(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】粒子懸濁液から単粒子を分離する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20231107BHJP
C12N 1/02 20060101ALI20231107BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12N1/02
G01N35/10 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019133325
(22)【出願日】2019-07-19
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519263693
【氏名又は名称】ザイエニオン ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Volmerstrasse 7b 12489 Berlin Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】デリク、ボグダノフ
(72)【発明者】
【氏名】エリック、チャウ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル、ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】アリエル、ローレン、グリ-ンフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア、カントロン―ブルース
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-217397(JP,A)
【文献】特開平04-094696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0296157(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0274689(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0003458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N
B01D
B01L
B01J
F04F
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁液試料(2)から粒子(1)を分離するように構成された、粒子分離装置(100)であって、
キャリア基板(20)から前記懸濁液試料(2)を回収するように、且つターゲット基板(30)に液滴を分注するように適合される、液滴ディスペンサ装置(10)と、
前記液滴ディスペンサ装置(10)の中に希釈液(3)を充填するために、且つ前記懸濁液試料(2)の第1の部分(4)を前記液滴ディスペンサ装置(10)の中に吸引するために前記液滴ディスペンサ装置(10)に結合される、機械式ポンプ装置(40)と、
前記液滴ディスペンサ装置(10)に結合され、前記液滴ディスペンサ装置(10)の中に前記懸濁液試料(2)の第2の部分(5)を吸引するように構成される、サイフォンポンプ装置(50)とを備え
、
前記サイフォンポンプ装置(50)が、前記キャリア基板(20)よりも低いレベルに配置され、且つ前記液滴ディスペンサ装置(10)に結合される、システム液体リザーバ(51)を備える、粒子分離装置(100)。
【請求項2】
前記機械式ポンプ装置(40)が、前記液滴ディスペンサ装置(10)に結合されるシリンジポンプ(41)を備える、
請求項1に記載の粒子分離装置。
【請求項3】
前記機械式ポンプ装置(40)、及び前記サイフォンポンプ装置(50)のうちの少なくとも1つの、前記液滴ディスペンサ装置(10)との液体連通を制御するように適合される、弁装置(60)を更に備える、
請求項1
又は2に記載の粒子分離装置。
【請求項4】
前記弁装置(60)が、前記機械式ポンプ装置(40)と前記液滴ディスペンサ装置(10)との間、又は前記サイフォンポンプ装置(50)と前記液滴ディスペンサ装置(10)との間に液体連通を提供するように適合される、三方弁(61)を備える、
請求項
3に記載の粒子分離装置。
【請求項5】
前記キャリア基板(20)が、疎水性表面(21)を有する、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の粒子分離装置。
【請求項6】
前記液滴ディスペンサ装置(10)が、前記ターゲット基板(30)に単粒子の液滴を分注するように適合される、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の粒子分離装置。
