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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】列車制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/40 20060101AFI20231107BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20231107BHJP
【FI】
B60L15/40 D
B60L3/00 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019159711
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021040396
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 亘
(72)【発明者】
【氏名】池山 太一
(72)【発明者】
【氏名】沖本 裕一
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-292509(JP,A)
【文献】特開平07-075205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 15/40
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上子から地上情報を受信する地上情報受信部と、
列車の車軸速度の検出結果に基づいて第1の速度を算出する速度算出部と、
空転滑走が検知された場合、空転滑走が検知される前の前記第1の速度を補正し、第2の速度と、前記第2の速度よりも遅い第3の速度と、を算出する速度補正部と、
前記地上情報と、前記第1の速度と、前記第2の速度と、に基づいて、第1の地上子間距離を算出し、前記地上情報と、前記第1の速度と、前記第3の速度と、に基づいて、前記第1の地上子間距離よりも短い第2の地上子間距離を算出する地上子間距離算出部と、 前記第1の地上子間距離に対応する第1の制御データと、前記第2の地上子間距離に対応する第2の制御データとで安全性が高い側を選択し、制御データを出力する演算処理部と、を具備し、
前記速度補正部は、
空転滑走が検知される前の前記第1の速度と、空転滑走が検知されたタイミングにおける減速度と、に基づいて、前記第2の速度を算出し、
空転滑走が検知される前の前記第1の速度と、列車の限界減速度と、に基づいて、前記第3の速度を算出する、列車制御装置。
【請求項2】
前記演算処理部は、
予め地上子間距離の範囲と、制御データとが対応付けられたテーブルに基づいて、前記第1の地上子間距離に対応する第1の制御データと、前記第2の地上子間距離に対応する第2の制御データとをそれぞれ決定する請求項1に記載の列車制御装置。
【請求項3】
前記速度補正部は、減速度が車両性能を超える値になった場合、空転滑走を検知し、速度の補正を行う請求項1又は請求項2に記載の列車制御装置。
【請求項4】
前記速度補正部は、前記第1の速度から列車の限界減速度で減速した場合の速度と、列車の車軸速度の検出結果と一致した場合、空転滑走状態から復帰したと判断する請求項1乃至のいずれか1項に記載の列車制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、列車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上子間の距離に対応した速度パターンに基づいて、列車の制御を行うATS車上装置などの列車制御装置が実用化されている。列車制御装置は、線路近傍に設けられた地上子から情報を受信し、情報を受信したタイミング及び列車の速度に基づいて、地上子間距離を算出する。
【0003】
しかし、地上子間の走行中に、列車の車両が空転または滑走(以下空転滑走と総じて称する)が生じた場合、正確な列車の速度を算出することができない。この為、地上子間距離の算出が不正確になり、列車制御装置は、誤った速度パターンに基づいて、列車を制御する可能性がある。例えば、空転滑走中に仮想速度を採用し、地上子間距離を推定する構成が考えられる。しかし、速度パターンは、予め設定された地上子間距離に対応付けられて設定されている。この為、仮想速度と実際の速度との差がわずかであっても、空転滑走が終了する再粘着までの間に、より危険な(安全性が低い)速度パターンによって列車が制御される可能性があるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-292509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、より安全に列車を制御することができる列車制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る列車制御装置は、地上情報受信部と、速度算出部と、速度補正部と、地上子間距離算出部と、演算処理部と、を具備する。地上情報受信部は、地上子から地上情報を受信する。速度算出部は、列車の車軸速度の検出結果に基づいて第1の速度を算出する。