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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20200101AFI20231107BHJP
【FI】
D06F39/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019081021
(22)【出願日】2019-04-22
(65)【公開番号】P2020175012
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】領家 英之
(72)【発明者】
【氏名】林 敬彦
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0121970(US,A1)
【文献】特開2003-071191(JP,A)
【文献】特開2015-019866(JP,A)
【文献】特開2017-042407(JP,A)
【文献】特開2018-183534(JP,A)
【文献】特開2010-284075(JP,A)
【文献】特開平05-211725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機であって、
洗濯物投入口が形成された本体体と、
前記洗濯物投入口を覆う蓋体と、
前記蓋体に設けられ、表示を行う表示部と当該洗濯機への指示を入力する入力部とを有する操作パネルと、
前記表示部が表示を行う面と異なる箇所であって、前記蓋体の開放時にユーザから見える領域に設けられ、前記表示部が表示する情報の少なくとも一部分を表示する機能を有する補助表示部とを備えた洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記蓋体は、前記本体筐体の上部を覆うものであり、且つ折れ目のない平板形状を有している洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機であって、
前記補助表示部は、当該洗濯機の正面方向から視認できる領域に設けられている洗濯機。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の洗濯機であって、
前記表示部は、前記蓋体が開放状態のときに、当該蓋体によって視認が妨げられる位置に設けられている洗濯機。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の洗濯機であって、
前記本体筐体に設けられ、当該洗濯機の主電源のオンまたはオフを切り替える主電源スイッチを備え、
前記補助表示部は、前記主電源スイッチと一体的に設けられており、該主電源スイッチのオンまたはオフを表示する機能を有する洗濯機。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の洗濯機であって、
表示を行う装置表示部を有する付属装置を着脱自在に保持する保持部を備えており、
前記補助表示部は、前記装置表示部が表示する情報の少なくとも一部分を表示する機能を有し、
前記補助表示部は、前記蓋体が開いてから一定時間の経過後に、前記蓋体が開いた直後と比較して照度を下げて前記装置表示部が表示する情報の少なくとも一部分を表示する洗濯機。
【請求項7】
洗濯物投入口が形成された本体体と、
前記洗濯物投入口を覆う蓋体と、
表示を行う装置表示部を有する付属装置を着脱自在に保持する保持部と、
前記蓋体の開放時にユーザから見える領域に設けられ、前記装置表示部が表示する情報の少なくとも一部分を表示する補助表示部と備え、
前記補助表示部は、前記蓋体が開いてから一定時間の経過後に、前記蓋体が開いた直後と比較して照度を下げて前記装置表示部が表示する情報の少なくとも一部分を表示する洗濯機。
【請求項8】
請求項6または7に記載の洗濯機であって、
前記保持部は、前記蓋体が開放状態のときに該蓋体によって視認が妨げられる位置に設けられており、
前記補助表示部は、当該洗濯機の洗濯槽の内部を照らす照明を含む洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示を行う表示部を有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、操作パネルが設けられた蓋を有する洗濯機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-131425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、蓋を開閉させたときに、操作パネルの視認が困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、表示の視認性が向上した洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る洗濯機は、洗濯物投入口が形成された本体体と、前記洗濯物投入口を覆う蓋体と、前記蓋体に設けられ、表示を行う表示部と、前記表示部が表示を行う面と異なる箇所に設けられ、前記表示部が表示する情報の少なくとも一部分を表示する機能を有する補助表示部とを備えたことを特徴としている。
