(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
H02M7/12 Q
(21)【出願番号】P 2019226373
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 豊
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152655(JP,A)
【文献】特開平11-316249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の第1の端子に接続されたコイルと、前記コイルにソース端子が接続された第1の半波スイッチと、前記第1の半波スイッチのソース端子にドレイン端子が接続された第2の半波スイッチと、前記第1の半波スイッチのドレイン端子にカソードが接続され、前記交流電源の第2の端子にアノードが接続された第1のダイオードと、前記第2の半波スイッチのソース端子にアノードが接続され、前記交流電源の第2の端子にカソードが接続された第2のダイオードと、前記第1のダイオードのカソードと、前記第2のダイオードのアノードとの間に接続された平滑キャパシタと、を備えるトーテムポール型力率改善回路と、
前記第1のダイオードのアノード及び
前記第2のダイオードのカソードと、前記交流電源の第2の端子との間に接続された第1の電流検出器と第2の電流検出器との直列接続と、
前記第1の電流検出器と前記第2の電流検出器との接続点の電圧であるGND電圧を基準に、前記交流電源から供給される交流電圧の極性を検出する極性検出回路を具備し、前記第1の電流検出器による電流の検出結果または
前記第2の電流検出器による電流の検出結果に基づいて、前記第1の半波スイッチ及び前記第2の半波スイッチをオンオフするパルス幅制御を行
い、前記極性検出回路の検出結果に基づいて、前記パルス幅制御を行うスイッチを前記第1の半波スイッチと前記第2の半波スイッチとで切り替える制御回路と、
を具備する電力変換装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記極性検出回路の検出結果に基づいて、前記パルス幅制御に用いる電流の検出結果を、
前記第1の電流検出器による電流の検出結果と
前記第2の電流検出器による電流の検出結果とで切り替える請求項
1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記交流電源の第1の端子が正電位である場合、
前記第1の電流検出器による電流の検出結果に基づいて、前記第2の半波スイッチをオンオフし、
前記交流電源の第2の端子が正電位である場合、
前記第2の電流検出器による電流の検出結果に基づいて、前記第1の半波スイッチをオンオフする請求項1
又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
交流電源の第1の端子に接続されたコイルと、前記コイルにソース端子が接続された第1の半波スイッチと、前記第1の半波スイッチのソース端子にドレイン端子が接続された第2の半波スイッチと、前記第1の半波スイッチのドレイン端子にカソードが接続され、前記交流電源の第2の端子にアノードが接続された第1のダイオードと、前記第2の半波スイッチのソース端子にアノードが接続され、前記交流電源の第2の端子にカソードが接続された第2のダイオードと、前記第1のダイオードのカソードと、前記第2のダイオードのアノードとの間に接続された平滑キャパシタと、を備えるトーテムポール型力率改善回路と、
前記第1のダイオードのアノード及び
前記第2のダイオードのカソードと、前記交流電源の第2の端子との間に接続された第1の電流検出器と第2の電流検出器との直列接続と、
前記第1の電流検出器による電流の検出結果または前記第2の電流検出器による電流の検出結果に基づいて、前記第1の半波スイッチ及び前記第2の半波スイッチをオンオフするパルス幅制御を行う制御回路と、を具備し、
前記制御回路は、前記平滑キャパシタの両端電圧を、前記第1の電流検出器と前記第2の電流検出器との接続点の電圧であるGND電圧を基準とした電圧に変換し、変換された電圧に基づいて、前記パルス幅制御を行う、電力変換装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記交流電源の第1の端子が正電位であり且つ前記第2の半波スイッチをオフしている間、前記第1の半波スイッチをオンし、
前記交流電源の第2の端子が正電位であり且つ前記第1の半波スイッチをオフしている間、前記第2の半波スイッチをオンする請求項
4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1のダイオードは、前記交流電源の第1の端子が正電位である間
オフされ、前記交流電源の第2の端子が正電位である間
オンされるFETのボディダイオードとして構成され、
前記第2のダイオードは、前記交流電源の第1の端子が正電位である間
オンされ、前記交流電源の第2の端子が正電位である間
オフされるFETのボディダイオードとして構成される請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置は、交流電源から得られる交流電圧を直流電圧に変換して負荷へ電力を供給する。交流電源の交流電圧を直流電圧に変換する場合、交流電源に流れる交流電流を交流電圧と同位相の正弦波状に変換することが最も力率が良く高調波ノイズ発生も少ない。例えば、電力変換装置は、入力電流を正弦波状にするトーテムポール型力率改善回路を備える。
【0003】
上記のようなトーテムポール型力率改善回路を制御するために、入力される交流電圧によって流れる交流電流を検出する必要がある。例えば、電流を検出するカレントトランスを備える電力変換装置が実用化されている。しかしながら、このような構成では、交流電流の検出結果が正負の信号として出力される。この為、トーテムポール型力率改善回路を制御するための制御ICに、電流検出の結果を直接用いることができない。この為、電流の検出結果を任意のGNDを基準とした信号に変換する、即ち絶縁する必要があり、回路が複雑になるという課題がある。また、カレントトランスが高価である為、コストが増加するという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で高効率電力変換が可能なトーテムポール型力率改善回路を備えた電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る電力変換装置は、トーテムポール型力率改善回路と、第1の電流検出器と第2の電流検出器との直列接続と、制御回路とを備える。トーテムポール型力率改善回路は、交流電源の第1の端子に接続されたコイルと、コイルにソース端子が接続された第1の半波スイッチと、第1の半波スイッチのソース端子にドレイン端子が接続された第2の半波スイッチと、第1の半波スイッチのドレイン端子にカソードが接続され、交流電源の第2の端子にアノードが接続された第1のダイオードと、第2の半波スイッチのソース端子にアノードが接続され、交流電源の第2の端子にカソードが接続された第2のダイオードと、第1のダイオードのカソードと、第2のダイオードのアノードとの間に接続された平滑キャパシタと、を備える。第1の電流検出器と第2の電流検出器との直列接続は、第1のダイオードのアノード及び第2のダイオードのカソードと、交流電源の第2の端子との間に接続される。