IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カネカの特許一覧

<>
  • 特許-定温保管容器 図1
  • 特許-定温保管容器 図2
  • 特許-定温保管容器 図3
  • 特許-定温保管容器 図4
  • 特許-定温保管容器 図5
  • 特許-定温保管容器 図6
  • 特許-定温保管容器 図7
  • 特許-定温保管容器 図8
  • 特許-定温保管容器 図9
  • 特許-定温保管容器 図10
  • 特許-定温保管容器 図11
  • 特許-定温保管容器 図12
  • 特許-定温保管容器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】定温保管容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
B65D81/38 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019118809
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2020164241
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2019061703
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】安本 考広
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 寿広
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3208996(JP,U)
【文献】特開2017-141053(JP,A)
【文献】特開2013-189996(JP,A)
【文献】特開2009-006556(JP,A)
【文献】特開平10-147337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 6/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱容器を収容する外箱と、
断熱容器における角部で隣接する内壁面を構成する真空断熱パネルと、前記真空断熱パネルの端部に配置された軟質発泡断熱材と、を有する、少なくとも2つの壁面パネルと、
前記壁面パネル同士が隣り合う前記角部に配置された、熱可塑性樹脂からなる硬質発泡断熱材と、を備え、
前記硬質発泡断熱材は、一体成形体であり、前記角部における隣り合う前記2つの壁面パネルの外側および内側の両面に接触する接触面を有し、
前記軟質発泡断熱材は、軟質発泡ポリウレタン、軟質塩化ビニル発泡体、シリコーン発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、フッ素樹脂発泡体、発泡ゴムの何れかからなり、
前記軟質発泡断熱材は、シリコーン発泡体と、軟質発泡ポリウレタン、軟質塩化ビニル発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、フッ素樹脂発泡体および発泡ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、を組合せた材料からなる、定温保管容器。
【請求項2】
断熱容器を収容する外箱と、
断熱容器における角部で隣接する内壁面を構成する真空断熱パネルと、前記真空断熱パネルの端部に配置された軟質発泡断熱材と、を有する、少なくとも2つの壁面パネルと、
前記壁面パネル同士が隣り合う前記角部に配置された、熱可塑性樹脂からなる硬質発泡断熱材と、を備え、
前記硬質発泡断熱材は、一体成形体であり、前記角部における隣り合う前記2つの壁面パネルの外側および内側の両面に接触する接触面を有し、
前記真空断熱パネルの端部は、階段状である、定温保管容器。
【請求項3】
断熱容器を収容する外箱と、
断熱容器における角部で隣接する内壁面を構成する真空断熱パネルと、前記真空断熱パネルの端部に配置された軟質発泡断熱材と、を有する、少なくとも2つの壁面パネルと、
前記壁面パネル同士が隣り合う前記角部に配置された、熱可塑性樹脂からなる硬質発泡断熱材と、を備え、
前記硬質発泡断熱材は、一体成形体であり、前記角部における隣り合う前記2つの壁面パネルの外側および内側の両面に接触する接触面を有し、
前記硬質発泡断熱材は、前記壁面パネルの端部全体を覆うように収容する収容部を有する、定温保管容器。
【請求項4】
前記軟質発泡断熱材は、軟質発泡ポリウレタン、軟質塩化ビニル発泡体、シリコーン発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、フッ素樹脂発泡体、発泡ゴムの何れかからなる、請求項2または3に記載の定温保管容器。
【請求項5】
前記軟質発泡断熱材は、シリコーン発泡体と、軟質発泡ポリウレタン、軟質塩化ビニル発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、フッ素樹脂発泡体および発泡ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、を組合せた材料からなる、請求項4に記載の定温保管容器。
【請求項6】
前記真空断熱パネルの端部は、階段状である、請求項3記載の定温保管容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定温保管容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡スチロール等の断熱材を用いた定温保管容器が知られている。近年、凍結細胞等を保管または輸送する場合、定温保管容器は、極低温領域での温度維持が要求される。このような凍結細胞等の定温保管容器に発泡スチロール等の断熱材を用いた場合、発泡スチロール等の断熱性能では、断熱材の厚さが大きくなる、大量の蓄熱材を使用する必要があるといった問題がある。この結果、定温保管容器の重量が大きくなる。
【0003】
そこで、凍結細胞等の保管・輸送においては、断熱性能に優れた定温保管容器が要求されている。なかでも、真空断熱材は、厚み方向の熱伝導率が極めて低い。それゆえ、真空断熱パネルを使用した定温保管容器が注目されている。
【0004】
例えば特許文献1には、側面板が、前記収容空間側の表面上の、少なくとも他の前記側面板と接する辺の内側に沿って弾性体が配置された断熱パネルであり、隣接する側面板の弾性体同士が接触している保冷保温用箱体が開示されている。特許文献1に記載の保冷保温用箱体では、真空断熱パネル同士の接合部の隙間から熱が漏洩することを防止できる。
【0005】
また、特許文献2には、側壁を構成する互いに隣り合う真空断熱パネル同士を連結するネジを備えた断熱容器が開示されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、隣接する真空断熱パネル間の隙間部分に外気侵入防止用の弾性体からなるシール材が設けられた断熱箱体が開示されている。特許文献3に開示された断熱箱体では、隣接する真空断熱パネルを跨るようにカバー材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-52553号公報
【文献】特開2018-203355号公報
【文献】特開2011-247535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された保冷保温用箱体では、隣接する側面板の密着性を維持するために、隣接する側面板の弾性体同士の接触を維持する機構(例えば外箱の寸法を小さくする)が必要になる。また、特許文献2に記載の構成では、隣り合う真空断熱パネル同士を連結するためにネジの締結が必要となる。
【0009】
つまり、特許文献1,2のような従来技術では、真空断熱パネル同士の接合部の隙間から熱が漏洩することを防止するために、真空断熱パネル同士の接合部の支持部材に加え、真空断熱パネル同士の接合を維持する機構(ネジ等)が必要となる。このため、断熱容器の組み立ての際の工程が複雑化するといった問題点があった。
【0010】
