IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイコエレクトロニクスジャパン合同会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
H01R33/76 503Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019196558
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021072175
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 尚貴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 信一
(72)【発明者】
【氏名】井上 昌士
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-165512(JP,A)
【文献】実開平03-072810(JP,U)
【文献】特開2007-026833(JP,A)
【文献】特開2006-127804(JP,A)
【文献】特開2012-252901(JP,A)
【文献】実開昭57-007372(JP,U)
【文献】実開平06-013187(JP,U)
【文献】実開昭60-195457(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第109638512(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/00-33/975
G01R 31/26-31/27
G01N 23/00-23/2276
H05K 7/12
F16B 5/00- 5/12
F16F 1/00- 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンタクト、
前記複数のコンタクトを支持する平板状ハウジングと、該平板状ハウジングの縁に立設して該縁に沿って延び該複数のコンタクトに接触する複数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の該平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体とを備えた電子部品搭載部品、および
前記枠体の一辺に支持され、搭載された前記電子部品を該一辺と対面する他辺に押し当てるばね部材を備え
前記ばね部材が、
左右に延び中央部分が前記他辺側に突き出た板形状の基部、
前記基部の左右の両端部、
前記基部から、前記他辺から離れる向きに斜め上方に延びて搭載されてきた前記電子部品を前記枠体内に誘い込む、斜め上方を向いた誘い込み面を形成する誘い込み部、および
前記誘い込み部からさらに、前記他辺から離れる向きに延びた延在部を備えた板形状のばね部材であって、
前記枠体が、
前記両端部が挿し込まれて前記ばね部材を支持する一対の支持部、および
前記誘い込み部に対応した斜面と、前記延在部に対応した上向き面と、該斜面および該上向き面の左右両側に立設した一対の横壁とを有し、該誘い込み部および該延在部を該斜面および該上向き面に載置する載置部を備えたことを特徴とするソケット。
【請求項2】
複数のコンタクト、
前記複数のコンタクトを支持する平板状ハウジングと、該平板状ハウジングの縁に立設して該縁に沿って延び該複数のコンタクトに接触する複数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の該平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体とを備えた電子部品搭載部品、および
前記枠体の一辺に支持され、搭載された前記電子部品を該一辺と対面する他辺に押し当てるばね部材を備え、
前記ばね部材が、一方の端部から片持ち梁状に左右方向かつ前記他辺側に近づく向きに延びた板形状を有し、
前記枠体が、前記ばね部材の前記一方の端部を支持する支持部を有することを特徴とするソケット。
【請求項3】
複数のコンタクト、
前記複数のコンタクトを支持する平板状ハウジングと、該平板状ハウジングの縁に立設して該縁に沿って延び該複数のコンタクトに接触する複数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の該平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体とを備えた電子部品搭載部品、および
前記枠体の一辺に支持され、搭載された前記電子部品を該一辺と対面する他辺に押し当てるばね部材を備え、
前記ばね部材が、一方の端部から片持ち梁状に左右方向に延びた板形状の基部と、該基部の他方の端部側に、該基部から前記他辺側に折り曲げられ該基部との間に隙間を空けて該基部と対面し、搭載された前記電子部品を該他辺に押し当てる押当部とを有し、
前記枠体が、前記ばね部材の前記一方の端部を支持する支持部を有することを特徴とするソケット。
【請求項4】
前記ばね部材が、搭載されてきた前記電子部品を前記枠体内に誘い込む、斜め上方を向いた誘い込み面を有することを特徴とする請求項2または3に記載のソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触パッドが底面に2次元的に配列された電子部品が装着されるソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な電子部品は、回路基板に搭載する際に、その回路基板に直接に半田付けするのではなく、ソケットを介して実装されることが多い。すなわち、ソケットが回路基板に半田付けされ、そのソケットに電子部品が装着されることが多い。そのソケットには、電子部品の底面に配列された接触パッドの各々に接触する多数のコンタクトが、平板状のハウジングの第1面から突き出るようにして配列されている。また、そのハウジングの第2面には、第1面の多数のコンタクトそれぞれに対応する多数の半田ボールが配置される。
【0003】
