IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

特許7379048商品販売登録装置及びその制御プログラム
<>
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図1
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図2
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図3
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図4
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図5
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図6
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図7
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図8
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図9
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図10
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図11
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図12
  • 特許-商品販売登録装置及びその制御プログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】商品販売登録装置及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20231107BHJP
   G07G 1/06 20060101ALI20231107BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20231107BHJP
   G06Q 20/20 20120101ALI20231107BHJP
【FI】
G07G1/12 361D
G07G1/12 361E
G07G1/06 B
G06Q30/06
G06Q20/20 350
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019178804
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056740
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 純
(72)【発明者】
【氏名】池谷 昭二
(72)【発明者】
【氏名】大江 嘉海貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和彦
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-051410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/14
G06Q 10/00-50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売登録する商品を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定された前記商品の本体価格を取得する取得手段と、
前記商品の販売形態が、第1の税率による税が課せられる第1の販売形態なのか、前記第1の税率よりも小さい第2の税率による税が課せられる第2の販売形態なのかを識別する識別手段と、
前記取得手段で取得した前記本体価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額から当該本体価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税額を減じた金額を値引額として算出する値引額算出手段と、
前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別されると、前記特定手段により特定された商品の販売価格を前記取得手段で取得した前記本体価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第1の登録手段と、
前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別されると、前記本体価格から前記値引額を減じた金額を前記特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第2の登録手段と、
を具備する商品販売登録装置。
【請求項2】
前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別された場合には、前記第1の登録手段で販売登録した前記販売価格と前記税額とを関連付けて出力し、前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別された場合には、前記第2の登録手段で販売登録した前記販売価格の算出に用いた前記本体価格と前記値引額と前記税額とを関連付けて出力する出力手段、
をさらに具備する請求項記載の商品販売登録装置。
【請求項3】
販売登録する商品を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定された前記商品の本体価格を取得する取得手段と、
前記商品の販売形態が、第1の税率による税が課せられる第1の販売形態なのか、前記第1の税率よりも小さい第2の税率による税が課せられる第2の販売形態なのかを識別する識別手段と、
前記取得手段で取得した前記本体価格に対する前記第1の税率と前記第2の税率との差分値の割合を割引額として算出する割引額算出手段
前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別されると、前記特定手段により特定された商品の販売価格を前記取得手段で取得した前記本体価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第1の登録手段と、
前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別されると、前記本体価格から前記割引額を減じた金額を前記特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第2の登録手段と、
を具備する、商品販売登録装置。
【請求項4】
前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別された場合には、前記第1の登録手段で販売登録した前記販売価格と前記税額とを関連付けて出力し、前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別された場合には、前記第2の登録手段で販売登録した前記販売価格の算出に用いた前記本体価格と前記割引額と前記税額とを関連付けて出力する出力手段、
をさらに具備する請求項記載の商品販売登録装置。
【請求項5】
前記割引額算出手段で算出された割引額相当の特典を供与する供与手段、
をさらに具備し、
前記第2の登録手段は、前記本体価格を前記特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と前記本体価格から前記割引額を減じた金額に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する、請求項記載の商品販売登録装置。
【請求項6】
商品販売登録装置のコンピュータを、
販売登録する商品を特定する特定手段、
前記特定手段で特定された前記商品の本体価格を取得する取得手段、
前記商品の販売形態が、第1の税率による税が課せられる第1の販売形態なのか、前記第1の税率よりも小さい第2の税率による税が課せられる第2の販売形態なのかを識別する識別手段、
前記取得手段で取得した前記本体価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額から当該本体価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税額を減じた金額を値引額として算出する値引額算出手段、
前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別されると、前記特定手段により特定された商品の販売価格を前記取得手段で取得した前記本体価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第1の登録手段、及び、