【0007】
上記の構成によれば、蓋体の開閉によって表示部の視認性が悪化したときであっても、表示部が表示する情報の少なくとも一部分を補助表示部に表示することができるため、表示の視認性が向上する。
【0008】
また、上記洗濯機では、前記補助表示部は、当該洗濯機の正面方向から視認できる領域に設けられている構成とすることができる。
【0009】
上記の構成によれば、洗濯機の正面方向から視認できる領域に補助表示部が設けられているため、補助表示部の視認性が向上する。
【0010】
また、上記洗濯機では、前記表示部は、前記蓋体が開放状態のときに、当該蓋体によって視認が妨げられる位置に設けられている構成とすることができる。
【0011】
上記の構成によれば、蓋体が開放状態のときに、当該蓋体によって表示部の視認が妨げられるため、補助表示部によって視認性が向上する効果が顕著となる。
【0012】
また、上記洗濯機では、前記表示部は、当該洗濯機への指示を入力する入力部と一体的に設けられている構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、表示部と入力部とが一体的に設けられていることにより、洗濯機の操作性が向上する。
【0014】
また、上記洗濯機は、本体筐体に設けられ、当該洗濯機の主電源のオンまたはオフを切り替える主電源スイッチを備え、前記補助表示部は、前記主電源スイッチと一体的に設けられており、該主電源スイッチのオンまたはオフを表示する機能を有する構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、主電源スイッチのオンまたはオフを容易に確認することができる。
【0016】
また、上記洗濯機は、表示を行う装置表示部を有する付属装置を着脱自在に保持する保持部を備えており、
前記補助表示部は、前記装置表示部が表示する情報の少なくとも一部分を表示する機能を有している構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、洗濯機において付属装置を搭載する場合に、付属装置における装置表示部の表示の視認性が向上する。
【0018】
本発明の第2の態様に係る洗濯機は、洗濯物投入口が形成された本体体と、前記洗濯物投入口を覆う蓋体と、表示を行う装置表示部を有する付属装置を着脱自在に保持する保持部と、前記装置表示部が表示する情報の少なくとも一部分を表示する補助表示部と備えたことを特徴としている。
【0019】
また、上記洗濯機では、前記保持部は、前記蓋体が開放状態のときに該蓋体によって視認が妨げられる位置に設けられている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表示の視認性が向上した洗濯機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1に係る洗濯機の外観を示す斜視図である。
図2】蓋体が開放された状態の上部筐体および蓋体の斜視図である。
図3】電源表示用補助発光部の構造例を示す断面図である。
図4】電源表示用補助発光部としての機能を兼用する主電源スイッチを示す平面図である。
図5】電源表示用補助発光部としての機能を兼用する主電源スイッチの構造例を示す断面図であり、(a)は主電源スイッチの内部に発光領域を設ける場合、(b)は主電源スイッチの周囲に発光領域を設ける場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態1に係る洗濯機10の外観を示す斜視図である。図1に示すように、洗濯機10の外観は、洗濯機10の本体筐体を構成する下部筐体11および上部筐体12と、蓋体13とによって構成されている。下部筐体11は、本体筐体の大部分をなすものである。上部筐体12は、下部筐体11の上方に配置されるものである。蓋体13は、上部筐体12の上面に取り付けられるものであり、上部筐体12上面の洗濯物投入口を開閉可能に覆うように設けられている。
【0023】
