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特許7379103直流電圧変換回路、その駆動制御方法及び駆動制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】直流電圧変換回路、その駆動制御方法及び駆動制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019204550
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021078288
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000227836
【氏名又は名称】日本アビオニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆博
(72)【発明者】
【氏名】富高 真
(72)【発明者】
【氏名】竹内 浩造
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-139023(JP,A)
【文献】特開2003-009515(JP,A)
【文献】特開2018-137991(JP,A)
【文献】特開2003-216254(JP,A)
【文献】特開2005-168169(JP,A)
【文献】特開2008-263713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と接地端子との間に直列に接続される第1のスイッチングトランジスタ及び第2のスイッチングトランジスタを有する出力段回路と、
前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとを接続する接続ノードと、出力端子と、の間に挿入されるインダクタと、
前記インダクタの前記出力段回路側の配線にカソードが接続され、前記接地端子に接続される接続配線にアノードが接続されるダイオードと、
前記出力端子と前記接地端子との間に接続される平滑コンデンサと、
前記出力端子と前記接地端子との間に接続され、出力端子から出力される出力電圧を分圧した分圧電圧を帰還電圧として出力する分圧回路と、
前記帰還電圧に基づき前記出力段回路に与えるパルス信号を生成するコンバータ制御回路と、
前記パルス信号を増幅して前記出力段回路に与える駆動回路と、を有し、
前記コンバータ制御回路は、
前記帰還電圧が前記出力電圧に対応する第1の閾値電圧を下回った場合に前記パルス信号として前記出力段回路をオン状態とするオン期間状態の長さが予め決定されたワンショットパルス信号を出力し、
前記ワンショットパルス信号において予め設定されたオン期間状態が終了するタイミングで前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い場合、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態の長さを延長し、
前記ワンショットパルス信号のオン期間状態が延長された後に前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧を上回った場合、前記ワンショットパルス信号の予め決定されたオン期間状態の長さによらず、前記帰還電圧が前記第2の閾値電圧を上回ったタイミングで前記ワンショットパルス信号を前記出力段回路をオフ状態とするオフ期間状態に切り替える直流電圧変換回路。
【請求項2】
前記コンバータ制御回路は、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態が予め設定した上限時間を越えた場合は、前記ワンショットパルス信号をオフ期間状態に固定して動作を停止状態とする請求項1に記載の直流電圧変換回路。
【請求項3】
前記コンバータ制御回路は、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長し、かつ、前記ワンショットパルス信号をオフ期間状態に切り替えた後に、前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧を上回らない場合、所定のオン期間状態の長さを有する前記ワンショットパルス信号を出力する請求項1又は2に記載の直流電圧変換回路。
【請求項4】
前記コンバータ制御回路は、
前記帰還電圧、前記第1の閾値電圧、及び、前記第2の閾値電圧の大小関係に基づき前記ワンショットパルス信号のオン期間状態とオフ期間状態とを切り替える演算部と、
反転入力端子に前記帰還電圧が与えられ、正転入力端子に前記第1の閾値電圧が与えられる第1のコンパレータと、
前記演算部から与えられ得る指示値に基づき前記第1の閾値電圧を生成する第1のデジタルアナログ変換回路と、
反転入力端子に前記第2の閾値電圧が与えられ、正転入力端子に前記帰還電圧が与えられる第2のコンパレータと、
前記演算部から与えられ得る指示値に基づき前記第2の閾値電圧を生成する第2のデジタルアナログ変換回路と、
を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の直流電圧変換回路。
【請求項5】
前記帰還電圧に前記出力段回路の動作に合わせたリップル電圧を重畳するリップル注入回路を更に有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の直流電圧変換回路。
