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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】燃料タンク、及び船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20231107BHJP
   B63B 25/08 20060101ALI20231107BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20231107BHJP
   B63B 11/04 20060101ALI20231107BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20231107BHJP
   F17C 13/08 20060101ALI20231107BHJP
   F17C 13/12 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B63B25/16 P
B63B25/08 N
B63H21/38 B
B63B11/04 B
F02M37/00 301D
F02M37/00 321A
F17C13/08 302B
F17C13/12 302Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020033058
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021133855
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 智
(72)【発明者】
【氏名】上田 伸
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 友朗
(72)【発明者】
【氏名】奥田 恒一
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222110(JP,A)
【文献】特開平07-052870(JP,A)
【文献】特開2019-151291(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0098387(KR,A)
【文献】欧州特許出願公開第02572974(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/16
B63B 25/08
B63H 21/38
B63B 11/04
F02M 37/00
F17C 13/08
F17C 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載される燃料タンクであって、
前記船舶の航行に使用される燃料が貯蔵される貯蔵空間が形成される貯蔵部と、
前記燃料が流通する配管部であって、前記貯蔵空間と連通するとともに前記貯蔵部の底部から下方に延在する配管部と、
前記貯蔵部の前記底部から前記配管部が延在する方向において最初に前記配管部に設けられる弁と、
前記貯蔵部の前記底部から少なくとも前記弁までを気密可能に覆う防壁部と、を備え、
前記防壁部は、前記貯蔵部よりも下方で、前記船舶の一部である防壁部設置部に設置される、ことを特徴とする燃料タンク。
【請求項2】
前記防壁部設置部は、前記貯蔵部の前記底部に面する設置面を含み、
前記防壁部の一部は前記設置面から構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク。
【請求項3】
前記防壁部設置部は甲板である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料タンク。
【請求項4】
前記貯蔵部は、前記防壁部設置部に設置された複数のサドルに載置されており、
前記複数のサドルは、前記貯蔵部と固定される固定サドルと前記貯蔵部と当接する当接サドルとを含み、
前記配管部は、前記当接サドルよりも前記固定サドルに近い前記貯蔵部の前記底部から下方に延在している、ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の燃料タンク。
【請求項5】
前記防壁部は、上下方向に直交する断面の面積が前記防壁部と前記貯蔵部とが接続する接続部分で最も小さくなるように構成される、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の燃料タンク。
【請求項6】
前記防壁部は、上側防壁部と前記上側防壁部より下方に位置する下側防壁部とに2分割され、
前記上側防壁部には第1フランジ部が形成され、
前記下側防壁部には第2フランジ部が形成され、
前記第1フランジ部は前記第2フランジ部に固定可能に構成される、ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の燃料タンク。
【請求項7】
前記上側防壁部は、前記下側防壁部より上下方向に直交する断面の面積が小さい、ことを特徴とする請求項6に記載の燃料タンク。