本実施の形態1に係る洗濯機10において、蓋体13は、折り畳み式ではない、一体物の蓋とされている。すなわち、蓋体13は、1枚つづきの板のような折れ目のない平板形状を有している。尚、蓋体13は、折れ目が形成された折り畳み式のものであってもよい。蓋体13の上面には操作パネル131が備えられる。一例として、蓋体13の天面をガラス板で形成し、その内側に操作回路を設けて、タッチパネル式の操作パネル131を蓋体13に備えることが考えられる。操作パネル131は、洗濯機10の電源が入っているときには、何らかの表示を行うことで洗濯機10が電源オン状態であることを示す。一方、洗濯機10の電源が入っていないときには、操作パネル131にて一切の表示を行わないことで洗濯機10が電源オフ状態であることを示す。尚、洗濯機10では、表示部と(洗濯機10への指示を入力する)入力部とが一体となったタッチパネル式の操作パネル131を例示しており、この操作パネル131が特許請求の範囲に記載の表示部に相当する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、表示部と入力部との機能を分離し、表示部のみが蓋体13に設けられる構成であってもよい。
【0024】
また、操作パネル131は、特にタッチパネル式に限定されるものではなく、各種操作ボタンを備えた操作パネルであってもよい。この場合は、操作パネル131に電源表示用のLEDなどを設け、洗濯機10の電源が入っているときにはLEDを点灯させ、洗濯機10の電源が入っていないときにはLEDを消灯させることで、洗濯機10の電源のオン/オフ状態を示すことができる。
【0025】
蓋体13の上面に設けられた操作パネル131にて洗濯機10の電源のオン/オフ状態を示すのみでは、蓋体13を開放したときにユーザから操作パネル131が見えなくなり、ユーザは電源のオン/オフ状態を認識できなくなる。このため、本実施の形態1に係る洗濯機10は、蓋体13を開放したときにユーザから見える位置に、電源のオン/オフ状態を表示する機能を有している。これにより、ユーザは、蓋体13の開放時にも洗濯機10の電源のオン/オフ状態を確認することができる。尚、蓋体13を開放したときにユーザから見える位置とは、洗濯機10の正面方向から視認できる位置を指すものとする。また、洗濯機10の正面方向とは、真正面に限定されるものではなく、真正面から左右90°未満の範囲内で斜めに傾いた方向をも含む概念である。
【0026】
図2は、蓋体13が開放された状態の上部筐体12および蓋体13の斜視図である。本実施の形態1に係る洗濯機10は、蓋体13を開放したときにもユーザから視認可能な領域に、少なくとも1つの電源表示用補助発光部20(図3参照)を設けるものであり、図2では、電源表示用補助発光部20の好適な配置領域の例として領域A1~A6を図示している。すなわち、洗濯機10において、電源表示用補助発光部20は、領域A1~A6の何れかに設けられることが好ましい。尚、洗濯機10における電源表示用補助発光部20の数が複数の場合は、領域A1~A6の中の複数の領域に電源表示用補助発光部20が設けられていてもよい。本実施の形態1に係る洗濯機10では、電源表示用補助発光部20が特許請求の範囲に記載の補助表示部に相当する。
【0027】
電源表示用補助発光部20は、洗濯機10の電源がオンのときには点灯し、洗濯機10の電源がオフのときには消灯することで、洗濯機10の電源のオン/オフ状態を示すことができる。すなわち、電源表示用補助発光部20は、表示部である操作パネル131とは異なる箇所に設けられ、操作パネル131が表示する情報の少なくとも一部分を表示する機能を有する。尚、洗濯機10において、領域A1~A6は上部筐体12および蓋体13の何れかに設けられるものであるため、図2では下部筐体11の図示を省略している。以下に、領域A1~A6のそれぞれの位置と、その位置に電源表示用補助発光部20を設けることのメリットについて具体的に説明する。
【0028】
(1)領域A1:蓋体13の側面における周囲領域(前方側面、左側面、右側面など)を領域A1とする。蓋体13の開放時にユーザから見える側面であれば、電源表示用補助発光部20の配置領域とすることができる。
【0029】
蓋体13に操作パネル131を設ける場合、洗濯機10の操作回路も蓋体13の内部に収容することが好ましい。この場合、電源表示用補助発光部20が領域A1に配置されていれば、操作回路から電源表示用補助発光部20への電源線や信号線を短くでき、配線が容易となるといったメリットがある。また、電源表示用補助発光部20を蓋体13の側面に設ける場合、電源表示用補助発光部20を蓋体13の周囲の装飾としても使用できる。
【0030】
(2)領域A2:蓋体13裏面の前方付近を領域A2とする。蓋体13の裏面は、蓋体13の開放時にユーザから見やすい位置となり、電源表示用補助発光部20の配置領域として適している。