また、特許文献3に開示された断熱箱体では、隣接する真空断熱パネルを跨るように設けられたカバー部材、および外気侵入防止用のシール材によって、真空断熱パネルの互いに隣接する接合部からの外気の侵入を防止している。しかし、前記カバー部材は、樹脂製の薄板であるため、外部から侵入してくる熱がカバー部材自体を通じて断熱箱内部に伝わりやすくなるという問題がある。
【0011】
さらに、特許文献3のような、隣接する真空断熱パネル間の隙間部分に外気侵入防止用の弾性体からなるシール材が設けられた構成では、外部からの衝撃や輸送時の振動により、断熱箱体を箱形状に保つことが困難であり、シール性を保つことができない。このため、真空断熱パネルを外箱または内箱に接着剤等により貼り合わせて固定する必要がある。また、真空断熱パネルが劣化したとき、劣化したパネルのみを取り換えることができないという問題がある。すなわち、特許文献3に開示された断熱箱体においても、真空断熱パネル同士の接合を維持するために、断熱箱体の組立工程が複雑化する。
【0012】
本発明の一態様は、簡便に、真空断熱パネル同士の接合部の隙間から熱が漏洩することを防止し得る定温保管容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る定温保管容器は、断熱容器を収容する外箱と、断熱容器における角部で隣接する内壁面を構成する真空断熱パネルと、前記真空断熱パネルの端部に配置された軟質発泡断熱材と、を有する、少なくとも2つの壁面パネルと、前記壁面パネル同士が隣り合う前記角部に配置された、熱可塑性樹脂からなる硬質発泡断熱材と、を備え、前記硬質発泡断熱材は、一体成形体であり、前記角部における隣り合う前記2つの壁面パネルの外側および内側の両面に接触する接触面を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、簡便に、真空断熱パネル同士の接合部の隙間から熱が漏洩することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る定温保管容器の概略構成を示す分解斜視図である。
図2】2010は、図1に示す定温保管容器における断熱容器1の概略構成を示す分解斜視図であり、2020は、2010に示す断熱容器を側壁パネル側から見た正面図であり、2030は、2010に示す断熱容器に備えられた硬質発泡断熱材の概略構成を示す斜視図であり、2040は、2010において、硬質発泡断熱材を除いたときの断熱容器の概略構成を示す分解斜視図である。
図3】3010は、硬質発泡断熱材に2つの隣り合う側壁パネルを挿入する様子を模式的に示す、水平方向で切断した断面図であり、3020は、3010に示す硬質発泡断熱材の概略構成を示す斜視図であり、3030は、3010に示す硬質発泡断熱材に挿入された、2つの隣り合う側壁パネルの概略構成を模式的に示す、水平方向で切断した断面図であり、3040は、3010に示す硬質発泡断熱材の他の変形例を示す斜視図である。
図4】4010~4030は、本発明の実施形態1に係る定温保管容器における断熱容器の真空断熱パネルの変形例の概略構成を示す平面図である。
図5】5010および5020は、本発明の実施形態1に係る定温保管容器における断熱容器の天面パネルの構成例を示す断面図である。
図6】対象物の定温輸送に使用される定温保管容器の概略構成を示す断面図である。
図7】断熱容器が二重壁構造である定温保管容器の構成例を示し、7010は分解斜視図であり、7020は断面図である。
図8】8010は、本発明の実施形態2に係る定温保管容器に備えられた硬質発泡断熱材に2つの隣り合う側壁パネルを挿入する様子を模式的に示す、水平方向で切断した断面図であり、8020は、8010に示す硬質発泡断熱材の概略構成を示す斜視図であり、8030は、8010に示す硬質発泡断熱材に挿入された、2つの隣り合う側壁パネルの概略構成を模式的に示す、水平方向で切断した断面図である。
図9】9010は、本発明の実施形態3に係る定温保管容器に備えられた硬質発泡断熱材に2つの隣り合う側壁パネルを挿入する様子を模式的に示す、水平方向で切断した断面図であり、9020は、9010に示す硬質発泡断熱材の概略構成を示す斜視図であり、9030は、9010に示す硬質発泡断熱材に挿入された、2つの隣り合う側壁パネルの概略構成を模式的に示す、水平方向で切断した断面図である。
図10】10010~10030は、本発明の実施形態4に係る定温保管容器に備えられた硬質発泡断熱材の概略構成を模式的に示した断面図である。
図11】11010は、本発明の実施形態5に係る定温保管容器の内部の概略構成を示す平面図であり、11020は、本発明の実施形態5に係る定温保管容器の垂直断面図である。
図12】12010は、変形例1の定温保管容器の内部の概略構成を示す平面図であり、12020は、変形例1の定温保管容器の垂直断面図である。
図13】13010は、本発明の実施形態6に係る定温保管容器の内部の概略構成を示す平面図であり、13020は、本発明の実施形態6に係る定温保管容器の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る定温保管容器100の概略構成を示す分解斜視図である。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態に係る定温保管容器100は、断熱容器10と、断熱容器10を収容する外箱20と、を備えている。外箱20は、断熱容器10が収容される外箱本体21と、外箱本体21を閉塞する蓋部22と、を備えている。外箱本体21および蓋部22の材料は、特に限定されないが、ポリスチレン系樹脂発泡体、ポリオレフィン系樹脂発泡体などの発泡樹脂、プラスチック段ボール、紙製ダンボールなどの段ボールが好ましく、断熱性の観点からポリスチレン系樹脂発泡体、ポリオレフィン系樹脂発泡体などの発泡樹脂がより好ましい。また、外箱20は、発泡樹脂と段ボールとを組み合わせて構成してもよい。さらに、外箱20は、外装材を備えていてもよく、外装材は、例えば、繊維製シートの一方の面にアルミ蒸着されたアルミ蒸着シートで構成されている。外箱20は、断熱容器10を適合して収容する寸法に形成される。断熱容器10は、外箱20に収容される。
【0018】
断熱容器10は、直方体の箱形状であり、側壁面を構成する側壁パネル1~4と、底面を構成する底面パネル5と、天面を構成する天面パネル6と、を備えている。側壁パネル1~4は、断熱容器10の角部A~Dにて、互いに端部が隣り合うように配置されている。なお、ここでは、断熱容器10における底面パネル5側を下側とし、その反対側(すなわち、天面パネル6側)を上側とする。また、側壁パネル1~4各々について、下側から上側へ向かう方向を高さ方向とし、当該高さ方向および側壁パネルの厚さ方向の両方に垂直な方向を幅方向とする。
【0019】
また、断熱容器10では、側壁パネル1~4、底面パネル5、および天面パネル6は、真空断熱パネルを備えている。なお、断熱容器10においては、側壁パネル1~4、底面パネル5、および天面パネル6のうち少なくとも隣り合う2つのパネルが真空断熱パネルを備えていればよい。
【0020】
図2の2010は、断熱容器10の概略構成を示す分解斜視図である。また、図2の2020は、断熱容器10を側壁パネル1側から見た正面図である。また、図2の2030は、断熱容器10に備えられた硬質発泡断熱材11の概略構成を示す斜視図である。図2の2040は、図2の2010において、硬質発泡断熱材11~14を除いたときの断熱容器10の概略構成を示す分解斜視図である。なお、図2の2040においては、側壁パネル1単独の構成を示す斜視図も示している。
【0021】
図2の2010および2020に示されるように、本実施形態に係る定温保管容器100では、側壁パネル1~4各々が隣り合う角部A~Dには、熱可塑性樹脂からなる硬質発泡断熱材11~14が設けられている。また、図2の2030に示されるように、硬質発泡断熱材11は、一体成形体であり、断熱容器10の角部Aにおいて、隣り合う側壁パネル1および2が挿入されるように構成されている。硬質発泡断熱材11の構造については、後述する。なお、硬質発泡断熱材12~14は、硬質発泡断熱材11と同様の構造である。
【0022】