【請求項8】
前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との間には、伸縮自在な継ぎ手が設けられる、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の燃料タンク。
【請求項9】
前記配管部の前記貯蔵部側の一端は、前記貯蔵部内に位置する、ことを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の燃料タンク。
【請求項10】
前記配管部の前記貯蔵部側の一端に取り付けられ、前記燃料の流通によって前記燃料に混入する異物を除去可能に構成された第1ストレーナを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の燃料タンク。
【請求項11】
前記貯蔵部の前記底部には、前記底部の内面の一部から陥没することで陥没空間を区画する陥没部が設けられ、
前記配管部の前記貯蔵部側の一端は前記陥没空間内に位置する、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の燃料タンク。
【請求項12】
前記陥没空間を上方から覆い、前記燃料の流通によって前記燃料に混入する異物を除去可能に構成された第2ストレーナを含む、ことを特徴とする請求項11に記載の燃料タンク。
【請求項13】
船舶に搭載される燃料タンクであって、
燃料が貯蔵される貯蔵部と、
前記貯蔵部の底部から下方に延在し、前記燃料が流通する配管部と、
前記貯蔵部の前記底部から前記配管部が延在する方向において最初に前記配管部に設けられる弁と、
前記貯蔵部の前記底部から少なくとも前記弁までを気密可能に覆う防壁部と、を備え、
前記防壁部は、前記貯蔵部よりも下方で、前記船舶の一部である防壁部設置部に設置され、且つ上下方向に直交する断面の面積が前記防壁部と前記貯蔵部とが接続する接続部分で最も小さくなるように構成される、ことを特徴とする燃料タンク。
【請求項14】
船舶に搭載される燃料タンクであって、
燃料が貯蔵される貯蔵部と、
前記貯蔵部の底部から下方に延在し、前記燃料が流通する配管部と、
前記貯蔵部の前記底部から前記配管部が延在する方向において最初に前記配管部に設けられる弁と、
前記貯蔵部の前記底部から少なくとも前記弁までを気密可能に覆う防壁部と、を備え、
前記防壁部は、前記貯蔵部よりも下方で、前記船舶の一部である防壁部設置部に設置され、且つ上側防壁部と前記上側防壁部より下方に位置する下側防壁部とに2分割され、
前記上側防壁部には第1フランジ部が形成され、
前記下側防壁部には第2フランジ部が形成され、
前記第1フランジ部は前記第2フランジ部に固定可能に構成される、ことを特徴とする燃料タンク。
【請求項15】
船舶に搭載される燃料タンクであって、
燃料が貯蔵される貯蔵部と、
前記貯蔵部の底部から下方に延在し、前記燃料が流通する配管部と、
前記貯蔵部の前記底部から前記配管部が延在する方向において最初に前記配管部に設けられる弁と、
前記貯蔵部の前記底部から少なくとも前記弁までを気密可能に覆う防壁部と、を備え、
前記防壁部は、前記貯蔵部よりも下方で、前記船舶の一部である防壁部設置部に設置され、
前記配管部の前記貯蔵部側の一端は、前記貯蔵部内に位置し、
前記配管部の前記貯蔵部側の一端に取り付けられ、前記燃料の流通によって前記燃料に混入する異物を除去可能に構成された第1ストレーナを含む、ことを特徴とする燃料タンク。
【請求項16】
船舶に搭載される燃料タンクであって、
燃料が貯蔵される貯蔵部と、
前記貯蔵部の底部から下方に延在し、前記燃料が流通する配管部と、
前記貯蔵部の前記底部から前記配管部が延在する方向において最初に前記配管部に設けられる弁と、
前記貯蔵部の前記底部から少なくとも前記弁までを気密可能に覆う防壁部と、を備え、
前記防壁部は、前記貯蔵部よりも下方で、前記船舶の一部である防壁部設置部に設置され、
前記貯蔵部の前記底部には、前記底部の内面の一部から陥没することで陥没空間を区画する陥没部が設けられ、
前記配管部の前記貯蔵部側の一端は前記陥没空間内に位置する、ことを特徴とする燃料タンク。
【請求項17】
請求項1から16の何れか一項に記載の燃料タンクを搭載した、ことを特徴とする船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料タンク、及び燃料タンクが搭載される船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶に搭載される燃料タンクには、液化天然ガス(LNG)や液化プロパンガス(LPG)等の液化ガスを貯蔵するための貯蔵部が設けられる場合がある。貯蔵部には、貯蔵部内に液化ガスを注入したり、貯蔵部内から液化ガスを排出したりするための配管が接続されている。特許文献1には、液化ガスを貯蔵する貯蔵部と、貯蔵部に貯蔵された液化ガスが主機に向かって流通する配管と、を備える船舶が開示されている。
【0003】
