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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】操作制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20231107BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20231107BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20231107BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20231107BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G06F3/041 550
G06F3/0488
G06F3/041 580
G06F3/041 512
G06F3/041 520
G09G5/00 510H
G09G5/00 510V
B60R11/02 C
B60K35/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020063631
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163155
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】安部 圭介
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103834(JP,A)
【文献】特開2015-060518(JP,A)
【文献】国際公開第2019/016875(WO,A1)
【文献】特開2013-218549(JP,A)
【文献】特開2018-060388(JP,A)
【文献】特開2016-004482(JP,A)
【文献】特開2011-150412(JP,A)
【文献】特表2017-507416(JP,A)
【文献】特開2017-045104(JP,A)
【文献】特開2018-025916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0046369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/048ー3/04895
G09G 5/00
B60R 11/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが操作検出部と表示部とを備えた第1操作装置と第2操作装置が並んで配置された操作制御装置において、
前記第1操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線と、前記第2操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線とが交差するように、2つの前記操作装置の向きが設定され、
少なくとも前記第2操作装置に備えられた前記操作検出部が、その操作検出部から離れた空間に位置する操作者の手を検知する空間検出機能を備えており、
前記第1操作装置の前記表示部が表示中止状態または表示休止状態で前記第1操作装置の前記操作検出部が検出動作中止状態または検出動作休止状態のときに、前記第2操作装置の前記空間検出機能によって操作者の手が検出されたときに、前記第1操作装置の前記操作検出部と前記表示部が起動することを特徴とする操作制御装置。
【請求項2】
前記第2操作装置の前記空間検出機能で操作者の手または指の移動方向が判定され、操作者の手または指が前記第1操作装置に向けて移動していると判定されたときに、前記第1操作装置の前記操作検出部と前記表示部が起動する請求項1記載の操作制御装置。
【請求項3】
それぞれが操作検出部と表示部とを備えた第1操作装置と第2操作装置が並んで配置された操作制御装置において、
前記第1操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線と、前記第2操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線とが交差するように、2つの前記操作装置の向きが設定され、
2つの前記操作装置に備えられたそれぞれの前記操作検出部が、その操作検出部から離れた空間に位置する操作者の手または指を検知する空間検出機能を備えており、
前記第1操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能と前記第2操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能の双方が操作者の手または指を検知しているときに前記第1操作装置が操作され、
