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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019065889
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2019182552
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2018077690
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】白井 直人
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-217217(JP,A)
【文献】特開2015-199497(JP,A)
【文献】実開平07-009773(JP,U)
【文献】特開2003-040283(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0272629(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を用いて袋状に形成されており、
物品を収容する収容空間を形成する収容部を備え、収容空間に物品が収容された状態で該物品が加熱される電子レンジ加熱用の包装袋であって、
物品が収容されない非収容空間を形成すると共に収容部からの気体の流入が遮断されている非収容部を備え、
前記包装袋は、対向するように配置される一対の対向シート部を備えており、
前記非収容部は、前記一対の対向シート部における一方向の両端部において、前記一対の対向シート部の間に非収容空間がそれぞれ形成されるように設けられ、
前記収容部は、前記一対の対向シート部の間であって、前記非収容空間の間の領域に前記収容空間が形成されるように設けら
前記一対の対向シート部同士が前記一方向に交差する他方向の両端部間に亘って連続的に接合されて形成された接合部(ただし、包装袋の開閉を自在にするものを除く。)を備えており、
該接合部を介して収容空間と非収容空間とが隣接するように構成される、包装袋。
【請求項2】
非収容部は、一対の対向シート部における非収容部を形成する領域が収容部から前記一方向に離れるに従って拡開するように形成された拡開部を備える請求項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材を用いて形成される包装袋に関し、該包装袋に物品が収容された状態で、該物品を加熱する際に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品等の物品を収容した包装袋が知られている。該包装袋は、シート材を用いて形成される。一方向に延びるシート材の両端部同士を連結して筒状に形成し、該筒状に形成したシート材の一方向の両端部を閉塞するようにシールすることで形成される包装袋が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上述のような包装袋に収容された物品は、包装袋に収容された状態で、電子レンジや湯煎等によって加熱される場合がある。例えば、包装袋におにぎりが収容されている場合には、おにぎりを加熱して食する場合がある。斯かる場合には、おにぎりが包装袋に収容された状態で、電子レンジで加熱される。そして、加熱後、おにぎりが収容された包装袋を手で把持し、包装袋を破断しておにぎりを取り出し、該おにぎりが食されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-030761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、包装袋内で物品が加熱されると、物品の熱や物品から放出される水蒸気の熱が包装袋の外側へ伝わるため、物品を収容した包装袋を手で把持した際に火傷をしたり、手で把持し続けることが困難になったりする虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、包装袋内で物品が加熱された際にも、包装袋を手で容易に把持することができる包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装袋は、シート材を用いて袋状に形成されており、物品を収容する収容空間を形成する収容部を備え、収容空間に物品が収容された状態で該物品が加熱される包装袋であって、物品が収容されない非収容空間を形成すると共に収容部からの気体の流入が遮断されている非収容部を備える。
【0008】
斯かる構成によれば、物品が収容されない非収容空間を形成すると共に収容部からの気体の流入が遮断されている非収容部を備える。これにより、収容空間に物品が収容された状態で該物品が加熱された際にも、収容部の熱(物品から放出される水蒸気の熱や物品自体の熱)が非収容部に伝わり難いため、非収容部を手で容易に把持することができる。
【0009】
非収容部は、収容部よりも上方に形成されることが好ましい。
【0010】
斯かる構成によれば、非収容部は、収容部よりも上方に形成される。これにより、物品が収容された状態の包装袋に対して、上方から非収容部を手でより容易に把持することができる。
【0011】
対向するように配置される一対の対向シート部を備えており、該一対の対向シート部における一方向の一端側の領域の間に非収容空間が形成され、該非収容空間を形成する領域よりも前記一方向の他端側の領域の間に収容空間が形成されており、一対の対向シート部同士が前記一方向に交差する他方向の両端部間に亘って連続的に接合されて形成された接合部を備えており、該接合部を介して収容空間と非収容空間とが隣接するように構成されることが好ましい。
【0012】
斯かる構成によれば、一対の対向シート部における一方向の一端側の領域の間に非収容空間が形成され、該非収容空間を形成する領域よりも前記一方向の他端側の領域の間に収容空間が形成される。また、一対の対向シート部同士が前記一方向に交差する他方向の両端部間に亘って連続的に接合されて形成された接合部を備える。そして、接合部を介して収容空間と非収容空間とが隣接するように構成される。これにより、収容空間と非収容空間との間に接合部が形成されるため、収容部の熱が非収容部へ伝達されるのを効果的に抑制することができる。
