(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】航空機のための電気的アーキテクチャ、当該アーキテクチャを備える航空機、および当該アーキテクチャを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
B64D 41/00 20060101AFI20231107BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20231107BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20231107BHJP
H02P 25/16 20060101ALI20231107BHJP
H02P 5/74 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B64D41/00
B64D27/24
H02P27/06
H02P25/16
H02P5/74
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019115212
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2022-05-11
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・ラコー
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ゲゲン
(72)【発明者】
【氏名】アミラ・マーロフ
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0168968(US,A1)
【文献】米国特許第06992403(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 41/00
B64D 27/24
H02P 27/06
H02P 25/16
H02P 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のための電気的アーキテクチャであって、
2つの空調システム(12、14)と、
2つのコンバータ(16、18;46、48;62L、62R)であって、それぞれが前記空調システム(12、14)の1つに供給することが意図される、2つのコンバータ(16、18;46、48;62L、62R)と、
前記航空機の第1の主エンジン(42;42L)を始動する少なくとも1つの第1の電気機械(24;24L)と
を備える、電気的アーキテクチャにおいて、
前記2つのコンバータ(16、18;46、48;62L、62R)が同時に前記第1の電気機械(24;24L)に供給することができるように、前記電気的アーキテクチャ(10;47;60)が構成され、
前記2つのコンバータ(16、18;46、48;62L、62R)のそれぞれが、2つのインバータ(26、28、38、40;50、52、54、56;64L、66L、64R、66R)を備え、
前記アーキテクチャ(10;47;60)が、前記インバータの少なくとも2つの第1のインバータを連結する働きをするカプラ(43)をさらに備え、
前記電気機械(24)が、
前記カプラ(43)で供給することができる主巻線(24-1)と、
前記インバータの第2のインバータよって供給することができるエキサイタ巻線(24-2)と
を備える
ことを特徴とする電気的アーキテクチャ。
【請求項2】
所定の高度より低い位置で、前記2つのコンバータ(16、18;46、48;62L、62R)が、前記2つの空調システム(12、14)のうちの1つにだけ供給するように構成される
ことを特徴とする、
請求項1に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項3】
各コンバータ(16、18;46、48;62L、62R)のインバータが、空気再循環ファン(44、45)に供給してもよい
ことを特徴とする、
請求項1または2に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項4】
前記コンバータ(62L)の少なくとも1つのインバータ(64L)が、前記航空機の車輪(78)を動かすための電気モータ(76)に供給してもよい
ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項5】
前記電気的アーキテクチャが、前記航空機の第2の主エンジン(42R)を始動する第2の電気機械(24R)を備え、
前記2つのコンバータ(62L、62R)が同時に前記第1の電気機械(24L)または前記第2の電気機械(24R)に供給することができるように、前記電気的アーキテクチャ(60)が構成される
ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項6】
前記アーキテクチャが、
前記2つのコンバータのうちの第1のコンバータ(62L)と関連付けられた第1のドライバモジュール(100L、102L、106L、112L)と、
前記2つのコンバータのうちの第2のコンバータ(62R)と関連付けられた第2のドライバモジュール(100R、102R、106R、112R)と、
前記第1のドライバモジュールと前記第2のドライバモジュールとの通信を可能にするバス(120)と
を備え、
前記第1の電気機械(24L)の併給中、前記第1のコンバータ(62L)および前記第1のドライバモジュール(100L、102L、106L、112L)をマスタにするように、前記アーキテクチャが構成され、前記第2のコンバータ(62R)および前記第2のドライバモジュール(100R、102R、106R、112R)がスレーブであり、
前記第2の電気機械(24R)の併給中、前記第2のコンバータ(62R)および前記第2のドライバモジュール(100R、102R、106R、112R)をマスタにするように、前記アーキテクチャが構成され、前記第1のコンバータ(62L)および前記第1のドライバモジュール(100L、102L、106L、112L)がスレーブである