前記第1操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能で操作者の手または指が検知されているときに、前記第2操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能で操作者の手または指が検知されなくなったら、前記第1操作装置の前記表示部と前記操作検出部の少なくとも一方の動作を中止することを特徴とする操作制御装置。
【請求項4】
それぞれが操作検出部と表示部とを備えた第1操作装置と第2操作装置が並んで配置された操作制御装置において、
前記第1操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線と、前記第2操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線とが交差するように、2つの前記操作装置の向きが設定され、
2つの前記操作装置に備えられたそれぞれの前記操作検出部が、その操作検出部から離れた空間に位置する操作者の手または指を検知する空間検出機能を備えており、
前記第2操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能が操作者の手または指を検知しているときに、前記第1操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能で操作者の手または指が検知されていないときは、前記第2操作装置が操作されていると判定され、前記第1操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能で操作者の手または指が検知されたら、前記第2操作装置が操作されていないと判定されることを特徴とする操作制御装置。
【請求項5】
2つの前記操作装置は、自動車の車室内に設けられたものであって、操作者から見て前記第2操作装置が前記第1操作装置よりも手前側に配置されている請求項1ないし4のいずれかに記載された操作制御装置。
【請求項6】
前記第1操作装置と前記第2操作装置とで、自動車に搭載された互いに異なる機器が操作される請求項1ないし5のいずれかに記載の操作制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの操作検出部の空間検出機能を使用して操作装置を制御する操作制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に車両用入力装置に関する発明が記載されている。
この車両用入力装置は、車両の運転席の前方に配置されたメーターフードの側面に検出部が設けられており、メーターフードの側方であって、車両中央部寄りに表示装置が設けられている。すなわち、検出部は、表示装置と運転席の乗員との間の空間の側方に配置されている。
【0003】
検出部は、運転手の手のひらや指先の動きに応じた検出結果を信号として出力する空間入力が検出可能なセンサである。表示装置は液晶パネルや有機ELパネルなどから構成されており、入力画面に複数のボタンアイコンが表示される。表示装置と運転席との間の空間に運転手が手の指を延ばし、表示装置に向けて指を動かすことが検知されるため、表示装置に視線を向けたまま、表示装置から離れた位置から表示装置に対して直感的な入力操作を行うことができる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-9300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明では、検出部が空間内での手や指の動きを検出だけのために設けられるセンサであるため、このセンサを設ける分だけ構成部材が多くなる。また運転席の前方周辺には種々の機器が配置されているため、手や指の動きを検出することだけを目的としたセンサを配置するスペースを設定するのが困難である。引用文献1に記載の発明では、検出部の配置位置がメーターフードの側面に限られているが、車種によってはメーターフードの側面に検出部となるセンサを配置するためのスペースを設定できないことも有りえる。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、それ自体が操作機能を有している操作装置の空間検出機能を使用して、他の操作装置を制御することが可能な制御操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、それぞれが操作検出部と表示部とを備えた第1操作装置と第2操作装置が並んで配置された操作制御装置において、
前記第1操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線と、前記第2操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線とが交差するように、2つの前記操作装置の向きが設定され、
少なくとも前記第2操作装置に備えられた前記操作検出部が、その操作検出部から離れた空間に位置する操作者の手を検知する空間検出機能を備えており、
