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特許7378911不均質組成物、不均質組成物を含む物品、および物品の形成方法
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  • 特許-不均質組成物、不均質組成物を含む物品、および物品の形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】不均質組成物、不均質組成物を含む物品、および物品の形成方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 5/04 20060101AFI20231107BHJP
   B22F 3/15 20060101ALI20231107BHJP
   B23K 35/30 20060101ALI20231107BHJP
   C22C 1/10 20230101ALI20231107BHJP
   C22C 19/05 20060101ALI20231107BHJP
   C22C 19/07 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B22F5/04
B22F3/15 M
B23K35/30 310D
C22C1/10 J
C22C19/05 C
C22C19/07 H
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017228509
(22)【出願日】2017-11-29
(65)【公開番号】P2018154915
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-11-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】15/375,378
(32)【優先日】2016-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ツイ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・トリソン
(72)【発明者】
【氏名】スリカーンス・コッティリンガム
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】佐藤 陽一
【審判官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-117276号公報
【文献】特開平2-285078号公報
【文献】特開2016-79922号公報
【文献】特開平8-13059号公報
【文献】松 康太郎,ニッケルろうによるろう付けとその最新動向,溶接技術,日本,産報出版,2011年08月22日,平成23年9月号
【文献】KRAFT T. et.al.,MODELING OF DENDRITIC SOLIDIFICATION FOR OPTIMIZING CASTING AND MICROSTRUCTURE,Progress in Materials Science,英国,Pergamom,1997年,Vol.42,pp.277-286
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子又は予備焼結プリフォームである不均質組成物(108)であって、当該不均質組成物(108)が、
第1の閾値温度以上の第1の融点を有する第1の合金(204)と第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度未満の第2の融点を有する第2の合金(206)との合金混合物(200)と、
セラミック添加剤(202)と
からなり、第1の合金(204)、第2の合金(206)及び前記セラミック添加剤(202)が、別個の相として互いに混ざり合っており、第1の閾値温度が2400°F(1316℃)であり、第2の閾値温度が2350°F(1288℃)であり、第1の合金(204)が、GTD111、GTD444、HAYNES188、INCONEL738、MAR-M-247、Rene108、Rene142、Rene195、ReneN2及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、第2の合金(206)が、DF-4B、BNi-2、BNi-5(AMS4782)、BNi-9及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、不均質組成物(108)。
【請求項2】
前記セラミック添加剤(202)が、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化タングステン、窒化チタン、炭窒化チタン、炭化チタン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載の不均質組成物(108)。
【請求項3】
前記セラミック添加剤(202)が、粉末、繊維、ナノチューブ又はこれらの組み合わせからなる群から選択される構成を有する、請求項1又は請求項2に記載の不均質組成物(108)。