【0031】
洗濯機10の操作回路は、操作パネル131の裏側に配置されることが好ましく、すなわち蓋体13の前方付近に備えられることが好ましい。この場合、電源表示用補助発光部20が領域A2に配置されていれば、操作回路の裏面に電源表示用補助発光部20を取り付けることができ、電源表示用補助発光部20の取付構造を最も簡略化できるといったメリットがある。
【0032】
(3)領域A3:蓋体13裏面の後方付近を領域A3とする。領域A3は蓋体13の開放時にユーザの目線に近い位置であり、電源表示用補助発光部20が領域A3に配置されていれば、ユーザから視認しやすくなる。また、電源表示用補助発光部20が領域A3に配置される場合も、操作回路から電源表示用補助発光部20への電源線や信号線を短くでき、配線が容易となるといったメリットがある。
【0033】
(4)領域A4:上部筐体12における洗濯物投入口の側方周辺(上部筐体12の上面または洗濯物投入口の内面)を領域A4とする。洗濯物投入口の周辺部分は、洗濯機10への洗濯物の出し入れをするときにユーザから見やすい位置となり、電源表示用補助発光部20の配置領域として適している。
【0034】
(5)領域A5:上部筐体12における洗濯物投入口の後方周辺(洗濯物投入口の内面)を領域A5とする。領域A5は蓋体13の開放時にユーザの目線に近い位置であり、電源表示用補助発光部20が領域A5に配置されていれば、ユーザから視認しやすくなる。
【0035】
(6)領域A6:上部筐体12における洗濯物投入口の前方周辺(上部筐体12の上面または前面))を領域A5とする。領域A6は、洗濯機10の正面に立ったユーザから近い位置であり、洗濯機10に近づいたユーザから見やすく、電源表示用補助発光部20の配置領域として適している。
【0036】
図3は、電源表示用補助発光部20の構造例を示す断面図である。図3に示す電源表示用補助発光部20は、発光素子21(例えばLED)を基板22に取り付け、発光素子21および基板22を基板ケース23とケースカバー24とで構成されるパッケージ内に収容して防水した構造とされている。ケースカバー24は透明プラスチックなどの透光性部材とされ、発光素子21が点灯するときは、ケースカバー24を通じて発光素子21の点灯を視認することができる。また、電源表示用補助発光部20のパッケージ内部には、発光素子21の照射光を効率よく外部に向けるための反射部25が設けられていてもよい。
【0037】
本実施の形態1における電源表示用補助発光部20は、洗濯槽の内部を照らす内部照明とは別途設けられるものであり、内部照明に比べて光量が十分に小さいものとされる。したがって、単に電源のオン/オフ状態を示すために大きな光量での点灯が行われることを回避でき、ユーザの不快感を軽減できるとともに、省エネルギの効果も得ることができる。尚、図2において、領域A7は、内部照明の配置位置として適切な領域である。
【0038】
〔実施の形態2〕
実施の形態1に係る洗濯機10は、蓋体13の上面に操作パネル131を設けた構成である。このような構成であっても、蓋体13の開閉状態に関わらず洗濯機10の電源をオン/オフできるように、洗濯機10の本体筐体(好適には上部筐体12)にも主電源スイッチ30(図1,2参照)を備える必要がある。
【0039】
主電源スイッチ30は、ユーザにとって操作がしやすいように、通常、上部筐体12の上面の前方側の一方の端部(図1,2では右端部)に設けられる。すなわち、主電源スイッチ30は、蓋体13の開放時にもユーザから見やすい位置にある。このため、本実施の形態2に係る洗濯機10は、主電源スイッチ30に特許請求の範囲に記載の補助表示部としての機能を兼用させるものである。
【0040】
図4は、補助表示部としての機能を兼用する主電源スイッチ30を示す平面図である。具体的には、主電源スイッチ30の内部に発光領域30Aを設けたり、主電源スイッチ30の周囲に発光領域30Bを設けたりすることで、主電源スイッチ30を電源表示用補助発光部として用いることができる。
【0041】
図5は、主電源スイッチ30の構造例を示す断面図であり、(a)は主電源スイッチ30の内部に発光領域30Aを設ける場合、(b)は主電源スイッチ30の周囲に発光領域30Bを設ける場合を示している。
【0042】
図5(a)に示す主電源スイッチ30では、発光素子31(例えばLED)およびプッシュスイッチ32が基板33に取り付けられ、基板33の上面には発光素子31およびプッシュスイッチ32を覆うように弾性カバー部材34が被せられる。発光素子31、プッシュスイッチ32、基板33および弾性カバー部材34は、基板ケース35とケースカバー36とで構成されるパッケージ内に収容され、これにより主電源スイッチ30が防水構造とされている。