前記第1操作装置の前記表示部が表示中止状態または表示休止状態で前記第1操作装置の前記操作検出部が検出動作中止状態または検出動作休止状態のときに、前記第2操作装置の前記空間検出機能によって操作者の手が検出されたときに、前記第1操作装置の前記操作検出部と前記表示部が起動することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の操作制御装置は、前記第2操作装置の前記空間検出機能で操作者の手または指の移動方向が判定され、操作者の手または指が前記第1操作装置に向けて移動していると判定されたときに、前記第1操作装置の前記操作検出部と前記表示部が起動するものであってもよい。
【0009】
本発明は、それぞれが操作検出部と表示部とを備えた第1操作装置と第2操作装置が並んで配置された操作制御装置において、
前記第1操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線と、前記第2操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線とが交差するように、2つの前記操作装置の向きが設定され、
2つの前記操作装置に備えられたそれぞれの前記操作検出部が、その操作検出部から離れた空間に位置する操作者の手または指を検知する空間検出機能を備えており、
前記第1操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能と前記第2操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能の双方が操作者の手または指を検知しているときに前記第1操作装置が操作され、
前記第1操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能で操作者の手または指が検知されているときに、前記第2操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能で操作者の手または指が検知されなくなったら、前記第1操作装置の前記表示部と前記操作検出部の少なくとも一方の動作を中止することを特徴とするものである。
【0010】
または本発明は、それぞれが操作検出部と表示部とを備えた第1操作装置と第2操作装置が並んで配置された操作制御装置において、
前記第1操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線と、前記第2操作装置の表面から垂直に立ち上がる仮想の垂線とが交差するように、2つの前記操作装置の向きが設定され、
2つの前記操作装置に備えられたそれぞれの前記操作検出部が、その操作検出部から離れた空間に位置する操作者の手または指を検知する空間検出機能を備えており、
前記第2操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能が操作者の手または指を検知しているときに、前記第1操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能で操作者の手または指が検知されていないときは、前記第2操作装置が操作されていると判定され、前記第1操作装置の前記操作検出部の前記空間検出機能で操作者の手または指が検知されたら、前記第2操作装置が操作されていないと判定されることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の操作制御装置は、2つの前記操作装置が、自動車の車室内に設けられたものであって、操作者から見て前記第2操作装置が前記第1操作装置よりも手前側に配置されているものが好ましい。
【0012】
本発明の操作制御装置は、前記第1操作装置と前記第2操作装置とで、自動車に搭載された互いに異なる機器が操作されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の操作制御装置は、それぞれが表示部と操作検出部を有する2つの操作装置のうち一方の操作装置に備えられた操作検出部の空間検出機能によって他方の操作装置を制御できるようにしている。また好ましくは、2つの操作装置の空間検出機能の双方を使用して操作装置を制御できるようにしている。したがって、単一の操作装置の空間検出機能のみを使用する従来例に比べて、空間検出の精度を高めることができる。
【0015】
また、前記特許文献1に記載された発明のように、空間検出だけを目的としたセンサを個別に設ける必要がないため、構成する機器を少なくでき、例えば車室内に検出だけを目的としたセンサを配置するスペースを確保する必要もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】自動車に搭載された本発明の実施形態の操作制御装置を示す正面図、
図2図1に示された操作制御装置を示す部分拡大断面図、
図3図2に示された制御操作装置をA-A線で切断した断面図、
図4】制御操作装置を用いた第1の操作例を示す説明図、
