(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】燃料電池用セパレータ部材及び燃料電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0247 20160101AFI20231107BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20231107BHJP
【FI】
H01M8/0247
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2020017606
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】大森 優
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-186165(JP,A)
【文献】特開2019-003831(JP,A)
【文献】特開2019-003830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータと、前記セパレータから外方に突出するように配置された荷重受け部材と、前記セパレータの外周部と前記荷重受け部材とを互いに接合する接合部と、を備えた燃料電池用セパレータ部材であって、
前記セパレータの外周部のうち前記接合部に隣接する部分には、前記荷重受け部材の突出方向に沿って延在した補強リブが設けられ
、
前記セパレータの外周部には、セパレータ厚さ方向と前記突出方向とに直交する方向である前記荷重受け部材の幅方向に沿って延在した幅方向リブが設けられ、
前記補強リブの突出高さは、前記幅方向リブの突出高さよりも低い、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記補強リブは、前記セパレータの外周部から前記セパレータ厚さ方向に一体的に突出成形されている、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記補強リブは、前記幅方向リブから延出している、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項4】
請求項3記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記補強リブは、
前記幅方向リブから前記接合部に向かって延出した第1延出リブと、
前記幅方向リブから前記第1延出リブの延出方向とは反対方向に延出した第2延出リブと、を有する、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項5】
請求項4記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記第1延出リブ及び前記第2延出リブのそれぞれは、前記荷重受け部材の前記幅方向に複数設けられている、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項6】
請求項3~
5のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記荷重受け部材の前記突出方向に沿った前記補強リブの長さは、前記荷重受け部材の前記幅方向に沿った前記幅方向リブの長さよりも短い、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項7】
請求項3~
6のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記荷重受け部材の前記幅方向に沿った前記補強リブの幅は、前記荷重受け部材の前記突出方向に沿った前記幅方向リブの幅よりも狭い、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記荷重受け部材には、前記補強リブが配置される切欠部が形成されている、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項9】
電解質膜の両側に電極が配設されてなる電解質膜・電極構造体と、
前記電解質膜・電極構造体の両側に配設された一組のセパレータと、を備えた燃料電池であって、
前記一組のセパレータのうちの少なくとも一方は、請求項1~
8のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ部材を形成する、燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータ部材及び燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、セパレータと、セパレータから外方に突出するように接合された荷重受け部材とを備えた燃料電池用セパレータ部材が開示されている。荷重受け部材は、その幅方向(セパレータ厚さ方向とタブの突出方向とに直交する方向)の外部荷重がセパレータに加わった際に、外部支持部材に接触することにより前記外部荷重を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荷重受け部材が外部荷重を受ける際、セパレータの外周部と荷重受け部材との接合部に応力が集中し易い。そのため、セパレータの外周部と荷重受け部材との接合強度を向上させる必要がある。