【請求項7】
多粒子を含む液滴を再捕捉するために配置される、回収容器を更に備える、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の粒子分離装置。
【請求項8】
前記サイフォンポンプ装置(50)、及び前記キャリア基板(20)が、残留物のない方法で前記懸濁液試料(2)を回収するように適合される、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の粒子分離装置。
【請求項9】
懸濁液試料(2)から粒子を分離する方法であって、
キャリア基板(20)に前記懸濁液試料(2)を供給するステップと、
液滴ディスペンサ装置(10)に希釈液(3)を充填するステップと、
前記液滴ディスペンサ装置(10)に前記懸濁液試料(2)を充填するステップであって、その結果、前記懸濁液試料(2)が前記希釈液(3)で希釈され、機械式ポンプ装置(40)の動作によって、前記懸濁液試料(2)の第1の部分(4)を前記液滴ディスペンサ装置(10)の中に吸引する第1の吸引段階、及びサイフォンポンプ装置(50)の動作によって、前記懸濁液試料(2)の第2の部分(5)を前記液滴ディスペンサ装置(10)の中に吸引する第2の吸引段階を含む、懸濁液試料(2)を充填するステップと、
ターゲット基板(30)に、前記液滴ディスペンサ装置(10)で液滴を分注するステップであって、前記液滴は、時間平均で1滴毎に1つ未満の粒子を含む、分注するステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記懸濁液試料(2)を充填した後に、更なる量の前記希釈液(3)を前記液滴ディスペンサ装置(10)に充填するステップを更に含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子が、生体細胞、細胞凝集体、細胞成分、生物高分子、及び/又は生体分子で官能化された微粒子を含む、
請求項
9又は
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記希釈液(3)が、生理的緩衝溶液である、請求項
9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記機械式ポンプ装置(40)が、前記液滴ディスペンサ装置(10)に結合されるシリンジポンプを備え、
前記サイフォンポンプ装置(50)が、前記キャリア基板(20)よりも低いレベルに配置され、且つ前記液滴ディスペンサ装置(10)に結合される、システム液体リザーバを備え、
前記機械式ポンプ装置(40)、及び前記サイフォンポンプ装置(50)のうちの少なくとも1つと、前記液滴ディスペンサ装置(10)との液体連通が、弁装置(60)、具体的には三方弁で制御され、
多粒子を含む、分注された液滴が、回収容器で再捕捉される、
以上の特徴のうち少なくとも1つを含む、請求項
9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記懸濁液試料(2)が、残留物のない方法で前記キャリア基板(20)から回収される、
請求項
9~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子分離装置に関し、粒子、具体的には生体細胞、細胞凝集体、細胞成分、又は生物高分子を粒子懸濁液試料から分離するように構成される。さらに、本発明は、粒子懸濁液試料から粒子を分離する方法に関する。本発明の用途は、具体的には、例えば、培養又は分子解析の目的のために単一の生体細胞、又は細胞亜集団を処理及び回収するための、生体試料などの粒子懸濁液処理の分野で使用可能である。
【背景技術】
【0002】
生化学及び生物医学の分野において、例えば、血液試料中の特定の細胞を識別するために、細胞周辺領域(background cells)のより大きい集団内で希少細胞を識別することに関心が寄せられており、これは(腫瘍細胞などの)疾患を示し、或いは別の細胞処理に有用である。一般に、細胞懸濁液など細胞混合物中の細胞の識別は、細胞を互いに分離する第1のステップと、単一細胞を解析する第2のステップとを含む。
【0003】
細胞を分離する一般的な方法は、既存の液的スポット法に基づき、懸濁液滴を取り扱うための液滴ディスペンサが使用される。細胞懸濁液の液滴は、ウェル構造から液滴ディスペンサの中に吸引され、その結果、液滴ディスペンサ内の緩衝液の希釈が得られる。その後、単一細胞を含む液滴は、その後の単一細胞の解析及び別の処理用に、ターゲット上に堆積される。しかしながら、不利な点として、このような技法は細胞回収率が低く、例えば、5%~60%の範囲内であり、少数細胞系(paucicellular)生体試料を扱う技法としては実用性に欠ける。例えば、1mlあたり1000未満の細胞を含む細胞懸濁液から単一細胞を分離するためには、90%を上回る回収率が必要とされる。欧州特許出願公開第3323877号明細書、及び米国特許出願公開第2002/001675号明細書は、液滴分注法を開示しており、リザーバから液滴ディスペンサに液体を送出するのにサイフォンポンプの吸引動作が使用される。しかしながら、このような従来の構成では、回収率を上げることはできない。