図5】制御操作装置を用いた第2の操作例を示す説明図、
図6】制御操作装置を用いた第3の操作例を示す説明図、
図7】制御操作装置を用いた第4の操作例を示す説明図、
図8】本発明の実施形態の操作制御装置の回路構成を示すブロック図、
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に自動車1の車室内の構造が示されている。図1では、紙面の奥方向が走行方向の前方であり、紙面手前側が後方である。
車室内は、運転席2と助手席3にシートが設けられている。運転席2の前方にステアリングホイール8が設けられている。ステアリングホイール8の前方にインストルメントパネル5が設けられ、さらに前方にウインドシールドガラス4が配置されている。また、運転席2と助手席3との間にセンターコンソール6が配置されている。
【0018】
図1図2に示されるように、インストルメントパネル5の左右中央のセンタークラスター領域に第1操作装置10が設けられ、センターコンソール6の前方に第2操作装置20が設けられている。第1操作装置10と第2操作装置20は、前後に並んで配置されている。第1操作装置10と第2操作装置20および図8のブロック図に示された各回路部によって、本発明の実施形態となる操作制御装置30が構成されている。
【0019】
図3に、第1操作装置10と第2操作装置20との配置が側方から示されている。F方向が自動車の前方でありR方向が後方である。第1操作装置10と第2操作装置20は、運転席2に着座している搭乗者または助手席3に着座している搭乗者が操作者となって手と指で操作可能である。第1操作装置10は手または指による操作方向の前方に位置し、第2操作装置20は、第1操作装置10よりも操作方向の手前側に位置している。
【0020】
図3には、第1操作装置10の表面10aから延びる仮想の第1垂線L1と、第2操作装置20の表面20aから延びる仮想の第2垂線L2が示されている。仮想の第1垂線L1と仮想の第2垂線L2は、両操作装置10,20の前方である上部空間の交差部Cで交差している。すなわち、第1操作装置10の表面10aと第2操作装置20の表面20aとが90度を超えて180度未満の角度で対峙しており、センターコンソール6の上方(第2操作装置20の上方)に、両操作装置10,20に共通となる操作空間が形成されている。また、第1操作装置10の表面10aと第2操作装置20の表面20aは、操作者から目視可能なように斜めに向けられている。第1操作装置10の表面10aの、水平方向に対する傾き角度αは、第2操作装置20の表面20aの、水平方向に対する傾き角度αよりも大きい。
【0021】
図8に示されるように、第1操作装置10は、第1表示部11と第1操作検出部12を有しており、第2操作装置20は、第2表示部21と第2操作検出部22を有している。第1表示部11と第2表示部21は、液晶表示パネルや有機ELパネルなどの表示パネルを有しており、図2に示されるように、第1操作装置10では、表示パネルの表示画面11aが表面10aに表れており、第2操作装置20では、表示パネルの表示画面21aが表面20aに表れている。
【0022】
第1操作装置10に設けられた第1操作検出部12は、表示画面11aに設けられた静電容量検知式の透明なセンサパネルである。第1操作検出部12は、複数の透明電極を有しており、電極間の相互容量の変化や、それぞれの電極の自己容量の変化を検出することで、操作者の手の操作に基づいた検出信号を出力するものである。第1操作検出部12は、第1操作検出部12から離れた空間での手の位置や面積あるいは動きを検出できる空間検出機能を有する近接検出部である。図3ないし図7には、第1操作検出部12によって手を検出できる空間検出領域A1が模式的に示されている。第1操作検出部12では、空間検出領域A1内に位置する操作者の手の位置座標や手と表面10aとの距離などを検出することができる。さらに、第1操作検出部12は、手が表示画面11aに触れたか否かを検知することができ、指が触れたときの座標位置も検出することができる。
【0023】
第2操作装置20においても表示画面21aに第2操作検出部22が設けられている。第2操作検出部22は、第1操作検出部12と同じ静電容量検知式の透明なセンサパネルである。第2操作検出部22も、図3ないし図7に模式的に示された空間検出領域A2内での手の座標位置や手と表面20aとの距離などを検知することができる空間検出機能を有する近接検出部である。さらに、第2操作検出部22でも、手が表示画面21aに触れたか否かを検知でき、触れたときの座標位置も検出できる。
【0024】
図2に示されるように、第1操作装置10には、表示画面11aの下側に複数の操作釦13が設けられている。この操作釦13は、機械式接点を有する機構スイッチ、または指の接触を検知する静電容量検知式のセンサで構成されている。この操作釦13も、第1操作装置10に設けられた第1操作検出部12の一部として機能している。第2操作装置20にも、必要に応じて操作釦13と同じものが装備される。
【0025】