前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別されると、前記本体価格から前記値引額を減じた金額を前記特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第2の登録手段、
として機能させるための制御プログラム。
【請求項7】
商品販売登録装置のコンピュータを、
販売登録する商品を特定する特定手段、
前記特定手段で特定された前記商品の本体価格を取得する取得手段、
前記商品の販売形態が、第1の税率による税が課せられる第1の販売形態なのか、前記第1の税率よりも小さい第2の税率による税が課せられる第2の販売形態なのかを識別する識別手段、
前記取得手段で取得した前記本体価格に対する前記第1の税率と前記第2の税率との差分値の割合を割引額として算出する割引額算出手段、
前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別されると、前記特定手段により特定された商品の販売価格を前記取得手段で取得した前記本体価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第1の登録手段、及び、
前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別されると、前記本体価格から前記割引額を減じた金額を前記特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第2の登録手段、
として機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品販売登録装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では、商品の消費(販売)に対して税が課せられる税制に関し、飲料品又は食料品等のように生活に直接関与する商品の税率を他の商品よりも低く抑える、いわゆる軽減税率制度が導入される。軽減税率制度では、軽減税率の対象となる商品に対する税率は、対象とならない商品に対する通常税率よりも低くなる。ただし、軽減税率の対象となる商品であっても、販売形態によっては対象とならないケースがあり得る。具体的には、軽減税率の対象である飲料品又は食料品に関して、「外食を除く」と定義されている。このため、店舗で購入した飲料品又は食料品を持ち帰る、いわゆる持帰りの場合には、軽減税率の対象となる。しかし、店舗内で飲料品又は食料品を飲食する、いわゆる店内飲食の場合には外食扱いとなるため、軽減税率の対象とはならない。
【0003】
例えば、持帰りに対しては税率8%の軽減税率が適用される本体価格500円の商品を、店内飲食として消費した場合に税率10%の通常税率が課せられるとする。この場合、持帰りのときの税込み価格は540円だが、店内飲食のときの税込み価格は550円となる。従って、必然的に支払金額が低い販売形態、つまりは持帰りの比率が高まると予想される。持帰りの比率が高まると、持帰り用の容器、袋等のコストが増えるため、利益率が下がる懸念がある。
【0004】
そこで、飲料品又は食料品の販売形態として持帰りと店内飲食とを併用している店舗では、店内飲食であっても持帰りであっても支払金額が実質的に変わらないように商品を販売登録することが重要視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-081520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、販売形態によって課せられる税の税率が異なる場合でも、消費者に同じ商品をほぼ同じ価格で提供できる商品販売登録装置及びその制御プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、商品販売登録装置は、取得手段と、識別手段と、第1の登録手段と、第2の登録手段と、を備える。特定手段は、販売登録する商品を特定する。取得手段は、特定手段で特定された商品の本体価格を取得する。識別手段は、商品の販売形態が、第1の税率による税が課せられる第1の販売形態なのか、第1の税率よりも小さい第2の税率による税が課せられる第2の販売形態なのかを識別する。第1の登録手段は、識別手段により販売形態が第2の販売形態であると識別されると、特定手段により特定された商品の販売価格を取得手段で取得した本体価格とし、その販売価格と当該販売価格に第2の税率による税が課せられたときの税額とから商品を販売登録する。第2の登録手段は、識別手段により販売形態が第1の販売形態であると識別されると、特定手段により特定された商品の販売価格を、当該販売価格に第1の税率による税が課せられたときの税込み価格が、取得手段で取得した本体価格に第2の税率による税が課せられたときの税込み価格と近似する価格とし、その販売価格と当該販売価格に第1の税率による税が課せられたときの税額とから商品を販売登録する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1又は第2の実施形態に係る飲食店に構築されるPOSシステムの全体構成図。
図2】第1又は第2の実施形態において、商品マスタファイルに記憶されるデータレコードの主要なデータ構造を示す模式図。
図3】第1又は第2の実施形態において、POS端末の要部回路構成を示すブロック図。
図4】第1又は第2の実施形態において、税率テーブルのデータ構造を示す模式図。
図5】第1又は第2の実施形態において、POS端末のメインメモリに形成される主要な領域を示す模式図。
図6】第1又は第2の実施形態において、POS端末のプロセッサが制御プログラムに従って実行する1取引の主要な処理手順を示す流れ図。
図7】第1又は第2の実施形態において、図6における持帰り処理の具体的な手順を示す流れ図。
図8】第1の実施形態において、図6における店内飲食処理の具体的な手順を示す流れ図
図9】第1又は第2の実施形態において、販売形態が持帰りのときに発行されるレシートの一例を示す模式図。
図10】第1の実施形態において、販売形態が店内飲食のときに発行されるレシートの一例を示す模式図。
図11】第2の実施形態における店内飲食処理の具体的な手順を示す流れ図
図12】第2の実施形態において、販売形態が店内飲食のときに発行されるレシートの一例を示す模式図。
図13】販売形態が店内飲食のときに発行されるレシートの他の例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、商品販売登録装置及びその制御プログラムの実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
なお、この実施形態は、商品に課せられる税として、店舗で提供される飲料品又は食料品に対しては、第2の販売形態である持帰りの場合には、第1の税率である通常税率、例えば10%よりも低い第2の税率である軽減税率、例えば8%が適用され、第1の販売形態である店内飲食の場合には第1の税率である通常税率が適用される税制が導入される場合である。そして実施形態では、持帰りと店内飲食の両販売形態が可能な店舗、例えば飲食店で適用される商品販売登録装置について説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る飲食店に構築されるPOS(Point Of Sales)システムの全体構成図である。POSシステムは、POS端末1と、POSサーバ2と、通信ネットワーク3とを含む。通信ネットワーク3は、例えばLAN(Local Area Network)である。LANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。通信ネットワーク3にPOS端末1とPOSサーバ2とが接続されて、POSシステムが構築される。
【0012】
持帰りと店内飲食の両販売形態が可能な飲食店では、通常、店員が消費者である客からの注文を受け付けるための接客カウンタがある。POS端末1は、接客カウンタの上若しくはその近傍に設置されている。接客担当の店員は、客から注文を受けた商品をPOS端末1に登録する。また店員は、販売形態、つまりは持帰りなのか店内飲食なのかという情報もPOS端末1に入力する。これにより、POS端末1では買上金額が算出されるので、店員は、客から代金の支払いを受ける。そして店員は、支払いに関するデータをPOS端末1に入力する。そうすると、POS端末1からレシートが発行されるので、店員は、レシートとともに商品を客に渡す。
【0013】
ここで、持帰りを選択した客は、商品を持って店を出ることとなる。この場合、飲料品又は食料品に対しては軽減税率が適用される。一方、店内飲食を選択した客は、店内飲食が可能な飲料品又は食料品を店内で消費する。この場合、飲料品又は食料品に対しては軽減税率が適用されず、通常税率が適用される。