【請求項6】
入力端子と接地端子との間に直列に接続される第1のスイッチングトランジスタ及び第2のスイッチングトランジスタを有する出力段回路と、
前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとを接続する接続ノードと、出力端子と、の間に挿入されるインダクタと、
前記インダクタの前記出力段回路側の配線にカソードが接続され、前記接地端子に接続される接続配線にアノードが接続されるダイオードと、
前記出力端子と前記接地端子との間に接続される平滑コンデンサと、
前記出力端子と前記接地端子との間に接続され、出力端子から出力される出力電圧を分圧した分圧電圧を帰還電圧として出力する分圧回路と、を有する直流電圧変換回路の駆動制御方法であって、
前記帰還電圧が前記出力電圧に対応する第1の閾値電圧を下回った場合に前記出力段回路に与えるパルス信号として前記出力段回路をオン状態とするオン期間状態の長さが予め決定されたワンショットパルス信号を出力し、
前記ワンショットパルス信号において予め設定されたオン期間状態が終了するタイミングで前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い場合、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態の長さを延長し、
前記ワンショットパルス信号のオン期間状態が延長された後に前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧を上回った場合、前記ワンショットパルス信号の予め決定されたオン期間状態の長さによらず、前記帰還電圧が前記第2の閾値電圧を上回ったタイミングで前記ワンショットパルス信号を前記出力段回路をオフ状態とするオフ期間状態に切り替える直流電圧変換回路の駆動制御方法。
【請求項7】
入力端子と接地端子との間に直列に接続される第1のスイッチングトランジスタ及び第2のスイッチングトランジスタを有する出力段回路と、
前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとを接続する接続ノードと、出力端子と、の間に挿入されるインダクタと、
前記インダクタの前記出力段回路側の配線にカソードが接続され、前記接地端子に接続される接続配線にアノードが接続されるダイオードと、
前記出力端子と前記接地端子との間に接続される平滑コンデンサと、
前記出力端子と前記接地端子との間に接続され、出力端子から出力される出力電圧を分圧した分圧電圧を帰還電圧として出力する分圧回路と、を有する直流電圧変換回路の制御を行う演算部にて実行される駆動制御プログラムであって、
前記帰還電圧が前記出力電圧に対応する第1の閾値電圧を下回った場合に前記出力段回路に与えるパルス信号として前記出力段回路をオン状態とするオン期間状態の長さが予め決定されたワンショットパルス信号を出力し、
前記ワンショットパルス信号において予め設定されたオン期間状態が終了するタイミングで前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い場合、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態の長さを延長し、
前記ワンショットパルス信号のオン期間状態が延長された後に前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧を上回った場合、前記ワンショットパルス信号の予め決定されたオン期間状態の長さによらず、前記帰還電圧が前記第2の閾値電圧を上回ったタイミングで前記ワンショットパルス信号を前記出力段回路をオフ状態とするオフ期間状態に切り替える駆動制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は直流電圧変換回路、その駆動制御方法及び駆動制御プログラムに関し、例えば、パルス幅が予め固定されたシングルパルス制御により出力電圧を制御する直流電圧変換回路、その駆動制御方法及び駆動制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
直流電圧変換回路は、外部の電源から出力される入力電圧を、電力供給先の負荷回路の電源として設定された目標電圧に変換する。このような直流電圧変換回路の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のDC-DCコンバータは、PFMコンパレータとPWMコンパレータを備えるDC-DCコントローラを有する。そして、特許文献1のDC-DCコンバータは、低負荷状態となり負荷電流が小さくなるとPFMコンパレータにより20Hz以下の周波数でスイッチング素子を動作させ、負荷が増加して20Hz以上の周波数でスイッチング素子を動作させる状況になると、20kHz以上の周波数で主としてPWMコンパレータによりスイッチング素子を動作させる。
【0004】
