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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】切換弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 49/00 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
F16K49/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020005703
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021113572
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】夏目 清辰
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-006407(JP,A)
【文献】実開平05-062704(JP,U)
【文献】実開昭60-007304(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22
13/02-13/08
21/14
F16K 11/00-11/24
31/06-31/11
39/00-51/02
H02K 9/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ポート、出力ポート、及び排出ポートが少なくとも形成されたボディと、
前記ボディに形成されるとともに前記供給ポート、前記出力ポート、及び前記排出ポートにそれぞれ連通する弁孔と、
前記弁孔に往復動可能に収容される弁体と、を備えている切換弁であって、
前記供給ポートに連通する供給流路、前記出力ポートに連通する出力流路、及び前記排出ポートに連通する排出流路が形成されるとともに前記ボディが載置されるベース部材と、
前記ボディを囲った状態で前記ベース部材に取り付けられるケースと、を備え、
前記ケースと前記ボディとの間には、前記ボディの周囲を通過する空冷流路が形成されており、
前記ベース部材には、
前記供給流路から分岐されて前記供給流路を流れる流体の一部が流れるとともに前記空冷流路に前記流体を供給する空冷供給ポートと、
前記空冷流路を通過した流体を大気へ排出するための空冷排出ポートと、が形成されていることを特徴とする切換弁。
【請求項2】
前記空冷供給ポートを介して前記空冷流路に供給される流体の流量を調整するための絞りを備えていることを特徴とする請求項1に記載の切換弁。
【請求項3】
前記空冷排出ポートは、前記排出ポートとは別に大気に開放されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の切換弁。
【請求項4】
前記絞りは、可変絞りであることを特徴とする請求項2に記載の切換弁。
【請求項5】
前記空冷排出ポートは、前記排出ポートとは別に大気に開放されており、
前記絞りは、前記空冷排出ポートの少なくとも一部を形成する固定絞りであることを特徴とする請求項2に記載の切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、切換弁の一種として、弁体をソレノイドによって移動させる電磁弁が開示されている。このような切換弁は、供給ポート、出力ポート、及び排出ポートが少なくとも形成されたボディを備えている。ボディには、供給ポート、出力ポート、及び排出ポートにそれぞれ連通する弁孔が形成されている。弁体は、弁孔に往復動可能に収容されている。そして、弁体は、ソレノイドによって、供給ポートと出力ポートとの連通を許容し、且つ出力ポートと排出ポートとの連通を遮断する第1切換状態と、供給ポートと出力ポートとの連通を遮断し、且つ出力ポートと排出ポートとの連通を許容する第2切換状態と、に切り換え可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-133072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出力ポートから出力される流体は、例えば、配管等を介して流体圧機器に供給されるが、切換弁を流体圧機器に極力近付けることにより、配管を短くすることができるため、出力ポートから出力される流体を流体圧機器に早く供給することができ、流体圧機器の応答時間を早くすることができる。しかしながら、例えば、流体圧機器の使用環境が高温環境下である場合、切換弁を流体圧機器に近付けるほど、切換弁が高温環境下での熱の影響を受けてしまう虞がある。