このようなソケットのハウジングとして、従来はLCP樹脂が使用されることが多い。ところが、このLCP樹脂は、回路基板とは熱膨張率が異なる。近年では、底面に2次元的に、例えば1mmピッチで5,000個もの接触パッドが配列された大規模なCPU等の電子部品が登場してきている。また、さらに多数個の接触パッドを持った電子部品が提案されている。このような電子部品用のソケットのハウジングをLCP樹脂で構成すると、LCP樹脂と回路基板との熱膨張率の違いに起因して、半田付け部に割れが生じるおそれや、ソケットを回路基板に半田付けして常温に戻ったときにソケットに反りが生じるおそれがある。
【0004】
そこで、近年では、ソケットのハウジングとして、回路基板と同じ材質の平板状のハウジングが使われてきている。ソケットのハウジングとして回路基板と同じ材質の平板状ハウジングを採用すれば、熱膨張率の差に起因する問題を小さく抑えた大規模な電子部品のソケットを構成することができる。そして、その平板状ハウジングに電子部品を取り巻く枠体を固定し、その枠体に電子部品の側面を案内させる。これにより、電子部品の、平板状ハウジングに対する、その平板状ハウジングの面内方向の位置決めが行われる。
【0005】
特許文献1には、平板状ハウジングと多数の接続端子とからなるインタポーザと、そのインタポーザとは別体の位置決め枠とを具備するソケットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-7039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、さらに多数の接触パッドが配列された電子部品に対応するソケットの開発が要求されてきている。そのような電子部品は外形寸法も大きく、それに伴って平板状ハウジングおよび枠体の寸法がさらに大きなソケットを開発する必要がある。そのような大寸法のソケットを開発するにあたっての大きな課題の1つは、部品の公差の問題である。寸法が大きくなると、それに伴って公差も大きくなる。このため、平板状ハウジングに固定した単純な構造の枠体で電子部品の側面を案内させる構造では、電子部品の接触パッドとコンタクトとの間の位置ずれを抑えきれないおそれがある。
【0008】
上掲の特許文献1のソケットの場合、位置決め枠の柱状部で平板状ハウジングおよび半導体パッケージ(電子部品)の位置が決まるものの、位置決め枠と平板状ハウジングとの組立性を考慮した公差を設定すると、上記のような極めて多数のコンタクトが配列された大型のソケットの場合、位置決め精度が十分ではなくなるおそれがある。
【0009】
本発明は、高精度な位置決めを実現させたソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明のソケットのうちの第1のソケットは、
複数のコンタクト、
上記複数のコンタクトを支持する平板状ハウジングと、その平板状ハウジングの縁に立設してその縁に沿って延び上記複数のコンタクトに接触する複数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体とを備えた電子部品搭載部品、および
枠体の一辺に支持され、搭載された電子部品をその一辺と対面する他辺に押し当てるばね部材を備え
上記ばね部材が、
左右に延び中央部分が上記他辺側に突き出た板形状の基部、
基部の左右の両端部、
基部から、上記他辺から離れる向きに斜め上方に延びて搭載されてきた電子部品を枠体内に誘い込む、斜め上方を向いた誘い込み面を形成する誘い込み部、および
誘い込み部からさらに、上記他辺から離れる向きに延びた延在部を備えた板形状のばね部材であって、
上記枠体が、
上記両端部が挿し込まれてばね部材を支持する一対の支持部、および
誘い込み部に対応した斜面と、延在部に対応した上向き面と、それらの斜面および上向き面の左右両側に立設した一対の横壁とを有し、誘い込み部および延在部をそれらの斜面および上向き面に載置する載置部を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第1のソケットによれば、枠体に対する電子部品の、平板状ハウジングの面内方向の高精度な位置決めが実現する。
また、本発明の第1のソケットによれば、この形状のばね部材および一対の支持部を備えてばね部材を両持ち梁状としているため、ばね部材を枠体に容易に組み立てて確実に支持させることができる。
また、本発明の第1のソケットによれば、ばね部材が誘い込み面を有するため、電子部品の搭載が容易である。
さらに、本発明の第1のソケットによれば、ばね部材がさらに延在部を備えるとともに枠体が上記の載置部を備えているため、ばね部材が枠体にさらに安定的に支持される。
【0018】
また、本発明のソケットのうちの第2のソケットは、
複数のコンタクト、
上記複数のコンタクトを支持する平板状ハウジングと、その平板状ハウジングの縁に立設してその縁に沿って延び上記複数のコンタクトに接触する複数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体とを備えた電子部品搭載部品、および
枠体の一辺に支持され、搭載された電子部品をその一辺と対面する他辺に押し当てるばね部材を備え、
上記ばね部材が、一方の端部から片持ち梁状に左右方向かつ前記他辺側に近づく向きに延びた板形状を有し、
上記枠体が、ばね部材の一方の端部を支持する支持部を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明のソケットのうちの第3のソケットは、
複数のコンタクト、
上記複数のコンタクトを支持する平板状ハウジングと、その平板状ハウジングの縁に立設してその縁に沿って延び上記複数のコンタクトに接触する複数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体とを備えた電子部品搭載部品、および
枠体の一辺に支持され、搭載された電子部品をその一辺と対面する他辺に押し当てるばね部材を備え、
上記ばね部材が、一方の端部から片持ち梁状に左右方向に延びた板形状の基部と、その基部の他方の端部側に、基部から枠体の上記他辺側に折り曲げられ基部との間に隙間を空けて基部と対面し、搭載された電子部品を上記他辺に押し当てる押当部とを有し、
上記枠体が、ばね部材の一方の端部を支持する支持部を有することを特徴とする。
【0020】
ばね部材は、これらのように、片持ち梁形状としてもよい。
【0021】
ここで、これらの片持ち梁形状のばね部材を備えた態様においても、そのばね部材が、搭載されてきた電子部品を枠体内に誘い込む、斜め上方を向いた誘い込み面を有することが好ましい。
【0022】
