(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】粉砕用ビーズ供給装置、ビーズミル及び粉砕方法
(51)【国際特許分類】
B02C 17/18 20060101AFI20231107BHJP
B02C 17/16 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B02C17/18 C
B02C17/16 B
(21)【出願番号】P 2019034846
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100158540
【氏名又は名称】小川 博生
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】松木 徳康
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-086045(JP,U)
【文献】特開昭58-020245(JP,A)
【文献】米国特許第04805841(US,A)
【文献】特開2008-259948(JP,A)
【文献】特開平09-103961(JP,A)
【文献】特開2007-320795(JP,A)
【文献】特開平01-107852(JP,A)
【文献】特開昭61-016987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00 - 7/18
15/00 - 17/24
9/00 - 11/08
19/00 - 25/00
B01J 4/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーズミルに粉砕用ビーズを供給する粉砕用ビーズ供給装置であって、
上記粉砕用ビーズを貯留するホッパーと、
上記ホッパーから上記粉砕用ビーズが投入されるビーズカップと、
上記ビーズカップに投入された上記粉砕用ビーズを掻き出して、上記ビーズカップの周縁から上記粉砕用ビーズを排出するためのブレードと、
上記ビーズカップ、上記ブレード又はこれらの組み合わせを回転させるためのモーターとを備え、
上記ホッパーが、ホッパー本体部と、上記ホッパー本体部の下端孔部に連通状として設けられるカップ投入用筒部とを有し、
上記カップ投入用筒部の排出口が上記ビーズカップの周縁より低くなるように上記ビーズカップ内に挿入される粉砕用ビーズ供給装置。
【請求項2】
上記ブレードが直角台形状の平板形状を有する請求項1に記載の粉砕用ビーズ供給装置。
【請求項3】
上記ブレードが、上記ビーズカップに固定されていない、又は上記ビーズカップに一体化されていない請求項1又は請求項2に記載の粉砕用ビーズ供給装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の粉砕用ビーズ供給装置を備えるビーズミル。
【請求項5】
ビーズミル及びこのビーズミルに粉砕用ビーズを供給する装置を用いて被粉砕物を粉砕する方法であって、
一定量の上記粉砕用ビーズを上記ビーズミルに連続的に供給しながら上記被粉砕物を粉砕する工程を備え、
上記粉砕する工程で
、ビーズカップに投入された上記粉砕用ビーズを掻き出して、上記ビーズカップの周縁から一定量の上記粉砕用ビーズを供給し、
上記粉砕用ビーズを供給する装置が、
上記粉砕用ビーズを貯留するホッパーと、
上記ホッパーから上記粉砕用ビーズが投入されるビーズカップと、
上記ビーズカップに投入された上記粉砕用ビーズを掻き出して、上記ビーズカップの周縁から上記粉砕用ビーズを排出するためのブレードと、
上記ビーズカップ、上記ブレード又はこれらの組み合わせを回転させるためのモーターとを備え、
上記ホッパーが、ホッパー本体部と、上記ホッパー本体部の下端孔部に連通状として設けられるカップ投入用筒部とを有し、
上記カップ投入用筒部の排出口が上記ビーズカップの周縁より低くなるように上記ビーズカップ内に挿入される
ものである、粉砕方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕用ビーズ供給装置、ビーズミル及び粉砕方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィラー、顔料、感光剤、電子材料、カーボンナノチューブ、各種植物用細胞、金属粉、無機物、有機物などの原料の粉砕には、回転ローター等を用いたビーズミルが用いられている。このようなビーズミルは、ビーズを充填したミル内部に被粉砕物を通過させ、ビーズ、ミル内部、被粉砕物が衝突する際のせん断力で被粉砕物を粉砕する装置である。
【0003】
