(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】駆動ユニット及び駆動ユニットの保守方法
(51)【国際特許分類】
B64C 13/40 20060101AFI20231107BHJP
F15B 15/14 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B64C13/40
F15B15/14 340A
(21)【出願番号】P 2019214411
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】田中 寿明
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189818(JP,A)
【文献】特開2014-129843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/40
F15B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結される出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と、
前記シリンダ部の他端側に配置されるアタッチメント部と、
一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されるリアクションリンク部と、
前記シリンダ部と前記アタッチメント部とを結合及び分離する着脱部とを備え
、
前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の外部から電気配線が接続される第1電気コネクタ部を備え、
前記アクチュエータ部は、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第1電気コネクタ部に接続されるアクチュエータ側電気コネクタ部を備えた
駆動ユニット。
【請求項2】
前記第1電気コネクタ部及び前記アクチュエータ側電気コネクタ部は、前記シリンダ部の軸線方向に並んでいる
請求項
1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記シリンダ部の他端部及び前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部の一方には、他方に向けて突出する凸部が設けられ、
前記シリンダ部の他端部及び前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部の他方には、前記凸部が嵌る凹部が設けられ、
前記凸部の突出先端側の端面及び前記凹部の底の一方には、前記第1電気コネクタ部に接続されている第2電気コネクタ部が配置され、
前記凸部の突出先端側の端面及び前記凹部の底の他方には、前記アクチュエータ側電気コネクタ部が配置されている
請求項
1又は
2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記凸部は、前記シリンダ部の他端部に設けられた位置検出器である
請求項
3に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記アクチュエータ部は、前記シリンダ部と一体に設けられているとともに内部に流体回路が区画されたマニホールド部を備え、
前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の内部に区画されている流路の一端部に配置されているとともに当該アタッチメント部の外部から流体配管が接続される第1流体コネクタ部と、前記流路の他端部に配置されている第2流体コネクタ部とを備え、
前記アクチュエータ部は、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第2流体コネクタ部に接続されるアクチュエータ側流体コネクタ部を備え、且つ、当該アクチュエータ部には前記アクチュエータ側流体コネクタ部と前記流体回路とを接続する通路が区画されている
請求項1~
4のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結される出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と、
前記シリンダ部の他端側に配置されるアタッチメント部と、
一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されるリアクションリンク部と、
前記シリンダ部と前記アタッチメント部とを結合及び分離する着脱部とを備え
、
前記アクチュエータ部は、前記シリンダ部と一体に設けられているとともに内部に流体回路が区画されたマニホールド部を備え、
前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の内部に区画されている流路の一端部に配置されているとともに当該アタッチメント部の外部から流体配管が接続される第1流体コネクタ部と、前記流路の他端部に配置されている第2流体コネクタ部とを備え、
前記アクチュエータ部は、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第2流体コネクタ部に接続されるアクチュエータ側流体コネクタ部を備え、且つ、当該アクチュエータ部には前記アクチュエータ側流体コネクタ部と前記流体回路とを接続する通路が区画されている
駆動ユニット。
【請求項7】
前記第2流体コネクタ部は内部に流路が区画されており、前記第2流体コネクタ部の流路には、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合された状態で前記第2流体コネクタ部の流路を開放し、前記アタッチメント部が前記シリンダ部から分離された状態で前記第2流体コネクタ部の流路を閉鎖するアタッチメント用切替弁部が設けられ、
前記アクチュエータ側流体コネクタ部は内部に流路が区画されており、前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路には、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合された状態で前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路を開放し、前記アタッチメント部が前記シリンダ部から分離された状態で前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路を閉鎖するアクチュエータ用切替弁部が設けられている
請求項
5又は6に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記アタッチメント部の外面には、一対の円筒状の突起部があり、
一対の前記突起部は、前記シリンダ部の軸線を挟んで互いに反対側に位置しており、
前記リアクションリンク部は、一対の脚部を有し、一方の前記脚部が一方の前記突起部を軸として揺動し、他方の前記脚部が他方の前記突起部を軸として揺動し、
前記突起部の先端側の端面に、前記第1流体コネクタ部が配置されており、
前記円筒状の突起部の内部には、前記流路の一部が区画されている
請求項
5~7のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記着脱部は、
前記シリンダ部の他端部に設けられて前記シリンダ部の径方向外側に張り出すフランジ部と、
前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部に設けられて前記シリンダ部の径方向外側に張り出すフランジ部と、
前記シリンダ部の前記フランジ部と前記アタッチメント部の前記フランジ部とを結合及び分離するボルトとを備えた
請求項1
~8のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
前記着脱部は、
前記シリンダ部の他端部及び前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部の一方に設けられた筒部と、
前記シリンダ部の他端部及び前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部の他方に設けられて前記筒部に嵌る挿入部とを備えた
請求項1
~8のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項11】
シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結される出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と、
前記シリンダ部の他端側に配置されるアタッチメント部と、
一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されるリアクションリンク部と、
前記シリンダ部と前記アタッチメント部とを結合及び分離する着脱部とを備え、
前記着脱部は、
前記シリンダ部の他端部に設けられて前記シリンダ部の径方向外側に張り出すフランジ部と、
前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部に設けられて前記シリンダ部の径方向外側に張り出すフランジ部と、
前記シリンダ部の前記フランジ部と前記アタッチメント部の前記フランジ部とを結合及び分離するボルトとを備え、
前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の内部に区画されている流路の一端部に配置されているとともに当該アタッチメント部の外部から流体配管が接続される第1流体コネクタ部と、前記流路の他端部に配置されている第2流体コネクタ部とを備え、
前記アクチュエータ部は、前記シリンダ部と一体に設けられているとともに内部に流体回路が区画されたマニホールド部と、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第2流体コネクタ部に接続されるアクチュエータ側流体コネクタ部とを備え、且つ、当該アクチュエータ部には前記アクチュエータ側流体コネクタ部と前記流体回路とを接続する通路が区画されており、