【0005】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、セパレータの外周部と荷重受け部材との接合強度の向上を図ることができる燃料電池用セパレータ部材及び燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、セパレータと、前記セパレータから外方に突出するように配置された荷重受け部材と、前記セパレータの外周部と前記荷重受け部材とを互いに接合する接合部と、を備えた燃料電池用セパレータ部材であって、前記セパレータの外周部のうち前記接合部に隣接する部分には、前記荷重受け部材の突出方向に沿って延在した補強リブが設けられている、燃料電池用セパレータ部材である。
【0007】
本発明の他の態様は、電解質膜の両側に電極が配設されてなる電解質膜・電極構造体と、前記電解質膜・電極構造体の両側に配設された一組のセパレータと、を備えた燃料電池であって、前記一組のセパレータのうちの少なくとも一方は、上述した燃料電池用セパレータ部材を形成する、燃料電池である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、セパレータの外周部のうち接合部に隣接する部位に、荷重受け部材の突出方向に延在した補強リブを設けている。そのため、当該補強リブによってセパレータの外周部と荷重受け部材との接合強度を向上させることができる。また、補強リブは、荷重受け部材の幅方向に対して垂直な方向に延在している。従って、セパレータに外部荷重が加わった際に、セパレータの外周部のうち荷重受け部材を支持する部分が変形することを効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る燃料電池用セパレータ部材を備えた燃料電池スタックの一部分解斜視図である。
【
図2】
図1の燃料電池スタックの模式的横断面図である。
【
図3】
図1の燃料電池スタックを構成する積層体の要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る燃料電池用セパレータ部材及び燃料電池について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の発電セル12(燃料電池)が積層された積層体14を備える。燃料電池スタック10は、例えば、複数の発電セル12の積層方向(矢印A方向)が燃料電池自動車の水平方向(車幅方向又は車長方向)に沿うように燃料電池自動車に搭載される。ただし、燃料電池スタック10は、複数の発電セル12の積層方向が燃料電池自動車の鉛直方向(車高方向)に沿うように燃料電池自動車に搭載されてもよい。
【0012】
積層体14の積層方向の一端には、ターミナルプレート16a、インシュレータ18a及びエンドプレート20aが、外方に向かって、順次、配設される。積層体14の積層方向の他端には、ターミナルプレート16b、インシュレータ18b及びエンドプレート20bが、外方に向かって、順次、配設される。
【0013】
ターミナルプレート16aには、出力端子22aが電気的に接続されている。ターミナルプレート16bには、出力端子22bが電気的に接続されている。各インシュレータ18a、18bは、電気的絶縁性を有する絶縁プレートである。
【0014】
各エンドプレート20a、20bは、横長の長方形状を有する。
図1及び
図2に示すように、エンドプレート20a、20bの各辺間には、連結部材24a~24d(連結バー)が配置される。各連結部材24a~24dの両端は、ボルト26によりエンドプレート20a、20bの内面に固定されている(
図1参照)。これにより、連結部材24a~24dは、燃料電池スタック10(積層体14)に積層方向(矢印A方向)の締付荷重(圧縮荷重)を付与する。
【0015】
図2において、連結部材24aは、エンドプレート20a、20bの一方の長辺の中央から一端側(矢印B1方向)にずれて位置している。連結部材24bは、エンドプレート20a、20bの他方の長辺の中央から他端側(矢印B2方向)にずれて位置している。連結部材24c、24dは、エンドプレート20a、20bの各短辺の中央に位置している。
【0016】
図1及び
図2に示すように、燃料電池スタック10は、積層体14を積層方向と直交する方向(矢印B方向及び矢印C方向)から覆うカバー部28を備えている。カバー部28は、エンドプレート20a、20bの短手方向(矢印C方向)の両端の2面を構成する横長プレート形状の一組のサイドパネル30a、30bと、エンドプレート20a、20bの長手方向(矢印B方向)の両端の2面を構成する横長プレート形状の一組のサイドパネル30c、30dとを有する。
【0017】
各サイドパネル30a~30dは、ボルト32によりエンドプレート20a、20bの側面に固定されている。カバー部28は、必要に応じて用いればよく、不要にすることもできる。カバー部28は、サイドパネル30a~30dを一体の鋳物又は一体の押出材で筒状に形成してもよい。
【0018】
図3に示すように、発電セル12は、樹脂枠付きMEA34と、樹脂枠付きMEA34を矢印A方向から挟持する第1セパレータ36及び第2セパレータ38とを有する。
【0019】
発電セル12の長辺方向である矢印B方向の一端縁部(矢印B1方向の端縁部)には、酸化剤ガス入口連通孔42a、冷却媒体入口連通孔44a及び燃料ガス出口連通孔46bが、矢印C方向に配列して設けられる。各発電セル12の酸化剤ガス入口連通孔42aは、複数の発電セル12の積層方向(矢印A方向)に互いに連通し、酸化剤ガス(例えば、酸素含有ガス)を供給する。各発電セル12の冷却媒体入口連通孔44aは、矢印A方向に互いに連通し、冷却媒体(例えば、純水、エチレングリコール、オイル等)を供給する。各発電セル12の燃料ガス出口連通孔46bは、矢印A方向に互いに連通し、燃料ガス(例えば、水素含有ガス)を排出する。
【0020】