【0004】
スポット法の代替として、希少細胞の分離及び解析用にマイクロ流体システムが使用されている。生体細胞を含む液体懸濁液は、マイクロ流体システムを通って流れ、懸濁液が狭い流路を通って流れ、個々の細胞の列を形成することによって、細胞は互いに分離される。その後、単一細胞は、細胞バイオマーカ、特定の物理特性、又は誘電特性の発生に応じて解析され分類される。希少細胞分離のためのマイクロ流体法の概要は、Y.Chen et al.「Lab Chip」,2014,14(4),626-645に記載されている。開流路マイクロ流体チップを使用したマイクロ流体法の具体例は、T.Masuda et al.「PLOS One」,2017,12(4),e0174937に記載されている。
【0005】
マイクロ流体法は、細胞の損失が最小化されるため、回収率が高いという利点がある。しかしながら、マイクロ流体システムの流路内での細胞の取り扱いが細胞を変化させる可能性があることから、不都合が生じる。さらに、マイクロ流体システムは複雑な装置であり、流体力学的シグネチャ(大きさ、密度、又は変形性)、誘電泳動シグネチャ(特定の膜性能)、免疫化学シグネチャ(特定の抗体)、或いは磁気泳動シグネチャ(磁化率又は磁性ナノ粒子との免疫特異的接着)などの特定の細胞シグネチャを検出できなければならない。マイクロ流体システムは、限定的な方法でのみ、使用可能な液滴処理法と一体化され得る。
上述した従来技術の制限は、単一細胞の分離に関して生じるだけでなく、他の種類の生物学的粒子、又は環境調査などにおける非生物学的粒子の分離など他の粒子分離技術においても同様に生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第3323877号明細書
【文献】米国特許出願公開第2002/001675号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】Y.Chen et al.「Lab Chip」,2014,14(4),626-645
【文献】T.Masuda et al.「PLOS One」,2017,12(4),e0174937
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改善した粒子分離装置を提供することであり、従来技術の欠点及び制限を回避しながら、懸濁液試料から粒子を分離することができる。具体的には、粒子分離装置は、向上した回収率、高いスループット能力、及び/又は使用可能な液滴処理法と容易に統合できることとともに、粒子を分離することが可能になる。さらに、本発明の目的は、従来技術の欠点及び制限を回避しながら懸濁液試料から粒子を分離する、改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的は、粒子分離装置、及び懸濁液試料から粒子を分離する方法によってそれぞれ解決され、独立クレームの特徴を含む。好ましい実施形態の特徴、及び本発明の用途は、従属クレームで定義される。
【0010】
本発明の第1の一般的な態様によれば、上述の目的は粒子分離装置によって解決され、液滴ディスペンサ装置と、機械式ポンプ装置及びサイフォンポンプ装置との組み合わせを含む。液滴ディスペンサ装置は、少なくとも1つの圧電液滴ディスペンサなどの、少なくとも1つの液滴ディスペンサを備える。液滴ディスペンサ装置は、懸濁液試料をキャリア基板から回収して、液滴をターゲット基板に分注するように構成される。懸濁液試料は、生体細胞などの複数の粒子を含む、ある量の液体を含んでもよい。懸濁液試料は、キャリア基板表面の液滴として、或いはキャリア基板の3Dウェルなどの、区画の内容物として供給され得る。液滴ディスペンサ装置は、負圧の効果によって、好ましくは少なくとも1つの液滴ディスペンサの液滴ディスペンサ先端を通して、少なくとも1つの液滴ディスペンサの中に、懸濁液試料を回収するように適合される。負圧は、機械式ポンプ装置、又はサイフォンポンプ装置によって印加される。
【0011】
