(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】位相分解部分放電の評価
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20231107BHJP
【FI】
G01R31/12 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018004589
(22)【出願日】2018-01-16
【審査請求日】2021-01-07
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・トーマス・パーム
(72)【発明者】
【氏名】マキシミリアン・ホーベルスバーガー
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331415(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0204873(US,A1)
【文献】特開平05-288823(JP,A)
【文献】特開平07-049362(JP,A)
【文献】特開2011-130544(JP,A)
【文献】特開2011-099775(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0088314(US,A1)
【文献】特開2007-232495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相分解部分放電(PD)の評価のためのシステム(100)であって、当該システム(100)が、
電気機器(105)の高電圧絶縁体における少なくとも1つのPDプロセスを検出し、複数のPhiqnアレイを提供するように構成された測定装置(125)と、
前記測定装置(125)に通信可能に結合された機器コントローラ(600)と
を備えており、前記機器コントローラ(600)が、
前記複数のPhiqnアレイのうちの少なくとも1つに存在する少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を
、前記PDプロセスのタイプに関連付けられる幾何学的形状(405)と関連付け、
前記幾何学的形状の特性値であって、パルス繰り返し率、平均放電電流及び二次放電率の少なくとも1つを含む特性値を定量化し、
前記複数のPhiqnアレイ内の前記幾何学的形状(405)に関連する周囲パラメータであって、コイル温度、ガス圧力及び温度、並びにガス湿度を含む周囲パラメータを追跡し、
前記幾何学的形状(405)に基づいて、前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)に関連する放電強度を決定し、
前記幾何学的形状(405)に関連する前記周囲パラメータ及び前記幾何学的形状の前記特性値に基づいて、部分放電の発生の傾向を決定し、
前記放電強度及び前記傾向に基づいて、前記高電圧絶縁体の絶縁品質を示す信号を提供するように構成される、システム(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を幾何学的形状(
405)と関連付けるように構成された前記機器コントローラ(600)が、前記Phiqnパターン(205)に適合する前記幾何学的形状のタイプ、位置及び寸法を決定するようにさらに構成され、
前記幾何学的形状(
405)のパラメータを追跡するように構成された前記機器コントローラ(600)が、前記幾何学的形状(
405)の前記位置及び前記寸法の変化を追跡するようにさらに構成され
、
少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を幾何学的形状(
405)と関連付けるように構成された前記機器コントローラ(600)が、三角形、横長の矩形、縦長の矩形及び楕円形のうちの少なくとも1つを含むリストから前記幾何学的形状(
405)を選択するようにさらに構成され、
前記放電強度を決定するように構成された前記機器コントローラ(600)が、前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)に関連付けられた前記幾何学的形状(
405)内に位置する高周波パルスに基づいて前記放電強度を決定するようにさらに構成され、
前記機器コントローラ(600)が、前記放電強度に基づいて、前記高電圧絶縁体の劣化率を決定するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を前記幾何学的形状(405)と関連付けるように構成された前記機器コントローラ(600)が、学習アルゴリズムを利用して前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を前記幾何学的形状(405)と関連付けるようにさらに構成され、前記学習アルゴリズムが、Phiqnアレイの履歴及び前記Phiqnアレイの履歴で識別された以前のPhiqnパターン(205)で訓練される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記高電圧絶縁体の状態を示す前記信号を提供するように構成された前記機器コントローラ(600)が、
前記電気機器(105)の動作パラメータ又は周囲条件のうちの少なくとも1つに基づいて、前記放電強度のしきい値を決定し、
前記放電強度が前記しきい値を超えていることを判定し、
前記判定に基づいて、前記絶縁品質に関する警告を選択的に提供するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項5】
位相分解部分放電(PD)の評価のための方法(500)であって、
測定装置(125)によって、1又は複数のPhiqnアレイを提供するステップ(502)であって、前記測定装置(125)が、高電圧絶縁体を含む電気機器(105)における少なくとも1つの部分放電(PD)プロセスを検出するように構成される、ステップ(502)と、
前記測定装置(125)に通信可能に結合された機器コントローラ(600)によって、前記1又は複数のPhiqnアレイに存在する少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を幾何学的形状(405)に関連付けるステップ(504)
であって、前記幾何学的形状(405)が、前記PDプロセスの少なくとも1つのタイプに関連付けられる、ステップと、
前記機器コントローラ(600)によって、前記幾何学的形状の特性値であって、パルス繰り返し率、平均放電電流及び二次放電率の少なくとも1つを含む特性値を定量化するステップと、
前記機器コントローラ(600)によって、前記1又は複数のPhiqnアレイ内の前記幾何学的形状(405)に関連する周囲パラメータであって、コイル温度、ガス圧力及び温度、並びにガス湿度を含む周囲パラメータを追跡するステップ(506)と、
前記機器コントローラ(600)によって、前記幾何学的形状(405)に基づいて、前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)に関連する放電強度を決定するステップ(508)と、
前記機器コントローラ(600)によって、前記幾何学的形状(405)に関連する前記周囲パラメータ及び前記幾何学的形状の前記特性値に基づいて、部分放電の発生の傾向を決定するステップと、
前記機器コントローラ(600)によって、前記放電強度及び前記傾向に基づいて、前記高電圧絶縁体の絶縁品質を示す信号を提供するステップ(510)と
を含む方法(500)。
【請求項6】
少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を幾何学的形状(
405)に関連付けるステップが、前記Phiqnパターン(205)に適合する前記幾何学的形状(
405)のタイプ、位置及び寸法を決定するステップを含み、
当該方法(500)が、前記機器コントローラ(600)によって、前記幾何学的形状(
405)の前記位置及び前記寸法の変化を追跡するステップを
さらに含み、
前記放電強度を決定するステップが、Phiqnパターンに関連する前記幾何学的形状(
405)内に位置する高周波パルスに基づく、請求項5に記載の方法(500)。