なお、例えば、パイロット流体のパイロット圧によって弁体を移動させる切換弁であっても、同様な問題が起こり得る。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、高温環境下での熱の影響を受けてしまうことを抑制できる切換弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する切換弁は、供給ポート、出力ポート、及び排出ポートが少なくとも形成されたボディと、前記ボディに形成されるとともに前記供給ポート、前記出力ポート、及び前記排出ポートにそれぞれ連通する弁孔と、前記弁孔に往復動可能に収容される弁体と、を備えている切換弁であって、前記供給ポートに連通する供給流路、前記出力ポートに連通する出力流路、及び前記排出ポートに連通する排出流路が形成されるとともに前記ボディが載置されるベース部材と、前記ボディを囲った状態で前記ベース部材に取り付けられるケースと、を備え、前記ケースと前記ボディとの間には、前記ボディの周囲を通過する空冷流路が形成されており、前記ベース部材には、前記供給流路から分岐されて前記供給流路を流れる流体の一部が流れるとともに前記空冷流路に前記流体を供給する空冷供給ポートと、前記空冷流路を通過した流体を大気へ排出するための空冷排出ポートと、が形成されている。
【0007】
上記切換弁において、前記空冷供給ポートを介して前記空冷流路に供給される流体の流量を調整するための絞りを備えているとよい。
上記切換弁において、前記空冷排出ポートは、前記排出ポートとは別に大気に開放されているとよい。
【0008】
上記切換弁において、前記絞りは、可変絞りであるとよい。
上記切換弁において、前記空冷排出ポートは、前記排出ポートとは別に大気に開放されており、前記絞りは、前記空冷排出ポートの少なくとも一部を形成する固定絞りであるとよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、高温環境下での熱の影響を受けてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態における電磁弁を示す断面図。
図2】電磁弁の一部を拡大して示す断面図。
図3】電磁弁の一部を拡大して示す断面図。
図4】別の実施形態における電磁弁を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、切換弁を電磁弁に具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、電磁弁10は、ボディ11を備えている。ボディ11は、長四角ブロック状の弁ボディ12と、弁ボディ12の長手方向の一端側の端部に連結される有底長四角筒状のハウジング13と、を有している。弁ボディ12及びハウジング13は、例えば、合成樹脂材料製である。よって、弁ボディ12及びハウジング13は非磁性材製である。
【0012】
図2に示すように、弁ボディ12には、供給ポート14、出力ポート15、及び排出ポート16が形成されている。したがって、ボディ11には、供給ポート14、出力ポート15、及び排出ポート16が少なくとも形成されている。供給ポート14、出力ポート15、及び排出ポート16は、弁ボディ12の軸線方向において、この順に並んで弁ボディ12に形成されている。供給ポート14は、弁ボディ12の軸線方向において、出力ポート15よりもハウジング13とは反対側に位置している。排出ポート16は、弁ボディ12の軸線方向において、出力ポート15よりもハウジング13側に位置している。本実施形態の電磁弁10は、3ポート電磁弁である。
【0013】
弁ボディ12には、円孔状の弁孔17が形成されている。弁孔17は、供給ポート14、出力ポート15、及び排出ポート16にそれぞれ連通している。弁孔17は、孔径がそれぞれ異なる第1孔17a、第2孔17b、第3孔17c、及び第4孔17dを有している。第1孔17a、第2孔17b、第3孔17c、及び第4孔17dは、弁ボディ12におけるハウジング13とは反対側の端面からハウジング13に向けてこの順で配置されるとともに弁ボディ12の軸線方向にそれぞれ延びている。第2孔17bは、第1孔17aよりも孔径が小さい。第3孔17cは、第2孔17bよりも孔径が小さい。第4孔17dは、第2孔17b及び第3孔17cよりも孔径が大きく、且つ第1孔17aよりも孔径が小さい。
【0014】