PFM(Pulse Frequency Modulation:パルス周波数変調)方式の駆動方法は、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)方式の駆動方法に比べると低負荷状態での効率が高い特徴がある。そして、特許文献1に記載のDC-DCコンバータでは、PFMモードでのスイッチング周波数が20Hz以下の状態ではPFMモードでDC-DCコンバータを動作させ、スイッチング周波数が20Hzより高くなる場合はPWMモードでDC-DCコンバータを制御することで低負荷状態での変換効率を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-51816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、直流電圧変換回路において、駆動方式とてパルス幅が一定のPFM方式のみを採用して電圧変換効率を向上させた場合、負荷が大きく変動した場合の出力電圧の追従性に問題が生じる。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の直流電圧変換回路の一態様は、入力端子と接地端子との間に直列に接続される第1のスイッチングトランジスタ及び第2のスイッチングトランジスタを有する出力段回路と、前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとを接続する接続ノードと、出力端子と、の間に挿入されるインダクタと、前記インダクタの前記出力段回路側の配線にカソードが接続され、前記接地端子に接続される接続配線にアノードが接続されるダイオードと、前記出力端子と前記接地端子との間に接続される平滑コンデンサと、前記出力端子と前記接地端子との間に接続され、出力端子から出力される出力電圧を分圧した分圧電圧を帰還電圧として出力する分圧回路と、前記帰還電圧に基づき前記出力段回路に与えるパルス信号を生成するコンバータ制御回路と、前記パルス信号を増幅して前記出力段回路に与える駆動回路と、を有し、前記コンバータ制御回路は、前記帰還電圧が前記出力電圧に対応する第1の閾値電圧を下回った場合に前記パルス信号として前記出力段回路をオン状態とするオン期間状態の長さが予め決定されたワンショットパルス信号を出力し、前記ワンショットパルス信号において予め設定されたオン期間状態が終了するタイミングで前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い場合、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態の長さを延長し、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態が延長された後に前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧を上回ったことに応じて前記ワンショットパルス信号を前記出力段回路をオフ状態とするオフ期間状態に切り替える。
【0009】
また、本発明の直流電圧変換回路の駆動制御方法の一態様は、入力端子と接地端子との間に直列に接続される第1のスイッチングトランジスタ及び第2のスイッチングトランジスタを有する出力段回路と、前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとを接続する接続ノードと、出力端子と、の間に挿入されるインダクタと、前記インダクタの前記出力段回路側の配線にカソードが接続され、前記接地端子に接続される接続配線にアノードが接続されるダイオードと、前記出力端子と前記接地端子との間に接続される平滑コンデンサと、前記出力端子と前記接地端子との間に接続され、出力端子から出力される出力電圧を分圧した分圧電圧を帰還電圧として出力する分圧回路と、を有する直流電圧変換回路の駆動制御方法であって、前記帰還電圧が前記出力電圧に対応する第1の閾値電圧を下回った場合に前記出力段回路に与えるパルス信号として前記出力段回路をオン状態とするオン期間状態の長さが予め決定されたワンショットパルス信号を出力し、前記ワンショットパルス信号において予め設定されたオン期間状態が終了するタイミングで前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い場合、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態の長さを延長し、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態が延長された後に前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧を上回ったことに応じて前記ワンショットパルス信号を前記出力段回路をオフ状態とするオフ期間状態に切り替える。
【0010】
