(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】耐侵食性蒸気バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20231107BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20231107BHJP
F16K 1/32 20060101ALI20231107BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
F16K27/00 A
F16K27/02
F16K1/32 B
F16K37/00 M
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019135026
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】グィド・エフ・フォルテ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・アーネスト・ウェルチ
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-523529(JP,A)
【文献】特開2013-189864(JP,A)
【文献】特開2018-131970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0015387(US,A1)
【文献】特開2004-19918(JP,A)
【文献】米国特許第4638833(US,A)
【文献】特開昭63-203973(JP,A)
【文献】特開平8-210516(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0107844(US,A1)
【文献】特開昭51-130925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
F16K 1/32,37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気バルブ(10)の圧力シールヘッド(35、100、200、300)のノーズピース(104、204、304、404)であって、
少なくとも先細の端部(122)、および貫通状に長手方向に延び、前記圧力シールヘッド(35、100、200、300)の細長い本体(102)の穴(106)と長手方向に整列されるように構成された穴(128)
を備え、
前記ノーズピース(104、204、304、404)は、前記細長い本体(102)を形成する第2の材料よりも高い耐侵食性を有する第1の材料で形成される、ノーズピース(104、204、304、404)。
【請求項2】
前記第1の材料が、高クロム合金、コバルト基合金、コバルト/クロム合金、タングステン合金、およびチタン合金の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のノーズピース(104、204、304、404)。
【請求項3】
前記ノーズピース(104、204、304、404)が、前記ノーズピース(104、204、304、404)の少なくとも一部の周りに円周方向に延びる少なくとも1つのキャビティ(412)を内部に有する摩耗インジケータ(410)を含み、前記少なくとも1つのキャビティ(412)が、前記少なくとも1つのキャビティ(412)の半径方向内側の内壁(415)と前記少なくとも1つのキャビティ(412)の半径方向外側の外壁(414)とを画定し、スロット(416)が、前記少なくとも1つのキャビティ(412)と前記ノーズピース(104、204、304、404)の前記穴(128)との間の流体連通を提供し、前記少なくとも1つのキャビティ(412)が、侵食にさらされる前記外壁(414)の一部の下に延びる、請求項1または2に記載のノーズピース(104、204、304、404)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのキャビティ(412)が、前記ノーズピース(104、204、304、404)内に円周方向に配置された複数のキャビティ(412)を含む、請求項3に記載のノーズピース(104、204、304、404)。
【請求項5】
蒸気バルブ(10)の圧力シールヘッド(35、100、200、300)であって、細長い本体(102)であって、
前記本体(102)を通って長手方向に延びる穴(106)を有する細長い本体(102)と、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のノーズピース(104、204、304、404)と
を備える、圧力シールヘッド(35、100、200、300)。
【請求項6】
前記細長い本体(102)を形成する第2の材料が、低クロム合金を含む、請求項5に記載の圧力シールヘッド(35、100、200、300)。
【請求項7】
前記ノーズピース(104、204、304、404)が、前記細長い本体(102)から一体的に延びる、請求項5または6に記載の圧力シールヘッド(35、100、200、300)。