本発明の操作制御装置30は、第1操作装置10に備えられた第1操作検出部12と第2操作装置20に備えられた第2操作検出部22の少なくとも一方が、空間検出機能を有する。いずれか一方の操作装置のみが空間検出機能を有する場合には、操作方向の手前に位置する第2操作装置20の第2操作検出部22が空間検出機能を有することが好ましい。1
【0026】
また、空間検出機能を有する第1操作検出部12および第2操作検出部22としては、静電容量検知式のセンサパネルに限られず、例えば、光学式や静電容量検知式などの近接センサが、表示画面の周囲の複数か所にスポット的に設けられたものであってもよい。
【0027】
図8のブロック図に示されるように、第1操作装置10の第1表示部11と第2表示装置20の第2表示部21に与えられる画像信号は表示制御部31によって生成される。第1操作装置10の第1操作検出部12で検出された検出信号と、第2操作装置20の第2操作検出部22で検出された検出信号は検出判定制御部32に与えられる。
【0028】
検出判定制御部32では、第1操作検出部12からの検出信号により、図3に示す空間検出領域A1に移動した操作者の手や指の座標位置と、手や指と表面10aとの距離が判定される。さらに手の面積などが判定されてもよい。また、検出判定制御部32では、第1操作検出部12からの検出信号により、指が表示画面11aに触れたか否か、また触れたときの座標位置も判定される。さらに、第1操作検出部12の一部となる操作釦13が操作されたか否かも、検出判定制御部32で判定される。同様に、検出判定制御部32では、第2操作検出部22からの検出信号により、図3に示す空間検出領域A2に移動した操作者の手や指の座標位置と、手や指と表面20aとの距離が判定される。
また、検出判定制御部32では、第2操作検出部22からの検出信号により、指が表示画面21aに触れたか否か、また触れたときの座標位置も判定される。
【0029】
図8に示されるように、表示制御部31は主制御部33によって制御される。また検出判定制御部32で得られた判定信号が主制御部33に与えられる。主制御部33によって、自動車1に装置された複数の車載機器40が制御される。図8に示される実施形態での車載機器40は、ナビゲーション装置41、テレビジョン受像機42、ラジオ受信機43、そしてエアーコンディショナ44である。ただし、車載機器40としては、運転席2と助手席3のシートポジションを変更する装置や、自動運転制御装置、など各種の機器が含まれる。
【0030】
第1操作装置10と第2操作装置20とで、車載機器40の異なる機器が操作される。ただし、第1操作装置10で操作される複数の車載機器40の一部と、第2操作装置20で操作される複数の車載機器40の一部とが、重複していてもよい。図8に示す操作制御装置30では、第1操作装置10によって、ナビゲーション装置41とテレビジョン受像機42およびラジオ受信機43が操作され、第2操作装置20によって、エアーコンディショナ44が操作される。
【0031】
次に、本発明の実施形態の操作制御装置30を操作したときの制御動作を説明する。
本発明の操作制御装置30は、第1操作装置10に設けられた第1操作検出部12と、第2操作装置20に設けられた第2操作検出部22の少なくとも一方が空間検出機能を備えており、空間検出領域で操作者の手または指が検知される。そして一方の操作装置の空間検出機能で手または指の動きを検出し、これを操作信号と認識して他方の操作装置が制御される。好ましくは、第1操作装置10に設けられた第1操作検出部12と、第2操作装置20に設けられた第2操作検出部22の双方が空間検出機能を備えており、いずれか一方の操作装置の空間検出機能または双方の操作装置の空間検出機能によって手または指の動きを検出し、これを操作信号と認識する。この操作信号によって、いずれか一方の操作装置または双方の操作装置が制御される。
【0032】
以下、具体的な操作および制御動作を説明する。
図8に示される主制御部33の制御動作により、表示制御部31が制御され、第1操作装置10の第1表示部11に画像信号が与えられて、第1表示部11の表示画面11aに、ナビゲーション装置41を起動するための選択アイコンとテレビジョン受像機42を起動するための選択アイコンおよびラジオ受信機43を起動するための選択アイコンが表示される。いずれかの選択アイコンが選択されて、ナビゲーション装置41が起動したときは、このナビゲーション装置41を操作するための複数の操作アイコンが表示画面11aに表示される。また、テレビジョン受像機42が起動したときはこのテレビジョン受像機42を操作するための複数の操作アイコンが表示画面11aに表示され、ラジオ受信機43が起動したときはこのラジオ受信機43を操作するための複数の操作アイコンが表示画面11aに表示される。
【0033】
第1操作装置10の動作と同様に、第2操作装置20の第2表示部21の表示画面21aには、エアーコンディショナ44を起動するための起動アイコンが表示される。エアーコンディショナ44が起動すると、エアーコンディショナ44操作するための複数の操作アイコンが表示画面21aに表示される。