本発明の直流電圧変換回路の駆動制御プログラムの一態様は、入力端子と接地端子との間に直列に接続される第1のスイッチングトランジスタ及び第2のスイッチングトランジスタを有する出力段回路と、前記第1のスイッチングトランジスタと前記第2のスイッチングトランジスタとを接続する接続ノードと、出力端子と、の間に挿入されるインダクタと、前記インダクタの前記出力段回路側の配線にカソードが接続され、前記接地端子に接続される接続配線にアノードが接続されるダイオードと、前記出力端子と前記接地端子との間に接続される平滑コンデンサと、前記出力端子と前記接地端子との間に接続され、出力端子から出力される出力電圧を分圧した分圧電圧を帰還電圧として出力する分圧回路と、を有する直流電圧変換回路の制御を行う演算部にて実行される駆動制御プログラムであって、前記帰還電圧が前記出力電圧に対応する第1の閾値電圧を下回った場合に前記出力段回路に与えるパルス信号として前記出力段回路をオン状態とするオン期間状態の長さが予め決定されたワンショットパルス信号を出力し、前記ワンショットパルス信号において予め設定されたオン期間状態が終了するタイミングで前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い場合、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態の長さを延長し、前記ワンショットパルス信号のオン期間状態が延長された後に前記帰還電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧を上回ったことに応じて前記ワンショットパルス信号を前記出力段回路をオフ状態とするオフ期間状態に切り替える。
【発明の効果】
【0011】
直流電圧変換回路及びその駆動方法によれば、負荷電流急増時の応答時間の削減とオーバーシュート電圧の抑制を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる直流電圧変換回路のブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる直流電圧変換回路の動作を説明するフローチャートである。
図3】比較例にかかる直流電圧変換回路の動作を説明するタイミングチャートである。
図4】実施の形態1にかかる直流電圧変換回路の第1の動作例を説明するタイミングチャートである。
図5】実施の形態1にかかる直流電圧変換回路の第2の動作例を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0015】
実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1について説明する。図1に実施の形態1にかかる直流電圧変換回路のブロック図を示す。実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、入力電圧Viの電圧を他の電圧である出力電圧Voに変換して負荷回路に電力を供給する。
【0016】
図1に示すように、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、第1のスイッチングトランジスタQ1、第2のスイッチングトランジスタQ2、入力コンデンサCi、ダイオードD1、インダクタL1、平滑コンデンサCo、RCフィルタ12、コンバータ制御回路13を有する。そして、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、入力電圧Viよりも低い電圧値を有する出力電圧Voを生成する。また、図1に示すように、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、リップル注入回路11を有する。さらに、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、帰還電圧Vfbを生成するために、分圧抵抗Ro1、Ro2により分圧回路を構成する。
【0017】
入力端子Vinは、入力電圧Viを入力する端子である。接地端子RTNは、接地電圧を入力する端子である。出力端子Voutは、出力電圧Voを出力する端子である。入力コンデンサCiは、入力端子Vinと接地端子RTNとの間に設けられる。入力コンデンサCiは、入力電圧Viの変動を抑制する平滑コンデンサとして機能する。
【0018】
第1のスイッチングトランジスタQ1と第2のスイッチングトランジスタQ2は、入力端子Vinと接地端子RTNとの間に直列に接続される。ここで、図1に示す例では、第1のスイッチングトランジスタQ1が入力端子Vin側に配置され、第2のスイッチングトランジスタQ2が接地端子RTN側に配置される。また、第1のスイッチングトランジスタQ1及び第2のスイッチングトランジスタQ2は出力段回路を構成する。
【0019】
インダクタL1は、第1のスイッチングトランジスタQ1と第2のスイッチングトランジスタQ2とを接続する接続ノードと、出力端子Voutと、の間に挿入される。ダイオードD1は、インダクタL1の出力段回路側の配線にカソードが接続され、接地端子RTNに接続される接続配線にアノードが接続される。平滑コンデンサCoは、出力端子Voutと接地端子RTNとの間に接続される。分圧抵抗Ro1、Ro2は、出力端子Voutと接地端子RTNとの間に直列に接続される。そして、分圧抵抗Ro1、Ro2は、出力端子Voutから出力される出力電圧Voを分圧した分圧電圧を帰還電圧Vfbとして出力する。
【0020】
また、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、インダクタL1に並列にリップル注入回路11が設けられる。リップル注入回路11は、抵抗R1、コンデンサC1、C2を有する。抵抗R1の一端は、インダクタL1の出力段回路側の端子に接続される。抵抗R1の他端には、コンデンサC1の一端、及び、コンデンサC2の一端が接続される。コンデンサC1の他端は、インダクタL1の出力端子Vout側の端子に接続される。コンデンサC2の他端は、帰還電圧Vfbが伝達される配線に接続される。実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、このリップル注入回路11によって、帰還電圧にインダクタL1に流れる電流波形と相似形の電圧波形を重畳する。このようなリップル電圧により、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、出力段回路を駆動するパルス信号が生成されない帰還が継続することを防止する。