船舶に燃料タンクを搭載する場合には、低温の液化ガスによる熱収縮を考慮して、貯蔵部はサドル上に載置することが多い。また、配管の延在方向において、配管上で最も貯蔵部に近い位置に設けられる弁(第1弁)までを気密に覆う防壁を設ける必要がある。この防壁内にはタンクコネクションスペース(TCS)と呼ばれる空間が形成されている。万一、燃料タンクと第1弁の接続部から液化ガスが漏洩したとしても、TCS内に格納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-176900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管は、貯蔵部の底部から下方に向かって延在している場合がある。これにより、液化ガスの排出時に液化ガスの重力を利用することが可能となり、ポンプの設置台数を削減できることが知られている。この場合、上述したように第1弁までを防壁で気密に覆うために、防壁も貯蔵部の底部から延在する、即ち吊り下げ構造となることとなる。防壁は気密性を担保する必要がある。また、防壁は貯蔵部から漏洩した低温・高圧の液化ガスを格納した際にも有意な変形を防止する構造とすることも求められる。このためには、防壁は肉厚を厚くすると共に防壁同士を堅固に組み合わせる必要がある、また、貯蔵部の下方にTCSを設ける空間が必要となることで、サドルを固定する床面等から貯蔵部の載置位置までの高さが高くなる。貯蔵部の大容量化に伴い、TCSの容量も大きくする必要があるため、前記高さは更に高くする必要もある。船体動揺に伴い貯蔵部等が受ける加速度は、前記高さが高いほど大きくなる。よって、貯蔵部や配管等の健全性を確保するためには、貯蔵部の支持構造をより強靱にする必要がある。つまり、特許文献1のような構成において求められる対応は、燃料タンクの高コスト化、重量化に繋がることとなる。
【0006】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、船舶に搭載され、貯蔵部の底部から配管が延在する燃料タンクにおいて、より廉価で且つ軽量にて貯蔵部を構成することで、より健全性を確保することができる燃料タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る燃料タンクは、船舶に搭載される燃料タンクであって、燃料が貯蔵される貯蔵部と、前記貯蔵部の底部から下方に延在し、前記燃料が流通する配管部と、前記貯蔵部の前記底部から前記配管部が延在する方向において最初に前記配管部に設けられる弁と、前記貯蔵部の前記底部から少なくとも前記弁までを気密可能に覆う防壁部と、を備え、前記防壁部は、前記貯蔵部よりも下方で、前記船舶の一部である防壁部設置部に設置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の燃料タンクによれば、防壁部は、貯蔵部よりも下方で、船舶の一部である防壁部設置部に設置されるので、防壁部を防壁部設置部で下方から支持することができる。このため、防壁部が防壁部設置部に設置されず、貯蔵部に吊り下げられる場合と比較して、廉価で且つ軽量にて防壁部を構成することが可能となるため、より燃料タンクの健全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る燃料タンクの構成を示した概略図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態に係る燃料タンクの構成を示した概略図である。
図4】本開示の第1実施形態の第1変形例に係る燃料タンクの構成を示した概略図である。
図5】本開示の第1実施形態の第2変形例に係る燃料タンクの構成を示した概略図である。
図6】本開示の第1実施形態の第3変形例に係る防壁部の構成を示した図であって、防壁部の説明のために燃料タンクの構成の一部を拡大した図である。
図7】本開示の第1実施形態の第4変形例に係る防壁部の構成を示した図であって、防壁部の説明のために燃料タンクの構成の一部を拡大した図である。
図8】本開示の第1実施形態の第5変形例に係る配管部の構成を示した図であって、配管部の説明のために燃料タンクの構成の一部を拡大した図である。
図9】本開示の第1実施形態の第6変形例に係る貯蔵部の底部の構成を示した図であって、貯蔵部の底部の説明のために燃料タンクの構成の一部を拡大した図である。
図10】第6変形例の別の実施形態に係る貯蔵部の底部の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態による燃料タンク、及びこの燃料タンクが搭載される船舶について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0011】
<第1実施形態>
図1及び図2を参照して、本開示の第1実施形態に係る燃料タンク1の構成について説明する。図1に示すように、燃料タンク1は、船舶100に搭載されるものである。この燃料タンク1は、貯蔵部2と、配管部4と、第1弁6と、防壁部8と、を備える。本開示では、船舶100の船尾から船首に向かう方向を前方とし、船舶100の船首から船尾に向かう方向を後方とする。
【0012】