【請求項7】
前記幾何学的形状(405)が、三角形(445,465)、横長の矩形(455,460)、縦長の矩形(405,410,415,420,430)及び楕円形(435,440,450)のうちの少なくとも1つを含むリストから選択される、請求項5に記載の方法(500)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)が、学習アルゴリズムを利用することに基づいて前記幾何学的形状(405)に関連付けられ、前記学習アルゴリズムが、Phiqnアレイの履歴及び前記Phiqnアレイの履歴内で識別された以前のPhiqnパターン(205)で訓練される、請求項5に記載の方法(500)。
【請求項9】
前記機器コントローラ(600)によって、前記放電強度に基づいて、前記高電圧絶縁体の劣化率を決定するステップと、
前記機器コントローラ(600)によって、前記幾何学的形状(
405)の変化を前記電気機器の動作パラメータの変化又は周囲条件の変化のうちの少なくとも1つに相関させるステップと、
前記機器コントローラ(600)によって、前記電気機器の動作パラメータの前記変化又は周囲条件の前記変化のうちの少なくとも1つに基づいて、前記放電強度のしきい値を決定するステップと、
前記機器コントローラ(600)によって、前記放電強度が前記しきい値を超えていることを判定するステップと、
前記判定の結果に基づいて、前記機器コントローラ(600)によって、前記絶縁品質に関する警告を選択的に提供するステップとをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高電力電気機器の診断、より具体的には、機器絶縁の位相分解部分放電の評価に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧絶縁は、高電圧発電機、変圧器、電気モータなどの高電力電気機器の電気導体に広く使用されている。絶縁の完全性は、絶縁と絶縁されている機器の両方の費用のかかる故障を防ぐために、試験および評価する必要があり得る。多くの場合、動作中の絶縁が破壊されると、高電力電気機器の重大な損傷を招くか、あるいは完全に破壊されることさえあり得る。その結果、絶縁の電気的破壊は高電力電気機器の費用のかかる停止時間につながる可能性がある。
【0003】
絶縁状態の状態を評価するいくつかの従来の方法が存在する。しかしながら、従来の方法のほとんどは、診断される機器を「オフライン」にする必要がある。これは、その状態が評価されている間は機器を動作させることができないことを意味する。機器が動作している間に、絶縁の状態を「オンライン」で評価できる方法がいくつかある。そのような「オンライン」方法の大部分は、絶縁体が高電圧にさらされたときに生成される高周波信号の特性の評価を含んでいる。これらの高周波信号は、絶縁不良に関連する個々の部分放電(PD)によって生成され得る。
【0004】
検出された高電圧パルスの評価のための1つの従来の方法は、位相分解PD解析を含む。位相分解PD解析によって、「Phiqnアレイ」(Phiqn行列とも呼ばれる)を得ることができる。Phiqn画像(PD画像とも呼ばれる)は、Phiqnアレイを用いて得ることができる。Phiqn画像は、Phiqnアレイの図形的表現である。通常、訓練を受けた専門家がPhiqn画像を解析して絶縁の状態を評価することができる。
【0005】
訓練を受けた専門家による従来のPD解析の欠点の1つは、絶縁の状態の測定と評価との間に並行性がないことである。さらに、このような解析は、通常、定期的に、例えば1年に1回または2回だけ行われる。したがって、測定と測定との間に絶縁の著しい劣化が気付かれずにおかれるおそれがある。
【0006】
PD解析のための公知の方法の他の欠点としては、ノイズ耐性、警告の信頼性、および、特にPhiqnアレイにおける異なるPhiqnパターンを区別する能力が欠けていることが挙げられる。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、機器絶縁体の位相分解部分放電の評価のためのシステムおよび方法に関する。本開示の特定の実施形態は、位相分解PhiqnアレイおよびPhiqnパターンに関連する傾向の監視、解析、評価、および追跡に関する。本開示の特定の実施形態は、絶縁体の状態に関する早期の警告および警報を提供するために、高電圧電力電気機器における絶縁体の監視を容易にすることもできる。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、位相分解部分放電の評価のためのシステムが提供される。本システムは、電気機器の高電圧絶縁体における少なくとも1つのPDプロセスを検出し、複数のPhiqnアレイを提供するように構成された測定装置を含むことができる。本システムは、測定装置に通信可能に結合された機器コントローラをさらに含むことができる。機器コントローラは、Phiqnアレイに存在する少なくとも1つのPhiqnパターンを幾何学的形状と関連付けるように構成することができる。機器コントローラは、複数のPhiqnアレイ内の幾何学的形状のパラメータを追跡するようにさらに構成することができる。機器コントローラは、幾何学的形状のパラメータに基づいて、PDパターンに関連する放電強度を決定するようにさらに構成することができる。機器コントローラは、放電強度に基づいて、高電圧絶縁体の絶縁品質を示す信号を提供するように構成することができる。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのPhiqnパターンを幾何学的形状と関連付けるように構成された機器コントローラは、Phiqnパターンに適合するために幾何学的形状のタイプ、位置、および寸法を決定するようにさらに構成することができる。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態では、幾何学的形状のパラメータを追跡するように構成された機器コントローラは、幾何学的形状の位置および寸法の変化を追跡するようにさらに構成することができる。本開示の特定の実施形態では、幾何学的形状は、部分放電プロセスのタイプに関連付けられる。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態では、幾何学的形状は、三角形、横長の矩形、縦長の矩形、および楕円形のうちの少なくとも1つを含むリストから選択することができる。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態では、放電強度を決定するように構成された機器コントローラは、少なくとも1つのPhiqnパターンに関連付けられた幾何学的形状内に位置する高周波パルスに基づいて放電強度を決定するようにさらに構成することができる。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのPhiqnパターンを幾何学的形状と関連付けるように構成された機器コントローラは、Phiqnパターンを幾何学的形状と関連付けるために学習アルゴリズムを利用するようにさらに構成することができる。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態では、学習アルゴリズムは、Phiqnアレイの履歴およびPhiqnアレイの履歴で識別された以前のPhiqnパターンで訓練される。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態では、機器コントローラは、放電強度に基づいて、高電圧絶縁体の劣化率を決定するようにさらに構成される。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態では、幾何学的形状のパラメータは、電気機器の動作パラメータおよび/または周囲条件に相関させることができる。本開示の特定の実施形態では、機器コントローラは、相関に基づいて高電圧絶縁体の状態を示す信号を修正するようにさらに構成することができる。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態では、機器コントローラは、電気機器の動作パラメータおよび/または周囲条件に基づいて、放電強度のしきい値を決定するようにさらに構成することができる。機器コントローラは、放電強度がしきい値を超えていることを判定し、その判定に基づいて、絶縁品質に関する警告を選択的に提供するようにさらに構成することができる。