【0021】
RCフィルタ12は、帰還電圧Vfbに重畳される高周波ノイズを低減する。コンバータ制御回路13は、帰還電圧Vfbに基づき出力段回路に与えるパルス信号(例えば、ONパルスPon及びOFFパルスPoff)を生成する。また、駆動回路10は、コンバータ制御回路13が生成したパルス信号を増幅して出力段回路に与える。
【0022】
ここで、コンバータ制御回路13についてさらに詳細に説明する。コンバータ制御回路13は、帰還電圧Vfbが出力電圧Voに対応する第1の閾値電圧Vref_Tを下回った場合にパルス信号として予め決定された期間の間、第1のスイッチングトランジスタQ1をオン、第2のスイッチングトランジスタQ2をオフさせるワンショットパルス信号(例えば、ONパルスPonをハイレベル、OFFパルスPoffをロウレベルにする)を出力する。ここで、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、第1のスイッチングトランジスタQ1を1回オンさせることで出力電圧Voが目標電圧を上回る状態を定常状態と称す。また、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、第1のスイッチングトランジスタQ1をオン、第2のスイッチングトランジスタQ2をオフしている期間をオン期間、第1のスイッチングトランジスタQ1をオフ、第2のスイッチングトランジスタQ2をオンしている期間をオフ期間、第1のスイッチングトランジスタQ1及び第2のスイッチングトランジスタQ2をともにオフしている期間をデッドタイム期間と称す。
【0023】
以下の説明では、ワンショットパルス信号との語を使用するが、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、ワンショットパルス信号は、第1のスイッチングトランジスタQ1及び第2のスイッチングトランジスタQ2のゲートに与えられる2つの信号により構成されるものとする。図1に示す例では、第1のスイッチングトランジスタQ1のゲートに与えられる信号は、ONパルスPonと同じ論理レベルの変化となり、第2のスイッチングトランジスタQ2のゲートに与えられる信号は、OFFパルスPoffと同じ論理レベルの変化となる。
【0024】
コンバータ制御回路13は、定常状態よりも負荷変動が大きく1個のワンショットパルスだけでは電圧が十分に大きくならない場合、ワンショットパルス信号がオン期間状態となる時間を延長する。また、出力段回路をオフ状態とするワンショットパルス信号に対してはオフ期間状態と称す。そして、コンバータ制御回路13は、具体的には、以下のような動作を行う。
【0025】
コンバータ制御回路13は、帰還電圧Vfbが出力電圧Voに対応する第1の閾値電圧Vref_Tを下回った場合にパルス信号として出力段回路をオン状態とするオン期間状態の長さが予め決定されたワンショットパルス信号を出力する。また、コンバータ制御回路13は、ワンショットパルス信号において予め設定されたオン期間状態が終了するタイミングで帰還電圧が第1の閾値電圧Vref_Tよりも低い場合、ワンショットパルス信号のオン期間状態の長さを延長する。そして、コンバータ制御回路13は、ワンショットパルス信号のオン期間状態が延長された後に帰還電圧Vfbが第1の閾値電圧Vref_Tよりも低い第2の閾値電圧Vref_Rを上回ったことに応じてワンショットパルス信号を出力段回路をオフ状態とするオフ期間状態に切り替える。
【0026】
また、コンバータ制御回路13は、ワンショットパルス信号のオン期間状態が予め設定した上限時間を越えた場合は、ワンショットパルス信号をオフ期間状態に固定して動作を停止状態とする。さらに、コンバータ制御回路13は、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長後に、ワンショットパルス信号をオフ期間状態に切り替えた後に、帰還電圧が第1の閾値電圧を上回らない場合、所定のオン期間状態の長さを有するワンショットパルス信号を出力する。
【0027】
コンバータ制御回路13では、上記動作を行うために、パルス生成回路14、第1のデジタルアナログ変換回路15、第1のコンパレータ16、第2のデジタルアナログ変換回路17、第2のコンパレータ18を有する。
【0028】
パルス生成回路14は、例えば、上記動作を行うための論理回路が構成された半導体装置、あるいは、プログラムを実行可能な演算部である。また、パルス生成回路14は、第1の閾値電圧Vref_T及び第2の閾値電圧Vref_Rに対応するデジタル値を出力する。第1の閾値電圧Vref_T及び第2の閾値電圧Vref_Rは、例えば、固定値でもよく、外部の装置、あるいは、プログラム上で変更可能な値であってもよい。そして、パルス生成回路14は、帰還電圧Vfb、第1の閾値電圧Vref_T、及び、第2の閾値電圧Vref_Rの大小関係に基づきワンショットパルス信号のオン期間状態とオフ期間状態とを切り替える。