【請求項8】
前記ノーズピース(104、204、304、404)が、前記圧力シールヘッド(35、100、200、300)の前記細長い本体(102)に取り外し可能かつ交換可能に取り付けられるように構成され、前記ノーズピース(104、204、304、404)および前記圧力シールヘッド(35、100、200、300)が、共にねじ切りされるように、または共にスナップ嵌めされるように構成される、請求項5または6に記載の圧力シールヘッド(35、100、200、300)。
【請求項9】
前記ノーズピース(104、204、304、404)と前記細長い本体(102)を共に固着するように構成されたピン(140)をさらに備える、請求項8に記載の圧力シールヘッド(35、100、200、300)。
【請求項10】
蒸気バルブ(10)であって、
バルブキャビティ(13)と流体連通する蒸気入口(14)および蒸気出口(16)を画定するハウジング(12)と、
前記バルブキャビティ(13)内に配置された環状バルブシート(21)と、
制御バルブステム(36)に結合されたバルブヘッド(18)を有する制御バルブ(17)であって、前記バルブシート(21)に選択的に係合するように構成される制御バルブ(17)と、
ストップバルブ(19)であって、
ストップバルブヘッド(20)、
前記ストップバルブヘッド(20)に結合されたストップバルブステム(44)であって、前記ストップバルブ(19)は、前記バルブシート(21)に選択的に係合するように構成されるストップバルブステム(44)、および
前記ストップバルブステム(44)を受容するように構成され、
細長い本体(102)であって、前記本体(102)を通って長手方向に延びる穴(106)を有する細長い本体(102)と、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のノーズピース(104、204、304、404)と
を含む圧力シールヘッド(35、100、200、300)
を含むストップバルブ(19)と
を備える、蒸気バルブ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、一般に、蒸気タービン用の蒸気バルブに関し、より具体的には、耐侵食性圧力シールヘッド(すなわち、バルブステムガイド)を有する蒸気バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
固体粒子の侵食は、発電業界の蒸気発電構成要素に影響を及ぼす一般的な問題である。発電ボイラと蒸気タービンとの間の蒸気経路の多くの部分は、ボイラチューブから蒸気輸送システムに剥離した同伴されるマグネタイト粒子による材料の侵食の問題にさらされる。時間が経つにつれて、侵食による損傷が蓄積し、蒸気配管の完全性、バルブの動作、蒸気タービンのブレードなどに影響を与え、その結果、プラントの効率が低下するだけでなく、損傷した構成要素を修復するための強制停止が増加するために信頼性および可用性が低下し得る。最終的に、プラントの所有者は、収益および利益における損失の増加を認識することになる。
【0003】
蒸気バルブは、特に蒸気バルブが開閉するときに極端な侵食状態を経験する可能性がある。
図1に示すように、概して10で示される既知の蒸気バルブは、内部キャビティ13を有する蒸気バルブ本体12と、蒸気入口14と、蒸気出口16と、制御バルブヘッド18を含む制御バルブ17と、ストップバルブヘッド20を含むストップバルブ19とを有する。制御バルブ18の上方では、制御バルブアクチュエータ(図示せず)がステム36に結合され、制御バルブヘッド18を上下させてバルブシート21に選択的に係合し、バルブ10を通る蒸気流を制御する。バルブシート21に対する流量制御ヘッド18の位置は、タービンの負荷変化に応じて制御することができることが理解されよう。
【0004】
制御ヘッド18は、構成が環状であり、その下面に沿って中空または凹部40を有する。
図1に示すように、閉位置にある制御バルブヘッド18の環状下縁は、バルブシート21に係合してシールする。ストップバルブヘッド20は、凹部40内に収容されるように構成され、ストップバルブの閉位置でバルブシート21をシールして係合するために、その下面の周りに環状面41も含む。ストップバルブヘッド20は、圧力シールヘッド35を通って油圧シリンダ(図示せず)に延びるシャフトまたはステム44に装着される。ストップバルブヘッド20は、制御システム(図示せず)を通して制御バルブヘッド18の動きに追従する。制御バルブ17の動きに追跡することによって、制御バルブヘッド18とストップバルブヘッド20の組合せは、それらのヘッドを通過し、バルブを通って出口16に至る蒸気の滑らかな層流を提供する。
【0005】
図2は、開位置にある