機械式ポンプ装置は、好ましくは上部液滴ディスペンサ接合部を介して、液滴ディスペンサ装置に結合される。機械式ポンプ装置は、非圧縮性の希釈液、即ち緩衝液などを、液滴ディスペンサ装置の中に充填するように適合される。さらに、機械式ポンプ装置は、負圧の効果によって、懸濁液試料の第1の部分を液滴ディスペンサ装置の中に吸引するように適合される。機械式ポンプ装置は、任意のポンプ装置を備え、例えば、希釈液によって提供されるシステム液体内でピストンを動かすことによって、或いは蠕動ポンプによって、正圧又は負圧を生成することができる。機械式ポンプ装置は、希釈液、又は純水などの別の液体を含む、システム液体で動作される。
【0012】
本発明によれば、更にサイフォンポンプ装置が、好ましくは少なくとも1つの液滴ディスペンサの上部液滴ディスペンサ接合部で、液滴ディスペンサ装置に結合される。サイフォンポンプ装置は、負圧の効果によって、懸濁液試料の第2の部分を液滴ディスペンサ装置の中に吸引するように構成される。サイフォンポンプ装置は、希釈液、又は純水などの別の液体を含む、システム液体で動作される。好ましくは、サイフォンポンプ装置、及び機械式ポンプ装置は、同じシステム液体を使用する。
【0013】
本発明の第2の一般的な態様によれば、上述の目的は、懸濁液試料から粒子を分離する方法によって解決され、この方法は以下のステップを含む。分離方法の準備として、平坦な基板表面、又は3Dウェル構造の区画などのキャリア基板に懸濁液試料が供給される。さらに、希釈液、即ち緩衝液が、液滴ディスペンサ装置の少なくとも1つの液滴ディスペンサに充填される。懸濁液試料から単粒子を分離するために、懸濁液試料は、懸濁液試料が希釈液で希釈されるように、液滴ディスペンサ装置に充填される。希釈液での希釈は、2つの吸引段階を含む。第1の吸引段階では、懸濁液試料の第1の部分が、機械式ポンプ装置の動作によって、液滴ディスペンサ装置、具体的には少なくとも1つの液滴ディスペンサの中に引き込まれる。第2の吸引段階では、懸濁液試料の第2の部分、具体的には残留している懸濁液試料が、サイフォンポンプ装置の動作によって、液滴ディスペンサ装置、具体的には少なくとも液滴ディスペンサの中に吸引される。懸濁液試料を吸引することにより、少なくとも1つの液滴ディスペンサ内で懸濁液試料が希釈される。最後に、液滴ディスペンサ装置が、液滴をターゲット基板に分注するステップを含めて動作され得る。ターゲット基板は、キャリア基板の別の部分、又はキャリア基板から分離された別の基板を含んでもよい。希釈された懸濁液試料の液滴は、自由液滴として、平坦なターゲット基板表面上、又はターゲット基板の3Dウェルの中に分注される。液滴ディスペンサ装置は、ターゲット基板上に分注された液滴が、時間平均で1滴毎に1粒子未満を含むように動作される。言い換えれば、液滴ディスペンサ装置は、ターゲット基板上に分注された各液滴が1つの単粒子を含むか、又は粒子を含まないように制御される。1粒子より多く含む可能性がある液滴は、ターゲット基板上に分注されない。
【0014】
主な利点として、液体を液滴ディスペンサ装置の中に吸引するのにサイフォンポンプ装置を使用することによって、従来技術と比較して、分離している粒子の回収率を上げることができる。デッドボリューム、又は不完全な試料回収が排除されるため、90%を上回る回収率が得られる。サイフォンポンプ装置は、液体懸濁液試料の残留部分がキャリア基板に存在する限り有効である。したがって、本発明の好適な実施形態によれば、懸濁液試料は、残留物のない方法でキャリア基板から回収され得る。さらなる利点として、本発明は、粒子の分離をハイスループットプロセスと一体化することができる。さらに、液滴ディスペンサ装置を使用することにより、本発明の技術を液滴の取り扱い技術、及び処理技術と組み合わせることに関して利点が得られる。
【0015】
従来のマイクロ流体法に反して、粒子は特定のシグネチャによって分類されないが、液滴ディスペンサ内で懸濁液試料を希釈すること、及び単粒子液滴がターゲット基板に配置されるように液滴ディスペンサを動作することによって分類される。好適には、粒子分離は特定の粒子特徴の検出を必要とせず、その結果、粒子分離装置は、1つの懸濁液試料から、又は複数の異なる懸濁液試料から、異なる種類の粒子を分離するために使用され得る。
【0016】
好ましくは、本発明の粒子分離装置の液滴ディスペンサ装置は、単粒子液滴分注動作に適合される。液滴ディスペンサは、液滴が最大でも1つの粒子を含む場合にのみ、液滴をターゲット基板上に分注するように動作され得るように構成される。この目的のために、液滴ディスペンサ装置は、好ましくは、少なくとも1つの液滴ディスペンサ内の粒子分布を監視するために配置されるカメラ装置と、カメラ装置の出力信号に応じて分注動作を制御するように適合される、ディスペンサ制御装置と組み合わされる。好ましくは、単粒子分注は、米国特許出願公開2017/0274689号明細書、及び/又は欧州特許出願第17189875.2号(本明細書の優先日において未公開)で説明されているように実施される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、機械式ポンプ装置は、液滴ディスペンサ装置に結合されたシリンジポンプを含む。シリンジポンプは、少量のシステム液体に正圧又は負圧を印加することにおいて特定の利点を有する。