上記の通り、誘い込み面を有するばね部材とすることで、電子部品の搭載が容易となる。
【発明の効果】
【0023】
以上の本発明のソケットによれば、高精度な位置決めが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態としての第1例のソケットの斜視図である。
図2図1のソケットの分解斜視図である。
図3図1のソケットの一部を示した図である。
図4図1に示した円R1および図2に示した円R2の部分の拡大図である。
図5】着座部材を示した図である。
図6】スタンドオフ部材を示した図である。
図7】第2例のソケットの斜視図である。
図8】第2例のソケットの、ばね部材を分離した状態の斜視図である。
図9図7に示した円R3および図8に示した円R4の部分の拡大図である。
図10】第3例のソケットの斜視図である。
図11】第3例のソケットの、ばね部材を分離した状態の斜視図である。
図12図10に示した円R5および図11に示した円R6の部分の拡大図である。
図13】第4例のソケットの斜視図である。
図14】第4例のソケットの分解斜視図である。
図15】第4例のソケットの3面図である。
図16図13に示した円R7および図15に示した円R8の部分の拡大図である。
図17】第4例のソケットの、着座部材およびスタンドオフ部材の断面図である。
図18】第5例のソケットの斜視図である。
図19図18に示した円R9~R11の部分の拡大図である。
図20】第5例のソケットの分解斜視図である。
図21図20に示した円R12~R15の部分の拡大図である。
図22】第5例のソケットの3面図である。
図23図22に示した円R16~R20の部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態としての第1例のソケットの斜視図である。
【0027】
また、図2は、図1のソケットの分解斜視図である。
【0028】
このソケット10Aは、平板状ハウジング20と、例えば10,000個もの多数のコンタクト30(図3参照)と、各々がコ字状を成す2個の枠体40とを備えている。図1および図2では、コンタクト30は図示が省略されている。また、このソケット10Aには、ばね部材50A、着座部材60、およびスタンドオフ部材70が備えられている。以下、ソケット10Aの各構成要素について順に説明する。
【0029】
図3は、図1のソケットの一部を示した図である。図3(A)~(E)は、その一部の、それぞれ斜視図(A)、平面図(B)、正面図(C)、図3(B)に示す矢印X-Xに沿う断面図(D)、および側面図(E)である。
【0030】
平板状ハウジング20には、図3(E)に示すようなスルーホール21が多数形成されている。それらのスルーホール21の内壁面は、導電性金属のめっきで形成された導電層を有する。
【0031】
その平板状ハウジング20の第1面(上面)20Aには多数のコンタクト30が配列されている。それらのコンタクト30は、その接続部31がスルーホール21内に挿し込まれて、スルーホール21の内壁面の導電層と電気的に導通している。これらのコンタクト30は、平板状ハウジング20の第1面20Aと対面するように搭載される電子部品(不図示)の底面に配列された接触パッドに接触して電気的に導通する。
【0032】
また、平板状ハウジング20の第2面(下面)20Bには、コンタクト30の各々に対応する半田ボール80が配列されている。それらの半田ボール80は、対応するスルーホール21の内壁面の導電層と電気的に導通している。これにより、各スルーホール21内の導電層を介して各コンタクト30と各半田ボール80が電気的に導通している。このソケット10Aは、回路基板(不図示)上に搭載され、半田ボール80による半田付けにより回路基板と電気的に導通した状態となる。
【0033】
また、図2に示すように、平板状ハウジング20には、その各縁に沿う位置に、位置決め孔22が形成されている。一方、枠体40の下面には、その位置決め孔22に対応した位置に位置決め用のボス41が設けられている。これらのボス41が位置決め孔22に圧入されることで、枠体40が平板状ハウジング20に位置決めされるとともに固定される。この枠体40は、平板状ハウジング20に立設して平板状ハウジング20の縁に沿って延びている。なお、枠体は、平板状ハウジング20の縁を跨ぐように平板状ハウジング20に取り付けられてもよい。そして、この枠体40は、電子部品を搭載する際の電子部品の側面を案内して平板状ハウジング20の面内方向の位置決めをしている。ただし、この枠体40による位置決めでは位置決め精度が十分であるとは言えず、このソケット10Aでは、以下のようにして位置決めの高精度化が行われている。
【0034】
このソケット10Aには、3個の弾性金属製のばね部材50Aが備えられている。それらのうち2個のばね部材50Aは、枠体40の第1辺42に支持されている。また、残りの1個のばね部材50Aは、枠体40の、第1辺42とは対面しない第2辺43に支持されている。これらのばね部材50Aは、搭載されてきた電子部品を、ばね部材50Aが支持された辺とは対面する辺(基準辺)44,45に押し当てる役割を有する。すなわち、第1辺42に支持されたばね部材50Aは、電子部品をその第1辺42と対面する第3辺44に押し当てている。また、第2辺43に支持されたばね部材50Aは、電子部品をその第2辺43と対面する第4辺45に押し当てている。これら第1辺42および第2辺43は、本発明にいう一辺の一例に相当する。また、第1辺42を一辺としたときの第3辺44および第2辺を一辺としたときの第4辺45が本発明にいう他辺の一例に相当する。第4辺45には、第2辺43に支持されたばね部材50Aに押された電子部品が押し当てられる、内向きに膨出した受け部451が形成されている。また、図示はされていないが、第3辺44にも同様に、第1辺42に支持されたばね部材50Aに押された電子部品が押し当てられる、内向きに膨出した受け部が形成されている。なお、辺43,45には、電子部品の取り付け方向を決定する半円柱状のキー部材46が、電子部品の切り欠き(不図示)に対応して設けられている。図4は、図1に示した円R1および図2に示した円R2の部分の拡大図である。ここで、図4(A)が円R1の部分の拡大図、図4(B)が円R2の部分の拡大図である。
【0035】