貯蔵部2は、内部に貯蔵空間3が形成され、この貯蔵空間3内に燃料Fが貯蔵されるものである(図2参照)。このような貯蔵部2は、前後方向に延びる円筒形状を有しており、一重殻構造で構成されている。貯蔵部2は、前後方向に沿って並んで配置される2つのサドル10A,10Bに載置されている。貯蔵部2と2つのサドル10A,10Bとの間には、断熱材14が配置されている。サドル10A,10Bは、船舶100の船体7の上甲板12(防壁部設置部)上に設置されている。ここで上甲板12とは、船体の主要部を構成する最上層の全通甲板である。貯蔵部2に貯蔵される燃料Fは船舶100の航行のために使用可能なものであり、LNGやLPGの液化ガスが例示される。
【0013】
貯蔵部2は、後方側に位置する後方サドル10A(固定サドル)に固定されている。本固定手段は、例えば、貯蔵部2の下部に凸部を設けて後方サドル10Aの前後から挟み込む構造や、両者をボルトによって固定する構造などが採られる。また、貯蔵部2は、前方側に位置する前方サドル10B(当接サドル)と当接している。尚、貯蔵部2を固定するサドルは、後方サドル10Aに限定されず、前方サドル10Bでも構わない。固定サドルは、熱収縮に伴う前後方向への貯蔵部2の変位に伴い配管部4に生じる応力の影響を考慮して、当接サドルよりも配管部4の貯蔵部2の下方から延在する箇所に近いサドルであることが望ましい。
【0014】
配管部4は、貯蔵部2の底部5(下壁面)から下方に延在する。配管部4は、貯蔵部2(貯蔵部2の底部5)と燃料調整部20とを接続可能となっている。燃料調整部20は、貯蔵部2(燃料タンク1)から供給された燃料Fに、圧縮、気化、調圧などの処理を行った後、不図示のエンジンに供給する。
【0015】
第1弁6は、配管部4に設けられた一つ以上の弁のうち、貯蔵部2の底部5から配管部4が延在する延在方向Dにおいて最も貯蔵部2に近いものである。第1弁6は、配管部4を流通する燃料Fの流通量を調節可能である。
【0016】
防壁部8は、防壁により箱状に形成されており、その内部に格納空間9(タンクコネクションスペース)を形成している。防壁部8は、貯蔵部2の底部5から少なくとも第1弁6までを気密可能に覆っている。防壁部8は、貯蔵部2よりも下方で、船舶100の一部である上甲板12(防壁部設置部)に設置される。つまり、第1実施形態では、防壁部8は、第1弁6と、配管部4のうち上甲板12より上方に位置する部分を気密可能に覆っている。第1実施形態においては、上甲板12の一部を防壁部8の防壁として機能させることもできる。具体的には、防壁部8を設置した箇所における貯蔵部2の底部5に面する上甲板12の上面(設置面)を箱状体の一面として機能させることができる。また、この防壁部8は、貯蔵部2に貯蔵される燃料Fの温度に応じて適切な材料で構成されている。例えば、燃料FがLNGである場合には特に低温靭性に優れるステレンス鋼、9%ニッケル鋼などで構成される。また、燃料FがLPGである場合には比較的低コストである低温用鋼材などで構成される。尚、図3に示すように、幾つかの実施形態では、防壁部8は少なくともその一部を上甲板12に配した防壁部設置体13(防壁部設置部)に設置しても構わない。この防壁部設置体13は、例えば、上甲板12の上に設置した台である。この際、防壁部設置体13の一部を防壁部8の防壁として機能させることもできる。
【0017】
第1実施形態によれば、防壁部8は、貯蔵部2よりも下方で、船舶100の上甲板12または防壁部設置体13に設置されるので、防壁部8を下方から支持することができる。更に、上甲板12や防壁部設置体13の一部を防壁部8として利用することもできる。このため、防壁部8が貯蔵部2に吊り下げられる場合よりも、廉価で且つ軽量にて貯蔵部2の健全性を確保することができる燃料タンク1を提供することが可能となる。
【0018】
尚、第1実施形態では、配管部4は、貯蔵部2から燃料Fを排出するための配管であったが、本開示はこの実施形態に限定されない。配管部4は、貯蔵部2に燃料Fを注入するための配管であってもよいし、貯蔵部2への燃料Fの注入・排出の両方が可能に構成される配管であってもよい。また、第1実施形態では2つのサドル10A,10Bは、船舶100の船体7の上甲板12上に設置されているとしたが、本開示はこの実施形態に限定されない。上甲板12上に設けられた構造物の上に2つのサドル10A,10Bの少なくとも一方が設けられる場合も同様に成り立つ。更に、第1実施形態ではサドル10A,10Bは2つの場合を示したが、本開示はこの実施形態に限定されない。貯蔵部2の前後方向寸法に応じて任意の員数を設けることでも構わない。更に、第1実施形態では、防壁部8は、前後方向において、後方サドル10Aと前方サドル10Bとの間に位置しているとしたが、本開示はこの実施形態に限定されない。防壁部8は2つのサドル10A,10Bの間以外に位置させても構わない。更に、第1実施形態では、防壁部8は、単一の配管部4を覆うように構成されているとしたが、本開示はこの実施形態に限定されない。防壁部8は、複数の配管部4を覆うように構成されてもよい。
【0019】
(第1変形例)
