて固定磁気回路部40に導かれるが、上記とは逆の経路となる。具体的には、N極から第2軟磁性リング32、第2集磁リング42、第2集磁ヨーク52、第1集磁ヨーク51、第1集磁リング41、第1軟磁性リング31を経由してS極に向かう経路である。第1集磁ヨーク51と第2集磁ヨーク52の間の磁気ギャップに設置された磁気センサ54は、磁束の大きさ及び方向に応じた電圧値を出力する。
【0062】
運転者の操作によりステアリングホイールに入力される操舵トルクが大きい程、トーションバー5のねじれ変形量が多くなるため、第1磁路先端部31Aがリング磁石22のN極とS極に対峙する面積差、及び第2磁路先端部32Aがリング磁石22のN極とS極に対峙する面積差が大きくなり、磁気ギャップに誘導される磁束が大きくなる。これに応じて、磁気センサ54の出力電圧も増大する。
【0063】
次に、図5を参照し、ケース60の気密性を検査する方法について説明する。図5は、ケース60が検査用の治具80に取り付けられた状態の断面を示している。なお、図5におけるケース60の断面は、図4に示される断面に相当する。
【0064】
検査用の治具80は、本体部61の筒部61aを介してケース60が装着される装着孔80aと、ケース60の底部61bと装着孔80aとにより囲まれた圧力印加空間81に検査用の圧力を導入するための導入孔80bと、を有する。また、治具80には、圧力印加空間81内の圧力を測定する図示しない圧力センサが取り付けられる。
【0065】
ケース60の気密性を検査する際には、まず、所定の圧力に調整された検査用の圧力が導入孔80bを通じて、圧力印加空間81に導入される。そして、圧力印加空間81に導入された検査用の圧力は、ケース60の底部61bに設けられた検査用連通孔65を通じて収容部64に印加される。
【0066】
収容部64に検査用の圧力が印加されてから所定時間経過した後に圧力センサにより検出された圧力印加空間81内の圧力が、判定基準圧以上であれば、ケース60の気密性に問題はないと判定され、圧力センサにより検出された圧力が判定基準圧未満であれば、ケース60の気密性に異常があると判定される。なお、気密性の異常としては、例えば、本体部61とカバー62との溶着不良やコネクタの端子部における防水栓外れ、本体部61の亀裂等が挙げられる。
【0067】
ここで、ケース60の底部61bを通じて検査用の圧力を印加する場合に、上述のような検査用連通孔65が設けられていないと、収容部64と連通する通路となり得るのは、集磁ヨーク51,52とモールド樹脂との間に形成される隙間程度である。この隙間が小さすぎると、収容部64に圧力が印加されにくくなることから、収容部64の気密性が確保されているか否かの判定に時間がかかってしまったり、収容部64に圧力が印加されない状態で判定が行われてしまったりすることになるため、ケース60の気密性の判定を正確に行うことができないおそれがある。
【0068】
また、収容部64の気密性を確認しやすくするために、この隙間を大きくすることも考えられるが、ケース60が第1ハウジング11に取り付けられた後、この隙間を通じてコンタミ等の異物が収容部64内に侵入しやすくなることから、磁気センサ54や基板55にコンタミ等が付着し、磁気センサ54の検出値が不安定となり、結果として正確なトルクを検出することができなくなるおそれがある。
【0069】
これに対して本実施形態では、ケース60の収容部64に気密検査用の圧力を導くために、検査用連通孔65が底部61bに予め設けられている。また、この検査用連通孔65は、上述のように、気密性の検査が終了しケース60に遮蔽板53が取り付けられると、遮蔽板53によって塞がれるように形成されている。このため、収容部64の気密性が確保されているか否かを容易に判定することができるとともに、ケース60が第1ハウジング11に取り付けられる際には、検査用連通孔65は遮蔽板53によって塞がれた状態となっていることから、検査用連通孔65を通じてコンタミ等が収容部64内に侵入することを防止することができる。
【0070】
なお、図4及び図5に示される実施形態では、検査用連通孔65は1か所のみに設けられているが、検査用連通孔65の数はこれに限定されず、2つ以上の複数であってもよい。
【0071】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0072】