ことを特徴とする、
請求項5に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項7】
前記電気的アーキテクチャが、
補助動力装置(APU)と、
前記補助動力装置(APU)を始動するための電気機械(74)と
を備え、
前記2つのコンバータ(62L、62R)が前記補助動力装置(APU)を始動するための前記電気機械(74)に供給することができるように、前記電気的アーキテクチャは構成される
ことを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項8】
前記電気的アーキテクチャが、電気エネルギを蓄積するための少なくとも1つの電池(70L、70R)を備え、
前記補助動力装置(APU)を始動するための前記電気機械(74)が、前記コンバータ(62L、62R)を介して、前記電池(70L、70R)によって供給される
ことを特徴とする、
請求項7に記載の電気的アーキテクチャ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の電気的アーキテクチャを備える航空機。
【請求項10】
請求項5に記載の電気的アーキテクチャを動作させるための方法であって、
前記第1および第2の電気機械(24L、24R)が、モータまたは発電機としての動作を可能とするように構成されて、前記2つのコンバータ(62L、62R)に供給することを可能にする
方法において、
前記第1の電気機械(24L)が発電機として動作するまで、前記第1の主エンジン(42L)を始動するように、モータとして動作する前記第1の電気機械(24L)に供給することと、
前記第1の主エンジン(42L)から機械エネルギを受け取ることであって、次いで、前記第1の電気機械(24L)が前記2つのコンバータ(62L、62R)に供給する、受け取ることと
を含み、
次いで、前記第2の主エンジン(42R)を始動するために、モータとして動作する前記第2の電気機械(24R)に供給すること
を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
補助動力装置(APU)を始動するため
の電気機械(74)が、モータまたは発電機としての動作を可能とするように構成されて、前記2つのコンバータ(62L、62R)に供給することを可能にする
方法において、
前記補助動力装置(APU)を始動するための電気機械(74)になるまで
、電池(70L、70R)から前記補助動力装置(APU)を始動するために、モータとして動作する前記補助動力装置(APU)を始動するための前記電気機械(74)に供給することと、
前記2つのコンバータ(62L、62R)に供給する発電機として動作する前記補助動力装置(APU)から機械エネルギを受け取ることと
を含み、
次いで、前記第1の主エンジン(42L)を始動するために、モータとして動作する前記第1の電気機械(24L)に供給すること
を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記補助動力装置(APU)が始動したあと、前記第1の電気機械(24L)による前記第1の主エンジン(42L)の始動の前に、前記航空機の車輪(78)を動かすため
の電気モータ(76)に供給すること
を含む
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のためのアーキテクチャ、当該アーキテクチャを備える航空機、および当該アーキテクチャを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空学の分野では、現在、電気機器の数が増加し、それによって、機載電力の量が増加している傾向がある。飛行機は一般に、機載給電ネットワークによって電力を供給する多くの電気負荷、たとえば、空調システム、および飛行機の主エンジンを始動する働きをする電気機械を備える。これらの負荷は、主に多相交流電気機械を作動させる。これらの機械に供給される電気エネルギは、直流電流または交流電流の形態で電気エネルギを提供する機載ネットワークに接続された電力コンバータから来る。機載ネットワークは、たとえば、発電機、蓄電池、または、飛行機の外部にあり、空港に駐機されているときに飛行機への電気の供給を可能にする給電ネットワークに接続するための手段さえ備えてもよい。飛行機は、多くの場合、540Vの直流回路網、および/あるいは、115Vまたは230V、400Hzの交流回路網を搭載している。
【0003】
機載機器は非常に多様であり、そのエネルギ消費量は経時的に大きく変化する。一例として、空調システムはほぼ恒常的に運転され、一方、主エンジンを始動する働きをする電気機械は、離陸前の非常に短い時間だけ作動する。
【0004】
電力コンバータは、機載ネットワークからエネルギを受け取り、それを負荷の電力および周波数要件に一致する多相交流エネルギに変換する。このコンバータと負荷との対応は、多くの場合、負荷に対する専用コンバータの実施を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
関連する負荷が同時に作動していないときにコンバータを相互的にする努力がなされてきた。しかしながら、空調システムは常に運転していなければならず、演繹的に、他の負荷のための関連するコンバータを使用して、これらのシステムの運転を中断することが可能であるとは思えない。さらに、コンバータを相互的にするために、このコンバータで供給できるさまざまな負荷が、類似した電力を消費することが好ましい。実際、複数の負荷が単一のコンバータに関連付けられると、最も消費電力の大きな負荷に応じてコンバータを設計する必要がある。
【0006】