発電セル12の矢印B方向の他端縁部(矢印B2方向の端縁部)には、燃料ガス入口連通孔46a、冷却媒体出口連通孔44b及び酸化剤ガス出口連通孔42bが、矢印C方向に配列して設けられる。各発電セル12の燃料ガス入口連通孔46aは、矢印A方向に互いに連通し、燃料ガスを供給する。各発電セル12の冷却媒体出口連通孔44bは、矢印A方向に互いに連通し、冷却媒体を排出する。各発電セル12の酸化剤ガス出口連通孔42bは、矢印A方向に互いに連通し、酸化剤ガスを排出する。
【0021】
なお、酸化剤ガス入口連通孔42a及び酸化剤ガス出口連通孔42bと燃料ガス入口連通孔46a及び燃料ガス出口連通孔46bと冷却媒体入口連通孔44a及び冷却媒体出口連通孔44bのそれぞれは、エンドプレート20aにも形成されている(
図1参照)。
【0022】
酸化剤ガス入口連通孔42a及び酸化剤ガス出口連通孔42bと燃料ガス入口連通孔46a及び燃料ガス出口連通孔46bと冷却媒体入口連通孔44a及び冷却媒体出口連通孔44bのそれぞれの大きさ、位置、形状及び数は、本実施形態に限定されるものではなく、要求される仕様に応じて、適宜設定すればよい。
【0023】
図3及び
図4に示すように、樹脂枠付きMEA34は、電解質膜・電極構造体(以下、「MEA48」という)と、MEA48の外周部に重なり部を設けて接合されるとともに該外周部を周回する樹脂枠部材50(樹脂枠部、樹脂フィルム)とを備える。
図4において、MEA48は、電解質膜52と、電解質膜52の一方の面52aに設けられたカソード電極54と、電解質膜52の他方の面52bに設けられたアノード電極56とを有する。
【0024】
電解質膜52は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜52は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用することができる。電解質膜52は、カソード電極54及びアノード電極56に挟持される。
【0025】
詳細は図示しないが、カソード電極54は、電解質膜52の一方の面52aに接合される第1電極触媒層と、当該第1電極触媒層に積層される第1ガス拡散層とを有する。第1電極触媒層は、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が、第1ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される。
【0026】
アノード電極56は、電解質膜52の他方の面52bに接合される第2電極触媒層と、当該第2電極触媒層に積層される第2ガス拡散層とを有する。第2電極触媒層は、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が、第2ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される。第1ガス拡散層及び第2ガス拡散層のそれぞれは、カーボンペーパ、カーボンクロス等からなる。
【0027】
電解質膜52の平面寸法は、カソード電極54及びアノード電極56のそれぞれの平面寸法よりも小さい。カソード電極54の外周縁部とアノード電極56の外周縁部とは、樹脂枠部材50の内周縁部を挟持している。樹脂枠部材50は、反応ガス(酸化剤ガス及び燃料ガス)が不透過に構成されている。樹脂枠部材50は、MEA48の外周側に設けられている。
【0028】
樹脂枠付きMEA34は、樹脂枠部材50を用いることなく、電解質膜52を外方に突出させるように形成してもよい。また、樹脂枠付きMEA34は、外方に突出した電解質膜52の両側に枠形状のフィルムを設けるように形成してもよい。
【0029】
図3において、第1セパレータ36及び第2セパレータ38は、金属製であって、長方形状(四角形状)に形成されている。第1セパレータ36及び第2セパレータ38は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、或いはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属薄板の断面を波形にプレス成形して構成される。第1セパレータ36と第2セパレータ38とは、互いに重ねた状態で外周を溶接、ろう付け、かしめ等により一体に接合され、接合セパレータ39を構成する。第1セパレータ36は、後述する燃料電池用セパレータ部材11を形成する。
【0030】
図3及び
図4に示すように、第1セパレータ36のMEA48に向かう面36aには、酸化剤ガス入口連通孔42aと酸化剤ガス出口連通孔42bとに連通する酸化剤ガス流路58が設けられる。酸化剤ガス流路58は、矢印B方向に直線状に延在する複数の酸化剤ガス流路溝60を有する。各酸化剤ガス流路溝60は、矢印B方向に波状に延在してもよい。
【0031】
第1セパレータ36には、樹脂枠付きMEA34と第1セパレータ36との間から外部への流体(酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体)の漏出を防止する第1シール部62が設けられている。第1シール部62は、第1セパレータ36の外周部を周回し、各連通孔(酸化剤ガス入口連通孔42a等)を周回する。第1シール部62は、セパレータ厚さ方向(矢印A方向)から見て直線状に延在している。ただし、第1シール部62は、セパレータ厚さ方向から見て波状に延在してもよい。
【0032】
図4において、第1シール部62は、第1セパレータ36に一体成形された第1金属ビード部64と、第1金属ビード部64に設けられた第1樹脂材66とを有する。第1金属ビード部64は、第1セパレータ36から樹脂枠部材50に向かって突出している。第1金属ビード部64の横断面形状は、第1金属ビード部64の突出方向に向かって先細り形状となる台形形状である。第1樹脂材66は、第1金属ビード部64の突出端面に印刷又は塗布等により固着された弾性部材である。第1樹脂材66は、例えば、ポリエステル繊維で構成される。