図4を参照して、本開示の第1実施形態の第1変形例に係る燃料タンク1について説明する。第1実施形態では、防壁部8は、上甲板12上に設置されていたが、本開示は第1実施形態に限定されない。第1変形例において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0020】
図4に示すように、防壁部8は、船舶100の船体7の下方甲板22(防壁部設置部)上に設置されている。ここで下方甲板22とは、上甲板12よりも下層に位置する甲板である。便宜上、上甲板12と下方甲板22を共に甲板と総称する。つまり、防壁部8の一部が船体7の内部に挿入されている。貯蔵部2の容量は、例えば、船舶100の航行距離を確保するために可能な限り大きくすることが好ましい。この際、第1弁6や配管部4の配管直径なども大型化することとなる。この場合、格納空間9に要求される容積も大きくなり、大型の防壁部8を設ける必要がある。尚、格納空間9に要求される容積は、貯蔵部2の有する耐圧性や耐温性によっても変化する、特に、貯蔵部2が高い耐圧性を有する場合には、燃料Fが漏洩した際の漏洩量が多くなる可能性があるため、格納空間9の容積をさらに大きくする必要がある。
【0021】
貯蔵部2や防壁部8を大型化するために2つのサドル10A,10Bの高さ(上下方向の寸法)を大きくすると、つまりは貯蔵部2が嵩上げされると、例えば、船体7が動揺したときの貯蔵部2の船幅方向への加速度が大きくなる。このため、従来では、2つのサドル10A,10Bに追加して貯蔵部2を支持する別の支持部材を設けたり、2つのサドル10A,10Bを補強したりする場合がある。しかしながら、第1変形例の構成によれば、貯蔵部2や防壁部8が大型化したとしても、防壁部8の一部が船体7の内部に挿入されるので、貯蔵部2は嵩上げされず、上述したような支持部材の設置や2つのサドル10A,10Bの補強を行わなくて済む。また、2つのサドル10A,10Bの高さを小さくすることができる。このため、本実施形態においては貯蔵部2を大容量化させた場合においても、廉価で且つ軽量にて貯蔵部2の健全性を確保することができる燃料タンク1を提供することが可能となる。
【0022】
尚、第1変形例では、防壁部8は下方甲板22上に設置されるとしたが、本開示はこの実施形態に限定されない。下方甲板22に設けられた不図示の防壁部設置体(防壁部設置部)に設置する場合でも同様に成り立つ。防壁部設置体としては設置台などが例示される。また、防壁部8の防壁の一部は、下方甲板22や防壁部設置体を使用する場合でも同様に成立する。
【0023】
(第2変形例)
図5を参照して、本開示の第1実施形態の第2変形例に係る燃料タンク1について説明する。第2変形例は、第1変形例で説明した防壁部8の構成をさらに限定したものであるが、それ以外の構成は第1変形例で説明した構成と同じである。第2変形例において、第1変形例の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。尚、第2変形例は第1実施形態で説明した防壁部8の構成をさらに限定したものであってもよい。
【0024】
図5に示すように、防壁部8は、上下方向に直交する断面(以下、断面Sとする)の面積が防壁部8と貯蔵部2とが接続する接続部分24で最も小さくなるように構成される。本実施形態では、防壁部8は、小径部8a及び大径部8bで構成されている。小径部8aは、貯蔵部2の底部5に接続され、小径部8aの断面Sの形状を維持して貯蔵部2の底部5から下方に延びる部分である。大径部8bは、小径部8aの断面Sの面積を拡げて小径部8aの先端から下方に延びる部分である。
【0025】
第2変形例の構成によれば、熱収縮や船体動揺によって貯蔵部2の底部5が変位した際に、貯蔵部2と防壁部8の接続箇所に生じる応力を低減することができる。尚、断面Sの面積が接続部分24で最も小さくなるのであれば、本開示は第2変形例に限定されない。例えば、小径部8aは、テーパー状など、下方に向かうにつれて断面Sの面積が大きくなるように構成されてもよい。
【0026】
(第3変形例)
図6を参照して、本開示の第1実施形態の第3変形例に係る燃料タンク1について説明する。第3変形例は、第2変形例で説明した防壁部8の構成をさらに限定したものであるが、それ以外の構成は第2変形例で説明した構成と同じである。尚、第3変形例は第1実施形態や第1変形例で説明した防壁部8の構成をさらに限定したものであってもよい。
【0027】
図6に示すように、防壁部8は、上側防壁部26と上側防壁部26より下方に位置する下側防壁部28とに2分割されている。本実施形態では、小径部8aが上部8cと下部8dとに2分割されており、小径部8aの上部8cが上側防壁部26として、小径部8aの下部8dと大径部8bが下側防壁部28として構成されている。つまり、上側防壁部26(小径部8aの上部8c)は、下側防壁部28の一部(大径部8b)より上下方向に直交する断面の面積が小さい。また、配管部4には、防壁部8内に位置し、上述した第1弁6を取り付けるための第1弁用フランジ部27が形成されている。ここで、配管部4の第1弁用フランジ部27は、第2フランジ部32よりも下方に位置させることができる。本実施形態では、配管部4の第1弁用フランジ部27は、防壁部8の大径部8b内に位置している。以下では、配管部4のうち第1弁用フランジ部27より延在方向Dの上流側の部分を上流側配管部4aとする。尚、本実施形態では、小径部8aは断面Sの形状を維持しているが、小径部8aの上部8cと下部8dとで互いに異なる断面の形状を有していてもよい。この場合、上側防壁部26は、下側防壁部28の上下方向に直交する断面のうち最も小さい断面の面積より小さくてもよい。また、幾つかの実施形態では、不図示ではあるが、第1弁用フランジ部27の外径は、防壁部8の小径部8aの下部8dの内径以上であってもよい。