本発明は、同じではない負荷、特に、空調システム、および主エンジンを始動する働きをする電気機械のためにコンバータを使用するように、コンバータを相互的にすることを目的とする。本発明は、複数のコンバータを有する任意の種類の航空機で実施されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は、2つの空調システムと、2つのコンバータであって、それぞれが空調システムの1つに供給することが意図される、2つのコンバータと、航空機の第1の主エンジンを始動する少なくとも1つの第1の電気機械とを備える、航空機のための電気的アーキテクチャに関する。本発明によると、電気的アーキテクチャは、2つのコンバータが同時に第1の電気機械に供給することができるように構成される。
【0008】
有利なことには、2つのコンバータのそれぞれは、少なくとも2つのインバータを備える。アーキテクチャは、インバータの少なくとも2つの第1のインバータを連結する働きをするカプラをさらに備える。電気機械は、カプラで供給することができる主巻線と、インバータの第2のインバータによって供給することができるエキサイタ巻線とを備える。
【0009】
有利なことには、所定の高度より低い位置で、2つのコンバータは、2つの空調システムのうちの1つにだけ供給するように構成される。
【0010】
有利なことには、各コンバータのインバータは、空気再循環ファンに供給してもよい。
【0011】
有利なことには、コンバータの少なくとも1つのインバータは、航空機の車輪を動かすための電気モータに供給してもよい。
【0012】
電気的アーキテクチャは、航空機の第2の主エンジンを始動する第2の電気機械を備えてもよい。有利なことには、電気的アーキテクチャは、2つのコンバータが同時に第1の電気機械または第2の電気機械に供給することができるように構成される。
【0013】
有利なことには、アーキテクチャは、2つのコンバータのうちの第1のコンバータと関連付けられた第1のドライバモジュールと、2つのコンバータのうちの第2のコンバータと関連付けられた第2のドライバモジュールと、第1のドライバモジュールと第2のドライバモジュールとの通信を可能にするバスとを備える。さらに、アーキテクチャは、第1の電気機械の併給中、第1のコンバータおよび第1のドライバモジュールをマスタにするように構成され、第2のコンバータおよび第2のドライバモジュールはスレーブである。アーキテクチャは、第2の電気機械の併給中、第2のコンバータおよび第2のドライバモジュールをマスタにするように構成され、第1のコンバータおよび第1のドライバモジュールはスレーブである。
【0014】
有利なことには、アーキテクチャは、補助動力装置と、補助動力装置を始動するための電気機械とを備える。さらに、電気的アーキテクチャは、2つのコンバータが補助動力装置を始動するための電気機械に供給することができるように構成される。
【0015】
有利なことには、アーキテクチャは、電気エネルギを蓄積するための少なくとも1つの電池を備える。さらに、補助動力装置を始動するための電気機械は、コンバータを介して、電池によって供給される。
【0016】
本発明は、本発明による電気的アーキテクチャを備える航空機にも関する。
【0017】
本発明は、本発明による、電気的アーキテクチャを動作させるための方法にも関し、第1および第2の電気機械は、モータまたは発電機としての動作を可能とするように構成されて、2つのコンバータに供給することを可能にし、当該方法は、第1の電気機械が発電機として動作するまで、第1の主エンジンを始動するように、モータとして動作する第1の電気機械に供給することと、第1の主エンジンから機械エネルギを受け取ることであって、次いで、第1の電気機械が2つのコンバータに供給する、受け取ることとを含み、次いで、第2の主エンジンを始動するために、モータとして動作する第2の電気機械に供給することを含むことを特徴とする。
【0018】
有利なことには、補助動力装置を始動するための電気機械は、モータまたは発電機としての動作を可能とするように構成されて、2つのコンバータに供給することを可能にし、当該方法は、補助動力装置を始動するための電気機械になるまで、電池から補助動力装置を始動するために、モータとして動作する補助動力装置を始動するための電気機械に供給することと、2つのコンバータに供給する発電機として動作する前記補助動力装置から機械エネルギを受け取ることとを含む。当該方法は、次いで、第1の主エンジンを始動するために、モータとして動作する第1の電気機械に供給することを含む。
【0019】
有利なことには、当該方法は、補助動力装置が始動したあと、第1の電気機械による第1の主エンジンの始動の前に、航空機の車輪を動かすために電気モータに供給することを含む。
【0020】
一例として提供される1つの実施形態の、説明が添付の図面に示されている詳細説明を読むと、本発明はよりよく理解され、さらなる利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】航空機の電気的アーキテクチャの第1の実施形態を示す。
【
図2】航空機の電気的アーキテクチャの第1の実施形態を示す。
【
図3】航空機の電気的アーキテクチャの第2の実施形態を示す。
【
図4】航空機の電気的アーキテクチャの第2の実施形態を示す。
【
図5】双発ジェット機の電気的アーキテクチャを概略的に示す。
【
図6】
図5のアーキテクチャを使用した例示的な方法を示す。
【
図7a】航空機の空調システムに供給することが可能である2つの変形形態を示す。
【
図7b】航空機の空調システムに供給することが可能である2つの変形形態を示す。
【
図9】電気的アーキテクチャのコンバータの駆動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
明瞭さのために、同じ要素は、それぞれの図において同じ参照番号を有する。
【0023】