第1孔17aと第2孔17bとは、弁ボディ12の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の第1段差面17eによって接続されている。第2孔17bと第3孔17cとは、弁ボディ12の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の第2段差面17fによって接続されている。第3孔17cと第4孔17dとは、弁ボディ12の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の第3段差面17gによって接続されている。第1孔17aは、供給ポート14及び出力ポート15に連通している。第2孔17bは、排出ポート16に連通している。また、第1孔17aにおける第2孔17bとは反対側の端部は、雌ねじ孔17hになっている。弁孔17には、弁体としてのポペット弁18が往復動可能に収容されている。
【0015】
弁ボディ12には、弁孔17におけるハウジング13とは反対側の端部を閉塞する有底円筒状のプラグ20が取り付けられている。プラグ20は、円板状の底部20aと、底部20aの周縁部から弁孔17の内周面に沿って延びる円筒状の延在部20bと、を有している。底部20aの外周面には、雌ねじ孔17hに螺合される雄ねじ20cが形成されている。プラグ20は、底部20aの雄ねじ20cが雌ねじ孔17hに螺合されることにより、弁ボディ12の弁孔17に取り付けられ、底部20aは、弁孔17におけるハウジング13とは反対側の端部を閉塞している。
【0016】
延在部20bは、供給ポート14における第1孔17aへの開口周囲を通過して、出力ポート15における第1孔17aへの開口周囲まで延びている。延在部20bの内側は、第1孔17aに連通している。延在部20bにおける供給ポート14と対向する部分には、連通孔20eが形成されている。
【0017】
延在部20bの外周面には、第1孔17aの内周面における供給ポート14と出力ポート15との間の部分と延在部20bの外周面との間をシールする円環状の第1シール部材22aが装着されている。そして、第1シール部材22aによって、第1孔17aの内周面における供給ポート14と出力ポート15との間の部分と延在部20bの外周面との間を介した供給ポート14と出力ポート15との間の流体の洩れが規制されている。
【0018】
また、延在部20bの外周面には、第1孔17aの内周面における供給ポート14よりも出力ポート15とは反対側の部分と延在部20bの外周面との間をシールする円環状の第2シール部材22bが装着されている。そして、第2シール部材22bによって、第1孔17aの内周面における供給ポート14よりも出力ポート15とは反対側の部分と延在部20bの外周面との間を介した供給ポート14からの流体の洩れが規制されている。
【0019】
延在部20bの先端面は、弁ボディ12の軸線方向において第1段差面17eと対向している。延在部20bの先端面には、円環状の第1弁座23が突設されている。第1段差面17eには、円環状の第2弁座24が突設されている。第2弁座24は、第1弁座23に向けて延びており、第1弁座23及び第2弁座24は弁ボディ12の軸線方向で互いに向き合っている。第1孔17aにおける第1弁座23と第2弁座24との間は、ポペット弁18の外周面に装着された弁部18vが収容される弁室25になっている。
【0020】
ポペット弁18は、円柱状の軸部18aと、軸部18aの外周面から突出する円環状の大径部18bと、を有している。軸部18aは、第4孔17dから第3孔17c及び第2孔17bを通過して第1孔17a内に突出し、プラグ20の延在部20b内に入り込んでいる。軸部18aの外径は、第3孔17cの孔径よりも僅かに小さい。第3孔17cの内周面は、ポペット弁18が弁ボディ12の軸線方向に移動する際に、軸部18aの外周面と摺接し、ポペット弁18における軸線方向への移動をガイドするガイド面として機能する。
【0021】
弁部18vは、ゴム製であるとともに円環状であり、大径部18bの外周面を覆うように大径部18bに装着されている。弁部18vは、ポペット弁18の軸線方向で第1弁座23及び第2弁座24の間に配置されている。弁部18vは、第1弁座23及び第2弁座24に対して接離可能になっている。
【0022】
軸部18aにおけるプラグ20側の端面には、軸部材26が取り付けられている。軸部材26は、プラグ20の延在部20b内に配置されている。軸部材26は、圧入部26aと、圧入部26aの外径よりも大径である大径部26bと、大径部26bにおける圧入部26aとは反対側に連続する軸部26cと、を有している。そして、軸部材26は、圧入部26aが、軸部18aにおけるプラグ20側の端面に形成された圧入孔18cに圧入されることにより、軸部18aに取り付けられ、ポペット弁18と一体的に移動可能である。大径部26bの外径は、延在部20bの内径とほぼ同じである。