断熱容器10は、例えば、次の手順により組立てることが可能である。まず、側壁パネル1~側壁パネル4をそれぞれ硬質発泡断熱材11~14に挿入することにより、断熱容器10の側壁部分を組立てる。次いで、この断熱容器10の側壁部分の下端部および上端部それぞれに、底面パネル5および天面パネル6を設置する。
【0023】
また、図2の2040に示されるように、側壁パネル1は、真空断熱パネル1aと、軟質発泡断熱材1bおよび1cと、を備えている。そして、側壁パネル1は、断熱容器10の外部空間に接する外側側面1dと、断熱容器10の内部空間に接する内側側面1eと、を有する。また、側壁パネル2は、真空断熱パネル2aと、軟質発泡断熱材2bおよび2cと、を備えている。そして、側壁パネル2は、断熱容器10の外部空間に接する外側側面2dと、断熱容器10の内部空間に接する内側側面2eと、を有する。なお、側壁パネル3および4は、側壁パネル1および2と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0024】
真空断熱パネル1aおよび2aは、断熱容器10の側壁面を構成する部材である。軟質発泡断熱材1bおよび1cは、真空断熱パネル1aの両端部に設けられている。また、軟質発泡断熱材2bおよび2cは、真空断熱パネル2aの両端部に設けられている。より具体的には、真空断熱パネル1aにおける側壁パネル2側の端部に軟質発泡断熱材1bが設けられており、真空断熱パネル1aにおける側壁パネル3側の端部に軟質発泡断熱材1cが設けられている。同様に、真空断熱パネル2aにおける側壁パネル3側の端部に軟質発泡断熱材2bが設けられており、真空断熱パネル2aにおける側壁パネル1側の端部に軟質発泡断熱材2cが設けられている。
【0025】
軟質発泡断熱材1bおよび1c並びに2bおよび2c(以下、単に軟質発泡断熱材と称することもある)の材料は、断熱性の軟質発泡体であれば、特に限定されない。軟質発泡断熱材は、軟質発泡ポリウレタン、軟質塩化ビニル発泡体、シリコーン発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、フッ素樹脂発泡体、発泡ゴムの何れか、またはこれらを組み合わせた材料からなることが好ましい。これらの中でも、粘着性により側壁パネル固定できることから、軟質発泡断熱材は、好ましくは、シリコーン発泡体と、軟質塩化ビニル発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、フッ素樹脂発泡体および発泡ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、を組み合わせた材料からなるか、あるいはシリコーン発泡体からなる。
【0026】
図3の3010は、硬質発泡断熱材11に側壁パネル1および2を挿入する様子を模式的に示す、水平方向で切断した断面図である。また、図3の3020は、硬質発泡断熱材11の概略構成を示す斜視図である。また、図3の3030は、硬質発泡断熱材11に挿入された側壁パネル1および2の概略構成を模式的に示す、水平方向で切断した断面図である。図3の3040は、硬質発泡断熱材11の他の変形例を示す斜視図である。
【0027】
また、硬質発泡断熱材11は、図3の3010および3020に示されるように、中空構造Eを有する本体11aを有し、当該本体11aに外部と連通する開口11bおよび11cが形成された構成である。本体11aは、L字状の柱形状であり、中空構造Eを構成するL字状の外側側壁11dおよび内側側壁11eを有する。図3の3010に示されるように、開口11bには側壁パネル1が挿入され、開口11cには、側壁パネル2が挿入される。硬質発泡断熱材11は、中空構造Eを構成する壁面によって、側壁パネル1および2の端部全体を覆うように構成されている。すなわち、硬質発泡断熱材11は、側壁パネル1および2の端部全体を収容する収容部として中空構造Eを有している。本体11a内部においては、中空構造Eを介して、開口11bと開口11cとは連通するようになっている。
【0028】
それゆえ、図3の3030に示されるように、側壁パネル1および2が硬質発泡断熱材11に挿入され、断熱容器10の角部A(図1および図2参照)が形成されたとき、側壁パネル1の端面(軟質発泡断熱材1bの端面)および外側側面1dは外側側壁11dの内面に接触している。そして、側壁パネル1の内側側面1eは、内側側壁11eの内面に接触している。また、側壁パネル2の端面(軟質発泡断熱材2cの端面)は、側壁パネル1の内側側面1eに接触している。そして、側壁パネル2の外側側面2dおよび内側側面2eはそれぞれ、外側側壁11dおよび内側側壁11eの内面に接触している。換言すれば、外側側壁11dの内面は、角部Aにて隣り合う2つの側壁パネル1および2の外側側面1dおよび2dに跨って接触している。また、内側側壁11eは、角部Aにて隣り合う2つの側壁パネル1および2の内側側面1eおよび2eに跨って接触している。
【0029】
このように本実施形態に係る定温保管容器100によれば、硬質発泡断熱材11は、一体成形体であり、断熱容器10の角部Aにおける隣り合う2つの側壁パネル1および2の外側側面1dおよび2d並びに内側側面1eおよび2eの両面に接触する外側側壁11dおよび内側側壁11eを有する。それゆえ、硬質発泡断熱材11に側壁パネル1および2を装着すれば、側壁パネル1および2同士の接合が維持される。このため、簡便に側壁パネル1および2同士の接合部(角部A)の隙間から熱が漏洩することを防止できる。
【0030】
なお、ここでいう「一体成形体」は、硬質発泡成形体のみにより、側壁パネル同士の接合部の隙間からの熱の漏洩を防止することができる部材を意図している。それゆえ、複数の硬質発泡成形体により、側壁パネル同士の接合部の隙間からの熱の漏洩を防止できる部材も「一体成形体」に包含され得る。一方、複数の硬質発泡成形体と、他の硬質発泡成形体でない部材(例えば弾性部材等)とにより前記熱の漏洩を防止できる部材は、「一体成形体」に包含され得ない。また、複数の硬質発泡成形体同士を貼り合わせる、あるいは複数の硬質発泡成形体が真空断熱パネルに貼り合わせることにより、前記熱の漏洩を防止できる部材は、「一体成形体」に包含され得る。ただし、一体成形体の製造面の簡易さ等の観点から、好適には、硬質発泡断熱材11は、1つの一体成形体から構成されている。
【0031】
さらに、本実施形態に係る定温保管容器100によれば、真空断熱パネル1aおよび2aを例えば外箱20に接着剤等により接着固定しなくても、断熱容器10は箱形状が維持される。このため、真空断熱パネル1aまたは2aが劣化したときであっても、劣化したパネルの交換が容易になる。
【0032】
また、定温保管容器は、未使用時は室温で保管される。そして、輸送時には、定温保管容器内部に蓄熱材または蓄冷材を設け、定温保管容器内部を所定の温度に加熱または冷却して保持する。定温保管容器は、室温での保管と蓄熱材または蓄冷材による所定温度への加熱または冷却とを繰り返して使用される。このため、定温保管容器は、冷熱衝撃を繰り返して受けることになる。それゆえ、定温保管容器には、輸送時の維持温度と室温との温度差に起因する問題が生じる。例えば特許文献3のような熱膨張率が異なる部材が接着された構成では、接着面で歪みが生じ接着面での部材の剥れが生じるおそれがある。さらには、真空断熱パネルが破損するおそれがある。特に、-40℃以下の極低温領域の定温輸送に定温保管容器を使用する場合、室温との温度差は大きい。
【0033】
本実施形態に係る定温保管容器100によれば、上述のように、真空断熱パネル1aおよび2aを例えば外箱20に接着剤等により接着固定しなくても、断熱容器10は箱形状が維持される。それゆえ、上述した、輸送時の維持温度と室温との温度差に起因する問題が生じ得ない。さらに、側壁パネル1および2の接合部分が、比較的弾性率が低い硬質発泡断熱材11により保持されるので、定温保管容器100の輸送時の振動衝撃による真空断熱パネル1aおよび2a同士が衝突破損する可能性が低減される。さらには、真空断熱パネル1aまたは2aの熱膨張および熱収縮による変形の影響を緩和することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る定温保管容器100では、真空断熱パネル1aおよび2aの端部には、軟質発泡断熱材1bおよび1c、並びに2bおよび2cが設けられている。このため、図3の3030に示されるように、隣り合う真空断熱パネル1aおよび2aは、角部Aにて、軟質発泡断熱材1bおよび2cを介して接合することになる。これにより、真空断熱パネル1aおよび2a同士の密着性が向上するとともに、定温保管容器100の輸送時の振動衝撃による真空断熱パネル1aおよび2a同士が衝突破損する可能性がさらに低減される。