【0014】
ところで、飲食店といっても飲料品又は食料品ではない商品、例えば玩具、食器等を販売する店舗がある。玩具、食器等の飲料品又は食料品ではない商品に対しては、たとえ持帰りが選択された場合でも軽減税率は適用されず、通常税率が適用される。また、飲料品又は食料品であっても店内では飲食できない商品、例えば持帰り専用の冷凍食品、調味料、ドレッシング等を販売する店舗もある。これらの持帰り専用の商品は、たとえ店内飲食が選択された場合でも持帰ることとなるので、軽減税率が適用される。
【0015】
このような飲食店向けのPOS端末1は、商品販売登録装置の一形態である。POS端末1については、後で詳細に説明する。なお、図1では、3台のPOS端末1を備えたPOSシステムを例示しているが、POS端末1の台数は特に限定されるものではない。POS端末1は1台であってもよいし、2台若しくは4台以上であってもよい。
【0016】
POSサーバ2は、POS端末1からの要求に対して種々の情報を提供するサービスの機能を果たすコンピュータである。例えばPOSサーバ2は、各商品の価格情報を管理しており、POS端末1から要求のあった商品の価格情報を提供する。ここに、POSサーバ2は、価格管理装置としての機能を有している。
【0017】
POSサーバ2は、価格管理装置としての機能を果たすために、商品マスタファイル4を備えている。商品マスタファイル4は、店舗で販売される全商品に関して商品毎に作成されたデータレコード4R(図2を参照)を記憶する。
【0018】
図2は、データレコード4Rの主要なデータ構造を示す模式図である。図2に示すように、データレコード4Rは、商品コード、商品名、本体価格P、属性の各項目を含む。データレコード4Rが、その他の項目を含んでもよいことは言うまでもない。
【0019】
商品コードは、各商品を個々に識別するために商品毎に設定された一意のコードである。商品名は、商品に設定された任意の名称である。本体価格Pは、商品本体の価格である。本体価格Pは、その商品に課せられる税の税額を含まない。属性は、商品が軽減税率対象の商品であるか否かを区分するための情報である。本実施形態では、属性“1”を軽減税率対象外商品、例えば飲料品又は食料品の分類に属さない商品の区分とする。また、属性“2”を店内飲食が可能な軽減税率対象商品、例えば飲料品又は食料品であって店内飲食が可能な商品の区分とする。また、属性“3”を店内飲食が不可能な軽減税率対象商品、例えば持帰り専用の冷凍食品、調味料、ドレッシング等のように飲料品又は食料品であっても店内飲食ができない商品の区分とする。
【0020】
図3は、POS端末1の要部回路構成を示すブロック図である。POS端末1は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、時計14、通信インターフェース15、キーボード16、第1ディスプレイ17、第2ディスプレイ18、プリンタ19、釣銭機インターフェース110及びシステム伝送路111を備える。システム伝送路111は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路111は、プロセッサ11と、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、時計14、通信インターフェース15、キーボード16、第1ディスプレイ17、第2ディスプレイ18、プリンタ19及び釣銭機インターフェース110とを相互に接続する。プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶デバイス13がシステム伝送路111で接続されることにより、POS端末1のコンピュータが構成される。
【0021】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、POS端末1としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0022】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリエリアと揮発性のメモリエリアとを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリエリアではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリエリアで記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリエリアを、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリエリアは、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリエリアは、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0023】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス13となり得る。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス13は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0024】
メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されるアプリケーションプログラムには、POS端末1で実行される情報処理に関して記述した制御プログラムが含まれる。制御プログラムをメインメモリ12又は補助記憶デバイス13にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に制御プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により制御プログラムを配信して、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0025】
時計14は、POS端末1の時刻情報源として機能する。プロセッサ11は、時計14によって計時される時刻情報を基に、現在の日付及び時間を計時する。
【0026】
通信インターフェース15は、有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等のネットワークを介して接続されるPOS端末1との間でデータ通信を行う。
【0027】
キーボード16は、商品キー、置数キー、小計キー、締めキー、取消キー等の種々のファンクションキーを配設した専用の入力デバイスである。商品キーは、店舗で販売される各商品の商品コードがそれぞれ割り当てられた複数のキーからなる。置数キーは、点数、金額等の数値を置数するためのテンキーである。小計キーは、小計金額の出力を指示するためのキーである。締めキーは、1取引の登録終了を宣言するためのキーである。締めキーとしては、例えば現金支払いに対応した現計キーが相当する。
【0028】
キーボード16には、さらに店内キーK1が配置されている。店内キーK1は、客が販売形態として店内飲食を希望した場合に入力操作するためのキーである。本実施形態では、第2の販売形態である持帰りをデフォルトとする。客が第1の販売形態である店内飲食を希望した場合、店員は、締めキーを入力する前に店内キーK1を入力操作する。店内キーK1に代えて、客が販売形態として持帰りを希望した場合に操作入力するための持帰りキーをキーボード16に配置してもよい。すなわち、第1の販売形態である店内飲食をデフォルトしてもよい。持帰りの比率が高い店では、店内キーK1を配置することで、キー操作回数を減らすことができる。店内飲食の比率が高い店では、持帰りキーを配置することで、キー操作回数を減らすことができる。なお、店内キーK1と持帰りキーとをそれぞれキーボード16に配置して、店員又は客が必ず販売形態を選択入力するようにしてもよい。
【0029】
第1ディスプレイ17は、オペレータである店員に対して情報の表示を行う。第2ディスプレイ18は、客である消費者に対して情報の表示を行う。この種の表示デバイスとしては、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等を利用できる。第1ディスプレイ17及び第2ディスプレイ18は、POS端末1の表示デバイスとして機能する。また、第1ディスプレイ17をタッチパネルとする。そして、このタッチパネルに複数の商品キー等が配置されたキー画像を表示するようにして、第1ディスプレイ17をPOS端末1の入力デバイスとして機能させてもよい。
【0030】
プリンタ19は、レシート用紙に対して各種の文字列又は画像等を印刷することにより、レシートを発行する。この種のプリンタ19としては、例えばサーマルプリンタ又はドットインパクトプリンタ等を利用できる。プリンタ19は、POS端末1の印刷デバイスとして機能する。
【0031】