【請求項4】
前記合金混合物(200)が、95重量%までの第1の合金(204)及び5重量%~50重量%の第2の合金(206)を含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の不均質組成物(108)。
【請求項5】
1体積%~50体積%の間のセラミック添加剤(202)を含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の不均質組成物(108)。
【請求項6】
材料組成物(106)を含む第1の部分(102)と、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の不均質組成物(108)からなる第2の部分(104)と
を含む物品(100)。
【請求項7】
当該物品(100)がタービン部品(110)であり、前記タービン部品(110)がバケット(ブレード)であって第2の部分(104)がスキーラ先端(114)であるか或いは前記タービン部品(110)がシュラウド付バケット(ブレード)であって第2の部分(104)が前記シュラウド間の接触面(304)に配置されている接触パッド(302)である、請求項に記載の物品(100)。
【請求項8】
物品(100)を形成するための方法であって、当該方法が、
第2の部分(104)を第1の部分(102)に適用して、前記物品(100)を形成する工程
を含んでおり、第1の部分(102)が材料組成物(106)を含み、第2の部分(104)が請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の不均質組成物(108)からなる、方法。
【請求項9】
前記物品(100)を焼結及び熱間静水圧プレスの少なくとも1つに供する工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不均質組成物、該不均質組成物を含む物品、および該物品を形成するための方法に関する。より詳細には、本発明は、別個の相として混ざり合う、異なる融点を有する2つの合金とセラミック添加剤とを含む不均質組成物、該不均質組成物を含む物品、および該物品を形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル系超合金および特定のチタンアルミニウム合金などの難溶接性(HTW)合金は、それらのガンマプライム相および様々な幾何的制約のため、ガンマプライム相のひずみ時効、溶離および高温亀裂を受けやすい。これらの材料はまた、アルミニウムまたはチタンの含有量が約3%を超えると起こり得る、ガンマプライム相が体積分率約30%超で存在する場合に接合が難しい。本明細書において使用する「HTW合金」は、溶離、熱およびひずみ時効による亀裂を示し、したがって溶接に非実用的となる合金である。
【0003】
これらのHTW合金は、翼形部、ブレード(バケット)、ノズル(ベーン)、シュラウド、燃焼器、回転タービン部品、車輪、シール、HTW合金を備えた3d製造部品および他の高温ガス経路部品などのガスタービンエンジンの部品に組み込まれる。これらのHTW合金の組み込みは、しばしば、特に最も極端な条件および応力にさらされた特定の部品に対して、優れた操作特性のために望ましいことがある。
【0004】
既存のバケット(ブレード)にスキーラ先端を取り付けるなどの、HTW合金を組み込んだ部品の製造プロセスおよび処理は、これらの技術が、HTW合金を損傷したり、部品に加えられる高温によって弱化または割れる材料を導入するので、標準的な技術を用いて達成することが困難である。例として、典型的なろう付け材料または要素は、操作上の要件を満たさない可能性のある部品に組み込まれるので、典型的なろう付け技術は不適切である。
【発明の概要】
【0005】
例示的な実施形態において、不均質組成物は、合金混合物およびセラミック添加剤を含む。合金混合物は、少なくとも第1の閾値温度の第1の融点を有する第1の合金と、第2の閾値温度未満の第2の融点を有する第2の合金とを含む。第2の閾値温度は、第1の閾値温度よりも低い。第1の合金、第2の合金、およびセラミック添加剤は、別個の相として互いに混ざり合っている。
【0006】
別の例示的な実施形態において、物品は、第1の部分および第2の部分を含む。第1の部分は材料組成物を含み、第2の部分は不均質組成物を含む。不均質組成物は、合金混合物およびセラミック添加剤を含む。合金混合物は、少なくとも第1の閾値温度の第1の融点を有する第1の合金と、第2の閾値温度未満の第2の融点を有する第2の合金とを含む。第2の閾値温度は、第1の閾値温度よりも低い。第1の合金、第2の合金、およびセラミック添加剤は、別個の相として互いに混ざり合っている。
【0007】
別の例示的な実施形態において、物品を形成するための方法は、第1の部分に第2の部分を適用して、物品を形成する工程を含む。第1の部分は材料組成物を含み、第2の部分は不均質組成物を含む。不均質組成物は、合金混合物およびセラミック添加剤を含む。合金混合物は、少なくとも第1の閾値温度の第1の融点を有する第1の合金と、第2の閾値温度未満の第2の融点を有する第2の合金とを含む。第2の閾値温度は、第1の閾値温度よりも低い。第1の合金、第2の合金、およびセラミック添加剤は、別個の相として互いに混ざり合っている。