図1の制御バルブヘッド18とストップバルブヘッド20の両方を示す。制御バルブヘッド18およびストップバルブヘッド20の下方には、バルブを通過する蒸気の流れを出口16に導く出口通路50が設けられる。出口通路50およびバルブシート21は、流れ方向の急激な変化なしにそれらの間で滑らかで連続的な移行を実質的に形成する壁を有する。このようにして、バルブ10を通りバルブシート21を通過し、出口通路50を通って出口16に流れる蒸気は、実質的に渦がなく、最小の損失で最適な蒸気流特性を提供する。さらに、出口通路50は、バルブシート21および出口16の断面積よりも実質的に大きくない断面積を有する。したがって、バルブが開いた状態での蒸気流のパターンは、実質的に渦のない層流に向かう傾向があり、その結果、損失水頭が最小になる。この層流は、出口通路を通過するときに圧力シールヘッド35の上先端に衝突し、深刻な侵食をもたらす同伴固体粒子を含む場合がある。
【0006】
図3を参照すると、部分的に開いた位置にある蒸気バルブ10の概略図は、特に制御バルブシート18またはストップバルブヘッド20がバルブシート21から持ち上げられているかまたはバルブシート21に係合している移行期間中など、それらの間の間隔が狭い場合の制御バルブヘッド18とバルブシート21との間を通過する高速環状蒸気流54を示す。この移行時間またはバルブ位置の間、高速蒸気54は、例えば、領域42で圧力シールヘッド35の先端に環状に衝突する。蒸気流54に同伴される粒子は、この領域42で圧力シールヘッド35の侵食を増大させることを理解するであろう。
【0007】
したがって、蒸気バルブの圧力シールヘッドの侵食を減少させる手段を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
態様および利点は、その一部を以下の説明に記載しており、あるいはその説明から明らかになり、あるいは本発明の実施により学ぶことができる。
【0009】
一態様では、本開示は、細長い本体であって、本体を通って長手方向に延びる穴を有する細長い本体と、細長い本体の端から延びるノーズピースとを含む蒸気バルブの圧力シールヘッドに関する。ノーズピースは、少なくとも先細の端部と、貫通状に長手方向に延びる穴とを有する。ノーズピースは、ノーズピースの穴を細長い本体の穴と長手方向に整列させるように構成される。ノーズピースは、細長い本体を形成する第2の材料よりも高い耐侵食性を有する第1の材料で形成される。
【0010】
別の態様では、本開示は、バルブキャビティと流体連通する蒸気入口および蒸気出口を画定するハウジングと、バルブキャビティ内に配置された環状バルブシートとを含む蒸気バルブに関する。制御バルブステムに結合されたバルブヘッドを有する制御バルブは、バルブシートに選択的に係合するように構成される。蒸気バルブは、ストップバルブヘッドを有するストップバルブと、ストップバルブヘッドに結合されたストップバルブステムとをさらに含む。ストップバルブは、バルブシートに選択的に係合するように構成される。蒸気バルブは、ストップバルブステムを受容するように構成された圧力シールヘッドを含む。圧力シールヘッドは、細長い本体であって、本体を通って長手方向に延びる穴を有する細長い本体と、細長い本体の端から延びるノーズピースとを含む。ノーズピースは、少なくとも先細の端部と、貫通状に長手方向に延びる穴とを有する。ノーズピースは、ノーズピースの穴を細長い本体の穴と長手方向に整列させるように構成される。ノーズピースは、細長い本体を形成する第2の材料よりも高い耐侵食性を有する第1の材料で形成される。
【0011】
別の態様では、本開示は、蒸気バルブの圧力シールヘッドのノーズピースに関する。ノーズピースは、少なくとも先細の端部、および貫通状に長手方向に延び、圧力シールヘッドの細長い本体の穴と長手方向に整列されるように構成された穴を含む。ノーズピースは、圧力シールヘッドの細長い本体に取り外し可能かつ交換可能に取り付けられるように構成される。
【0012】
これらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することによってよりよく理解されるであろう。添付の図面は、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を例示し、説明と共に本発明のある特定の原理を説明するのに役立つ。
【0013】
本発明の完全かつ可能な開示は、その最良の形態を含み、当業者に向けられて、本明細書に記載されており、それは以下の添付の図を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】貫通状に通過する空気および粒子の流れを示す、
図2の蒸気バルブの断面部分の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、
図1の蒸気バルブ用の圧力シールヘッドの一実施形態の断面図である。
【
図5】本発明の例示的な実施形態による、
図1の蒸気バルブ用の圧力シールヘッドの別の実施形態の断面図である。
【
図6】本発明の例示的な実施形態による、
図1の蒸気バルブ用の圧力シールヘッドの別の実施形態の断面図である。
【
図7】本発明の例示的な実施形態による、
図4のノーズピースの別の実施形態の断面図である。
【
図8】本発明の例示的な実施形態による、破線8-8に沿った
図7のノーズピースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書および図面における符号の反復使用は、本発明の同じまたは類似の特徴もしくは要素を表すことを意図している。