速度補正部は、空転滑走が検知された場合、空転滑走が検知される前の前記第1の速度を補正し、第2の速度と、前記第2の速度よりも遅い第3の速度と、を算出する。地上子間距離算出部は、前記地上情報と、前記第1の速度と、前記第2の速度と、に基づいて、第1の地上子間距離を算出し、前記地上情報と、前記第1の速度と、前記第3の速度と、に基づいて、前記第1の地上子間距離よりも短い第2の地上子間距離を算出する。演算処理部は、前記第1の地上子間距離に対応する第1の制御データと、前記第2の地上子間距離に対応する第2の制御データとで安全性が高い側を選択し、制御データを出力する。前記速度補正部は、空転滑走が検知される前の前記第1の速度と、空転滑走が検知されたタイミングにおける減速度と、に基づいて、前記第2の速度を算出し、空転滑走が検知される前の前記第1の速度と、列車の限界減速度と、に基づいて、前記第3の速度を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る列車制御装置の構成の例について説明する為の図である。
図2図2は、一実施形態に係る地上子間の距離に対応する速度パターンの例について説明する為の図である。
図3図3は、一実施形態に係る速度パターンテーブルの例について説明する為の図である。
図4図4は、一実施形態に係る空転滑走の検出方法及び空転滑走中の速度の補正の例について説明する為の図である。
図5図5は、一実施形態に係る速度に基づく距離の算出の例について説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る列車制御装置1の構成例を示す説明図である。列車制御装置1は、図示されない列車の車両に搭載され、列車の走行に関する制御を行う装置である。車両には、列車制御装置1と、運転士が操作する運転台からの力行指令及びブレーキ指令に基づいて列車を走行させる駆動装置とが設けられている。列車制御装置1は、列車の走行速度、及び速度パターンなどの制御データを運転台または駆動装置に供給する。
【0009】
列車制御装置1は、パルス処理部11、速度算出処理部12、空転滑走検知速度補正部13、距離算出処理部14、地上情報受信部15、地上子間距離算出処理部16、及びパターン演算処理部17、を備える。パルス処理部11、速度算出処理部12、空転滑走検知速度補正部13、距離算出処理部14、地上情報受信部15、地上子間距離算出処理部16、及びパターン演算処理部17は、それぞれハードウエアにより構成される。なお、列車制御装置1が演算処理を実行する例えばCPUなどの演算素子と、演算素子によって実行されるプログラム(ソフトウエア)を記憶したメモリとを備える構成である場合、列車制御装置1は、一部をソフトウエアにより実現する構成するものであってもよい。
【0010】
パルス処理部11は、列車の車両の車軸に設けられた速度発電機TGから出力された交流信号を処理する。例えば、パルス処理部11は、速度発電機TGからの交流信号をパルス信号に変換し、出力するパルス変換器である。速度発電機TGは、車軸の回転に応じた位相差のある電圧である交流信号を出力する。即ち、交流信号の周波数は、車軸の回転速度(車軸速度)に比例する。
【0011】
速度算出処理部12は、パルス処理部11から出力されたパルス信号に基づき、列車の走行速度(第1の速度)を算出する速度算出部である。速度算出処理部12は、パルス信号の周波数と、車両の車輪などの仕様とに基づいて、第1の速度を算出する。即ち、第1の速度は、車軸速度が車輪の径などにより変換されたものである。
【0012】
空転滑走検知速度補正部13は、第1の速度に基づいて、空転滑走の開始を検知する。また、空転滑走検知速度補正部13は、第1の速度に基づいて、空転滑走の終了を検知する。また、空転滑走検知速度補正部13は、空転滑走を検知した場合、第1の速度を補正し、第2の速度、及び第3の速度をそれぞれ算出する速度補正部として機能する。
【0013】
距離算出処理部14は、パルス処理部11及び空転滑走検知速度補正部13からの情報に基づいて、列車の在線位置を算出する。
【0014】
地上情報受信部15は、線路近傍に設けられた地上子Gから情報(地上情報)を受信する。地上情報受信部15は、地上情報をパターン演算処理部17、及び地上子間距離算出処理部16に供給する。 地上子間距離算出処理部16は、地上情報受信部15から供給された地上情報に基づいて、隣接する地上子間距離を算出する。地上子間距離算出処理部16は、地上情報を受信したタイミング、即ち列車が地上子Gを通過したタイミングに基づいて、地上子間距離を算出する。具体的には、地上子間距離算出処理部16は、地上情報を受信した場合、今回地上情報を受信したタイミングと、前回地上情報を受信したタイミングとの差と、その間における列車の速度とに基づいて、地上子間距離を算出する。
【0015】
パターン演算処理部17は、種々の情報に基づいて、これら各部位からの情報をもとに制御用の速度パターン(制御データ)を、運転台または駆動装置に供給する演算処理部である。
【0016】
次に、地上子間距離と速度パターンとの関係について説明する。