釣銭機インターフェース110は、図示しない自動釣銭機との間でデータ通信を行う。釣銭機インターフェース110は、自動釣銭機から投入金額のデータ、貨幣収納枚数のデータ等を受信する。釣銭機インターフェース110は、釣銭データを自動釣銭機へと送信する。
【0032】
かかる構成のPOS端末1は、補助記憶デバイス13において、図4に示すデータ構造の税率テーブル5を備えている。税率テーブル5は、第1税率の領域と第2税率の領域とを有する。そして、第1税率の領域において、第1の税率である通常税率T1、例えば10%を記憶し、第2税率の領域において第2の税率である軽減税率T2、例えば8%を記憶している。なお、税率テーブル5は、メインメモリ12における不揮発性メモリ領域にあってもよい。あるいは税率テーブル5は、POSサーバ2が管理しており、必要に応じてPOS端末1にダウンロードされてもよい。
【0033】
POS端末1は、図5に示すように、メインメモリ12における揮発性メモリ領域の一部を、販売形態フラグF1の領域121、販売商品リストの領域122、小計金額STの領域123、税額合計金額TTの領域124、値引合計金額RTの領域125、取引金額A0の領域126、第1税率対象金額A1の領域127、第2税率対象金額A2の領域128、番号カウンタNの領域129及びレコードカウンタRの領域130に区分している。
【0034】
販売商品リストは、1取引として販売される商品の商品コード、商品名、本体価格P、属性、点数、金額、税額、値引額等の項目を含む販売商品レコードを、一連の番号順に記憶したものである。販売形態フラグF1、小計金額ST、税額合計金額TT、値引合計金額RT、取引金額A0、第1税率対象金額A1、第2税率対象金額A2、番号カウンタN及びレコードカウンタRについては、後述する動作説明の中で明らかにする。
【0035】
図6乃至図8は、プロセッサ11が制御プログラムに従って実行する1取引の主要な処理手順を示す流れ図である。以下、各図を用いてPOS端末1の主要な動作について説明する。なお、以下に説明する動作の内容は一例である。同様な結果が得られるのであればその処理手順などは特に限定されるものではない。
【0036】
1取引の商品登録を開始するに先立ち、プロセッサ11は、ACT1として初期化を行う。この初期化により、各領域121~130がクリアされる。すなわち、販売形態フラグF1は、“0”となる。小計金額ST、税額合計金額TT、値引合計金額RT、取引金額A0、第1税率対象金額A1及び第2税率対象金額A2は0円となる。番号カウンタN及びレコードカウンタRは、“0”にリセットされる。
【0037】
初期化を終えると、プロセッサ11は、ACT2として店内キーK1が入力されたか否かを確認する。店内キーK1が入力されていない場合、プロセッサ11は、ACT2においてNOと判定し、ACT4へと進む。プロセッサ11は、ACT4として商品登録が行われたか否かを確認する。商品登録が行われていない場合、プロセッサ11は、ACT4においてNOと判定し、ACT2へと戻る。ここに、プロセッサ11は、ACT2又はACT4において店内キーK1が入力されるか商品登録が行われるのを待ち受ける。
【0038】
接客担当の店員は、客から商品の注文を受けると、その商品が割り当てられた商品キーを入力して商品登録を行う。また店員は、客が店内飲食を希望した場合には店内キーK1を入力する。
【0039】
ACT2又はACT4の待ち受け状態において、店内キーK1が入力されると、プロセッサ11は、ACT2においてYESと判定し、ACT3へと進む。プロセッサ11は、ACT3として販売形態フラグF1を“1”とする。その後、プロセッサ11は、ACT4へと進む。
【0040】
このように、販売形態フラグF1は、初期化された後のデフォルトの状態では“0”であり、店内キーK1が入力されると“1”となる。すなわち販売形態フラグF1は、販売形態が持帰りであるか店内飲食であるかを“0”または“1”の1ビットデータで表すフラグである。
【0041】
ACT2又はACT4の待ち受け状態において、商品キーが入力されると、プロセッサ11は、ACT4においてYESと判定し、ACT5へと進む。プロセッサ11は、ACT5として入力された商品キーに割り当てられている商品コードを取得し、その商品コードで識別される商品のデータをPOSサーバ2から取得する。
【0042】
具体的にはプロセッサ11は、商品コードを含む問合せコマンドをPOSサーバ2へと送信するように通信インターフェース15を制御する。この制御により、通信インターフェース15から通信ネットワーク3を介してPOSサーバ2へと問合せコマンドが送信される。POSサーバ2においては、問合せコマンドに含まれている商品コードで商品マスタファイル4が検索される。そして、当該商品コードを含むデータレコード4Rが商品マスタファイル4から検出され、そのデータレコード4Rを構成する商品コード、商品名、本体価格P、属性等の商品データを含む応答コマンドが、問合せコマンド送信元のPOS端末1へと送信される。かくして、POS端末1のプロセッサ11は、商品コード、商品名、本体価格P、属性等の商品データを取得することができる。
【0043】
ここに、プロセッサ11は、ACT4及びACT5の処理を実行することにより、特定手段及び取得手段を構成する。すなわちプロセッサ11は、商品キーに割り当てられた商品コードで販売登録する商品を特定する。そしてプロセッサ11は、その特定された商品の本体価格PをPOSサーバ2から取得する。
【0044】
プロセッサ11は、ACT6として番号カウンタNを“1”だけカウントアップする。そしてプロセッサ11は、ACT7としてPOSサーバ2から取得した商品データを基に番号カウンタNの番号を含む販売商品レコードを生成し、販売商品リストに追加する。その後、プロセッサ11は、小計キーが入力されたか否かを確認する。小計キーが入力されていない場合、プロセッサ11は、ACT8においてNOと判定し、ACT2へと戻る。プロセッサ11は、ACT2又はACT4の待ち受け状態となる。そして、商品キーが入力されると、プロセッサ11は、上述したACT5乃至ACT7の処理を実行する。
【0045】
このように、番号カウンタNは、販売商品レコードを識別するためのレコード番号を生成するためのカウンタである。領域122には、レコード番号の昇順に商品販売レコードが蓄積されて、販売商品リストが作成される。したがって、番号カウンタNは、販売商品リストを構成する商品販売レコードの総数を表す。
【0046】
なお、ACT2又はACT4の待ち受け状態において、既に販売形態フラグFが“1”に変更されている場合には、プロセッサ11は、店内キーK1の入力を無効としてもよい。また、例えば取消キーと店内キーK1とが続けて入力されたならば、プロセッサ11は、販売形態フラグFを“0”に戻してもよい。そうすることにより、客が注文の途中で販売形態を店内飲食から持帰りに変更した場合も対処することができる。
【0047】
接客担当の店員は、客が商品の注文を終えると、小計キーを入力する。小計キーが入力されると、プロセッサ11は、ACT8においてYESと判定し、ACT9へと進む。プロセッサ11は、ACT9として販売形態フラグF1が“1”であるか否かを確認する。販売形態フラグF1が“0”の場合、すなわち、客が販売形態として持帰りを選択した場合には、プロセッサ11は、ACT9においてNOと判定し、ACT10へと進む。プロセッサ11は、ACT10として持帰り処理を実行する。
【0048】
図7は、持帰り処理の手順を具体的に示す流れ図である。プロセッサ11は、持帰り処理に入ると、ACT21としてレコードカウンタRを“1”だけカウントアップする。そしてプロセッサ11は、ACT22としてレコードカウンタRが番号カウンタNを超えたか否かを確認する。レコードカウンタRが番号カウンタNを超えていない場合、販売商品リストにはレコードカウンタRを番号とする販売商品レコードが存在する。プロセッサ11は、ACT22においてYESと判定し、ACT23へと進む。プロセッサ11は、ACT23として販売商品リストからレコードカウンタRを番号とする販売商品レコードを取得する。
【0049】
このように、レコードカウンタRは、販売商品レコードの検索に用いるレコード番号を生成するためのカウンタである。以下では、レコードカウンタRを番号とする販売商品レコードを、販売商品レコードRと称する。
【0050】
販売商品レコードRを取得すると、プロセッサ11は、ACT24としてその販売商品レコードRの属性が“1”であるか否かを確認する。属性が“1”の場合、プロセッサ11は、ACT24においてYESと判定し、ACT25へと進む。プロセッサ11は、ACT25として販売商品レコードRの本体価格Pに、税率テーブル5の第1税率エリアに設定されている通常税率T1を乗算する。本体価格Pに通常税率T1を乗算することにより、本体価格Pに通常税率T1の税が課せられたときの税額が算出される。以下では、この税額を第1税額Q1と称する。
【0051】