このばね部材50Aは、全体が1枚の弾性金属板で形成されていて、基部51と、誘い込み部52と、延在部53とを有する部品である。基部51は、左右に延び、中央部分が枠体40の内向きに突き出た、すなわち、このばね部材50Aが支持される一辺に対面する他辺側に突き出た板形状を有する。また、誘い込み部52は、その他辺から離れる向き、すなわち枠体40の外に向かって斜め上方に延びている部分である。この誘い込み部52は、斜め上向きの誘い込み面521により、搭載されてきた電子部品を枠体40内に誘い込む役割を有する。ばね部材50Aに誘い込み面521を形成したことにより、枠体40内への電子部品の搭載を容易にしている。また、延在部53は、誘い込み部52からさらに、上記の他辺から離れる向き、すなわち枠体40の外に向かって延びている。
【0036】
一方、このばね部材50Aを支持する枠体40は、スリット状に形成された一対の支持部46a,46bを有する。これら一対の支持部46a,46bには、ばね部材50Aの基部51の左右の端部511a、511bが挿し込まれる。そして、これら一対の支持部46a,46bにより、ばね部材50Aが枠体40に支持される。このソケット10Aの場合、この構造により、ばね部材50Aを枠体40に容易に組み立てて確実に支持させることができる。
【0037】
また、枠体40には、左右の支持部46a,46bに挟まれた中央の部分に、載置部47が形成されている。この載置部47は、ばね部材50Aの誘い込み部52および延在部53にそれぞれ対応した斜面471および上向き面472を有する。また、この載置部47は、斜面471および上向き面472の左右両側に立設した一対の横壁473a,473bを有する。そして、この載置部47の斜面471および上向き面472には、ばね部材50Aの誘い込み部52および延在部53が載置される。
【0038】
ばね部材50Aに誘い込み部52および延在部53を設け、枠体40に載置部47を設けたことにより、ばね部材50Aが枠体40にさらに安定的に支持されるとともに、基部51の外に向かう撓みを案内する。
【0039】
図5は、着座部材を示した図である。ここで、図5(A)は斜視図、図5(B)は正面図、図5(C)は断面図である。また、図5(D)は、別例の着座部材の、かしめ前の断面図、図5(E)は、その別例の着座部材の、かしめ後の断面図である。
【0040】
きわめて多数の接触パッドを有する大寸法の電子部品を搭載するソケットの場合、そのソケットを構成する平板状ハウジングも大面積のハウジングとなる。このため、面積が大きい分、わずかな反りであっても平板状ハウジングの中央部分と縁に近い部分とでは第1面20A(図3参照)の高さが無視できない程度に異なるおそれがある。これは、すなわち、搭載された電子部品の底面の接触パッドとコンタクト30との間の接触圧が、コンタクト30が配置される位置により無視できない程度に異なることを意味している。そこで、このソケット10Aには、その接触圧が平板状ハウジング20上の位置によらず一定となるように、着座部材60が備えられている。
【0041】
図1および図2に示す着座部材60、すなわち図5(A)~(C)に示す着座部材60は、着座部61と圧入部62とを有する。また、平板状ハウジング20には、着座部材60用の挿し込み孔23(図2参照)が形成されている。この着座部材60の圧入部62は、平板状ハウジング20の挿し込み孔23内に、その第1面20A側から圧入される。これにより、着座部材60が、平板状ハウジング20に確実に支持されて平板状ハウジング20と一体的に結合される。また、着座部61は、平板状ハウジング20の電子部品が搭載される側の第1面20Aよりも上に突き出ていて、搭載された電子部品の高さ方向の位置を定める。この着座部材60を平板状ハウジング20の複数箇所に配置することによって、ソケット10Aに対する電子部品の上下方向の、平板状ハウジング20上の位置によらない高精度な位置決めが実現する。
【0042】
また、図5(D),(E)に示した別例の着座部材60’は、着座部61とかしめピン63とを有する。このかしめピン63は、平板状ハウジング20の挿し込み孔23に第1面20A側から挿し込まれる。かしめピン63は、平板状ハウジング20の厚みよりも長い。このため、挿し込み孔23に挿し込まれたかしめピン63は、図5(D)に示すように、第2面20Bから突き出た状態となる。そして、かしめピン63の第2面20Bから突き出た部分が、熱かしめにより平板状ハウジング20にかしめられる。これにより、着座部材60’が、平板状ハウジング20に確実に支持されて平板状ハウジング20と一体的に結合される。この着座部材60’の着座部61の役割は、図5(A)~(C)に示した着座部材60の着座部61の役割と同一である。なお、かしめピン63は、熱かしめ以外の、例えば超音波かしめ等によりかしめられてもよい。
【0043】
図6は、スタンドオフ部材を示した図である。ここで、図6(A)は斜視図、図6(B)は正面図、図6(C)は断面図である。また、図6(D)は、別例のスタンドオフ部材の、かしめ前の断面図、図6(E)は、その別例のスタンドオフ部材の、かしめ後の断面図である。この図6では、図示および説明の都合上、(A)~(E)の符号を、下から上に向かって順に付してある。
【0044】
大面積の平板状ハウジングの場合、わずかな反りであっても、このソケット10Aを回路基板に搭載した際の、回路基板との間の間隔が問題となる。平板状ハウジング20が、その縁が回路基板から離れる側に反っている場合を考える。その場合、その平板状ハウジング20の縁の近傍にあった半田ボール80による半田が回路基板から離れ、半田付け不良となるおそれがある。なお、平板状ハウジング20の中央部分には半田ボール80が密集している。このため、平板状ハウジング20が、その縁が回路基板に近づく向きに反っている場合、中央部分の多数の半田付け部分により反りに打ち勝ち、半田付け不良となるおそれが小さい。
【0045】
このソケット10Aには、スタンドオフ部材70が備えられている。このスタンドオフ部材70は、平板状ハウジング20の、回路基板側を向いた第2面20Bと回路基板との間の間隔を規定している。すなわち、このスタンドオフ部材70は、その間隔を平板状ハウジング20の面内位置によらず一定にする役割を有する。
【0046】