【0018】
本開示の別の実施形態によれば、位相分解部分放電の評価のための方法が提供される。本方法は、測定装置によって、1つまたは複数のPhiqnアレイを提供するステップを含むことができる。測定装置は、電気機器における少なくとも1つの部分放電プロセスを検出するように構成することができる。電気機器は、高電圧絶縁体を含むことができる。本方法は、測定装置に通信可能に結合された機器コントローラによって、1つまたは複数のPhiqnアレイに存在する少なくとも1つのPhiqnパターンを幾何学的形状に関連付けるステップをさらに含むことができる。本方法は、Phiqnアレイ内の幾何学的形状のパラメータを機器コントローラによって追跡するステップをさらに含むことができる。本方法は、機器コントローラによって、幾何学的形状のパラメータに基づいて、少なくとも1つのPhiqnパターンに関連する放電強度を決定するステップをさらに含むことができる。本方法は、機器コントローラによって、放電強度に基づいて、高電圧絶縁体の絶縁品質を示す信号を提供するステップをさらに含むことができる。
【0019】
他の実施形態、システム、方法、特徴、および態様は、以下の図面と関連付けられた以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の特定の実施形態による、位相分解部分放電の評価のための例示的なシステムを示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態による部分放電(PD)アレイ画像を表す画像の例示的なプロットである。
【
図3】本開示の実施形態による部分放電(PD)アレイ画像を表す画像の例示的なプロットである。
【
図4】本開示の実施形態による部分放電(PD)アレイ画像を表す画像の例示的なプロットである。
【
図5】本開示の一実施形態による、位相分解部分放電の評価のための方法を示すフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施形態による、位相分解部分放電の評価のためのコントローラを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の特定の実施形態は、位相分解部分放電の測定の評価のためのシステムおよび方法を含むことができる。開示されるシステムおよび方法は、高電圧電気機器の絶縁体における放電アクティビティの連続的な解析および監視を提供することができる。本開示のいくつかの実施形態は、特定の放電アクティビティがしきい値レベルを超えた場合に絶縁不良に関する警報を容易にすることができる。
【0022】
本開示のいくつかの例示的な実施形態では、位相分解部分放電の測定の評価方法は、測定装置によって、1つまたは複数のPhiqnアレイを提供するステップを含むことができる。測定装置は、電気機器における少なくとも1つの部分放電プロセスを検出するように構成することができる。電気機器は、高電圧絶縁体を含むことができる。本方法は、測定装置に通信可能に結合された機器コントローラによって、1つまたは複数のPhiqnアレイに存在する少なくとも1つのPhiqnパターンを幾何学的形状に関連付けるステップをさらに含むことができる。本方法は、機器コントローラによって、PD画像内の幾何学的形状のパラメータを追跡することをさらに含むことができる。本方法は、機器コントローラによって、幾何学的形状のパラメータに基づいて、少なくとも1つのPDパターンに関連する放電強度を決定するステップをさらに含むことができる。本方法は、機器コントローラによって、放電強度に基づいて、高電圧絶縁体の状態を示す信号を提供するステップをさらに含むことができる。
【0023】
本開示の特定の実施形態の技術的効果は、機器の動作中に高電圧電気機器における絶縁体の連続的な診断を実行することを含むことができる。さらに、本開示の特定の実施形態の技術的効果は、絶縁体の信頼できる状態評価を提供することができる。本開示の特定の実施形態のさらなる技術的効果は、電気機器の予想外の停止の防止および電気機器のサービス品質の向上を容易にすることができる。
【0024】
以下では、位相分解部分放電の測定の評価のためのシステムおよび方法に関する様々な例示的な実施形態の詳細な説明を提供する。
【0025】
ここで図面を参照すると、
図1は、本開示の特定の実施形態による、例示的なPD評価システム100を示すブロック図であり、PD評価システム100は位相分解部分放電の評価のための方法を実施するために使用することができる。システム100は、機械105と、スターポイントのPDセンサ110と、二重スクリーン同軸ケーブル135と、高電圧側のPDセンサ115と、接続ボックス120と、部分放電装置125と、機器コントローラ600と、を含むことができる。
【0026】
本開示の様々な実施形態では、機械105は、変圧器、電気モータ、例えば発電プラントなどで使用できる高出力発電機を含むことができる。機械105は、電気導体(絶縁システムとも呼ばれる)のための高電圧絶縁体を含むことができる。高電圧にさらされると、絶縁システムは1つまたは複数のPDプロセスを経験する場合がある。PDプロセスは、機械の特定の場所で見いだされる特定のタイプのPDアクティビティとして定義することができる。PDプロセスは、絶縁体の内側、絶縁体の表面、絶縁体の表面と機械の隣接部分との間で、および絶縁領域外の導体もしくは非導体間のガスが充填されたギャップを横切って生じることがある。PDアクティビティの異なる場所は、異なる放電メカニズムが関与するので、PDプロセスの異なるタイプを決定することができる。周知の典型的な放電プロセスの例としては、内部放電プロセス、表面放電プロセス、層間剥離放電プロセス(例えば、内部剥離または絶縁体と銅導体との間の層間剥離)、スロット放電プロセス、およびギャップ放電プロセスを挙げることができるが、これらに限定されない。PDプロセスの間、放電は特徴的な高周波信号を生成する場合がある。振動スパークまたはスリップリングスパークなどのいくつかの他のプロセスがPDプロセスと独立してまたは同時に発生することがあり、また高周波信号を発生させることもある。高周波信号は、PDセンサ115によって機械105の三相接続において検出され、またセンサ110によってスターポイントにおいて検出されて、測定機器(例えば、部分放電装置125)に送られる。測定機器は、高周波信号を個々の放電パルスに分解することができる。検出されたパルスのシーケンスは、検出されたパルスの特性を決定するために、装置125および/または機器コントローラ600によってさらに処理することができる。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態では、検出されたパルスの処理は、位相分解部分放電解析を含むことができる。時間領域では、パルスは、パルスの発生の位相角で分類することができ、この位相角は、交流(AC)位相電圧の全期間(または360度-位相角)内の発生時刻(または位相角)である。発生時刻または位相角は、同期信号に対して決定することができる。同期信号は、3つのAC位相のうちの1つからのAC電圧130のゼロ交差を含むことができる。振幅領域では、パルスは、ピーク値(パルス高さ)(例えば、ピーク電圧)によって分類することができる。各パルスは、位相角およびピーク電圧によって分類することができ、成分(例えば、位相角およびピーク値)を有するベクトルとして表すことができる。本開示のいくつかの実施形態では、パルスの検出プロセスは、特定の期間(例えば、60秒)実行することができる。
【0028】