【0018】
本発明の別の好適な実施形態によれば、サイフォンポンプ装置は、キャリア基板よりも低いレベルに配置され、且つサイフォンラインを介して液滴ディスペンサ装置、好ましくは、少なくとも1つの液滴ディスペンサの上部液滴ディスペンサ接合部に結合された、システム液体リザーバを備える。好適には、少なくとも1つの液滴ディスペンサをシステム液体リザーバと組み合わせることによって簡素な設定を提供し、懸濁液試料を残留物なく回収する、信頼性の高いポンプ動作が可能になる。
【0019】
ポンプ装置を液滴ディスペンサ装置に結合することの更なる利点は、本発明の更なる特定の好ましい実施形態によれば、粒子分離装置が弁装置を備えている場合に得られる。弁装置は、機械式ポンプ装置、及び/又はサイフォンポンプ装置の、液滴ディスペンサ装置との液体連通を制御するように構成される。好ましくは、少なくとも1つの液滴ディスペンサの上部ディスペンサ接合部に、システム液体ラインが1本のみ結合される。好適には、弁装置は、ポンプ装置を共通のシステム液体ラインに結合するのを容易にする。
【0020】
弁装置が、機械式ポンプ装置と液滴ディスペンサ装置との間、或いはサイフォンポンプ装置と液滴ディスペンサ装置との間に液体連通を提供するために配置された三方弁を備える場合は、小型の構造を提供する特定の利点が得られる。少なくとも1つの液滴ディスペンサのシステム液体ラインを三方弁の第1のポートに接続し、機械式ポンプ装置、具体的にはシリンジポンプを三方弁の第2のポートに接続し、且つサイフォンポンプ装置、具体的にはサイフォンラインを三方弁の第3のポートに接続することによって、上述の2つの吸引段階における懸濁液試料の吸引が容易に制御され得る。
【0021】
本発明の別の好適な実施形態によれば、キャリア基板は疎水性表面を有する。これに加えて、又はこれに代えて、キャリア基板は、平坦で滑らかな表面、即ち段差やレセプタクルのない表面を有してもよい。好適には、疎水性表面及び/又は平面を設けることにより、滑らかな表面が、懸濁液試料をキャリア基板から残留物なく回収するのを容易にする。
【0022】
本発明の別の好適な変更によれば、粒子分離装置は、回収容器を備えられ得る。回収容器は、多粒子を含む液滴を再捕捉するように構成される。また、粒子を含まない液滴を再捕捉するように構成されてもよい。好適には、回収容器を設けることにより、再捕捉された液体が本発明の粒子分離方法の別の用途に付され得るため、回収率が更に向上する。
【0023】
本発明による粒子分離方法の更なる好適な特徴によれば、懸濁液試料の吸引後、具体的には第2の吸引段階後に、追加された量の希釈液が液滴ディスペンサ装置に充填され得る。好適には、少なくとも1つの液滴ディスペンサにおいて、液滴ディスペンサ内の希釈された試料懸濁液と、液滴ディスペンサ先端との間に緩衝領域が生成される。緩衝領域により、ディスペンサ先端の洗浄、及びディスペンサの単粒子操作が容易になる。
【0024】
本発明の好ましい用途によれば、特に生物学、医学、及び生化学において、粒子は、生体細胞、細胞凝集体、細胞成分、生物高分子、及び/又は生体分子で官能化された微粒子(ビーズ)を含む。このような用途では、希釈液は、好ましくは生理的培養液などの生理的緩衝溶液を含む。
【0025】
本発明は、以下の更なる利点を有する。本発明は、臨床試料からの希少細胞集団の様々な「オミクス」解析のための試料調整、免疫療法スクリーニングのための希少免疫細胞の個別の培養、生体外実験における希少免疫細胞の個別の培養、及び/又はオルガノイドの細胞間のばらつき(cellular heterogeneity)の解析のためのツールを提供することを含む、広範な用途を有する。
【0026】
主な利点として、本発明は、より典型的な単一細胞集団のデータ、即ち遺伝子発現データ、免疫グロブリン配列、及び生体外実験の表現型データを得るために、非常に限られた試料から100%近い細胞を分離することを可能にする。
【0027】
本発明の方法は、完全に自動化され得る。粒子分離装置は、試料懸濁液吸引、及び単粒子分注動作が、自動的に作動されるように制御され得る。
【0028】
本発明の更なる利点及び詳細が、添付の図面を参照しながら以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による粒子分離装置の、好ましい実施形態の概略図である。
【
図2】本発明による粒子分離方法の、好ましい実施形態の特徴を示すフローチャートである。
【
図3】本発明による粒子分離の動作段階における、
図1による粒子分離装置の概略図である。