【0023】
延在部20b内において、大径部26bとプラグ20の底部20aとの間はばね収容室27になっている。ばね収容室27には弁体ばね28が収容されている。弁体ばね28は、大径部26bとプラグ20との間に介在されている。弁体ばね28は、弁部18vが第1弁座23から離間する方向へ軸部材26及びポペット弁18を付勢している。
【0024】
大径部26bの外周面にはパッキン29が装着されている。パッキン29は、プラグ20の連通孔20eよりもプラグ20の底部20a側に位置している。そして、パッキン29によって、大径部26bの外周面と延在部20bの内周面との間を介した供給ポート14からばね収容室27への流体の洩れが規制されている。
【0025】
図3に示すように、ハウジング13は、底壁13aと、底壁13aの周縁部から筒状に延びる周壁13bと、を有している。周壁13bの軸線は、弁孔17の軸心に一致している。底壁13aには、挿通孔13cが形成されている。挿通孔13cの軸心は、周壁13bの軸線に一致している。
【0026】
ハウジング13には、磁性材製である磁気フレーム30が埋設されている。磁気フレーム30は、ハウジング13の底壁13aの内面に沿って延びる板状の底部30aと、底部30aの周縁部からハウジング13の周壁13bに沿って延びる筒状の延在部30bと、を有している。磁気フレーム30は、延在部30bがハウジング13の周壁13bに埋め込まれることにより、ハウジング13に一体化されている。延在部30bの内周面における先端側の部位は、ハウジング13の周壁13bの内周面から露出している。底部30aには雌ねじ孔30cが形成されている。雌ねじ孔30cは、挿通孔13cの内側に位置している。雌ねじ孔30cの軸心は、挿通孔13cの軸心に一致している。
【0027】
電磁弁10は、ソレノイド31を備えている。ソレノイド31は、駆動用コイル32、固定鉄心33、プランジャ34、及びプランジャばね35を有している。固定鉄心33及びプランジャ34は、磁性材製である。ハウジング13内には、駆動用コイル32が巻回された筒状のボビン36が収容されている。ボビン36の軸線は、ハウジング13の周壁13bの軸線に一致している。
【0028】
固定鉄心33は、ハウジング13内に収容されている。固定鉄心33は、軸部33aと、軸部33aの端部から軸部33aの軸線方向に対して直交する方向に突出する環状のフランジ部33bと、を有している。軸部33aは、ボビン36の内側に対してハウジング13の底壁13a側から挿入されている。軸部33aの軸線方向の長さは、ボビン36の軸線方向の長さよりも短い。軸部33aにおけるフランジ部33bとは反対側の端面は平坦面状であり、プランジャ34が吸着される吸着面33eである。したがって、固定鉄心33は、プランジャ34が吸着される吸着面33eを有している。フランジ部33bの外周面には、雄ねじ33cが形成されている。雄ねじ33cは、磁気フレーム30の雌ねじ孔30cに螺合されている。
【0029】
プランジャ34は、ボビン36の内側から弁ボディ12の弁孔17内に突出する柱状である。プランジャ34は、固定鉄心33よりも弁ボディ12側に位置している。プランジャ34の軸線は、固定鉄心33の軸部33aの軸線と一致している。プランジャ34における固定鉄心33側の端面34aは平坦面状である。プランジャ34の端面34aは、固定鉄心33の吸着面33eに面接触可能である。プランジャ34における固定鉄心33とは反対側の端面34bは、ポペット弁18に接離可能である。
【0030】
磁気フレーム30の先端側の内側には、筒状の磁性コア37が配置されている。磁性コア37は、プランジャ34の軸線方向において、ボビン36よりも弁ボディ12側に位置している。磁性コア37の外周面は、磁気フレーム30の延在部30bの内周面における先端側の部位に接触している。プランジャ34は、磁性コア37の内側を通過している。
【0031】
プランジャ34の外周面における固定鉄心33とは反対側の端部には、環状の鍔部34cが突出している。鍔部34cは、弁孔17の第4孔17dの内側に位置している。プランジャばね35は、磁性コア37とプランジャ34の鍔部34cとの間に介在されている。プランジャばね35の一端は、磁性コア37の端面に支持されるとともに、プランジャばね35の他端は、プランジャ34の鍔部34cに支持されている。プランジャばね35は、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eに対して離間する方向へプランジャ34を付勢している。プランジャばね35の付勢力は、弁体ばね28の付勢力よりも大きい。