【0034】
空間検出領域A1と空間検出機能A2の少なくとも一方で手または指による操作が検出されると、検出判定制御部32において手や指の位置が判定され、主制御部33に判定信号が与えられて、操作に対応する車載機器40が動作させられる。また第1操作装置10の表示画面11aに指が触れまたは操作釦13に指が触れたことが検出されると、または第2操作装置20の表示画面21aに指が触れたことが検出されたときも、検出判定制御部32から判定信号が主制御部33に与えられ、操作に対応する車載機器40が動作させられる。
【0035】
(1)第1の操作例
図4に第1の操作例が示されている。
第1の操作例では、第1操作装置10の第1表示部11が表示中止状態(または表示休止状態)であり、第1操作検出部12も検出動作中止状態(または検出操作休止状態)となっている。
【0036】
図4に示されるように、操作者の手(h)が、空間検出領域A2内に入ったことが第2操作検出部22の空間検出機能によって検出されると、主制御部33では、操作者が第1操作装置10を操作しようとする意志を有しているものと判定され、第1操作装置10の第1表示部11が起動させられて表示画面11aに各種アイコンを含む画像が表示される。これと同時に、第1操作装置10の第1操作検出部12が起動する。第1操作検出部12が起動すると、第1操作検出部12の電極に検出電圧が印加され、手や指の検出が可能になる。空間検出領域A2で検知されている手をそのまま前方Fに移動させ、空間検出領域A1に移動したことが起動した第1操作検出部12で検知されると、その後は、第1操作検出部12の検出信号に伴って、第1操作装置10がどのように操作されているかを主制御部33で判定する。この判定に基づいて、ナビゲーション装置41とテレビジョン受像機42およびラジオ受信機43の少なくとも1つの車載機器の動作が制御される。また、空間検出領域A1に移動した手(h)を左右などに動かしていわゆるホバリング操作を行なうと、第1操作検出部12の検出信号に基づいて、表示画面11aに表示されている画像のスクロール操作などを行うことができる。
【0037】
第1の操作例において、第2操作装置20の第2操作検出部22で、空間検出領域A2に手(h)または指(f)が存在していることが検知されているときに、検出判定制御部32において手(h)または指(f)の移動方向を判定することが好ましい。空間検出領域A2内に存在している手(h)または指(f)が、前方Fに向けて移動していると判定されたときにのみ、主制御部33において、操作者が第1操作装置10を操作しようとする意志を有しているものと判定し、第1操作装置10の第1表示部11が起動されてもよい。
【0038】
また、第1の操作例において、最初に第1操作装置10の第1表示部11と第1操作検出部12のいずれか一方の動作を中止状態としておき、第2操作検出部22の空間検出機能によって、操作者が第1操作装置10を操作しようとする意志を有しているものと判定されたときに、中止状態の第1表示部11または第1操作検出部12のいずれかを起動してもよい。
【0039】
第1の操作例では、前記説明とは逆に、第1操作検出部12の空間検出機能により、手(h)または指(f)が、空間検出領域A1で検知され、手(h)または指(f)が下方へ向けて移動していると判定されたときに、操作者が第2操作装置20を操作しようとする意志を有していると判定し、第2操作装置20の第2表示部21を点灯し、または第2操作検出部22を検出動作可能な状態に設定してもよい。
【0040】
(2)第2の操作例
図5に第2の操作例が示されている。
図3に示されるように、第1操作装置10の表面10aから延びる仮想の第1垂線L1と第2操作装置20の表面20aから延びる仮想の第2垂線L2が交差するように、第1操作装置10と第2操作装置20の向きが決められており、さらに第1操作装置10の立ち上がり角度αが、第2操作装置20の立ち上がり角度βよりも大きくなっている。その結果、第1操作検出部12の空間検出機能で手(h)や指(f)を検出可能な空間検出領域A1と、第2操作検出部22の空間検出機能で手(h)や指(f)を検出可能な空間検出領域A2とが重複する重複空間検出領域A3が設定されている。
【0041】
第1操作装置10の第1操作検出部12と第2操作装置20の第2操作検出部22が共に検知動作可能な状態に設定されているときに、重複空間検出領域A3で手(h)または指(f)を動かすいわゆるホバリング操作を行うと、第1操作検出部12と第2操作検出部22の双方から操作信号を得ることができる。このとき、主制御部33で、第1操作装置10への操作を優先させるモードが設定されていると、第1操作検出部12からの検出信号によって第1操作装置10の表示画面11aに表示されているアイコンの選択などが行われる。このとき、検出判定制御部32では、第2操作装置20の第2操作検出部22からの検出信号を分析して、第1操作検出部12からの検出信号を補正することができる。ホバリング操作によって第1操作装置10を操作しているときに、第2操作検出部22の検出信号を使用して補正すると、空間での手(h)または指(f)の座標位置などの検出を高精度に行うことができる。その結果、重複空間操作領域A3内で手(h)または指(f)を動かしたときに、第1表示部11の表示画面11aに表示されているアイコンを高感度で選択することができる。