本開示の特定の実施形態では、測定の結果は、位相角がX軸を形成し、ピーク電圧がY軸を形成する平面を使用して収集することができる。X軸は約0~360度まで伸び、Y軸は約0から最大測定範囲(max_range)まで伸びることができる。平面は、等しい寸法のセルに細分することができる。例えば、セルの寸法は、約1度の水平幅とmax_range/300の垂直高さを含むことができる。位相角およびピーク値の特定のセルに入る全てのパルスを、ある期間、例えば60秒間にわたってカウントすることができる。各セルについて検出されたパルス数を60秒間測定しカウントした後に、測定結果の第3の次元を提供することができる。第3の次元は、カウントされたパルスの数を示すことができる。Phiqnアレイとも呼ばれる測定結果は、グラフ画像(Phiqn画像またはPD画像と呼ばれる)として提示することができ、そこでは、個々の画素が色または形状によって各セル内に示されたカウントされたパルスの数を表している。画像の水平軸(x軸)は0度から360度までの位相角の範囲に及ぶことができ、垂直軸(y軸)はパルス高さ(または見かけの電荷)の範囲に及ぶことができる。画素の色は、パルス高さ(または見かけの電荷)のレベルでカウントされたパルスの数である。
【0029】
本開示の様々な実施形態では、Phiqnアレイは特定のPhiqnパターンを含むことができる。Phiqnパターンは、絶縁システムにおける異なるタイプの放電プロセスによって生成することができるので、PhiqnパターンとPhiqnパターンのグラフ表示は、互いに区別することができる。Phiqnパターンを解析して、絶縁システムの状態を評価することができる。Phiqnパターンの解析は、特定のパターンが互いに重ね合わされるという事実によって複雑になる場合がある。さらに、Phiqnパターンは雑音信号と重畳する場合がある。
【0030】
PD評価のための例示的な基本的アプローチ
本開示の特定の実施形態は、Phiqnパターンに関する以下の要因に基づくことができる。
【0031】
1)PDプロセスの異なるタイプの特徴である異なるPhiqnパターンは、Phiqnパターンのグラフィック表現を使用して、基本的な幾何学的形状の異なる識別可能なタイプに関連付けることができる。アルファベットの文字と同様に、サイズ、比率、場所の違いにもかかわらず、基本形状を互いに区別することができる。本開示の様々な実施形態では、形状の認識のための特定のアルゴリズムを使用するソフトウェアアプリケーション(例えば、パターン認識ソフトウェア、光学的文字認識ソフトウェア、または他の同様のソフトウェア)によってこれらの基本形状を容易に認識することができる。
【0032】
2)異なるPDプロセスによって生成された異なるPhiqnパターンが互いに重畳される可能性があるので、基本形状の自動認識が困難である場合がある。Phiqnパターンの重畳はまた、測定機器のパルス検出プロセスを阻害し、妨害し、それによって、Phiqnパターンの特定の変化を生じ、異なるパターンおよびソースの識別をさらに複雑にすることがある。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態では、重畳されたPhiqnパターンの認識および識別のための解決策は、電気機械(例えば、発電機、モータ、および変圧器)内の個々の放電パルス源および他のパルス源、すなわち機械内で発生する異なる放電プロセスは、それらの特性を異なって変化させる可能性があるという事実に基づくことができる。したがって、異なる放電プロセスによって生成される異なるPhiqnパターンは、異なる速度および異なる方法で変化する。例えば、いくつかの放電プロセスの特性は、他の放電プロセスの特性よりも時間の経過とともに速く変化する場合がある。いくつかの放電プロセスは、他の放電プロセスよりもガス圧力の変化に多く依存する場合がある。これらの特性は、パルス密度(すなわち、単位時間当たりのパルス数)、パルス高さ、パルス高さの分布などを含むことができる。放電プロセスの特性は、周囲のパラメータ(例えば、絶縁材料の温度、導体の温度、冷却ガスの温度、湿度、振動、密度、および圧力)の変化に応答して、緩やかにまたは急速に変化し得る。これらの特性は、例えば、ガス中の電子の平均衝突距離の変化、ギャップ距離の変化、したがってガス中の電界強度の変化に起因して変化し得る。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態では、既存の放電プロセスおよび既存の放電プロセスによって生成されるPhiqnパターンは、これらの放電源に影響を与える環境パラメータが実質的に同じままであればPhiqnパターンは変化しないという意味で不変であると仮定することができる。
【0035】
3)本開示のいくつかの実施形態では、PDプロセスのPhiqnパターン認識および識別は、異なるタイプの放電プロセス(例えば、ギャップ放電源、スロット放電源、表面放電源、内部放電源、層間剥離放電源、相間放電源などに関連する)は、周囲パラメータに対して異なる依存性を有し得るという事実にさらに基づくことができる。結果として、異なるプロセスからの異なるPhiqnパターンは、互いに独立して、異なる方法で時間の経過とともに消滅し、変化し、再出現することがある。異なるPhiqnパターンは、放電の大きさ(パルス高さ)および/または強度(パルスの周波数)がゆっくりと変化することがあり、これは、検出された放電のPhiqnアレイの垂直方向(パルス高さ軸)における位置の変化に対応する。いくつかのPhiqnアレイでは、異なるPhiqnパターンが互いに重畳されている場合がある。他の時間に生成された他のPhiqnアレイでは、Phiqnパターンは重畳されず、より明確に分離して見ることができ、したがってより容易に検出可能であり得る。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態では、周囲パラメータの変化が突然ではなく、通常は時間の経過とともにゆっくりと起きるので、個々のPDプロセスによって生成された個々のPhiqnパターンは、適切なソフトウェア方法によって追跡することができる。追跡のための前提条件は、PhiqnパターンおよびPhiqnアレイを十分に高いタイムリーな繰り返しレートで取得することができることである。特定の実施形態では、取得の繰り返しレートの典型的な値は約5分であってもよい。これは、5分毎に、機械105のPDセンサ110、115から(例えば、発電機の三相結合器から)受信した信号に基づくPhiqnアレイの新たな組が生成されることを意味する。これと比較して、従来のPD検出システムの取得レートは、通常、1日に1回のみである。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態では、Phiqnパターンの追跡およびPDプロセスの追跡は、新たに取得されたPhiqnアレイおよび対応するグラフィックPD画像内の対応する基本的な幾何学的形状によって識別された特定のPhiqnパターンが、以前の取得のシーケンスで得られた同様のPhiqnパターンと同じ放電プロセスに由来し得るという基本的な確率的仮定に依存している。この仮定は、PDプロセスが検出されるシステムの物理から導き出すことができる。この仮定はPhiqnパターンが重畳している場合にも当てはまり、その場合には、Phiqnパターン全体および対応するPD画像の個々の部分または成分を、以前のPhiqnアレイの履歴のシーケンス、および個々のPDプロセスに起因する個々の基本形状の以前の識別に基づいて、識別し分離することができる。
【0038】
Phiqnアレイのシーケンスに基づくPD画像のシーケンスの一例を
図2および
図3に示す。
図2は、例示的なPD画像200を示す。PD画像200は、Phiqnパターン205の画像表現およびPhiqnパターン210の画像表現を含む。PD画像200におけるPhiqnパターン205、210は、基本形状(横長の矩形)との類似性、およびこの基本形状およびその放電機構(すなわちギャップ放電)に関する特定の規則に基づいて識別することができる。
【0039】
図3は、例示的なPD画像300を示す。PD画像300は、Phiqnアレイの画像のシーケンスでPD画像200に続いてもよい。PD画像300は、Phiqnパターン305およびPhiqnパターン310を含むことができる。Phiqnパターン305、310は、ガス放電に対応する基本形状とは異なっていてもよい。しかしながら、
図2のPhiqnパターン200から
図4の後のPhiqnパターン300に至る、Phiqnアレイの履歴の全シーケンスの知識によって、Phiqnパターン305、310は、