更に、
前記第2流体コネクタ部は内部に流路が区画されており、前記第2流体コネクタ部の流路には、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合された状態で前記第2流体コネクタ部の流路を開放し、前記アタッチメント部が前記シリンダ部から分離された状態で前記第2流体コネクタ部の流路を閉鎖するアタッチメント用切替弁部を備え、
前記アクチュエータ側流体コネクタ部は内部に流路が区画されており、前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路には、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合された状態で前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路を開放し、前記アタッチメント部が前記シリンダ部から分離された状態で前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路を閉鎖するアクチュエータ用切替弁部を備える
駆動ユニット。
【請求項12】
シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結されている出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と前記シリンダ部の他端側で前記シリンダ部に結合されているアタッチメント部とを分離する分離ステップと、
一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されているリアクションリンク部が前記可動部に連結された状態で、前記出力ロッド部と前記可動部との連結を解除するアクチュエータ取り外しステップとを有
し、
前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の外部から電気配線が接続される第1電気コネクタ部を備え、
前記アクチュエータ部は、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第1電気コネクタ部に接続されるアクチュエータ側電気コネクタ部を備えた
駆動ユニットの保守方法。
【請求項13】
シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結されている出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と前記シリンダ部の他端側で前記シリンダ部に結合されているアタッチメント部とを分離する分離ステップと、
一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されているリアクションリンク部が前記可動部に連結された状態で、前記出力ロッド部と前記可動部との連結を解除するアクチュエータ取り外しステップとを有
し、
前記アクチュエータ部は、前記シリンダ部と一体に設けられているとともに内部に流体回路が区画されたマニホールド部を備え、
前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の内部に区画されている流路の一端部に配置されているとともに当該アタッチメント部の外部から流体配管が接続される第1流体コネクタ部と、前記流路の他端部に配置されている第2流体コネクタ部とを備え、
前記アクチュエータ部は、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第2流体コネクタ部に接続されるアクチュエータ側流体コネクタ部を備え、且つ、当該アクチュエータ部には前記アクチュエータ側流体コネクタ部と前記流体回路とを接続する通路が区画されている
駆動ユニットの保守方法。
【請求項14】
シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結されている出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と前記シリンダ部の他端側で前記シリンダ部に結合されているアタッチメント部とを分離する分離ステップと、
前記出力ロッド部が前記可動部に連結された状態で、一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されているリアクションリンク部の前記一端部と前記可動部との連結を解除するリアクションリンク取り外しステップとを有
し、
前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の外部から電気配線が接続される第1電気コネクタ部を備え、
前記アクチュエータ部は、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第1電気コネクタ部に接続されるアクチュエータ側電気コネクタ部を備えた
駆動ユニットの保守方法。
【請求項15】
シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結されている出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と前記シリンダ部の他端側で前記シリンダ部に結合されているアタッチメント部とを分離する分離ステップと、
前記出力ロッド部が前記可動部に連結された状態で、一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されているリアクションリンク部の前記一端部と前記可動部との連結を解除するリアクションリンク取り外しステップとを有
し、
前記アクチュエータ部は、前記シリンダ部と一体に設けられているとともに内部に流体回路が区画されたマニホールド部を備え、
前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の内部に区画されている流路の一端部に配置されているとともに当該アタッチメント部の外部から流体配管が接続される第1流体コネクタ部と、前記流路の他端部に配置されている第2流体コネクタ部とを備え、
前記アクチュエータ部は、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第2流体コネクタ部に接続されるアクチュエータ側流体コネクタ部を備え、且つ、当該アクチュエータ部には前記アクチュエータ側流体コネクタ部と前記流体回路とを接続する通路が区画されている
駆動ユニットの保守方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駆動ユニット及び駆動ユニットの保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された航空機には、動翼を駆動するアクチュエータが取り付けられている。アクチュエータにおいては、シリンダの内部に出力ロッドが往復動可能に収容されている。シリンダの一端からは出力ロッドが突出しており、出力ロッドの突出端は、航空機の動翼に取り付けられている。
【0003】
また、シリンダの他端の外周面からは、シリンダの軸線を挟んで一対の支持軸が突出している。一対の支持軸には、二股形状のリアクションリンクの各脚部が揺動自在に取り付けられている。リアクションリンクにおける、支持軸に取り付けられている側と反対側は、機体に対する動翼のヒンジ軸に揺動自在に取り付けられている。リアクションリンクは、出力ロッドが動作したときにシリンダが動翼から受ける反力を受け止めて、当該反力が機体に直接及ぶことを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術において、保守や修理のためにアクチュエータ及びリアクションリンクを含んだ駆動ユニットを動翼から取り外すことがある。その際、アクチュエータとリアクションリンクとが支持軸を介して互いに連結されていることから、これらアクチュエータ及びリアクションリンクを一体のまま動翼から取り外すことになる。このため、特許文献1の技術では、駆動ユニットの全体に対して修理や点検を行うのではなく、アクチュエータ及びリアクションリンクのいずれか一方についてのみ修理や点検をしたいときに、駆動ユニット全体を動翼から取り外すほかなく、メンテナンス時の作業性が悪い。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、動翼の駆動ユニットについて、メンテナンス時の作業性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための駆動ユニットは、シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結される出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と、前記シリンダ部の他端側に配置されるアタッチメント部と、一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されるリアクションリンク部と、前記シリンダ部と前記アタッチメント部とを結合及び分離する着脱部とを備えている。
【0008】
上記構成では、シリンダ部に対してアタッチメント部を結合及び分離できる。そのため、シリンダ部とアタッチメント部とを分離することで、リアクションリンク部とアクチュエータ部とを切り離すことができる。これにより、リアクションリンク部及びアクチュエータ部のいずれか一方を動翼に取り付けたままの状態で、他方を動翼から取り外すことができる。したがって、修理等に際して、駆動ユニット全体を動翼から取り外すことなく、必要な部分のみを動翼から取り外せばよく、作業性を向上できる。
【0009】
上記駆動ユニットにおいて、前記着脱部は、前記シリンダ部の他端部に設けられて前記シリンダ部の径方向外側に張り出すフランジ部と、前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部に設けられて前記シリンダ部の径方向外側に張り出すフランジ部と、前記シリンダ部の前記フランジ部と前記アタッチメント部の前記フランジ部とを結合及び分離するボルトとを備えていてもよい。
【0010】