上記ビーズミルにおいては、作業員が粉砕処理品の品質、ビーズミルへの負荷(電力量)を確認しながら、消耗したビーズを補充するために一定量のビーズを供給する方法が取られている。従来、このような手動による作業を簡素化するために、ミルに充填されたビーズの消費量を検出し、消費量が一定量に達するごとに、予め設定した時間にビーズをミルに供給することで、摩耗したビーズを補填する技術が提案されている(実開平3-86045号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、圧搾空気によりビーズをビーズミルに移送し、バルブでビーズの供給量を制御するため、移送中におけるビーズの詰まりが生じやすくなり、バルブに噛み込んだビーズが破損するおそれがある。また、移送するビーズは重量物であるため、細かな制御が難しく、トラブル発生時においては復旧作業が繁雑となり、多くの時間を要するおそれがある。
【0006】
また、ビーズを投入すると、ビーズミルの粉砕負荷が一次的に大きくなる。粉砕中、ビーズを投入するまでの間は、ビーズが摩耗し減量するため、粉砕処理品の平均粒径、粒度分布等の品質を確認しながら、粉砕負荷を変更する必要があり、ある一定量の負荷を超えるとビーズを供給し、摩耗による減量分を補充して、品質を確認しながら負荷を下げる手段が必要となる。そのため、品質確認と負荷を変更するタイムラグが生じ、その間に品質の変動が生じるおそれがある。また、上記タイムラグの間は、粉砕負荷に対してビーズが過剰に供給されている状態で粉砕が行われるため、ビーズの摩耗が促進されるおそれがある。さらに、ビーズの供給を手動により行うことで、特に大量かつ多段で粉砕処理品を製造する工場では、管理するミルの台数やビーズの種類が多くなることから、ビーズミルによる粉砕時の作業負担が過度に増大するおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、ビーズミルによる粉砕時の作業負担を軽減するとともに、被粉砕物の品質向上を図ることができる粉砕用ビーズ供給装置、ビーズミル及び粉砕方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、ビーズミルに粉砕用ビーズを供給する粉砕用ビーズ供給装置であって、上記粉砕用ビーズを貯留するホッパーと、上記ホッパーから上記粉砕用ビーズが投入されるビーズカップと、上記ビーズカップに投入された上記粉砕用ビーズを掻き出して、上記ビーズカップの周縁から上記粉砕用ビーズを排出するためのブレードと、上記ビーズカップ、上記ブレード又はこれらの組み合わせを回転させるためのモーターとを備える粉砕用ビーズ供給装置である。
【0009】
当該粉砕用ビーズ供給装置においては、モーターがビーズカップ、ブレード又はこれらの組み合わせを回転させて、上記ブレードがホッパーからビーズカップに投入された粉砕用ビーズを掻き出すことで、ビーズカップの周縁から粉砕用ビーズが排出される。そのため、ビーズミルによる粉砕時に摩耗して減量される粉砕用ビーズを、自動的に安定して一定量を供給することができる。従って、ビーズミルによる粉砕時の作業負担を軽減するとともに、ビーズの摩耗による被粉砕物の品質の不安定化を抑制でき、被粉砕物の品質向上を図ることができる。
【0010】
上記ブレードが直角台形状の平板形状を有することが好ましい。上記ブレードが直角台形状の平板形状を有することで、粉砕用ビーズの流動性が向上し、ビーズカップ、ブレード又はこれらの組み合わせをスムーズに回転できる。
【0011】
上記ブレードが、上記ビーズカップに固定されていない、又は上記ビーズカップに一体化されていないことが好ましい。ブレードがビーズカップに固定されていないか、又は一体化されていないことで、ビーズカップ、ブレード又はこれらの組み合わせをそれぞれ単独で回転させて、ビーズカップに投入された粉砕用ビーズを掻き出すことができる。
【0012】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該粉砕用ビーズ供給装置を備えるビーズミルである。従って、当該ビーズミルによれば、当該粉砕用ビーズ供給装置を備えることで、一定量の粉砕用ビーズが自動的に供給されるので、粉砕時に摩耗して減量される粉砕用ビーズを安定して補充できる。従って、粉砕用ビーズを用いた粉砕におけるビーズミルによる粉砕時の作業負担を軽減するとともに、被粉砕物の品質向上を図ることができる。
【0013】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、ビーズミル及びこのビーズミルに粉砕用ビーズを供給する装置を用いて被粉砕物を粉砕する方法であって、一定量の上記粉砕用ビーズを上記ビーズミルに連続的に供給しながら上記被粉砕物を粉砕する工程を備える粉砕方法である。
【0014】
上述のように、ビーズミルによる粉砕では、粉砕用ビーズは運転時間と共に摩耗し、減量する。
図1は、ビーズミルにおけるビーズ供給量と消費電力との関係を模式的に示すグラフである。一般的にビーズが摩耗してビーズミル内部のビーズ量が減少してくると粒度が粗く、かつ粒度分布が幅広くなって均一な粉砕ができなくなる。そこで、一定時間ごとに被粉砕物の粒度分布を測定して、平均粒径が所定の基準内に収まるように、主にビーズミルの回転数を上げることで、粉砕負荷を上昇させて、粗くなってきた粒度の調整を行う。ビーズミルの回転数を上げると、