【0043】
ケースカバー36の一部(主電源スイッチ30の操作領域に対応する箇所)は開口36Aとされ、ユーザがこの開口36Aから弾性カバー部材34を押圧操作するとその力がプッシュスイッチ32に伝わり、洗濯機10の電源をオン/オフできるようになっている。尚、ケースカバー36の開口36Aは、防水フィルム37で覆われることで主電源スイッチ30の防水構造が保たれるようになっている。
【0044】
発光素子31は開口36Aの直下に配置され、弾性カバー部材34は少なくとも開口36Aに対向する箇所が透明プラスチックなどの樹脂で形成された透光性部材とされている。このため、図5(a)に示す主電源スイッチ30では、発光素子31が点灯するときは、弾性カバー部材34および開口36Aを通じて発光素子31の点灯を視認することができる。
【0045】
図5(b)に示す主電源スイッチ30は、図5(a)に示す主電源スイッチ30と類似した構成であるが、発光素子31は開口36Aの直下ではなく、開口36Aの周辺箇所に配置されている。そして、弾性カバー部材34は、発光素子31に対向する箇所に開口34Aを有している。図5(b)に示す主電源スイッチ30では、ケースカバー36は透明プラスチックなどの透光性部材とされ、発光素子31が点灯するときは、開口34Aおよびケースカバー36を通じて発光素子31の点灯を視認することができる。
【0046】
尚、図5(a),(b)に例示した構造では、発光素子31およびプッシュスイッチ32が同一の基板33に設けられているが、発光素子31およびプッシュスイッチ32はそれぞれ異なる基板に設けられていてもよい。
【0047】
洗濯機10に備えられる主電源スイッチ30は、当然ながら防水構造を必要とするものである。そして、主電源スイッチ30に補助表示部としての機能を兼用させる本実施の形態2の構成では、主電源スイッチ30および補助表示部に対して、1つのパッケージにて同時に防水構造を得ることができる。すなわち、主電源スイッチ30の防水構造の中に補助表示部を含めることができ、補助表示部のみの防水構造を設ける必要がないため、洗濯機10における防水構造を簡略化することができる。
【0048】
〔実施の形態3〕
本実施の形態3に係る洗濯機10は、充電式付属装置40(図1参照:以下、単に付属装置と称する)が搭載されていることを前提とし、上部筐体12の後部上面には付属装置40の充電部としても機能する保持部12Aが設けられている。すなわち、保持部12Aに未充電の付属装置40を置いた場合に、付属装置40に対して充電が行われるようになっている。付属装置40の種類は特に限定されるものではないが、例えば、付属装置40として超音波式部分洗浄器(例えば、シャープ製「超音波ウォッシャー」)を搭載することが考えられる。また、付属装置40は、無接点充電方式によって充電されるものであることが好ましい。
【0049】
保持部12Aに置かれた付属装置40が充電を受けている場合は、洗濯機10が運転状態(洗濯、すすぎ、あるいは脱水運転)でなくても、洗濯機10は電源オン状態となっている。したがって、付属装置40の充電中は、電源表示用補助発光部20(もしくは主電源スイッチ30)も、電源オン状態の表示となっている。しかしながら、洗濯機10が運転状態でない場合、付属装置40の充電によって洗濯機10が電源オン状態となっていることは、ユーザにとって分かりにくいものである。通常の洗濯機は、運転の終了後に所定時間で電源がオフとなるオートパワーオフ機能を備えているが、付属装置40の充電によって洗濯機10の電源オン状態が継続していると、オートパワーオフ機能の異常であると誤解される恐れもある。尚、詳細な図示は省略するが、付属装置40は装置表示部を有しており、この装置表示部には、例えば、充電時の付属装置40における充電状態などの情報が表示される。しかしながら、蓋体13が開放されているときには保持部12Aはユーザから見えなくなるものであり、このとき、付属装置40の装置表示部もユーザから見えなくなる。
【0050】
このため、本実施の形態3に係る洗濯機10は、電源表示用補助発光部20に付属装置40の充電状態を表示する機能を付加したことを特徴とする。すなわち、電源表示用補助発光部20は、付属装置40の装置表示部が表示する情報の少なくとも一部分を表示する機能を有する。この機能を実現するために、電源表示用補助発光部20は、付属装置40の充電状態に応じて表示形態を異ならせる。電源表示用補助発光部20における表示形態を異ならせる方法は特に限定されるものではないが、以下に、3つの方法(第1ないし第3の方法)を例示する。
【0051】
(第1の方法)