上記駆動ユニットにおいて、前記着脱部は、前記シリンダ部の他端部及び前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部の一方に設けられた筒部と、前記シリンダ部の他端部及び前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部の他方に設けられて前記筒部に嵌る挿入部とを備えていてもよい。
【0011】
上記駆動ユニットにおいて、前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の外部から電気配線が接続される第1電気コネクタ部を備え、前記アクチュエータ部は、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第1電気コネクタ部に接続されるアクチュエータ側電気コネクタ部を備えていてもよい。
【0012】
上記駆動ユニットにおいて、前記第1電気コネクタ部及び前記アクチュエータ側電気コネクタ部は、前記シリンダ部の軸線方向に並んでいてもよい。
上記駆動ユニットにおいて、前記シリンダ部の他端部及び前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部の一方には、他方に向けて突出する凸部が設けられ、前記シリンダ部の他端部及び前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部の他方には、前記凸部が嵌る凹部が設けられ、前記凸部の突出先端側の端面及び前記凹部の底の一方には、前記第1電気コネクタ部に接続されている第2電気コネクタ部が配置され、前記凸部の突出先端側の端面及び前記凹部の底の他方には、前記アクチュエータ側電気コネクタ部が配置されていてもよい。
【0013】
上記駆動ユニットにおいて、前記凸部は、前記シリンダ部の他端部に設けられた位置検出器であってもよい。
上記駆動ユニットにおいて、前記アクチュエータ部は、前記シリンダ部と一体に設けられているとともに内部に流体回路が区画されたマニホールド部を備え、前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の内部に区画されている流路の一端部に配置されているとともに当該アタッチメント部の外部から流体配管が接続される第1流体コネクタ部と、前記流路の他端部に配置されている第2流体コネクタ部とを備え、前記アクチュエータ部は、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第2流体コネクタ部に接続されるアクチュエータ側流体コネクタ部を備え、且つ、当該アクチュエータ部には前記アクチュエータ側流体コネクタ部と前記流体回路とを接続する通路が区画されていてもよい。
【0014】
上記駆動ユニットにおいて、前記第2流体コネクタ部は内部に流路が区画されており、前記第2流体コネクタ部の流路には、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合された状態で前記第2流体コネクタ部の流路を開放し、前記アタッチメント部が前記シリンダ部から分離された状態で前記第2流体コネクタ部の流路を閉鎖するアタッチメント用切替弁部が設けられ、前記アクチュエータ側流体コネクタ部は内部に流路が区画されており、前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路には、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合された状態で前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路を開放し、前記アタッチメント部が前記シリンダ部から分離された状態で前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路を閉鎖するアクチュエータ用切替弁部が設けられていてもよい。
【0015】
上記駆動ユニットにおいて、前記アタッチメント部の外面には、一対の円筒状の突起部があり、一対の前記突起部は、前記シリンダ部の軸線を挟んで互いに反対側に位置しており、前記リアクションリンク部は、一対の脚部を有し、一方の前記脚部が一方の前記突起部を軸として揺動し、他方の前記脚部が他方の前記突起部を軸として揺動し、前記突起部の先端側の端面に、前記第1流体コネクタ部が配置されており、前記円筒状の突起部の内部には、前記流路の一部が区画されていてもよい。
【0016】
上記課題を解決するための駆動ユニットは、シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結される出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と、前記シリンダ部の他端側に配置されるアタッチメント部と、一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されるリアクションリンク部と、前記シリンダ部と前記アタッチメント部とを結合及び分離する着脱部とを備え、前記着脱部は、前記シリンダ部の他端部に設けられて前記シリンダ部の径方向外側に張り出すフランジ部と、前記アタッチメント部における前記シリンダ部と対向する側の端部に設けられて前記シリンダ部の径方向外側に張り出すフランジ部と、前記シリンダ部の前記フランジ部と前記アタッチメント部の前記フランジ部とを結合及び分離するボルトとを備え、前記アタッチメント部は、当該アタッチメント部の内部に区画されている流路の一端部に配置されているとともに当該アタッチメント部の外部から流体配管が接続される第1流体コネクタ部と、前記流路の他端部に配置されている第2流体コネクタ部とを備え、前記アクチュエータは、前記シリンダ部と一体に設けられているとともに内部に流体回路が区画されたマニホールド部と、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合されることで前記アタッチメント部の前記第2流体コネクタ部に接続されるアクチュエータ側流体コネクタ部とを備え、且つ、当該アクチュエータ部には前記アクチュエータ側流体コネクタ部と前記流体回路とを接続する通路が区画されており、更に、前記第2流体コネクタ部は内部に流路が区画されており、前記第2流体コネクタ部の流路には、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合された状態で前記第2流体コネクタ部の流路を開放し、前記アタッチメント部が前記シリンダ部から分離された状態で前記第2流体コネクタ部の流路を閉鎖するアタッチメント用切替弁部を備え、前記アクチュエータ側流体コネクタ部は内部に流路が区画されており、前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路には、前記アタッチメント部が前記シリンダ部に結合された状態で前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路を開放し、前記アタッチメント部が前記シリンダ部から分離された状態で前記アクチュエータ側流体コネクタ部の流路を閉鎖するアクチュエータ用切替弁部を備える。
【0017】
上記構成では、シリンダ部に対してアタッチメント部を結合及び分離できる。そのため、シリンダ部とアタッチメント部とを分離することで、リアクションリンク部とアクチュエータ部とを切り離すことができる。これにより、リアクションリンク部及びアクチュエータ部の一方を航空機の可動部に取り付けたままの状態で、リアクションリンク部及びアクチュエータ部の他方を可動部から取り外すことができる。その上、上記構成では、シリンダ部とアタッチメント部とを結合するときには、シリンダ部のフランジ部とアタッチメント部のフランジ部とを突き合わせてボルトをねじ込めばよく、またシリンダ部とアタッチメント部とを分離するときはボルトを抜けばよい。そのため、シリンダ部とアタッチメント部との結合及び分離が簡単である。また、上記構成では、駆動ユニットの外部の流体配管がアタッチメント部を介してアクチュエータ部に接続される。そのため、シリンダ部とアタッチメント部とを分離することで、流体配管を付随させることなくアクチュエータ部のみを航空機の可動部から取り外すことができる。したがって、アクチュエータ部の取り外し作業がし易くなり、流体配管を外す作業も不要である。また、上記構成によれば、シリンダ部とアタッチメント部とを分離した際、アクチュエータ用切替弁部によってアクチュエータ側流体コネクタ部の流路が閉鎖され、アタッチメント用切替弁部によって第2流体コネクタ部の流路が閉鎖される。そのため、シリンダ部とアタッチメント部とを分離した際に流体が漏れ出すことを防止できる。
【0018】
上記課題を解決するための駆動ユニットの保守方法は、シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結されている出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と前記シリンダ部の他端側で前記シリンダ部に結合されているアタッチメント部とを分離する分離ステップと、一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されているリアクションリンク部が前記可動部に連結された状態で、前記出力ロッド部と前記可動部との連結を解除するアクチュエータ取り外しステップとを有する。
【0019】
上記方法では、リアクションリンク部を航空機の可動部に取り付けたままの状態で、アクチュエータ部を可動部から取り外すことができる。したがって、アクチュエータ部の修理等に際して、リアクションリンク部とアタッチメント部を可動部から取り外す必要がなく、作業性を向上できる。
【0020】
上記課題を解決するための駆動ユニットの保守方法は、シリンダ部の一端から航空機の可動部に連結されている出力ロッド部が突出しているアクチュエータ部と前記シリンダ部の他端側で前記シリンダ部に結合されているアタッチメント部とを分離する分離ステップと、前記出力ロッド部が前記可動部に連結された状態で、一端部が前記可動部に連結され他端部が前記アタッチメント部に連結されているリアクションリンク部の前記一端部と前記可動部との連結を解除するリアクションリンク取り外しステップとを有する。
【0021】