図1に示すように、電力消費量が上がることになる。ビーズミルの回転数を上げることで、ビーズミル内部、粉砕用ビーズ、被粉砕物の相互の衝突回数が増えるため、ビーズミル内部や粉砕用ビーズの摩耗がさらに促進されてしまうおそれもある。
また、必要以上に粉砕用ビーズが減量すると、エネルギーが過剰に消費され、被粉砕物の平均粒径や粒度分布等の品質を維持できなくなるため、減量分のビーズを補充する必要がある。このように、粉砕負荷を上げている状況で間欠的にビーズを補充する場合、減量した分のビーズが一気にビーズミル内部に充填されてしまうため、過負荷となってしまう状況となる。さらに、粉砕用ビーズの補充直後は、粉砕用ビーズが過剰に存在することにより、ビーズの摩耗が促進されたり、粒度基準を外れる等、一定の品質を維持できないおそれもある。また、ビーズの消耗に応じてビーズミルの粉砕負荷を上昇させるため、電力消費量が上昇するおそれがあった。
従って、短い間隔で粉砕用ビーズを少量ずつ添加することで、より被粉砕物の品質管理が向上できると考えられる。一方、手作業により短い間隔で粉砕用ビーズを少量ずつ添加することは、作業工程が非常に繁雑となり、作業負担が過度に増大するおそれがある。当該粉砕方法によれば、当該粉砕用ビーズ供給装置を用いることで、粉砕工程中に粉砕用ビーズの摩耗量に応じて、一定量の粉砕用ビーズを安定して連続的にビーズミルに供給することができる。従って、当該粉砕方法によれば、ビーズミルによる粉砕時の作業負担を軽減するとともに被粉砕物の品質向上を図ることができる。また、ビーズミルによる粉砕工程における省エネルギー化を図ることができる。
【0015】
当該粉砕方法において、上記粉砕用ビーズ供給装置は、上記粉砕用ビーズが投入されるビーズカップを備え、上記粉砕工程で、上記ビーズカップに投入された上記粉砕用ビーズを掻き出して、上記ビーズカップの周縁から一定量の上記粉砕用ビーズを供給することが好ましい。このように、上記粉砕工程で、上記ビーズカップに投入された上記粉砕用ビーズを掻き出して、上記ビーズカップの周縁から一定量の上記粉砕用ビーズを供給することで、簡易かつコンパクトな装置構成で、一定量の粉砕用ビーズを安定して連続的にビーズミルに供給することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の粉砕用ビーズ供給装置、ビーズミル及び粉砕方法によれば、ビーズミルによる粉砕時の作業負担を軽減するとともに被粉砕物の品質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】従来技術におけるビーズミルにおけるビーズ供給量と消費電力との関係を模式的に示すグラフである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る粉砕用ビーズ供給装置の概略断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る粉砕用ビーズ供給装置のブレードの概略正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る粉砕用ビーズ供給装置によるビーズの供給原理を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る粉砕用ビーズ供給装置におけるブレードの設置角度の変更を説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るビーズミルにおけるビーズ供給量と消費電力との関係を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る粉砕用ビーズ供給装置、ビーズミル及び粉砕方法について詳説する。
【0019】
<粉砕用ビーズ供給装置>
当該粉砕用ビーズ供給装置は、ビーズミルに粉砕用ビーズを供給する粉砕用ビーズ供給装置である。当該粉砕用ビーズ供給装置は、ビーズミルによる粉砕における粉砕用ビーズの消耗に応じて一定量の粉砕用ビーズを安定して供給することで、粉砕中に摩耗、減量した粉砕用ビーズを補填することができる。
図2は、当該粉砕用ビーズ供給装置の概略断面図である。
図2に示すように、粉砕用ビーズ供給装置1は、例えば「粉砕方法」として後述する方法において使用することができる。本実施形態における粉砕用ビーズ供給装置1は、粉砕用ビーズ8を貯留するホッパー2と、ホッパー2の下に配置されるビーズカップ3と、粉砕用ビーズ8を掻き出すブレード10と、ビーズカップ3を回転させるためのモーター7とを備える。
【0020】
粉砕用ビーズ8の材質としては、特に限定されず、例えば、スチール、クロム合金などの高硬度金属、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、チタニアなどの高硬度セラミックス、ガラス等公知のものを被粉砕物の特性に併せて選択することができる。
【0021】
粉砕用ビーズ8は、一般的には個々が球状に形成されており、粉砕用ビーズ8の平均粒径としては特に限定されないが、被粉砕物の平均粒径及び粒度に応じて選択される。上記平均粒径としては、例えば0.05mm以上、10mm以下である。