図2に示すスタンドオフ部材70、すなわち図6(A)~(C)に示すスタンドオフ部材70は、スタンドオフ部71と圧入部72を有する。また、平板状ハウジング20には、スタンドオフ部材70用の挿し込み孔24(図2参照)が形成されている。このスタンドオフ部材70の圧入部72は、平板状ハウジング20の挿し込み孔24内に、その第2面20B側から圧入される。これにより、スタンドオフ部材70が、平板状ハウジング20に確実に支持されて平板状ハウジング20と一体的に結合される。また、スタンドオフ部71は、平板状ハウジング20の回路基板に面する第2面20Bよりも下に突き出て、平板状ハウジング20の回路基板に対する高さ方向の位置を定める。このスタンドオフ部材70を平板状ハウジング20の複数箇所に配置することによって、回路基板に対する平板状ハウジング20の上下方向の、平板状ハウジング20の面内位置によらない高精度な位置決めが実現する。
【0047】
また、図6(D),(E)に示した別例のスタンドオフ部材70’は、スタンドオフ部71とかしめピン73とを有する。このかしめピン73は、平板状ハウジング20の挿し込み孔24に第2面20B側から挿し込まれる。かしめピン73は、平板状ハウジング20の厚みよりも長い。このため、挿し込み孔24に挿し込まれたかしめピン73は、図6(D)に示すように、第1面20Aから突き出た状態となる。そして、かしめピン73の第1面20Aから突き出た部分が、熱かしめにより、平板状ハウジング20にかしめられる。これにより、スタンドオフ部材70’が、平板状ハウジング20に確実に支持されて平板状ハウジング20と一体的に結合される。このスタンドオフ部材70’の着座部71の役割は、図6(A)~(C)に示したスタンドオフ部材70のスタンドオフ部71の役割と同一である。なお、かしめピン73は、熱かしめ以外の、例えば超音波かしめ等によりかしめられてもよい。
【0048】
上記の通り、この第1例のソケット10Aによれば、平板状ハウジング20の面内方向および高さ方向について高精度な位置決めが行われる。
【0049】
図7は、第2例のソケットの斜視図である。
【0050】
また、図8は、第2例のソケットの、ばね部材を分離した状態の斜視図である。
【0051】
この第2例以降の各例では、上述の第1例のソケット10Aの各構成要素に対応する構成要素には、形状等の相違があっても、第1例のソケット10Aと同一の符号を付して示す。また、上述の第1例と同じ部分については説明を省略することがある。
【0052】
上述の第1例のソケット10Aと同様、この第2例のソケット10Bにも、3個の弾性金属製のばね部材50Bが備えられている。それらのうちの2個のばね部材50Bは、枠体40の第1辺42に支持されている。また、残りの1個のばね部材50Bは、枠体40の、第1辺42とは対面しない第2辺43に支持されている。これらのばね部材50Bは、搭載されてきた電子部品を、ばね部材50Bが支持された辺とは対面する辺(基準辺)44,45に押し当てる役割を有する。すなわち、第1辺42に支持されたばね部材50Bは、電子部品をその第1辺42と対面する第3辺44に押し当てている。また、第2辺43に支持されたばね部材50Bは、電子部品をその第2辺43と対面する第4辺45に押し当てている。これら第1辺42および第2辺43は、本発明にいう一辺の一例に相当する。また、第1辺42を一辺としたときの第3辺44および第2辺を一辺としたときの第4辺45が本発明にいう他辺の一例に相当する。第4辺45には、第2辺43に支持されたばね部材50Bに押された電子部品が押し当てられる、内向きに膨出した受け部451が形成されている。また、図示はされていないが、第3辺44にも同様に、第1辺42に支持されたばね部材50Bに押された電子部品が押し当てられる、内向きに膨出した受け部が形成されている。なお、辺43,45には、電子部品の取り付け方向を決定する半円柱状のキー部材46が、電子部品の切り欠き(不図示)に対応して設けられている。
【0053】
図9は、図7に示した円R3および図8に示した円R4の部分の拡大図である。ここで、図9(A)が円R3の部分の拡大図、図9(B)が円R4の部分の拡大図である。
【0054】
このばね部材50Bは、全体が1枚の弾性金属板で形成されていて、一方の端部54から片持ち梁状に左右方向、かつ枠体40の、このばね部材50Bが支持される一辺に対面する他辺に近づく向きに延びた板形状を有する。そして、他方の端部55には、誘い込み部56が設けられている。誘い込み部56は、その他辺から離れる向き、すなわち枠体40の外に向かって斜め上方に延びている部分である。この誘い込み部56は、斜め上向きの案内面(誘い込み面)561により、搭載されてきた電子部品を枠体40内に誘い込む役割を有する。ばね部材50Bに案内面561を形成したことにより、枠体40内への電子部品の搭載を容易にしている。
【0055】
一方、このばね部材50Bを支持する枠体40は、スリット状に形成された支持部46cを有する。この支持部46cには、ばね部材50Bの一方の端部54が挿し込まれて支持される。電子部品が搭載されてくると、電子部品が案内面561に当たり、その案内面に摺動しながら枠体40内に載置される。その際、ばね部材50Bは、電子部品により他端55側が外側に押されて弾性変形する。これにより、その反力として、電子部品が第3辺44側に押し当てられ、電子部品の水平面内での正確な位置決めが行われる。
【0056】
図10は、第3例のソケットの斜視図である。
【0057】
また、図11は、第3例のソケットの、ばね部材を分離した状態の斜視図である。
【0058】
この第3例のソケット10Cにも、3個の弾性金属製のばね部材50Cが備えられている。それらのうちの2個のばね部材50Bは、枠体40の第1辺42に支持されている。また、残りの1個のばね部材50Bは、枠体40の、第1辺42とは対面しない第2辺43に支持されている。これらのばね部材50Bは、搭載されてきた電子部品を、ばね部材50Cが支持された辺とは対面する辺(基準辺)44,45に押し当てる役割を有する。
【0059】
図12は、図10に示した円R5および図11に示した円R6の部分の拡大図である。ここで、図12(A)が円R5の部分の拡大図、図12(B)が円R5の部分の拡大図である。
【0060】