制御回路は、第1の電流検出器と第2の電流検出器との接続点の電圧であるGND電圧を基準に、交流電源から供給される交流電圧の極性を検出する極性検出回路を具備し、第1の電流検出器による電流の検出結果または第2の電流検出器による電流の検出結果に基づいて、第1の半波スイッチ及び第2の半波スイッチをオンオフするパルス幅制御を行い、極性検出回路の検出結果に基づいて、パルス幅制御を行うスイッチを第1の半波スイッチと第2の半波スイッチとで切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電力変換装置の構成の例について説明する為の図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るトーテムポールPFCの動作の例について説明する為の図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る制御回路の構成の例について説明する為の図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る基準電圧変換回路の構成の例について説明する為の図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るPFC制御回路の構成の例について説明する為の図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る第1の絶縁ドライバ及び第2の絶縁ドライバの構成の例について説明する為の図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係るトーテムポールPFCの制御について説明する為の図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る極性検知回路の他の構成例について説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る電力変換装置1の構成例を示す図である。電力変換装置1は、トーテムポール型力率改善回路を備える。トーテムポール型力率改善回路を備える電力変換装置1は、入力電源としての交流電源ACに接続される。電力変換装置1は、交流電源ACの交流電圧を高周波でスイッチングして直流電力を負荷回路2に出力することにより、負荷回路2が動作する。
【0009】
まず電力変換装置1の構成について説明する。電力変換装置1は、フィルタ回路11、トーテムポール型力率改善回路(トーテムポールPFC)12、LLC共振回路13、絶縁ACDC回路14、交流電圧検出回路15、及び制御回路16を備える。
【0010】
フィルタ回路11は、電力変換装置1から交流電源ACへ漏洩するノイズを除去する回路である。フィルタ回路11は、例えばEMCフィルタである。フィルタ回路11は、入力端子から商用周波数50Hz成分の交流電圧を入力し、出力端子から出力する。フィルタ回路11により、出力端子に伝達する電力変換装置1で発生した高周波ノイズが遮断され、入力端子には伝達しない。なお、フィルタ回路11は、第1の端子AC1及び第2の端子AC2を出力端子として備える。即ち、第1の端子AC1及び第2の端子AC2から交流電力が出力される。
【0011】
トーテムポールPFC12は、フィルタ回路11を介して交流電源ACから得られる交流電圧を昇圧した直流電圧に変換し、LLC共振回路13に供給する。トーテムポールPFC12は、交流電圧のピーク値よりも高い直流電圧に昇圧する。これにより、トーテムポールPFC12は、交流電流が正弦波になるように制御することができる。例えば、トーテムポールPFC12は、交流電圧を400[V]の直流電圧に昇圧する。これにより、トーテムポールPFC12は、交流電圧が90~256[V]であっても、電流を制御することができる。即ち、トーテムポールPFC12は、世界共通で使える電力変換器を構成することができる。
【0012】
トーテムポールPFC12は、第1のコイルL1、第1の半波スイッチS1、第2の半波スイッチS2、第1のダイオードD1、第2のダイオードD2、第1の平滑キャパシタC1、第1の抵抗R1、及び第2の抵抗R2を備える。
【0013】
第1のコイルL1は、フィルタ回路11を介して、交流電源ACの第1の端子に接続される。例えば、第1のコイルL1は、フィルタ回路11の第1の端子AC1に接続されている。
【0014】
第1の半波スイッチS1及び第2の半波スイッチS2は、制御回路16の制御によりオンオフされるスイッチ素子である。第1の半波スイッチS1及び第2の半波スイッチS2は、例えばSiC、GaN、酸化ガリウム、またはダイヤモンドなどのワイドバンドギャップ半導体により構成される。このような半導体で構成された素子は、シリコンにより構成されたMOSFETに比べてスイッチングスピードが速く、また、ドレインソース間の浮遊容量が少ないため、スイッチングロスが少ない。
【0015】
第1の半波スイッチS1は、制御回路16から供給されるゲート信号G1によりオンオフされる。第2の半波スイッチS2は、制御回路16から供給されるゲート信号G2によりオンオフされる。
【0016】
第1の半波スイッチS1は、第1のコイルL1にソース端子が接続される。第2の半波スイッチS2は、第1の半波スイッチS1のソース端子にドレイン端子が接続される。
【0017】
第1のダイオードD1は、第1の半波スイッチS1のドレイン端子にカソードが接続され、フィルタ回路11を介して交流電源ACの第2の端子にアノードが接続される。第2のダイオードD2は、第2の半波スイッチのソース端子にアノードが接続され、第1のダイオードD1のアノードにカソードが接続される。
【0018】
第1の平滑キャパシタC1は、第1のダイオードD1のカソードと、第2のダイオードD2のアノードとの間に接続される。第1の平滑キャパシタC1の正極端子及び第1の平滑キャパシタC1の負極端子は、トーテムポールPFC12の高圧直流出力の出力端子を構成する。また、第1の平滑キャパシタC1の正極端子及び負極端子は、それぞれ制御回路16に接続されている。これにより、第1の平滑キャパシタC1の正極端子の電位に応じた信号DC1が制御回路16に供給される。また、第1の平滑キャパシタC1の負極端子の電位に応じた信号DC2が制御回路16に供給される。
【0019】
第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2は、第1のダイオードD1のアノードと第2のダイオードD2のカソードとの接続点と、フィルタ回路11の第2の端子AC2との間に直列に接続される。即ち、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の直列接続は、フィルタ回路11を介して交流電源ACの第2の端子と、第1のダイオードD1のアノードと第2のダイオードD2のカソードとの接続点との間に接続される。第1の抵抗R1は、第2の抵抗R2とフィルタ回路11の第2の端子AC2との間に接続される。また、第2の抵抗R2は、第1の抵抗R1と、第1のダイオードD1のアノードと第2のダイオードD2のカソードとの接続点との間に接続される。即ち、第1のダイオードD1のアノードと第2のダイオードD2のカソードとの接続点、第2の抵抗R2、第1の抵抗R1、フィルタ回路11の第2の端子AC2の順に接続されている。なお、第1の抵抗R1と第2の抵抗R2との接続点を接続点Mと称する。第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の抵抗値は、例えば0.01Ω程度の極小値である。
【0020】
第1の抵抗R1とフィルタ回路11の第2の端子AC2との接続点は、制御回路16に接続されている。これにより、第1の抵抗R1を流れる電流に応じた信号IS1が制御回路16に供給される。信号IS1は、電流が第1の抵抗R1から接続点Mの向きで第1の抵抗R1を流れる時に、接続点Mの電位を基準とした正電圧になり、電流が接続点Mから第1の抵抗R1の向きで第1の抵抗R1を流れる時に、接続点Mの電位(GND)を基準とした負電圧になる。
【0021】
また、第2の抵抗R2と第1のダイオードD1のアノード及び第2のダイオードD2のカソードとの接続点は、制御回路16に接続されている。これにより、第2の抵抗R2を流れる電流に応じた信号IS2が制御回路16に供給される。信号IS2は、電流が第2の抵抗R2から接続点Mの向きで第2の抵抗R2を流れる時に、接続点Mの電位を基準とした正電圧になり、電流が接続点Mから第2の抵抗R2の向きで第2の抵抗R2を流れる時に、接続点Mの電位を基準とした負電圧になる。