【0022】
ホッパー2は、粉砕用ビーズ8を貯留する。ホッパー2は、上方開口状であって、底部が凹状かつ略円錐状の底面を有するホッパー本体部2aと、ホッパー本体部2aの下端孔部に連通状として設けられるカップ投入用筒部2bとを備える。粉砕用ビーズ8をビーズカップ3に投入する場合、カップ投入用筒部2bの排出口がビーズカップ3内に挿入される。そして、ホッパー2に貯留された粉砕用ビーズ8がカップ投入用筒部2bからビーズカップ3に投入される。粉砕用ビーズ8は、カップ投入用筒部2bの排出口の高さに達すると、ホッパー2からの粉砕用ビーズ8の供給は自然に停止する。カップ投入用筒部2bの排出口がビーズカップ3内に挿入され、カップ投入用筒部2bの排出口をビーズカップ3の周縁より低くすることで、粉砕用ビーズ8はカップ投入用筒部2bの排出口の高さに達すると、ホッパー2からの粉砕用ビーズ8の供給は自然に停止する。
【0023】
カップ投入用筒部2bの外周には径方向に向かって突出する環状のブレード固定用プレート14が設けられている。
【0024】
ビーズカップ3は、ホッパー2から粉砕用ビーズ8が投入される。粉砕用ビーズ8の充填量は、充填される粉砕用ビーズ8の平均粒径にもよるが、粉砕用ビーズ8の供給量の安定性の観点から、充填された粉砕用ビーズ8の最上面の高さからビーズカップ3の上端部の高さまでの距離が0mm以上20mm以下の範囲であることが好ましく、1mm以上10mm以下の範囲であることがより好ましい。
【0025】
ビーズカップ3に挿入されたカップ投入用筒部2bの排出口の高さと、ビーズカップ3の周縁の高さとの差であるカップ投入用筒部2bの挿入深さとしては、1mm以上20mm以下が好ましい。カップ投入用筒部2bの排出口の位置が高く、ビーズカップ3の周縁との挿入深さが1mm未満の場合、粉砕用ビーズ8がオーバーフローしてしまうおそれがある。一方、カップ投入用筒部2bの排出口の位置が低く、ビーズカップ3の周縁との挿入深さが20mm超の場合、カップ投入用筒部2bの排出口のレベル面でホッパー2からの粉砕用ビーズ8の供給は停止するが、粉砕用ビーズ8の掻き出し量が十分得られないおそれがある。カップ投入用筒部2bの排出口の高さとビーズカップ3の周縁の高さとの挿入深さが上記範囲であることで、粉砕用ビーズ8がビーズカップ3に投入されず、ホッパー2内に滞留してしまうことを抑制できる。
【0026】
ビーズカップ3は、モーター7の回転軸6によって回動可能に支持されている。ビーズカップ3の形状は、ブレード10により粉砕用ビーズ8を効率よく掻き出す観点から、有底筒状が好ましい。また、ビーズカップ3の底面は、特に限定されず、平板状でもよいし、湾曲していてもよい。
【0027】
当該粉砕用ビーズ供給装置1は複数のブレード10を備える。ビーズカップ3が回転することで、ブレード10はビーズカップ3に投入された粉砕用ビーズ8を掻き出して、ビーズカップ3の周縁からビーズカップ3の外へ粉砕用ビーズ8を排出する。
【0028】
ブレード10の形状としては、特に限定されないが、例えば直角台形状、長方形、直角三角形、ホームベース型等が挙げられる。また、それぞれの形状において角が円弧状の形状でも良い。これらの中でも、直角台形状の平板形状を有することが好ましい。ブレード10が直角台形状の平板形状を有することで、効率よく一定量の粉砕用ビーズ8を供給することができる。
【0029】
図3は、ブレード10の概略正面図である。
図3に示すブレード10は、正面視で上底10aと、この上底10aより長く、上底10aと平行な下底10bと、上底10a及び下底10bをつなぐ斜辺とを備える直角台形の形状を有する。当該粉砕用ビーズ供給装置1においては、上底10aが外周側に位置し、下底10bが内周側に位置する。
【0030】
直角台形状のブレード10は、ブレード装着用ボルト12にネジ16及びネジ17で固定されている。ブレード10が固定されたブレード装着用ボルト12は、一組のナット13によりホッパー2のカップ投入用筒部2bに設けられたブレード固定用プレート14に固定される。ブレード10は、外周側の上底10a及び内周側の下底10bがモーター7の回転軸6に平行になるようにブレード固定用プレート14に固定される。このように、当該粉砕用ビーズ供給装置1には、複数のブレード10が、周方向に沿って間隔をおいて設けられている。ブレード10はビーズカップ3に装着させてもよいが、本実施形態のように、ブレード10が、ビーズカップ3に固定されていないか、又はビーズカップ3に一体化されていないことが好ましい。ブレード10が、ビーズカップ3に固定されていないか、又はビーズカップ3に一体化されていないことで、ビーズカップ3、ブレード10又はこれらの組み合わせをそれぞれ単独で回転させることができる。従って、後述するように、ビーズカップ3とブレード10とをそれぞれ独立して回転させてビーズカップ3に投入された粉砕用ビーズ8を掻き出すこともできる。
【0031】
ブレード10の材質としては、例えば鉄、ステンレス、セラミック、プラスチック等が挙げられる。
【0032】