上記方法では、アクチュエータ部を航空機の可動部に取り付けたままの状態で、リアクションリンク部を可動部から取り外すことができる。したがって、リアクションリンク部の修理等に際して、アクチュエータ部を可動部から取り外す必要がなく、作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、動翼の駆動ユニットについて、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】駆動ユニットが主翼及びフラップに取り付けられた状態を示す概略図。
【
図5】アタッチメント部を
図4とは反対側から視た斜視図。
【
図6】アクチュエータ部とアタッチメント部との嵌合構造に係る変更例を示す概略側面図。
【
図7】アクチュエータ部において位置検出器を省略した場合の変更例を示す斜視図。
【
図8】アタッチメント部において嵌合凹部を省略した場合の変更例を示す斜視図。
【
図9】アクチュエータ部及びアタッチメント部における電気系統の配置の変更例を示す概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、駆動ユニットの一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、航空機の主翼10には、回転軸14を介してフラップ12が連結されている。フラップ12は、航空機の可動部である。フラップ12の後端は、主翼10の後端縁よりも後方にまで至っている。主翼10及びフラップ12には、フラップ12を駆動する駆動ユニット20が取り付けられている。
【0025】
駆動ユニット20は、電気油圧式のアクチュエータ部30(EHA:Electro-Hydrostatic Actuator)を備えている。
図2及び
図3に示すように、シリンダ部40の本体(以下、シリンダ本体部42と称する。)は、円筒状になっている。シリンダ本体部42の円筒の両端は塞がっている。シリンダ本体部42における中心軸線J方向A側の端面は、航空機の後方を指向している。
【0026】
図3に示すように、シリンダ本体部42における外周壁の壁内には、作動油が流通する接続通路45が区画されている。接続通路45は、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面で開口されているとともに当該端面から中心軸線J方向A側へ延びている。接続通路45は、シリンダ本体部42における中心軸線J方向の途中の位置で、シリンダ本体部42の外周面に開口されている。なお、接続通路45は、シリンダ本体部42の中心軸線Jを挟んだ両側に1つずつ設けられている。
【0027】
接続通路45における、シリンダ本体部42の中心軸線J方向B側の端面の開口近傍には、アクチュエータ側流体コネクタ部46が取り付けられている。アクチュエータ側流体コネクタ部46は、略円筒状になっている。アクチュエータ側流体コネクタ部46の外径は、接続通路45の径と一致している。アクチュエータ側流体コネクタ部46は、その中心軸線が接続通路の中心軸線と一致した状態で接続通路45に嵌め込まれている。アクチュエータ側流体コネクタ部46の内周面で区画される流路には、アクチュエータ用切替弁部47が設けられている。アクチュエータ用切替弁部47は、後述するアタッチメント部80がシリンダ部40に結合された状態で当該アクチュエータ側流体コネクタ部46の流路を開放し、アタッチメント部80がシリンダ部40から分離された状態でアクチュエータ側流体コネクタ部46の流路を閉鎖する。なお、
図3では、便宜上、アクチュエータ用切替弁部47を四角で表している。
【0028】
シリンダ本体部42の外周面からは、径方向外側に向けてフランジ部44が張り出している。フランジ部44は、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端部に位置している。フランジ部44は、シリンダ本体部42の外周面の周方向全域に亘って設けられていて、平面視で円環状になっている。フランジ部44においては、シリンダ本体部42の中心軸線J方向に複数のボルト挿通孔44Hが貫通している。ボルト挿通孔44Hは、シリンダ本体部42の周方向に等間隔で6個設けられている。なお、
図3では、フランジ部44とシリンダ本体部42との境界Z1を仮想的に一点鎖線で示している。
【0029】
シリンダ本体部42の外周面には、全体としては直方体状のマニホールド部50が固定されている。マニホールド部50の内部には、油圧回路52が区画されている。なお、
図3では、油圧回路52を便宜上、直方体状に表している。油圧回路52は、流路を切り替えるソレノイドバルブ等を含んでいる。マニホールド部50においては、油圧回路52からマニホールド部50の外部へと至る接続通路54が区画されている。接続通路54は、シリンダ本体部42の外周面における接続通路45の開口へと至っている。すなわち、接続通路54は、シリンダ本体部42の接続通路45と連通されている。接続通路54は、シリンダ本体部42の接続通路45毎に設けられている。なお、
図3では、一方の接続通路54のみを示している。
【0030】
図示は省略するが、マニホールド部50の外壁及びシリンダ本体部42の外周壁においては、マニホールド部50の油圧回路52とシリンダ本体部42の内部空間とを連通するポート孔が複数設けられている。これらのポート孔を通じて、マニホールド部50の油圧回路52とシリンダ本体部42の内部空間との間で作動油が給排される。
【0031】
シリンダ本体部42の内部には、作動油の油圧に応じて動作する出力ロッド部60が収容されている。出力ロッド部60の本体(以下、ロッド本体部62と称する。)は、棒状になっている。ロッド本体部62は、シリンダ本体部42の中心軸線J上に位置している。ロッド本体部62は、シリンダ本体部42における中心軸線J方向A側の端面から突出している。ロッド本体部62における、シリンダ本体部42から突出した先端には、板状のロッドエンド部64が結合されている。ロッドエンド部64の厚み方向は、シリンダ本体部42の中心軸線J方向と直交している。ロッドエンド部64には、厚み方向にロッド孔64Hが貫通している。
【0032】
図2に示すように、ロッドエンド部64は、フラップ12の翼桁15から突出する一対の板状の支持片16の間に位置している。支持片16には、厚み方向にロッド連結孔16H1が貫通している。ロッド連結孔16H1の中心軸線は、フラップ12の回転軸14の中心軸線と平行になっている。そして、一対の支持片16の双方のロッド連結孔16H1とロッドエンド部64のロッド孔64Hに対してロッド連結ボルト17が挿通されている。ロッド連結ボルト17は、一対の支持片16に締結されている。そして、ロッドエンド部64は、ロッド連結ボルト17を中心として回転可能になっている。すなわち、ロッドエンド部64は、ロッド連結ボルト17を軸として揺動する。このように、出力ロッド部60は、ロッド連結ボルト17を介して、フラップ12に対して揺動自在に連結されている。なお、
図2では、ロッド連結ボルト17を簡略化して円柱状に表している。
【0033】
図3に示すように、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面からは、シリンダ本体部42に対する出力ロッド部60の相対変位を検出する位置検出器70が突出している。位置検出器70は、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面に設けられた凸部となっている。位置検出器70は、円柱状になっている。位置検出器70は、その中心軸線Jがシリンダ本体部42の中心軸線Jと一致した状態でシリンダ本体部42に固定されている。
【0034】
位置検出器70における、突出先端側の端面には、アクチュエータ側電気コネクタ部75が取り付けられている。アクチュエータ側電気コネクタ部75は、全体としては円筒状になっている。アクチュエータ側電気コネクタ部75は、その中心軸線Jが位置検出器70の中心軸線Jと一致した状態で位置検出器70の端面に固定されている。アクチュエータ側電気コネクタ部75は、位置検出器70の内部の配線に接続されている。図示は省略するが、位置検出器70の内部の配線の一部は、マニホールド部50にも繋がっていて、油圧回路52のソレノイドバルブ等への信号を伝達する。なお、この実施形態では、シリンダ部40、マニホールド部50、出力ロッド部60、及び位置検出器70によっては、アクチュエータ部30が構成されている。
【0035】
図2に示すように、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面には、アタッチメント部80が結合されている。アタッチメント部80は、シリンダ本体部42に対して結合及び分離が可能である。
図4及び
図5に示すように、アタッチメント部80の本体(以下、アタッチメント本体部82と称する。)は、円柱状になっている。アタッチメント本体部82の径は、シリンダ本体部42の円筒の外径と略同じになっている。アタッチメント本体部82における中心軸線K方向A側の端面からは、嵌合凹部85が中心軸線K方向B側へ窪んでいる。嵌合凹部85は、円柱状になっている。嵌合凹部85の中心軸線Kは、アタッチメント本体部82の中心軸線Kと一致している。嵌合凹部85の内径は、位置検出器70の外径と同じになっている。また、嵌合凹部85における、アタッチメント本体部82の中心軸線K方向の長さは、位置検出器70における、シリンダ本体部42の中心軸線J方向の長さと同じになっている。
【0036】
上記した嵌合凹部85の底面からは、アタッチメント本体部82における中心軸線K方向B側の端面へと至る収容孔86が貫通している。収容孔86の中心軸線Kは、アタッチメント本体部82の中心軸線Kと一致している。
【0037】
嵌合凹部85及び収容孔86を含んだアタッチメント本体部82の中心軸線K上には、アタッチメント部80の電気系統が配置されている。具体的には、アタッチメント本体部82における中心軸線K方向B側の端面には、第1電気コネクタ部90が取り付けられている。第1電気コネクタ部90は、全体としては円筒状になっている。第1電気コネクタ部90は、その中心軸線Kがアタッチメント本体部82の中心軸線Kと一致した状態でアタッチメント本体部82の端面に取り付けられている。第1電気コネクタ部90には、アタッチメント本体部82の外部から延びている電気配線100であって駆動ユニット20の外部の電気配線100が接続される。
【0038】