【0016】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が図面に示されている。各例は、本発明の限定としてではなく、本発明の例示として提示される。実際、本発明の範囲または主旨から逸脱することなく、本発明に種々の修正および変形を施し得ることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または記載する特徴は、別の実施形態と共に用いて、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるそのような修正および変形を包含することが意図されている。
【0017】
本明細書で使用する場合、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の場所または重要性を示すことを意図するものではない。
【0018】
「上流」および「下流」という用語は、流体経路における流体の流れに対する相対的な方向を指す。例えば、「上流」は、流体が流れてくる方向を指し、「下流」は、流体が流れていく方向を指す。
【0019】
「上」、「下」、「上方」、および「下方」という用語は、構成要素の図中のその向きに対する構成要素の特徴または方向の相対的な位置を指し、構成要素の使用中に特徴の向きまたは方向を示すことを意図するものではない。
【0020】
「一体」および「単一」という用語は、構成要素を損傷することなく構成要素の分離が容易に実行されないように、共に冶金学的に接合または形成される少なくとも2つの構成要素を指す。
【0021】
本明細書にて特に指示がない限り、「結合された」、「固定された」、「~に取り付けられた」、「固着する」などの用語は、直接的な結合、固定、または取付と、1つまたは複数の中間構成要素または特徴による間接的な結合、固定、または取付の両方を指す。
【0022】
図4は、
図1の蒸気バルブ10で使用するための本発明の圧力シールヘッド100の例示的な実施形態を示す。圧力シールヘッド100は、本体102と、本体に取り付けられたノーズピース104とを含み、本体を損傷することなくノーズピースを取り外して交換することを可能にする。ノーズピース104は、高クロム合金、コバルト基合金、コバルト/クロム合金、タングステン合金、チタン合金または任意の他の高耐侵食性材料などの高耐侵食性材料で形成される。例えば、ノーズピース104は、ステライト6Bで形成されてもよい。本体102は、ノーズピース104と同じまたは同様の材料で形成されてもよいが、コストを削減するために、本体は、例えば低クロム合金など、ノーズピースの材料よりも低い耐侵食性特性を有する材料で形成されてもよい。
【0023】
本体102は、
図1のストップバルブ19のステム44を摺動可能に受容するために本体を長手方向にまたは軸方向に通って延びる穴106を有する概して円筒形の形状であってもよい。穴106は、ステム44の軸受面を提供するスリーブブッシング(図示せず)を収容する凹部108を有する本体102の内面103を画定する。本体102は、ハウジング12(
図1に最もよく示される)に係合するために外面110から延びる環状隆起部112を含み、本体が所望の高さで蒸気バルブ10の内部キャビティ13内に延びることができるように支持および停止を行う。本体102の下端114は、ハウジング12の穴の中におよび/または穴を通って延びるように構成される。本体102の上端105は、外面110の外径よりも小さい外径を有して環状段部116を設け、これはノーズピース104のためのシートを提供し得る。段部116において、本体102の上端105は、ノーズピース104に係合するための環状溝118を含むことができる。
【0024】
ノーズピース104は、概して円筒形の形状を有する下部120と、概して先細の上部122とを含む形状とすることができる。下部120の外径または形状は、本体102の外面110と実質的に同じであり、それらの間の比較的滑らかな移行を提供することができる。ノーズピース104の先細部122の外面124は、圧力シールヘッド100上を通る蒸気流54(
図3)に係合するための所望の空気力学的プロファイルを提供するように、弓形、丸みを帯びた、平坦または任意の他の特性であってもよい。
図4に示すように、ノーズピース104の先細の上部122は、丸みを帯びた凸面124を有することができる。ノーズピース104は、ノーズピースの内面130を画定し、ストップバルブ19のステム44を摺動可能に受容するために貫通状に長手方向にまたは軸方向に通過する穴128を含む。ノーズピース104の穴106は、ステム44の軸受面を提供するスリーブブッシング(図示せず)を収容する凹部132を含む。ノーズピース104の下部120は、内部に本体102を受容するための、本体の上端105の外径と実質的に等しいまたはそれよりも小さい直径を有する座ぐり穴134を含む。座ぐり穴134内の下端120は、本体の溝118と相補的な形状を有して内側に延びる環状隆起部136を含むことができる。
【0025】