図1は、2つの空調システム12および14を備える飛行機の例示的な電気的アーキテクチャ10を示す。これらのシステムは、ECS(環境制御システム)とも呼ばれる。これらの2つのシステムは、飛行機の客室における空気の温度を管理する働きをする。アーキテクチャは、2つのコンバータ16および18も備え、それぞれが、空調システム12および14のそれぞれ1つに供給することが意図されている。2つのコンバータ16および18は、交流バス20によって供給される。伝統的に、従来は115V、400Hzのバス、より最近は230V、400Hzのバスは、大きな飛行機上にある。これらのバスは、多くの場合、HVAC(高電圧交流)バスと呼ばれている。飛行機が空港の地上にあるとき、HVACバスは、飛行機の外部にある地上電源によって供給することができる。アーキテクチャ10は、変圧器または単巻変圧器22を備えてもよく、それは地上電源によって提供される電圧をHVACバスの電圧に一致させる働きをする。飛行中、HVACバスは、飛行機の主発電機によって供給されてもよい。発電機24は
図1に示されている。これらの発電機は一般に、飛行機の主エンジンに連結された電気機械である。HVACバスはまた、補助動力装置(すなわち、APU)によって供給されてもよい。APUは、飛行機の燃料を使用し、地上で、特に、空港が地上電源を有しないときに、または、飛行中、主発電機が停止されたときの給電の中断を回避するように着陸する前に、頻繁に使用される。
【0024】
コンバータ16および18のそれぞれは、HVACバスの電圧および周波数を空調システム12および14に一致させる働きをする。より一般的には、コンバータ16および18は、空調システム12および14に供給するために、機載ネットワークから電力を受ける働きをする。機載ネットワークは、示される例のようにACネットワークでもよく、またはDCネットワークでもよい。
【0025】
コンバータ16および18の各1つは、関連する空調システムに供給するために働く少なくとも1つのインバータを備える。示される例において、コンバータ16はインバータ26を備え、コンバータ18はインバータ28を備える。従来、インバータ26および28は三相インバータである。本発明は、相の数にかかわらず、使用することができる。インバータ26および28の各1つは、HVDC(高電圧直流)バスのそれぞれ30および32と呼ばれるDCバスからエネルギを受け取る。270VのDCバスまたは540VのDCバスは航空機上で頻繁に見られる。他のDC電圧は、本発明の文脈内で、当然、採用されてもよい。各コンバータ16および18は、整流器のそれぞれ34および36を備えてもよく、整流器34および36は、HVACバス20からエネルギを受け取り、それぞれのHVDCバス30または32に供給する。各コンバータは、特に、インバータ26および28の出力で、かつ/または、整流器34および36の入力で、フィルタ要素を備えてもよい。
【0026】
各コンバータ16および18は、第2のインバータのそれぞれ38および40を備えてもよく、第2のインバータ38および40は、そのコンバータのHVDCバスによって供給され、航空機の他の負荷へ供給する働きをする。所定のコンバータの2つのインバータは、異なる大きさでもよい。
図1に示される例において、コンバータ16については、インバータ26は、インバータ38によって出力される電力よりも大きい電力を出力してもよい。同様に、コンバータ18については、インバータ28は、インバータ40によって出力される電力よりも大きい電力を出力してもよい。それぞれのインバータは単方向でもよく、飛行機の負荷に供給することを可能にする。インバータは双方向でもよく、たとえば、負荷が次に発電する可能性がある場合はそうである。特に、双方向インバータは、時には電気エネルギを生成することが可能である電池または負荷を接続するのに使用されてもよい。
【0027】
本発明は、コンバータごとに2つのインバータに限定されない。要件に応じて、コンバータ16および18の各1つに、2つより多いインバータがあってもよい。
【0028】
コンバータ16および18は、他の終端で使用されてもよく、特に、飛行機の主エンジンを始動するために使用されてもよい。たとえば、飛行機が2つの主エンジンを有するとき、これらのそれぞれには、モータとして動作し、エンジンを始動する働きをする電気機械が割り当てられる。電気機械は可逆的でもよい。換言すれば、電気機械は、関連するエンジンが作動中であるとき、
図1に示される発電機24などの発電機としても作動してもよい。
【0029】
図2において、電気機械24は、飛行機の主エンジン42のうちの1つを始動するためのモータモードで示されている。本発明によると、2つのコンバータ16および18は同時に電気機械24に供給する。実際、コンバータ16および18は、それぞれが空調システムの1つに供給するように寸法を決められる。飛行機の主エンジンを始動する働きをする電気機械に供給するために、2つのコンバータ16および18が同時に使用され、それにより、これらのコンバータは、1つのみで電気機械24に供給できなければならない場合のような大型である必要はない。
【0030】
飛行機は一般に、いくつかの主エンジンを備え、概して、大きな飛行機は2つまたは4つの主エンジンを備える。エンジンは、連続して始動させることができる。より正確には、コンバータ16および18は、飛行機のAPUまたは電池からのエネルギを使用して、第1の主エンジンに割り当てられた第1の電気機械24に供給する。第1のエンジンが始動されると、その関連する電気機械は、HVACバスに供給するために、電流を生成することができる。そのとき初めて、コンバータ16および18は、第1の主エンジンの電気機械24から分離され、飛行機のすべてのエンジンが始動するまで、飛行機の第2の主エンジンに割り当てられた別の電気機械などに接続される。エンジンを始動するこのフェーズの間、空調システム12および14は供給されない。客室の熱慣性により、約1分であるこの短い供給中断は許容可能である。
【0031】
電気機械24は、2つの別々の巻線、主巻線24-1およびエキサイタ巻線24-2を備えてもよい。主巻線24-1は、エキサイタ巻線24-2より非常に多くの電力を必要とする。示される例において、2つのインバータ26および28は、主巻線24-1に供給するように結合される。一方、エキサイタ巻線24-2は、インバータ38が出力する電力のみ必要とする。2つのインバータ26および28の結合は、磁気カプラ43によって提供されてもよい。