図2に示すギャップ放電プロセスである既知のプロセスによって生じたものであると特定することができる。短い時間間隔で取得されたPhiqnアレイの履歴のシーケンスを知らないと、Phiqnパターンの解釈は全く異なるものになるか、および/または疑わしいものになる可能性がある。Phiqnパターンの特徴の知識は、PD評価システムの学習プロセスによって獲得することができる。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態では、学習プロセスの間に、新たに取得されたPhiqnアレイ内のPhiqnパターンを、Phiqnアレイの学習された特徴に基づいて識別することができる。最新の画像で再び識別されたPhiqnパターンは、学習効果を高めることができる。他方では、Phiqnアレイのシーケンス中に長時間にわたって再出現しない特定のPhiqnパターンは、PD評価システムによって「忘れられる」場合がある。
【0041】
図4は、異なる放電源、放電タイプ、およびパルス源に関連する複数の異なるPDプロセスを示す複数の識別された基本形状を有する、典型的な部分放電画像400の別の例である。基本的な幾何学的形状は、縦長の矩形405、410、415、420、425、430、楕円435、440、450、三角形445、465、および横長の矩形455、460を含むことができる。いくつかの実施形態では、基本的な幾何学的形状は、異なる自由形状のオブジェクトを含むことができる。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態では、識別されたPD放電パターンおよびPDプロセスの傾向をPhiqnアレイのシーケンスにおいて追跡することができる。個々の放電プロセスによって生成された個々のPhiqnパターンが、基本形状とPhiqnアレイの履歴に基づいて識別され、基本形状がPhiqnパターンに起因するものとされた後に、基本形状内の放電アクティビティを定量化することができる。基本的な定量化は、基本形状内の全てのパルスのパルス繰り返し率、平均放電電流、二次放電率(二次電流)などを含む「特性値」の評価を含むことができる。いくつかの実施形態では、特性は、標準規格IEC60270によって規定することができる。全ての取得されたPhiqnアレイの全ての識別されたPhiqnパターンは、1つまたは複数の定量化番号(例えば、二次電流)に起因させることができる。定量化番号の傾向は、経時的に追跡することができる。特定の実施形態では、定量化番号は、時間タグを用いてメモリに格納することができる。機器コントローラは、グラフィック画面に傾向を表示するように構成することができる。例えば、U相で識別されたスロット放電プロセスの二次放電電流の傾向を経時的に表示することができる。
【0043】
本開示のさらなる実施形態では、傾向は、コイル温度、ガス圧力および温度、ならびにガス湿度を含む周囲パラメータに関連して追跡することができる。一例として、機器コントローラは、経時的なスロット放電の発生を示す傾向を追跡するように構成することができ、スロット放電は同じガス圧力範囲内で生じる。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態では、傾向を警告の生成に使用することができる。例えば、特定の放電タイプ(例えば、スロット放電)の特定の識別されたプロセスの特徴的な定量値(例えば、二次電流)が予め定義された限界を超える場合に、機器コントローラは警告を出すように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、予め定義された限界は、周囲パラメータの全範囲に対する絶対的な限界を含んでもよい。他の実施形態では、予め定義された限界は、温度範囲に基づいて選択されてもよい。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態では、機器コントローラは、関連する機械パラメータおよび/または関連する周囲パラメータにさらに基づいて、信号、警告および警報を生成するようにさらに構成されてもよい。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態では、機器コントローラは、Phiqnアレイのシーケンスおよび対応するPD画像の圧縮バージョンを生成するように構成されてもよい。Phiqnアレイのシーケンスの圧縮されたバージョンは、シーケンス中の以前のPhiqnアレイと比較してPDパターンの有意な変化が生じたPhiqnアレイのみを含むことができる。Phiqnアレイのシーケンスの圧縮されたバージョンは、後の解析のために格納することができる。Phiqnアレイを高速で取得することができるので、Phiqnアレイのシーケンスを圧縮して、消費されるメモリ空間の全体サイズを縮小することができる。
【0047】
PD評価のためのアプローチの拡張
電気機械のコイル(例えば、ステータ巻線)は、PDセンサが配置されているコイルの一端またはコイル内のどこかからコイルの他端へのインパルス信号の伝送に関して特定の伝達特性を有することが知られている。おおよその近似では、インパルス電圧に関して、コイルの一端からコイルの他端への伝達特性は、約1メガヘルツ(MHz)のコーナー周波数を有する高次ローパスの伝達特性に類似する場合がある。言い換えれば、PDセンサの近傍に位置する放電源は、コイルのより内側に位置する放電源のパルスよりも広い周波数スペクトルを有するパルスをそのPDセンサにおいて生成することができる。したがって、空間的に分離されたパルス源は、周波数領域で解析された場合に異なるスペクトルを有するパルスを生成することができる。本開示のさらなる実施形態では、この物理的事実を用いて、Phiqnパターンをさらに区別し、異なる場所の放電源によりPDプロセスを区別することができる。
【0048】
既存の部分放電パルス受信(PDPR)機器は、通常、約1MHzのコーナー周波数よりもはるかに高いサンプリングレートで、3つ以上の入力の電圧信号をサンプリングする。通常、PDPR機器は、入力チャネル毎に約100,000,000サンプル/秒(MS/s)以上の速度で電圧信号をサンプリングするように構成することができる。入力チャネルでのこの速度および同時サンプリングでは、PDPR機器は電圧信号をそれらのデジタル表現に変換する。
【0049】
適切なデジタルフィルタリング(例えば、デジタル帯域通過)を使用して、パルス受信機は、異なる周波数帯域で同じパルスを受信し、マルチバンド受信モードで評価を実行するように構成することができる。本開示の特定の実施形態では、最も低い帯域は約100キロヘルツ~1MHz、第2の帯域は約1MHz~2MHz、第3の帯域は約2MHz~3MHz、第4の帯域は約3MHz~4MHz、最後の帯域は約4MHz~5MHzに及ぶことができる。このように、パルス受信機は、例えば約-40デシベル(dB)の阻止帯域レベルを有する5つの受信周波数帯域または「チャネル」を同時に受信するように構成することができる。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態によれば、各チャネルは、それ自体のパルス列を生成することができる。コイル巻線内の各放電パルスは、5つの受信チャネルで表され、ほぼ同時に発生する5つまでの検出パルスを生成することができる。より高い受信周波数帯域ではパルスの一部が小さすぎる可能性があるので、パルス検出器はそれらを検出できない場合がある。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態では、5つのパルス列を使用して、上述のように位相分解Phiqnアレイを収集することができる。Phiqnアレイは、5つのチャネルにわたって同じ期間をカバーすることができる。1つのチャネルの各Phiqnアレイは、他のチャネルの対応するPhiqnアレイと同時に取得することができる。この手法によって、5つのチャネルのそれぞれについてPhiqnアレイのシーケンスおよびそれらの画像表現が得られる。Phiqnアレイのシーケンスの各々は、Phiqnアレイのシーケンスによる基本形状および学習プロセスを使用して、上記の方法でさらに解析することができる。
【0052】
さらに、本開示のいくつかの実施形態では、異なる周波数帯域に対応する同時に取得された対応するPhiqnアレイ内のPhiqnパターンを互いに比較して、PDプロセスの識別と区別、Phiqnパターン、およびPDプロセスの放電強度をサポートすることができる。
【0053】