図4に最もよく示されるように、ノーズピース104は、ノーズピースを本体に焼嵌めすることによって本体102に取り付けることができ、それによりノーズピースが本体の上端105に適合し、ノーズピースの環状隆起部136が本体の溝118に係止して圧力シールヘッド100を形成する。ノーズピース104を本体102にさらに固着するために、少なくとも1つのピン140は、ノーズピースの貫通孔を通って本体102の上端105の孔に延びることができる。本発明はまた、ノーズピース104が環状隆起部136を提供せず、本体102も溝118を提供しないことを企図し、それによりノーズピース104が少なくとも1つのピン140によって本体102に簡単に固着され、取り外し可能である。本発明は、ノーズピース104を本体102に固着して圧力シールヘッド100を形成するために1~4つのピン140を使用することができることをさらに企図する。
【0026】
図5の別の例示的な実施形態では、
図4の圧力シールヘッド100と同様の圧力シールヘッド200が示され、したがって、共通の特徴は、同じ参照番号および特性を有する。圧力シールヘッド200と圧力シールヘッド100との間の主な違いは、ノーズピースを本体に取り付けてノーズピースの取り外しおよび/または交換を可能にする手段である。この実施形態では、本体202の上部105の外面とノーズピース104の下部120の座ぐり穴134の内面の両方は、ねじ切りされている。ノーズピース204および本体202は、一緒にねじ切りされて共にこれらの構成要素を固着する。
図4および
図5に示すこれらの取付手段により、ノーズピース104、204を本体102、202から取り外し、圧力シールヘッド100、200の本体を損傷することなく新しいノーズピースと交換することが可能になる。
【0027】
図4および
図5に示す取付手段は、本体102、202をノーズピース104、204に挿入して取り付けるための特徴を提供するが、本発明は、これらの取付特徴を逆にすることができ、それによりノーズピース104、204が取付部の雄部を含み、本体102、202が雌部を含むように、ノーズピース104、204と本体102、202がノーズピースを本体に挿入することによって共に取り付けられることを企図する。例えば、本体102、202の上部105は、
図4および
図5のそれぞれのノーズピース104、204の座ぐり穴134と同様の座ぐり穴を含むことができ、ノーズピース104、204の下部120は、ノーズピース104、204の外面の外径よりも小さい外径を有する下端を含むことができ、
図4および
図5のそれぞれの本体102、202の上端105と同様の環状段部を提供する。
図4の圧力シールヘッド100のこの代替の実施形態は、ノーズピースを本体に取り付けるための相補的な環状隆起部および溝を含むことができる。同様に、
図5の圧力シールヘッド200のこの代替の実施形態は、ノーズピースの下端および本体の座ぐり穴にねじ山付き面を含み、ノーズピースを本体にねじ込んで固着することができる。さらに、ノーズピース104、204および本体102、202は、概して円筒形の形状または円形の断面を有するものとして説明されているが、形状または断面は、任意の形状または断面、例えば任意の六角形を含むことができることを理解するであろう。
【0028】
図6を参照すると、本発明による圧力シールヘッド300の別の実施形態が示されており、これはそれぞれ
図4および
図5の圧力シールヘッド100、200と同様であり、したがって、共通の特徴は、同じ参照番号および特性を有する。圧力シールヘッド300は、共に固定的に取り付けられた本体302およびノーズピース304を含む。圧力シールヘッド100、200と同様に、ノーズピース304は、高耐侵食性材料で形成され、本体は、例えば低クロム合金など、ノーズピースの材料よりも低い耐侵食性特性を有する材料で形成されてもよい。
【0029】
圧力シールヘッド300と圧力シールヘッド100、200との間の主な違いは、本体302とノーズピース304を共に取り付ける手段である。本体302とノーズピース304は、従来のろう付けまたは溶接(例えば、慣性溶接)取付方法などの種々の取付方法または手段によって、一体または単一の構成要素を形成するように共に形成または接合され得る。あるいは、ノーズピース304および本体302は、異なる付加製造方法を含む、成形または付加製造方法によって単一の構成要素として形成されてもよい。示されるように、ノーズピース304および本体302は、相補的な平坦な係合面306、308をそれぞれ提供し、構成要素間の平面移行を可能にする。係合面は平坦であるが、係合面は、相補的なインターロック特徴を提供することを理解するであろう。例えば、本体302の上端は、ノーズピース304内の相補的な穴に延びてもよく、またはその逆でもよい。この実施形態では、本体302からのノーズピース304の非破壊的な取り外しおよび交換は単純でも経済的でもないため、圧力シールヘッド300全体を交換することが最も実用的である。
【0030】
別の例示的な実施形態では、
図7および
図8は、ノーズピース404の外面に過度の侵食があることをオペレータに通知する手段を提供する摩耗インジケータ410を含むように修正された、
図4の圧力シールヘッド100のノーズピース104と同様のノーズピース404を示す。したがって、共通の特徴は、同じ参照番号を有する。ノーズピース404は、先細部122内に配置された少なくとも1つのキャビティ412を含むことができ、ノーズピースは、