【
図4】本発明による粒子分離の別の動作段階における、
図1による粒子分離装置の概略図である。
【
図5】本発明による粒子分離の更に別の動作段階における、
図1による粒子分離装置の概略図である。
【
図6】本発明による粒子分離の更に別の動作段階における、
図1による粒子分離装置の概略図である。
【
図7】本発明による粒子分離の更に別の動作段階における、
図1による粒子分離装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の好ましい実施形態の特徴は、単一の圧電液滴ディスペンサを有する液滴ディスペンサ装置を備える、粒子分離装置を例示的に参照しながら以下で説明される。本発明は、この実施形態に限定されない。複数の懸濁液試料で並行動作を実施する利点を有する、液滴ディスペンサのアレイが使用され得る。さらに、圧電液滴ディスペンサの代わりに、他の種類の液滴ディスペンサが使用され得る。さらに、本発明の実施は、図に示されているポンプ及び弁装置の特定の構成に限定されない。具体的には、シリンジポンプは、別の機械式ポンプ装置に置き換えられてもよく、サイフォンポンプ装置の瓶型のシステム液体リザーバは、別の種類のリザーバに置き換えられてもよい。
【0031】
本発明の実施形態は、生物学的粒子、特に、生体細胞の処理を例示的に参照しながら説明される。本発明は、この用途に限定されない。本発明の技術を用いて、例えば、ナノ技術、又は環境技術において試料から粒子を回収するため、即ち解析目的で、非生物学的粒子も同様に処理され得る。
【0032】
本発明は実質的に、液滴ディスペンサ内の懸濁液試料の希釈を参照しながら説明される。その後の液滴ディスペンサ装置の単粒子液滴分注動作については、それ自体周知であるため説明されない。米国特許出願公開第2017/0274689号明細書、及び欧州特許出願第17189875.2号(本明細書の優先日において未公開)は、特に、単粒子を含む液滴の分注を得るための液滴ディスペンサ装置の制御に関し、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0033】
図1によれば、本発明の粒子分離装置100の実施形態は、液滴ディスペンサ装置10と、機械式ポンプ装置40と、サイフォンポンプ装置50と、弁装置60とを備える。液滴ディスペンサ装置10は、即ちsciFLEXARRAYER(メーカー:Scienion AG、ドイツ)タイプのディスペンサシステムである。機械式ポンプ装置40は、ポンプアクチュエータ42を有するシリンジポンプ41を含む。シリンジポンプ41は、例えば、数mlの作業容積を有する。好適には、構成部品40、50、及び60は、液滴ディスペンサ装置10の動作プラットフォームに一体化され得る。
【0034】
液滴ディスペンサ装置10は、少なくとも1つの液滴ディスペンサ12を垂直方向に保持するための機械的支持具である、ディスペンサ頭部11を有する。ディスペンサ頭部11は、駆動装置(図示せず)に結合され、ディスペンサ頭部11は全3方向の空間方向に移動できるようになる。液滴ディスペンサ12は、液滴ディスペンサ先端13(ノズル先端13)を有する第1の(下部の)端部と、上部液滴ディスペンサ接合部14を有する反対側の(上部の)端部を備える。この2つの端部の間に、容積が約60μlのディスペンサリザーバと、液滴ディスペンサ12で液滴を分注するための圧電アクチュエータユニットとが設けられる。上部液滴ディスペンサ接合部14は、システム液体ライン15を介して、弁装置60の三方弁61の第1のポートに結合される。システム液体ライン15は、例えば、柔軟なチューブである。
【0035】
液滴ディスペンサ装置10は、液滴ディスペンサ12の動作を制御するように構成される、ディスペンサ制御装置16を備える。さらに、ディスペンサ制御装置16は、シリンジポンプの動作を制御するポンプアクチュエータ42と、三方弁61の液体連通を切り替える弁アクチュエータ62とに結合される。
【0036】
三方弁61の第2のポートに、機械式ポンプ装置40のシリンジポンプ41が結合される。(
図1に示されているように)直接結合する代わりとして、シリンジポンプライン(図示せず)を介した結合が設けられてもよい。
【0037】
三方弁61の第3のポートには、サイフォンポンプ装置50が結合される。サイフォンポンプ装置50は、サイフォンライン52を介して三方弁61の第3のポートに結合された、システム液体リザーバ51を備える。システム液体リザーバ51は、水などのシステム液体53を含み、その中にサイフォンライン52が浸される。システム液体リザーバ51は瓶であり、システム液体53がキャリア基板20の下方に位置するように配置される。したがって、液滴ディスペンサ12を介したキャリア基板20(後述)上の試料液滴と、システム液体ライン15と、三方弁61と、システム液体53に至るサイフォンライン52との間の連続的な液体連通により、試料液滴に負圧が印加される。キャリア基板20の表面の下方にあるシステム液体53の高さHは、例えば、2cm~10cmの範囲で選択される。