上記構成のトルクセンサ100では、ケース60の収容部64に気密検査用の圧力を導くための検査用連通孔65が底部61bに設けられており、この検査用連通孔65は、気密性の検査が終了しケース60に遮蔽板53が取り付けられると、遮蔽板53によって塞がれるように形成されている。このように検査用連通孔65を底部61bに設けておくことによって、検査用連通孔65を通じてケース60内に気密検査用の圧力が迅速かつ確実に導かれるため、収容部64の気密性が確保されているか否かを容易に判定することができる。また、ケース60が第1ハウジング11に取り付けられる際には、検査用連通孔65は遮蔽板53によって塞がれた状態となっていることから、検査用連通孔65を通じてコンタミ等が収容部64内に侵入することを防止することができる。
【0073】
なお、次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0074】
上記実施形態では、検査用連通孔65は、他端が、遮蔽板53によって覆われる被覆領域となる円弧面61cにおいて開口するように形成されている。これに代えて、図6及び7に示すように、検査用連通孔165は、他端が、遮蔽板53の取付部53bに形成された挿通孔に挿通するボス部161dの端面161eにおいて開口するように形成されていてもよい。なお、図6及び図7は、変形例を示す断面図であって、それぞれ図4及び図5に相当する部分の断面を示している。
【0075】
上記実施形態と同様に、この変形例では、ケース160の気密性を検査する際には、まず、所定の圧力に調整された検査用の圧力が導入孔80bを通じて、圧力印加空間81に導入される。そして、圧力印加空間81に導入された検査用の圧力は、ケース160の底部161bに設けられた検査用連通孔165を通じて収容部164に印加される。
【0076】
収容部164に検査用の圧力が印加されてから所定時間経過した後に圧力センサにより検出された圧力印加空間81内の圧力が、判定基準圧以上であれば、ケース160の気密性に問題はないと判定され、圧力センサにより検出された圧力が判定基準圧未満であれば、ケース160の気密性に異常があると判定される。
【0077】
この変形例では、気密性の検査が終了すると、遮蔽板53の取付部53bの挿通孔に挿通されたボス部161dの端面161eが熱カシメ機により溶融されて熱変形することによって、遮蔽板53はケース160に取り付けられる。このようにケース160に遮蔽板53が取り付けられる際に、ボス部161dの端面161eは溶融されることから、端面161eにおいて開口する検査用連通孔165は、ケース160に遮蔽板53が取り付けられることによって塞がれることになる。
【0078】
このため、変形例においても上記実施形態と同様に、収容部164の気密性が確保されているか否かを容易に判定することができるとともに、ケース160が第1ハウジング11に取り付けられる際には、検査用連通孔165は塞がれた状態となっていることから、検査用連通孔165を通じてコンタミ等が収容部164内に侵入することを防止することができる。
【0079】
なお、図6及び図7に示される変形例では、検査用連通孔165は一対のボス部161dの一方のみに設けられているが、検査用連通孔165は、一対のボス部161dの両方に設けられていてもよい。また、ボス部161dが3つ以上ある場合、検査用連通孔165は、少なくとも1つのボス部161dに設けられていればよいが、複数またはすべてのボス部161dに設けられていてもよい。
【0080】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0081】