【0032】
電気的アーキテクチャ10は、
図1の運転モードから
図2の運転モードへ移行する働きをする制御された接触器(図示せず)を備える。
【0033】
図1の運転モードでは、インバータ26および28のみが、空調システム12および14に供給するために使用される。インバータ38および40は、空気再循環ファン44および45などの、航空機の他の負荷に供給するために使用されてもよい。主エンジンの始動中、ファン44および45は一時的に供給されない。
【0034】
図3および4は、電気的アーキテクチャ47が参照番号46および48の2つのコンバータも備える、本発明の第2の実施形態を示す。コンバータ46は、HVACバス20によって供給されるHVDCバス30および整流器34を含む。同様に、コンバータ48は、HVACバス20によって供給されるHVDCバス32および整流器36を含む。コンバータ46および48の各1つにおいて、HVDCバスはそれぞれ、コンバータ46については50および52、コンバータ48については54および56の2つのインバータに供給する。
図1および2の実施形態とは対照的に、
図3および4では、所定のコンバータの2つのインバータは同一である。より詳細には、それらは、同じ公称電力を出力するように意図される。
【0035】
図3では、
図1のように、コンバータ46および48のそれぞれは、空調システム12および14のうちの1つに供給する。コンバータ46については、2つのインバータ50および52は、空調システム12に供給するために結合される。同様に、コンバータ48については、2つのインバータ54および56は、空調システム14に供給するために結合される。インバータは、インバータと関連する空調システムとの間に配置される磁気カプラによって結合されてもよい。あるいは、各インバータの相の数の2倍に等しい相の数を有している電気機械を備える空調システムを実装することが可能である。
【0036】
図1の実施形態に関しては、コンバータ46および48の少なくとも1つは、飛行機の車輪を動かすための電気モータなどの、飛行機の他の負荷に供給してもよい。
【0037】
図4では、
図2のように、コンバータ46および48は電気機械24に供給する。示される例において、インバータ52、54、および56は、主巻線24-1に供給するように結合される。一方、エキサイタ巻線24-2は、インバータ50が出力する電力のみ必要とする。
【0038】
図5は、双発飛行機の例示的な電気的アーキテクチャ60を概略的に示す。飛行機の2つの主エンジンは、右のエンジンのための参照番号42Rと、左のエンジンのための42Lとを有する。一般に、RまたはLの添字は、右または左のエンジンとのそれらの好ましい関係に応じて、上記の参照番号のために使用される。3つまたは4つのエンジンの飛行機にこのアーキテクチャを拡張することは、当然可能である。
【0039】
ここで、参照番号62Lおよび62Rを有する2つのコンバータがある。コンバータ62Lは、HVACバス20Lによって供給されるHVDCバス30Lおよび整流器34Lを含む。同様に、コンバータ62Rは、HVACバス20Rによって供給されるHVDCバス30Rおよび整流器34Rを含む。HVACバス20Lおよび20Rは、一緒に上記のHVACバス20を形成するために接続されてもよい。2つのHVACバス20Lと20Rとの間の接続は、恒久的でもよく、または、特に使用中、制御可能でもよく、それにより、バスの1つと関連付けられ、飛行機の右または左の機器のすべてに伝わる可能性がある構成要素の故障が発生した場合に、HVACバス20Lおよび20Rを分離することが可能である。
【0040】
上記のように、アーキテクチャ60は、飛行機が地上にあるとき、地上電源に接続されてもよい。接続は、HVACバス20Lおよび20Rの1つを介して、場合によっては、変圧器または単巻変圧器22を介して確立される。
図5において、変圧器22はHVACバス20Rに接続されている。接続はHVACバス20Lで確立することもできる。
【0041】
コンバータ62Lおよび62Rの各1つにおいて、HVDCバスはそれぞれ、コンバータ62Lについては64Lおよび66L、コンバータ62Rについては64Rおよび66Rの2つのインバータに供給する。所定のコンバータの2つのインバータは、
図1および2の実施形態のように異なってもよく、または、
図3および4の実施形態のように同じでもよい。さらに、コンバータ62Lおよび62Rのそれぞれは、基本のDC-DCコンバータのそれぞれ68Lおよび68Rを備えてもよく、DC-DCコンバータのそれぞれ68Lおよび68Rは、電池のそれぞれ70Lおよび70Rから、場合によっては、低電圧直流(LVDC)バスのそれぞれ72Lおよび72Rを介して、エネルギを充電または引き込むことができる。
【0042】
各主エンジン42Lおよび42Rは、電気機械のそれぞれ24Lおよび24Rを割り当てられ、電気機械24Lおよび24Rは、関連する主エンジンを始動するためのモータとして作動することができ、かつ、HVACバス20Lまたは20Rに供給する発電機として作動することができる。
【0043】
飛行機は、補助動力装置(APU)、および、APUを始動するための電気機械74を備えてもよい。電気機械24Lおよび24Rの場合のように、電気機械74は、APUを始動するためのモータとして作動してもよく、あるいは、APUが始動されると、たとえば、HVACバス20Lまたは20Rの1つで、電気的アーキテクチャ60に供給するために、発電機として作動してもよい。電気機械74は代わりに、アーキテクチャ60の別の点、たとえば、HVDCバス30Lまたは30Rの1つで、または、LVDCバス72Lまたは72Rの1つで接続されてもよい。
【0044】