【0029】
第1のコンパレータ16は、反転入力端子に帰還電圧Vfbが与えられ、正転入力端子に第1の閾値電圧Vref_Tが与えられる。第1のデジタルアナログ変換回路15は、パルス生成回路14から与えられ得る指示値に基づき第1の閾値電圧Vref_Tを生成する。第2のデジタルアナログ変換回路17は、パルス生成回路14から与えられ得る指示値に基づき第2の閾値電圧Vref_Rを生成する。第2のコンパレータ18は、反転入力端子に第2の閾値電圧Vref_Rが与えられ、正転入力端子に帰還電圧Vfbが与えられる。
【0030】
続いて、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1の動作について説明する。そこで、図2に実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1の動作を説明するフローチャートを示す。この処理は、主にパルス生成回路14で行われる処理である。またパルス生成回路14で行われる処理は、ハードウェア的に実現されても良く、パルス生成回路14で実行されるプログラム(例えば、ソフトウェア)により実現されるものとする。図2に示すように、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、まず、初期化処理として延長パルス数を0にリセットする(ステップS1)。
【0031】
続いて、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、第1のコンパレータ16の出力信号がハイレベルとなるまで第1のコンパレータ16の出力信号を監視する(ステップS2)。第1のコンパレータ16の出力信号は、帰還電圧Vfbが第1の閾値電圧Vref_Tを下回ったことに応じてロウレベルからハイレベルに切り替わる。そして、ステップS2において、第1のコンパレータ16の出力信号がハイレベルに切り替わると、パルス生成回路14は、ワンショットパルス信号をオフ期間状態からオン期間状態に切り替える(ステップS3)。オン期間状態の継続期間がワンショットパルスのハイ期間の長さの初期設定値となる規定値を超えるまでワンショットパルス信号のオン期間状態を維持する(ステップS4)。そして、ステップS4でオン期間状態の継続時間が規定値を超えたと判断された場合、帰還電圧Vfbと第1の閾値電圧Vref_Tとの大小比較を行う(ステップS5)。
【0032】
第1のコンパレータ16において帰還電圧Vfbが第1の閾値電圧Vref_T以上の大きさであると判断された場合、第1のコンパレータ16の出力信号はロウレベルとなる。そして、パルス生成回路14は、第1のコンパレータ16の出力信号がロウレベルであると判断した場合、ワンショットパルス信号をオン期間状態からオフ期間状態に切り替えた後に、ステップS1の延長パルス数の初期化処理に処理ルーチンを戻す(ステップS10)。なお、ステップS10のオン期間状態からオフ期間状態への切り替え時には、デッドタイムが挿入される。
【0033】
一方、ステップS5において、第1のコンパレータ16の出力信号がハイレベルであると判断された場合、パルス生成回路14は、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する(ステップS6)。また、パルス生成回路14は、ワンショットパルス信号を延長したことに応じて延長パルス数のカウント値を増加させる(ステップS7)。その後、パルス生成回路14は、延長パルス数が上限値を超えたか否かを判断する(ステップS8)。そして、ステップS8において、延長パルス数が上限値に達していた場合、パルス生成回路14は、上位システムにエラーが発生したことを通知するとともに、ワンショットパルス信号をオフ期間状態に固定して直流電圧変換回路1の動作を停止させる(ステップS9)。
【0034】
一方、ステップS8において、延長パルス数が上限値に達していない場合、第2のコンパレータ18において、帰還電圧Vfbが第2の閾値電圧Vref_Rを超えたか否かを判断する(ステップS11)。このステップS11において、第2のコンパレータ18の出力電圧がロウレベルであった場合、パルス生成回路14は、帰還電圧Vfbが第2の閾値電圧よりも低いと判断し、ステップS6~ステップS8の処理を繰り返す。また、このステップS11において、第2のコンパレータ18の出力電圧がハイレベルであった場合、パルス生成回路14は、ワンショットパルス信号をオン期間状態からオフ期間状態に切り替えた後に、ステップS1の延長パルス数の初期化処理に処理ルーチンを戻す(ステップS10)。
【0035】
続いて、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1の動作をタイミングチャートを用いて説明する。ここでは、比較例として、ワンショットパルス信号の延長処理を行わない(つまり、PFMモードの制御のみを行う)直流電圧変換回路の動作を挙げて、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1の動作の特徴を説明する。なお、以下の説明では、帰還電圧Vfbと第1の閾値電圧Vref_T及び第2の閾値電圧Vref_Rとの比較ではなく、出力電圧Voと第1の閾値電圧Vref_T及び第2の閾値電圧Vref_Rとを比較する図を示すが、実際の処理は帰還電圧Vfbと第1の閾値電圧Vref_T及び第2の閾値電圧Vref_Rとの比較で行われるものとする。