プロセッサ11は、ACT26として第1税率対象金額A1に、本体価格Pと第1税額Q1とを加算する。属性が“1”の販売商品レコードRは、軽減税率対象外商品のデータで構成されたレコードである。販売形態が持帰りの場合、軽減税率対象外商品に対しては通常税率T1が課せられる。したがってプロセッサ11は、上述したACT25及びACT26の処理を実行する。このように第1税率対象金額A1は、通常税率T1が課さられた商品の税込み価格を合計した金額である。
【0052】
一方、属性が“1”でない場合、つまり属性が“2”または“3”の場合には、プロセッサ11は、ACT24においてNOと判定し、ACT27へと進む。プロセッサ11は、ACT27として販売商品レコードRの本体価格Pに、税率テーブル5の第2税率エリアに設定されている軽減税率T2を乗算する。本体価格Pに軽減税率T2を乗算することにより、本体価格Pに軽減税率T2の税が課せられたときの税額が算出される。以下では、この税額を第2税額Q2と称する。
【0053】
プロセッサ11は、ACT28として第2税率対象金額A2に、本体価格Pと第2税額Q2とを加算する。属性が“2”又は“3”の販売商品レコードRは、軽減税率対象商品のデータで構成されたレコードである。販売形態が持帰りの場合、軽減税率対象商品に対しては軽減税率T2が課せられる。したがってプロセッサ11は、上述したACT27及びACT28の処理を実行する。このように第2税率対象金額A2は、軽減税率T2が課さられた商品の税込み価格を合計した金額である。
【0054】
ACT26又はACT28の処理を終えると、プロセッサ11は、ACT29へと進む。プロセッサ11は、ACT29として小計金額STに本体価格Pを加算する。またプロセッサ11は、ACT30として税額合計金額TTに第1税額Q1又は第2税額Q2を加算する。さらにプロセッサ11は、ACT31として取引金額A0に本体価格Pと第1税額Q1又は第2税額Q2とを加算する。
【0055】
しかる後、プロセッサ11は、ACT21へと戻る。すなわちプロセッサ11は、レコードカウンタRをカウントアップする。そしてプロセッサ11は、販売商品リストから販売商品レコードRを取得したならば、その属性を調べる。属性が“1”の販売商品レコードRを取得した場合には、プロセッサ11は、前述したACT25、ACT26、ACT29、ACT30及びACT31の処理を実行する。属性が“2”又は“3”の販売商品レコードRを取得した場合には、プロセッサ11は、前述したACT27、ACT28、ACT29、ACT30及びACT31の処理を実行する。
【0056】
このように、小計金額STは、販売登録された各商品の本体価格Pを合算した金額である。税額合計金額TTは、販売登録された各商品に課せられた税の税額を合算した金額である。取引金額A0は、販売登録された各商品の税込み価格を合算した金額である。
【0057】
プロセッサ11は、ACT21においてレコードカウンタRをカウントアップした結果、レコードカウンタRが番号カウンタNを超えると、ACT22においてNOと判定し、ACT32へと進む。プロセッサ11は、ACT32として小計金額ST、税額合計金額TT及び取引金額A0が第1ディスプレイ17及び第2ディスプレイ18に表示されるように表示データを作成し、第1ディスプレイ17及び第2ディスプレイ18に出力する。以上で、プロセッサ11は、持帰り処理を終了する。
【0058】
図6の説明に戻る。
ACT9において販売形態フラグF1が“1”の場合、すなわち、客が販売形態として店内飲食を選択した場合には、プロセッサ11は、YESと判定し、ACT11へと進む。プロセッサ11は、ACT11として店内飲食処理を実行する。
【0059】
図8は、店内飲食処理の手順を具体的に示す流れ図である。プロセッサ11は、店内飲食処理に入ると、ACT41としてレコードカウンタRを“1”だけカウントアップする。そしてプロセッサ11は、ACT42としてレコードカウンタRが番号カウンタNを超えたか否かを確認する。レコードカウンタRが番号カウンタNを超えていない場合、プロセッサ11は、ACT42においてYESと判定し、ACT43へと進む。プロセッサ11は、ACT43として販売商品リストからレコードカウンタRを番号とする販売商品レコードRを取得する。
【0060】
販売商品レコードRを取得すると、プロセッサ11は、ACT44としてその販売商品レコードRの属性が“1”であるか否かを確認する。属性が“1”の場合、プロセッサ11は、ACT44においてYESと判定し、ACT45へと進む。プロセッサ11は、ACT45として販売商品レコードRの本体価格Pに、税率テーブル5の第1税率エリアに設定されている通常税率T1を乗算する。本体価格Pに通常税率T1を乗算することにより、本体価格Pに通常税率T1の税が課せられたときの第1税額Q1が算出される。
【0061】
プロセッサ11は、ACT46として第1税率対象金額A1に、本体価格Pと第1税額Q1とを加算する。属性が“1”の販売商品レコードRは、軽減税率対象外商品のデータで構成されたレコードである。販売形態が店内飲食の場合、軽減税率対象外商品に対しては通常税率T1が課せられる。したがってプロセッサ11は、上述したACT45及びACT46の処理を実行する。
【0062】
一方、属性が“1”でない場合には、プロセッサ11は、ACT44においてNOと判定し、ACT47へと進む。プロセッサ11は、ACT47として属性が“2”であるか否かを確認する。属性が“2”でない場合、すなわち属性が“3”の場合には、プロセッサ11は、ACT47においてNOと判定し、ACT48へと進む。プロセッサ11は、ACT48として販売商品レコードRの本体価格Pに、税率テーブル5の第2税率エリアに設定されている軽減税率T2を乗算する。本体価格Pに軽減税率T2を乗算することにより、本体価格Pに軽減税率T2の税が課せられたときの第2税額Q2が算出される。プロセッサ11は、ACT49として第2税率対象金額A2に、本体価格Pと第2税額Q2とを加算する。属性が“3”の販売商品レコードRは、店内飲食が不可能な軽減税率対象商品のデータで構成されたレコードである。販売形態が店内飲食の場合でも、店内飲食が不可能な軽減税率対象商品については客が持ち帰るため軽減税率T2が課せられる。したがってプロセッサ11は、上述したACT48及びACT49の処理を実行する。
【0063】
属性が“2”の場合には、プロセッサ11は、ACT47においてYESと判定し、ACT50へと進む。プロセッサ11は、ACT50として本体価格Pと通常税率T1と軽減税率T2とを用いた以下の演算式(1)を実行して、値引額D1を算出する。
【0064】
D1=P*T1-P*T2 …(1)
演算式(1)から明らかなように、プロセッサ11は、本体価格Pに対して通常税率T1の税が課せられたときの第1税額Q1から、本体価格Pに対して軽減税率T2の税が課せられたときの第2税額Q2を差し引いた差分値を値引額D1として算出する。
【0065】
次いで、プロセッサ11は、ACT51として本体価格Pから値引額D1を減じた金額(P-D1)に通常税率T1を乗算する。金額(P-D1)に通常税率T1を乗算することにより、本体価格Pから値引額D1を値引した後の金額に、通常税率T1の税が課せられたときの第1税額Q1が算出される。
【0066】
第1税額Q1を算出し終えると、プロセッサ11は、ACT52として、第1税率対象金額A1に、金額(P-D1)と第1税額Q1とを加算する。またプロセッサ11は、ACT53として値引合計金額RTに値引額D1を加算する。このように値引合計金額RTは、ACT50の処理で算出された値引額D1を合算した金額である。
【0067】
属性が“2”の販売商品レコードRは、店内飲食が可能な軽減税率対象商品のデータで構成されたレコードである。販売形態が店内飲食の場合、軽減税率対象商品であっても店内で飲食(消費)することによって、軽減税率T2ではなく通常税率T1が課せられる。したがって、プロセッサ11は、ACT51及びACT52の処理を実行する。ただしプロセッサ11は、第1税額Q1を算出する前に演算式(1)の演算を実行して、値引額D1を算出している。そしてプロセッサ11は、本体価格Pから値引額D1を減じた金額に対して第1税額Q1を算出している。
【0068】
例えば、本体価格が300円の商品に対して販売形態が持帰りであり、8%の軽減税率T2が課せられた場合には、税込み価格は324円となる。一方、販売形態が店内飲食であり、10%の通常税率が課せられた場合には、税込み価格は330円となり、軽減税率T2が課せられた場合と比較して6円高くなる。
【0069】
これに対して、第1の実施形態では、演算式(1)の演算により本体価格が300円の商品に対しては、値引額6円が算出される。そして本体価格300円から値引額6円が減じられた金額294円に対して10%の通常税率が課せられた場合の税込み価格が算出される。この税込み価格は、323円(小数点以下切り捨て又は四捨五入)又は324円(小数点以下切り上げ)となる。つまり、本体価格が300円の商品に対して8%の軽減税率T2が課せられたときの税込み価格とほぼと同額となる。