【0013】
非収容部は、一対の対向シート部における非収容部を形成する領域が収容部から前記一方向に離れるに従って拡開するように形成された拡開部を備えることが好ましい。
【0014】
斯かる構成によれば、非収容部は、一対の対向シート部における非収容部を形成する領域が収容部から前記一方向に離れるに従って拡開するように形成された拡開部を備える。これにより、非収容部を手で把持する際に、拡開部に指を引っかけることができるため、非収容部を手で容易に把持することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、包装袋内で物品が加熱された際にも、包装袋を手で容易に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る包装袋を一方の対向シート部側から見た平面図、(b)は、本発明の一実施形態に係る包装袋を他方の対向シート部側から見た平面図。
図2図1(a)のI-I断面図。
図3】同実施形態に係る包装袋を製造する際の概略を示した断面斜視図。
図4】他の実施形態に係る包装袋の断面図。
図5】(a)は、更に他の実施形態に係る包装袋を一方の対向シート部側から見た平面図、(b)は、同実施形態に係る包装袋を他方の対向シート部側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る包装袋の一実施形態について、図1~3に基づいて説明する。なお、以下の図面において同一又は相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0018】
図1,2に示すように、本実施形態に係る包装袋1は、シート材を用いて形成される。シート材としては、特に限定されるものではなく、例えば、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムや、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等を用いることができる。また、包装袋1は、物品が収容されない非収容空間R1を形成する非収容部2と、物品を収容する収容空間R2を形成する収容部3とを備える。
【0019】
また、包装袋1は、対向するように配置される一対の対向シート部1a,1bを備える。そして、該一対の対向シート部1a,1bにおける一方向の一端側(本実施形態では、上端側)の領域の間に非収容空間R1が形成され、一端側の領域よりも他端側(本実施形態では、上端側の領域よりも下端側)の領域の間に収容空間R2が形成される。つまり、本実施形態では、包装袋1は、収容部3よりも上方に非収容部2が形成される。
【0020】
また、包装袋1は、シート材が接合されて形成された一対の接合部であって前記一方向に対して交差する他方向の両端部に形成されて前記一方向に延びる一対の接合部(以下、一対の側方接合部とも記す)1d,1dを備える。該一対の側方接合部1d,1dは、一対の対向シート部1a,1bの前記他方向の両端部同士が前記一方向に延びる帯状に接合されることで形成される。
【0021】
また、包装袋1は、シート材が接合されて形成された接合部であって他方の対向シート部1bに形成された接合部(以下、背貼り部とも記す)1cを備える。該背貼り部1cは、前記他方向に延びるシート材の端部が重なり合って帯状に接合されることで形成される。
【0022】
また、包装袋1は、シート材が接合されて形成された接合部であって収容部3と非収容部2とを分離するように形成される(換言すれば、収容部3と非収容部2との間に形成される)接合部(以下、分離接合部とも記す)1eを備える。該分離接合部1eは、包装袋1の前記他方向の両端部間に亘って連続的に形成される。また、分離接合部1eは、一対の対向シート部1a,1bの前記他方向の両端部間の領域同士が前記他方向に延びる帯状に接合されること形成される。これにより、分離接合部1eを介して収容空間R2と非収容空間R1とが隣接する(本実施形態では、上下方向で隣接する)ように形成される。
【0023】
また、包装袋1は、収容部3から非収容部2への気体の流入が遮断されるように構成される。具体的には、包装袋1は、分離接合部1eによって収容部3(収容空間R2)から非収容部2(非収容空間R1)への気体の流入が防止される。本実施形態では、非収容空間R1は、分離接合部1eによって収容空間R2からの気体の流入が防止された密閉された空間となるように構成される。
【0024】
なお、背貼り部1c、一対の側方接合部1d,1d、及び、分離接合部1eを形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒートシール、接着剤、両面テープなどの既知の接合方法を用いることができる。
【0025】
非収容部2は、一対の対向シート部1a,1bにおける非収容部2を形成する領域が収容部3から前記一方向に離れるに従って拡開するように形成された拡開部2aを備える。具体的には、包装袋1における前記一方向の一端側へ向かって分離接合部1eから非収容部2が膨出するように構成されることで、拡開部2aが形成される。より詳しくは、包装袋1は、非収容部2に空気が封入された状態となることで、分離接合部1eから上方へ向かって非収容部2が膨出する(拡開部2aが形成される)ように構成される。
【0026】
収容部3の容積に対する非収容部2の容積の割合としては、特に限定されるものではなく、例えば、15%以上35%以下であることが好ましく、20%以上30%以下であることがより好ましい。
【0027】
収容部3は、一対の対向シート部1a,1bの前記一方向の他端部同士を連結する底部3aを備える。該底部3aは、包装袋1を形成するシート材の一部が収容空間R2側へ折り込まれて(換言すれば、マチ状に)形成される。
【0028】