【0035】
硬質発泡断熱材11~14は、断熱機能を有する、熱可塑性樹脂からなる発泡体であれば、特に限定されない。硬質発泡断熱材11としては、例えば、ポリスチレン系樹脂発泡体、ポリオレフィン系樹脂発泡体等が挙げられる。
【0036】
なお、図3の3010~3030に示された構成では、硬質発泡断熱材11は、側壁パネル1および2の端部全体を収容する中空構造Eを有する構成であった。しかし、本実施形態に係る定温保管容器100の硬質発泡断熱材は、図3の3010~3030に示される構成に限定されず、一体成形体であり、断熱容器の角部における隣り合う2つの側壁パネルの外側側面および内側側面の両面に接触する接触面を有する構成であればよい。図3の3040に示されるように、一体成形体を2つ備えた構成であってもよい。
【0037】
図3の3040に示されるように、硬質発泡断熱材110は、2つのL字状の板部材111および112から構成されている。板部材111および112は、断熱容器の角部における隣り合う2つの側壁パネルの外側側面および内側側面の両面に接触するように配置される。図3の3040に示される硬質発泡断熱材110であっても、簡便に側壁パネル同士の接合部の隙間から熱が漏洩することを防止できる。
【0038】
図4の4010および4020は、本実施形態に係る定温保管容器100における断熱容器10の真空断熱パネル1a~4aの変形例の概略構成を示す平面図である。図4の4010および4020に示されるように、真空断熱パネル1a~4aの端部は、階段状であってもよい。より具体的には、真空断熱パネル1a~4aそれぞれの両端部は、外側から内側へ向かうに従い真空断熱パネルの幅が狭くなるように、階段状に形成されている。真空断熱パネル1a~4aにおいて、端部の階段形状は、互いに異なっていてもよいし、互いに同じ形状であってもよい。
【0039】
上述のように、真空断熱パネル1a~4aの端部が階段状である場合、軟質発泡断熱材1bおよび1c~4bおよび4cはそれぞれ、図4の4010に示されるように、端部の階段形状に沿った形態で階段状に形成されていてもよい。この場合、真空断熱パネル1a~4aにおいて、隣り合う真空断熱パネルの端部に形成された軟質発泡断熱材は、互いに嵌合するように段差が形成されていることが好ましい。このような構成とすることにより、断熱容器10における側壁パネル同士の接合面での内側面と外側面との距離を段差の分だけより長くすることができる。このように接合面での距離を長くすることにより、接合面表面上の熱伝導による外部からの熱流入量を抑制することができる。
【0040】
また、図4の4020に示されるように、軟質発泡断熱材1bおよび1c~4bおよび4cはそれぞれ、端部の階段形状を埋める形態で段差が形成されない構成であってもよい。この場合、断熱容器10における真空断熱パネル1a~4aと軟質発泡断熱材1bおよび1c~4bおよび4cとの接合面での内側面と外側面との距離を段差の分だけ長くとることができる。それゆえ、真空断熱パネル表面上の熱伝導による外部からの熱流入量を抑制することができる。
【0041】
さらに、図4の4030に示されるように、断熱容器10は、真空断熱パネル1a~4aそれぞれの両端部が階段状であり、かつ、真空断熱パネル1a~4aそれぞれの両端部のうち何れか一方の端部に軟質発泡断熱材1b、2b、3b、および4bが設けられた構成であってもよい。この場合、軟質発泡断熱材1b、2b、3b、および4bは、隣り合う真空断熱パネルの階段状の端部と嵌合するように、真空断熱パネル1a~4aそれぞれの階段状に沿った形態で形成されている。
【0042】
図5の5010および5020は、本実施形態に係る定温保管容器100における断熱容器10の天面パネル6の構成例を示す断面図である。図5の5010に示されるように、天面パネル6における側壁パネル1~4と対向する領域には、断熱性軟質体6aが設けられていてもよい。また、側壁パネル1~4それぞれにおける天面パネル6と対向する部分に断熱性軟質体6bが設けられていてもよい。
【0043】
また、図5の5020に示されるように、天面パネル6は、側壁パネル1~4と対向する領域が階段状であってもよい。また、側壁パネル1~4それぞれにおける天面パネル6と対向する部分は、階段状であってもよい。このような場合、断熱性軟質体6aおよび6bは、階段状の部分を埋めるように形成される。なお、図5の5010および5020に示される構成は、断熱性軟質体6aおよび6bの少なくとも何れかが形成されていればよい。なお、天面パネル6は、端部が階段状の真空断熱パネルを備えていてもよい。この場合、真空断熱パネルにおける階段状の端部が側壁パネル1~4と対向する構成となる。
【0044】
図5の5010および5020に示される構成によれば、断熱性軟質体6aおよび6bが側壁パネル1~4と天面パネル6との間に形成されているので、側壁パネル1~4と天面パネル6との密着性が向上する。このため、側壁パネル1~4それぞれと天面パネル6との接合部の隙間から熱が漏洩することを防止できる。
【0045】
断熱性軟質体6aおよび6bは、断熱性の軟質発泡体であれば、特に限定されない。軟質発泡断熱材は、軟質発泡ポリウレタン、軟質塩化ビニル発泡体、シリコーン発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、フッ素樹脂発泡体、発泡ゴムの何れか1つの材料からなることが好ましい。これらの中でも、粘着性の観点から、シリコーン発泡体からなることがより好ましい。
【0046】
定温保管容器100は、対象物の定温輸送に使用される場合、断熱容器10内部の空間を定温に保つために蓄熱材または蓄冷材が使用される。図6は、対象物の定温輸送に使用される定温保管容器100の概略構成を示す断面図である。なお、図を簡潔にする観点から、図6では、上述した硬質発泡断熱材および軟質発泡断熱材を省略している。
【0047】
図6に示されるように、定温保管容器100は、側壁パネル1~4の内側の面に蓄熱材Mが配置されている。この場合、外箱20は、発泡スチロール、紙製の段ボール箱、またはプラスチック段ボールである。また、蓄熱材Mは、図6に示す構成に限定されず、側壁パネル1~4、底面パネル5、および/または天面パネル6の内側の面に配置されていればよい。
【0048】
さらに、定温保管容器100では、蓄熱材Mの内側に、対象物を載置保管するための内箱が配置されていてもよい。この内箱の素材は、従来公知の箱に使用される材料であればよく、例えば、プラスチック段ボール、紙製の段ボール等が挙げられる。
【0049】
また、本実施形態に係る定温保管容器は、側壁パネル1~4、底面パネル5、および/または天面パネル6の内側と外側との両側に蓄熱材が配置され、断熱容器が二重壁構造である構成であってもよい。図7は、断熱容器が二重壁構造である定温保管容器100Aの構成例を示し、図7の7010は分解斜視図であり、図7の7020は断面図である。なお、図7の7010では、簡略化のため、蓄熱材を省略している。また、図7の7010および7020では、外箱を省略している。
【0050】
図7の7010および7020に示されるように、定温保管容器100Aは、第1断熱容器30と、第1断熱容器30の外側を覆うように設けられた第2断熱容器40と、を備えている。第1断熱容器30は、直方体の箱形状であり、側壁面を構成する側壁パネル31~34と、底面を構成する底面パネル35と、天面を構成する天面パネル36と、を備えている。側壁パネル31~34は、第1断熱容器30の各角部にて、互いに端部が隣り合うように配置されている。また、図7の7010および7020に示されていないが、側壁パネル31~34はそれぞれ、図2の2040に示す側壁パネル1~4と同様に、真空断熱パネルと、当該真空断熱パネルの両端部に形成された軟質発泡断熱材と、を備えている。
【0051】
また、第1断熱容器30の各角部には、硬質発泡断熱材51~54が設けられている。硬質発泡断熱材51~54はそれぞれ、図3の3010~3030に示す硬質発泡断熱材11と同様の構成を有する。