【0022】
上記した構成によると、信号IS1と信号IS2とのいずれかが正の信号になり、他方が負の信号になる。このような構成によると、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2は、第1のコイルL1に流れる電流の値を示す正電圧の信号を制御信号16に供給する電流検出回路17を構成する。第1の抵抗R1は、第1の電流検出器として機能する。また、第2の抵抗R2は、第2の電流検出器として機能する。
【0023】
LLC共振回路13は、トーテムポールPFC12から供給される高圧の直流電圧から負荷回路2に必要な直流電圧を供給するDCDC変換回路である。LLC共振回路13は、スイッチング素子S3、スイッチング素子S4、スイッチング素子S5、スイッチング素子S6、第2のコイルL2、第1の巻線L3、第2の巻線L4、第3の巻線L5、第2の平滑キャパシタC2、及び第3の平滑キャパシタC3を備える。
【0024】
スイッチング素子S3、スイッチング素子S4、スイッチング素子S5、及びスイッチング素子S6は、制御回路16の制御によりオンオフされるスイッチ素子である。スイッチング素子S3、スイッチング素子S4、スイッチング素子S5、及びスイッチング素子S6は、例えばシリコン製MOSFETである。LLC共振回路13では、共振現象を利用しているため、回路動作上、高速なスイッチングの必要がない。この為、トーテムポールPFC12とは異なり、シリコン製MOSFETを用いることができる。
【0025】
スイッチング素子S3は、制御回路16から供給されるゲート信号G3によりオンオフされる。スイッチング素子S4は、制御回路16から供給されるゲート信号G4によりオンオフされる。スイッチング素子S5は、制御回路16から供給されるゲート信号G5によりオンオフされる。スイッチング素子S6は、制御回路16から供給されるゲート信号G6によりオンオフされる。
【0026】
スイッチング素子S3のドレイン端子は、トーテムポールPFC12の一方の出力端子(第1の平滑キャパシタC1の正極端子)に接続されている。スイッチング素子S4のソース端子は、トーテムポールPFC12の他方の出力端子(第1の平滑キャパシタC1の負極端子)に接続され、ドレイン端子は、スイッチング素子S3のソース端子に接続されている。また、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4との接続点と、スイッチング素子S4のソース端子との間には、第2のコイルL2、第2の平滑キャパシタC2、及び第1の巻線L3の直列が接続されている。
【0027】
第1の巻線L3、第2の巻線L4、及び第3の巻線L5は、絶縁トランスT1を構成する。第2の巻線L4及び第3の巻線L5は、第1の巻線L3と絶縁され、且つ第1の巻線L3に生じた磁界により励磁される。第2の巻線L4と第3の巻線L5とは、互いに接続されている。絶縁トランスT1は、第1の巻線L3と第2の巻線L4との巻き数(T:巻き数ターン)の比(巻き数比)と、第1の巻線L3と第3の巻線L5との巻き数比とが等しくなるように構成される。さらに、絶縁トランスT1は、LLC共振回路13が昇圧を行う回路か降圧を行う回路かによって、第1の巻線L3と第2の巻線L4との巻き数比(L3:L4)及び第1の巻線L3と第3の巻線L5との巻き数比(L3:L5)が決定される。例えば、LLC共振回路13が降圧を行う回路として構成される場合、巻き数比(L3:L4)及び巻き数比(L3:L5)が、20T:5Tのように、1次側の第1の巻線L3に対して、2次側の第2の巻線L4及び第3の巻線L5の巻き数が少なくなるように巻き数比が決定される。
【0028】
上記のような構成によると、スイッチング素子S3及びスイッチング素子S4がオンオフされることにより、第2のコイルL2に交番電流が流れる。また、第1の巻線L3に、第2のコイルL2と同等の交番電流が流れる。これにより、絶縁トランスT1に交番電流に応じて変化する磁界が発生する。第2の巻線L4及び第3の巻線L5には、絶縁トランスT1内に発生した磁界の変化(磁束の変化)によって、誘起電圧が発生する。誘起電圧によって、第2の巻線L4及び第3の巻線L5に交番電流が流れる。具体的には交番電流のうち正の半波部分が第2の巻線L4に流れ、交番電流のうち負の半波部分が第3の巻線L5に流れる。すなわち第2の巻線L4と第3の巻線L5には、それぞれ半波ずつ逆位相の電流が流れることになる。これらは同期整流用のスイッチング素子S5及びスイッチング素子S6によって、正の電流に転換され、ともに正の電流として第3のキャパシタC3にチャージされる。
【0029】
スイッチング素子S5のソース端子は、第2の巻線L4と接続され、ドレイン端子は、第3のキャパシタC3の正極端子に接続されている。スイッチング素子S6のソース端子は、第3の巻線L5と接続され、ドレイン端子は、第3のキャパシタC3の正極端子に接続されている。第3のキャパシタC3の負極端子は、第2の巻線L4と第3の巻線L5との接続点に接続されている。また、第3のキャパシタC3には、負荷回路2が並列に接続されている。
【0030】
上記の構成によると、スイッチング素子S5は、第2の巻線L4から第3のキャパシタC3の正極端子に電流を流すボディダイオードとして機能する。また、スイッチング素子S6は、第3の巻線L5から第3のキャパシタC3の正極端子に電流を流すボディダイオードとして機能する。
【0031】
上記のような構成によると、スイッチング素子S5及びスイッチング素子S6がオフ状態であっても、スイッチング素子S5及びスイッチング素子S6のボディダイオードを電流が流れる。この為、第1の巻線L3に交番電流が流れるタイミングで、第2の巻線L4及び第3の巻線L5に電流が流れる。スイッチング素子S5及びスイッチング素子S6のボディダイオードを通った電流は、第3のキャパシタC3に充電される。これにより、第3のキャパシタC3に接続された負荷回路2に直流電力が供給される。
【0032】
なお、この例では、スイッチング素子S5及びスイッチング素子S6のボディダイオードを電流が流れる為、1[V]程度の順方向電圧差がある。例えば、10[A]の電流が流れたとすると、損失=順方向電圧×電流=10[W]になる。
【0033】
これに対し、スイッチング素子S5及びスイッチング素子S6がそれぞれ導通している場合のオン抵抗が0.01[Ω]だとすると、損失=電流の2乗×抵抗=10×10×0.01=1[W]になる。この為、制御回路16は、スイッチング素子S5及びスイッチング素子S6のそれぞれのボディダイオードに電流が流れるタイミングに合わせて、ゲート信号G5及びG6によりスイッチング素子S5及びスイッチング素子S6をオンする構成であってもよい。これにより、導通損を減らし、効率の良い電力変換器を構成することができる。
【0034】
以下、第1の抵抗R1と第2の抵抗R2との接続点Mの電位がGNDであると想定して説明する。絶縁ACDC回路14は、上記した第1の抵抗R1と第2の抵抗R2との接続点Mの電位であるGNDを基準とした任意の電圧の直流電圧VCCを生成し、制御回路16に供給する。絶縁ACDC回路14は、交流電源ACの交流電圧に基づいて、交流電源ACと絶縁した直流電圧VCCを生成する。絶縁ACDC回路14は、フィルタ回路11の第1の端子AC1及び第2の端子AC2に接続されている。絶縁ACDC回路14は、フィルタ回路11の第1の端子AC1及び第2の端子AC2から供給される交流電圧の一部を受け取り、制御回路16の動作に必要な電圧を直流電圧VCCの生成に用いる。制御回路16は、このGNDを起点として各種信号処理及び信号出力を行う。
【0035】