【0033】
図3及び
図4に示すように、第2セパレータ38のMEA48に向かう面38aには、燃料ガス入口連通孔46aと燃料ガス出口連通孔46bとに連通する燃料ガス流路68が設けられる。燃料ガス流路68は、矢印B方向に延在する複数の燃料ガス流路溝70を有する。各燃料ガス流路溝70は、矢印B方向に波状に延在してもよい。
【0034】
第2セパレータ38には、樹脂枠付きMEA34と第2セパレータ38との間から外部への流体(酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体)の漏出を防止する第2シール部72が設けられている。第2シール部72は、第2セパレータ38の外周部を周回し、各連通孔(酸化剤ガス入口連通孔42a等)を周回する。第2シール部72は、セパレータ厚さ方向(矢印A方向)から見て直線状に延在している。ただし、第2シール部72は、セパレータ厚さ方向から見て波状に延在してもよい。
【0035】
図4において、第2シール部72は、第2セパレータ38に一体成形された第2金属ビード部74と、第2金属ビード部74に設けられた第2樹脂材76とを有する。第2金属ビード部74は、第2セパレータ38から樹脂枠部材50に向かって突出している。第2金属ビード部74の横断面形状は、第2金属ビード部74の突出方向に向かって先細り形状となる台形形状である。第2樹脂材76は、第2金属ビード部74の突出端面に印刷又は塗布等により固着された弾性部材である。第2樹脂材76は、例えば、ポリエステル繊維で構成される。
【0036】
第1シール部62及び第2シール部72は、セパレータ厚さ方向から見て互いに重なるように配置されている。そのため、燃料電池スタック10に締付荷重(圧縮荷重)が付与された状態で、第1金属ビード部64及び第2金属ビード部74のそれぞれが弾性変形(圧縮変形)する。また、この状態で、第1シール部62の突出端面(第1樹脂材66)が樹脂枠部材50の一方の面50aに気密及び液密に接触するとともに第2シール部72の突出端面(第2樹脂材76)が樹脂枠部材50の他方の面50bに気密及び液密に接触する。
【0037】
第1樹脂材66は、第1金属ビード部64ではなく、樹脂枠部材50の一方の面50aに設けられてもよい。第2樹脂材76は、第2金属ビード部74ではなく、樹脂枠部材50の他方の面50bに設けられてもよい。また、第1樹脂材66及び第2樹脂材76の少なくともいずれかは、省略されてもよい。第1シール部62及び第2シール部72は、メタルビードシールではなく、弾性を有するゴムシール部材で形成されてもよい。
【0038】
図3及び
図4において、第1セパレータ36の面36bと第2セパレータ38の面38bとの間には、冷却媒体入口連通孔44aと冷却媒体出口連通孔44bとに連通する冷却媒体流路78が設けられる。冷却媒体流路78は、矢印B方向に直線状に延在する複数の冷却媒体流路溝80を有する。冷却媒体流路78は、酸化剤ガス流路58の裏面形状と燃料ガス流路68の裏面形状とによって形成される。
【0039】
図2及び
図3に示すように、燃料電池用セパレータ部材11は、第1セパレータ36と、第1セパレータ36に設けられた2つの荷重受け部材82a、82bとを備える。
【0040】
図2、
図3及び
図5において、第1セパレータ36には、2つの第1支持部84a、84bが設けられている。第1支持部84aは、第1セパレータ36の一方の長辺(外周部)から外方(矢印C1方向)に向かって突出している。第1支持部84aは、連結部材24aに対向するように第1セパレータ36の一方の長辺の中央よりも第1セパレータ36の一端側(矢印B1方向)にずれて位置している。第1支持部84aは、プレス成形により第1セパレータ36の外周部に一体的に設けられている。第1支持部84aは、荷重受け部材82aを支持する。
【0041】
図2及び
図3において、第1支持部84bは、第1セパレータ36の他方の長辺(外周部)から外方(矢印C2方向)に向かって突出している。第1支持部84bは、連結部材24bに対向するように第1セパレータ36の他方の長辺の中央よりも第1セパレータ36の他端側(矢印B2方向)にずれて位置している。第1支持部84bは、プレス成形により第1セパレータ36の外周部に一体的に設けられている。
【0042】
燃料電池用セパレータ部材11では、第1支持部84a、84bと第1セパレータ36とを別部材として形成し、第1支持部84a、84bを第1セパレータ36に対して接合してもよい。第1支持部84a、84bは、第1セパレータ36の外周部から外方に突出していなくてもよい。
【0043】
図5及び
図6において、荷重受け部材82aは、第1セパレータ36の外周部から矢印C1方向に向かって外方に突出するように第1セパレータ36の外周部(第1支持部84a)に設けられている。荷重受け部材82aは、金属板88(芯金)と、金属板88の一部を被覆する樹脂部材90とを有する。荷重受け部材82aは、インサート成形によって成形される。
【0044】
金属板88の構成材料としては、第1セパレータ36及び第2セパレータ38を構成する材料と同様のものが挙げられる。金属板88は、第1支持部84aに固定される取付部92と、取付部92に連結して第1セパレータ36の外方に突出したベース部94とを含む。
【0045】
取付部92は、略長方形状に形成されており、矢印B方向に延びている。取付部92は、樹脂部材90から露出している。取付部92は、第1支持部84aにおける樹脂枠付きMEA34が位置する側の面(第2支持部86aとは反対側の面)に配置されている。取付部92は、接合部96aによって第1支持部84aに接合されている。接合部96aは、矢印B方向に延在している。接合部96aは、スポット溶接、レーザ溶接、MIG溶接、TIG溶接、ろう付け等によって形成される。