【0032】
ボディ11は、ハウジング13に取り付けられるカバー40を有している。カバー40内には、回路基板41が収容されている。回路基板41は、駆動用コイル32と電気的に接続されている。そして、図示しない外部制御機器からの電力が回路基板41を介して駆動用コイル32に供給されるようになっている。
【0033】
図1に示すように、電磁弁10は、ベース部材50と、ケース60と、を備えている。ベース部材50は、長四角ブロック状である。ベース部材50は、ボディ11が載置される載置面50aを有している。そして、ベース部材50の載置面50aには、ボディ11が載置されている。
【0034】
ベース部材50には、供給流路51、出力流路52、及び排出流路53が形成されている。供給流路51の一端は、ベース部材50の載置面50aに開口して、供給ポート14に連通している。供給流路51の他端は、ベース部材50の載置面50aとは反対側の面に開口して、図示しない配管等を介して流体供給源65に接続されている。出力流路52の一端は、ベース部材50の載置面50aに開口して、出力ポート15に連通している。出力流路52の他端は、ベース部材50の側面に開口して、図示しない配管等を介して流体圧機器66に接続されている。排出流路53の一端は、ベース部材50の載置面50aに開口して、排出ポート16に連通している。排出流路53の他端は、ベース部材50の載置面50aとは反対側の面に開口して、図示しない配管等を介して外部に連通している。排出流路53は、大気に開放されている。したがって、排出ポート16は、排出流路53を介して大気に開放されている。
【0035】
ケース60は、有底四角筒状である。ケース60は、四角平板状のケース底壁61と、ケース底壁61の外周部から筒状に延びるケース周壁62と、を有している。ケース周壁62におけるケース底壁61とは反対側の端部は、ベース部材50の載置面50aに当接している。そして、ケース60は、ボディ11を囲った状態でベース部材50の載置面50aに取り付けられている。
【0036】
ケース60の内面、ボディ11の外面、及びベース部材50の載置面50aは、空冷流路63を区画している。したがって、ケース60とボディ11との間には、空冷流路63が形成されている。空冷流路63は、ボディ11の周囲を通過している。
【0037】
ベース部材50には、空冷供給ポート54が形成されている。空冷供給ポート54は、供給流路51から分岐されている。空冷供給ポート54の一端は、供給流路51に開口して、供給流路51に連通している。空冷供給ポート54の他端は、ベース部材50の載置面50aに開口して、空冷流路63に連通している。空冷供給ポート54には、供給流路51を流れる流体の一部が流れる。
【0038】
ベース部材50には、空冷排出ポート55が形成されている。空冷排出ポート55の一端は、ベース部材50の載置面50aに開口して、空冷流路63に連通している。空冷排出ポート55における載置面50aに対する開口位置は、弁ボディ12の軸線方向でボディ11を挟んで、空冷供給ポート54における載置面50aに対する開口位置とは反対側に位置している。空冷排出ポート55の他端は、ベース部材50の載置面50aとは反対側の面に開口して、図示しない配管等を介して外部に連通している。したがって、空冷排出ポート55は、排出ポート16とは別に大気に開放されている。そして、空冷排出ポート55は、空冷流路63を通過した流体を大気へ排出する。
【0039】
電磁弁10は、可変絞り64を備えている。可変絞り64は、ニードル弁である。ベース部材50には、可変絞り64が取り付けられる取付孔56が形成されている。取付孔56は、空冷供給ポート54に連通している。取付孔56の一部は、雌ねじ孔56aになっている。可変絞り64は、雌ねじ孔56aに螺合可能な雄ねじ部64aを有している。可変絞り64のニードル弁体64vは、空冷供給ポート54内に突出している。
【0040】
可変絞り64は、ニードル弁体64vが空冷供給ポート54内に突出するように、雄ねじ部64aが雌ねじ孔56aに螺合されることにより、取付孔56に取り付けられている。そして、可変絞り64の雄ねじ部64aにおける雌ねじ孔56aに対する螺合位置を調整することにより、ニードル弁体64vにおける空冷供給ポート54内への突出量が調整される。これにより、空冷供給ポート54を介して空冷流路63に供給される流体の流量が調整される。したがって、可変絞り64は、空冷供給ポート54を介して空冷流路63に供給される流体の流量を調整するための絞りである。
【0041】