ブレード10の枚数としては、例えば1枚以上4枚以下が挙げられる。なお、ジルコニアビーズ等比重の高い粉砕用ビーズ8を使用する場合は、ブレード10の掻き出し能力を高めるためにブレード10の枚数を適宜増やしてもよい。本実施形態においては、1枚~3枚のブレード10がブレード固定用プレート14に固定されている。なお、ブレード10の枚数を過剰に増やした場合、ブレード10間における粉砕用ビーズ8の流動性が低下し、掻き出し能力が低下するおそれがある。
【0033】
ビーズカップ3が有底筒状であり、ブレード10の形状が直角台形の場合、ビーズカップ3の深さに対するブレード10のビーズカップ挿入深さの比としては、0.2以上0.8以下が好ましい。ここで、ブレード10の挿入深さは、ビーズカップ3に挿入されたブレード10の先端部、すなわち最下端部の高さと、ビーズカップ3の周縁の高さとの差である。ビーズカップ3の深さに対するブレード10の挿入深さの比が上記範囲であることで、効率よく一定量の粉砕用ビーズ8を供給することができる。
【0034】
ビーズカップ3が有底筒状であり、ブレード10の形状が直角台形の場合、ビーズカップ3内に充填されたビーズ上面から挿入されたブレード10の下底10bの先端部までの距離(充填ビーズへの挿入深さ)としては、2.5mm以上30mm以下が好ましい。上記充填ビーズへの挿入深さが2.5未満の場合、粉砕用ビーズ8に対する掻き出し能力が低下するおそれがある。上記充填ビーズへの挿入深さが30mmを超えると、撹拌される粉砕用ビーズ8の量が多くなり過ぎて、撹拌に係る負荷が上昇し、当該粉砕用ビーズ供給装置1が破損するおそれがある。また、ビーズカップ3の底面とのクリアランスが狭くなった場合は、粉砕用ビーズ8が、ブレード10とビーズカップ3との底面との間に噛み込み、粉砕用ビーズ8や当該粉砕用ビーズ供給装置1の破損が生じるおそれがある。
【0035】
ビーズカップ3とブレード10との隙間を示すビーズカップ3の内壁とブレード10の外周側端部である上底10aとの最短長さの範囲としては、粉砕用ビーズ8の上記平均粒径に対して1.5倍以上4倍以下が好ましい。ビーズカップ3の内壁とブレード10の側壁との最短長さが上記範囲であることで、一定量の粉砕用ビーズ8を安定して供給することができる。ビーズカップ3の内壁とブレード10の側壁との最短長さが上記平均粒径に対して1.5倍未満の場合、粉砕用ビーズ8がブレード10とビーズカップ3との間に噛み込むことによる粉砕用ビーズ8の破損や、過剰な負荷が掛かることによるモーター等の設備の故障が発生したりするおそれがある。ビーズカップ3の内壁とブレード10の側壁との最短長さが上記平均粒径に対して4倍超の場合、粉砕用ビーズ8の十分な供給量が得られないおそれがある。
【0036】
モーター7は、減速機5を介して回転自在に支持されている回転軸6が取り付けられている。モーター7は、減速機5を介して回転軸6を回転駆動することでビーズカップ3を回転させる。上述したように、モーター7は、減速機5を介して回転軸6を回転駆動することで、モーター7を一定の回転速度で回転させ、減速機5でビーズカップ3の回転速度(回転数)を調節することができる。
【0037】
ビーズカップの回転数としては、0.5回/分以上20回/分以下が好ましい。ビーズカップの回転数が0.5回/分以下の場合、粉砕用ビーズ8の安定且つ十分な供給量が得られないおそれがある。上記ビーズカップ回転数が20回/分以上の場合、粉砕用ビーズ8がビーズカップ周辺部より飛び出し粉砕用ビーズの供給量の調整が困難になるおそれがある。
【0038】
桶4は、粉砕用ビーズ8の通路となる供給口19を有し、底面が供給口19に向けて下方に傾斜する。
【0039】
図4は、粉砕用ビーズ供給装置1による粉砕用ビーズ8の供給原理を説明する図である。
図4に示すように、ブレード10は、ビーズカップ3に投入された粉砕用ビーズ8内に埋め込まれる。ビーズカップ3における粉砕用ビーズ8の充填量は、ブレード10を埋め込んでもビーズカップ3からこぼれない量に調整される。粉砕用ビーズ供給装置1は、ビーズカップ3を回転させる事によって、ビーズカップ3内部に充填された粉砕用ビーズ8がオーバーフローする。そして、粉砕用ビーズ8は桶4に落下し、底面がビーズミル20の方向へ傾斜する樋に沿って粉砕用ビーズ8の通路となる供給口19へ移動し、ビーズミル20内部へと供給される。
【0040】
粉砕用ビーズ供給装置1においては、掻き出された粉砕用ビーズ8の減量分は、ホッパー2から自然落下により随時、粉砕用ビーズ8は、カップ投入用筒部2bの排出口の高さに達するまで補充されることになる。
【0041】
当該粉砕用ビーズ供給装置1は、上記モーター7の回転速度を制御する図示しない制御機構を有している。上記制御機構は、従来公知のコンピュータシステムを用いることができる。
【0042】