第1電気コネクタ部90には中継配線92が接続されている。中継配線92は収容孔86内に位置している。中継配線92における、第1電気コネクタ部90に接続されている側と反対側は、第2電気コネクタ部94に接続されている。第2電気コネクタ部94は、収容孔86における、嵌合凹部85側の開口近傍に位置している。そして、第2電気コネクタ部94の一部は、嵌合凹部85の底にまで至っている。第2電気コネクタ部94は略円筒状になっている。第2電気コネクタ部94の円筒の外径は、収容孔86の径と一致している。第2電気コネクタ部94は、その中心軸線Kが収容孔86の中心軸線Kと一致した状態で収容孔86に取り付けられている。
【0039】
さて、アタッチメント本体部82の外周面からは、当該アタッチメント本体部82の径方向外側へ向けてフランジ部84が張り出している。なお、アタッチメント本体部82の径方向は、シリンダ本体部42の径方向と一致している。フランジ部84は、アタッチメント本体部82における中心軸線K方向A側の端部に位置している。フランジ部84は、アタッチメント本体部82の全周に亘って設けられていて、平面視で円環状になっている。フランジ部84の外径は、シリンダ部40のフランジ部44の外径と一致している。なお、
図5では、フランジ部84とアタッチメント本体部82との境界Z2を仮想的に一点鎖線で示している。
【0040】
図4に示すように、アタッチメント部80のフランジ部84における、アタッチメント本体部82の中心軸線K方向B側の端面からは、複数のフランジ凹部84Dが中心軸線K方向A側へ窪んでいる。この実施形態では、フランジ凹部84Dは、フランジ部84の径方向外側にも開放している。フランジ凹部84Dは、アタッチメント本体部82の周方向に等間隔で6個設けられている。
【0041】
図4及び
図5に示すように、アタッチメント部80のフランジ部84には、ボルト挿通孔84Hが貫通している。ボルト挿通孔84Hは、フランジ凹部84Dの底面から、フランジ部84おけるアタッチメント本体部82の中心軸線K方向A側の端面に至っている。ボルト挿通孔84Hは、アタッチメント本体部82の中心軸線K方向と平行に延びている。ボルト挿通孔84Hは、フランジ凹部84D毎に設けられている。隣り合うボルト挿通孔84Hの間隔は、シリンダ部40における隣り合うボルト挿通孔44Hの間隔と同じになっている。
【0042】
フランジ部84の外周面からは、一対のトラニオン88がアタッチメント本体部82の径方向外側へ突出している。トラニオン88は、円筒状の突起部である。一対のトラニオン88は、アタッチメント本体部82の中心軸線Kを挟んで互いに反対側に位置している。また、これらトラニオン88は、隣り合うフランジ凹部84Dの間に位置している。トラニオン88の中心軸線は、アタッチメント本体部82の径方向に沿っている。
【0043】
アタッチメント部80においては、トラニオン88からアタッチメント本体部82へと至る貫通孔89が貫通している。この貫通孔89の内面は、作動油の流路を区画する。貫通孔89の一部は、トラニオン88における内周面で区画されている。貫通孔89は、トラニオン88を貫通してアタッチメント本体部82の内部にまで至っている。貫通孔89は、アタッチメント本体部82の内部においてはアタッチメント本体部82の中心軸線K方向に屈曲している。そして、貫通孔89は、アタッチメント本体部82における中心軸線K方向A側の端面にまで至っている。貫通孔89は、トラニオン88毎に設けられている。すなわち、アタッチメント部80においては、アタッチメント本体部82の中心軸線Kを挟んだ両側に1つずつ貫通孔89が設けられている。
【0044】
トラニオン88における突出先端側の端面には、第1流体コネクタ部96が取り付けられている。第1流体コネクタ部96は、全体としては円筒状になっている。第1流体コネクタ部96は、その中心軸線がトラニオン88の中心軸線と一致した状態でトラニオン88の端面に取り付けられている。第1流体コネクタ部96の内周面は、流路を区画している。この流路は、上記貫通孔89に連通している。第1流体コネクタ部96には、アタッチメント本体部82の外部から延びていて作動油が流通する流体配管102であって駆動ユニット20の外部の流体配管102が接続されている。
【0045】
第1流体コネクタ部96の内周面で区画される流路には、第1流体コネクタ用切替弁部97が設けられている。第1流体コネクタ用切替弁部97は、流体配管102が第1流体コネクタ部96に接続された状態で第1流体コネクタ部96の流路を開放し、流体配管102が第1流体コネクタ部96から接続解除された状態で第1流体コネクタ部96の流路を閉鎖する。なお、
図4及び
図5では、便宜上、第1流体コネクタ用切替弁部97を四角で表している。
【0046】
また、貫通孔89における、第1流体コネクタ部96とは反対側の開口、すなわちアタッチメント本体部82における中心軸線K方向A側の端面の開口には、第2流体コネクタ部98が取り付けられている。第2流体コネクタ部98は略円筒状なっている。第2流体コネクタ部98の円筒の外径は、貫通孔89の径と一致している。第2流体コネクタ部98は、その中心軸線が貫通孔89の中心軸線と一致した状態で貫通孔89に嵌め込まれている。第2流体コネクタ部98の内周面で区画される流路には、アタッチメント用切替弁部99が設けられている。アタッチメント用切替弁部99は、アタッチメント部80がシリンダ部40に結合された状態で第2流体コネクタ部98の流路を開放し、アタッチメント部80がシリンダ部40から分離された状態で第2流体コネクタ部98の流路を閉鎖する。
【0047】
図2に示すように、アタッチメント部80がシリンダ部40に結合された状態では、シリンダ本体部42の中心軸線Jとアタッチメント本体部82の中心軸線Kとが一致した状態で、アタッチメント本体部82における中心軸線K方向A側の端面と、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面とが突き合わされている。それとともに、アタッチメント部80のフランジ部84と、シリンダ部40のフランジ部44とが突き合わされている。その状態で、シリンダ部40のフランジ部44に設けられたボルト挿通孔44Hと、アタッチメント部80のフランジ部84に設けられたボルト挿通孔84Hとに締結ボルトB1が挿通されている。この締結ボルトB1によって、アタッチメント部80のフランジ部84とシリンダ部40のフランジ部44とが結合されている。シリンダ部40のボルト挿通孔44Hと、アタッチメント部80のボルト挿通孔84Hとの数に応じて、アタッチメント部80のフランジ部84とシリンダ部40のフランジ部44は計6箇所で締結されている。締結ボルトB1、シリンダ部40のフランジ部44、及びアタッチメント部80のフランジ部84は、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合及び分離する着脱部を構成する。
【0048】
また、アタッチメント部80がシリンダ部40に結合された状態では、位置検出器70(
図3参照)がアタッチメント部80の嵌合凹部85(
図4参照)の内部に位置している。上記のとおり、嵌合凹部85の外寸と位置検出器70の外寸とが一致していることから、位置検出器70は嵌合凹部85に嵌り込んでいる。そして、位置検出器70の突出側端面に位置するアクチュエータ側電気コネクタ部75は、嵌合凹部85の底に位置する第2電気コネクタ部94に接続されている。アクチュエータ側電気コネクタ部75と第2電気コネクタ部94が接続されている結果として、アタッチメント本体部82の外部から延びている電気配線100は、第1電気コネクタ部90、中継配線92、第2電気コネクタ部94、及びアクチュエータ側電気コネクタ部75を介して、アクチュエータ部30の配線に接続されている。
【0049】
ここで、
図4に示すように、第1電気コネクタ部90及び第2電気コネクタ部94のそれぞれの中心軸線Kは、アタッチメント本体部82の中心軸線Kと一致している。また、
図3に示すように、アクチュエータ側電気コネクタ部75の中心軸線Jは、シリンダ本体部42の中心軸線Jと一致している。そして、
図2に示すように、アタッチメント本体部82の中心軸線Kとシリンダ本体部42の中心軸線Jとが一致している。つまり、第1電気コネクタ部90、第2電気コネクタ部94、及びアクチュエータ側電気コネクタ部75は、シリンダ本体部42の中心軸線J上に同軸で並んでいる。
【0050】
また、アタッチメント部80がシリンダ部40に結合された状態では、アタッチメント部80における2つの第2流体コネクタ部98が、シリンダ部40における2つのアクチュエータ側流体コネクタ部46にそれぞれ接続されている。この結果として、アタッチメント本体部82の外部から延びている流体配管102は、第1流体コネクタ部96、アタッチメント部80の貫通孔89、第2流体コネクタ部98、アクチュエータ側流体コネクタ部46、シリンダ部40の接続通路45、及びマニホールド部50の接続通路54を介して、マニホールド部50の油圧回路52に接続されている。
【0051】
なお、アタッチメント部80においては、アタッチメント本体部82から板状の連結片83が突出している。連結片83は、主翼10の翼桁から延びている連結部材11に着脱可能に連結されている。
【0052】
図3に示すように、アタッチメント部80には、出力ロッド部60が動作したときにシリンダ部40に作用する反力を受け止めるリアクションリンク部120が取り付けられている。リアクションリンク部120は、上記の反力を受け止めることで、当該反力が主翼10に直接及ぶことを抑制する。リアクションリンク部120は、互いに平行に配置される一対の直線状の脚部122と、一対の脚部122の一端同士を接続する接続部124とを有していて、全体としてはU字状になっている。
【0053】
それぞれの脚部122の先端部においては、脚孔122Hが貫通している。脚孔122Hは、一方の脚部122と他方の脚部122とで同軸になるように設けられている。脚孔122Hの径は、トラニオン88の径と一致している。なお、一方の脚部122は、当該脚部122の延設方向の途中の位置であって脚孔122Hよりも基端側において、先端側部分122Pと基端側部分122Qとに2分されている。先端側部分122Pと基端側部分122Qとが2分されることにより、アタッチメント部80に対するリアクションリンク部120の着脱が可能になる。これら先端側部分122Pと基端側部分122Qとはリンク用ボルトB2で締結されて一体になっている。