駆動用コイル32に対する電力の供給が行われて、駆動用コイル32が励磁されると、駆動用コイル32の周りで固定鉄心33、磁気フレーム30、及び磁性コア37を通過する環状の磁気回路が形成される。そして、駆動用コイル32の励磁作用による吸引力がプランジャばね35の付勢力に打ち勝って、プランジャ34が固定鉄心33に向けて移動し、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eに吸着した状態となる。
【0042】
このプランジャ34の移動に伴い、軸部材26及びポペット弁18が、弁体ばね28の付勢力によって、弁部18vが第1弁座23から離間する方向へ移動し、弁部18vが第2弁座24に着座する。これにより、供給ポート14と出力ポート15とが、連通孔20e、延在部20bの内側、及び弁室25を介して連通し、出力ポート15と排出ポート16との連通が遮断される。したがって、ポペット弁18は、供給ポート14と出力ポート15との連通を許容し、且つ出力ポート15と排出ポート16との連通を遮断する第1切換状態となる。そして、流体供給源65からの流体が、供給流路51、供給ポート14、連通孔20e、延在部20bの内側、弁室25、出力ポート15、及び出力流路52を介して流体圧機器66に供給される。
【0043】
一方、駆動用コイル32に対する電力の供給が停止すると、駆動用コイル32の励磁作用による吸引力が消滅する。そして、プランジャばね35の付勢力によって、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の吸着面33eから離間する方向へプランジャ34が移動する。さらに、プランジャばね35の付勢力が弁体ばね28の付勢力に打ち勝つことで、プランジャ34の端面34bがポペット弁18の軸部18aに当接しながら、ポペット弁18及び軸部材26を押圧し、弁部18vが第2弁座24から離間する方向へ移動し、弁部18vが第1弁座23に着座する。これにより、出力ポート15と排出ポート16とが、弁室25及び第2孔17bを介して連通し、供給ポート14と出力ポート15との連通が遮断される。したがって、ポペット弁18は、供給ポート14と出力ポート15との連通を遮断し、且つ出力ポート15と排出ポート16との連通を許容する第2切換状態となる。そして、流体圧機器66からの流体が、出力流路52、出力ポート15、弁室25、第2孔17b、排出ポート16、及び排出流路53を介して外部に排出される。
【0044】
次に、本実施形態の作用について説明する。
ところで、電磁弁10を流体圧機器66に極力近付けることにより、電磁弁10と流体圧機器66とを接続する配管を短くすることができるため、出力ポート15から出力される流体を流体圧機器66に早く供給することができ、流体圧機器66の応答時間が早くなる。しかしながら、例えば、流体圧機器66の使用環境が高温環境下である場合、電磁弁10を流体圧機器66に近付けるほど、電磁弁10が高温環境下での熱の影響を受け易くなってしまう。
【0045】
そこで、本実施形態では、供給流路51を流れる流体の一部が、空冷供給ポート54を介して空冷流路63に常に供給されている。そして、空冷流路63に供給された流体は、空冷流路63を通過して空冷排出ポート55を介して外部へ排出される。したがって、空冷流路63内には、流体が常に流れている。つまり、電磁弁10の内部には、流体が常に空冷流路63内を流れているため、電磁弁10全体が空冷流路63内を流れる流体によって冷却される。
【0046】
可変絞り64によって、空冷供給ポート54を介して空冷流路63に供給される流体の流量が調整されているため、空冷流路63を流れる流体の流量が、電磁弁10全体を冷却するために必要十分な流量に調整されており、供給流路51から供給ポート14に向けて流れる流体の流量が過度に少なくなってしまうことが抑制されている。
【0047】
さらに、空冷供給ポート54の一部分は、可変絞り64によって流路断面積が小さくなっているため、空冷供給ポート54を通過して空冷流路63内に流出する空気は、断熱膨張する。これにより、空冷流路63内に流出する流体の温度が低下し、低温の流体となるため、電磁弁10全体が空冷流路63内を流れる低温の流体によって効率良く冷却される。したがって、電磁弁10を、高温環境下で使用される流体圧機器66に近付けたとしても、ポペット弁18の弁部18vが熱によって劣化してしまったり、ソレノイド31の駆動用コイル32が熱の影響を受けてしまったりすることが抑制される。