このばね部材50Cは、全体が1枚の弾性金属板で形成されていて、一方の端部581から片持ち梁状に左右方向に延びた板形状の基部58を有する。また、このばね部材50Cは、その基部58の他方の端部582側に押当部59を有する。この押当部59は、基部58から、枠体40の、このばね部材50Bが支持される一辺に対面する他辺側に折り曲げられ、基部58との間に隙間を空けて基部58と対面する形状を有する。この押当部59は、搭載された電子部品を上記の他辺に押し当てる。ここで、この押当部59には、その他辺から離れる向き、すなわち枠体40の外に向かって斜め上方に延びる誘い込み部591を有する。この誘い込み部591は、斜め上向きの案内面592により、搭載されてきた電子部品を枠体40内に誘い込む役割を有する。ばね部材50Cに案内面592を形成したことにより、枠体40内への電子部品の搭載を容易にしている。
【0061】
一方、このばね部材50Cを支持する枠体40は、スリット状に形成された支持部46dを有する。この支持部46dには、ばね部材50Cの基部58の一方の端部581が支持される。
【0062】
電子部品が搭載されてくると、電子部品が案内面592に当たり、その案内面592に摺動しながら枠体40内に載置される。その際、ばね部材50Cは、電子部品により押当部59が外側に押されて弾性変形する。これにより、その反力として、電子部品が第3辺44側に押し当てられ、電子部品の水平面内での正確な位置決めが行われる。
【0063】
図13は、第4例のソケットの斜視図である。
【0064】
また、図14は、第4例のソケットの分解斜視図である。
【0065】
さらに、図15は、第4例のソケットの3面図である。ここで、図15(A),(B),(C)は、それぞれ、平面図、正面図、および側面図である。
【0066】
このソケット10Dは、平板状ハウジング20と、多数のコンタクト30(図3参照)と、枠体40とを備えている。ここでは、コンタクト30は図示が省略されている。また、このソケット10Dは、着座部材60”およびスタンドオフ部材70”を備えている。なお、この第4例のソケット10Dには、第1例から第3例のソケット10A~10Cに備えられていたばね部材50A~50Cに相当するばね部材は備えられていない。
【0067】
また、図16は、図13に示した円R7および図15に示した円R8の部分の拡大図である。ここで、図16(A)が円R7の部分の拡大図、図16(B)が円R8の部分の拡大図である。
【0068】
このソケット10Dの枠体40には、各々が平板状ハウジング20に沿って折れ曲がって延びた、互いに対角を成す一対の角部40Aが、2組形成されている。そして、この枠体40の各角部40Aには、位置決め面49a,49bが形成されている。これらの位置決め面49a,49bは、角部40Aを構成する2辺48a,48bの各々から内向きに突き出ている。これらの位置決め面49a,49bは、搭載された電子部品を対角側の角部40Aに対して位置決めする役割を有する。
【0069】
枠体40の内側の面の全域ではなく、位置決め面49a,49bという狭い面積の部分であれば、小さな公差で形成することが可能である。そこで、この第4例のソケット10Dでは、各角部40Aに小面積の位置決め面49a,49bを設け、電子部品を対角側の角部40Aに対して位置決めする。
【0070】
この第4例のソケット10Dによれば、枠体40が上記の位置決め面49a,49bを有することから、その位置決め面49a,49bを持たない枠体よりも、電子部品の、平板状ハウジング20の面内方向の高精度な位置決めが実現する。
【0071】
図17は、第4例のソケットの、着座部材およびスタンドオフ部材の断面図である。ここで、図17(A)はかしめ前の断面図、図17(B)はかしめ後の断面図である。
【0072】
この第4例のソケット10Dの着座部材60”は、着座部61と、平板状ハウジング20の挿し込み孔23に挿し込まれるボス64と、長手方向両端に突起65を有する。ボス64は、第1面20A側から挿し込み孔23に挿し込まれるが、圧入はされない。したがって、この着座部材60”は、挿し込み孔23にボス64を挿し込んだだけでは、抜け落ちるおそれがある。また、この第4例のソケット10Dのスタンドオフ部材70”は、スタンドオフ部71とかしめピン73を有する。かしめピン73は、第2面20B側から挿し込み孔24に挿し込まれる。かしめピン73は、平板状ハウジング20の厚みよりも長い。このため、挿し込み孔24に第2面20B側から挿し込まれたかしめピン73は、図17(A)に示すように、第1面20Aから突き出た状態となる。そして、かしめピン73の第1面20Aから突き出た部分が、熱かしめにより平板状ハウジング20にかしめられる。ここで、かしめピン73が挿し込まれる挿し込み孔24は、平板状ハウジング20上に配置された着座部材60”の突起65に隣接した位置に形成されている。このため、スタンドオフ部材70”のかしめピン73を挿し込み孔24に挿し込んでかしめると、図17(B)に示すように、スタンドオフ部材70”だけでなく着座部材60”も一緒に、平板状ハウジング20に固定される。上述の第1例のソケット10Aにおいて、かしめタイプの着座部材60’とかしめタイプのスタンドオフ部材70’を採用した場合を考える。この場合、着座部材60’とスタンドオフ部材70’について別々なかしめ工程が必要である。これに対し、第4例のソケット10Dの場合、着座部材60”についてはかしめ工程は不要であり、その分、工程数の削減となっている。
【0073】
なお、この第4例のソケット10Dとは逆に、スタンドオフ部材にはかしめピンを設けずに挿し込み孔23に挿し込むだけのボスを設けてもよい。そして、着座部材にかしめピンを設け、着座部材をかしめることによっスタンドオフ部材も一緒に固定される構造としてもよい。
【0074】
この第4例における着座部材60”の着座部61およびスタンドオフ部材70”のスタンドオフ部71の作用は、第1例のソケット10Aの場合とそれぞれ同一である。
【0075】
図18は、第5例のソケットの斜視図である。
【0076】
また、図19は、図18に示した円R9~R11の部分の拡大図である。ここで、図19(A)は、円R9の部分の拡大図、図19(B)は、円R10の部分の拡大図、図19(C)は円R11の部分の拡大図である。
【0077】
また、図20は、第5例のソケットの分解斜視図である。
【0078】
また、図21は、図20に示した円R12~R15の部分の拡大図である。ここで、図21(A)は、円R12の部分の拡大図、図21(B)は、円R13の部分の拡大図、図21(C)は、円R14の部分の拡大図、図21(D)は、円R15の部分の拡大図である。
【0079】
さらに、図22は、第5例のソケットの3面図である。ここで、図22(A),(B),(C)は、それぞれ、平面図、正面図、および側面図である。
【0080】