ハウジング11,12内に回転自在に支持された入力シャフト3と出力シャフト4とを連結するトーションバー5に作用するトルクを検出するトルクセンサ100は、入力シャフト3と共に回転する磁気発生部20と、出力シャフト4と共に回転する回転磁気回路部30と、トーションバー5のねじれ変形に伴って磁気発生部20から回転磁気回路部30を通じて導かれる磁束密度を検出する磁気検出部50と、を備え、磁気検出部50は、磁束密度を検出する磁気センサ54と、回転磁気回路部30からの磁束を集めて磁気センサ54へと導く第1集磁ヨーク51及び第2集磁ヨーク52と、回転磁気回路部30での漏れ磁束に対して磁気センサ54を磁気的に遮蔽する遮蔽板53と、磁気センサ54を収容するとともに第1集磁ヨーク51,第2集磁ヨーク52及び遮蔽板53を保持し、第1ハウジング11に取り付けられるケース60,160と、を有し、ケース60,160は、磁気センサ54を収容する収容部64,164と、収容部64,164と第1ハウジング11内の空間とを隔てる隔壁部としての底部61b,161bと、底部61b,161bを貫通して形成される検査用連通孔65,165と、を有し、検査用連通孔65,165の一端は収容部64,164に開口し、検査用連通孔65,165の他端は遮蔽板53がケース60,160に取り付けられることによって塞がれる。
【0082】
この構成では、ケース60,160の収容部64,164に気密検査用の圧力を導くための検査用連通孔65,165が底部61b,161bに設けられており、この検査用連通孔65,165は、気密性の検査が終了し、ケース60,160に遮蔽板53が取り付けられると塞がれるように形成されている。このように検査用連通孔65,165を底部61b,161bに設けておくことによって、検査用連通孔65,165を通じてケース60,160内に気密検査用の圧力が迅速かつ確実に導かれるため、収容部64,164の気密性が確保されているか否かを容易に判定することができる。また、ケース60,160が第1ハウジング11に取り付けられる際には、検査用連通孔65,165は塞がれた状態となっていることから、検査用連通孔65,165を通じてコンタミ等が収容部64,164内に侵入することを防止することができる。
【0083】
また、底部61bには、ケース60に取り付けられた遮蔽板53によって覆われる被覆領域が設けられ、検査用連通孔65の他端は、被覆領域において開口する。
【0084】
この構成では、検査用連通孔65の他端は、ケース60に取り付けられた遮蔽板53によって覆われる被覆領域において開口している。つまり、検査用連通孔65は、気密性の検査が終了しケース60に遮蔽板53が取り付けられると、遮蔽板53によって他端が覆われることになる。このように、ケース60が第1ハウジング11に取り付けられる際には、検査用連通孔65は遮蔽板53によって塞がれた状態となっていることから、収容部64の気密性を容易に検査することができるとともに、検査用連通孔65を通じてコンタミ等が収容部64内に侵入することを防止することができる。
【0085】
また、底部161bには、遮蔽板53をケース160に取り付ける際に端面161eが熱変形されるボス部161dが設けられ、検査用連通孔165の他端は、ボス部161dの端面161eにおいて開口する。
【0086】
この構成では、検査用連通孔165の他端は、遮蔽板53をケース160に取り付ける際に熱変形されるボス部161dの端面161eにおいて開口している。つまり、検査用連通孔165は、気密性の検査が終了し、ケース160に遮蔽板53を取り付けるために、ボス部161dの端面161eが溶融されると、閉塞されることになる。このように、ケース160が第1ハウジング11に取り付けられる際には、検査用連通孔165は塞がれた状態となっていることから、収容部164の気密性を容易に検査することができるとともに、検査用連通孔165を通じてコンタミ等が収容部164内に侵入することを防止することができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0088】
100・・・トルクセンサ、1・・・電動パワーステアリング装置、3・・・入力シャフト(第1シャフト)、4・・・出力シャフト(第2シャフト)、5・・・トーションバー、11・・・第1ハウジング(ハウジング)、12・・・第2ハウジング(ハウジング)、20・・・磁気発生部、30・・・回転磁気回路部、40・・・固定磁気回路部、50・・・磁気検出部、51・・・第1集磁ヨーク(集磁ヨーク)、52・・・第2集磁ヨーク(集磁ヨーク)、53・・・遮蔽板、54・・・磁気センサ(磁気検出器)、60,160・・・ケース、61b,161b・・・底部(隔壁部)、61d,161d・・・ボス部、64,164・・・収容部、65,165・・・検査用連通孔、161e・・・端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7