【0038】
さらに、
図1は、疎水性基板表面21と、緩衝チューブ22と、ターゲット基板30とを有する、キャリア基板20を示す。キャリア基板20及びターゲット基板30は、(例えば、試料ピックアップスライドによって提供される)平坦な基板として示されている。あるいは、マイクロタイタープレート又はナノタイタープレートなどのウェル構造が基板として使用され得る。キャリア基板20及びターゲット基板30は両方とも、共通の基板で提供され得る。
【0039】
以下、試料懸濁液から粒子を分離する本発明の方法は、
図2のフローチャートを参照して説明され、フローチャートのいくつかの動作段階は、残りの
図3~
図8に図示される。
【0040】
図2によれば、本発明の方法の図示されている実施形態は、最初に準備するステップS1~S3を含む。最初に、液滴ディスペンサ10は、緩衝チューブ22(
図1を参照)の方へ移動され、その結果、液滴ディスペンサ先端13(ノズル先端)が、緩衝チューブ22内の緩衝液の中に導入される(ステップS1)。
【0041】
次に、
図3に示すように、希釈液3(試料用緩衝液)が、緩衝チューブ22から、液滴ディスペンサ12の中に充填される(ステップS2)。試料用緩衝液を充填するために、シリンジポンプ41がシステム液体ライン15を介して液滴ディスペンサ12に結合されるように、三方弁61が設置される。シリンジポンプ41の動作によって、試料用緩衝液が希釈液3として、液滴ディスペンサ12の中に吸引される。実施例では、20μlの試料用緩衝液が吸引される。好適には、これにより、試料懸濁液から収容された細胞が浸透圧ショックを受けないことが確実になる。さらに、試料を回収した後に、試料用緩衝液を液滴ディスペンサ12に更に吸引するために、緩衝チューブ22が使用され得る(後述する緩衝領域の形成)。緩衝溶液は、例えば、細胞又は粒子型を安定化する溶媒、或いは化学的に類似する液体を含み、好ましくは、リン酸緩衝生理食塩水、及び/又はウシ胎児血清(PBS及びFBS)を含む。
【0042】
その後、
図4の拡大部分に示されているように、懸濁液試料2の液滴がキャリア基板20に充填され、ディスペンサ12は、試料懸濁液2の液滴の上方にくるように調節される(ステップS3)。キャリア基板20上の懸濁液試料2の液滴は、生体細胞などの複数の粒子1、例えば、100個以上の細胞を含んでもよく、これらは互いに分離される。あるいは、液滴は、互いに分離される細胞を数個のみ含む、又は回収されてターゲット基板に移される細胞を1つのみ含んでもよい。例えば、懸濁液試料2の液滴は、1μl~10μlなどの細胞懸濁液を含み、この中に、1μl毎に約1~30細胞の密度で希少細胞を含む。懸濁液試料の液滴をキャリア基板20に充填するステップは、ディスペンサ頭部11に設けられた別の液滴ディスペンサ(図示せず)で、或いは別の液滴処理技術、即ちピペット又はマイクロ流体流路の開口部などで行われ得る。
【0043】
その後、液滴ディスペンサ12は、
図5に示すように、ノズル先端13が懸濁液試料2の液滴の中に導入されるように、キャリア基板20の方へ移動される(ステップS4)。
図5(特に、
図5の拡大部分)によれば、ノズル先端13は、キャリア基板20の基板表面21から距離をあけて配置され、距離は、100μm~250μmの範囲である。ノズル先端13は、懸濁液試料2の液滴に接触する。液滴の大きさに応じて、ノズル先端13は、100μmの距離Dまで下げて、液滴の中に浸され得る。
【0044】
その後、第1の吸引段階が行われ、第1の部分4(矢印で示す)は、シリンジポンプ41の動作によって、ノズル先端13を介して液滴ディスペンサ12の中に回収される。シリンジポンプ41は、第1の部分4として、2μlなどの所定の体積が液滴ディスペンサの中に吸引されるように制御される(ステップS5)。
【0045】
その後、シリンジポンプ41の動作が停止され、三方弁61が切り替えられて、第1のポートが三方弁61の第3のポートに結合される。したがって、サイフォンポンプ装置50と、液滴ディスペンサ12との間に連続的な液体連通が提供される(
図6を参照)。この状況において、懸濁液試料2の液滴の第2の部分5は、サイフォンポンプ装置50の効果によって、第2の吸引段階で回収される(ステップS6)。ステップS6は、残留している2μlなどの液体を吸い上げるための、重力サイフォンによる受動的な吸引を含む。サイフォン高さ、及び残量に応じて、これには10秒~2分かかる場合がある。好適には、システム液体の表面張力が高く、ノズル先端13のオリフィスのサイズが小さいために、毛細管現象によって、ノズル先端13は空気を吸引しない。この第2の吸引段階の間に、懸濁液試料2の液滴は完全に、又はほぼ完全に液滴ディスペンサ12の中に回収される。