【0046】
図6において、ベース部94は、その全面が樹脂部材90によって被覆されている。ベース部94と樹脂部材90とは、第1セパレータ36の外周部(第1支持部84a)から矢印C1方向に向かって外方に突出したタブ98を形成する。荷重受け部材82aのタブ98は、連結部材24aに形成された凹部100a内に挿入されている(
図5参照)。なお、連結部材24aは、カバー部28に対して一体的に形成されてもよい。連結部材24bについても同様である。
【0047】
図5に示すように、タブ98の中央部には、燃料電池スタック10の製造時に各燃料電池用セパレータ部材11を位置決めするためのロッド106が挿通される円形状の位置決め孔108が形成されている。なお、ロッド106は、各燃料電池用セパレータ部材11の位置決めが完了した後で位置決め孔108から抜き取られてもよいし、位置決め孔108に残されてもよい。
【0048】
樹脂部材90は、ベース部94と連結部材24aとの間の電気的な接続を遮断する。樹脂部材90としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0049】
図2及び
図3に示すように、荷重受け部材82bは、上述した荷重受け部材82aと同様に構成されている。換言すれば、荷重受け部材82bは、荷重受け部材82aを矢印C2方向に反転した形状を有する。そのため、荷重受け部材82bの詳細な構成の説明については省略する。なお、荷重受け部材82bのタブ98は、連結部材24bに形成された凹部100b内に挿入されている(
図2参照)。
【0050】
また、荷重受け部材82bの取付部92は、第1支持部84bにおける樹脂枠付きMEA34が位置する側の面(第2支持部86bとは反対側の面)に配置されている。荷重受け部材82bの取付部92は、接合部96bによって第1支持部84bに接合されている。接合部96bは、接合部96aと同様に形成される。
【0051】
図3、
図5及び
図6において、第1セパレータ36には、リブ構造110a、110bが設けられている。リブ構造110a、110bは、第1セパレータ36をプレス成形することによって形成される。リブ構造110a、110bは、第1セパレータ36の外周部からセパレータ厚さ方向(樹脂枠部材50が位置する方向)に一体的に突出成形されている。リブ構造110a、110bは、第1金属ビード部64の突出方向に沿って突出している。リブ構造110aは、第1シール部62と荷重受け部材82aの取付部92との間に位置している。
【0052】
図5及び
図6に示すように、リブ構造110aは、幅方向リブ112及び補強リブ113を含む。幅方向リブ112は、荷重受け部材82a(タブ98)の幅方向(矢印B方向)に沿って延在している。幅方向リブ112は、接合部96aの延在方向(矢印B方向)に沿って直線状に延在している。幅方向リブ112は、荷重受け部材82aの取付部92に沿って取付部92と略同じ長さだけ矢印B方向に延在している。
【0053】
幅方向リブ112は、第1セパレータ36から樹脂枠部材50に向かって突出した第1周壁部118と、第1周壁部118の突出端に設けられた第1頂部120とを有する。第1周壁部118は、矢印C方向に互いに対向する一対の側壁部122a、122bと、矢印B方向に互いに対向する一対の端壁部124a、124bとを含む。
【0054】
側壁部122aは、側壁部122bよりも第1セパレータ36の外側に位置する。一対の側壁部122a、122bのそれぞれは、矢印B方向に延在している。一対の側壁部122a、122bは、側壁部122a、122bの突出方向に向かって互いに近づくように台形状にセパレータ厚さ方向(矢印A方向)に対して傾斜している(
図5参照)。
【0055】
端壁部124aは、一対の側壁部122a、122bの一端同士を互いに連結する。端壁部124bは、一対の側壁部122a、122bの他端同士を互いに連結する。各端壁部124a、124bは、側壁部122a、122bの延在方向の外方に向かって円弧状に突出している。
【0056】
第1頂部120は、矢印B方向に沿って延在している。幅方向リブ112の突出端面は、平坦状に形成されている。ただし、幅方向リブ112の突出端面は、円弧状に膨出してもよい。幅方向リブ112の突出端面は、樹脂枠部材50の一方の面50aに接触している。
【0057】
補強リブ113は、複数の第1延出リブ114と、複数の第2延出リブ116とを含む。複数の第1延出リブ114は、幅方向リブ112の側壁部122aから第1セパレータ36の外方(荷重受け部材82aの突出方向)に向かって延出している。第1延出リブ114の延出端部は、円弧状に形成されている。
【0058】
複数の第1延出リブ114は、矢印B方向に等間隔に設けられている。複数の第1延出リブ114は、互いに同一の形状及び大きさを有している。ただし、複数の第1延出リブ114は、矢印B方向に互いに異なる間隔で設けられてもよい。また、複数の第1延出リブ114は、互いに異なる形状及び大きさを有してもよい。
【0059】
各第1延出リブ114は、第1セパレータ36から樹脂枠部材50に向かって突出した第2周壁部126と、第2周壁部126の突出端に設けられた第2頂部128とを有する。第2周壁部126及び第2頂部128のそれぞれは、幅方向リブ112の側壁部122aに連結している。第1延出リブ114の突出高さH2は、幅方向リブ112の突出高さH1よりも短い(
図5参照)。つまり、第2頂部128は、第1頂部120よりも第1セパレータ36側に位置する。
【0060】
