(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】塀
(51)【国際特許分類】
E04H 17/22 20060101AFI20231107BHJP
E04H 17/14 20060101ALI20231107BHJP
E02D 27/01 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
E04H17/22
E04H17/14 101A
E02D27/01 101C
(21)【出願番号】P 2019123515
(22)【出願日】2019-07-02
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000230836
【氏名又は名称】日本興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 綾夫
(72)【発明者】
【氏名】菊池 元宏
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝政
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3181621(JP,U)
【文献】実開平06-014201(JP,U)
【文献】特開平10-306457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0211289(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00-17/26
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塀基礎部とフェンス部からなり、
前記塀基礎部は、
横並びに連設された複数個の基礎ブロッ
クと、前記
各基礎ブロックに着脱自在に載置されるウエイトブロックとからなり、
前記基礎ブロックは、立壁部と該立壁部の下端部
から裏側に突出するように連設された底版部とからなり、
該底版部の上面に
は前記ウエイトブロックを載置する
複数の載置部が
横方向に間隔をあけて形成されており、
前記載置部は、前記ウエイトブロックを載置する
複数の載置面と、該
複数の載置面の
間で立上る規制壁とからなり、
前記ウエイトブロックは、
載置状態における側面視で逆L字形であり、平面視および背面視で四角形である
ことを特徴とする塀。
【請求項2】
前記載置部と前記ウエイトブロックには、載置状態において同軸となるボルト孔が形成されており、該ボルト孔にアンカーボルトを挿入できるようになっている
ことを特徴とする請求項1記載の塀。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塀に関する。さらに詳しくは、本発明は、敷地や建物等の境界に設置するのに好適な塀に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より敷地や建物の境界に設置される塀には、積みブロック塀が用いられてきた。積みブロック塀とは、JISA5406で定められたコンクリートブロックを数段(多くは5~10段位)積み上げJISG3112等で定められた鉄筋を入れセメントで固定し、コンクリート基礎上に立設した塀である。これらの積みブロック塀は、施工不良があれば地震により倒壊しやすく、倒壊すると甚大な人身事故を起すことがある。
また、施工には、現場での人手により積み上げる手間がかかり、養生にも日数がかかるという施工上の不便さがある。
【0003】
特許文献1の従来技術は、ブロック塀の上に軽量のフェンスを取付けるようにしたものである。ブロック塀の部分はJISA5406で定めるブロックを数段積み上げたもので、段数は比較的少ないものであり、フェンスは飾り柵を兼ねるものでブロック塀の上端部に上から被せ壁取付部で取付けるものである。
この従来技術の施工には、現場での人手により積み上げる手間がかかり、養生にも日数がかかるという施工上の不便さがある。
【0004】
特許文献2の従来技術は、基礎ブロック本体とその上面に植設された柵体とからなるフェンスである。
基礎ブロック本体は、方形の縦板で断面I形に形成したものか、縦板の下部に底板を設け断面L字形に形成したものが用いられる。
基礎ブロック本体は、いずれの形状のものもプレキャストコンクリートで構成されている。柵体は金属材等からなる飾り柵である。
この従来技術では、現場でのコンクリート練り等の手間はかからないが、比較的小形の基礎ブロックを用いたフェンスに限られる。
なぜなら、道路との境界や隣地との境界など狭いスペースに設置することが多いので、人手で作業するか、重機を使っても小型の重機の使用が制限されるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-90397号公報
【文献】特開平9-78892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、大形の塀を構築できるものでありながら、小型の重機を使って狭いスペースでも設置でき、地震等の自然災害に対して安全性の高い塀を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の塀は、塀基礎部とフェンス部からなり、前記塀基礎部は、横並びに連設された複数個の基礎ブロックと、前記各基礎ブロックに着脱自在に載置されるウエイトブロックとからなり、前記基礎ブロックは、立壁部と該立壁部の下端部から裏側に突出するように連設された底版部とからなり、該底版部の上面には前記ウエイトブロックを載置する複数の載置部が横方向に間隔をあけて形成されており、前記載置部は、前記ウエイトブロックを載置する複数の載置面と、該複数の載置面の間で立上る規制壁とからなり、前記ウエイトブロックは、載置状態における側面視で逆L字形であり、平面視および背面視で四角形であることを特徴とする。