【0008】
本発明の他の特徴および利点は、たとえば、本発明の原理を図示する添付の図面と合わせて、好適な実施形態についての以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による物品(タービンバケット(ブレード))の斜視図である。
図2】本開示の一実施形態による、図1の物品の線2-2に沿った断面図である。
図3】本開示の一実施形態による物品(シュラウド付きタービンバケット(ブレード))の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
可能な限り、同一の参照符号が同一の部品を表すために図面の全体にわたって使用される。
【0011】
例示的な不均質組成物、該不均質組成物を含む物品、および該物品を形成する方法が提供される。本開示の実施形態は、本明細書に開示される1以上の特徴を利用しない物品および方法と比較して、コストを低減し、プロセス制御を増加させ、再現性を高め、機械的特性を改善し、耐摩耗性を改善し、耐クリープ性を改善し、耐酸化性を改善し、高温性能を改善し、接合能を増加させ、接合品質を増加させ、耐久性を増加させ、強度を増加させ、硬度を増加させ、亀裂形成を減少させ、またはそれらの組み合わせを向上させる。
【0012】
図1を参照すると、一実施形態において、物品100は、第1の部分102および第2の部分104を含む。第1の部分102は、材料組成物106を含む。第2の部分104は、不均質組成物108を含む。
【0013】
図2を参照すると、一実施形態において、不均質組成物108は、合金混合物200およびセラミック添加剤202を含む。合金混合物200は、少なくとも第1の閾値温度の第1の融点を有する第1の合金204と、第2の閾値温度未満の第2の融点を有する第2の合金206とを含む。第2の閾値温度は、第1の閾値温度よりも低い。第1の合金204、第2の合金206、およびセラミック添加剤202は、別個の相として互に混ざり合っている。
【0014】
一実施形態において、第1の合金204および第2の合金206は、合金混合物200全体に均一に分布し、または本質的に均一に分布している。本明細書で使用する場合「本質的に均一に分布している」とは、分布に10%未満の分散があることを示す。別の実施形態において、第1の合金204および第2の合金206は合金混合物200全体にわたって不均一に分布しており、分布の10%より大きい分散を不均一に示す。さらに別の実施形態において、第1の合金204および第2の合金206は、合金混合物200全体にわたって二峰性に分布している。
【0015】
一実施形態において、セラミック添加剤202は、合金混合物200全体に均一に分布し、または本質的に均一に分布して、不均質組成物108を形成する。別の実施形態において、セラミック添加剤202は合金混合物200全体に不均一に分布して、不均質組成物108を形成する。さらに別の実施形態において、セラミック添加剤202は合金混合物200全体に二峰性に分布して、不均質組成物108を形成する。不均質組成物108は、限定するものではないが、第1の部分から不均質組成物108を横切って遠位にある不均質組成物108の外部表面を含む、不均質組成物108の任意の適切な領域において高濃度のセラミック添加剤を含み得る。
【0016】
第1の閾値温度は、限定するものではないが、約2,400°F、または約2,425°F、または約2,450°F、または約2,500°F、または約2,550°F、または約2,600°Fまたは約2,650°F、または約2,700°F、または約2,750°F、または約2,800°Fを含む、任意の適切な温度であってよい。第2の閾値温度は、限定するものではないが、約2,350°F、または約2,325°F、または約2,300°F、または約2,250°F、または約2,200°F、または約2,150°F、または約2,100°F、または約2,050°F、または約2,000°F、または約1,950°F、または約1,900°F、または約1,850°F、または約1,800°Fを含む、任意の適切な温度であってよい。一実施形態において、第1の閾値温度と第2の閾値温度は重複しない。さらなる実施形態において、第1の閾値温度と第2の閾値温度とは、少なくとも約5°F、または少なくとも約10°F、または少なくとも約15°F、または少なくとも約20°F、または少なくとも約25°F、または少なくとも約30°F、または少なくとも約40°F、または少なくとも約50°F、または少なくとも約75°F、または少なくとも約100°Fの差がある。
【0017】