【0028】
上側防壁部26の下端部には第1フランジ部30が形成され、下側防壁部28の上端部には第2フランジ部32が形成される。そして、ボルト33等の締結部材によって第1フランジ部30と第2フランジ部32とを締結することで、第2フランジ部32は第1フランジ部30に固定されている。尚、第1フランジ部30が形成される位置は、上側防壁部26の下端部に限定されない。第1フランジ部30は、上側防壁部26の任意の位置に形成される。同様に、第2フランジ部32が形成される位置は、下側防壁部28の上端部に限定されない。第2フランジ部32は、下側防壁部28の任意の位置に形成される。
【0029】
第3変形例の構成によれば、上側防壁部26と下側防壁部28を容易に分離することができる。このため、貯蔵部2に対する配管部4、第1弁6及び防壁部8の初期組み立て時及びメンテナンス時の作業効率を高くすることができる。特に、配管部4の第1弁用フランジ部27を第2フランジ部32よりも下方に位置させることで、第1弁6のメンテナンス効率を高くすることが可能となる。更に、小径部8aの上部8cにおける断面Sを配管部4の断面近くまで小さくできるため、貯蔵部2と防壁部8の接続箇所に生じる応力を可能な限り低減することが可能となる。
【0030】
(第4変形例)
図7を参照して、本開示の第1実施形態の第4変形例に係る燃料タンク1について説明する。第4変形例は、第3変形例で説明した防壁部8の構成をさらに限定したものであるが、それ以外の構成は第3変形例で説明した構成と同じである。
【0031】
図7に示すように、第1フランジ部30と第2フランジ部32との間には、上下方向に伸縮自在な継ぎ手34が設けられる。継ぎ手34は、例えばベローズであって、複数の山折り部35及び谷折り部36が交互に形成される蛇腹形状を有するものである。また、継ぎ手34の上端部は、ボルト38等の締結部材によって第1フランジ部30と締結されている。同様に、継ぎ手34の下端部は、ボルト40等の締結部材によって第2フランジ部32と締結されている。継ぎ手34は金属や有機材(例:ラバー、樹脂)等で構成される。
【0032】
第4変形例の構成によれば、船体動揺等による下側防壁部28に生じる変位は継ぎ手34で吸収される。このため、貯蔵部2と防壁部8の接続箇所に生じる応力をより低減することができる。また、貯蔵部2に対する配管部4、第1弁6及び防壁部8の初期組み立て時及びメンテナンス時の作業効率を高くすることもできる。尚、継ぎ手34はベロー構造体に限定されない。例えばスリーブ型伸縮管継手など、伸縮自在な継ぎ手であれば他の手段であっても構わない。
【0033】
(第5変形例)
図8を参照して、本開示の第1実施形態の第5変形例に係る燃料タンク1について説明する。第5変形例は、第4変形例で説明した配管部4の構成をさらに限定したものであるが、それ以外の構成は第4変形例で説明した構成と同じである。尚、第5変形例は第1実施形態や第1変形例~第3変形で説明した配管部4の構成をさらに限定したものであってもよい。
【0034】
図8に示すように、配管部4の貯蔵部2側の一端42は、貯蔵部2内(貯蔵空間3内)に位置する。配管部4の一端42に形成された気密用フランジ部44は、貯蔵空間3を気密にすることができる気密試験用フランジ(不図示)を着脱可能であるように構成される。また、この気密用フランジ部44は、燃料Fの流通によって燃料Fに混入する異物を除去可能に構成された第1ストレーナ45が取り付けられるように構成される。本実施形態では、第1ストレーナ45は、ボルト47等の締結部材によって気密用フランジ部44と締結されている。尚、第1ストレーナ45は配管部4の一端42に直接取り付けられてもよい。
【0035】
第5変形例の構成によれば、配管部4の一端42は貯蔵部2内に位置しているので、燃料Fに粒子状の異物が混入されていたとしても、貯蔵部2内に挿入されている配管部4の一部が貯蔵部2内の異物の移動を堰き止め、異物が貯蔵部2から排出されることを抑制することができる。
【0036】
ところで、船舶100に燃料タンク1を搭載するときに、第1弁6が第1弁用フランジ部27に取り付けられることが多い。そして、第1弁6の取り付け後に、上流側配管部4aの気密性が試験される。この気密試験は、ポンプなどによって圧送されたガスで上流側配管部4aの内部を加圧することで行われるが、上流側配管部4aは貯蔵空間3と連通しているため、従来からの気密試験では貯蔵空間3全体にガスを注入する必要があり、多くの時間を要していた。しかしながら、第5変形例によれば、気密試験時に、気密用フランジ部44に気密試験用フランジを取り付けることで、貯蔵空間3にガスを注入することなく、上流側配管部4aの気密性を試験することができる。このため、気密試験を行うのに必要となる時間を大幅に減らすことができる。