【0070】
ACT46、ACT49又はACT53の処理を終えると、プロセッサ11は、ACT54へと進む。プロセッサ11は、ACT54として小計金額STに本体価格Pを加算する。またプロセッサ11は、ACT55として税額合計金額TTに第1税額Q1又は第2税額Q2を加算する。さらにプロセッサ11は、ACT56として取引金額A0に本体価格Pと第1税額Q1又は第2税額Q2を加算し、値引額D1を減じる。つまりはプロセッサ11は、本体価格Pから値引額D1を減じた金額と第1税額Q1又は第2税額Q2とを取引金額A0に加算する。
【0071】
しかる後、プロセッサ11は、ACT41へと戻る。すなわちプロセッサ11は、レコードカウンタRをカウントアップする。そしてプロセッサ11は、販売商品リストから販売商品レコードRを取得したならば、その属性を調べる。属性が“1”の販売商品レコードRを取得した場合には、プロセッサ11は、前述したACT45、ACT46、ACT54、ACT55及びACT56の処理を実行する。属性が“3”の販売商品レコードRを取得した場合には、プロセッサ11は、前述したACT48、ACT49、ACT54、ACT55及びACT56の処理を実行する。属性が“2”の販売商品レコードRを取得した場合には、プロセッサ11は、前述したACT50、ACT51、ACT52、ACT53、ACT54、ACT55及びACT56の処理を実行する。
【0072】
プロセッサ11は、ACT41においてレコードカウンタRをカウントアップした結果、レコードカウンタRが番号カウンタNを超えると、ACT42においてNOと判定し、ACT57へと進む。プロセッサ11は、ACT57として小計金額ST、税額合計金額TT及び取引金額A0が第1ディスプレイ17及び第2ディスプレイ18に表示されるように表示データを作成し、第1ディスプレイ17及び第2ディスプレイ18に出力する。以上で、プロセッサ11は、店内飲食処理を終了する。プロセッサ11は、ACT57において、さらに値引合計金額RTが表示されるように表示データを作成し、第1ディスプレイ17及び第2ディスプレイ18に出力してもよい。
【0073】
ここに、プロセッサ11は、図6のACT9の処理を実行することにより、識別手段を構成する。すなわちプロセッサ11は、販売形態フラグF1に基づいて、商品の販売形態が、第1の税率(通常税率T1)による税が課せられる第1の販売形態(店内飲食)なのか、第1の税率よりも小さい第2の税率(軽減税率T2)による税が課せられる第2の販売形態(持帰り)なのかを識別する。
【0074】
プロセッサ11は、図7のACT27乃至ACT31の処理を実行することにより、第1の登録手段を構成する。すなわちプロセッサ11は、販売形態フラグF1が“0”であり、販売形態が第2の販売形態(持帰り)であると識別されると、特定手段により特定された商品の販売価格を取得手段で取得した本体価格Pとし、その販売価格(本体価格P)と当該販売価格に第2の税率(軽減税率T2)による税が課せられたときの税額(第2税額Q2)とから商品を販売登録する。具体的にはプロセッサ11は、販売価格(本体価格P)と税額(第2税額Q2)とを取引金額A0に加算する。
【0075】
プロセッサ11は、図8のACT50の処理を実行することにより、値引額算出手段を構成する。すなわちプロセッサ11は、取得手段で取得した本体価格Pに第1の税率(通常税率T1)による税が課せられたときの税額から当該本体価格に第2の税率(軽減税率T2)による税が課せられたときの税額を減じた金額を値引額D1として算出する。そしてプロセッサ11は、ACT51乃至ACT56の処理を実行することにより、第2の登録手段を構成する。すなわちプロセッサ11は、本体価格Pから値引額D1を減じた金額を特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と当該販売価格に第1の税率(通常税率T1)による税が課せられたときの税額(第1税額Q1)とから商品を販売登録する。具体的にはプロセッサ11は、本体価格Pから値引額D1を減じた金額と税額(第1税額Q1)とを取引金額A0に加算する。ここで、本体価格Pから値引額D1を減じた金額は、その金額に第1の税率(通常税率T1)による税が課せられたときの税込み価格が、取得手段で取得した本体価格Pに第2の税率(軽減税率T2)による税が課せられたときの税込み価格と近似する金額である。
【0076】
図6の説明に戻る。
プロセッサ11は、持帰り処理又は店内飲食処理を終了すると、ACT12へと進む。プロセッサ11は、ACT12として締めキーが入力されるのを待ち受ける。締めキーが入力されると、プロセッサ11は、ACT12においてYESと判定し、ACT13へと進む。プロセッサ11は、ACT13として締め処理を実行する。例えば、締めキーとして現計キーが入力された場合には、プロセッサ11は、預り金額と取引金額A0とから釣銭額を算出する。そしてプロセッサ11は、その釣銭額相当の現金が釣銭機から払い出されるように、釣銭機インターフェース110を介して釣銭機に制御信号を出力する。なお、締め処理は、上述した現金の締め処理に限定されるものではない。例えばクレジットカード、電子マネー等による締め処理であってもよい。これらの締め処理は周知の処理であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0077】
締め処理を終えると、プロセッサ11は、ACT14としてレシートの発行を制御する。すなわちプロセッサ11は、販売商品リストを構成する各販売商品データと、小計金額ST、税額合計金額TT、値引合計金額RT、取引金額A0等の金額データとを基に、レシートの印字データを作成し、この印字テータをプリンタ19へと出力する。以上により、プロセッサ11は、客が注文した商品の販売登録から代金決済までの情報処理を終了する。
【0078】
図9は、販売形態が持帰りの客に対してPOS端末1から出力されるレシート61の一例であり、図10は、販売形態が店内飲食の客に対してPOS端末1から出力されるレシート621の一例である。双方とも、購入する商品を共通としている。すなわち、店内飲食可能な軽減税率対象商品A(本体価格:300円)と、店内飲食可能な軽減税率対象商品B(本体価格:400円)と、軽減税率対象外商品C(本体価格:200円)の3品を購入した取引のレシート61及びレシート621を示している。
【0079】
レシート61に示すように、販売形態が持帰りの場合、軽減税率対象商品A及び軽減税率対象商品Bに対しては軽減税率T2が適用される。したがって、軽減税率対象商品Aについては第2税額Q2として24円が算出され、軽減税率対象商品Bについては第2税額Q2として32円が算出される。また、軽減税率対象外商品Cに対しては通常税率T1が適用される。したがって、軽減税率対象外商品Cについては第1税額Q1として20円が算出される。
【0080】
その結果、小計金額STとして900円が算出され、税額合計金額TTとして76円が算出され、取引金額A0として976円が算出される。そして、商品A,商品B及び商品Cの販売点数、本体価格及び税額とともに、「小計 900円」、「外税 76円」、「合計 976円」等が出力されたレシート61が発行される。なお、レシート61には、合計金額976円を、通常税率T1が適用された商品Cの金額220円と、軽減税率T2が適用された商品A,商品Bの合計金額756円と、の比率で按分した金額(10%対象220円、8%対象756円)も出力されている。また、商品A及び商品Bに対しては、軽減税率対象商品であることを示す※マークも商品名に付して出力されている。
【0081】
レシート621に示すように、販売形態が店内飲食の場合、軽減税率対象商品A及び軽減税率対象商品Bに対しては通常税率T1が適用される。ただし、第1税額Q1を算出する前に、本体価格Pに通常税率が適用されたときの税込み価格から軽減税率が適用されたときの税込み価格を減じた差額を値引額D1として算出し、本体価格Pを値引額D1で減じた金額に対して通常税率T1の税が課せられた第1税額Q1を算出している。したがって、軽減税率対象商品Aについては値引額D1として6円が算出され、第1税額Q1として29円が算出される。軽減税率対象商品Bについては値引額D1として8円が算出され、第1税額Q1として39円が算出される。また、軽減税率対象外商品Cに対しては通常税率が適用されるので、第1税額Q1として20円が算出される。
【0082】
その結果、小計金額STとして900円が算出され、値引合計金額DTとして14円が算出され、税額合計金額TTとして88円が算出され、取引金額A0として974円が算出される。この取引金額A0は、販売形態が持帰り時の取引金額A0と略同額の近似した金額である。そして、商品A,商品B及び商品Cの販売点数、本体価格、値引額及び税額とともに、「小計 900円」、「値引 -14」、「外税 88円」、「合計 974円」が出力されたレシート621が発行される。なお、レシート621には、合計金額974円を、通常税率T1が適用された商品A,商品B,商品Cの合計金額974円と、軽減税率T2が適用された商品の合計金額0円と、の比率で按分した金額(10%対象974円、8%対象0円)も出力されている。