【0042】
これとは逆に、主制御部33において第2操作装置20への操作を優先するモードが設定されているときには、重複空間検出領域A3内で手(h)または指(f)を動かしたときに、第2操作装置20の表示画面21aに表示されているアイコンの選択などが可能になる。このときに、第1操作検出部12からの検出信号を使用して、第2操作装置20に対する操作を補正することができる。
【0043】
(3)第3の操作例
図6に第3の操作例が示されている。
主制御部33で、第1操作装置10の操作を優先するモードが設定されている状態で、重複空間検出領域A3内で手(h)または指(f)を動かすと、第1操作検出部12の空間検出機能によって第1操作装置10がホバリング操作されるが、このとき、主制御部33では、第2操作装置20に備えられた第2操作検出部22からの検出信号を監視し続ける。図6に示されるように、ホバリング操作を終えた手(h)が持ち上げられて、空間検出領域A2(重複空間検出領域A3)から離れたことが第2操作装置20に備えられた第2操作検出部22で検出されると、主制御部33では、操作者が第1操作装置10を操作する意思がなくなったものと判定し、第1操作装置10の第1表示部11と第1操作検出部12の少なくとも一方を動作中止状態とする。
【0044】
この第3の操作例では、第1操作検出部12の検出信号により、手(h)が空間検出領域A1に未だ存在していることが認識されても、第2操作検出部22の検知信号に基づいて、操作者が第1操作装置10を操作する意思がなくなったものと判定することができ、空間検出領域A1での意図しない手(h)の動きによって、第1操作検出部12が誤って操作されるのを防止することができる。
【0045】
(4)第4の操作例
図7に第4の操作例が示されている。
第1操作装置10に設けられた第2操作検出部22が、静電容量検知式のセンサパネルの場合には、空間検出領域A2内で手(h)を動かすと、その動きが第2操作検出部22で検出されて、例えば表示画面21aに表示されている複数のアイコンがスクロールし、アイコンの選択操作が行われる。図7に示されるように、指(f)を表示画面21aに接近させまたは接触させることで、選択されたアイコンへの決定操作が行われる。しかし、外部ノイズなどの判定誤差により、指(f)が表示画面21aからかなり離れているのにもかかわらず、指(f)が表示画面21aに接近しまたは接触したものと判定されるおそれがある。
【0046】
このような誤検出を防止するために、空間検出領域A2内に手(h)または指(f)が存在していることが第2操作検出部22で検出されているときに、主制御部33では第1操作検出部12の検知出力を監視し、手(h)または指(f)が重複空間検出領域A3内に位置しているかを判定する。手(h)または指(f)が重複空間検出領域A3内に位置していることが検出されると、未だ指(f)が第2操作装置20の表示画面21aから離れていると判定され、選択されたアイコンへの決定操作が行われていないと判定する。また、第2操作検出部22からの検出信号で指(f)が表示画面21aに接近していると検出されているときに、手(h)または指(f)が重複空間検出領域A3に存在していなかったら、指(f)が表示画面21aに接近している動作が誤りでないと判定する。
【0047】
同様に、第1操作装置10において表示画面11aに指が接近しまたは接触したことを検知する場合も、第2操作検出部22の検知信号が参照され、手(h)または指(f)が重複空間検出領域A3に存在していると判定されたときは、指(f)が第1操作装置10の表示画面11aに接近していない、あるいは接触しておらず、検出動作がノイズなどによるものと判定される。手(h)または指(f)が重複空間検出領域A3に存在していないと検知されたときに、指(f)が表示画面11aに接近しまたは接触した操作であると判定する。
【0048】
以上のように、並んで配置されている第1操作検出部12の空間検出機能と、第2操作検出部22の空間検出機能を連動させることで、常に誤動作の無い、精度の高い検出動作を行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 自動車
2 運転席
3 助手席
10 第1操作装置
10a 表面
11 第1表示部
11a 表示画面
12 第1操作検出部
13 操作釦
20 第2操作装置
20a 表面
21 第2表示部
22 第2操作検出部
30 操作制御装置
40 車載機器
A1,A2 空間検出領域
A3 重複空間検出領域
L1,L2 仮想の垂線
(h) 手
(f) 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8