図3に示すように、領域42で最大量の侵食を経験する可能性がある。キャビティ412は、ノーズピース404の先端414からノーズピース404の先細部122の少なくとも底部に延びていてもよい。キャビティ412は、ノーズピース404の下部120の内面に配置された開口部またはスロット416と流体連通する。キャビティ412は、
図8に最もよく示されるように、内壁415および所望の外壁厚さt
1を有する外壁414を提供するためにノーズピース404の外面から間隔を空けて配置される。外壁414の厚さt
1は、ノーズピース404上の特定の領域42(
図2および
図3参照)の許容可能な侵食の量を示している。示されるように、ノーズピース404の外壁414の厚さは、キャビティ412が下方に延びるにつれて大きく増加し得る。本発明は、ノーズピース404の先細部122にわたって外壁の厚さを一定に保つこと、またはキャビティ412が下方に延びるにつれて先細部122にわたる外壁の厚さが減少することをさらに企図する。さらに、外壁の厚さは、ノーズピース404の侵食パターンに応じて異なり得る。例えば、壁の厚さは、最も侵食を経験する領域42で最大になり得る。
図8に最もよく示されるように、キャビティ412は、示されるようにノーズピース404の一部の周りに円周方向に、またはノーズピースの周囲全体を囲んで完全に延びる。
図7および
図8に示す実施形態では、ノーズピース404は、ノーズピース404を囲んで円周方向に等間隔に配置された4つのキャビティ412を含み、各キャビティはそれぞれのスロット416と流体連通する。任意の数のキャビティ412がノーズピース404内に円周方向に配置され得ることを理解するであろう。一実施形態では、キャビティ412間の間隔420は、摩耗インジケータの円周方向領域の空隙を最小限にするために最小である。キャビティ412は、異なる変化する円周方向幅または同じ円周方向幅を有し得る。摩耗インジケータシステム410は、穴128、106内ならびに圧力シールヘッド100の表面124および122の外側の圧力を測定するためのセンサ(図示せず)をさらに含む。ノーズピース404の外壁414がキャビティ412のいずれか1つを破る点まで浸食すると、蒸気バルブ10内の蒸気は、それぞれのキャビティ412と流体連通するそれぞれのスロット416を介して穴128、106へとキャビティ412に流入する。圧力変化に応じて、制御システム(図示せず)は、ノーズピース404が過度の侵食を示すため、ノーズピース404の交換が必要であり得ることをオペレータに通知する警告またはインジケータを提供する。
【0031】
図7および
図8に示すように、ノーズピース104は摩耗インジケータ410を含むように修正することができるが、前にここで提供されたノーズピース204、304の各々は、圧力シールヘッド200または圧力シールヘッド300を交換する必要性を決定するための同様の過度摩耗インジケータ410を含み得ることを理解するであろう。
【0032】
本発明は、固体粒子の侵食の長期的影響からのさらなる保護レベルを顧客に提供する。この特徴が適用された圧力シールヘッドは、侵食に対する耐性が向上し、機器の故障による強制停止を防止する役割を果たす。
【0033】
本明細書は、本発明を最良の態様を含めて開示すると共に、あらゆるデバイスまたはシステムの製作および使用ならびにあらゆる関連の方法の実行を含む本発明の実施を当業者にとって可能にするために、例示的な実施形態を用いている。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、または特許請求の範囲の文言と実質的な差異を有さない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることを意図している。
【符号の説明】
【0034】
10 蒸気バルブ
12 蒸気バルブ本体、ハウジング
13 内部キャビティ
14 蒸気入口
16 蒸気出口
17 制御バルブ
18 制御バルブヘッド、制御バルブ、流量制御ヘッド、制御バルブシート
19 ストップバルブ
20 ストップバルブヘッド
21 バルブシート
35 圧力シールヘッド
36 ステム
40 凹部
41 環状面
42 領域
44 ステム
50 出口通路
54 高速環状蒸気流、高速蒸気
100 圧力シールヘッド
102 本体
103 内面
104 ノーズピース
105 上端、上部
106 穴
108 凹部
110 外面
112 環状隆起部
114 下端
116 環状段部
118 環状溝
120 下部、下端
122 先細の上部、先細部
124 外面、凸面、表面
128 穴
130 内面
132 凹部
134 座ぐり穴
136 環状隆起部
140 ピン
200 圧力シールヘッド
202 本体
204 ノーズピース
300 圧力シールヘッド
302 本体
304 ノーズピース
306 係合面
308 係合面
404 ノーズピース
410 摩耗インジケータ、摩耗インジケータシステム、
412 キャビティ
414 先端、外壁
415 内壁
416 スロット
420 間隔
t1 外壁厚さ