さらに、図23は、図22に示した円R16~R20の部分の拡大図である。ここで、図23(A)は、円R16の部分の拡大図、図23(B)は、円R17の部分の拡大図、図23(C)は、円R18の部分の拡大図である。また、図23(D)は、円R19の部分の拡大図、図23(E)は、円R20の部分の拡大図である。
【0081】
この第5例のソケット10Eを表す図面には、平板状ハウジング20上の領域を囲う縁の部分にのみ、コンタクト30が示されている。ただし、実際には、平板状ハウジング20上の、その縁の部分に示したコンタクト30に囲われた領域の全体に、コンタクト30が配置されている。
【0082】
この第5例のソケット10Eには、平板状ハウジング20の互いに離れた位置に、複数の位置決めピン90a,90bが備えられている。この第5例のソケット10Eの枠体40には、各々が平板状ハウジング20に沿って折れ曲がって延びた、互いに対角を成す一対の角部40A1,40A2が設けられている。そして、この第5例のソケット10Eの場合、位置決めピン90a,90bは、具体的には、それら対角を成す一対の角部40A1,40A2の各々に隣接した位置に設けられている。これらの位置決めピン90a,90bは、平板状ハウジング20に設けられた固定孔25(図20参照)に圧入されることにより、その平板状ハウジング20に固定されている。これらの位置決めピン90a,90bは、平板状ハウジング20の、電子部品が搭載される側の第1面20Aから突き出ている。そして、これらの位置決めピン90a,90bは、搭載される電子部品の下面に開いた位置決め孔または切欠きに挿し込まれる。この第5例のソケット10Eによれば、上記の位置決めピン90a,90bを備えていることから、位置決めピンを持たないソケットと比べ、搭載された電子部品の、平板状ハウジング20の面内方向の高精度な位置決めが実現する。
【0083】
ここで、位置決めピン90a,90bは、互いに大きく離間している位置に備えたほうがより高精度な位置決めが可能である。この第5例のソケット10Eの場合、位置決めピン90a,90bを一対の角部40A1,40A2の各々に隣接した位置に設け、位置決めピン90a,90bどうしを大きく離間させている。
【0084】
ここで、この第5例のソケット10Eにおける位置決めピン90a,90bのうちの一方の位置決めピン90aは、図23(B)に示すように、平面図上で円形のピンである。これに対し、他方の位置決めピン90bは、図23(D)に示すように、一方の位置決めピン90aより小径の円形のピンである。
【0085】
また、この第5例のソケット10Eには、着座部材60’’’が備えられている。この着座部60’’’は、図21(B)に示されているように、第1例のソケット10Aに備えられている着座部材60とは形は異なるが、挿し込み孔23に圧入されるタイプの着座部座である。
【0086】
以下、本発明の各種態様を作用とともに付記する。
【0087】
(付記1)
平板状ハウジング、
前記平板状ハウジングに支持された多数のコンタクト、
前記平板状ハウジングに取り付けられて該平板状ハウジングに沿って延び、前記多数のコンタクトに接触する多数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の該平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体、および
前記枠体の一辺に支持され、搭載された前記電子部品を該一辺と対面する他辺に押し当てるばね部材を備えたことを特徴とするソケット。
【0088】
付記1に係る発明によれば、枠体に対する電子部品の、平板状ハウジングの面内方向の高精度な位置決めが実現する。
【0089】
(付記2)
前記ばね部材が、左右に延び中央部分が前記他辺側に突き出た板形状の基部を有し、
前記枠体が、前記基部の左右の両端部が挿し込まれて該ばね部材を支持する一対の支持部を有することを特徴とする付記1に記載のソケット。
【0090】
この形状のばね部材および一対の支持部を備えることにより、ばね部材を枠体に容易に組み立てて確実に支持させることができる。
【0091】
(付記3)
前記ばね部材が、搭載されてきた前記電子部品を前記枠体内に誘い込む、斜め上方を向いた誘い込み面を有することを特徴とする付記1または2に記載のソケット。
【0092】
誘い込み面を有するばね部材とすることで、電子部品の搭載が容易となる。
【0093】
(付記4)
前記ばね部材が、
前記基部に加え、さらに
前記基部から、前記他辺から離れる向きに斜め上方に延びて前記誘い込み面を形成する誘い込み部と、
前記誘い込み部からさらに、前記他辺から離れる向きに横向きに延びた延在部とを備えた板形状のばね部材であって、
前記枠体が、前記誘い込み部に対応した斜面と、前記延在部に対応した上向き面と、該斜面および該上向き面の左右両側に立設した一対の横壁とを有し、該誘い込み部および該延在部を該斜面および該上向き面に載置する載置部を備えたことを特徴とする付記3に記載のソケット。
【0094】
この形状のばね部材および枠体とすることで、ばね部材が枠体にさらに安定的に支持される。
【0095】
(付記5)
前記ばね部材が、一方の端部から片持ち梁状に左右方向かつ前記他辺側に近づく向きに延びた板形状を有し、
前記枠体が、前記ばね部材の前記一方の端部を支持する支持部を有することを特徴とする付記1に記載のソケット。
【0096】
(付記6)
前記ばね部材が、一方の端部から片持ち梁状に左右方向に延びた板形状の基部と、該基部の他方の端部側に、該基部から前記他辺側に折り曲げられ該基部との間に隙間を空けて該基部と対面し、搭載された前記電子部品を該他辺に押し当てる押当部とを有し、
前記枠体が、前記ばね部材の前記一方の端部を支持する支持部を有することを特徴とする付記1に記載のソケット。
【0097】
ばね部材は、これら(付記5)あるいは(付記6)のように、片持ち梁形状としてもよい。
【0098】
(付記7)
前記ばね部材が、搭載されてきた前記電子部品を前記枠体内に誘い込む、斜め上方を向いた誘い込み面を有することを特徴とする付記5または6に記載のソケット。
【0099】
上記の通り、誘い込み面を有するばね部材とすることで、電子部品の搭載が容易となる。
【0100】
(付記8)
平板状ハウジング、
前記平板状ハウジングに支持された多数のコンタクト、