【0054】
接続部124からは、脚部122とは反対側に向けてリンクエンド部125が突出している。リンクエンド125部においては、リンクエンド孔125Hが貫通している。リンクエンド孔125Hの中心軸線は、脚孔122Hの中心軸線と平行になっている。
【0055】
リアクションリンク部120がアタッチメント部80に結合された状態では、リアクションリンク部120における一方の脚部122の脚孔122Hに、アタッチメント部80における一方のトラニオン88が挿通されている。また、他方の脚部122の脚孔122Hに、他方のトラニオン88が挿通されている。この結果として、一対の脚部122は、一対のトラニオン88を中心として回転可能になっている。つまり、一対の脚部122は、一対のトラニオン88を軸として揺動する。このように、一対の脚部122は、一対のトラニオン88に揺動自在に連結されている。
【0056】
また、リアクションリンク部120におけるリンクエンド部125は、フラップ12の翼桁15における上記一対の板状の支持片16の間に位置している。支持片16には、厚み方向にリンク連結孔16H2が貫通している。リンク連結孔16H2の中心軸線は、フラップ12の回転軸14の中心軸線と一致している。そして、一対の支持片16の双方のリンク連結孔16H2とリンクエンド部125のリンクエンド孔125Hに対してリンク連結ボルト18が挿通されている。リンク連結ボルト18は、一対の支持片16に締結されている。そして、リンクエンド部125は、リンク連結ボルト18を中心として回転可能になっている。すなわち、リンクエンド部125は、リンク連結ボルト18を軸として揺動する。このように、リアクションリンク部120は、リンク連結ボルト18を介して、フラップ12に対して揺動自在に連結されている。なお、
図2及び
図3では、リンク連結ボルト18を簡略化して円柱状に表している。
【0057】
次に、本実施形態の作用について説明する。先ず、アクチュエータ部30の保守方法について説明する。
図3に示すように、この保守方法においては先ず、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合している締結ボルトB1を取り外すことで、シリンダ部40とアタッチメント部80とを分離する。この作業は、分離ステップである。次に、リアクションリンク部120をフラップ12に連結させたまま、ロッド連結ボルト17を取り外すことでロッドエンド部64をフラップ12から取り外す。この作業は、アクチュエータ取り外しステップである。アクチュエータ取り外しステップを行うと、アクチュエータ部30は、他の全ての部材から切り離された状態になり、自在に移動させることができる。アクチュエータ取り外しステップの後、アクチュエータ部30の各種部位の点検や修理を行う。この作業は、アクチュエータ保守ステップである。
【0058】
アクチュエータ部30の点検や修理の後にアクチュエータ部30をフラップ12及びアタッチメント部80に取り付ける場合、先ず、ロッド連結ボルト17によってロッドエンド部64をフラップ12に連結する。この作業は、アクチュエータ取り付けステップである。次に、シリンダ部40とアタッチメント部80とを締結ボルトB1で一体に結合する。この作業は、結合ステップである。結合ステップを行うと、
図2に示すように、アクチュエータ部30は、フラップ12に連結されるとともに、アタッチメント部80を介してリアクションリンク部120にも連結される。
【0059】
次に、リアクションリンク部120及びアタッチメント部80の保守方法について説明する。先ず、電気配線100を第1電気コネクタ部90から取り外すとともに、流体配管102を第1流体コネクタ部96から取り外す。この作業は、配線配管取り外しステップである。次に、上記の分離ステップを行って、シリンダ部40とアタッチメント部80とを分離する。次に、ロッドエンド部64をフラップ12に連結させたまま、リンク連結ボルト18を取り外すことでリアクションリンク部120をフラップ12から取り外す。この作業は、リアクションリンク取り外しステップである。次に、アタッチメント部80の連結片83と主翼10から延びている連結部材11の連結を解除する。この作業は、主翼切り離しステップである。主翼切り離しステップを行うと、リアクションリンク部120及びアタッチメント部80の一体物は、他の全ての部材から切り離された状態になり、自在に移動させることができる。
【0060】
次に、リアクションリンク部120のリンク用ボルトB2の締結を解除する。これによって、リアクションリンク部120における一方の脚部122の先端側部分122Pが、リアクションリンク部120における一方の脚部122の基端側部分122Qから切り離される。そして、一方の脚部122の先端側部分122Pを脚孔122Hの中心軸線においてトラニオン88から離間する方向(図中手前側)に動かすことで、一方の脚部122の先端側部分122Pをトラニオン88から抜き取ることができる。また、リアクションリンク部120における一方の脚部122の先端側部分122P以外の部分を脚孔122Hの中心軸線においてトラニオン88から離間する方向(図中奥側)に動かすことで、リアクションリンク部120における上記先端側部分122P以外の部分をトラニオン88から抜き取ることができる。この作業は、リアクションリンク分解ステップである。リアクションリンク分解ステップを行うと、リアクションリンク部120とアタッチメント部80とは別々に分解された状態になる。リアクションリンク分解ステップの後、リアクションリンク部120及びアタッチメント部80の各種部位の点検や修理を行う。この作業は、リアクションリンク及びアタッチメント保守ステップである。
【0061】
リアクションリンク部120及びアタッチメント部80の点検や保守の後、これらリアクションリンク部120及びアタッチメント部80を元に戻す場合、取り外しのときとは逆の手順を辿る。先ず、リアクションリンク部120の脚孔122Hにトラニオン88を挿通させるとともに、リアクションリンク部120をリンク用ボルトB2で一体にする。この作業は、リアクションリンク組み立てステップである。次に、アタッチメント部80の連結片83と主翼10から延びている連結部材11とを連結する。このステップは、主翼接続ステップである。次に、リンク連結ボルト18によってリアクションリンク部120をフラップ12に連結する。この作業は、リアクションリンク取り付けステップである。次に、シリンダ部40とアタッチメント部80とを締結ボルトB1で一体に結合する上記の結合ステップを行う。そして、流体配管102を第1流体コネクタ部96に接続するとともに電気配線100を第1電気コネクタ部90に接続する。この作業は、配管配線接続ステップである。以上の作業により、リアクションリンク部120及びアタッチメント部80をアクチュエータ部30及びフラップ12に取り付けることができる。
【0062】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)駆動ユニット20においては、当該駆動ユニット20を構成する複数の部品のうち、アクチュエータ部30やリアクションリンク部120といった特定部品についてのみ修理や点検が必要な場合がある。このような場合に駆動ユニット20全体をフラップ12や主翼10から取り外していたのでは、作業性が悪い。上記構成では、リアクションリンク部120が取り付けられているアタッチメント部80と、アクチュエータ部30のシリンダ部40とを結合及び分離できる。そのため、アタッチメント部80とシリンダ部40とを分離することで、アクチュエータ部30と、リアクションリンク部120及びアタッチメント部80の一体物とを切り離すことができる。したがって、リアクションリンク部120及びアタッチメント部80の一体物をフラップ12や主翼10に連結させたままの状態で、アクチュエータ部30だけをフラップ12や主翼10から取り外すことができる。また、アクチュエータ部30をフラップ12や主翼10に連結させたままの状態で、リアクションリンク部120及びアタッチメント部80の一体物をフラップ12や主翼10から取り外すこともできる。このように、上記構成では、駆動ユニット20の修理や点検に際して、駆動ユニット20全体をフラップ12や主翼10から取り外す必要はなく、必要な部品のみをフラップ12や主翼10から取り外すことができ、作業性が向上する。特に、電気的な装置であるアクチュエータ部30は、構造部品であるリアクションリンク部120に比べて機能不全が生じ易くて修理や点検を要する機会が多いため、アクチュエータ部30の保守の観点において上記構成は好適である。
【0063】
(2)駆動ユニット20の外部から延びている電気配線100がアクチュエータ部30に接続されている場合、アクチュエータ部30をフラップ12や主翼10から取り外す際には電気配線100がアクチュエータ部30に付随する。この場合、アクチュエータ部30を取り外す作業をする上で電気配線100が邪魔になることがある。また、前もって電気配線100をアクチュエータ部30から外すことも考えられるが、この場合には電気配線100をアクチュエータ部30から外す分だけ一手間余計にかかる。この点、上記構成では、電気配線100がアタッチメント部80を介してアクチュエータ部30に接続されている。そのため、シリンダ部40とアタッチメント部80とを分離することで、電気配線100を付随させることなく、アクチュエータ部30のみをフラップ12や主翼10から取り外すことができる。したがって、アクチュエータ部30の取り外し作業がし易くなり、アクチュエータ部30の取り外しにあたって電気配線100を外す作業も不要である。
【0064】
(3)駆動ユニット20の外部から延びている流体配管102がアクチュエータ部30に接続されている場合、アクチュエータ部30をフラップ12や主翼10から取り外す際には流体配管102がアクチュエータ部30に付随する。この場合、アクチュエータ部30を取り外す作業をする上で流体配管102が邪魔になることがある。また、前もって流体配管102をアクチュエータ部30から外すことも考えられるが、この場合には流体配管102をアクチュエータ部30から外す分だけ一手間余計にかかる。この点、上記構成では、流体配管102がアタッチメント部80を介してアクチュエータ部30に接続されている。そのため、シリンダ部40とアタッチメント部80とを分離することで、流体配管102を付随させることなくアクチュエータ部30のみをフラップ12や主翼10から取り外すことができる。したがって、アクチュエータ部30の取り外し作業がし易くなり、アクチュエータ部30の取り外しにあたって流体配管102を外す作業も不要である。