電源表示用補助発光部20として、複数の発光部(例えばLED)を近接配置し、付属装置40の充電状態に応じて点灯させる発光部の数を異ならせる。例えば、発光部の数を3個とする場合、付属装置40の充電度が低い状態(例えば0~40%)では3個全ての発光部を点灯させ、付属装置40の充電度が中程度の状態(例えば41~70%)では2個の発光部を点灯させ、付属装置40の充電度が高い状態(例えば71~99%)では1個の発光部を点灯させる。
【0052】
尚、第1の方法では、洗濯機10が運転状態である場合は、付属装置40の充電状態に関わらず、電源表示用補助発光部20における複数の発光部の全てを点灯させるものとすればよい。そして、洗濯機10が運転していない状態で付属装置40の充電が完了した場合は、電源表示用補助発光部20における複数の発光部の全てを消灯させるものとすればよい。すなわち、付属装置40の充電完了と同時に、オートパワーオフ機能によって洗濯機10の電源がオフとなるようにすればよい。
【0053】
(第2の方法)
付属装置40の充電状態に応じて電源表示用補助発光部20の点灯(点滅)時間を異ならせる。例えば、付属装置40の充電度が低い状態(例えば0~40%)では電源表示用補助発光部20を常時点灯させ、付属装置40の充電度が中程度の状態(例えば41~70%)では電源表示用補助発光部20を低速で点滅(例えば、2~3秒に1回)させ、付属装置40の充電度が高い状態(例えば71~99%)では電源表示用補助発光部20を高速で点滅(例えば、1秒間に2~3回)させる。
【0054】
尚、第2の方法では、洗濯機10が運転状態である場合は、付属装置40の充電状態に関わらず、電源表示用補助発光部20を常時点灯させるものとすればよい。そして、洗濯機10が運転していない状態で付属装置40の充電が完了した場合は、電源表示用補助発光部20を消灯させるものとすればよい。
【0055】
(第3の方法)
電源表示用補助発光部20として、発光色を複数の色で切替可能な発光部を用い、付属装置40の充電状態に応じて電源表示用補助発光部20の発光色を異ならせる。例えば、付属装置40の充電度が低い状態(例えば0~50%)では電源表示用補助発光部20を橙色で点灯させ、付属装置40の充電度が高い状態(例えば51~99%)では電源表示用補助発光部20を白色で点灯させる。
【0056】
尚、第3の方法では、洗濯機10が運転状態である場合は、付属装置40の充電状態に関わらず、電源表示用補助発光部20を橙色点灯(充電度が低い状態と同じ表示)させるものとすればよい。尚、洗濯機が運転状態である場合の表示は、特に限定されるものではなく、白色点灯(充電度が高い状態と同じ表示)としてもよい。洗濯機10が運転していない状態で付属装置40の充電が完了した場合は、電源表示用補助発光部20を消灯させるものとすればよい。
【0057】
本実施の形態3に係る洗濯機10では、上述した第1ないし第3の方法の何れを用いても、付属装置40の充電状態に応じて電源表示用補助発光部20の表示状態を異ならせることで、ユーザは付属装置40の充電が行われていることを認識しやすくなる。また、付属装置40の充電度がどの程度であるかも容易に認識でき、洗濯機10におけるユーザの使い勝手が向上する。
【0058】
また、本実施の形態に係る洗濯機10では、内部照明を電源表示用補助発光部20として兼用してもよい。この場合、電源表示用補助発光部20の配置箇所は、内部照明としての利用も可能な位置にされる必要があり、例えば、上部筐体12における洗濯物投入口の後方内面下部(図2に示す領域A7)などが適切である。また、この場合の内部照明は、洗濯槽の照明として用いる場合と電源表示用補助発光部20として用いる場合とで、照度を変更できるようにすることが好ましい。すなわち、ユーザが蓋体13を開いた直後など、洗濯槽の照明が必要な期間は、内部照明は、その照度を上げることで照明として使用できる。そして、一定時間(例えば、数分間)の経過後、すなわち、照明としての使用終了後は、内部照明は、その照度を下げることで電源表示用補助発光部20として使用することができる。
【0059】
このように、内部照明を電源表示用補助発光部20として兼用する場合、照明としての使用終了後に照度を下げることで、付属装置40の充電によって電源表示用補助発光部20の点灯が維持される場合であっても、大きな光量での点灯が維持されることはなく、ユーザの不快感を軽減できるとともに、省エネルギの効果も得ることができる。
【0060】
〔変形例〕