前記平板状ハウジングに取り付けられて該平板状ハウジングに沿って延び、前記多数のコンタクトに接触する多数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の該平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体、および
前記平板状ハウジングに結合され、該平板状ハウジングの前記電子部品が搭載される側の上面よりも上に突き出て搭載された該電子部品の高さ方向の位置を定める着座部を有する着座部材を備えたことを特徴とするソケット。
【0101】
付記8に係る発明によれば、着座部材を備えていることにより、ソケットに対する電子部品の上下方向の高精度な位置決めが実現する。
【0102】
(付記9)
前記平板状ハウジングが、前記上面に開口した、着座部材支持用の第1の穴を有し、
前記着座部材が、前記第1の穴に圧入された第1の圧入部を有することを特徴とする付記8に記載のソケット。
【0103】
この着座部材は、第1の圧入部を備えることによって平板状ハウジングに確実に支持される。
【0104】
(付記10)
前記平板状ハウジングが、上下面に貫通した第1の貫通孔を有し、
前記着座部材が、前記第1の貫通孔に挿し込まれ前記平板状ハウジングの下面側に突き出て該平板状ハウジングにかしめられた第1のかしめピンを有することを特徴とする付記8に記載のソケット。
【0105】
この着座部材は、第1のかしめピンを有することによっても、平板状ハウジングに確実に支持される。
【0106】
(付記11)
平板状ハウジング、
前記平板状ハウジングに支持された多数のコンタクト、
前記平板状ハウジングに取り付けられて該平板状ハウジングに沿って延び、前記多数のコンタクトに接触する多数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の該平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体、および
前記平板状ハウジングに結合され、該平板状ハウジングの、搭載される回路基板側を向いた下面よりも下に突き出て該平板状ハウジングの高さ方向の位置を定めるスタンドオフ部を有するスタンドオフ部材を備えたことを特徴とするソケット。
【0107】
付記11に係る発明によれば、スタンドオフ部材を備えていることにより、回路基板に対するソケットの上下方向の高精度な位置決めが実現する。
【0108】
(付記12)
前記平板状ハウジングが、前記下面に開口した、スタンドオフ部材支持用の第2の穴を有し、
前記スタンドオフ部材が、前記第2の穴に圧入された第2の圧入部を有することを特徴とする付記11に記載のソケット。
【0109】
このスタンドオフ部材は、第2の圧入部を備えることによって平板状ハウジングに確実に支持される。
【0110】
(付記13)
前記平板状ハウジングが、上下面に貫通した第2の貫通孔を有し、
前記着座部材が、前記第2の貫通孔に挿し込まれ前記平板状ハウジングの下面側に突き出て該平板状ハウジングにかしめられた第2のかしめピンを有することを特徴とする付記12に記載のソケット。
【0111】
このスタンドオフ部材は、第2のかしめピンを有することによっても、平板状ハウジングに確実に支持される。
【0112】
(付記14)
平板状ハウジング、
前記平板状ハウジングに支持された多数のコンタクト、および
前記平板状ハウジングに取り付けられ、各々が該平板状ハウジングに沿って折れ曲がって延びた、互いに対角を成す一対の角部を有し、前記多数のコンタクトに接触する多数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の該平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体を備え、
前記枠体が、前記一対の角部の各々を構成する各2辺の各々から内向きに突き出て、搭載された前記電子部品を対角側の角部に対して位置決めする位置決め面を有することを特徴とするソケット。
【0113】
付記14に係る発明によれば、枠体が上記の位置決め面を有することから、その位置決め面を持たない枠体と比べ、枠体に対する電子部品の、平板状ハウジングの面内方向の高精度な位置決めが実現する。
【0114】
(付記15)
平板状ハウジング、
前記平板状ハウジングに支持された多数のコンタクト、
前記平板状ハウジングに取り付けられて該平板状ハウジングに沿って延び、前記多数のコンタクトに接触する多数の接触パッドが下面に形成された電子部品を搭載する際の該平板状ハウジングの面内方向の位置決めとなる枠体、および
前記平板状ハウジングの互いに離れた位置において前記平板状ハウジングの前記電子部品が搭載される側の上面から突き出て、該電子部品の下面に開いた位置決め孔に挿し込まれる複数の位置決めピンを備えたことを特徴とするソケット。
【0115】
付記15に係る発明によれば、上記の位置決めピンを備えていることから、位置決めピンを持たないソケットと比べ、電子部品の、平板状ハウジングの面内方向の高精度な位置決めが実現する。
【0116】
(付記16)
前記枠体が、各々が前記平板状ハウジングに沿って折れ曲がって延びた、互いに対角を成す一対の角部を有し、
前記位置決めピンが、前記一対の角部の各々に隣接した位置に設けられていることを特徴とする付記15に記載のソケット。
【0117】
位置決めピンは、互いに大きく離間している位置に備えたほうがより高精度な位置決めが可能である。位置決めピンを一対の角部の各々に隣接した位置に設けることにより位置決めピンどうしを大きく離間させることができる。
【符号の説明】
【0118】
10A、10B,10C,10D,10E ソケット
20 平板状ハウジング
30 コンタクト
40 枠体
40A,40A1,40A2 枠体の角部
42 枠体の第1辺(一辺)
43 枠体の第2辺(一辺)
44 枠体の第3辺(他辺)
45 枠体の第4辺(他辺)
46a,46b,46c,46d 支持部
47 載置部
471 載置部の斜面
472 載置部の上向き面
473a,473b 載置部の横壁
48a,48b 角部を構成する辺
50A,50B,50C ばね部材
51 基部
511a,511b 基部の端部
52 誘い込み部
521 誘い込み面
53 延在部
54 一方の端部
561 誘い込み面
58 基部
581 一方の端部
59 押当部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23