合金混合物200は、任意の適切な量の第1の合金204および第2の合金206を含むことができる。一実施形態において、合金混合物200は、第1の合金204を、約95重量%まで、または約90重量%まで、または約85重量%まで、または約80重量%まで、または約75重量%まで、または約40重量%~約95重量%、または約50重量%~約95重量%、または約50重量%~約90重量%、または約50重量%~約85重量%、または約50重量%~約80重量%、または約50重量%~約75重量%含む。別の実施形態において、合金混合物200は、第2の合金206を、約60重量%まで、または約55重量%まで、または約50重量%まで、または約45重量%まで、または約40重量%、または約5重量%~約50重量%、または約10重量%~約50重量%、または約15重量%~約50重量%、または約20重量%~約50重量%、または約15重量%~約45重量%、または約15重量%~約40重量%含む。さらに別の実施形態において、合金混合物200は、第1の合金204と第2の合金206とを、約95:5~約50:50の間、または約90:10~約65:35の間、または約85:15~約75:25の間の重量比で含む。さらなる実施形態において、合金混合物200は、合金混合物200の約3%未満、または合金混合物200の約2%未満、または合金混合物200の約1%未満を形成する不純物を除いて、第1の合金204および第2の合金206から本質的になる。
【0018】
第1の合金204は、限定するものではないが、超合金、難溶接性(HTW)合金、耐火合金、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、鉄基超合金、鉄基合金、合金鋼、ステンレス鋼合金、コバルト基合金、ニッケル基合金、チタン基合金、チタンアルミナイド、GTD111、GTD444、HAYNES188、INCONEL738、MAR-M-247、Rene108、Rene142、Rene195、およびReneN2、またはこれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料であってよい。
【0019】
第2の合金206は、限定するものではないが、ろう付け合金、鉄基合金、合金鋼、ステンレス鋼合金、コバルト基合金、ニッケル基合金、チタン基合金、DF-4B、BNi-2、BNi-5(AMS4782)、BNi-9、またはこれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料であってよい。
【0020】
本明細書において使用する「DF-4B」は、約14重量%のクロム、約10重量%のコバルト、約3.5重量%のアルミニウム、約2.5重量%のチタン、約2.5重量%のタンタル、約2.75重量%のホウ素、約0.05重量%のイットリウムおよび残部ニッケルの組成を含む合金を指す。
【0021】
本明細書において使用する「BNi-2」は、約3重量%の鉄、約3.1重量%のホウ素、約4.5重量%のケイ素、約7重量%のクロム、および残部のニッケルの組成を含む合金を指す。
【0022】
本明細書において使用する「BNi-5」および「AMS4782」は、約10重量%のケイ素、約19重量%のクロム、および残部のニッケルの組成を含む合金を指す。
【0023】
本明細書において使用する「BNi-9」は、約15重量%のクロム、約3重量%のホウ素、および残部のニッケルの組成を含む合金を指す。
【0024】
本明細書において使用する「GTD111」は、約14重量%のクロム、約9.5重量%のコバルト、約3.8重量%のタングステン、約4.9重量%のチタン、約3重量%のアルミニウム、約0.1重量%の鉄、約2.8重量%のタンタル、約1.6重量%のモリブデン、約0.1重量%の炭素および残部ニッケルの組成を含む合金を指す。
【0025】
本明細書において使用する、「GTD444」は、約7.5重量%のコバルト、約0.2重量%の鉄、約9.75重量%のクロム、約4.2重量%のアルミニウム、約3.5重量%のチタン、約4.8重量%のタンタル、約6重量%のタングステン、約1.5重量%のモリブデン、約0.5重量%のニオブ、約0.2重量%のケイ素、約0.15重量%のハフニウムおよび残部ニッケルの組成を含む合金を指す。
【0026】
本明細書において使用する「HAYNES188」とは、約22重量%のクロム、約22重量%のニッケル、約0.1重量%の炭素、約3重量%の鉄、約1.25重量%のマンガン、約0.35重量%のケイ素、約14重量%のタングステン、約0.03重量%のランタン、および残部のコバルトの組成を含む合金を指す。
【0027】
本明細書において使用する場合、「INCONEL738」は、約0.17重量%の炭素、約16重量%のクロム、約8.5重量%のコバルト、約1.75重量%のモリブデン、約2.6重量%のタングステン、約3.4重量%のチタン、約3.4重量%のアルミニウム、約0.1重量%のジルコニウム、約2重量%のニオブおよび残部ニッケルの組成を含む合金を指す。
【0028】
本明細書において使用する「MAR-M-247」は、約5.5重量%のアルミニウム、約0.15重量%の炭素、約8.25重量%のクロム、約10重量%のコバルト、約10重量%のタングステン、約0.7重量%のモリブデン、約0.5重量%の鉄、約1重量%のチタン、約3重量%のタンタル、約1.5重量%のハフニウムおよび残部ニッケルの組成を含む合金を指す。
【0029】
本明細書において使用する場合、「Rene108」は、約8.4重量%のクロム、約9.5重量%のコバルト、約5.5重量%のアルミニウム、約0.7%のチタン、約9.5重量%のタングステン、約0.5重量%のモリブデン、約3重量%のタンタル、約1.5重量%のハフニウムおよび残部ニッケルの組成を含む合金を指す。