【0052】
第2断熱容器40は、第1断熱容器30を収容可能な直方体の箱形状である。第2断熱容器40は、側壁面を構成する側壁パネル41~44と、底面を構成する底面パネル45と、天面を構成する天面パネル46と、を備えている。
【0053】
また、図7の7020に示されるように、第1断熱容器30と第2断熱容器40との間には第1蓄熱材Mが配置されている。より具体的には、第1蓄熱材Mは、側壁パネル31~34と側壁パネル41~44との間、底面パネル35と底面パネル45との間、天面パネル36と天面パネル46との間にそれぞれ配されている。
【0054】
また、第1断熱容器30の内側には、第2蓄熱材Nが配置されている。より具体的には、第2蓄熱材Nは、側壁パネル31~34、底面パネル35、および底面パネル35それぞれの内側に配置されている。
【0055】
図7の7010および7020に示される定温保管容器100Aであっても、側壁パネル31~34において隣り合う側壁パネル同士の接合部の隙間から熱が漏洩することを、簡便に防止できる。
【0056】
また、図7の7010および7020に示される構成では、第1断熱容器30に硬質発泡断熱材51~54および軟質発泡断熱材は、第1断熱容器30に設けられていた。しかし、定温保管容器100Aは、図7の7010および7020に示される構成に限定されず、第1断熱容器30および第2断熱容器40の少なくとも一方に硬質発泡断熱材51~54および軟質発泡断熱材が設けられた構成であればよい。
【0057】
なお、図1図7の7010および7020に示された構成では、硬質発泡断熱材11~14は、断熱容器10における側壁の角部A~Dに設けられていた。しかし、本実施形態に係る定温保管容器100は、図1図7の7010および7020に示された構成に限定されず、硬質発泡断熱材が断熱容器10の角部に設けられた構成であればよい。例えば、定温保管容器100は、断熱容器10における天面壁と側壁との角部に硬質発泡断熱材が設けられた構成であってもよく、底壁と側壁との角部に硬質発泡断熱材が設けられた構成であってもよい。
【0058】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0059】
図8の8010は、本実施形態に係る定温保管容器に備えられた硬質発泡断熱材11Aに側壁パネル1および2を挿入する様子を模式的に示す、水平方向で切断した断面図である。また、図8の8020は、硬質発泡断熱材11Aの概略構成を示す斜視図である。また、図8の8030は、硬質発泡断熱材11Aに挿入された側壁パネル1および2の概略構成を模式的に示す、水平方向で切断した断面図である。
【0060】
図8の8010~8030に示されるように、本実施形態に係る定温保管容器は、硬質発泡断熱材11Aが開口11bと開口11cとを連通する中空構造を備えていない点が、実施形態1と異なる。硬質発泡断熱材11Aは、中実部11fと、開口11bを有する挿入管部11gと、開口11cを有する挿入管部11hと、を有している。挿入管部11gは、中実部11fから側壁パネル1へ沿って延びて形成されている。挿入管部11hは、中実部11fから側壁パネル2へ沿って延びて形成されている。挿入管部11gには、開口11bを介して側壁パネル1が挿入される一方、挿入管部11hには、開口11cを介して、側壁パネル2が挿入される。硬質発泡断熱材11Aは、挿入管部11gおよび11hを構成する壁面によって、側壁パネル1および2の端部全体を覆うように構成されている。すなわち、硬質発泡断熱材11Aは、側壁パネル1および2の端部全体を収容する収容部として挿入管部11gおよび11hを有している。
【0061】
それゆえ、図8の8030に示されるように、側壁パネル1および2が硬質発泡断熱材11Aに挿入されたとき、側壁パネル1の外側側面1dおよび内側側面1eはそれぞれ、挿入管部11gの外側側壁11dおよび内側側壁11eの内面に接触している。また、側壁パネル2の外側側面2dおよび内側側面2eはそれぞれ、挿入管部11hの外側側壁11dおよび内側側壁11eの内面に接触している。
【0062】
このように本実施形態に係る定温保管容器によれば、硬質発泡断熱材11Aは、一体成形体であり、断熱容器の角部における隣り合う2つの側壁パネル1および2の外側側面1dおよび2d並びに内側側面1eおよび2eの両面に接触する外側側壁11dおよび内側側壁11eを有する。それゆえ、本実施形態に係る定温保管容器であっても、簡便に側壁パネル同士の接合部の隙間から熱が漏洩することを防止できる。
【0063】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0064】
図9の9010は、本実施形態に係る定温保管容器に備えられた硬質発泡断熱材11Bに側壁パネル1および2を挿入する様子を模式的に示す、水平方向で切断した断面図である。また、図9の9020は、硬質発泡断熱材11Bの概略構成を示す斜視図である。また、図9の9030は、硬質発泡断熱材11Bに挿入された側壁パネル1および2の概略構成を模式的に示す、水平方向で切断した断面図である。
【0065】
図9の9010~9030に示されるように、本実施形態に係る定温保管容器は、硬質発泡断熱材11BがL字状の柱形状ではない点が、実施形態1および2と異なる。図9の9020に示されるように、硬質発泡断熱材11Bは、外観が四角柱形状であり、その内部に、側壁パネル1を収容する収容部11iと、側壁パネル2を収容する収容部11jと、が形成されている。硬質発泡断熱材11Bの内部では、収容部11iと収容部11jとは、互いに共通する壁11kを有している。そして、硬質発泡断熱材11B内部では、この壁11kが収容部11iと収容部11jとの隔壁となっている。
【0066】
収容部11iには、開口11bを介して側壁パネル1が挿入される一方、収容部11jには、開口11cを介して、側壁パネル2が挿入される。硬質発泡断熱材11Bは、収容部11iおよび11jを構成する壁面によって、側壁パネル1および2の端部全体を覆うように構成されている。すなわち、硬質発泡断熱材11Bは、側壁パネル1および2の端部全体を収容する収容部として収容部11iおよび11jを有している。
【0067】
それゆえ、図9の9030に示されるように、側壁パネル1および2が硬質発泡断熱材11Bに挿入されたとき、側壁パネル1の外側側面1dおよび内側側面1eはそれぞれ、収容部11iの外側側壁11dおよび内側側壁11e(壁11kに対応)の内面に接触している。また、側壁パネル2の外側側面2dおよび内側側面2eはそれぞれ、収容部11jの外側側壁11dおよび内側側壁11eの内面に接触している。
【0068】
このように本実施形態に係る定温保管容器によれば、硬質発泡断熱材11Bは、一体成形体であり、断熱容器の角部における隣り合う2つの側壁パネル1および2の外側側面1dおよび2d並びに内側側面1eおよび2eの両面に接触する外側側壁11dおよび内側側壁11eを有する。それゆえ、本実施形態に係る定温保管容器であっても、簡便に側壁パネル同士の接合部の隙間から熱が漏洩することを防止できる。
【0069】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0070】
上記実施形態1~3に係る定温保管容器では、硬質発泡断熱材は、断熱容器の側壁を構成する側壁パネル各々が隣り合う角部に設けられていた。しかし、硬質発泡断熱材は、側壁パネルが互いに隣り合う角部に限定されず、断熱容器の壁面を構成する壁面パネル同士の角部であれば任意の角部に設けられ得る。例えば、硬質発泡断熱材は、側壁パネルと天面パネルまたは底面パネルとが隣り合う角部に設けられていてもよい。
【0071】
図10の10010~10030は、本実施形態に係る定温保管容器に備えられた硬質発泡断熱材61A、61A、および61Bの概略構成を模式的に示した断面図である。なお、図10の10010~10030は、側壁パネルと底面パネルとが隣り合う角部に硬質発泡断熱材61、61A、および61Bが設けられた構成を示す。しかし、図10の10010~10030に示された硬質発泡断熱材61、61A、および61Bは、側壁パネルと天面パネルとが隣り合う角部に設けられ得る。
【0072】