上述したように、ビーズミル20への粉砕用ビーズ8の供給量は、粉砕用ビーズ8が充填されたビーズカップ3におけるブレード10の挿入深さを調整することにより増減することができる。また、上記制御機構を用いてビーズカップ3の回転数を制御することにより増減することができる。さらに、ブレード10の設置角度の変更によりビーズカップ3の内壁と挿入されたブレード10とのクリアランスを調整することによっても、粉砕用ビーズ8の供給量を増減することができる。ここで、上記ビーズカップ3の内壁とブレード10のクリアランスとは、ビーズカップ3の内壁とブレード10の外周側最短部との最短距離をいう。
【0043】
図5は、ブレード10の設置角度の変更を説明するための図である。
図5に示すように、ブレード10の設置角度は、例えばブレード10の外周側最短部を周方向に沿って移動させることで変更できる。
図5に示すL1は、ブレード10の移動前におけるビーズカップ3の内壁とブレード10とのクリアランスを示し、L2は、ブレード10の移動後におけるビーズカップ3の内壁とブレード10とのクリアランスを示す。上記ビーズカップ3の内壁とブレード10とのクリアランスは、供給する粉砕用ビーズ8の平均粒径の1.5倍以上4倍以下に設定するが好ましく、粉砕用ビーズ8の平均粒径の1.5倍以上3倍以下に設定するのがより好ましい。上記クリアランスが粉砕用ビーズ8の平均粒径の1.5倍未満の場合には、ビーズカップ3の内壁とブレード10との間に粉砕用ビーズ8が噛み込み、粉砕用ビーズ8の破損や装置の破損が生じるおそれがある。上記クリアランスが粉砕用ビーズ8の平均粒径の4倍を超えると、粉砕用ビーズ8の掻き出しが不安定になり、ビーズを掻き出せなくなるおそれがある。
【0044】
当該粉砕用ビーズ供給装置1が粉砕用ビーズ8を供給するビーズミル20は、特に限定されることはなく、公知のビーズミルが対象となる。例えば、ボール、ビーズ等の粉砕媒体を充填したミルを、撹拌棒、回転ディスク等によって強制的に攪拌することにより、粉砕を行う装置が挙げられる。また、ビーズミル20は、縦型及び横型のいずれであってもよい。
【0045】
当該粉砕用ビーズ供給装置によれば、ビーズミルによる粉砕時に摩耗して減量される粉砕用ビーズを、自動的に安定して一定量を供給することができる。従って、ビーズミルによる粉砕時の作業負担を軽減するとともに、ビーズの摩耗による被粉砕物の品質向上を図ることができる。
【0046】
また、当該粉砕用ビーズ供給装置は、大気開放型であり、自然落下によりホッパーから粉砕用ビーズを供給するため、装置構造が簡単でメンテナンス性が良好であり、ビーズが管内に詰まる等のトラブルが生じ難いが、万一詰まりが生じた場合でも、速やかに詰まりが除去でき、装置の復旧が早い効果がある。
【0047】
<ビーズミル>
当該ビーズミル20は、上述の当該粉砕用ビーズ供給装置1を備える。ビーズミル20は、容器内に、回転可能な粉砕用ローターを配置したものである。そして、容器に粉砕用ビーズ8、被粉砕物を入れ、粉砕用ローターを回転させることで粉砕用ビーズ8により被粉砕物が粉砕される。当該ビーズミル20によれば、当該粉砕用ビーズ供給装置1を備えることで、一定量の粉砕用ビーズ8が自動的に供給されるので、粉砕時に摩耗して減量される粉砕用ビーズ8を安定して補充できる。従って、粉砕用ビーズ8を用いた粉砕におけるビーズミルによる粉砕時の作業負担を軽減するとともに、被粉砕物の品質向上を図ることができる。
【0048】
<粉砕方法>
本発明の一実施形態に係る粉砕方法は、ビーズミル及び上述の当該粉砕用ビーズ供給装置を用いて被粉砕物を粉砕する方法である。当該粉砕方法は、一定量の上記粉砕用ビーズを上記ビーズミルに連続的に供給しながら上記被粉砕物を粉砕する工程を備える。
【0049】
当該粉砕方法は、ビーズミル及びこのビーズミルに粉砕用ビーズを供給する装置を用いて被粉砕物を粉砕する方法である。
【0050】
<粉砕工程>
粉砕工程は、一定量の上記粉砕用ビーズを上記ビーズミルに連続的に供給しながら上記被粉砕物を粉砕する。また、上記粉砕用ビーズ供給装置が、上記粉砕用ビーズが投入されるビーズカップを備え、上記粉砕工程で、上記ビーズカップに投入された上記粉砕用ビーズを掻き出して、上記ビーズカップの周縁から一定量の上記粉砕用ビーズを供給することが好ましい。当該粉砕方法は、ビーズミル及び当該粉砕用ビーズ供給装置を用いて一定量の上記粉砕用ビーズを摩耗量に応じて、連続的にビーズミルに供給する。
【0051】
図6は、当該粉砕方法におけるビーズ供給量と消費電力との関係を模式的に示すグラフである。
図6に示すように、当該粉砕方法においては、粉砕に要する電力の変動を抑制して運転するため、被粉砕物の品質が安定するとともに、電力費を抑制でき、省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
当該粉砕方法によれば、当該粉砕用ビーズ供給装置を用いることで、粉砕工程中に粉砕用ビーズの摩耗量に応じて、一定量の粉砕用ビーズを安定して連続的にビーズミルに供給することができる。従って、当該粉砕方法によれば、ビーズミルによる粉砕時の作業負担を軽減するとともに被粉砕物の品質向上を図ることができる。また、ビーズミルによる粉砕工程における省エネルギー化を図ることができる。また、粉砕用ビーズの摩耗が抑制されるため、結果的に粉砕用ビーズの使用量を削減でき、ビーズミル本体内部の摩耗も抑制できるため、ビーズミルのメンテナンス性が向上する。