【0083】
因みに、商品Bが店内飲食不可能な飲料品又は食料品であった場合には、販売形態に係らず、販売価格は400円となり、8%の税率が適用される。したがって、税込みの合計金額は、販売形態に係らず同額となる。
【0084】
ここに、プロセッサ11は、図6のACT14の処理を実行することにより、出力手段を構成する。すなわちプロセッサ11は、販売形態が第2の販売形態(持帰り)であると識別された場合には、第1の登録手段で販売登録した本体価格Pと税額(第2税額Q2)とを関連付けてレシート61に出力する。プロセッサ11は、販売形態が第1の販売形態(店内飲食)であると識別された場合には、第2の登録手段で販売登録した販売価格の算出に用いた本体価格Pと値引額D1と税額(第1税額Q1)とを関連付けてレシート621に出力する。
【0085】
以上詳述したように、第1の実施形態によれば、販売形態によって課せられる税の税率が異なる場合でも、消費者に同じ商品をほぼ同じ価格で提供することができる。したがって、通常税率が適用される店内飲食の場合でも、軽減税率が適用される持帰りの場合とほぼ同額で商品が提供されるので、持帰りの比率が高くなることはない。よって、持帰り用の容器、袋等のコストが増えて利益率が下がる懸念はなくなる。また、持帰りでは提供できない商品があった場合も、税率の違いが価格に影響を及ぼさないので、客離れを防ぐことができる。
【0086】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、POS端末1のプロセッサ11が、図6のACT11において実行する店内飲食処理の一部である。したがって、第1の実施形態で用いた図1乃至図7については、第2の実施形態でもそのまま使用し、詳しい説明は省略する。
【0087】
図11は、第2の実施形態における店内飲食処理の要部手順を示す流れ図である。なお、第1の実施形態の店内飲食処理を示した図8と共通する処理ステップには同一符号を付しており、その説明は省略する。
【0088】
図11に示すように、第2の実施形態の店内飲食処理が第1の実施形態の店内飲食処理と異なる処理ステップは、ACT47において販売商品レコードRの属性が“2”であると判定した後の処理の一部である。すなわち、販売商品レコードRの属性が“2”である場合、プロセッサ11は、ACT47においてYESと判定し、ACT61へと進む。プロセッサ11は、ACT61として本体価格Pと通常税率T1と軽減税率T2とを用いた以下の演算式(2)を実行して、割引額D2を算出する。
【0089】
D2=P*(T1-T2) …(2)
演算式(2)から明らかなように、プロセッサ11は、本体価格Pに対する通常税率T1率と軽減税率T2との差分値の割合を割引額D2として算出する。
【0090】
次いで、プロセッサ11は、ACT62として本体価格Pから割引額D2を減じた金額(P-D2)に通常税率T1を乗算する。金額(P-D2)に通常税率T1を乗算することにより、割引額D2を値引後の本体価格Pに通常税率T1の税が課せられたときの第1税額Q1が算出される。
【0091】
第1税額Q1を算出し終えると、プロセッサ11は、ACT63として、第1税率対象金額A1に、金額(P-D2)と第1税額Q1とを加算する。またプロセッサ11は、ACT64として値引合計金額RTに割引額D2を加算する。このように第2の実施形態では、値引合計金額RTは、ACT61の処理で算出された割引額D2を合算した金額である。
【0092】
属性が“2”の販売商品レコードRは、店内飲食が可能な軽減税率対象商品のデータで構成されたレコードである。販売形態が店内飲食の場合、軽減税率対象商品であっても店内で飲食(消費)することによって、軽減税率T2ではなく通常税率T1が課せられる。したがって、プロセッサ11は、ACT45及びACT46の処理と同様のACT62及びACT63の処理を実行する。ただしプロセッサ11は、第1税額Q1を算出する前に演算式(2)の演算を実行して、割引額D2を算出している。そしてプロセッサ11は、本体価格Pから割引額D2を減じた金額に対して第1税額Q1を算出している。
【0093】
例えば、本体価格が300円の商品に対して販売形態が持帰りであり、8%の軽減税率T2が課せられた場合には、税込み価格は324円となる。一方、販売形態が店内飲食であり、10%の通常税率が課せられた場合には、税込み価格は330円となり、軽減税率T2が課せられた場合と比較して6円高くなる。
【0094】
これに対して、第2の実施形態では、演算式(2)の演算により本体価格が300円の商品に対しては、通常税率T1の10%から軽減税率T2の8%を減じた2%分の金額6円が割引額D2として算出される。そして、本体価格300円から割引額6円が減じられた金額294円に対して10%の通常税率T1が課せられた場合の税込み価格が算出される。この税込み価格は、323円(小数点以下切り捨て又は四捨五入)又は324円(小数点以下切り上げ)となる。つまり、本体価格が300円の商品に対して8%の軽減税率T2が課せられたときの税込み価格とほぼと同額となる。
【0095】
ACT64の処理を終えると、プロセッサ11は、ACT54へと進む。そして以後、ACT54、ACT55及びACT55の処理を第1の実施形態と同様に実行する。ただし、ACT56において、取引金額A0から減じる金額は値引額D1ではなく割引額D2である。
【0096】
ここにプロセッサ11は、図11のACT61の処理を実行することにより、割引額算出手段を構成する。すなわちプロセッサ11は、取得手段で取得した本体価格Pに対する第1の税率(通常税率T1)と第2の税率(軽減税率T2)との差分値の割合を割引額D2として算出する。そしてプロセッサ11は、ACT62乃至ACT64及びACT54乃至ACT56の処理を実行することにより、第2の登録手段を構成する。すなわちプロセッサ11は、本体価格Pから割引額D2を減じた金額を特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と当該販売価格に第1の税率(通常税率T1)による税が課せられたときの税額(第1税額Q1)とから商品を販売登録する。具体的にはプロセッサ11は、本体価格Pから割引額D2を減じた金額と税額(第1税額Q1)とを取引金額A0に加算する。ここで、本体価格Pから割引額D2を減じた金額は、その金額に第1の税率(通常税率T1)による税が課せられたときの税込み価格が、取得手段で取得した本体価格Pに第2の税率(軽減税率T2)による税が課せられたときの税込み価格と近似する金額である。
【0097】
図12は、第2の実施形態において、販売形態が店内飲食の客に対してPOS端末1から出力されるレシート622の一例である。因みに、購入する商品は第1の実施形態におけるレシート61,621の例の場合と共通としている。この場合、販売形態が持帰りの客に対しては、第1の実施形態のレシート61と同様なレシートが発行される。
【0098】
レシート622に示すように、販売形態が店内飲食の場合、軽減税率対象商品A及び軽減税率対象商品Bに対しては通常税率T1が適用される。ただし、第1税額Q1を算出する前に、本体価格Pに対する第1の税率(通常税率T1)と第2の税率(軽減税率T2)との差分値の割合を割引額D2として算出し、本体価格Pを割引額D2で減じた金額に対して通常税率T1の税が課せられた第1税額Q1を算出している。したがって、軽減税率対象商品Aについては2%の割引額D2として6円が算出され、第1税額Q1として29円が算出される。軽減税率対象商品Bについては2%の割引額D2として8円が算出され、第1税額Q1として39円が算出される。また、軽減税率対象外商品Cに対しては通常税率が適用されるので、第1税額Q1として20円が算出される。
【0099】
その結果、小計金額STとして900円が算出され、割引合計金額DTとして14円が算出され、税額合計金額TTとして88円が算出され、取引金額A0として974円が算出される。この取引金額A0は、販売形態が持帰り時の取引金額A0と略同額の近似した金額である。そして、商品A,商品B及び商品Cの販売点数、本体価格、2%割引額及び税額とともに、「小計 900円」、「割引 -14」、「外税 88円」、「合計 974円」が出力されたレシート621が発行される。なお、レシート621には、合計金額974円を、通常税率T1が適用された商品A,商品B,商品Cの合計金額974円と、軽減税率T2が適用された商品の合計金額0円と、の比率で按分した金額(10%対象974円、8%対象0円)も出力されている。
【0100】
このように動作する第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、販売形態によって課せられる税の税率が異なる場合でも、消費者に同じ商品をほぼ同じ価格で提供できる効果を奏する。
【0101】
