(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】トイレ用補助装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
E03D9/08 Z
(21)【出願番号】P 2019082463
(22)【出願日】2019-04-24
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北中 浩次
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-155831(JP,A)
【文献】特開2013-036175(JP,A)
【文献】特開2002-180519(JP,A)
【文献】特開2010-056821(JP,A)
【文献】特開平04-202924(JP,A)
【文献】特開2004-162511(JP,A)
【文献】特開2005-097898(JP,A)
【文献】特開2009-155832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00- 9/16
A47K 13/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも水洗スイッチを備えた無線式リモコンに対応する温水洗浄便座が設置されたトイレ空間内に設けられ、上記無線式リモコンとは別個に設置可能なトイレ用補助装置であって、少なくとも臭い検知部を排便空間内に臨む位置に取り付け可能であり、その臭い検知部が排便時の臭いを検知すると、上記水洗スイッチが押し操作された際に上記無線式リモコンが発する無線信号と同じ無線信号を発するものであって、上記無線式リモコンとは別体である補助装置本体を備えたことを特徴とするトイレ用補助装置。
【請求項2】
上記補助装置本体は、トイレ空間内に設置される
付随装置である換気扇の作動を指示する無線信号を発する機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載のトイレ用補助装置。
【請求項3】
上記補助装置本体は、上記水洗スイッチが押し操作された際に上記無線式リモコンが発する無線信号と同じ無線信号や上記トイレ空間内に設置される
上記付随装置の作動を指示する無線信号のほか、この補助装置本体から発すべき無線信号を他の無線信号から学習する学習機能を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレ用補助装置。
【請求項4】
上記補助装置本体はタイマ機能を有しており、上記トイレ空間内の人の有無にかかわらず、所定時間毎に補助装置本体から上記水洗スイッチが押し操作された際に上記無線式リモコンが発する無線信号と同じ無線信号を発することを特徴とする請求項1に記載のトイレ用補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水洗浄便座が設置されている既存の便器に後付けすることによってトイレの水洗を自動で行うことのできるトイレ用補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわいる洋式便器には温水洗浄便座が取り付けられている場合が多い。この温水洗浄便座には、便座本体に操作スイッチが取り付けられている場合のほかに、操作スイッチをリモコンとして別体に設け、そのリモコンをトイレ室内の壁面に固定している場合がある。このリモコンは、配線を必要としないように赤外線等を用いた無線式になっている。このような無線式のリモコンには、押し操作することによって便器内に水を流す水洗スイッチが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、温水洗浄便座には価格に応じて機能に差が設けられており、例えば温水洗浄便座から立ち上がると自動で水洗されるものもあるが、このような機能を備えていないグレードのものも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排便をすると臭気が発生するが、その臭気を嫌う場合には、用便の途中であっても水洗スイッチを押し操作して、排便する毎に水洗することが考えられる。ところが、このような手動操作によって水洗を繰り返していたのでは、操作が煩わしいばかりでなく、煩わしさのため水洗スイッチを押し操作しなければ、臭気に悩まされることになる。
【0006】