【0037】
また、第5変形例の構成によれば、気密用フランジ部44に第1ストレーナ45が取り付けられるので、貯蔵部2から燃料Fを排出する際に、貯蔵部2から燃料Fとともに異物が排出されることを抑制することができる。
【0038】
(第6変形例)
図9を参照して、本開示の第1実施形態の第6変形例に係る燃料タンク1について説明する。第6変形例は、第5変形例で説明した貯蔵部2の底部5の構成をさらに限定したものであるが、それ以外の構成は第5変形例で説明した構成と同じである。尚、第6変形例は第1実施形態や第1変形例~第4変形で説明した貯蔵部2の底部5の構成をさらに限定したものであってもよい。
【0039】
図9に示すように、貯蔵部2の底部5には、貯蔵部2の底部5の内面46の一部46aから陥没することで陥没空間48を区画する陥没部50が設けられ、配管部4の一端42は陥没空間48内に位置する。図9に示した実施形態では、気密用フランジ部44及び第1ストレーナ45も陥没空間48内に位置している。
【0040】
陥没部50は、陥没空間48を下方から囲う下壁部52と、この下壁部52の周縁から上方に向かって延在し陥没空間48を上下方向とは交差する方向から囲う側壁部54と、を備える。下壁部52は配管部4によって貫通されている。側壁部54には上側防壁部26が接続されており、この上側防壁部26の外周縁に第1フランジ部30が形成されている。
【0041】
配管部4の一端42が貯蔵部2内に位置するように構成されると、貯蔵部2から燃料Fを排出することができる燃料Fの水位が上がる。このため、貯蔵部2から全ての燃料Fを排出することができず、燃料Fの一部が貯蔵部2に残ってしまう虞がある。この点、第6変形例の構成によれば、配管部4の一端42は、底部5の内面46の一部46aから陥没することで区画された陥没空間48内に位置するので、燃料Fの大部分を貯蔵部2から排出することができ、貯蔵部2に残る燃料Fの量を非常に小さくすることができる。
【0042】
図10に示すように、第6変形例の別の実施形態では、陥没空間48を上方から覆い、燃料Fの流通によって燃料Fに混入する異物を除去可能に構成された第2ストレーナ56をさらに含んでもよい。本実施形態では、側壁部54の内面には第2ストレーナ用フランジ部58が形成されている。そして、ボルト60のような締結部材によって第2ストレーナ56と第2ストレーナ用フランジ部58とを締結することで、第2ストレーナ56は第2ストレーナ用フランジ部58上に固定されている。
【0043】
このような構成によれば、第2ストレーナ56は陥没空間48を上方から覆うので、貯蔵部2から燃料Fを排出する際に、異物が陥没空間48に移動することを防止し、貯蔵部2から燃料Fとともに異物が排出されることを抑制することができる。尚、貯蔵部2の底部5に陥没空間48を区画する陥没部50が設けられるのであれば、陥没空間48を上方から覆うように第2ストレーナ56を設けることが可能であるため、本開示は第6変形例の別の実施形態に限定されない。つまり、気密用フランジ部44や第1ストレーナ45は第2ストレーナ56を設けるための必須の構成とはなっていない。
【0044】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0045】
(1)本開示に係る燃料タンク(1)は、船舶(100)に搭載される燃料タンクであって、燃料(F)が貯蔵される貯蔵部(2)と、前記貯蔵部の底部(5)から下方に延在し、前記燃料が流通する配管部(4)と、前記貯蔵部の前記底部から前記配管部が延在する方向において最初に前記配管部に設けられる弁(6)と、前記貯蔵部の底部(5)から少なくとも前記弁までを気密可能に覆う防壁部(8)と、を備え、前記防壁部は、前記貯蔵部よりも下方で、前記船舶の一部である防壁部設置部(12、13、22)に設置される。
【0046】
上記(1)に記載の構成によれば、防壁部は、貯蔵部よりも下方で、船舶の一部である防壁部設置部に設置されるので、防壁部を下方から支持することができる。このため、防壁部が防壁部設置部に設置されず、貯蔵部に吊り下げられる場合と比較して、廉価で且つ軽量にて防壁部を構成することが可能となるため、より燃料タンクの健全性を確保することができる。
【0047】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、前記防壁部設置部は、前記貯蔵部の前記底部に面する設置面を含み、前記防壁部の一部は前記設置面から構成される。
【0048】
上記(2)に記載の構成によれば、防壁部設置部の一部を防壁部として機能させることができる。
【0049】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の構成において、前記防壁部設置部は、甲板(12、22)である。
【0050】
上記(3)に記載の構成によれば、甲板に防壁部を設置することは比較的容易なので、廉価で且つ軽量にて防壁部を構成することを容易に実現することができる。