図5は、電気機械24Lまたは24Rの一方または他方へ供給する働きをする磁気カプラ43も示す。一般に、APUの始動に必要な電力は、主エンジン42Lおよび42Rの始動に必要な電力よりも小さい。APUを始動するための電気機械74に供給するために、単一のインバータのみ使用することが可能である。あるいは、APUの始動に必要な電力を必要とする場合、電気機械74に供給するために、カプラ43を複数のインバータを一緒に結合するために使用してもよい。
【0045】
アーキテクチャ60は、コンバータ62Lおよび62Rによってそれぞれ供給される空調システム12および14も含む。
【0046】
2つの空調システムを備える多数の飛行機で、飛行中、これらを両方とも使用しないことが可能である。より詳細には、所定の高度以下で、2つの空調システムのうちの1つだけを使用することが好都合である可能性がある。保持された空調システムに供給するために、2つのコンバータ62Lおよび62Rの一方のみを使用することが可能である。この状況において、2つのコンバータのうちの他方は空調のために使用されない。あるいは、2つのコンバータ62Lおよび62Rの使用のバランスをとることは好都合である。次いで、結合された2つのコンバータを使用して、保持された空調システムに供給することは望ましい。専用カプラを使用して、または、主エンジン42Lおよび42Rが始動したあと、もはや使用されていないカプラ43を再使用することによって、結合することができる。
【0047】
地上で移動するために、特に、駐機場から滑走路まで、2つの駐機場の間で、または、滑走路から駐機場まで移動するために、飛行機は一般に、その主エンジンである、燃料を動力源とするターボファンまたはターボプロップを使用する。これらのエンジンは、汚染および騒音の不快なレベルを生み出す。地上での移動のために、飛行機が移動できるように、その車輪を動かすことができる電気モータを有する飛行機の着陸装置を備えることが可能である。
図5は、着陸装置78を動かす電気機械76を示す。この場合、電気機械76はインバータ64Lによって供給される。複数のインバータを使用して電気機械76に供給することは、当然可能である。さらに、たとえば、着陸装置78の車輪にブレーキをかけるために、電気機械76を発電機として使用することができる。その場合、電気機械76が接続されるインバータは、モータまたは発電機のいずれかとしての電気機械76の運転モードに応じて、エネルギを供給または回収するように可逆的である。
【0048】
図5において、さまざまな機器を、コンバータ62Lおよび62Rに接続することができる。飛行機上のその他の機器も、コンバータ62Lおよび62Rに接続可能である可能性もある。この機器は、コンバータ62Lおよび62Rにすべてが恒久的には接続されていない。接触器(図示せず)は、機器の1つまたは複数の要素を接続する働きをする。機器のさまざまな要素の接続は、飛行機のミッション中、経時的に変化する。たとえば、地上滑走中、飛行機の車輪を動かすための1つまたは複数の電気モータに供給するために、空調システム、この場合には空調システム12の少なくとも1つへの供給を中断することが可能である。
【0049】
図6は、
図5のアーキテクチャを採用する例示的な方法を示し、飛行機のミッションの方法のさまざまな段階は互いに代わってもよい。
【0050】
飛行機がその駐機場で静止しているとき、飛行機は一般に、地上電源によって供給され、HVACネットワーク20Lおよび20Rは、変圧器22を介してエネルギを受け取る。第1のステップ80では、空調システム12または14の少なくとも1つが供給される。乗客が飛行機に搭乗している間、空調は特に有用である。
【0051】
搭乗が終わると、飛行機は、その駐機場を離れることができなければならない。次いで、地上電源は切り離され、ステップ82で、補助動力装置APUが始動される。APUの始動は、その切離しの前に地上電源から、あるいは、電池70Lおよび/または70Rから、エネルギを受けることによって行うことができる。APUの始動は、2つのコンバータ62Rまたは62Lのうちの1つだけを必要とする可能性がある。この場合、空調ユニット12または14の1つへの供給を維持することが可能である。空調ユニット14のための供給は、ステップ84によって示される。あるいは、ステップ82の間、空調ユニット12および14の一方または両方への供給を中断することが可能である。APUの始動は通常、約1分かかる可能性がある。この経過時間の間、客室の慣性は、許容可能なままである乗客快適性の劣化には十分である。
【0052】
APUの始動後、飛行機は、滑走路に移動することができなければならない。最近の飛行機では、この地上滑走は、着陸装置78を動かす1つまたは複数の電気機械76によって行うことができる。1つまたは複数の電気機械76はステップ86で動かされる。1つまたは複数の電気機械76は、2つのコンバータ62Lまたは62Rのうちの1つだけを使用してもよい。他のコンバータは、空調システム12または14の1つに供給するのに使用されてもよい。空調システムの1つに供給し、同時に、1つまたは複数の電気機械76に供給することは、
図5のステップ88によって示される。あるいは、1つまたは複数の電気機械76が、運転するためにコンバータ62Lおよび62Rの両方を必要とする場合、2つの空調システム12および14の運転を一次停止することが可能である。その場合、ステップ88は省略される。
【0053】
主エンジン42Lおよび42Rは、離陸前に連続して始動される。より正確には、モータとして動作する電気機械24Lが、主エンジン42Lを始動する。この始動は、
図6のステップ90によって表される。始動後、主エンジン42Lは、次に発電機として動作する電気機械24Lを駆動してもよく、次いで、2つのコンバータ62Lおよび62Rに供給してもよい。
【0054】
次いで、モータとして動作する電気機械24Rが、主エンジン42Rを始動し、それはステップ92によって
図5に示されている。すでに述べたように、始動後、主エンジン42Rは、次に発電機として動作して、2つのコンバータ62Lおよび62Rに供給する電気機械24Rを駆動してもよい。
【0055】