【0065】
(4)シリンダ部40とアタッチメント部80とを分離した際、アクチュエータ側流体コネクタ部46に設けられているアクチュエータ用切替弁部47によってアクチュエータ側流体コネクタ部46の流路が閉鎖される。また、アタッチメント部80の第2流体コネクタ部98に設けられているアタッチメント用切替弁部99によって第2流体コネクタ部98の流路が閉鎖される。そのため、シリンダ部40とアタッチメント部80とを分離した際に作動流体が漏れ出すことはない。
【0066】
(5)第1電気コネクタ部90及び第2電気コネクタ部94が互いの中心軸線がずれた位置に配置されている場合、例えば中継配線92を周方向に引き回す等、第1電気コネクタ部90及び第2電気コネクタ部94間を電気的に接続するための中継配線92の引き回し構造が複雑になる。この点、上記構成では、第1電気コネクタ部90及び第2電気コネクタ部94は互いに中心軸線が一致した位置に配置されている。そのため、これら第1電気コネクタ部90及び第2電気コネクタ部94を繋ぐ中継配線92をこれらのコネクタと同軸で真っすぐに配置すればよく、中継配線92の引き回し構造が簡便になる。
【0067】
(6)アタッチメント部80の嵌合凹部85の底に第2電気コネクタ部94が配置されているとともに、この嵌合凹部85に嵌め込まれている位置検出器70の突出先端側の端面にアクチュエータ側電気コネクタ部75が配置されている。ここで、上記のように位置検出器70と嵌合凹部85とが嵌り合う構成とすることで、嵌合凹部85に位置検出器70を嵌める途中で多少位置がずれても、位置検出器70が嵌合凹部85にガイドされながら当該嵌合凹部85に嵌るため、位置検出器70と嵌合凹部85とを確実に嵌め合わせることができる。そして、こうした嵌合凹部85に第2電気コネクタ部94が配置され、位置検出器70にアクチュエータ側電気コネクタ部75が配置されていることで、第2電気コネクタ部94及びアクチュエータ側電気コネクタ部75の接続が確実になる。
【0068】
また、嵌合凹部85に嵌り込む凸部として位置検出器70が利用されている。このように、嵌合凹部85に嵌り込む凸部を位置検出器70が兼ねることで、上記凸部と位置検出器70とを別々に設ける必要がなく、部品点数の削減に寄与する。
【0069】
(7)アタッチメント部80のトラニオン88に、作動油の流路となる貫通孔89を設けている。ここで、トラニオン88は、リアクションリンク部120を支持するための剛性を確保できるように、相応に径が大きくなっている。このような、径が大きくて剛性の高いトラニオン88であれば、作動油が流通可能な程度の貫通孔89を加工しても亀裂等が生じる可能性は低い。
【0070】
また、上記構成では、トラニオン88における突出先端側の端面に、流体配管102を接続するための第1流体コネクタ部96を設けている。ここで、トラニオン88は、リアクションリンク部120の揺動の軸になる。そのため、リアクションリンク部120が揺動した場合でもトラニオン88そのものが動くことはない。したがって、トラニオン88に第1流体コネクタ部96を設ければ、リアクションリンク部120が揺動した場合でも、第1流体コネクタ部96に接続されている流体配管102がリアクションリンク部120とともに揺動することもない。
【0071】
(8)上記構成では、シリンダ部40のフランジ部44とアタッチメント部80のフランジ部84とを締結ボルトB1で結合している。このような、フランジを利用した結合構造であれば、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合するときにはシリンダ部40のフランジ部44とアタッチメント部80のフランジ部84とを突き合せた状態でこれらのフランジ部に対してシリンダ本体部42の中心軸線J方向に締結ボルトB1をねじ込めばよい。また、シリンダ部40とアタッチメント部80とを分離するときには締結ボルトB1を抜けばよい。そのため、シリンダ部40とアタッチメント部80との結合及び分離の作業が簡単である。
【0072】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・アクチュエータ部30の保守方法の手順は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、分離ステップと、アクチュエータ取り外しステップとを入れ替えてもよい。
【0073】
・上記変更例と同様、リアクションリンク部120及びアタッチメント部80の保守方法の手順は、上記実施形態の例に限定されない。
・リアクションリンク部120及びアタッチメント部80の保守方法の作業の一部を省いてもよい。例えば、リアクションリンク部120及びアタッチメント部80を一体のままでこれらの修理や点検をできるのであれば、リアクションリンク組み立てステップは不要である。
【0074】
・シリンダ部40やマニホールド部50といったアクチュエータ部30の構成部品の全体形状は上記実施形態の例に限定されない。例えば、シリンダ本体部42を多角形筒状にしてもよい。また、ボルト挿通孔44Hの数を変更してもよい。
【0075】
・リアクションリンク部120の全体形状は上記実施形態の例に限定されない。リアクションリンク部120は、例えば、全体としてV字状になるように構成してもよい。この場合でも、2つの脚孔122Hが同軸になるように設けられていれば、トラニオン88を介してリアクションリンク部120をアタッチメント部80に揺動可能に連結できる。
【0076】
・アタッチメント部80の全体形状は上記実施形態の例に限定されない。例えば、アタッチメント本体部82が直方体状になっていてもよい。
・位置検出器70の構成は上記実施形態の例に限定されない。ここで、出力ロッド部60を動作させてフラップ12を駆動した場合、出力ロッド部60の動作に伴ってリアクションリンク部120がトラニオン88を中心として回転する。そのため、トラニオン88に対するリアクションリンク部120の相対変位角度を検出することで、出力ロッド部60のシリンダ部40に対する相対変位を把握できる。そこで、トラニオン88の近傍に、リアクションリンク部120の相対変位角度を検出するエンコーダを配置してこのエンコーダを位置検出器として利用してもよい。
【0077】
・位置検出器を上記のように構成する場合、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面からは、位置検出器70に代えて、内部に配線用の収容空間を有する円柱状の収容体を突出させてもよい。そして、この収容体の突出側の先端面にアクチュエータ側電気コネクタ部75を配置してもよい。この場合、収容体が、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端部に設けられる凸部を構成する。そして、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合すると、この収容体がアタッチメント部80の嵌合凹部85に嵌まり込む。そして、アクチュエータ側電気コネクタ部75及び第2電気コネクタ部94が接続される。このように、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端部に設けられる凸部は、位置検出器70に限定されない。
【0078】
・シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面に位置検出器70等の凸部を設け、アタッチメント本体部82の中心軸線K方向A側の端部に上記凸部に嵌る凹部を設けることに代えて、
図6に示すように、アタッチメント本体部82の中心軸線K方向A側の端面に、当該中心軸線K方向A側へ突出するアタッチメント側凸部180を設け、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端部に、アタッチメント側凸部180が嵌るシリンダ側凹部140を設けてもよい。
図6に示す例では、アタッチメント側凸部180は円柱状に構成され、シリンダ側凹部140も円柱状に構成されている。そして、アタッチメント側凸部180の突出先端側の端面に第2電気コネクタ部94が配置され、シリンダ側凹部140の底にアクチュエータ側電気コネクタ部75が配置されている。こうした構成でも、アタッチメント側凸部180とシリンダ側凹部140とが嵌り合うことで、第2電気コネクタ部94及びアクチュエータ側電気コネクタ部75が接続され、アクチュエータ部30の内部の配線76が、アタッチメント本体部82の内部の中継配線92等を介して駆動ユニット20の外部の電気配線100と接続される。
【0079】
・シリンダ本体部42とアタッチメント本体部82とにおける凹凸による嵌合構造を廃止してもよい。例えば、
図7に示すように、アクチュエータ部30においては、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面から位置検出器70を廃止するとともに、シリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面にアクチュエータ側電気コネクタ部75を配置する。また、
図8に示すように、アタッチメント部80においては、嵌合凹部85を廃止するとともに、収容孔86をアタッチメント本体部82における中心軸線K方向A側の端面にまで至らせる。そして、第2電気コネクタ部94をアタッチメント本体部82における中心軸線K方向A側の端面近傍に配置する。こうした構成であれば、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合すると、アクチュエータ側電気コネクタ部75及び第2電気コネクタ部94が接続される。
【0080】