【0053】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0054】
上記実施形態においては、モーターがビーズカップを回転させることにより、ビーズカップの周縁から上記粉砕用ビーズを排出していたが、モーターがブレードを回転させることにより、ビーズカップの周縁から上記粉砕用ビーズを排出するようにしてもよい。また、ビーズカップ及びブレードの双方を回転させることにより、ビーズカップの周縁から上記粉砕用ビーズを排出するようにしてもよい。
【0055】
上記実施形態においては、ビーズミルによる粉砕中に、連続的に一定量のビーズを供給する構成を示していたが、一定時間毎に間欠的に一定量のビーズを供給するようにしてもよい。
【0056】
当該粉砕用ビーズ供給装置は、ホッパー上部、ビーズカップ上部、樋は、異物混入防止を目的に脱着可能なカバーを取り付けても良い。
【実施例】
【0057】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0058】
[実施例1]
ビーズ供給装置のビーズカップに対するホッパーカップ投入用筒部の挿入深さが1mmになるようにホッパーの位置を調整し、セラミックス製ビーズ(平均粒径3mm)をビーズカップに充填し、ビーズカップの充填面とホッパー投入部筒部の底面が同一面になるように(ビーズカップ上面より1mmの深さ)に設定した。次に、直角台形のブレード1枚をビーズカップに対する挿入深さが11mmになるように挿入し、ブレードの角度を調整してビーズカップ内壁とブレードのクリアランスを粉砕用ビーズの平均粒径の2倍の6mmになるように設定し、ブレードを固定した。
【0059】
次に、ホッパー内に任意の量のビーズを充填した。ホッパー内にビーズを充填しても、ビーズカップより粉砕用ビーズが溢れることは無く、ビーズカップより排出された分だけ、ホッパーよりビーズが供給されることを確認した。ビーズカップ回転数を12.4回/分で回転させ、ビーズカップから粉砕用ビーズを排出させて、樋にビーズを供給し、ビーズ供給量を実測した。
【0060】
[実施例2~実施例6]
実施例2は、実施例1のビーズカップに対する挿入深さ11mmを23mmに変更した以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
実施例3は、実施例2のブレードの設置角度を変更し、ビーズカップ内壁とブレードのクリアランスを5.5mm(平均粒径の1.83倍)になるよう調整した以外は、実施例2と同様の条件で実施した。
実施例4は、ブレードの枚数を2枚に増やした以外は、実施例2と同様の条件で実施した。
実施例5は、ブレードの枚数を3枚に増やした以外は、実施例2と同様の条件で実施した。
実施例6は、実施例1のブレードの設置角度を変更し、ビーズカップ内壁とブレードのクリアランスを5.5mm(平均粒径の1.83倍)になるよう調整した以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
【0061】
実施例1~実施例6の具体的な条件を表1に示す。なお、ビーズミルへの粉砕用ビーズの供給量は、実施例1の供給量を1.00とした場合の割合で示している。
【0062】
【0063】
[粉砕用ビーズ供給装置の評価]
(粉砕用ビーズの破損)
試験終了後のビーズカップ内及び排出されたビーズを回収し、8メッシュ(目穴約2mm)の篩を用いて篩分けを行った。3mmのビーズを使用しているため、破損したビーズの欠片は篩の目穴から排出されることから、破損して排出されたビーズの有無を確認した。評価基準としては、異常なしは、破損がみられない場合を「異常なし」とし、破損して粉砕用ビーズが篩から排出された場合を「異常あり」とした。
【0064】
(粉砕用ビーズのビーズミルへの供給安定性)
粉砕用ビーズを一定時間ビーズカップから排出させ、定期的に5分間に排出された粉砕用ビーズの質量を実測し、質量の変動を確認した。質量変動が5%以内の場合に安定していると判断した。また、目視にて、ビーズカップの内壁とブレードとの隙間での詰まり、ビーズカップから樋へビーズが排出された際の樋の外への飛び出しの有無、樋でのビーズの転がりの停止や詰まりの有無を目視にて確認した。
【0065】
表1に示すように、実施例1~実施例6のいずれにおいても、粉砕用ビーズの破損が見られなかった。また、実施例1~実施例6のいずれにおいても、ビーズカップの内壁とブレードとの隙間での詰まり、ビーズカップから樋へビーズが排出された際の樋の外への飛び出し、及び樋でのビーズの転がりの停止や詰まりが生じることはなく、一定量の粉砕用ビーズを安定して供給できた。
このように、実施例のブレードの差込み深さ、ブレードの枚数、ビーズカップ内壁とブレードの隙間を調整することで、所望の供給量の粉砕用ビーズを破損なく、安定して供給できることが確認できた。
【0066】
[ビーズミルへの供給試験]