従来、双発飛行機では、左の主エンジンは、右の主エンジンより前に始動される。飛行機の左または右への配置は純粋に慣例の問題である。当然、本発明の範囲から逸脱することなく、左の主エンジンの前に右の主エンジンを始動することが可能である。
【0056】
ステップ90および92では、2つのコンバータ62Lおよび62Rは、2つの主エンジン42Lおよび42Rを連続して始動するのに使用される。ステップ90および92の間、空調システム12および14は、もはや供給されない。2つの主エンジン42Lおよび42Rの始動後、空調システム12および14への供給は再開される。
【0057】
2つの空調システム12および14への供給を切り離すことが可能である。2つのシステムのうちの1つのみ、たとえば、空調システム12は、ステップ94の間、供給される。上記のように、2つのコンバータ62Lおよび62Rが空調システム12に同時に供給するように、カプラ43が使用されてもよい。次いで、飛行機がステップ96の間に所定の高度に到達すると、空調システム12および14の両方が、それぞれコンバータ62Lおよび62Rのうちの1つによって供給される。
【0058】
図7aおよび7bは、空調システムのうちの1つ、たとえば、システム12に供給することが可能であり、空調システム14は供給されない2つの変形形態を示す。空調システムのうちの1つにだけ供給することは、ステップ84、88、および94で行うことができる。
図7aでは、空調システム12は、磁気カプラ43を使用してインバータ64Lおよび66Rによって供給される。インバータ64Lおよび66Rの相の数が、空調システム12の電気機械、特に、圧縮機を駆動する電気機械の相の数と同じであるとき、磁気カプラの使用は好都合である。従来、三相でもあるインバータで次に動作する三相電気機械を実行する。
図7aでは、コンバータ62Lおよび62Rの各1つのインバータが、空調システム12に供給するために使用される。これは、HVACネットワーク20Lおよび20Rのバランスをとることを可能にする。あるいは、HVACネットワーク20Lおよび20Rのバランスをとる必要がないとき、または、空調システム12のために使用されないインバータがバランスを提供する他の負荷のために使用されるとき、所定のコンバータの2つのインバータを使用して、空調システム12に供給することが可能である。
【0059】
図7bでは、2つのインバータ64Lおよび66Rは、磁気カプラなしで空調システム12に直接供給する。この変形形態は、空調システム12の電気機械の相の数がインバータ64Lおよび66Rの相の数の2倍であるとき、好都合である。たとえば、インバータは三相でもよく、そして、空調システム12の電気機械は六相でもよく、それはカプラで分配することを可能にする。
【0060】
図7aおよび7bの2つの変形形態は、
図3および4に示されるコンバータ62Lおよび62Rを実行する。
図1および2に示されるコンバータ16および18を使用するこれらの2つの変形形態を実行することも可能である。
【0061】
さらにまた、
図7aおよび7bのその両方の変形形態では、航空機の他の負荷に供給するために、空調システム12に供給するために使用されないそれらのインバータを使用することが可能である。
【0062】
図8は、複数のインバータ、さらに詳細には、各インバータの相の結合に好適である磁気カプラ43の例を示す。
図8のカプラは、インバータが多相であるとき、相の各1つのために複製される。
【0063】
ここでO1、O2、およびO3と表示された各インバータの相と直列に、インダクタは接続される。
図8は、3つのインダクタL1、L2、およびL3を示す。インダクタの数は、結合されるインバータの数に応じて適合される。インバータO1、O2、およびO3に接続されていないインダクタL1、L2、およびL3の端子は互いに接続されて、電気機械に供給することが意図される、空調システム12または主巻線24-1のカプラ出力相などのカプラ出力相Pを形成する。1つまたは複数の接触器Kは、カプラ43によって供給される負荷の要件に応じて、インダクタL1、L2、およびL3を互いに一時的に接続する働きをする。
図8はスイッチKを示す。スイッチの任意の組合せが、望ましい結合を提供するために実行されてもよい。
【0064】
図9は、コンバータの駆動を示す。この駆動は、電気的アーキテクチャのさまざまな実施形態で実行することができる。前述のように、駆動は、
図3および4に示されるコンバータ62Lおよび62Rに関して示される。
図1および2に示されるコンバータ16および18のためにこの駆動を実行することも可能である。
【0065】
各コンバータ62Lおよび62Rと、さらに詳細には、各インバータと関連付けられるパルス幅変調器PWMは、インバータの各1つの電子スイッチを開閉するために、バイナリ命令を出力する。PWM変調器100Lは、コンバータ62Lと関連付けられて、インバータ64Lおよび66Lを駆動する。PWM変調器100Rは、コンバータ62Rと関連付けられて、インバータ64Rおよび66Rを駆動する。各コンバータは、さまざまインバータに属する電子スイッチのゲートに直接、接続される閉制御(図示せず)を備えてもよい。閉制御は、変調器100Lおよび100Rによって出力されるバイナリ命令に基づいて、スイッチの好適な信号を生成する。
【0066】
パルス幅変調器100Lおよび100Rのそれぞれの上流で、電気的アーキテクチャは、インバータの電流帰還モジュールのそれぞれ102Lおよび102Rを備える。電流センサは、各インバータからの出力電流を測定し、この測定値をそれぞれのモジュール102Lまたは102Rに送信する。電流センサは、対応するインバータの下流の、コンバータに配置されるフィルタ要素に配置されてもよい。電流センサは、相の1つで、または、対応するインバータの各相で同時に、その測定を実行してもよい。モジュール102Lまたは102Rおよび1つまたは複数の関連する電流センサは、電流ループと呼ばれるフィードバックループを形成し、電流設定値のそれぞれ104Lまたは104Rを受信する。各モジュール102Lまたは102Rは、対応するインバータで出力される電流が電流設定値104Lおよび104Rに従うために、PWM変調器の各1つにデューティサイクルを出力する。