機械内の巻線に沿ってどこかに位置するPDプロセスは、PD源の放電機構にしたがって放電パルスの特定のシーケンスを生成することができる。全ての周波数帯に同じパルスのシーケンスが現れることがある。しかしながら、パルスの検出されたピーク値(パルス高さ)は、異なる周波数帯域において異なる場合がある。PD画像は、上述のようにパルスのシーケンスを使用して生成することができる。PD画像で認識されるPhiqnパターンは、同じ放電源から発生することがある。Phiqnパターンは異なる周波数帯域で同時に取得されるので、Phiqnパターンは主にパルス高さ軸(Y軸)において異なることがある。しかしながら、異なる周波数範囲で得られたPhiqnパターンの全体的なグラフ構造は、実質的に同じままであり得る。したがって、同じ基本形状を使用してPhiqnパターンを識別することができる。元のPDパルスは非常に広いスペクトルを有するので、PDセンサに近い放電源位置から生じるPhiqnパターンは、全ての周波数帯域で非常に類似した高さを有する場合がある。PDセンサから離れた放電源位置から生じるPhiqnパターンは、長い巻線のフィルタ効果のために、異なる周波数帯域で異なるパルス高さを有する場合がある。
【0054】
さらに、外乱源および干渉源からの信号もその高周波成分が非常に限定されているので、高周波数チャネルのPhiqnアレイに妨害が現れることは少ない。Phiqnパターンは、より低い周波数帯域よりも高い周波数帯域でより明確に見える可能性がある。しかしながら、対応する放電源の放電強度を示す実際のパルス高さは、より高い周波数範囲では減衰することがあり、最も低い周波数範囲で測定することができる。本開示のいくつかの実施形態では、この測定上の問題を克服するために、位相位置および基本形状についてより高い周波数の対応するPhiqnアレイと比較することによってより高い周波数の対応するPhiqnアレイで識別されたPhiqnパターンを使用して、最も低い周波数範囲でPhiqnパターンを識別することができる。最も低い周波数帯域のPhiqnパターンを識別した後に、そのPhiqnパターンに関連する放電強度も最も低い周波数帯域で計算することができる。いくつかの実施形態では、基本形状との比較によって、および上記のPhiqnアレイのシーケンスの履歴の評価によって、より高い周波数帯域でPhiqnパターンの識別を実行することもできる。
【0055】
本開示のいくつかの実施形態では、バンドパスフィルタを使用して、入力信号全体を分割する代わりに、個々のパルス特性の全セットをパルスフィルタリングすることができる。パルス特性は、スロープ急峻度、振動アクティビティ(リンギング)、バースト減衰などを含むことができる。これらの実施形態は、他の放電源のパルスおよびノイズ源からのパルスの特性とは異なり、特定の場所における特定の放電源は実質的に同じ特性を有する放電パルスのシーケンスを生成することができる、という事実を利用することができる。入力信号は、高いサンプリングレート(例えば、毎秒約100,000,000サンプル)でサンプリングすることができる。パルスは、サンプリングされたデータのストリームでさらに検出することができる。パルスは、パルス基準にしたがってさらに分類(またはフィルタリング)されて、異なるストリームまたは分類されたパルスのセットを生成することができる。分類されたパルスのセットを使用して、上述のようにPhiqnアレイのセットを生成することができる。Phiqnアレイの異なるセットは、異なるPhiqnパターンを含むことができる。Phiqnパターンは、上述したような基本形状との比較およびPhiqnアレイの履歴のシーケンスの評価を使用して識別することができる。さらに、異なる識別されたPhiqnパターンの強度を計算することができる。異なるPD源の経時的な強度を使用して傾向を生成することができる。
【0056】
図5は、本開示の例示的な実施形態による、位相分解部分放電の評価のための例示的な方法500を示すフローチャートである。方法500の動作は、
図1を参照して上述したシステム100の構成要素によって実行することができる。
【0057】
方法500は、ブロック502において、測定装置によって、1つまたは複数のPhiqnアレイを提供するステップで開始することができる。測定装置は、電気機器の高電圧絶縁体における少なくとも1つのPDプロセスを検出するように構成することができる。ブロック504において、方法500は、測定装置に通信可能に結合された機器コントローラによって、1つまたは複数のPhiqnアレイに存在する少なくとも1つのPhiqnパターンを幾何学的形状と関連付けるステップに進むことができる。ブロック506において、方法500は、機器コントローラによって、Phiqnアレイ内の幾何学的形状に関連するパラメータを追跡することができる。ブロック508において、方法500は、機器コントローラによって、幾何学的形状のパラメータに基づいて、Phiqnパターンに関連する放電強度を決定するステップを可能にすることができる。ブロック510において、方法500は、機器コントローラによって、放電強度に基づいて、高電圧絶縁体の絶縁品質を示す信号を提供することができる。本開示の特定の実施形態では、信号は、高電圧絶縁体の品質に関する警報または警告を含むことができる。
【0058】
図6は、本開示の一実施形態による、例示的なコントローラ600を示すブロック図である。より具体的には、コントローラ600の要素は、回転する機器の振動データを解析するために使用することができる。コントローラ600は、プログラムされたロジック620(例えば、ソフトウェア)を格納し、PD評価システム100に関連する動作データ、定数のセットなどのデータ630を格納することができる非一時的メモリ610を含むことができる。メモリ610はまた、オペレーティングシステム640を含むことができる。
【0059】
プロセッサ650は、オペレーティングシステム640を利用して、プログラムされたロジック620を実行することができ、その際に、データ630を利用することもできる。データバス660は、メモリ610とプロセッサ650との間の通信を提供することができる。ユーザは、キーボード、マウス、制御パネル、またはコントローラ600との間でデータを通信することができる任意の他のデバイスなどの、少なくとも1つのユーザインターフェースデバイス670を介してコントローラ600とインターフェースすることができる。コントローラ600は、入力/出力(I/O)インターフェース680を介して動作中に部分放電装置125と通信することができる。さらに、他の外部装置または他の回転機器が、I/Oインターフェース680を介してコントローラ600と通信することができることを理解されたい。本開示の図示する実施形態では、コントローラ600は、PD評価システム100に対して遠隔に配置することができるが、しかし、PD評価システム100と同じ場所に配置されてもよいし、PD評価システム100に統合されてもよい。さらに、コントローラ600およびそれによって実現されるプログラムされたロジック620は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。複数のコントローラ600を使用することができ、それによって本明細書で説明した異なる特徴を1つまたは複数の異なるコントローラ600で実行できることもまた理解されたい。
【0060】
本開示の例示的な実施形態によるシステム、方法、装置、およびコンピュータプログラム製品のブロック図を参照する。ブロック図のブロックのうちの少なくともいくつか、およびブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって少なくとも部分的に実行できることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、専用ハードウェアベースのコンピュータ、またはマシンを生成するための他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることができ、そのようにして、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行される命令が、ブロック図のブロックのうちの少なくともいくつか、または説明したブロック図のブロックの組み合わせの機能を実現するための手段を生成する。