荷重受け部材82aの突出方向に沿った各第1延出リブ114の長さL2(矢印C方向の長さ)は、荷重受け部材82aの幅方向に沿った幅方向リブ112の長さL1(矢印B方向の長さ)よりも短い。荷重受け部材82aの幅方向に沿った第1延出リブ114の幅W2(矢印B方向に沿った立上り部の幅)は、荷重受け部材82aの突出方向に沿った幅方向リブ112の幅W1(矢印C方向に沿った立上り部の幅)よりも狭い。
【0061】
各第1延出リブ114は、取付部92に形成された複数の切欠部130のそれぞれに配置されている。切欠部130は、第1延出リブ114の数と同じ数だけ設けられている。各切欠部130は、取付部92のタブ98とは反対側の側面92aに開口している。換言すれば、各切欠部130は、取付部92の側面92aから接合部96aに向かって延在している。各切欠部130は、
図6において、U字を上下反転させた形状を有する。複数の第1延出リブ114は、第1セパレータ36の外周部のうち接合部96aに隣接する部分に設けられている。
【0062】
複数の第2延出リブ116は、幅方向リブ112の側壁部122bから第1セパレータ36の内方(荷重受け部材82aの突出方向とは反対方向)に向かって延出している。複数の第2延出リブ116は、矢印B方向に等間隔に設けられている。複数の第2延出リブ116は、互いに同一の形状及び大きさを有している。ただし、複数の第2延出リブ116は、矢印B方向に互いに異なる間隔で設けられてもよい。また、複数の第2延出リブ116は、互いに異なる形状及び大きさを有してもよい。
【0063】
第2延出リブ116は、第1延出リブ114の中心線CL1上に位置する。第1延出リブ114の中心線CL1は、第1延出リブ114の幅方向(矢印B方向)の中心を通るとともに矢印C方向に平行な線である。詳細には、第2延出リブ116の中心線CL2は、第1延出リブ114の中心線CL1の延長線上に位置する。第2延出リブ116の中心線CL2は、第2延出リブ116の幅方向(矢印B方向)の中心を通るとともに矢印C方向に平行な線である。
【0064】
各第2延出リブ116は、第1セパレータ36から樹脂枠部材50に向かって突出した第3周壁部132と、第3周壁部132の突出端に設けられた第3頂部134とを有する。第3周壁部132及び第3頂部134のそれぞれは、幅方向リブ112の側壁部122bに連結している。
図5において、第2延出リブ116の突出高さH3は、幅方向リブ112の突出高さH1よりも低い。つまり、第3頂部134は、第1頂部120よりも第1セパレータ36側に位置する。第2延出リブ116の突出高さH3は、第1延出リブ114の突出高さH2と同じである。ただし、第2延出リブ116の突出高さH3は、第1延出リブ114の突出高さH2に対して低くても高くてもよい。
【0065】
荷重受け部材82aの突出方向に沿った各第2延出リブ116の長さL3(矢印C方向の長さ)は、荷重受け部材82aの幅方向に沿った幅方向リブ112の長さL1(矢印B方向の長さ)よりも短い。具体的に、第2延出リブ116の長さL3は、第1延出リブ114の長さL2と同じである。ただし、長さL2と長さL3は、互いに異なってもよい。
【0066】
荷重受け部材82aの幅方向に沿った第2延出リブ116の幅W3(矢印B方向に沿った立上り部の幅)は、荷重受け部材82aの突出方向に沿った幅方向リブ112の幅W1(矢印C方向に沿った立上り部の幅)よりも狭い。具体的に、第2延出リブ116の幅W3は、第1延出リブ114の幅W2と同じである。ただし、幅W2と幅W3とは、互いに異なってもよい。
【0067】
図5及び
図6に示すように、各第2延出リブ116は、上述した第1延出リブ114と同様に形成されている。ただし、第2延出リブ116の数、大きさ及び形状は、第1延出リブ114の数、大きさ及び形状と異なってもよい。第2延出リブ116は、第1延出リブ114の中心線CL1から矢印B方向にずれた位置(中心線CL1に重ならない位置)に設けられてもよい。第1延出リブ114の数は、1つであってもよい。第2延出リブ116の数は、1つであってもよい。第2延出リブ116は、省略されてもよい。
【0068】
図2及び
図3に示すように、リブ構造110bは、第1シール部62と荷重受け部材82bの取付部92との間に位置している。リブ構造110bは、上述したリブ構造110aと同様に構成されている。そのため、リブ構造110bの詳細な構成の説明については省略する。
【0069】
第2セパレータ38には、2つの第2支持部86a、86bが設けられている。第2支持部86aは、第2セパレータ38の一方の長辺(外周部)から外方(矢印C1方向)に向かって突出している。第2支持部86aは、第1支持部84aに対向している。第2支持部86aは、プレス成形により第2セパレータ38の外周部に一体的に設けられている。第2支持部86aは、第1支持部84aに接触して荷重受け部材82aを支持する。
【0070】
図3において、第2支持部86bは、第2セパレータ38の他方の長辺(外周部)から外方(矢印C2方向)に向かって突出している。第2支持部86bは、第1支持部84bに対向している。第2支持部86bは、プレス成形により第2セパレータ38の外周部に一体的に設けられている。第2支持部86bは、第1支持部84bに接触して荷重受け部材82bを支持する。
【0071】
なお、第2支持部86a、86bと第2セパレータ38とを別部材として形成し、第2支持部86a、86bを第2セパレータ38に対して接合してもよい。第2支持部86a、86bは、第2セパレータ38の外周部から外方に突出していなくてもよい。
【0072】