図10の10010に示されるように、側壁パネル1における真空断熱パネル1aの底面パネル5側の端部には、軟質発泡断熱材1fが設けられている。また、底面パネル5における真空断熱パネル5aの側壁パネル1側の端部には、軟質発泡断熱材5bが設けられている。そして、側壁パネル1の端部(軟質発泡断熱材1fに対応)と底面パネル5の端部(軟質発泡断熱材5bに対応)とが隣り合う角部には、硬質発泡断熱材61が設けられている。
【0073】
硬質発泡断熱材61は、中空部を有し、当該中空部と外部とを連通する開口61aおよび61bが形成された構成である。硬質発泡断熱材61は、L字状の柱形状であり、中空部を構成するL字状の外側側壁61cおよび内側側壁61dを有する。開口61aには側壁パネル1が挿入され、開口61bには、底面パネル5が挿入される。硬質発泡断熱材61は、中空部を構成する壁面によって、側壁パネル1および底面パネル5の端部全体を覆うように構成されている。すなわち、硬質発泡断熱材61は、側壁パネル1および底面パネル5の端部全体を収容する収容部を有している。
【0074】
それゆえ、側壁パネル1および底面パネル5が硬質発泡断熱材61に挿入され、断熱容器10の角部が形成されたとき、側壁パネル1の外側側面1dは外側側壁61cの内面に接触している。そして、側壁パネル1の内側側面1eは、内側側壁61dの内面に接触している。また、底面パネル5の内側側面5dは、側壁パネル1の端面(軟質発泡断熱材1fの端面)および内側側壁61dの内面に接触している。そして、底面パネル5の端面(軟質発泡断熱材5bの端面)および外側側面5cは、外側側壁61cの内面に接触している。換言すれば、外側側壁61cの内面は、角部にて隣り合う側壁パネル1の外側側面1dおよび底面パネル5の外側側面5cに跨って接触している。また、内側側壁61dは、角部にて隣り合う側壁パネル1の内側側面1eおよび底面パネル5の内側側面5dに跨って接触している。なお、本実施形態における硬質発泡断熱材61は、側壁パネル1および底面パネル5の端部全体を覆う構成に限定されず、外側側壁61cおよび内側側壁61dに形状が類似した2つのL字状の板部材から構成されていてもよい。
【0075】
また、図10の10020に示されるように、硬質発泡断熱材61Aは、その内部に、底面パネル5を収容する収容部61fと、側壁パネル1を収容する収容部61gと、が形成されている。硬質発泡断熱材61Aの内部では、収容部61fと収容部61gとは、内側側壁61dに互いに共通する壁を有している。そして、硬質発泡断熱材61A内部では、この壁が収容部61fと収容部61gとの隔壁となっている。
【0076】
収容部61fには、開口61bを介して底面パネル5が挿入される一方、収容部61gには、開口61aを介して、側壁パネル1が挿入される。硬質発泡断熱材61Aは、収容部61fおよび61gを構成する壁面によって、側壁パネル1および底面パネル5の端部を覆うように構成されている。
【0077】
それゆえ、側壁パネル1および底面パネル5が硬質発泡断熱材61Aに挿入されたとき、側壁パネル1の外側側面1dおよび内側側面1eはそれぞれ、収容部61gの外側側壁61cおよび内側側壁61dの内面に接触している。また、底面パネル5の外側側面5cおよび内側側面5dはそれぞれ、収容部61fの外側側壁61cおよび内側側壁61dの内面に接触している。このように、硬質発泡断熱材61Aは、一体成形体であり、断熱容器の角部における隣り合う側壁パネル1および底面パネル5の外側側面1dおよび5c並びに内側側面1eおよび5dの両面に接触する外側側壁61cおよび内側側壁61dを有する。
【0078】
また、図10の10030に示されるように、硬質発泡断熱材61Bは、図10の10020に示す硬質発泡断熱材61Aにおいて、底面パネル5の外側側面5cに接触する外側側壁61cがない構成である。硬質発泡断熱材61Bにおいては、外側側壁61cは、側壁パネル1の外側側面1dおよび底面パネル5の端面(軟質発泡断熱材5bの端面)に接触している。また、内側側壁61dは、側壁パネル1の内側側面1eおよび底面パネル5の内側側面5dに接触している。ここで、図10の10030に示されるように、底面パネル5の端面(軟質発泡断熱材5bの端面)は、断熱容器の内側にある面ではなく外側にある面である。それゆえ、硬質発泡断熱材61Bは、一体成形体であり、断熱容器の角部における隣り合う側壁パネル1および底面パネル5において、側壁パネル1の外側側面1dおよび外側にある底面パネル5の端面(軟質発泡断熱材5bの端面)の両面に接触する外側側壁61cを有するとともに、側壁パネル1の内側側面1eおよび底面パネル5の内側側面5dの両面に接触する内側側壁61dを有する。
【0079】
図10の10020および10030に示された構成において、硬質発泡断熱材61Aおよび61Bは、側壁パネル1および底面パネル5の端部を一部または全部に覆う構成であればよい。例えば、硬質発泡断熱材61Aおよび61Bは、側壁パネル1および底面パネル5の側方の端面が外部に露出するように構成されていてもよい。
【0080】
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0081】
図11の11010は、本実施形態に係る定温保管容器100Bの内部の概略構成を示す平面図である。また、図11の11020は、定温保管容器100Bの垂直断面図である。なお、図11の11010では、内部の構成を示すため、天面パネル46を省略している。
【0082】
本実施形態に係るに係る定温保管容器100Bは、図7に示す構成と同様に、第1断熱容器と、第1断熱容器30の外側を覆うように設けられた第2断熱容器40と、を備えている。第1断熱容器30は、直方体の箱形状であり、側壁面を構成する側壁パネル31~34と、底面を構成する底面パネル35と、天面を構成する天面パネル36と、を備えている。側壁パネル31~34は、第1断熱容器30の各角部にて、互いに端部が隣り合うように配置されている。また、第2断熱容器40は、第1断熱容器30を収容可能な直方体の箱形状である。第2断熱容器40は、側壁面を構成する側壁パネル41~44と、底面を構成する底面パネル45と、天面を構成する天面パネル46と、を備えている。
【0083】
また、第1蓄熱材Mは、側壁パネル31~34と側壁パネル41~44との間、底面パネル35と底面パネル45との間、天面パネル36と天面パネル46との間にそれぞれ配されている。さらに、第2蓄熱材Nは、側壁パネル31~34、底面パネル35、および底面パネル35それぞれの内側に配置されている。
【0084】
また、側壁パネル31~34はそれぞれ、真空断熱パネル31a~34aと、当該真空断熱パネル31a~34aそれぞれの一方の端部に形成された軟質発泡断熱材31b~34bと、を備えている。図11の11010に示されるように、軟質発泡断熱材31bは、真空断熱パネル31aにおける側壁パネル32側の端部に形成されている。軟質発泡断熱材32bは、真空断熱パネル31aにおける側壁パネル33側の端部に形成されている。軟質発泡断熱材33bは、真空断熱パネル33aにおける側壁パネル34側の端部に形成されている。軟質発泡断熱材34bは、真空断熱パネル34aにおける側壁パネル31側の端部に形成されている。さらに、図11の11020に示されるように、軟質発泡断熱材31b~34bはそれぞれ、真空断熱パネル31a~34aにおける上下方向の両端部にも形成されている。また、底面パネル35および天面パネル36はそれぞれ、真空断熱パネルから構成されている。
【0085】
本実施形態に係る定温保管容器100Bでは、側壁パネル31~34の内面を保護する保護枠71が設けられている。また、側壁パネル31~34の外面を保護する保護枠72が設けられている。保護枠71は、第2蓄熱材Nと側壁パネル31~34との間に配されている。また、保護枠72は、第1蓄熱材Mと側壁パネル31~34との間に配されている。
【0086】
保護枠71の厚さは、第2蓄熱材Nと側壁パネル31~34との間のクリアランスよりも大きくなっている。また、保護枠72の厚さは、第1蓄熱材Mと側壁パネル31~34との間のクリアランスよりも大きくなっている。
【0087】