上記実施の形態1~3では、洗濯機10として、蓋体13が上蓋である縦型洗濯機を例示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ドラム型洗濯機にも本発明は適用可能である。ドラム型洗濯機は、蓋体として上蓋ではなく前扉を有するものであるが、前扉に操作パネルを設ける場合もある。ドラム型洗濯機の前扉に操作パネルを設けた場合も、前扉の開放時には操作パネルがユーザから視認しにくくなる。すなわち、ドラム型洗濯機であっても、例示した縦型洗濯機と同様の課題が生じるものであり、この課題を解決するために本発明の適用は有効である。
【0061】
また、上記実施の形態3で説明した構成、すなわち、内部照明を電源表示用補助発光部20として兼用する構成は、蓋体13が折り畳み式の蓋である場合に適用することも可能である。折り畳み式の蓋体13に操作パネル131を設ける場合は、蓋体13の開放時にも操作パネル131は視認可能となるため、操作パネル131において付属装置40の充電状態を表示することができる。但し、操作パネル131がタッチパネルなどの場合は、その表示内容は離れた位置からは分かりにくい。これに対して、内部照明を電源表示用補助発光部20として兼用すれば、離れた位置からも付属装置40の充電状態が認識しやすくなる。
【0062】
また、本発明に係る洗濯機は、以下のような態様として記載することもできる。本発明の第3の態様に係る洗濯機は、操作パネルが設けられた一体物の蓋体を有する洗濯機であって、前記蓋体の開放時であっても当該洗濯機の正面方向から視認できる領域に、当該洗濯機の電源のオン/オフ状態を表示する電源表示用補助発光部が少なくとも1つ設けられているものであってもよい。
【0063】
上記の構成によれば、蓋体が開放されてユーザから操作パネルが見えない状態であっても、ユーザは、電源表示用補助発光部によって洗濯機の電源のオン/オフ状態を確認することができる。
【0064】
また、上記洗濯機では、前記電源表示用補助発光部は、当該洗濯機の電源オン状態で点灯され、電源オフ状態で消灯されるLEDを備えている構成とすることができる。
【0065】
上記の構成によれば、LEDはその照度を小さく抑えることが容易であり、単に電源のオン/オフ状態を示すために大きな光量での点灯が行われることを回避でき、ユーザの不快感を軽減できるとともに、省エネルギの効果も得ることができる。
【0066】
また、上記洗濯機は、本体筐体に主電源スイッチが設けられており、前記主電源スイッチが、前記電源表示用補助発光部の機能を有している構成とすることができる。
【0067】
上記の構成によれば、主電源スイッチの防水構造の中に電源表示用補助発光部を含めることができ、電源表示用補助発光部のみの防水構造を設ける必要がないため、洗濯機における防水構造を簡略化することができる。
【0068】
また、上記洗濯機は、充電式付属装置を充電するための充電部を備えており、前記電源表示用補助発光部は、前記充電式付属装置の充電状態を表示する機能を有している構成とすることができる。
【0069】
上記の構成によれば、ユーザは電源表示用補助発光部によって充電式付属装置の充電が行われていることを認識しやすくなり、また、充電式付属装置の充電度がどの程度であるかも認識できるため、洗濯機におけるユーザの使い勝手が向上する。
【0070】
また、上記洗濯機では、前記電源表示用補助発光部は、前記充電式付属装置の充電状態に応じて表示形態を異ならせる構成とすることができる。
【0071】
上記の構成によれば、充電式付属装置の充電状態に応じて、例えば、点灯させる発光部の数や点滅状態や色調などの表示形態を異ならせることで、ユーザは充電式付属装置の充電状態を容易に認識できるようになる。
【0072】
また、上記洗濯機では、前記電源表示用補助発光部は、洗濯槽の内部を照らす内部照明の機能を兼用するものであり、内部照明としても使用されるときは照度を上げ、内部照明として使用されずに電源オン状態を示すために点灯されるときには照度が下げられる構成とすることができる。
【0073】
上記の構成によれば、内部照明を電源表示用補助発光部として兼用する場合、照明としての使用終了後には照度を下げることで、例えば、充電式付属装置の充電によって電源表示用補助発光部の点灯が維持される場合であっても、大きな光量での点灯が維持されることはなく、ユーザの不快感を軽減できるとともに、省エネルギの効果も得ることができる。
【0074】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0075】
10 洗濯機
11 下部筐体(本体体)
12 上部筐体(本体体)
12A 保持部
13 蓋体
131 操作パネル(表示部)
20 電源表示用補助発光部(補助表示部)
21,31 発光素子
22,33 基板
23,35 基板ケース
24,36 ケースカバー
30 主電源スイッチ(補助表示部)
32 プッシュスイッチ
40 充電式付属装置(付属装置)
図1
図2
図3
図4
図5