図2は、複数の地上子Gと、地上子G間の距離に対応する速度パターンとについて説明する為の説明図である。図2に示されるように、地上子G1と地上子G2とが地上子間距離Lをおいて設置されている。
【0017】
列車制御装置1は、地上子G2を通過した場合、地上子G1を通過した時刻と、地上子G2を通過した時刻と、速度発電機TGからの交流信号とに基づいて、地上子間距離Lを算出する。
【0018】
図3は、速度パターンテーブルの例について説明する為の説明図である。速度パターンテーブルは、予め地上子間距離の範囲(上限閾値と下限閾値との組み合わせ)と、安全度を示す情報と、制限速度を示す情報と、制御データとして速度パターンと、が対応付けられたテーブルである。例えば、パターン演算処理部17は、速度パターンテーブルをメモリなどに有する。パターン演算処理部17は、速度パターンテーブルを参照し、地上子間距離に対応付けられた速度パターンを出力する。
【0019】
例えば、図2の例で示される地上子間距離がL=6[m]である場合、パターン演算処理部17は、安全度が「高」であり、制限速度が「30[km/h]」である第1の速度パターンを出力する。また、図2の例で示される地上子間距離がL=14[m]である場合、パターン演算処理部17は、安全度が「中」であり、制限速度が「60[km/h]」である第2の速度パターンを出力する。また、図2の例で示される地上子間距離がL=20[m]以上である場合、パターン演算処理部17は、安全度が「低」であり、制限速度が「無」である第3の速度パターンを出力する。
【0020】
パターン演算処理部17は、既定のパターンと第1の速度パターン、第2の速度パターン、及び第3の速度パターンとして出力する。また、パターン演算処理部17は、地上子間距離に対応した制限速度に基づいて、第1の速度パターン、第2の速度パターン、及び第3の速度パターンをそれぞれ生成し、出力する構成であってもよい。
【0021】
次に、空転滑走検知時における速度の補正について説明する。
図4は、空転滑走の検出方法と、空転滑走中の速度の補正とについて説明する為の説明図である。図4の横軸は時間[sec]であり、縦軸は速度[km/h]を示す。また、タイミングTsttで空転滑走の検知が開始され、タイミングTendで空転滑走の検知が終了したと仮定して説明する。なお、ここでは、滑走状態を例に説明を行うが、空転状態も同様の考え方に基づき算出することが可能である。
【0022】
空転滑走検知速度補正部13は、第1の速度と、列車固有の車両性能とに基づいて、空転または滑走が生じていることを検出する。空転滑走検知速度補正部13は、第1の速度に基づいて減速度を算出し、算出した減速度が車両性能を超える値であった場合、滑走が生じたことを検知する。図4の例によると、タイミングTsttで、第1の速度の減速度が、車両性能を超える値になり、滑走検知が開始される。
【0023】
また、空転滑走検知速度補正部13は、空転滑走が検知されたタイミングにおける第1の速度及び減速度(減速度α)に基づいて、第2の速度を算出する。空転滑走検知速度補正部13は、空転滑走が検知されたタイミングTsttから、同じ減速度αで減速が続いたと仮定して、第2の速度を算出する。即ち、空転滑走検知速度補正部13は、空転滑走が検知されたタイミングTsttにおける第1の速度から、空転滑走が検知されたタイミングTsttからの経過時間及び減速度αとに応じた速度を減算することにより、第2の速度を算出する。
【0024】
また、空転滑走検知速度補正部13は、空転滑走が検知されたタイミングTsttにおける第1の速度と、列車固有の車両性能における限界減速度βと、に基づいて、第3の速度を算出する。空転滑走検知速度補正部13は、空転滑走が検知されたタイミングTsttから、限界減速度βで減速が続いたと仮定して、第3の速度を算出する。即ち、空転滑走検知速度補正部13は、空転滑走が検知されたタイミングにおける第1の速度から、空転滑走が検知されたタイミングTsttからの経過時間及び限界減速度βに応じた速度を減算することにより、第3の速度を算出する。
【0025】
また、空転滑走検知速度補正部13は、第1の速度から列車の限界減速度βで減速した場合の速度(即ち第3の速度)と、第1の速度とが一致した場合、空転滑走状態から復帰したと判断する。図4の例によると、タイミングTendで、第1の速度と、第3の速度とが一致し、滑走検知が終了する。
【0026】
次に、地上子間距離の算出対象の区間内に空転滑走が検知された場合の処理について説明する。
図5は、速度に基づく距離の算出について説明する為の説明図である。図5の横軸は時間[sec]であり、縦軸は距離[m]を示す。また、図5の横軸は、図4の横軸に対応している。即ち、タイミングTsttで空転滑走の検知が開始され、タイミングTendで空転滑走の検知が終了したと仮定する。また、タイミングTsttより前のタイミングT1、タイミングTendの間であるタイミングT2及びタイミングT3、タイミングTendより後のタイミングT4において、地上子Gを通過したと仮定して説明する。
【0027】
まず、最初の地上子Gの通過タイミングであるタイミングT1における距離(線路上における位置:在線位置)が「A」であるとする。
【0028】