また、温水洗浄便座のグレードによって装備している機能が違うため、現在使用している温水洗浄便座に装備されていない特定の機能を追加したい場合には、現在使用している温水洗浄便座を、所望する機能を装備している新たなグレードの温水洗浄便座に交換しなければならないという不具合も存在する。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、排便時の臭気に悩ませることがなく、また新たな機能を容易に追加することのできるトイレ用補助装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明によるトイレ用補助装置は、少なくとも水洗スイッチを備えた無線式リモコンに対応する温水洗浄便座が設置されたトイレ空間内に設けられ、上記無線式リモコンとは別個に設置可能なトイレ用補助装置であって、少なくとも臭い検知部を排便空間内に臨む位置に取り付け可能であり、その臭い検知部が排便時の臭いを検知すると、上記水洗スイッチが押し操作された際に上記無線式リモコンが発する無線信号と同じ無線信号を発するものであって、上記無線式リモコンとは別体である補助装置本体を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記トイレ用補助装置は温水洗浄便座とは別体であるので、温水洗浄便座に備わっていない機能を持たせることが容易にできる。また、臭い検知部が臭いを検知すると手動操作によらなくても自動的に水洗を行うことができるので、臭いの発生源である便を便器内から排除することができる。
【0010】
上記補助装置本体は、トイレ空間内に設置される付随装置である換気扇の作動を指示する無線信号を発する機能を備えているように構成してもよい。
【0011】
また、上記補助装置本体は、上記水洗スイッチが押し操作された際に上記無線式リモコンが発する無線信号と同じ無線信号や上記トイレ空間内に設置される上記付随装置の作動を指示する無線信号のほか、この補助装置本体から発すべき無線信号を他の無線信号から学習する学習機能を備えることが考えられる。
【0012】
さらに、上記補助装置本体はタイマ機能を有しており、上記トイレ空間内の人の有無にかかわらず、所定時間毎に補助装置本体から上記水洗スイッチが押し操作された際に上記無線式リモコンが発する無線信号と同じ無線信号を発するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、臭い検知部が臭いを検知すれば自動的に水洗するので、排便時の臭気に悩ませることがなく、また温水洗浄便座とは別体に構成しているので、温水洗浄便座を新たなものに交換しなくても新たな機能を容易に追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は本発明によるトイレ用補助装置の補助装置本体である。また、2は臭い検知部であり、補助装置本体1に対してケーブル11を介して接続されている。補助装置本体1は便器Bに対して取り外し自在に貼着されている。また、臭い検知部2は便器Bの排便空間内に臨むように、例えば、温水洗浄便座Wの便座の下面に同じく取り外し自在に貼着されている。
【0016】
上記温水洗浄便座Wの操作は、別体に設けられ壁面に固定されているリモコンRによって行われる。このリモコンRには、少なくとも水洗スイッチR1が設けられており、この水洗スイッチR1を押し操作すると、リモコンRから信号が重畳された赤外線信号が放射され、その赤外線信号を温水洗浄便座Wが受光すると、タンクT内の水を便器Bに流して水洗を行うように構成されている。
【0017】
上記補助装置本体1は、水洗スイッチR1が押し操作された際にリモコンRから照射される赤外線信号と同じ赤外線信号を照射する機能を備えている。そして、上記臭い検知部2が排便による臭いを検知すると、補助装置本体1はその赤外線信号を照射するように構成されている。従って、排便によって臭いが発生する毎に補助装置本体1から赤外線信号が照射され、上記水洗スイッチR1を手動で押し操作しなくても、自動的に水洗が行われ、臭いが継続して発生することが防止される。
【0018】
また、温水洗浄便座Wとは別体の付随装置として、例えば換気扇Fや芳香剤を噴霧する噴霧装置Aなどが設けられており、これら付随装置が赤外線信号によって作動する場合には、各付随装置の作動を行う赤外線信号を補助装置本体1から照射するように構成しておき、臭い検知部2が臭いを検知すると、換気扇Fを作動させてトイレ空間内の空気を排気し、あるいは噴霧装置Aを作動させてトイレ空間内に芳香剤を噴霧するようにしてもよい。
【0019】
なお、これら付随装置は赤外線信号によって作動がコントロールされるものであるが、その赤外線信号に重畳される信号を予め補助装置本体1内に記憶しておくことが困難な場合がある。このような場合には、補助装置本体1に学習機能を設けておき、各付随装置の作動に必要な信号を必要に応じて補助装置本体1に学習させればよい。
【0020】
ところで、水洗トイレは便器内の水路がS字状に形成され、このS字状部分に溜まった水によって下水管とトイレ空間とが遮断され、下水管からの臭いや害虫がトイレ空間内に侵入しないように構成されている。ところが、旅行などによって長期間使用しないと、S字状部分の水が無くなるおそれが生じる。このような場合には上記補助装置本体1内にタイマ機能を備えておき、定期的に補助装置本体1から赤外線信号を発して、水洗を行うように構成してもよい。
【0021】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0022】
1 補助装置本体
2 臭い検知部
11 ケーブル
A 噴霧装置
B 便器
F 換気扇
R リモコン
R1 水洗スイッチ
T タンク
W 温水洗浄便座