【0061】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を特定の方法で機能するように命令することができるコンピュータ可読メモリに格納することもできて、そのようにして、コンピュータ可読メモリに格納された命令が1つまたは複数のブロックで指定される機能を実現する命令手段を含む製品を生産する。コンピュータプログラム命令は、一連の動作および/または操作をコンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行させてコンピュータ実行処理を生成するために、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることもできて、そのようにして、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行する命令が1つまたは複数のブロックで指定される機能を実現するための動作および/または操作を提供する。
【0062】
本明細書に記載した、システムの1つもしくは複数の構成要素および方法の1つもしくは複数の要素は、コンピュータのオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムにより実現することができる。それらはまた、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのまたはプログラム可能な家庭用電子機器、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、他のコンピュータシステム構成で実現することができる。
【0063】
本明細書に記載したシステムおよび方法の構成要素であるアプリケーションプログラムは、特定の抽象データ型を実装し、特定のタスクまたはアクションを実行するルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などを含むことができる。分散コンピューティング環境では、アプリケーションプログラム(全体としてまたは部分的に)をローカルメモリまたは他の記憶装置内に置くことができる。それに加えて、またはその代わりに、アプリケーションプログラム(全体としてまたは部分的に)をリモートメモリまたは記憶装置に置くことができ、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される状況が可能になる。
【0064】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、例示的な実施形態による例示を示す。本明細書において「実施例」とも呼ばれるこれらの例示的な実施形態は、当業者が本主題を実施できるように十分に詳細に記載されている。例示的な実施形態は組み合わせることができ、他の実施形態を用いてもよく、あるいは、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく構造的、論理的、および電気的な変更を行うことができる。したがって、上記の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、その範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって定義される。
【0065】
これらの説明に関して本明細書に記載した例示的説明についての多くの変形および他の実施形態は、上記および関連図面に提示した教示の利点を有することが理解されよう。このように、本開示は多くの形態で実施することができ、上述した例示的な実施形態に限定されるものではないことが理解されよう。
【0066】
したがって、本開示は、開示する特定の実施形態に限定されるべきではなく、変形および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図することが理解されよう。本明細書では特定の用語を使用したが、それらは、一般的で、説明的な意味のみで使用し、限定するためのものではない。
[実施態様1]
位相分解部分放電(PD)の評価のためのシステム(100)であって、
電気機器(105)の高電圧絶縁体における少なくとも1つのPDプロセスを検出し、複数のPhiqnアレイを提供するように構成された測定装置(125)と、
前記測定装置(125)に通信可能に結合された機器コントローラ(600)と、を含み、前記機器コントローラ(600)は、
前記複数のPhiqnアレイのうちの少なくとも1つに存在する少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を幾何学的形状(405)と関連付け、
前記複数のPD画像(200)内の前記幾何学的形状(405)に関連するパラメータを追跡し、
前記幾何学的形状(405)に関連する前記パラメータに基づいて、前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)に関連する放電強度を決定し、
前記放電強度に基づいて、前記高電圧絶縁体の絶縁品質を示す信号を提供するように構成される、システム(100)。
[実施態様2]
前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を幾何学的形状(405)と関連付けるように構成された前記機器コントローラ(600)は、前記Phiqnパターン(205)に適合する前記幾何学的形状(405)のタイプ、位置、および寸法を決定するようにさらに構成される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様3]
前記幾何学的形状(405)のパラメータを追跡するように構成された前記機器コントローラ(600)は、前記幾何学的形状(405)の前記位置および前記寸法の変化を追跡するようにさらに構成される、実施態様2に記載のシステム(100)。
[実施態様4]
前記幾何学的形状(405)は、前記PDプロセスのタイプに関連付けられる、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様5]
少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を幾何学的形状(405)と関連付けるように構成された前記機器コントローラ(600)は、三角形(445,465)、横長の矩形(455,460)、縦長の矩形(405,410,415,420,430)、および楕円形(435,440,450)のうちの少なくとも1つを含むリストから前記幾何学的形状(405)を選択するようにさらに構成される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様6]
前記放電強度を決定するように構成された前記機器コントローラ(600)は、前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)に関連付けられた前記幾何学的形状(405)内に位置する高周波パルスに基づいて前記放電強度を決定するようにさらに構成される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様7]
前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を前記幾何学的形状(405)と関連付けるように構成された前記機器コントローラ(600)は、学習アルゴリズムを利用して前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を前記幾何学的形状(405)と関連付けるようにさらに構成され、前記学習アルゴリズムは、Phiqnアレイの履歴および前記Phiqnアレイの履歴で識別された以前のPhiqnパターン(205)で訓練される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様8]
前記機器コントローラ(600)は、前記放電強度に基づいて、前記高電圧絶縁体の劣化率を決定するようにさらに構成される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様9]
前記高電圧絶縁体の状態を示す前記信号を提供するように構成された前記機器コントローラ(600)は、
前記幾何学的形状(405)のパラメータを、前記電気機器(105)の動作パラメータの変化または周囲条件の変化のうちの少なくとも1つに相関させ、