上記のような包装袋1を製造する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、一般的なピロー包装によって、図3に示すような袋体X1を形成し、その後、一対の対向シート部1a,1bにおける分離接合部1eを形成する領域1f,1g同士を接合することで、分離接合部1eを備える包装袋1を形成してもよい。又は、一般的なピロー包装によって、一対の側方接合部1d,1dの少なくとも一方、又は、背貼り部1cを形成するのと同時に、分離接合部1eを形成する領域1f,1g同士を接合することで、分離接合部1eを備える包装袋1を形成してもよい。なお、非収容部2に空気を封入する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、袋体X1における非収容部2を形成する部分に空気を残した状態で、上記のように分離接合部1eが形成されることで、非収容部2に空気が封入された状態となってもよく、又は、袋体X1における非収容部2を形成する部分にストロー等を用いて空気を送り込んだ状態で分離接合部1eを形成することで、非収容部2に空気が封入された状態となってもよい。
【0029】
上記のように構成される包装袋1は、収容空間R2に物品が収容された状態で、該物品を加熱する際に使用される。例えば、包装袋1の収容空間R2に収容された物品を電子レンジ等の加熱手段で加熱する。その後、非収容部2を手で把持して物品入りの包装袋1を加熱手段から取り出すように構成される。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る包装袋1によれば、包装袋1内で物品が加熱された際にも、包装袋1を手で容易に把持することができる。
【0031】
即ち、物品が収容されない非収容空間R1を形成すると共に収容部3からの気体の流入が遮断されている非収容部2を備える。これにより、収容空間R2に物品が収容された状態で該物品が加熱された際にも、収容部3の熱(物品から放出される水蒸気の熱や物品自体の熱)が非収容部2に伝わり難いため、非収容部2を手で容易に把持することができる。
【0032】
また、非収容部2は、収容部3よりも上方に形成される。これにより、物品が収容された状態の包装袋1に対して、上方から非収容部2を手でより容易に把持することができる。
【0033】
また、一対の対向シート部1a,1bにおける一方向の一端側の領域の間に非収容空間R1が形成され、該非収容空間R1を形成する領域よりも前記一方向の他端側の領域の間に収容空間R2が形成される。また、一対の対向シート部1a,1b同士が前記一方向に交差する他方向の両端部間に亘って連続的に接合されて形成された分離接合部1eを備える。そして、該分離接合部1eを介して収容空間R2と非収容空間R1とが隣接するように構成される。これにより、収容空間R2と非収容空間R1との間に分離接合部1eが形成されるため、収容部3の熱が非収容部2へ伝達されるのを効果的に抑制することができる。
【0034】
また、非収容部2は、一対の対向シート部1a,1bにおける非収容部2を形成する領域が収容部3から前記一方向に離れるに従って拡開するように形成された拡開部2aを備える。これにより、非収容部2を手で把持する際に、拡開部2aに指を引っかけることができるため、非収容部2を手で容易に把持することができる。
【0035】
なお、本発明に係る包装袋は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記の各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記の実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0036】
例えば、上記実施形態では、包装袋1は、背貼り部1cを備えるように構成されているが、これに限定されるものではなく、前記一方向の一端部及び(又は)他端部に、シート材が接合されて形成された接合部が形成されてもよい。つまり、所謂、三方シール(又は、四方シール)による袋体を形成した後、分離接合部1eを形成するように構成してもよい。
【0037】
また、上記実施形態のように、収容部3内の物品が加熱されることにより、物品から水蒸気が発生する場合がある。斯かる場合には、水蒸気が収容部3の内面に付着して水滴となるため、該水滴が物品に付着すると、物品の性状や品質を損なう虞がある。このため、収容部3内に水分を吸収する吸収材を配置することが好ましい。該吸収材としては、不織布やシート状のスポンジ等を用いることができる。また、吸収材は、収容部3の内面(具体的には、内面の下端部)に前記他方向に延びる帯状に貼り付けられることが好ましい。これにより、収容部3の内面上を流下してくる水滴を比較的広い範囲で効果的に吸収することが可能となる。
【0038】
また、上記実施形態では、非収容部2内には、何も収容されないように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、非収容部2内に管状体2bが収容されてもよい。該管状体2bが収容されることで、非収容部2の形状(非収容空間R1)を良好に保持することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、収容部3よりも上方(具体的には、包装袋1の前記一方向の一端側)に非収容部2が形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、前記他方向の一端側、及び、他端側の少なくとも一方(図5では、両端側)に非収容部2が形成されてもよい。
【0040】
斯かる包装袋1では、前記一方向の両端部間に亘って分離接合部1eが連続的に形成される。また、斯かる包装袋1では、前記他方向に間隔を空けて一対の分離接合部1e,1eが形成される。また、各分離接合部1eは、一対の側方接合部1d,1dから前記他方向に離間した位置に形成される。そして、各側方接合部1dと各分離接合部1eとの間に非収容部2(非収容空間R1)が形成され、一対の分離接合部1e,1eの間に収容部3(収容空間R2)が形成される。
【符号の説明】
【0041】
1…包装袋、1a,1b…対向シート部、1c…背貼り部、1d…側方接合部、1e…分離接合部、2…非収容部、2a…拡開部、2b…管状体、3…収容部、3a…底部、R1…非収容空間、R2…収容空間、X1…袋体
図1
図2
図3
図4
図5