第2セパレータ38には、リブ構造136a、136bが設けられている。リブ構造136a、136bは、上述したリブ構造110a、110bと同様に構成されている。そのため、リブ構造136a、136bの詳細な構成の説明については省略する。リブ構造110aとリブ構造136aとは、セパレータ厚さ方向から見て互いに重なるように位置している。リブ構造110bとリブ構造136bとは、セパレータ厚さ方向から見て互いに重なるように位置している。
【0073】
燃料電池スタック10に締付荷重(圧縮荷重)が付与された状態で、リブ構造110a、110bを形成する幅方向リブ112の突出端面が樹脂枠部材50の一方の面50aに接触するとともにリブ構造136a、136bを形成する幅方向リブ112の突出端面が樹脂枠部材50の他方の面50bに接触する。この際、各リブ構造110a、110b、136a、136bには、締付荷重が作用しない。すなわち、各リブ構造110a、110b、136a、136bは、弾性変形しない。そのため、リブ構造110a、110b、136a、136bによって、第1シール部62及び第2シール部72の面圧が抜けることはない。なお、燃料電池スタック10に締付荷重が付与された状態でリブ構造110a、110b、136a、136bを形成する補強リブ113の突出端面は、樹脂枠部材50に対して離間している。
【0074】
次に、このように構成される燃料電池スタック10の動作について説明する。
【0075】
まず、
図1に示すように、酸化剤ガスは、エンドプレート20aの酸化剤ガス入口連通孔42aに供給される。燃料ガスは、エンドプレート20aの燃料ガス入口連通孔46aに供給される。冷却媒体は、エンドプレート20aの冷却媒体入口連通孔44aに供給される。
【0076】
酸化剤ガスは、
図3に示すように、酸化剤ガス入口連通孔42aから第1セパレータ36の酸化剤ガス流路58に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路58に沿って矢印B方向に移動し、MEA48のカソード電極54に供給される。
【0077】
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔46aから第2セパレータ38の燃料ガス流路68に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路68に沿って矢印B方向に移動し、MEA48のアノード電極56に供給される。
【0078】
従って、各MEA48では、カソード電極54に供給される酸化剤ガスと、アノード電極56に供給される燃料ガスとが、電気化学反応により消費されて、発電が行われる。
【0079】
次いで、カソード電極54に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔42bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード電極56に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔46bに沿って矢印A方向に排出される。
【0080】
また、冷却媒体入口連通孔44aに供給された冷却媒体は、第1セパレータ36と第2セパレータ38との間に形成された冷却媒体流路78に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、MEA48を冷却した後、冷却媒体出口連通孔44bから排出される。
【0081】
本実施形態では、外部から燃料電池スタック10に矢印B方向の外部荷重が加わると、荷重受け部材82aのタブ98が連結部材24aの凹部100aを形成する壁面に接触するとともに荷重受け部材82bのタブ98が連結部材24bの凹部92bを形成する壁面に接触する。すなわち、荷重受け部材82a、82bは、矢印B方向の外部荷重を受ける。これにより、燃料電池用セパレータ部材11が矢印B方向に位置ずれすることが抑えられる。
【0082】
本実施形態に係る燃料電池用セパレータ部材11及び発電セル12(燃料電池)は、以下の効果を奏する。
【0083】
第1セパレータ36の外周部のうち接合部96a、96bに隣接する部分には、荷重受け部材82a、82bの突出方向に沿って延在した補強リブ113が設けられている。
【0084】
このような構成によれば、補強リブ113によって第1セパレータ36の外周部と荷重受け部材82a、82bとの接合強度を向上させることができる。また、補強リブ113は、荷重受け部材82a、82bに対する外部荷重の入力方向(矢印B方向)に対して垂直な方向(矢印C方向)に延在している。従って、燃料電池スタック10に外部荷重が加わった際に、第1セパレータ36の外周部のうち荷重受け部材82a、82bを支持する部分(第1支持部84a、84b)が変形することを効果的に抑えることができる。
【0085】
補強リブ113は、第1セパレータ36の外周部からセパレータ厚さ方向に一体的に突出成形されている。
【0086】
このような構成によれば、第1セパレータ36の外周部と荷重受け部材82a、82bとの接合強度を一層向上させることができる。
【0087】
第1セパレータ36の外周部には、荷重受け部材82a、82bの幅方向に沿って延在した幅方向リブ112が設けられ、補強リブ113は、幅方向リブ112から荷重受け部材82a、82bの突出方向に沿って延出している。
【0088】
このような構成によれば、第1セパレータ36の外周部と荷重受け部材82a、82bとの接合強度をより一層向上させることができる。
【0089】
補強リブ113は、幅方向リブ112から接合部96a(接合部96b)に向かって延出した第1延出リブ114と、幅方向リブ112から第1延出リブ114の延出方向とは反対方向に延出した第2延出リブ116とを有する。
【0090】