【0067】
モジュール102Lおよび102Rの各1つの上流で、アーキテクチャは、インバータで供給される負荷の動作のためのフィードバックモジュールを備える。
図9では、これらのモジュールはそれぞれ、参照番号106Lおよび106Rを有する。各モジュール106Lおよび106Rと関連付けられる、1つまたは複数の動作センサは、インバータの各1つによって供給される負荷の動作の特性であるパラメータを測定する。これは、たとえば、モータの回転速度またはそれが出力するトルクでもよい。
図9において、動作センサは、参照番号108Lおよび108Rをそれぞれ有する。インバータで供給できる各負荷はその独自の動作センサを有し、関連するセンサへのモジュール106Lおよび106Rの接続は、インバータで供給される負荷に応じて変化する。
【0068】
モジュール106Lまたは106Rおよびその関連するセンサ108Lおよび108Rは、負荷ループと呼ばれるフィードバックループを形成し、負荷110Lまたは110Rの動作設定値を受信する。負荷ループは、負荷12の動作に特有であるパラメータが負荷の動作のための設定値110Lまたは110Rに従うように、電流設定値104Rまたは104Lを修正する。
【0069】
各モジュール106Lおよび106Rの上流で、アーキテクチャは、モード選択モジュールのそれぞれ112Lおよび112Rを備えてもよい。このモジュールは、負荷の動作を定義する高レベル設定値を受信する。たとえば、主エンジンと関連付けられる電気機械24については、設定値は、電気機械24が、HVACネットワークに供給するために発電機として動作するか、関連する主エンジンを始動する働きをするモータとして動作するかを定義することができる。発電機モードでは、高レベル設定値は、たとえば、発電機が供給しなければならない電圧を定義してもよい。
【0070】
この設定値は、航空機のコックピットと主エンジンとの間をインタフェースする主エンジン管理システムから生じてもよい。管理システムは、多くの場合、FADEC(「全自動デジタルエンジンコントロール(Full Authority Digital Engine Control)」)と呼ばれる。エンジン管理システムは、フライトコントロールを介してパイロットによって設定される出力要求に応じて、特に、エンジンのタービンへの燃料噴射を管理する。設定値は、GCU(「ゼネレータコントロールパネル(Generator Control Unit)」)と呼ばれる航空機の発電機を管理するためのシステムから同様に生じてもよい。
【0071】
図9において、モジュール106Lおよび112Lは実線で示され、モジュール106Rおよび112Rは破線で表される。さらに、
図9は、さまざまなモジュール100L、100R、102L、102R、106L、106R、112L、および112Rが接続されたバス120を示す。モジュール106Rおよび112Rの破線の描写は、2つのコンバータ62Lおよび62Rが所定の負荷、たとえば、電気機械24Lまたは空調システム12に同時に供給するという事実を示す。
【0072】
本作動モードでは、供給された負荷と関連付けられたセンサ108Lのみが、動作フィードバックモジュール106Lにのみ送信される測定値を提供する。電流設定値104Lはモジュール106Lによって出力される。一方、モジュール106Rは作動していない。電流設定値104Rは、モジュール106Lによっても生成されて、バス120を介してモジュール102に送信される。
【0073】
PWM変調器100Lはまた、関連するインバータがより容易に結合できるために、情報、特に同期設定をPWM変調器100Rに送信してもよい。
【0074】
2つのエンジン42Lおよび42Rの始動は、ステップ94および96で連続して行われる。航空機の電気的アーキテクチャにおいてただ1つのモジュールを有するように、モジュール106Rおよび106Lを相互的にすることは可能である。しかしながら、航空機の左の機器と右の機器との間のクロスオーバーを回避することは好都合である。よって、各コンバータは、そのモジュール106RまたはL、および、112RまたはLを有する。電気機械24Rの供給中、モジュール106Rおよび110Rは動作中であり、それらの設定値およびそれらの同期設定を、バス120を介して、電流帰還モジュール102LおよびPWM変調器100Lに送信する。
【0075】
コンバータを駆動するために、さまざまなモジュールへの提案された分割が一例としてのみ提供されている。他の分割またはフィードバックループが現れてもよい。コンバータの各1つと関連付けられるさまざまなモジュールの間の機能的区別は、本発明の範囲から逸脱することなく変えてもよい。
【0076】
より一般的には、航空機の左の負荷、特に、左の主エンジン42Lまたは左の空調システム12に供給するとき、左のコンバータ62Lおよびその駆動手段はマスタとして動作する。右のコンバータ62Rおよびその駆動手段は、左の負荷への供給に寄与するとき、スレーブとして動作する。逆に、航空機の右の負荷に供給するとき、右のコンバータ62Rおよびその駆動手段はマスタとして動作し、一方、左のコンバータ62Lおよびその駆動手段は、右の負荷への供給に寄与するとき、スレーブとして動作する。
【符号の説明】
【0077】
10、47、60 電気的アーキテクチャ
12、14 空調システム
16、18、46、48、62L、62R コンバータ
24、24L、24R、74 電気機械
24-1 主巻線
24-2 エキサイタ巻線
26、28、38、40、50、52、54、56、64L、64R、66L、66R インバータ
42、42L、42R 主エンジン
43 カプラ
44、45 空気再循環ファン
70L、70R 電池
76 電気モータ
78 車輪
100L、100R、102L、102R、106L、106R、112L、112R ドライバモジュール
120 バス
APU 補助動力装置