また、真空断熱パネルからなる底面パネル35および天面パネル36はそれぞれ、保護箱体73および74内に収容されている。保護箱体73および74それぞれは、底面パネル35および天面パネル36の全面を保護する部材であり、底面パネル35および天面パネル36と略同寸法の外観である。定温保管容器100B内では、保護箱体73は、底部に配された第1蓄熱材Mと第2蓄熱材Nとの間に配され、これらの蓄熱材の両方に密着する。また、保護箱体74は、上部に配された第1蓄熱材Mと第2蓄熱材Nとの間に配され、これらの蓄熱材の両方に密着する。
【0088】
保護枠71および72を構成する材料は、弾性体であればよく、例えば、ポリオレフィン系発泡樹脂(例えば発泡ポリエチレン樹脂)といった発泡樹脂材料が挙げられる。また、保護箱体73および74を構成する材料は、樹脂であればよく、発泡樹脂であっても非発泡樹脂であってもよい。保護箱体73および74を構成する材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。
【0089】
ところで、前記特許文献1~3に記載の技術では、定温保管容器の輸送時または梱包時の真空断熱パネルの損傷を保護するという点で改善の余地が残されている。
【0090】
ここで、定温保管容器100Bは、内部に荷室容器Oを備え、荷室容器Oから外側へ向かって順に、第2蓄熱材N、第1保護樹脂層、第1真空断熱パネル、第2保護樹脂層、第1蓄熱材Mが互いに密着して配置された構成でとなっている。
【0091】
より具体的には、定温保管容器100Bは、荷室容器Oから底面または天面側へ外方に向かって、第2蓄熱材N、保護箱体73に収容された底面パネル35(または保護箱体74に収容された天面パネル36)、第1蓄熱材Mが順に配されている。この場合、前記第1保護樹脂層および第2保護樹脂層それぞれは、底面パネル35(または天面パネル36)の内面および外面に接する保護箱体73(または保護箱体74)の壁部に対応する。また、前記第1真空断熱パネルは、底面パネル35(または天面パネル36)に対応する。
【0092】
また、定温保管容器100Bは、荷室容器Oから側壁側へ外方に向かって、第2蓄熱材N、保護枠71、側壁パネル31~34、保護枠72、第1蓄熱材Mが順に配されている。この場合、前記第1保護樹脂層および前記第2保護樹脂層それぞれは、保護枠71および72に対応する。また、前記第1真空断熱パネルは、側壁パネル31~34に備えられた真空断熱パネル31a~34aに対応する。
【0093】
定温保管容器100Bによれば、第1真空断熱パネル(側壁パネル31~34、底面パネル35、および天面パネル36)が前記第1保護樹脂層および前記第2保護樹脂層により保護されている。それゆえ、定温保管容器100Bの輸送時の振動、または定温保管容器100Bの梱包時の荷室容器O、第2蓄熱材N、若しくは第1蓄熱材Mとの衝突により、第1真空断熱パネルが破損することが抑制される。
【0094】
さらには、定温保管容器100Bは、好ましくは、前記第1保護層の厚さは、第2蓄熱材Nと前記第1真空断熱パネルとのクリアランスよりも大きくなっており、前記第2保護層の厚さは、第1蓄熱材Mと前記第1真空断熱パネルとのクリアランスよりも大きくなっている。このような構成により、定温保管容器100B内において、荷室容器O、第1蓄熱材M、および第2蓄熱材Nは、輸送時の振動などに対して移動されず、位置が固定さされる。それゆえ、第1蓄熱材M、第2蓄熱材N、および荷室容器Oの衝突による前記第1真空断熱パネルの破損を抑制できる。
【0095】
また、例えば、第1蓄熱材Mについて保温温度が-50℃になるように潜熱蓄熱組成物が調製され、第2蓄熱材Nについて保温温度が-65℃になるように潜熱蓄熱組成物が調製されることにより、第1断熱容器30内の温度を-60℃以下に長時間保持することができる。第1断熱容器30内の温度を極低温域に管理する場合、第1断熱容器30外部の周囲温度との温度差が大きいため、極低温域に長時間保持することが困難である。
【0096】
本実施形態に係る定温保管容器100Bでは、第1断熱容器30の外側に、第1断熱容器30の管理温度域よりも若干高い温度に潜熱蓄熱組成物が調製された第1蓄熱材Mが配置されている。このため、第1断熱容器30における、外部の周囲温度と内部の管理温度との温度差が小さくなり、外部への熱流入量が抑えられる。したがって、第1断熱容器30内の温度を極低温域に長時間保持することが可能となる。
【0097】
なお、上述した第1保護樹脂層および第2保護樹脂層が備えられる壁面パネルは、第1蓄熱材Mおよび第2蓄熱材Nにより挟持される壁面パネルであれば、特に限定されない。例えば、本実施形態に係る定温保管容器100Bは、図7に示されるような、各角部に硬質発泡断熱材51~54が設けられた側壁パネル31~34に対して、第1保護樹脂層および第2保護樹脂層として保護枠71および72が設けられた構成であってもよい。
【0098】
(変形例1)
本実施形態に係る定温保管容器100Bの構成において、図11に示す構成の変形例について説明する。図12の12010は、この変形例1としての定温保管容器100Cの内部の概略構成を示す平面図である。また、図12の12020は、定温保管容器100Cの垂直断面図である。なお、図12の12010では、内部の構成を示すため、天面パネル46を省略している。
【0099】
図12の12010および12020に示されるように、変形例1の定温保管容器100Cは、第1断熱容器30の外側を覆う第3断熱容器80を第2断熱容器40内に備えた点が構成と異なる。
【0100】
第3断熱容器80は、直方体の箱形状であり、側壁面を構成する側壁パネル81~84と、底面を構成する底面パネル85と、天面を構成する天面パネル86と、を備えている。側壁パネル81~84は、第3断熱容器80の各角部にて、互いに端部が隣り合うように配置されている。また、第2断熱容器40は、側壁面を構成する側壁パネル41~44と、底面を構成する底面パネル45と、天面を構成する天面パネル46と、を備えている。側壁パネル81~84、底面パネル85、および天面パネル86はそれぞれ、真空断熱パネルから構成されている。
【0101】
また、第1蓄熱材Mは、側壁パネル31~34と側壁パネル81~84との間、底面パネル35と底面パネル85との間、天面パネル36と天面パネル86との間にそれぞれ配されている。さらに、第2蓄熱材Nは、側壁パネル31~34、底面パネル35、および底面パネル35それぞれの内側に配置されている。
【0102】
変形例1の定温保管容器100Bでは、側壁パネル81~84の内面を保護する保護枠75が設けられている。保護枠75は、第1蓄熱材Mと側壁パネル81~84との間に配されている。保護枠75の厚さは、第1蓄熱材Mと側壁パネル81~84との間のクリアランスよりも大きくなっている。保護枠75を構成する材料は、上述した保護枠71および72と同様である。
【0103】
また、底面パネル85および天面パネル86はそれぞれ、保護箱体76および77内に収容されている。保護箱体76および77それぞれは、底面パネル85および天面パネル86の全面を保護する部材であり、底面パネル85および天面パネル86と略同寸法の外観である。定温保管容器100C内では、保護箱体76は、底部に配された第1蓄熱材Mと底面パネル45との間に配され、これら部材の両方に密着する。また、保護箱体77は、上部に配された第1蓄熱材Mと天面パネル46との間に配され、これら部材の両方に密着する。保護箱体76および77を構成する材料は、上述した保護箱体73および74と同様である。
【0104】
変形例1の定温保管容器100Cは、内部に荷室容器Oを備え、荷室容器Oから外側へ向かって順に、第2蓄熱材N、第1保護樹脂層、第1真空断熱パネル、第2保護樹脂層、第1蓄熱材M、第3保護樹脂層、第2真空断熱パネルが互いに密着して配置された構成である。
【0105】
より具体的には、定温保管容器100Cは、荷室容器Oから底面または天面側へ外方に向かって、第2蓄熱材N、保護箱体73に収容された底面パネル35(または保護箱体74に収容された天面パネル36)、第1蓄熱材M、保護箱体76に収容された底面パネル85(または保護箱体77に収容された天面パネル86)が順に配されている。この場合、前記第1保護樹脂層および前記第2保護樹脂層それぞれは、底面パネル35(または天面パネル36)の内面および外面に接する保護箱体73(または保護箱体74)の壁部に対応する。また、前記第1真空断熱パネルは、底面パネル35(または天面パネル36)に対応する。さらに、前記第3保護樹脂層は、底面パネル85(または天面パネル86)の内面に接する保護箱体76(または保護箱体77)の壁部に対応する。前記第2真空断熱パネルは、底面パネル85(または天面パネル86)に対応する。