【0030】
本明細書において使用する場合、「Rene142」は、重量で約6.8重量%のクロム、約12重量%のコバルト、約6.1重量%のアルミニウム、約4.9重量%のタングステン、約1.5重量%のモリブデン、約2.8重量%のレニウム、約6.4重量%のタンタル、約1.5%のハフニウムおよび残部ニッケルの組成を含む合金を指す。
【0031】
本明細書において使用する場合、「Rene195」は、約7.6重量%のクロム、約3.1重量%のコバルト、約7.8重量%のアルミニウム、約5.5重量%のタンタル、約0.1重量%のモリブデン、約3.9重量%のタングステン、約1.7重量%のレニウム、約0.15重量%のハフニウムおよび残部ニッケルの組成を含む合金を指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ReneN2」は、約7.5重量%のコバルト、約13重量%のクロム、約6.6重量%のアルミニウム、約5重量%のタンタル、約3.8重量%のタングステン、約1.6重量%のレニウム、約0.15重量%のハフニウム、および残部のニッケルの組成を含む合金を指す。
【0033】
セラミック添加剤202は、限定するものではないが、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化タングステン、窒化チタン、炭窒化チタン、炭化チタン、またはこれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料を含むことができる。セラミック添加剤202は、限定するものではないが、粉末(図示)、繊維、ナノチューブ、またはこれらの組み合わせを含む、任意の適切な構成を含むことができる。
【0034】
不均質組成物108は、任意の適切な量の合金混合物200およびセラミック添加剤202を含み得る。一実施形態において、不均質組成物108は、約99体積%まで、または約95体積%まで、または約90体積%まで、または約85体積%まで、または約80体積%まで、または約75体積%まで、または約70体積%まで、または約65体積%~約99体積%、または約70体積%~約99体積%、または約75体積%~約99体積%、または約75体積%~約95%、または約75体積%~約90体積%、または約75体積%~約85体積%の合金混合物200を含む。別の実施形態において、不均質組成物108は、約60体積%まで、または約50体積%まで、または約40体積%まで、または約30体積%まで、または約25まで体積%、または約1体積%~約50体積%、または約1体積%~約40体積%、または約1体積%~約30体積%、または約5体積%~約25体積%、または約10体積%~約25体積%、または約15体積%~約25体積%のセラミック添加剤202を含む。さらに別の実施形態において、不均質組成物108は、合金混合物200とセラミック添加剤202とを、約99:1~約50:50の間、または約95:5~約70:30、の間、または約85:15から約75:25の間の体積比で含む。さらなる実施形態において、不均質組成物108は、不均質組成物108の約3%未満、または不均質組成物108の約2%未満、または不均質組成物108の約1%未満を形成する不純物を除いて、合金混合物200およびセラミック添加剤202から本質的になる。
【0035】
一実施形態において、不均質組成物108は微粒子である。別の実施形態において、不均質組成物108は予備焼結されたプリフォームである。予備焼結されたプリフォームは、微粒子から形成されてもよい。
【0036】
図1および図3を参照すると、一実施形態において、物品100はタービン部品110である。物品100は、限定するものではないが、バケット(ブレード)(図1においてタービン部品110として示される)またはシュラウド付きタービンバケット(ブレード)(図3においてタービン部品として示される)を含む、任意の適切なタービン部品110であり得る。タービン部品110がバケット(ブレード)である一実施形態(図1に示す)において、第1の部分102は翼形部112であり、第2の部分104はスキーラ先端114である。タービン部品がシュラウド付きタービンバケット(ブレード)である別の実施形態(図3に示す)において、第1の部分102はシュラウド付きタービンバケット(ブレード)のシュラウド部300であり、第2の部分104はシュラウド間の接触面304に配置されている接触パッド302である。
【0037】
材料組成物106および第1の合金204の少なくとも1つは、HTW合金を含み得る。一実施形態において、材料組成物106および第1の合金204はそれぞれ、HTW合金を含む。材料組成物106および第1の合金204のHTW合金は、同じHTW合金であっても、または組成的に異なるHTW合金であってもよい。材料組成物106および第1の合金204のそれぞれがHTW合金を含む実施形態において、形成された物品100は、同等の第2の部分104においてHTW合金を欠いている同等の物品と比較して、別の方法では互いに結合することが困難なHTWの利点のため、第2の部分104において耐摩耗性の増加、耐クリープ性の増加、耐酸化性の増加、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0038】