第2発明の塀は、第1発明において、前記載置部と前記ウエイトブロックには、載置状態において同軸となるボルト孔が形成されており、該ボルト孔にアンカーボルトを挿入できるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、つぎの効果を奏する。
a)塀基礎部は基礎ブロックとウエイトブロックに2分されているので、塀全体を大形化しても基礎ブロックとウエイトブロックは小型軽量に維持できる。このため、小型の重機を使って狭い場所でも施工ができ、ウエイトブロックを基礎ブロックに載置することにより塀下端部の重量を増加できるので、塀の安定性を高めることができるので、塀を大型化しても倒壊の危険性を少なくできる。
b)ウエイトブロックを底版部に設けた載置部に載せることによって基礎ブロックの下部の重量を増加させるので塀全体の安定性を高めることができる。
c)ウエイトブロックを底版部の載置部に載せたとき規制壁で横移動が不能に拘束されるので、地震等に際してウエイトブロックが塀基礎部から外れるのを防止できる。
第2発明によれば、ウエイトブロックを基礎ブロックに対しアンカーボルトで固定できるので、地震等に際してウエイトブロックが基礎ブロックから外れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る塀の裏側からみた斜視図である。
【
図2】
図1の塀の施工中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図3において、Aは塀であり、塀基礎部1とフェンス部2とで構成されている。
塀基礎部1は、必要個数の基礎ブロック3が横並びに連設されて構成され、砕石基礎6上に設置される。
複数の基礎ブロック3,3同士は適宜の連結金具で連結される。基礎ブロック3は、設置された状態で地面GL以下の部分が基礎部3aとなり、地面GL以上の部分が化粧面3bとなる。
フェンス部2は、支柱4と面材5とからなる。支柱4は適数本が塀基礎部1の上面に立設される。複数枚の面材5は支柱4,4で支持される。
本発明においては、フェンス部2は任意の構成をとることができ、塀基礎部1の構成に特徴がある。
【0011】
図1および
図2に示すように、基礎ブロック3は、立壁10と底版部20とからなる。立壁10は所定の厚みをもって上方に立ち上った部材であり、既述のごとく化粧面3bと基礎部3aとに分けられる(
図3参照)。
底版部20は、立壁10の下端部から裏側に突出するように形成された部材で、フーチングとも呼ばれる部材である。
【0012】
底版部20の上面には、後述するウエイトブロック30を載置するための載置部21が横方向に間隔をあけて形成されている。また、個々の載置部21の間には規制壁22が立ち上っている。
規制壁22は断面が台形であり、底版部20上で奥行き方向に延びている。隣り合う規制壁22,22間の間隔は、ウエイトブロック30の幅寸法よりやや広い程度とされている。
【0013】
ウエイトブロック30は、基礎ブロック3に重量を加えるためのブロックである。形状と寸法は、基礎ブロック3の載置部21に合わせるとよい。または、ウエイトブロック30を任意の形状と重量とし、基礎ブロック3の載置部21の形状と寸法をウエイトブロック30に合せてもよい。要は、基礎ブロック3とウエイトブロック30は別体の部材であることに特徴があるのであって、それらの形状は図示のものには限られない。
【0014】
図2に示すように、ウエイトブロック30は側面視で逆L字形であり、平面視で四角形、背面視で四角形のコンクリート部材である。
図2および
図4に示すように、ウエイトブロック30を載置部21上に置くと、
図5に示すように、両側の規制壁22,22の間に嵌り左右方向に不動に拘束される。
このように左右方向に拘束されると、ウエイトブロック30は、背面方向にも抜けにくくなる。
【0015】
図4および
図6に示すように、ウエイトブロック30には縦向きの第1ボルト孔31が形成され、基礎ブロック3の載置部21にも縦向きの第2ボルト孔23が形成されている。この2つのボルト孔31,23は、ウエイトブロック30を載置部21に置いたとき、同軸になるように形成されている。第1,第2ボルト孔31,23を合わせたものが特許請求の範囲にいうボルト孔に相当する。
図6に示すように、第1ボルト孔31と第2ボルト孔23にアンカーボルト32を通し、セメントで固めると、ウエイトブロック30を基礎ブロック3の載置上に強固に固定することができる。
【0016】
本実施形態の塀の利点を以下に説明する。
(1)ウエイトブロック30を基礎ブロック3に対しアンカーボルト32で固定できるので、地震等に際してウエイトブロック30が基礎ブロック3から外れるのを防止できる。
(2)ウエイトブロック30を底版部20の載置部21に載せたとき規制壁22で横移動が不能に拘束されるので、地震等に際してウエイトブロック30が基礎ブロック3から外れるのを防止できる。
【0017】
(3)ウエイトブロック30を底版部20に設けた載置部21に載せることによって基礎ブロック3の下部の重量を増加させるので塀全体の安定性を高めることができる。
(4)基礎ブロック3はウエイトブロックと別体にされているので、塀全体を大形化しても基礎ブロック3とウエイトブロック30は小型軽量に維持できる。このため、小型の重機を使って狭い場所でも施工ができる。
(5)ウエイトブロック30を基礎ブロック3に載置することにより塀下端部の重量を増加できるので、塀の安定性を高めることができるので、塀を大型化しても倒壊の危険性を少なくできる。
【符号の説明】
【0018】
1 塀基礎部
2 フェンス部
3 基礎ブロック
10 立壁
20 底版部
21 載置部
22 規制壁
30 ウエイトブロック