次に、上記実施例6の条件にて当該粉砕用ビーズ供給装置を用いて実用粉砕機(ビーズミル)に適用し、粉砕用ビーズを手投入で行う比較例1と共に粉砕用ビーズの供給試験を実施した。具体的には、被粉砕物の製造工程において並列に設置されている2台の粉砕機の内、一方の粉砕機はビーズ供給装置を用いて連続的にビーズを供給する方法を取った。もう一台は、従来の方法どおり、作業員が間欠で粉砕用ビーズを供給する方法を取った。粉砕用ビーズ供給装置を用いて粉砕用ビーズ連続供給する粉砕機では、間欠でビーズを供給する場合の供給量から単位時間当りの粉砕用ビーズの供給量を算出し、粉砕用ビーズ供給装置における粉砕用ビーズ供給量を設定し、被粉砕物の品質(粒子径)、粉砕機の電力値を確認しながら、粉砕用ビーズ供給量を調整(供給量を削減)した。なお、上記単位時間当りの粉砕用ビーズの供給量を算出にあたっては、ホッパー内に貯留させたビーズ重量を実測しておき、ホッパーが空になった時点の時間から単位時間当りの粉砕用ビーズの供給量実測値との差異が無い事を確認した。
【0067】
被粉砕物の品質が安定した事を確認後、粉砕用ビーズの供給量を固定し、7日間の連続操業を行い、ビーズミルの電力値、ビーズミルの電力値の変動、被粉砕物の品質の安定性を確認した。
【0068】
(粉砕用ビーズの投入量)
実施例:単位時間当たりのビーズ供給量を実測した。
比較例:1回のビーズ供給量と次回供給までの時間で除して、単位時間当たりのビーズ供給量を算出した。表2に、比較例のビーズ単位時間当たりの使用量を100とした時の実施例における単位時間当たりの使用量を示す。
【0069】
(電力使用量)
電力値は、各粉砕機に備え付けている電流計の記録データを基に7日間の積算値、平均値を求めた。電力使用量は、計器で表示される粉砕機の電力値(kw/h)の平均値を算出し、比較例の電力値を100とした時の実施例における電力値を表2に示す。
【0070】
(電力使用量の変動)
上記電力使用量のデータを基に標準偏差を求めた。比較例の電力値の標準偏差を1とした時の実施例の標準偏差を表2に示す。
【0071】
(被粉砕物の品質安定性)
被粉砕物の品質安定性は、被粉砕物の平均粒子径の変動により評価した。被粉砕物の平均粒子径の変動については、各粉砕機出口の被粉砕物を1回/4時間の頻度でレーザー回折法粒度分布計(マイクロトラックMT-3300II:マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定し、被粉砕物の平均粒子径の平均値と標準偏差を求めた。表2に、比較例の粒子径の標準偏差を1とした時の実施例の標準偏差を示す。
【0072】
(粉砕用ビーズの供給回数)
実施例6及び比較例1の粉砕用ビーズの供給回数を計測した。作業員が間欠的に手作業で粉砕用ビーズをビーズミルへ供給する比較例1では、作業員が8時間毎に供給量を計測した上で投入した回数を計測した。一方、粉砕用ビーズ供給装置を用いる実施例6では、作業員が粉砕用ビーズを手作業でホッパーに供給した回数を計測した。
【0073】
結果を表2に示す。
【0074】
【0075】
表2に示すように、粉砕用ビーズの投入量においては、実施例6の結果から、ビーズを連続供給することで、ビーズ使用量が半減していることがわかる。電力使用量においては、実施例6の結果から、当該粉砕用ビーズ供給装置を用いて粉砕用ビーズを連続供給させることで、ビーズミルの省エネが図れたことがわかる。電力使用量の変動においては、実施例6の結果から、電力値の変動が少なくなり、安定した粉砕機の運転ができたことがわかる。また、被粉砕物の平均粒子径の変動においては、実施例6の結果から、当該粉砕用ビーズ供給装置を用いることで、粒子径の変動が抑制され、被粉砕物の品質の安定化が図れたことがわかる。さらに、粉砕用ビーズの供給回数においては、比較例1では間欠的に作業員が手作業で供給していたため、1日当たりの供給回数が多く、作業員の負担が大きいことが示された。一方、粉砕用ビーズ供給装置を用いた場合は、ホッパーの容積から、2日に1回の割合で粉砕用ビーズをホッパーに充填するだけで十分であった。また、ホッパーの容積を増やすとビーズの供給回数は更に削減でき、作業性も大きく向上できることが確認できた。
【0076】
以上の結果から、当該粉砕用ビーズ供給装置は、粉砕時の作業負担を軽減するとともに被粉砕物の品質向上を図ることができることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の粉砕用ビーズ供給装置、ビーズミル及び粉砕方法は、被粉砕物の粉砕に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 粉砕用ビーズ供給装置
2 ホッパー
2a ホッパー本体部
2b カップ投入用筒部
3 ビーズカップ
4 桶
5 減速機
6 回転軸
7 モーター
8 粉砕用ビーズ
10 ブレード
10a ブレードの上底
10b ブレードの下底
12 ブレード装着用ボルト
13 ナット
14 ブレード固定用プレート
16 ネジ
17 ネジ
19 供給口
20 ビーズミル