一実施形態において、物品100を形成する方法は、第2の部分104を第1の部分102に適用して、物品100を形成する工程を含む。第2の部分104を第1の部分102に適用する工程は、不均質組成物108を第1の部分102上に付加製造技術により堆積させる工程、不均質組成物108を含む予備焼結されたプリフォームを第1の部分102上に堆積させる工程、および予備焼結されたプリフォームを第1の部分102へろう付けする工程、またはこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態において、予備焼結されたプリフォームは、付加製造技術によって形成される。第2の部分104は、第1の部分102にほぼ正味形状で適用されてもよく、または粗い形状で適用され、その後、適用または接合の後に最終形状に調整されてもよい。
【0039】
付加製造技術は、限定するものではないが、直接金属レーザ溶融、選択的レーザ焼結、直接金属レーザ焼結、選択的レーザ溶融、電子ビーム溶融、電子ビーム自由形状加工、結合剤噴射、またはこれらの組み合わせを含む、任意の適切な技術であり得る。一実施形態において、第1の部分102は、第2の部分104が付加製造技術によって適用される前に適切な温度に予熱される。別の実施形態において、第1の部分102は、第2の部分104が付加製造技術によって適用される前に予熱されていない。
【0040】
第2の部分104を第1の部分102に適用した後、物品は、焼結、熱間静圧プレス、またはこれらの組み合わせに供され得る。焼結は、限定するものではないが、約1,500°F~約2,375°F、または約1,600°F~約2,350°F、または約1,700°F~約2,325°F、または約1,800°F~約2,300°F、または約1,850°F~約2,250°Fの焼結温度を含む、任意の適切な焼結温度で行うことができる。焼結は、限定するものではないが、約5分~約150分、または約10分~約120分、または約15分~約90分の持続時間を含む、任意の焼結持続時間の間、物品100を焼結温度に維持する工程を含み得る。焼結は、空気下、不活性ガス下、真空下、またはこれらの組み合わせで行うことができる。
【0041】
第2の部分104は、適用されている間に第1の部分102に接合されてもよく、または適用の後に接合されてもよい。物品100は、限定するものではないが、加熱、研磨、ブラッシング、チップクリーニング、サイジング、化学的処理、またはこれらの組み合わせを含む、任意の適切な仕上げ技術によって仕上げることができる。
【0042】
本発明について好適な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、またその要素を等価物で置き換えることができることは、当業者には理解されるであろう。さらに、特定の状況または材料に適応させるために、その本質的範囲から逸脱することなく、本発明の教示に多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲内に属するすべての実施形態を含むことになることを意図している。
[実施態様1]
少なくとも第1の閾値温度の第1の融点を有する第1の合金(204)と、
前記第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度未満の第2の融点を有する第2の合金(206)と
セラミック添加剤(202)と、
を含む合金混合物(200)を含み、
前記第1の合金(204)、前記第2の合金(206)、および前記セラミック添加剤(202)が、別個の相として互いに混ざり合っている不均質組成物(108)。
[実施態様2]
前記第1の閾値温度が約2400°Fであり、前記第2の閾値温度が約2350°Fである、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様3]
前記第1の合金(204)が、超合金、難溶接性(HTW)合金、耐火合金、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、鉄基超合金、鉄基合金、合金鋼、ステンレス鋼合金、コバルト基合金、ニッケル基合金、チタン基合金、チタンアルミナイド、GTD111、GTD444、HAYNES188、INCONEL738、MAR-M-247、Rene108、Rene142、Rene195、およびReneN2、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様4]
前記第2の合金(206)が、ろう付け合金、鉄基合金、合金鋼、ステンレス鋼合金、コバルト基合金、ニッケル基合金、チタン基合金、DF-4B、BNi-2、BNi-5(AMS4782)、BNi-9、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様5]