次の地上子Gの通過タイミングであるタイミングT2における距離は、タイミングTsttで滑走の検知が開始されている為、最大で距離B1、最小で距離B2となる。タイミングT2における最大距離であるB1は、タイミングT1からタイミングTsttまで第1の速度でTstt-T1の間走行したことと、タイミングTsttからタイミングT2まで減速度αで減速する第2の速度でT2-Tsttの間走行したことと、に基づき算出される。タイミングT2における最小距離であるB2は、タイミングT1からタイミングTsttまで第1の速度でTstt-T1の間走行したことと、タイミングTsttからタイミングT2まで限界減速度βで減速する第3の速度でT2-Tsttの間走行したことと、に基づき算出される。よって、地上子間距離は、「B1-A」または、より短い「B2-A」となる。
【0029】
次の地上子Gの通過タイミングであるタイミングT3における距離は、依然として滑走が検知され続けている為、最大で距離C1、最小で距離C2となる。タイミングT3における最大距離であるC1は、タイミングT2からタイミングT3まで減速度αで減速する第2の速度でT3-T2の間走行したことに基づき算出される。タイミングT3における最小距離であるC2は、タイミングT2からタイミングT3まで限界減速度βで減速する第3の速度でT3-T2の間走行したことに基づき算出される。よって、地上子間距離は、「C1-B1」または、より短い「C2-B2」となる。
【0030】
次の地上子Gの通過タイミングであるタイミングT4における距離は、タイミングTendで滑走の検知が終了している為、最大で距離D1、最小で距離D2となる。タイミングT4における最大距離であるD1は、タイミングT3からタイミングTendまで減速度αで減速する第2の速度でTend-T3の間走行したことと、タイミングTendからタイミングT4までは速度発電機TGで計測された第1の速度でT4-Tendの間走行したことと、に基づき算出される。タイミングT4における最小距離であるD2は、タイミングT3からタイミングTendまで限界減速度βで減速する第3の速度でTend-T3の間走行したことと、タイミングTendからタイミングT4までは速度発電機TGで計測された第1の速度でT4-Tendの間走行したことと、に基づき算出される。よって、地上子間距離は、「(D2-Emin)+(Emax-C1)」または、より短い「D2-C2」となる。
【0031】
次に、地上子間距離の最大値と最小値とに基づいて、速度パターンを出力する処理について説明する。
パターン演算処理部17は、地上子間距離の最大値(第1の地上子間距離)の算出結果と、地上子間距離の最小値(第2の地上子間距離)の算出結果と、に基づいて、出力する速度パターンを決定する。パターン演算処理部17は、速度パターンテーブルを参照し、第1の地上子間距離に対応する第1の制御データ(速度パターン)と、第2の地上子間距離に対応する第2の制御データ(速度パターン)とを読み出す。
【0032】
パターン演算処理部17は、読み出した第1の制御データと、読み出した第2の制御データとでどちらが安全であるかを判断する。上記したように、速度パターンテーブルでは、制御データに安全度を示す情報が対応付けられている。この為、パターン演算処理部17は、速度パターンテーブル上で制御データに対応付けられた安全度を示す情報に基づいて、第1の制御データと、第2の制御データとのどちらが安全であるかを判断する。また、例えば、パターン演算処理部17は、第1の制御データと、第2の制御データとを比較することにより、どちらが安全であるかを判断してもよい。また、パターン演算処理部17は、第1の制御データに対応する制限速度と、第2の制御データに対応する制限速度とに基づいて、どちらが安全であるかを判断してもよい。
【0033】
パターン演算処理部17は、第1の制御データと第2の制御データとの内より安全であると判断した(安全性が高い側の)制御データを出力する。
【0034】
例えば、第1の地上子間距離が11[m]であり、第1の地上子間距離よりも短い第2の地上子間距離が9[m]であるとする。この場合、距離の差が2[m]であるにも関わらず、図2の速度パターンテーブルで設定された制限速度が60[km/h]と30[km/h]であり、大きな差がある。しかしながら、上記の実施形態に記載のように、パターン演算処理部17は、第1の地上子間距離に対応する制限速度が60[km/h]の第1の速度パターンと、第2の地上子間距離に対応する制限速度が30[km/h]の第2の速度パターンと、で、より安全性が高い第2の速度パターンを選択し、出力する。
【0035】
このように、パターン演算処理部17は、地上子間距離の算出対象の区間の走行中に空転滑走が生じた場合、算出されうる地上子間距離の最大値と最小値とをそれぞれ算出し、最大値及び最小値にそれぞれ対応する2つの制御パターンのうちでより安全な制御パターンを出力する。これにより、列車制御装置1は、より安全に列車を制御することができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1…列車制御装置、11…パルス処理部、12…速度算出処理部、13…空転滑走検知速度補正部、14…距離算出処理部、15…地上情報受信部、16…地上子間距離算出処理部、17…パターン演算処理部。
図1
図2
図3
図4
図5