【0036】
まず、比較例にかかる直流電圧変換回路の動作について説明する。そこで、図3に比較例にかかる直流電圧変換回路の動作を説明するタイミングチャートを示す。図3に示すように、比較例にかかる直流電圧変換回路では、定常状態では、出力電圧Voの目標電圧に対応する第1の閾値電圧Vref_Tを下回る度にワンショットパルス信号(図3の第1のスイッチングトランジスタQ1のゲートパルス)がオン期間状態となる(タイミングT0、T1、T3、T7)。そして、タイミングT2から出力電流Ioが増加してタイミングT3で出力電圧Voが継続して第1の閾値電圧Vref_Tを下回る期間がワンショットパルス信号の1つのパルス幅の長さを超えると、最小のオフ期間状態を挟んでオン期間状態となるワンショットパルス信号を連続して出力段回路に与えている。この比較例にかかる直流電圧変換回路では、ワンショットパルス信号が最大の周波数で連続して出力されている期間の終わりは、出力電圧Voが第1の閾値電圧Vref_Tを上回るタイミングである(タイミングT6)。そのため、比較例にかかる直流電圧変換回路では、ワンショットパルス信号が最大の周波数で連続して出力されている期間の終了直後に実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1よりも大きな電圧値を有するオーバーシュートが発生する。
【0037】
続いて、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1の動作について説明する。実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長した後の出力電圧Voの上昇度合いに応じて動作が異なるため、これらを2つの動作例に分けて説明する。
【0038】
まず、図4に実施の形態1にかかる直流電圧変換回路の第1の動作例を説明するタイミングチャートを示す。この第1の動作例では、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長した後の出力電圧Voが即座に第1の閾値電圧Vref_T以上となる例である。
【0039】
図4に示すように、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、定常状態では、出力電圧Voの目標電圧に対応する第1の閾値電圧Vref_Tを下回る度にワンショットパルス信号(図4の第1のスイッチングトランジスタQ1のゲートパルス)がオン期間状態となる(タイミングT10、T11、T13、T18)。そして、タイミングT12から出力電流Ioが増加してタイミングT13以降の期間で出力電圧Voが継続して第1の閾値電圧Vref_Tを下回る期間がワンショットパルス信号の1つのパルス幅の長さを超えると、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する(タイミングT14)。より具体的には、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、出力電圧Voが第1の閾値電圧Vref_Tを下回るとワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する。
【0040】
そして、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、オン期間状態が延長された状態のとき出力電圧Voが第2の閾値電圧Vref_Rを上回ると、ワンショットパルス信号をオン期間状態からオフ期間状態に切り替える(タイミングT16)。その後、出力電圧Voが第1の閾値電圧Vref_Tを越えると、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は定常状態の動作に移行する。
【0041】
続いて、図5に実施の形態1にかかる直流電圧変換回路の第2の動作例を説明するタイミングチャートを示す。この第2の動作例では、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長した後の出力電圧Voが即座には第1の閾値電圧Vref_T以上とはならず追加のワンショットパルス信号を出力する例である。
【0042】
図5に示すように、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、定常状態では、出力電圧Voの目標電圧に対応する第1の閾値電圧Vref_Tを下回る度にワンショットパルス信号(図5の第1のスイッチングトランジスタQ1のゲートパルス)がオン期間状態となる(タイミングT20、T21、T23、T28)。そして、タイミングT22から出力電流Ioが増加してタイミングT23以降の期間で出力電圧Voが継続して第1の閾値電圧Vref_Tを下回る期間がワンショットパルス信号の1つのパルス幅の長さを超えると、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する(タイミングT24)。より具体的には、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、出力電圧Voが第1の閾値電圧Vref_Tを下回るとワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する。