交流電圧検出回路15は、交流電源ACの交流電圧を検出し、検出結果を制御回路16に供給する。交流電圧検出回路15は、第1の抵抗R1と第2の抵抗R2との接続点Mと、フィルタ回路11の第1の端子AC1とに接続されている。なお、第2の抵抗R2の抵抗値が極小値である為、接続点Mの電位とフィルタ回路11の第2の端子AC2の電位とがほぼ等しいとみなすことができる。即ち、交流電圧検出回路15は、フィルタ回路11の第1の端子AC1の電位とフィルタ回路11の第2の端子AC2の電位とに基づいて、交流電源ACの電圧を示す信号ACV(Alternating Current Voltage)を検出し、制御回路16に供給する。交流電圧検出回路15は、アナログ値として信号ACVを制御回路16に供給する構成であってもよいし、ディジタル値の信号ACVを制御回路16に供給する構成であってもよい。なお、以下フィルタ回路11の第1の端子AC1の電位を単にAC1と称し、フィルタ回路11の第2の端子AC2の電位を単にAC2と称する。
【0036】
制御回路16は、トーテムポールPFC12及びLLC共振回路13のスイッチング素子を制御する。制御回路16は、絶縁ACDC回路14から、動作用の直流電圧VCCを受け取る。また、制御回路16は、交流電圧検出回路15から信号ACVを受け取る。また、制御回路16は、電流検出回路17から信号IS1及び信号IS2を受け取る。上記したように、信号IS1及び信号IS2は、接続点Mの電位であるGND基準の信号である。また、制御回路16は、トーテムポールPFC12の出力端子から信号DC1及び信号DC2を受け取る。
【0037】
制御回路16は、信号ACV、信号IS1、信号IS2、信号DC1、及び信号DC2に基づいて、第1の半波スイッチS1及び第2の半波スイッチS2をオンオフする為のゲート信号G1及びゲート信号G2を生成し、トーテムポールPFC12に入力する。これにより、制御回路16は、第1のコイルL1に流れる電流が、入力された交流電圧の位相と同相の正弦波になるように、ゲート信号G1及びゲート信号G2のパルス幅を制御する。
【0038】
また、制御回路16は、LLC共振回路13の出力電圧に基づいて、スイッチング素子S3、スイッチング素子S4、スイッチング素子S5、及びスイッチング素子S6をオンオフする為のゲート信号G3乃至G6を生成し、LLC共振回路13に入力する。
【0039】
次に、トーテムポールPFC12の動作について説明する。
トーテムポールPFC12は、上記したように、制御回路16からのゲート信号G1及びゲート信号G2に基づいて動作する。例えば、トーテムポールPFC12は、
図2に示される4つの状態を切り替えながら動作する。
【0040】
第1の状態は、AC1>AC2(AC2に対してAC1が正)であり、ゲート信号G1により第1の半波スイッチS1がオフ(ゲート信号G1がオフ)され、ゲート信号G2により第2の半波スイッチS2がオン(ゲート信号G2がオン)されている状態である。この場合、
図2に示されるように、第1のコイルL1、第2の半波スイッチS2、第2のダイオードD2、第2の抵抗R2、第1の抵抗R1の順に電流が流れる。このとき、接続点Mを起点(GND)として第2の抵抗R2に正の電圧(信号)が発生している。また、第1の抵抗R1には、制御に用いられない負の電圧(信号)が発生している。
【0041】
第2の状態は、AC1>AC2(AC2に対してAC1が正)であり、ゲート信号G1により第1の半波スイッチS1がオフ(ゲート信号G1がオフ)され、ゲート信号G2により第2の半波スイッチS2がオフ(ゲート信号G2がオフ)されている状態である。この場合、第1の半波スイッチS1がソース端子からドレイン端子に向かってボディダイオードとして機能する。この為、
図2に示されるように、第1のコイルL1、第1の半波スイッチS1、第1の平滑キャパシタC1、第2のダイオードD2、第2の抵抗R2、第1の抵抗R1、の順に電流が流れる。この場合も、接続点Mを起点(GND)として第2の抵抗R2に正の電圧(信号)が発生している。また、第1の抵抗R1には、制御に用いられない負の電圧(信号)が発生している。
【0042】
トーテムポールPFC12は、AC1>AC2(AC2に対してAC1が正)である間、第1の半波スイッチS1をオフした状態で維持し、信号G2に応じて、第2の半波スイッチS2を高周波で繰り返しオンオフする。これにより、トーテムポールPFC12は、AC1>AC2(AC2に対してAC1が正)である間、第1の状態と第2の状態とを繰り返し切り替える。
【0043】
第3の状態は、AC1<AC2(AC2に対してAC1が負)であり、ゲート信号G1により第1の半波スイッチS1がオン(ゲート信号G1がオン)され、ゲート信号G2により第2の半波スイッチS2がオフ(ゲート信号G2がオフ)されている状態である。この場合、
図2に示されるように、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、第1のダイオードD1、第1の半波スイッチS1、第1のコイルL1の順に電流が流れる。このとき、接続点Mを起点(GND)として第1の抵抗R1に正の電圧(信号)が発生している。また、第2の抵抗R2には、制御に用いられない負の電圧(信号)が発生している。
【0044】
第4の状態は、AC1<AC2(AC2に対してAC1が負)であり、ゲート信号G1により第1の半波スイッチS1がオフ(ゲート信号G1がオフ)され、ゲート信号G2により第2の半波スイッチS2がオフ(ゲート信号G2がオフ)されている状態である。この場合、第2の半波スイッチS2がソース端子からドレイン端子に向かってボディダイオードとして機能する。この為、
図2に示されるように、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、第1のダイオードD1、第1の平滑キャパシタC1、第2の半波スイッチS2、第1のコイルL1の順に電流が流れる。この場合も、接続点Mを起点(GND)として第1の抵抗R1に正の電圧(信号)が発生している。また、第2の抵抗R2には、制御に用いられない負の電圧(信号)が発生している。
【0045】
トーテムポールPFC12は、AC1<AC2(AC2に対してAC1が負)である間、第2の半波スイッチS2をオフした状態で維持し、信号G1に応じて、第1の半波スイッチS1を高周波で繰り返しオンオフする。これにより、トーテムポールPFC12は、AC1<AC2(AC2に対してAC1が負)である間、第3の状態と第4の状態とを繰り返し切り替える。
【0046】
制御回路16は、AC1>AC2(AC2に対してAC1が正)である場合、第2の半波スイッチS2をオンオフする。これにより、制御回路16は、AC2に対してAC1が正である間、第1のコイルL1に流れる電流が、交流電源ACの交流電圧ACVと同位相の正弦波電流になるように制御する。また、制御回路16は、AC1<AC2(AC2に対してAC1が負)である場合、第1の半波スイッチS1をオンオフする。これにより、制御回路16は、AC2に対してAC1が負である間、第1のコイルL1に流れる電流が、交流電源ACの交流電圧ACVと同位相の正弦波電流になるように制御する。これにより、電流高調波ノイズの発生を抑えることができる。
【0047】
次に、制御回路16の詳細な構成の例について説明する。
図3は、制御回路16の構成の例について説明する為の説明図である。
制御回路16は、基準電圧変換回路21、PFC制御回路22、第1の絶縁ドライバ23、及び第2の絶縁ドライバ24を備える。
【0048】
基準電圧変換回路21は、トーテムポールPFC12の出力電圧を、GND基準の電圧を示す信号VFBを出力する。トーテムポールPFC12では、AC1>AC2である間、AC2とDC2とが同電位になる。また、トーテムポールPFC12では、AC1<AC2である間、AC1とDC1とが同電位になる。このように、トーテムポールPFC12の出力は、基準電圧が変動する。そこで、基準電圧変換回路21は、トーテムポールPFC12の出力端子から受け取った信号DC1及び信号DC2を、GND基準の電圧を示す信号VFBに変換する。
【0049】