このような構成によれば、第1セパレータ36の外周部と荷重受け部材82a、82bとの接合強度を効果的に向上させることができる。
【0091】
第1延出リブ114及び第2延出リブ116のそれぞれは、荷重受け部材82a、82bの幅方向に複数設けられている。
【0092】
このような構成によれば、第1セパレータ36の外周部と荷重受け部材82a、82bとの接合強度を一層効果的に向上させることができる。
【0093】
補強リブ113の突出高さH2、H3は、幅方向リブ112の突出高さH1よりも低い。
【0094】
このような構成によれば、幅方向リブ112と補強リブ113との間に段差が形成されるため、リブ構造110a、110bの剛性を効果的に高めることができる。
【0095】
荷重受け部材82a、82bには、補強リブ113が配置される切欠部130が形成されている。
【0096】
このような構成によれば、補強リブ113を接合部96a、96bの近くに配置し易くすることができる。換言すれば、荷重受け部材82a、82bにおける取付部92の接合部96a、96bから取付部92の側面92aまでの距離を比較的長くすることができる。これにより、荷重受け部材82a、82bのセパレータ厚さ方向の倒れを抑えることができる。
【0097】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0098】
荷重受け部材82a、82bは、第1セパレータ36ではなく第2セパレータ38の第2支持部86a、86bに設けられてもよい。また、荷重受け部材82a、82bは、第1セパレータ36の第1支持部84a、84bに加えて第2セパレータ38の第2支持部86a、86bに設けられてもよい。荷重受け部材82a、82bは、第1セパレータ36の外周部(第1支持部84a、84b)と第2セパレータ38の外周部(第2支持部86a、86b)との間に位置してもよい。
【0099】
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0100】
上記実施形態は、セパレータ(36)と、前記セパレータから外方に突出するように配置された荷重受け部材(82a、82b)と、前記セパレータの外周部と前記荷重受け部材とを互いに接合する接合部(96a、96b)と、を備えた燃料電池用セパレータ部材(11)であって、前記セパレータの外周部のうち前記接合部に隣接する部分には、前記荷重受け部材の突出方向に沿って延在した補強リブ(113)が設けられている、燃料電池用セパレータ部材を開示している。
【0101】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記補強リブは、前記セパレータの外周部からセパレータ厚さ方向に一体的に突出成形されてもよい。
【0102】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記セパレータの外周部には、前記セパレータ厚さ方向と前記荷重受け部材の突出方向とに直交する方向である前記荷重受け部材の幅方向に沿って延在した幅方向リブ(112)が設けられ、前記補強リブは、前記幅方向リブから延出してもよい。
【0103】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記補強リブは、前記幅方向リブから前記接合部に向かって延出した第1延出リブ(114)と、前記幅方向リブから前記第1延出リブの延出方向とは反対方向に延出した第2延出リブ(116)と、を有してもよい。
【0104】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記第1延出リブ及び前記第2延出リブのそれぞれは、前記荷重受け部材の前記幅方向に複数設けられてもよい。
【0105】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記補強リブの突出高さ(H2、H3)は、前記幅方向リブの突出高さ(H1)よりも低くてもよい。
【0106】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記荷重受け部材の前記突出方向に沿った前記補強リブの長さ(L2、L3)は、前記荷重受け部材の前記幅方向に沿った前記幅方向リブの長さ(L1)よりも短くてもよい。
【0107】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記荷重受け部材の前記幅方向に沿った前記補強リブの幅(W2、W3)は、前記荷重受け部材の前記突出方向に沿った前記幅方向リブの幅(W1)よりも狭くてもよい。
【0108】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記荷重受け部材には、前記補強リブが配置される切欠部(130)が形成されてもよい。
【0109】
上記実施形態は、電解質膜(52)の両側に電極(54、56)が配設されてなる電解質膜・電極構造体(48)と、前記電解質膜・電極構造体の両側に配設された一組のセパレータ(36、38)と、を備えた燃料電池(12)であって、前記一組のセパレータのうちの少なくとも一方は、上述した燃料電池用セパレータ部材を形成する、燃料電池を開示している。
【符号の説明】
【0110】
10…燃料電池スタック 11…燃料電池用セパレータ部材
12…発電セル(燃料電池) 36…第1セパレータ
38…第2セパレータ 48…MEA(電解質膜・電極構造体)
52…電解質膜 54…カソード電極
56…アノード電極 82a、82b…荷重受け部材
96a、96b…接合部
110a、110b、136a、136b…リブ構造
112…幅方向リブ 113…補強リブ
114…第1延出リブ 116…第2延出リブ