以上、商品販売登録装置の実施形態について説明したが、かかる実施形態はこれに限定されるものではない。
【0102】
例えば前記実施形態では、本体価格Pから値引額D1又は割引額D2を値引又は割引することで、販売形態によって課せられる税の税率が異なる場合でも、消費者に同じ商品をほぼ同じ価格で提供できるようにした。この点に関しては、値引額D1又は割引額D2に相当する特典として、サービスポイントをポイント会員である消費者に供与することで、販売形態の違いによる支払金額の差が、実質的には変わらないようにしてもよい。ポイントは、ポイントカードに加算してもよいし、会員サーバで会員別に管理される会員レコードの累積ポイントに加算してもよい。
【0103】
図13は、サービスポイントを消費者に供与する場合のレシート623の一例である。レシート623は、第2の実施形態におけるレシート622と対応している。図13に示すように、レシート623には、第2の実施形態で算出された2%の割引額について、1円を1ポイントとするサービスポイントを消費者に供与した例である。すなわち、取引金額は988円であるが、割引額14円に相当する14ポイントが消費者に供与されるので、実質的な取引金額は974円となり、販売形態が持帰りの場合とほぼ同額となる。
【0104】
また、消費者にサービスポイントを供与するのではなく、同価値のクーポン券を発券してもよい。クーポン券であれば消費者は会員である必要ないので、消費者の満足度をより高め得るメリットがある。
【0105】
また、前記実施形態では、軽減税率対象商品に対して軽減税率が適用されない場合、通常税率が適用されるとして説明したが、軽減税率非適用時の税率は、必ずしも通常税率でなくてもよい。軽減税率非適用時の税率が軽減税率よりも大きい場合、軽減税率非適用時の販売形態で商品が販売されるときの販売価格として、当該販売価格に軽減税率非適用時の税率による税が課せられたときの税込み価格が、当該商品の本体価格に軽減税率による税が課せられたときの税込み価格と近似する価格とし、その販売価格と当該販売価格に軽減税率非適用時の税率による税が課せられたときの税額とから商品を販売登録すればよい。
【0106】
商品の特定手段は、例えば商品を撮像手段で撮像し、その画像から商品を特定する手段であってもよい。また、取得手段は、商品マスタファイル4のローカルファイルをPOS端末1にダウンロードし、プロセッサ11がこのローカルファイルを検索して、特定手段により特定された商品の本体価格を取得してもよい。
【0107】
第1の実施形態において、値引額D1を算出する演算式は、(1)式に限定されるもではない。要は、商品の販売価格を、当該販売価格に通常税率T1による税が課せられたときの税込み価格が、その商品の本体価格Pに軽減税率T2による税が課せられたときの税込み価格と近似する価格となるように、本体価格を値引する演算式であればよい。同様に、第2の実施形態において、割引額D2を算出する演算式も(2)式に限定されるもではない。
【0108】
レシート61,621,622,623は、紙レシートではなく、電子レシートであってもよい。
【0109】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]販売登録する商品を特定する特定手段と、前記特定手段で特定された前記商品の本体価格を取得する取得手段と、前記商品の販売形態が、第1の税率による税が課せられる第1の販売形態なのか、前記第1の税率よりも小さい第2の税率による税が課せられる第2の販売形態なのかを識別する識別手段と、前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別されると、前記特定手段により特定された商品の販売価格を前記取得手段で取得した前記本体価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第1の登録手段と、前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別されると、前記特定手段により特定された商品の販売価格を、当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税込み価格が、前記取得手段で取得した前記本体価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税込み価格と近似する価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第2の登録手段と、を具備する商品販売登録装置。
[2]前記取得手段で取得した前記本体価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額から当該本体価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税額を減じた金額を値引額として算出する値引額算出手段、をさらに具備し、前記第2の登録手段は、前記本体価格から前記値引額を減じた金額を前記特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する、付記[1]記載の商品販売登録装置。
[3]前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別された場合には、前記第1の登録手段で販売登録した前記販売価格と前記税額とを関連付けて出力し、前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別された場合には、前記第2の登録手段で販売登録した前記販売価格の算出に用いた前記本体価格と前記値引額と前記税額とを関連付けて出力する出力手段、をさらに具備する付記[2]記載の商品販売登録装置。
[4]前記取得手段で取得した前記本体価格に対する前記第1の税率と前記第2の税率との差分値の割合を割引額として算出する割引額算出手段、をさらに具備し、前記第2の登録手段は、前記本体価格から前記割引額を減じた金額を前記特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する、付記[1]記載の商品販売登録装置。
[5]前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別された場合には、前記第1の登録手段で販売登録した前記販売価格と前記税額とを関連付けて出力し、前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別された場合には、前記第2の登録手段で販売登録した前記販売価格の算出に用いた前記本体価格と前記割引額と前記税額とを関連付けて出力する出力手段、をさらに具備する付記[4]記載の商品販売登録装置。
[6]前記割引額算出手段で算出された割引額相当の特典を供与する供与手段、をさらに具備し、前記第2の登録手段は、前記本体価格を前記特定手段により特定された商品の販売価格とし、その販売価格と前記本体価格から前記割引額を減じた金額に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する、付記[4]記載の商品販売登録装置。
[7]商品販売登録装置のコンピュータを、販売登録する商品を特定する特定手段、前記特定手段で特定された前記商品の本体価格を取得する取得手段、前記商品の販売形態が、第1の税率による税が課せられる第1の販売形態なのか、前記第1の税率よりも小さい第2の税率による税が課せられる第2の販売形態なのかを識別する識別手段、前記識別手段により前記販売形態が前記第2の販売形態であると識別されると、前記特定手段により特定された商品の販売価格を前記取得手段で取得した前記本体価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第1の登録手段、及び、前記識別手段により前記販売形態が前記第1の販売形態であると識別されると、前記特定手段により特定された商品の販売価格を、当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税込み価格が、前記取得手段で取得した前記本体価格に前記第2の税率による税が課せられたときの税込み価格と近似する価格とし、その販売価格と当該販売価格に前記第1の税率による税が課せられたときの税額とから前記商品を販売登録する第2の登録手段、として機能させるための制御プログラム。
【符号の説明】
【0110】
1…POS端末、2…POSサーバ、3…通信ネットワーク、4…商品マスタファイル、5…税率テーブル、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…時計、15…通信インターフェース、16…キーボード、17…第1ディスプレイ、18…第2ディスプレイ、19…プリンタ、110…釣銭機インターフェース、61,621,622,623…レシート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13