【0043】
そして、図5に示す例では、出力電圧Voが第2の閾値電圧Vref_Rを上回ると、ワンショットパルス信号をオン期間状態からオフ期間状態に切り替える(タイミングT26)。しかし、図5に示す例では、即座に出力電圧Voが第1の閾値電圧Vref_Tを越えないため、期間TM1において、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、ワンショットパルス信号を最短の周期でオン期間状態とする。そして、出力電圧Voが第1の閾値電圧Vref_Tを越えると(タイミングT27)、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は定常状態の動作に移行する。
【0044】
実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する期間を出力電圧Voが第1の閾値電圧Vref_Tに達するよりも前のタイミングで終了する。これにより、図4及び図5に示すように、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長した後に生じるオーバーシュートの電圧を比較例にかかる直流電圧変換回路よりも低く抑えられる。
【0045】
上記説明より、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、出力電圧Voが第1の閾値電圧Vref_Tにより判断される電圧レベルよりも大きく低下した場合にワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する。これにより、出力電流Ioが大きく増加する大きな負荷変動に対して高い追従性を実現することができる。例えば、ワンショットパルス信号のオン期間状態の延長を行わないPFMモードでの制御、或いは、PWMモードでの制御では、負荷変動が大きくなった場合でも、必ずオフ期間状態を挟んだ制御を行わなければならず、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1よりも追従性が劣る。
【0046】
また、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、出力電圧Voが、第1の閾値電圧Vref_Tで判断される電圧レベルよりも低い第2の閾値電圧Vref_Rで判断される電圧レベルに達した時点でワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する期間を終了する。これにより、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長した後に生じる出力電圧Voのオーバーシュートを抑制する。
【0047】
また、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、ワンショットパルス信号のオン期間状態の延長期間を終了した後に、出力電圧Voが第1の閾値電圧Vref_Tで判断される電圧レベルを上回らなかった場合、ワンショットパルス信号を最短の周期でオン期間状態とする。これにより、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、ワンショットパルス信号のオン期間状態の延長期間を終了した後に、出力電圧Voの電圧が十分に上昇せずに直流電圧変換回路1がシャットダウン状態となってしまうことを防止することができる。
【0048】
また、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する期間の長さに上限値を設ける。そして、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1では、ワンショットパルス信号のオン期間状態を延長する期間の長さが上限に達した場合、例えば、直流電圧変換回路1の電源供給先である負荷回路に不具合が生じた事態を想定して直流電圧変換回路1をシャットダウンする。これにより、実施の形態1にかかる直流電圧変換回路1は、過電流による第1のスイッチングトランジスタQ1の異常発熱等に起因する不具合を回避することができる。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 直流電圧変換回路
10 駆動回路
11 リップル注入回路
12 RCフィルタ
13 コンバータ制御回路
14 パルス生成回路
15 第1のデジタルアナログ変換回路
16 第1のコンパレータ
17 第2のデジタルアナログ変換回路
18 第2のコンパレータ
Q1 第1のスイッチングトランジスタ
Q2 第2のスイッチングトランジスタ
D1 ダイオード
L1 インダクタ
R1 抵抗
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ
Ci 入力コンデンサ
Co 平滑コンデンサ
Ro1 分圧抵抗
Ro2 分圧抵抗
Pon ONパルス
Poff OFFパルス
Vin 入力端子
Vout 出力端子
Vfb 帰還電圧
RTN 接地端子
Vref_T 第1の閾値電圧
Vref_R 第2の閾値電圧
図1
図2
図3
図4
図5