図4は、基準電圧変換回路21の構成の例について説明する為の説明図である。基準電圧変換回路21は、複数の抵抗と、オペアンプとを備える。基準電圧変換回路21は、信号DC1及び信号DC2のそれぞれの電位をGND基準でそれぞれ抵抗分圧し、分圧した信号DCD1及び信号DCD2をオペアンプの2端子に入力する。なお、この場合、分圧された電圧値が、直流電圧VCCを超えないように抵抗の抵抗値が決定される。即ち、信号DCD1及び信号DCD2は、GND以上VCC以下の電位として現れる。オペアンプは、信号DCD1と信号DCD2との差分を、信号VFBとして出力する。
【0050】
基準電圧変換回路21は、他の方法により信号VFBを出力する構成であってもよい。例えば、基準電圧変換回路21は、信号DC1及び信号DC2び電位差をパルス幅に変換し、このパルスをフォトカプラ等に入力する。これにより、GND基準のパルス導通電流が生じる。このパルス幅に応じた電圧をGND基準で再生成する。これにより、電位の異なる箇所の電位差をGND基準の信号に変換することができる。
【0051】
図5は、PFC制御回路22の構成の例について説明する為の説明図である。PFC制御回路22は、信号VFB、信号ACV、信号IS1、及び信号IS2に基づいて、トーテムポールPFC12の第1の半波スイッチS1及び第2の半波スイッチS2の制御に用いられる信号G1G及び信号G2Gを出力する。
【0052】
PFC制御回路22は、ローパスフィルタ31、第1の比較器32、極性検知回路33、電圧検出回路34、絶対値変換回路35、乗算器36、第1のセレクタ37、第2の比較器38、PWM変換器39、及び第2のセレクタ40を備える。
【0053】
ローパスフィルタ31には、信号VFBが入力される。ローパスフィルタ31は、入力された信号VFBの高周波数成分をカットし、第1の比較器32に入力する。ローパスフィルタ31は、例えば、交流電源の周波数50Hzに対してより低い周波数が設定される。例えば、ローパスフィルタ31は、20Hzより低い周波数成分を透過するように設定される。即ち、ローパスフィルタ31は、20Hzより高い周波数成分をカットするように構成される。この構成によると、ローパスフィルタ31は、第1の平滑キャパシタに発生する100Hz(50Hzの全波)成分をキャンセルし、第1の平滑キャパシタの電圧の平均値を出力することができる。
【0054】
第1の比較器32には、ローパスフィルタ31の出力と、基準電圧とが入力される。第1の比較器32は、ローパスフィルタ31の出力と、基準電圧との比較結果を乗算器36に出力する。即ち、第1の比較器32は、信号VFBの低周波数成分と、基準電圧との比較結果である信号VDIFを出力する。具体的には、第1の比較器32は、信号VFBの低周波数成分から基準電圧を減算し、結果を信号VDIFとして出力する。即ち、信号VDIFは、信号VFBの基準電圧に対する変位分を示す。
【0055】
基準電圧は、任意の値が設定される。基準電圧は、例えば、400Vに設定される。基準電圧が400Vに設定されることにより、世界のAC電圧に対応することが可能になる。世界で最も高いAC電圧が264Vである為、そのピーク値は、264Vの1.41倍である372Vである。これより高い電圧を基準電圧として設定することにより、世界共通で使える電力変換になる。
【0056】
極性検知回路33は、信号ACVに基づいて、交流電源ACから供給される交流電圧の極性を検知し、検知結果を信号ACPとして出力する。極性検知回路33は、信号ACPを第1のセレクタ37及び第2のセレクタ40に出力する。極性検知回路33は、信号ACVの値が正であるか負であるかに基づいて、「0」と「1」とのいずれかの論理値を信号ACPとして出力する。例えば、信号ACVが、フィルタ回路11の第2の端子AC2に対する第1の端子AC1の電位を示す構成であるとする。この場合、極性検知回路33は、信号ACVが正であるときに「1」の信号ACPを出力し、信号ACVが負であるときに「0」の信号ACPを出力する。即ち、極性検知回路33は、第1の端子AC1の電位>第2の端子AC2の電位であるときに「1」の信号ACPを出力し、第1の端子AC1の電位<第2の端子AC2の電位であるときに「0」の信号ACPを出力する。
【0057】
電圧検出回路34は、信号ACVを任意の幅の電圧の信号に変換して、絶対値変換回路35に出力する。電圧検出回路34に入力される信号ACVは、交流電源ACが実効値100Vの交流電源である場合、-141~141Vの瞬時値である。電圧検出回路34は、信号ACVが示す交流電源ACの交流電圧の瞬時値を、予め設定された範囲内の値に変換する。即ち、電圧検出回路34は、信号ACVが示す交流電源ACの交流電圧の瞬時値を正規化する。具体的には、電圧検出回路34は、信号ACVが示す交流電源ACの交流電圧の瞬時値を、-1~1の範囲の瞬時値に変換する。電圧検出回路34により変換された信号ACVに基づいて、正弦波状の波形における位相を判断することが可能になる。即ち、電圧検出回路34により正規化された信号ACVは、正弦波における位相を示す正弦波位相情報と言い換えることができる。
【0058】
絶対値変換回路35は、電圧検出回路34から出力された信号ACVを絶対値の信号である信号ABSに変換し、信号ABSを乗算器36に出力する。絶対値変換回路35は、電圧検出回路34から出力された信号ACVを絶対値に変換することにより、0~1の値の信号(全波整流状の信号)に変換する。
【0059】
乗算器36は、第1の比較器32から供給された信号VDIFと、絶対値変換回路35から供給された信号ABSとを乗算する。乗算器36は、信号VDIFと信号ABSとを乗算した結果を信号AIMとして、第2の比較器38に出力する。信号AIMは、目標とする電流値を示す。
【0060】
第1のセレクタ37には、信号ACP、信号IS1、及び信号IS2が入力される。第1のセレクタ37は、信号ACPに基づいて、信号IS1と信号IS2とのいずれかを信号ISとして第2の比較器38に出力する。第1のセレクタ37は、信号ACPが「1」である場合、信号IS2を信号ISとして第2の比較器38に出力する。また、第1のセレクタ37は、信号ACPが「0」である場合、信号IS1を信号ISとして第2の比較器38に出力する。即ち、第1のセレクタ37は、第1の端子AC1の電位>第2の端子AC2の電位であるときに信号IS2を信号ISとして第2の比較器38に出力し、第1の端子AC1の電位<第2の端子AC2の電位であるときに信号IS1を信号ISとして第2の比較器38に出力する。
【0061】
第2の比較器38には、信号AIMと信号ISとが入力される。第2の比較器38は、信号AIMと信号ISとの比較結果である信号IDIFをPWM変換器39に出力する。信号IDIFは、目標とする電流値である信号AIMと、実際に流れている電流を示す信号ISとの差分を示す。
【0062】
PWM変換器39は、信号IDIFの値に基づいて、パルス幅変調信号である信号PWMを生成し、信号PWMを第2のセレクタ40に出力する。例えば、PWM変換器39は、目標とする電流値に対して実際に流れている電流が少ない場合、パルス幅を広げ、目標とする電流値に対して実際に流れている電流が多い場合、パルス幅を狭める変調を行う。
【0063】
第2のセレクタ40には、信号ACP及び信号PWMが入力される。第2のセレクタ40は、信号ACPに基づいて、信号PWMを第1の絶縁ドライバ23に信号G1Gとして出力するか、信号PWMを第2の絶縁ドライバ24に信号G2Gとして出力するかを切り替える。具体的には、第2のセレクタ40は、信号ACPが「1」である場合、信号PWMを第2の絶縁ドライバ24に信号G2Gとして出力する。また、第2のセレクタ40は、信号ACPが「0」である場合、信号PWMを第1の絶縁ドライバ23に信号G1Gとして出力する。なお、信号PWM、即ち信号G1G及び信号G2Gは、GND基準の信号である。第1の絶縁ドライバ23と第2の絶縁ドライバ24とのうち、信号PWMが出力されない方に供給される信号は「0(停止信号)」になる。
【0064】
第1の絶縁ドライバ23及び第2の絶縁ドライバ24は、1次側に入力された信号を絶縁させて2次側から出力する。
【0065】