【0106】
また、定温保管容器100Cは、荷室容器Oから側壁側へ外方に向かって、第2蓄熱材N、保護枠71、側壁パネル31~34、保護枠72、第1蓄熱材M、保護枠75、側壁パネル81~84が順に配されている。この場合、前記第1保護樹脂層および前記第2保護樹脂層それぞれは、保護枠71および72に対応する。また、前記第1真空断熱パネルは、側壁パネル31~34に備えられた真空断熱パネル31a~34aに対応する。さらに、前記第3保護樹脂層は、保護枠75に対応する。前記第2真空断熱パネルは、側壁パネル81~84に対応する。
【0107】
変形例1の定温保管容器100Cであっても、定温保管容器100Cの輸送時の振動、または定温保管容器100Cの梱包時の前記第1真空断熱パネルおよび前記第2真空断熱パネルの破損を抑制できる。
【0108】
〔実施形態6〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0109】
図13の13010は、本実施形態に係る定温保管容器100Dの内部の概略構成を示す平面図である。また、図13の13020は、定温保管容器100Dの垂直断面図である。なお、図13の13010では、内部の構成を示すため、天面パネル46を省略している。
【0110】
本実施形態に係る定温保管容器100Dは、側壁パネル31~34の構成、並びに側壁パネル31~34の内面および外面の両方を覆う保護枠71および72を備えていない点が前記実施形態5と異なる。定温保管容器100Dでは、側壁パネル31~34はそれぞれ、真空断熱パネル31a~34aから構成されている。
【0111】
また、側壁パネル31~34、底面パネル35、および天面パネル36はそれぞれ、保護箱体91~96内に収容されている。保護箱体91~96それぞれは、側壁パネル31~34、底面パネル35、および天面パネル36の全面を保護する部材であり、側壁パネル31~34、底面パネル35、および天面パネル36と略同寸法の外観である。定温保管容器100D内では、保護箱体91~96はそれぞれ、第1蓄熱材Mと第2蓄熱材Nとの間に配され、これらの蓄熱材の両方に密着する。
【0112】
本実施形態に係る定温保管容器100Dであっても、定温保管容器100Dの輸送時の振動、または定温保管容器100Dの梱包時の真空断熱パネルの破損を抑制できる。
【0113】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0114】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る定温保管容器100は、断熱容器10を収容する外箱20と、断熱容器10における角部Aで隣接する内壁面を構成する真空断熱パネル1aおよび2aと、前記真空断熱パネル1aおよび2aの端部に配置された軟質発泡断熱材1b・1cおよび2b・2cと、を有する、少なくとも2つの壁面パネル(側壁パネル1および2)と、前記壁面パネル同士が隣り合う前記角部Aに配置された、熱可塑性樹脂からなる硬質発泡断熱材11と、を備え、前記硬質発泡断熱材11は、一体成形体であり、前記角部Aにおける隣り合う前記2つの壁面パネルの外側および内側の両面(外側側面1d・2dおよび内側側面1e・2eの両面)に接触する接触面(外側側壁11dおよび内側側壁11eの内面)を有する構成である。
【0115】
本発明の態様2に係る定温保管容器100は、態様1において、前記軟質発泡断熱材1b・1cは、軟質発泡ポリウレタン、軟質塩化ビニル発泡体、シリコーン発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、フッ素樹脂発泡体、発泡ゴムの何れかからなる構成である。
【0116】
本発明の態様3に係る定温保管容器100は、態様2において、前記軟質発泡断熱材1b・1cは、シリコーン発泡体と、軟質発泡ポリウレタン、軟質塩化ビニル発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、フッ素樹脂発泡体および発泡ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、を組合せた材料からなる構成である。
【0117】
本発明の態様4に係る定温保管容器100は、態様2において、前記軟質発泡断熱材1b・1cは、シリコーン発泡体からなる構成である。
【0118】
本発明の態様5に係る定温保管容器100は、態様1~4の何れかにおいて、前記真空断熱パネル1aおよび2aの端部は、階段状である構成である。
【0119】
本発明の態様6に係る定温保管容器100は、態様1~5の何れかにおいて、前記硬質発泡断熱材11は、前記壁面パネル(側壁パネル1および2)の端部全体を覆うように収容する収容部(中空構造E)を有する構成である。
【0120】
本発明の態様7に係る定温保管容器100B~100Dは、荷室容器Oを収容するとともに、第1真空断熱パネルを備えた壁面パネル(側壁パネル31~34、底面パネル35、天面パネル36)で構成された第1断熱容器30と、前記第1断熱容器30を収容する第2断熱容器40と、を備え、前記壁面パネルの内面側および外面側の両方に、第1潜熱蓄熱材(第2蓄熱材N)および第2潜熱蓄熱材(第1蓄熱材M)が配された定温保管容器100B~100Dであって、前記荷室容器Oから外側へ向かって順に、前記第1潜熱蓄熱材、第1保護樹脂層、前記第1真空断熱パネル、第2保護樹脂層、前記第2潜熱蓄熱材が互いに密着して配置された構成である。
【0121】
本発明の態様8に係る定温保管容器100Bは、態様7において、前記第1保護樹脂層は、前記第1断熱容器30において四角柱状の筒を構成する前記壁面パネル(側壁パネル31~34)の内面を保護する第1保護枠(保護枠71)を構成し、前記第2保護樹脂層は、前記四角柱状の筒を構成する前記壁面パネル(側壁パネル31~34)の外面を保護する第2保護枠(保護枠72)を構成する構成であってもよい。
【0122】
本発明の態様9に係る定温保管容器100Bは、態様7において、前記第1保護樹脂層および前記第2保護樹脂層は、前記壁面パネル(底面パネル35、天面パネル36)を収容する保護箱体73、74の壁部により構成された構成であってもよい。
【0123】
本発明の態様10に係る定温保管容器100Cは、態様7~9において、さらに、前記第1断熱容器30を収容する第3断熱容器80を前記第2断熱容器40内部に備え、前記第3断熱容器80を構成する壁面パネルは第2真空断熱パネルを備え、前記荷室容器Oから外側へ向かって順に、前記第1潜熱蓄熱材、第1保護樹脂層、前記第1真空断熱パネル、第2保護樹脂層、前記第2潜熱蓄熱材、第3保護樹脂層、前記真空断熱パネルが互いに密着して配置された構成であることが好ましい。
【0124】
本発明の態様11に係る定温保管容器100Cは、態様10において、前記第3保護樹脂層は、前記第3断熱容器80において四角柱状の筒を構成する前記壁面パネル(側壁パネル81~84)の内面を保護する第3保護枠(保護枠75)を構成する構成であってもよい。
【0125】
本発明の態様12に係る定温保管容器100Cは、態様10において、前記第3保護樹脂層は、前記壁面パネル(底面パネル85、天面パネル86)を収容する保護箱体76、77の壁部により構成された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0126】
1、2、3、4、31、41 側壁パネル(壁面パネル)
1a、2a 真空断熱パネル
1b、1c、2b、2c 軟質発泡断熱材
1d、2d 外側側面
1e、2e 内側側面
5、35、45 底面パネル(壁面パネル)
6、36、46 天面パネル(壁面パネル)
10 断熱容器
11、11A、11B、12、51、110 硬質発泡断熱材
11d 外側側壁(接触面)
11e 内側側壁(接触面)
100、100A 定温保管容器
A~D 角部
E 中空構造(収容部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13