【0048】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ケース60とボディ11との間には、ボディ11の周囲を通過する空冷流路63が形成されている。ベース部材50には、供給流路51から分岐されて供給流路51を流れる流体の一部が流れるとともに空冷流路63に流体を供給する空冷供給ポート54と、空冷流路63を通過した流体を大気へ排出するための空冷排出ポート55と、が形成されている。これによれば、供給流路51を流れる流体の一部を、空冷供給ポート54を介して空冷流路63に常に供給することができる。そして、空冷排出ポート55が、常に大気に開放されており、空冷流路63に供給された流体は、空冷流路63を通過して空冷排出ポート55を介して外部へ排出されるため、空冷流路63内には、流体が常に流れている。したがって、電磁弁10の内部には、流体が常に空冷流路63内を流れているため、電磁弁10全体を空冷流路63内を流れる流体によって冷却することができる。その結果、電磁弁10が高温環境下での熱の影響を受けてしまうことを抑制できる。
【0049】
(2)電磁弁10は、空冷供給ポート54を介して空冷流路63に供給される流体の流量を調整するための絞りとして可変絞り64を備えている。これによれば、空冷流路63を流れる流体の流量を、電磁弁10全体を冷却するために必要十分な流量に調整することができる。また、供給流路51から供給ポート14に向けて流れる流体の流量が過度に少なくなってしまうことを抑制することができる。
【0050】
(3)空冷排出ポート55が、排出ポート16とは別に大気に開放されておらず、例えば、空冷排出ポート55が排出流路53に連通している場合を考える。この場合、ポペット弁18が、出力ポート15と排出ポート16との連通が許容されている第2切換状態に切り替わっていると、流体圧機器66からの流体であって、排出流路53を通過する流体の一部が、空冷排出ポート55を介して空冷流路63に逆流してしまう虞がある。そこで、本実施形態では、空冷排出ポート55を、排出ポート16とは別に大気に開放させた。これによれば、流体圧機器66からの流体が空冷排出ポート55を介して空冷流路63に逆流してしまうことが回避されるため、電磁弁10全体を効率良く冷却することができる。
【0051】
(4)空冷供給ポート54を介して空冷流路63に供給される流体の流量を調整するための絞りとして、可変絞り64を採用した。これによれば、空冷流路63を流れる流体の流量を容易に調整することができる。
【0052】
(5)ケース60を、ボディ11を囲った状態でベース部材50の載置面50aに取り付けるだけで、ケース60とボディ11との間に空冷流路63を形成することができる。したがって、電磁弁10の構成を簡素化することができる。
【0053】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0054】
図4に示すように、空冷排出ポート55が固定絞りとして機能していてもよい。図4に示す実施形態では、空冷排出ポート55全体が固定絞り70になっている。したがって、固定絞り70の流路断面積は、図1図3に示す実施形態の空冷排出ポート55の流路断面積よりも小さくなっている。このように、空冷排出ポート55を固定絞り70とすることにより、空冷供給ポート54を介して空冷流路63に供給される流体の流量を調整するようにしてもよい。また、空冷排出ポート55の一部分を固定絞りとしてもよい。要は、絞りは、空冷排出ポート55の少なくとも一部を形成する固定絞りであってもよい。
【0055】
・ 実施形態において、電磁弁10は、可変絞り64を備えていない構成であってもよい。
・ 実施形態において、空冷排出ポート55が、排出ポート16とは別に大気に開放されておらず、例えば、電磁弁10は、空冷排出ポート55が排出流路53に連通している構成であってもよい。
【0056】
・ 実施形態において、電磁弁10は、ボディ11に出力ポート及び排出ポートがそれぞれ2つずつ形成された5ポート電磁弁であってもよい。要は、電磁弁10は、ボディ11に、供給ポート14、出力ポート15、及び排出ポート16が少なくとも形成されている構成であればよい。
【0057】
・ 実施形態において、パイロット流体のパイロット圧によって弁体を移動させる切換弁であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…切換弁である電磁弁、11…ボディ、14…供給ポート、15…出力ポート、16…排出ポート、17…弁孔、18…弁体としてのポペット弁、50…ベース部材、51…供給流路、52…出力流路、53…排出流路、54…空冷供給ポート、55…空冷排出ポート、60…ケース、63…空冷流路、64…絞りである可変絞り、70…絞りである固定絞り。
図1
図2
図3
図4