図6は、第1の絶縁ドライバ23及び第2の絶縁ドライバ24の構成の例について説明する為の説明図である。第1の絶縁ドライバ23及び第2の絶縁ドライバ24は、例えばパルストランス41をそれぞれ備える。パルストランス41は、1次側の巻線と、2次側の巻線と、磁性コアとを備える。
【0066】
図6に示されるように、第1の絶縁ドライバ23のパルストランス41の1次側の巻線には、GND基準のG1GとGNDとが接続され、パルストランス41の2次側の巻線には、G1GND基準のG1が接続される。具体的には、パルストランス41の1次側の巻線にはトーテムポールPFC12の第2のセレクタ40とGNDとが接続される。また、パルストランス41の2次側の巻線には、第1の半波スイッチS1のゲート端子と、第1の半波スイッチS1のソース端子とが接続されている。
【0067】
上記の構成によると、第1の絶縁ドライバ23のパルストランス41の1次側の巻線には、トーテムポールPFC12から出力されたGND基準のパルス状信号である信号G1Gが入力される。パルストランス41の1次側の巻線にGND基準の信号G1Gが入力されると、パルストランス41の2次側の巻線に誘起電圧が生じる。この誘起電圧によって、パルストランス41の2次側の巻線から第1の半波スイッチS1のソース端子の電位G1GNDを基準とし、且つ信号G1Gに応じたパルス状信号である信号G1が、第1の半波スイッチS1のゲート端子に入力される。これにより、第1の半波スイッチS1が信号G1に基づいてオンオフされる。
【0068】
図6に示されるように、第2の絶縁ドライバ24のパルストランス41の1次側の巻線には、GND基準のG2GとGNDとが接続され、パルストランス41の2次側の巻線には、G2GND基準のG2が接続される。具体的には、パルストランス41の1次側の巻線にはトーテムポールPFC12の第2のセレクタ40とGNDとが接続される。また、パルストランス41の2次側の巻線には、第2の半波スイッチS2のゲート端子と、第2の半波スイッチS2のソース端子とが接続されている。
【0069】
上記の構成によると、第2の絶縁ドライバ24のパルストランス41の1次側の巻線には、トーテムポールPFC12から出力されたGND基準のパルス状信号である信号G2Gが入力される。パルストランス41の1次側の巻線にGND基準の信号G2Gが入力されると、パルストランス41の2次側の巻線に誘起電圧が生じる。この誘起電圧によって、パルストランス41の2次側の巻線から第2の半波スイッチS2のソース端子の電位G2GNDを基準とし、且つ信号G2Gに応じたパルス状信号である信号G2が、第2の半波スイッチS2のゲート端子に入力される。
【0070】
なお、第1の絶縁ドライバ23及び第2の絶縁ドライバ24は、パルストランス41の1次側の巻線に直列に接続され、直流成分をカットするフィルタコンデンサをさらに備えていてもよい。
【0071】
また、信号G1及び信号G2は、それぞれG1GND及びG2GNDを中心とした正負の信号となる。この為、信号G1及び信号G2の値が2倍になるように(1次側と同じ電圧となるように)、パルストランス41のコイルの巻き数比が調整されてもよい。
【0072】
また、第1の絶縁ドライバ23及び第2の絶縁ドライバ24は、パルストランス41の2次側のコイルに直列に接続され、直流成分をカットするフィルタコンデンサをさらに備えていてもよい。
【0073】
また、第1の絶縁ドライバ23及び第2の絶縁ドライバ24は、フォトカプラによって信号G1G及びG2GをG1GND及びG2GND基準の信号G1及び信号G2に変換する構成であってもよい。なお、フォトカプラから出力される信号が微弱な為、バッファ回路がさらに設けられてもよい。
【0074】
また、第1の絶縁ドライバ23及び第2の絶縁ドライバ24は、ブートストラップ手法によって、フォトカプラから出力される信号を、昇圧用の直流電源により昇圧し、第2の半波スイッチS2のゲート端子に入力してもよい。例えば、信号G2がオンであるとき、G1GNDの電位は、G2GNDの電位と等しくなる。G2GND側に、昇圧用の直流電源が接続されている場合、第2の半波スイッチS2のボディダイオードを介してG1GNDにも昇圧用の直流電源の電位が供給される。その後信号G2がオフになるよ、G1GNDの電位は、G2GNDの電位と異なるものの、G1GND基準の電位が保存される。この電位を用いて、フォトカプラから出力される信号を増幅し、第1の半波スイッチS1のゲート端子に入力してもよい。
【0075】
図7は、トーテムポールPFC12を流れる電流と、交流電源ACの電圧との関係について説明する為の説明図である。
図7では、交流電源ACの電圧を示す信号ACV、極性検知の結果を示す信号ACP、第1の半波スイッチS1のゲート端子に入力される信号G1、第2の半波スイッチS2のゲート端子に入力される信号G2、第1の抵抗R1に流れる電流を示す信号IS1、及び第2の抵抗R2に流れる電流を示す信号IS2の例を示す。
図7の例では、タイミングt0乃至タイミングt1の間、極性が正(AC1>AC2)であり、タイミングt1乃至タイミングt2の間、極性が負(AC1<AC2)であり、タイミングt2以降再び極性が正(AC1>AC2)となっている。
【0076】
上記したように、極性検知回路33は、AC1>AC2である間、論理値「1」の信号ACPを出力し、AC1<AC2である間、論理値「0」の信号ACPを出力する。
【0077】
また、トーテムポールPFC12の制御回路16は、トーテムポールPFC12の出力電圧を示す信号VFBと、交流電圧を示すACVとに基づいて、目標とする電流を示す信号AIMを逐次算出する。
【0078】
制御回路16は、AC1>AC2である間、信号AIMと信号IS2との比較結果である信号IDIFに基づいて、信号PWMを生成する。即ち、制御回路16は、信号AIMと信号IS2との差が小さくなるように信号PWMを生成し、信号PWMを信号G2として第2の半波スイッチS2のゲート端子に入力する。これにより、トーテムポールPFC12は、AC1>AC2である間、信号G2により第2の半波スイッチS2をオンオフする。これにより、トーテムポールPFC12は、
図2に示される第1の状態と第2の状態とが信号G2に応じて切り替わる。第1の状態では信号IS2が増加(直線的に増加)し、第2の状態では信号IS2が減少(直線的に減少)する。トーテムポールPFC12は、パルス幅制御を行うことにより、第1の状態及び第2の状態の長さを制御する。具体的には、トーテムポールPFC12は、周波数固定で、1周期内の第1の状態の長さに相当する信号G2のONデューティを制御する。これにより、同時に1周期内の長さから第1の状態の長さを減算した第2の状態の長さも決定される。このように、トーテムポールPFC12は、第1の状態と第2の状態とを複数回切り替えつつ、信号IS2の目標波形である信号AIMと信号IS2とを近づけることができる。
【0079】
また、制御回路16は、AC1<AC2である間、信号AIMと信号IS1との比較結果である信号IDIFに基づいて、信号PWMを生成する。即ち、制御回路16は、信号AIMと信号IS1との差が小さくなるように信号PWMを生成し、信号PWMを信号G1として第1の半波スイッチS1のゲート端子に入力する。これにより、トーテムポールPFC12は、AC1<AC2である間、信号G1により第1の半波スイッチS1をオンオフする。これにより、トーテムポールPFC12は、
図2に示される第3の状態と第4の状態とが信号G1に応じて切り替わる。第3の状態では信号IS1が減少(直線的に減少)し、第4の状態では信号IS1が増加(直線的に増加)する。トーテムポールPFC12は、パルス幅制御を行うことにより、第3の状態及び第4の状態の長さを制御する。具体的には、トーテムポールPFC12は、周波数固定で、1周期内の第3の状態の長さに相当する信号G1のONデューティを制御する。これにより、同時に1周期内の長さから第3の状態の長さを減算した第4の状態の長さも決定される。
【0080】
この結果、
図7に示されるように、第2の抵抗R2から接続点Mに向かう電流が、信号IS2で示されるように、信号ACVと同位相の正弦波状になる。