・アクチュエータ側電気コネクタ部75及び第2電気コネクタ部94の配置は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、アクチュエータ側電気コネクタ部75をマニホールド部50に配置し、その上で、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合したときにアクチュエータ側電気コネクタ部75と第2電気コネクタ部94とが接続される構成としてもよい。具体的には、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合したときにマニホールド部50とアタッチメント部80とが互いに面接触する部分を有するようにマニホールド部50及びアタッチメント部80の形状を設計する。
図9に示す例では、マニホールド部50の一部に、シリンダ部40の中心軸線J方向B側に突出する突出部50Pを設けている。一方、アタッチメント部80のフランジ部84には、径方向外側へ突出する突出部84Pを設けている。そして、これらマニホールド部50の突出部50Pにおけるシリンダ部40の中心軸線J方向B側の端面と、アタッチメント部80のフランジ部84の突出部84Pにおける中心軸線K方向A側の端面とが面接触している。こうした構成において、マニホールド部50の突出部50Pにおける、アタッチメント部80のフランジ部84の突出部84Pとの接触箇所にアクチュエータ側電気コネクタ部75を配置する。また、アタッチメント部80のフランジ部84の突出部84Pにおける、マニホールド部50の突出部50Pとの接触箇所に第2電気コネクタ部94を配置する。こうした構成であれば、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合したときにアクチュエータ側電気コネクタ部75及び第2電気コネクタ部94を接続できる。なお、
図9に示すように、アクチュエータ側電気コネクタ部75及び第2電気コネクタ部94の配置を変更した結果として、アクチュエータ側電気コネクタ部75及び第2電気コネクタ部94が、第1電気コネクタ部90と、シリンダ本体部42の中心軸線J方向に同軸で並ばないこともある。この場合でも、中継配線92を適宜引き延ばせば、第1電気コネクタ部90と第2電気コネクタ部94とを接続する上で何ら問題はない。中継配線92の配置に合わせて、収容孔86の延設方向等、アタッチメント部80の構造を適宜変更すればよい。
【0081】
・第1電気コネクタ部90の配置は、上記実施形態の例に限定されない。第1電気コネクタ部90は、電気配線100を接続するのに好適な位置に配置されていればよい。第1電気コネクタ部90は、例えば、アタッチメント本体部82の外周面に配置してもよい。
【0082】
・第1電気コネクタ部90、第2電気コネクタ部94、及びアクチュエータ側電気コネクタ部75の形状は、上記実施形態の例に限定されない。
・第2電気コネクタ部94及び中継配線92を廃止し、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合したときにアクチュエータ側電気コネクタ部75と第1電気コネクタ部90とが直接接続される構成としてもよい。例えば、アタッチメント本体部82を、その中心軸線K方向に関して短くし、収容孔86を廃止する。この場合、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合するのに伴って嵌合凹部85に位置検出器70が嵌め込まれたときに、位置検出器70の突出先端側の端面が、アタッチメント本体部82の端面に至ることから、位置検出器70の突出先端側の端面に位置するアクチュエータ側電気コネクタ部75をアタッチメント本体部82の端面に位置する第1電気コネクタ部90に接続することが可能になる。
【0083】
・アタッチメント部80における電気系統を全て廃止してもよい。つまり、第2電気コネクタ部94、中継配線92、及び第1電気コネクタ部90を廃止してもよい。そして、電気配線100をアクチュエータ部30に直接接続する構成としてもよい。
【0084】
・アタッチメント部80における貫通孔89の位置や延設方向は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、貫通孔89は、フランジ部84をアタッチメント本体部82の中心軸線Kに貫通していてもよい。この場合、第1流体コネクタ部96を、フランジ部84における、アタッチメント本体部82の中心軸線K方向B側の端面であって、貫通孔89の開口となる位置に配置すればよい。
【0085】
・作動油の流路に関して、シリンダ部40の接続通路45を介することなく、マニホールド部50の接続通路54とアタッチメント部80の貫通孔89とが直接接続されるようにマニホールド部50及びアタッチメント部80を構成してもよい。具体的には、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合したときにマニホールド部50とアタッチメント部80とが互いに面接触する部分を有するようにマニホールド部50及びアタッチメント部80の形状を設計する。そして、マニホールド部50とアタッチメント部80とが互いに面接触する部分でマニホールド部50の接続通路54とアタッチメント部80の貫通孔89とをそれぞれ開口させる。こうした構成であれば、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合したときにマニホールド部50の接続通路54とアタッチメント部80の貫通孔89とを接続できる。
【0086】
・第1流体コネクタ部96、第2流体コネクタ部98、及びアクチュエータ側流体コネクタ部46の形状は、上記実施形態の例に限定されない。これらのコネクタは、アタッチメント部80の貫通孔89やシリンダ部40の接続通路45の形状に応じたものであればよい。
【0087】
・アタッチメント部80においては第1流体コネクタ部96や貫通孔89といった作動油の流通に係る構成を全て廃止してもよい。そして、流体配管102をマニホールド部50に直接接続する構成としてもよい。
【0088】
・着脱部の構成は、フランジを利用したものに限定されない。例えば、
図10に示す例では、シリンダ部40のフランジ部44を省略するとともにシリンダ本体部42における中心軸線J方向B側の端面に、中心軸線J方向B側へ突出する円筒状の筒部142を設けている。筒部142は、シリンダ本体部42と同軸になっている。また、アタッチメント部80のフランジ部84を廃止するとともに、アタッチメント本体部82における中心軸線K方向A側の端面に、中心軸線K方向A側へ突出する円筒状の挿入部182を設けている。挿入部182は、アタッチメント本体部82と同軸になっている。挿入部182の外径は、筒部142の内径と略一致している。そして、挿入部182を筒部142の内部に挿入することで、挿入部182が筒部142に嵌り込む。この状態で、筒部142と挿入部182とに対して筒部142の径方向にボルトを貫通させ、筒部142と挿入部182とを固定する。このように、着脱部を、筒部142と挿入部182とを有する構成としてもよい。こうした着脱部の場合も、筒部142に対して挿入部182を抜き差しすればシリンダ部40とアタッチメント部80とを結合及び分離できるため、シリンダ部40とアタッチメント部80とを結合及び分離が簡単である。
【0089】
・筒部142と挿入部182とを有する着脱部に関して、筒部142と挿入部182とを固定する方法は、ボルトを貫通したものに限定されない。例えば、筒部142の内周面と挿入部182の外周面との間に楔を差し込んでもよい。
【0090】
・筒部142と挿入部182とを有する着脱部に関して、筒部142と挿入部182の形状は、
図10に示す例に限定されない。筒部142と挿入部182とは、互いに嵌り合う形状であればよい。例えば、筒部142と挿入部182とを角筒状に構成してもよい。また、挿入部182は必ずしも筒状でなくてもよく、筒部142の内部に嵌る形状であればよい。例えば、筒部142を四角筒状に構成した場合、挿入部182を直方体状に構成してもよい。
【0091】
・筒部142と挿入部182とを有する着脱部に関して、筒部142をアタッチメント部80に設け、筒部142の内周側に嵌る挿入部182をシリンダ部40に設けてもよい。
【0092】
・アクチュエータ部30は、電気油圧式のアクチュエータに限定されない。流体の圧力を利用して動作するアクチュエータであれば、上記実施形態の技術を適用可能であり、例えば、アクチュエータ部30として、空気圧式のアクチュエータを採用してもよい。
【0093】
・アクチュエータ部30として、電気機械式アクチュエータ(EMA:Electro-Mechanical Actuator)を採用してもよい。電気機械式アクチュエータにおいては、マニホールド部50に代えて、モータが収容されたモータ収容体がシリンダ部40に取り付けられる。そして、モータの回転運動が直線運動に変換されて出力ロッド部60に伝達される。アクチュエータ部30として電気機械式アクチュエータを採用する場合、シリンダ部40及びアタッチメント部80においては作動油の流通に係る構成を全て廃止すればよい。
【0094】
・駆動ユニット20を主翼10と連結する構成は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、リアクションリンク部120に、主翼10の翼桁と連結させる部位を設けてもよい。
【0095】
・出力ロッド部60は、他のリンク部材を介してフラップ12に取り付けられていてもよい。
・駆動ユニット20を適用する動翼は、フラップに限定されない。例えば、エルロンやエレベータでもよい。
・駆動ユニット20を適用する対象は、動翼に限定されない。駆動ユニット20を適用する対象は、航空機の可動部であればよい。例えば、ランディングギヤに駆動ユニット20を適用してもよい。
【符号の説明】
【0096】
12…フラップ、20…駆動ユニット、30…アクチュエータ部、40…シリンダ部、42…シリンダ本体部、44…フランジ部、45…接続通路、46…アクチュエータ側流体コネクタ部、47…アクチュエータ用切替弁部、50…マニホールド部、52…油圧回路、54…接続通路、60…出力ロッド部、62…ロッド本体部、75…アクチュエータ側電気コネクタ部、70…位置検出器、80…アタッチメント部、82…アタッチメント本体部、84…フランジ部、85…嵌合凹部、88…トラニオン、89…貫通孔、90…第1電気コネクタ部、94…第2電気コネクタ部、96…第1流体コネクタ部、98…第2流体コネクタ部、99…アタッチメント用切替弁部、100…電気配線、102…流体配管、120…リアクションリンク部、122…脚部、142…筒部、182…挿入部、B1…締結ボルト。