前記セラミック添加剤(202)が、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化タングステン、窒化チタン、炭窒化チタン、炭化チタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様6]
前記セラミック添加剤(202)が、粉末、繊維、ナノチューブ、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される構成を有する、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様7]
微粒子である、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様8]
予備焼結プリフォームである、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様9]
前記合金混合物(200)が、約95重量%までの前記第1の合金(204)、および約5重量%~約50重量%の前記第2の合金(206)を含む、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様10]
約1体積%~約50体積%の間のセラミック添加剤(202)を含む、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様11]
前記セラミック添加剤(202)と前記合金混合物(200)とを約15:85から約25:75の間の体積比で含む、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様12]
前記第1の合金(204)と前記第2の合金(206)とを約85:15~約75:25の間の重量比で含む、実施態様1に記載の不均質組成物(108)。
[実施態様13]
材料組成物(106)を含む第1の部分(102)と、
不均質組成物(108)を含む第2の部分(104)とを含み、
前記不均質組成物(108)が、
少なくとも第1の閾値温度の第1の融点を有する第1の合金(204)と、
前記第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度未満の第2の融点を有する第2の合金(206)と
セラミック添加剤(202)と、
を含む合金混合物(200)を含み、
前記第1の合金(204)、前記第2の合金(206)、および前記セラミック添加剤(202)が、別個の相として互いに混ざり合っている、物品(100)。
[実施態様14]
前記材料組成物(106)および前記第1の合金(204)の少なくとも1つが、難溶接性(HTW)合金を含む、実施態様13に記載の物品(100)。
[実施態様15]
タービン部品(110)である、実施態様13に記載の物品(100)。
[実施態様16]
前記タービン部品(110)がバケット(ブレード)であり、前記第2の部分(104)がスキーラ先端(114)であるか、または前記タービン部品(110)がシュラウドバケット(ブレード)であり、前記第2の部分(104)が前記シュラウド間の接触面(304)に配置されている接触パッド(302)である、実施態様15に記載の物品(100)。
[実施態様17]
物品(100)を形成するための方法であって、
第2の部分(104)を第1の部分(102)に適用して、前記物品(100)を形成する工程を含み、
前記第1の部分(102)が材料組成物(106)を含み、前記第2の部分(104)が不均質組成物(108)を含み、前記不均質組成物(108)が、
少なくとも第1の閾値温度の第1の融点を有する第1の合金(204)と、
前記第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度未満の第2の融点を有する第2の合金(206)と
セラミック添加剤(202)と、
を含む合金混合物(200)を含み、
前記第1の合金(204)、前記第2の合金(206)、および前記セラミック添加剤(202)が、別個の相として互いに混ざり合っている、方法。
[実施態様18]
前記第2の部分(104)を前記第1の部分(102)に適用する工程が、付加製造技術によって前記不均質組成物(108)を前記第1の部分(102)上に堆積させる工程を含む、実施態様17に記載の方法。
[実施態様19]
前記第2の部分(104)を前記第1の部分(102)に適用する工程が、前記不均質組成物(108)を含む予備焼結されたプリフォームを前記第1の部分(102)上に堆積させる工程、および前記予備焼結されたプリフォームを前記第1の部分(102)にろう付けする工程を含む、実施態様17に記載の方法。
[実施態様20]
前記物品(100)を焼結および熱間静水圧プレスの少なくとも1つに供する工程をさらに含む、実施態様17に記載の方法。
【符号の説明】
【0043】
100 物品
102 第1の部分
104 第2の部分
106 材料組成物
108 不均質組成物
110 タービン部品
112 翼形部
114 スキーラ先端
200 合金混合物
202 セラミック添加剤
204 第1の合金
206 第2の合金
300 シュラウド部
302 接触パッド
304 接触面
図1
図2
図3