【0081】
上記したように、電力変換装置1は、トーテムポール型力率改善回路(トーテムポールPFC)12と、電流検出回路17と、制御回路16とを備える。
【0082】
トーテムポールPFC12は、フィルタ回路11を介して交流電源ACの第1の端子に接続された第1のコイルL1と、第1のコイルL1にソース端子が接続された第1の半波スイッチS1と、第1の半波スイッチS1のソース端子にドレイン端子が接続された第2の半波スイッチS2と、第1の半波スイッチS1のドレイン端子にカソードが接続され、フィルタ回路11を介して交流電源ACの第2の端子にアノードが接続された第1のダイオードD1と、第2の半波スイッチS2のソース端子にアノードが接続され、フィルタ回路11を介して交流電源ACの第2の端子にカソードが接続された第2のダイオードD2と、第1のダイオードD1のカソードと、第2のダイオードD2のアノードとの間に接続された第1の平滑キャパシタC1と、を備える。
【0083】
電流検出回路17は、第1のダイオードD1のアノード及び第2のダイオードD2のカソードとの接続点と、と交流電源ACの第2の端子との間に接続された第1の電流検出器(第1の抵抗R1)と第2の電流検出器(第2の抵抗R2)との直列接続を備える。第1の電流検出器による電流の検出結果である信号IS1は、第1の抵抗から第2の抵抗との接続点に向かう電流を示す。第2の電流検出器による電流の検出結果である信号IS2は、第2の抵抗から第1の抵抗との接続点に向かう電流を示す。
【0084】
制御回路16は、信号IS1または信号IS2に基づいて、第1の半波スイッチS1及び第2の半波スイッチS2をオンオフするパルス幅制御を行う。
【0085】
このような構成によると、信号IS1と信号IS2とのいずれかが正の値として検出される。この為、電流検出回路17は、信号IS1及び信号IS2を制御回路16に直接入力することができる。この結果、簡易な構成で高効率電力変換が可能になる。
【0086】
また、制御回路16は、第1の電流検出器と第2の電流検出器との接続点の電圧であるGND電圧を基準に、交流電源ACから供給される交流電圧の極性を検出する極性検知回路33を備える。制御回路16は、極性検知回路33の検出結果に基づいて、パルス幅制御を行うスイッチを第1の半波スイッチS1と第2の半波スイッチS2とで切り替える。
【0087】
また、制御回路16は、極性検知回路33の検出結果に基づいて、パルス幅制御に用いる電流の検出結果を、第1の電流検出器による電流の検出結果と第2の電流検出器による電流の検出結果とで切り替える。
【0088】
また、制御回路16は、交流電源ACの第1の端子が正電位である場合、第2の電流検出器による電流の検出結果である信号IS2に基づいて、第2の半波スイッチS2をオンオフし、交流電源ACの第2の端子が正電位である場合、第1の電流検出器による電流の検出結果である信号IS1に基づいて、第1の半波スイッチS1をオンオフする。
【0089】
また、制御回路16は、第1の平滑キャパシタC1の両端電圧を、第1の電流検出器と第2の電流検出器との接続点の電圧であるGND電圧を基準とした電圧に変換し、変換された電圧に基づいて、パルス幅制御を行う。
【0090】
このように、電力変換装置1は、交流電源ACの電圧の極性に応じて、パルス幅制御を行うスイッチを第1の半波スイッチS1と第2の半波スイッチS2とで切り替えることにより、第1のコイルL1に流れる電流を交流電源ACの電圧の位相と同位相の正弦波状に制御することができる。この結果、電力変換装置1は、簡易な構成でリカバリ損失の低減を実現することができる。
【0091】
なお、上記の実施形態では、AC1>AC2である間、第2の半波スイッチS2をオンオフし、AC1<AC2である間、第1の半波スイッチS2をオンオフすると説明したが、この構成に限定されない。制御回路16は、AC1>AC2であり且つ第2の半波スイッチS2をオフしている間、第1の半波スイッチS1をオンし、AC1<AC2であり且つ第1の半波スイッチS1をオフしている間、第2の半波スイッチS2をオンする構成であってもよい。
【0092】
AC1>AC2であり且つ第2の半波スイッチS2をオフしている間、第1の半波スイッチS1は、ソース端子からドレイン端子に向かってボディダイオードとして機能する。また、AC1<AC2であり且つ第1の半波スイッチS1をオフしている間、第2の半波スイッチS2は、ソース端子からドレイン端子に向かってボディダイオードとして機能する。
【0093】
しかし、第1の半波スイッチS1のオン時の損失は、第1の半波スイッチS1のボディダイオードの損失よりも小さい。また、第2の半波スイッチS2のオン時の損失は、第2の半波スイッチS2のボディダイオードの損失よりも小さい。この為、上記のように、AC1>AC2であり且つ第2の半波スイッチS2をオフしている間、第1の半波スイッチS1をオンし、AC1<AC2であり且つ第1の半波スイッチS1をオフしている間、第2の半波スイッチS2をオンすることにより、トーテムポールPFC12の回路の損失を減らすことができる。
【0094】
また、同様に、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2をそれぞれMOSFETに置き換えてもよい。具体的には、第1のダイオードD1は、AC1>AC2である間オフされ、AC1<AC2である間オンされるFETのボディダイオードとして構成されてもよい。また、具体的には、第2のダイオードD2は、AC1>AC2である間オンされ、AC1<AC2である間オフされるFETのボディダイオードとして構成されてもよい。このような構成によっても、トーテムポールPFC12の回路の損失を減らすことができる。
【0095】
なお、上記の実施形態における第1の半波スイッチS1及び第2の半波スイッチS2は、高速のスイッチングのために、ワイドバンドギャップ半導体で構成されている必要があった。しかし、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2に流れる電流が交流電源ACの周波数である50Hz成分である為、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2の代わりに同期整流FETを用いる場合、比較的反応の遅いシリコン半導体で構成されたFETを用いることができる。
【0096】
第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2の代わりに同期整流FETが用いられる場合、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2のカソード側がFETのドレイン端子、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2のアノード側がFETのソース端子になるように置き換えられる。
【0097】
なお、上記の実施形態では、極性検知回路33は、信号ACVに基づいて、交流電源ACから供給される交流電圧の極性を検知し、検知結果を信号ACPとして出力する構成であると説明した。極性検知回路33は、プロセッサとプログラムを記憶したメモリとの組み合わせによって実現されてもよいし、アナログ回路により実現されてもよい。
【0098】
極性検知回路33がアナログ回路として構成される場合、例えば
図8に示されるような構成になる。
図8の例では、極性検知回路33は、制御回路16の外部に設けられ、制御回路16の第1のセレクタ37及び第2のセレクタ40に信号ACPを出力する。極性検知回路33は、例えば第3のダイオードD3、第4のダイオードD4、第1のフォトカプラPC1、第2のフォトカプラPC2、及び論理回路51を備える。
【0099】
第3のダイオードD3は、カソードがフィルタ回路11の第1の端子AC1に接続され、アノードが第1のフォトカプラPC1のカソードに接続されている。第1のフォトカプラPC1のアノードは、抵抗を介してフィルタ回路11の第2の端子AC2に接続され、コレクタはGNDに接続され、エミッタは論理回路51に接続されている。