前記相関に基づいて、前記高電圧絶縁体の前記絶縁品質を示す前記信号を修正するようにさらに構成される、実施態様1に記載のシステム(100)。
[実施態様10]
前記機器コントローラ(600)は、
前記電気機器(105)の動作パラメータまたは周囲条件のうちの少なくとも1つに基づいて、前記放電強度のしきい値を決定し、
前記放電強度が前記しきい値を超えていることを判定し、
前記判定に基づいて、前記絶縁品質に関する警告を選択的に提供するようにさらに構成される、実施態様9に記載のシステム(100)。
[実施態様11]
位相分解部分放電(PD)の評価のための方法(500)であって、
測定装置(125)によって、1つまたは複数のPhiqnアレイを提供するステップ(502)であって、前記測定装置(125)は、高電圧絶縁体を含む電気機器(105)における少なくとも1つの部分放電(PD)プロセスを検出するように構成される、ステップ(502)と、
前記1つまたは複数のPhiqnアレイに存在する少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を、前記測定装置(125)に通信可能に結合された機器コントローラ(600)によって幾何学的形状(405)に関連付けるステップ(504)と、
前記1つまたは複数のPhiqnアレイ内の前記幾何学的形状(405)に関連するパラメータを前記機器コントローラ(600)によって追跡するステップ(506)と、
前記機器コントローラ(600)によって、前記幾何学的形状(405)の前記パラメータに基づいて、前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)に関連する放電強度を決定するステップ(508)と、
前記機器コントローラ(600)によって、前記放電強度に基づいて、前記高電圧絶縁体の絶縁品質を示す信号を提供するステップ(510)と、を含む方法(500)。
[実施態様12]
少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を幾何学的形状(405)に関連付けるステップ(504)は、前記Phiqnパターン(205)に適合する前記幾何学的形状(405)のタイプ、位置、および寸法を決定するステップを含み、
前記幾何学的形状(405)に関連する前記パラメータを追跡するステップ(506)は、前記幾何学的形状(405)の前記位置および前記寸法の変化を追跡するステップを含む、実施態様11に記載の方法(500)。
[実施態様13]
前記放電強度に基づいて、前記高電圧絶縁体の劣化率を決定するステップをさらに含む、実施態様11に記載の方法(500)。
[実施態様14]
前記幾何学的形状(405)は、前記PDプロセスの少なくとも1つのタイプに関連付けられる、実施態様11に記載の方法(500)。
[実施態様15]
前記幾何学的形状(405)は、三角形(445,465)、横長の矩形(455,460)、縦長の矩形(405,410,415,420,430)、および楕円形(435,440,450)のうちの少なくとも1つを含むリストから選択される、実施態様11に記載の方法(500)。
[実施態様16]
前記放電強度を決定するステップ(508)は、Phiqnパターン(205)に関連する前記幾何学的形状(405)内に位置する高周波パルスに基づく、実施態様11に記載の方法(500)。
[実施態様17]
前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)は、学習アルゴリズムを利用することに基づいて前記幾何学的形状(405)に関連付けられ、前記学習アルゴリズムは、Phiqnアレイの履歴および前記Phiqnアレイの履歴内で識別された以前のPhiqnパターン(205)で訓練される、実施態様11に記載の方法(500)。
[実施態様18]
前記機器コントローラ(600)によって、前記幾何学的形状(405)の前記変化を前記電気機器(105)の動作パラメータの変化または周囲条件の変化のうちの少なくとも1つに相関させるステップと、
前記機器コントローラ(600)によって、前記相関に基づいて、前記高電圧絶縁体の前記絶縁品質を示す前記信号を修正するステップと、をさらに含む、実施態様11に記載の方法(500)。
[実施態様19]
前記機器コントローラ(600)によって、前記電気機器(105)の動作パラメータの前記変化または周囲条件の前記変化のうちの少なくとも1つに基づいて、前記放電強度のしきい値を決定するステップと、
前記機器コントローラ(600)によって、前記放電強度が前記しきい値を超えていることを判定するステップと、
前記判定の結果に基づいて、前記機器コントローラ(600)によって、前記絶縁品質に関する警告を選択的に提供するステップと、をさらに含む、実施態様18に記載の方法(500)。
[実施態様20]
位相分解部分放電(PD)の評価のためのシステム(100)であって、
高電圧絶縁体を含む電気機器(105)と、
前記高電圧絶縁体における少なくとも1つのPDプロセスを検出し、一連のPhiqnアレイを提供するように構成された測定装置(125)と、
前記測定装置(125)に通信可能に結合された機器コントローラ(600)と、を含み、前記機器コントローラ(600)は、
前記Phiqnアレイの少なくとも1つに存在する少なくとも1つのPhiqnパターン(205)を幾何学的形状(405)と関連付け、前記幾何学的形状(405)は、部分放電プロセスのタイプに関連付けられ、前記幾何学的形状(405)のタイプ、位置、および寸法は、前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)に適合するように選択され、
前記幾何学的形状(405)の前記位置および前記寸法の変化を追跡することによって、一連の前記Phiqnアレイにおける前記幾何学的形状(405)に関連するパラメータを追跡し、
前記幾何学的形状(405)の前記パラメータに基づいて、前記少なくとも1つのPhiqnパターン(205)に関連する放電強度を決定し、前記放電強度は前記幾何学的形状(405)内に見られるパルスに基づいており、
前記放電強度に基づいて、前記高電圧絶縁体の劣化率を決定し、
前記放電強度に基づいて、前記高電圧絶縁体の絶縁品質を示す信号を生成し、
前記幾何学的形状(405)のパラメータの前記変化を、前記電気機器(105)の動作パラメータの変化または周囲条件の変化のうちの少なくとも1つに相関させ、
前記相関に基づいて、前記高電圧絶縁体の前記絶縁品質を示す前記信号を修正し、
前記電気機器(105)の前記動作パラメータに基づいて、前記放電強度のしきい値を決定し、
前記放電強度が前記しきい値を超えていることを判定し、
前記放電強度が前記しきい値を超えているとの前記判定の結果に基づいて、前記高電圧絶縁体の品質に関する信号を提供するように構成される、システム(100)。
【符号の説明】
【0067】
100 部分放電(PD)評価システム、PD評価システム
105 機械
110 スターポイントのPDセンサ
115 高電圧側のPDセンサ
120 接続ボックス
125 PD測定装置、部分放電装置
130 同期電圧、AC電圧
135 二重スクリーン同軸ケーブル
200 PD画像
205 Phiqnパターン
210 Phiqnパターン
300 PD画像
305 Phiqnパターン
310 Phiqnパターン
400 PD画像
405 幾何学的形状、縦長の矩形
410 幾何学的形状、縦長の矩形
415 幾何学的形状、縦長の矩形
420 幾何学的形状、縦長の矩形
425 幾何学的形状、縦長の矩形
430 幾何学的形状、縦長の矩形
435 幾何学的形状、縦長の矩形
440 幾何学的形状、縦長の矩形
445 幾何学的形状、縦長の矩形
450 幾何学的形状、縦長の矩形
455 幾何学的形状、縦長の矩形
460 幾何学的形状、縦長の矩形
465 幾何学的形状、縦長の矩形
500 方法
502 方法ブロック
504 方法ブロック
506 方法ブロック
508 方法ブロック
510 方法ブロック
600 機器コントローラ
610 メモリ
620 プログラムされたロジック
630 データ
640 オペレーティングシステム
650 プロセッサ
660 データバス
670 ユーザインターフェースデバイス
680 入力/出力インターフェース、I/Oインターフェース