【0046】
図7は、試料の吸引が完了したときの状態を示す。キャリア基板20は空になり、懸濁液試料の液滴は、液滴ディスペンサ12によって完全に収容される。試料の完全な吸引は、キャリア基板20の疎水性表面21によって補助される。さらに、試料は高い表面張力を有することが好ましく、これは使用可能な緩衝溶液の大部分によって実現される。
【0047】
その後、液滴ディスペンサ12は、液滴ディスペンサ12の下端部内で緩衝領域を生成するように、ノズル先端13を通して別の量の緩衝液を吸引するために、緩衝チューブ22(
図1を参照)に移動される(ステップS8)。ステップS8で緩衝領域を設けることには、液滴ディスペンサ12内の懸濁液試料が、後続の洗浄するステップS9による悪影響を受けないという利点がある。緩衝液は、サイフォンポンプ装置50の動作によって液滴ディスペンサ12の中に吸引される。緩衝領域の形成には、1~20秒の時間がかかる場合がある。
【0048】
次のステップ(ステップS9)で、液滴ディスペンサは、ノズル13の外面を洗浄するために、洗浄ステーション(図示せず)に移動される。その後、ディスペンサ頭部11は、単一細胞の分注動作を開始するために、カメラ装置70に移動される(ステップS10)。カメラ装置70、及びディスペンサ制御装置16(
図1を参照)の計算ユニットで、液滴ディスペンサ12内の細胞の分布が評価される。例えば、米国特許出願公開第2017/0274689号明細書、及び欧州特許出願第17189875.2号(本明細書の優先日において未公開)で、或いはそこに記載されている参考文献で説明されているように、液滴ディスペンサ12の単一細胞状態が検出されると、単一細胞液滴がターゲット基板30(
図1を参照)上に堆積され、或いは多細胞液滴が検出されると、
図8に示すように、回収チューブ23で再捕捉される(ステップS11)。
【0049】
より詳細には、試料が液滴ディスペンサ12の中に充填された後に、カメラ装置70で細胞検出が行われる。液滴ディスペンサ12がカメラ装置70に配置されると、この位置から排出された全液滴が、ノズル13の下方に配置された回収チューブ23に捕捉される。単一細胞状態が検出される場合、例えば、排出領域に1つの単一細胞があり(1回のディスペンサ動作で排出される体積に相当する)、排出領域の上方の沈殿領域に細胞がないと、液滴ディスペンサ12は、単一細胞を含む次の液滴をターゲット基板30に分注するために、ターゲット基板30に移動される。沈殿領域は、ディスペンサ装置がターゲット基板まで移動する間に、細胞が排出領域の中に沈殿する体積に相当する。
【0050】
その後、ターゲット基板30上の単一細胞で細胞解析が行われ得る。細胞解析は、顕微鏡撮像、光学的な、具体的には蛍光測定、力学的測定、化学検出など、それ自体周知の任意の細胞調査を含むことができる。細胞解析の結果に応じて、細胞は分類される、又は細胞培養などの別の細胞処理にかけられ得る。
【0051】
本発明の粒子分離装置100、及び上述の方法では、95%から99%以上の範囲の回収率を有する、有利な希少細胞の回収能力を実証実験が示している。自己免疫疾患において注目される細胞のモデルとして、蛍光標識されたPBMC試料(5μlの懸濁液に約70細胞を含む)を用いて、本発明者による初期実験が行われた。蛍光顕微鏡を使用して、5μlの液滴を基板表面に広げて粒子の数を数えることにより、5μlあたり約70の粒子密度が確認された。本発明の単粒子分離を適用することにより、単粒子が粒子の直線又はマトリクス配置として堆積され、本発明による装置の単粒子分離能力及び高回収率が確認された。平均して97%の単粒子回収率が得られた。
【0052】
上述の説明、図面、及び特許請求の範囲で開示されている本発明の特徴は、個別に、且つ組み合わせ又は下位組み合わせの両方において、本発明をその様々な実施形態で実現するための意義を有し得る。
【符号の説明】
【0053】
1 粒子
2 懸濁液試料
3 希釈液
4 第1の部分
5 第2の部分
10 液滴ディスペンサ装置
11 ディスペンサ頭部
12 液滴ディスペンサ
13 液滴ディスペンサ先端(ノズル)
14 上部液滴ディスペンサ接合部
15 システム液体ライン
16 ディスペンサ制御装置
20 キャリア基板
21 疎水性基板表面
22 緩衝チューブ
23 回収チューブ
30 ターゲット基板
40 機械式ポンプ装置
41 シリンジポンプ
42 ポンプアクチュエータ
50 サイフォンポンプ装置
51 システム液体リザーバ
52 サイフォンライン
53 システム液体
60 弁装置
61 三方弁
62 弁アクチュエータ
70 カメラ装置
100 粒子分離装置
D 距離
H 高さ