【0100】
第4のダイオードD4は、アノードがフィルタ回路11の第1の端子AC1に接続され、カソードが第2のフォトカプラPC2のアノードに接続されている。第2のフォトカプラPC2のカソードは、抵抗を介してフィルタ回路11の第2の端子AC2に接続され、コレクタはGNDに接続され、エミッタは論理回路51に接続されている。
【0101】
上記の構成によると、第1のフォトカプラPC1は、AC1<AC2である場合にアノードからカソードに電流が流れ、論理回路51に信号P1を出力する。第2のフォトカプラPC2は、AC1>AC2である場合、アノードからカソードに電流が流れ、論理回路51に信号P2を出力する。
【0102】
論理回路51は、第2のフォトカプラPC2から信号P2が供給されている間、「1」を示す信号ACPを出力し、第1のフォトカプラPC1から信号P1が供給されている間、「0」を示す信号ACPを出力する回路である。例えば、論理回路51は、1つのNANDと2つのANDとを備える。NANDには、信号P1と信号P2とが入力される。第1のANDには、NANDの出力と信号P2とが入力される。第2のANDには、NANDの出力と信号P1とが入力される。
【0103】
この構成によると、第1のANDは、信号P2が入力され、信号P1が入力されない場合に「1」を出力する。第1のANDは、信号P2が入力されず、信号P1が入力される場合、「0」を出力する。即ち、第1のANDの出力は、信号ACPとして制御回路16の第1のセレクタ37及び第2のセレクタ40に供給される。また、第2のANDは、信号P2が入力されず、信号P1が入力される場合に「1」を出力する。第1のANDは、信号P2が入力され、信号P1が入力されない場合、「0」を出力する。即ち、第1のANDの出力は、信号ACPの反転となる。
【0104】
また、制御回路16の他の回路についても、アナログ回路ではなく、論理回路、またはプロセッサとプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0105】
例えば、第1の比較器32及び第2の比較器38は、入力される2つの信号をそれぞれAD変換などを用いてディジタル信号に変換し、ディジタル値で差分を算出する構成であってもよい。第1の比較器32及び第2の比較器38は、例えば以下のようなコードにより実現される。
Sout = f(Sin1, Sin2)
{
Sout = Sin1 - Sin2;
}
また、乗算器36は、入力される2つの信号をそれぞれAD変換などを用いてディジタル信号に変換し、ディジタル値で乗算を行う構成であってもよい。乗算器36は、例えば以下のようなコードにより実現される。
MUL = f(Sin1, Sin2)
{
MUL = Sin1 * Sin2;
}
上記したように、プロセッサとプログラムとの組み合わせによって実現する場合は、入力される信号をAD変換などを用いてディジタル信号に変換し、ディジタル値に基づいて演算を行う。さらに、後段の回路がアナログ回路である場合、DA変換などを用いてディジタル信号をアナログ信号に変換して出力してもよい。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、以下に本願の出願当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
[C1]
交流電源の第1の端子に接続されたコイルと、前記コイルにソース端子が接続された第1の半波スイッチと、前記第1の半波スイッチのソース端子にドレイン端子が接続された第2の半波スイッチと、前記第1の半波スイッチのドレイン端子にカソードが接続され、前記交流電源の第2の端子にアノードが接続された第1のダイオードと、前記第2の半波スイッチのソース端子にアノードが接続され、前記交流電源の第2の端子にカソードが接続された第2のダイオードと、前記第1のダイオードのカソードと、前記第2のダイオードのアノードとの間に接続された平滑キャパシタと、を備えるトーテムポール型力率改善回路と、
前記第1のダイオードのアノード及び第2のダイオードのカソードと、前記交流電源の第2の端子との間に接続された第1の電流検出器と第2の電流検出器との直列接続と、 前記第1の電流検出器による電流の検出結果または第2の電流検出器による電流の検出結果に基づいて、前記第1の半波スイッチ及び前記第2の半波スイッチをオンオフするパルス幅制御を行う制御回路と、
を具備する電力変換装置。
[C2]
前記制御回路は、
第1の電流検出器と第2の電流検出器との接続点の電圧であるGND電圧を基準に、前記交流電源から供給される交流電圧の極性を検出する極性検出回路を具備し、
前記極性検出回路の検出結果に基づいて、前記パルス幅制御を行うスイッチを前記第1の半波スイッチと前記第2の半波スイッチとで切り替える請求項1に記載の電力変換装置。
[C3]
前記制御回路は、前記極性検出回路の検出結果に基づいて、前記パルス幅制御に用いる電流の検出結果を、第1の電流検出器による電流の検出結果と第2の電流検出器による電流の検出結果とで切り替える請求項2に記載の電力変換装置。
[C4]
前記制御回路は、
前記交流電源の第1の端子が正電位である場合、第1の電流検出器による電流の検出結果に基づいて、前記第2の半波スイッチをオンオフし、
前記交流電源の第2の端子が正電位である場合、第2の電流検出器による電流の検出結果に基づいて、前記第1の半波スイッチをオンオフする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
[C5]
前記制御回路は、
前記平滑キャパシタの両端電圧を、第1の電流検出器と第2の電流検出器との接続点の電圧であるGND電圧を基準とした電圧に変換し、
変換された電圧に基づいて、前記パルス幅制御を行う請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
[C6]
前記制御回路は、
前記交流電源の第1の端子が正電位であり且つ前記第2の半波スイッチをオフしている間、前記第1の半波スイッチをオンし、
前記交流電源の第2の端子が正電位であり且つ前記第1の半波スイッチをオフしている間、前記第2の半波スイッチをオンする請求項5に記載の電力変換装置。
[C7]
前記第1のダイオードは、前記交流電源の第1の端子が正電位である間オンされ、前記交流電源の第2の端子が正電位である間オフされるFETのボディダイオードとして構成され、
前記第2のダイオードは、前記交流電源の第1の端子が正電位である間オフされ、前記交流電源の第2の端子が正電位である間オンされるFETのボディダイオードとして構成される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【符号の説明】
【0107】
1…電力変換装置、2…負荷回路、11…フィルタ回路、12…トーテムポール型力率改善回路、13…LLC共振回路、14…絶縁ACDC回路、15…交流電圧検出回路、16…制御回路、17…電流検出回路、21…基準電圧変換回路、22…PFC制御回路、23…第1の絶縁ドライバ、24…第2の絶縁ドライバ、31…ローパスフィルタ、32…第1の比較器、33…極性検知回路、34…電圧検出回路、35…絶対値変換回路、36…乗算器、37…第1のセレクタ、38…第2の比較器、39…PWM変換器、40…第2のセレクタ、41…パルストランス、51…論理回路、C1…第1の平滑キャパシタ、C2…第2の平滑キャパシタ、C3…第3の平滑キャパシタ、D1…第1のダイオード、D2…第2のダイオード、D3…第3のダイオード、D4…第4のダイオード、L1…第1のコイル、L2…第2のコイル、L3…第3のコイル、L4…第4のコイル、L5…第5のコイル、R1…第1の抵抗、R2…第2の抵抗、S1…第1の半波スイッチ、S2…第2の半波スイッチ、S3…スイッチング素子、S4…スイッチング素子、S5…スイッチング素子、S6…スイッチング素子。