【0051】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)の何れか1つに記載の構成において、前記貯蔵部は、前記防壁部設置部に設置された複数のサドル(10A、10B)に載置されており、前記複数のサドルは、前記貯蔵部と固定される固定サドル(10A)と前記貯蔵部に当接する当接サドル(10B)とを含み、前記配管部は、前記当接サドルよりも前記固定サドルに近い前記貯蔵部の前記底部から下方に延在している。
【0052】
上記(4)に記載の構成によれば、貯蔵部の底部の変位は当接サドルよりも固定サドルに近い方が小さいので、配管部に生じる応力を小さくすることができる。
【0053】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)の何れか1つに記載の構成において、前記防壁部は、上下方向に直交する断面の面積が前記防壁部と前記貯蔵部とが接続する接続部分(24)で最も小さくなるように構成される。
【0054】
上記(5)に記載の構成によれば、熱収縮や船体動揺によって貯蔵部の底部が変位した際に、貯蔵部と防壁部の接続箇所に生じる応力を低減することができる。
【0055】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)の何れか1つに記載の構成において、前記防壁部は、上側防壁部(26)と前記上側防壁部より下方に位置する下側防壁部(28)とに2分割され、前記上側防壁部には第1フランジ部(30)が形成され、前記下側防壁部には第2フランジ部(32)が形成され、前記第1フランジ部は前記第2フランジ部に固定可能に構成される。
【0056】
上記(6)に記載の構成によれば、上側防壁部と下側防壁部を容易に分離することができる。このため、防壁部の初期組み立て時及びメンテナンス時の作業効率を高くすることができる。
【0057】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)に記載の構成において、上側防壁部は、下側防壁部より上下方向に直交する断面の面積が小さい。
【0058】
上記(7)に記載の構成によれば、上側防壁部の断面を配管部の断面近くまで小さくできるため、貯蔵部と防壁部の接続箇所に生じる応力を可能な限り低減することが可能となる。
【0059】
(8)幾つかの実施形態では、上記(6)又は(7)に記載の構成において、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との間には、伸縮自在な継ぎ手(34)が設けられる。
【0060】
上記(8)に記載の構成によれば、船体動揺等による下側防壁部に生じる変位は継ぎ手で吸収されるので、貯蔵部と防壁部の接続箇所に生じる応力をより低減することができる。
【0061】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)から(8)の何れか1つに記載の構成において、前記配管部の前記貯蔵部側の一端(42)は、前記貯蔵部内に位置する。
【0062】
上記(9)に記載の構成によれば、配管部の一端は貯蔵部内に位置しているので、燃料に粒子状の異物が混入されていたとしても、貯蔵部から燃料を排出する際に、貯蔵部内に挿入されている配管部の一部が異物の移動を堰き止め、貯蔵部から異物が排出されることを抑制することができる。
【0063】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の構成において、前記配管部の前記貯蔵部側の一端に取り付けられ、前記燃料の流通によって前記燃料に混入する異物を除去可能に構成された第1ストレーナ(45)を含む。
【0064】
上記(10)に記載の構成によれば、配管部の一端に第1ストレーナが取り付けられるので、貯蔵部から燃料を排出する際に、貯蔵部から燃料とともに異物が排出されることを抑制することができる。又は、貯蔵部に燃料を注入する際に、配管部から燃料とともに異物が貯蔵部内に注入されることを抑制することができる。
【0065】
(11)幾つかの実施形態では、上記(9)又は(10)に記載の構成において、前記貯蔵部の前記底部には、前記底部の内面(46)の一部(46a)から陥没することで陥没空間(48)を区画する陥没部(50)が設けられ、前記配管部の前記貯蔵部側の一端は前記陥没空間内に位置する。
【0066】
配管部の一端が貯蔵部内に位置するように構成されると、貯蔵部から燃料を排出することができる燃料の水位が上がる。このため、貯蔵部から全ての燃料を排出することができず、燃料の一部が貯蔵部に残ってしまう虞がある。しかしながら、上記(11)に記載の構成によれば、配管部の一端は、底部の内面の一部から陥没することで区画された陥没空間内に位置するので、燃料の大部分を貯蔵部から排出することができ、貯蔵部内に残る燃料の量を小さくすることができる。
【0067】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)に記載の構成において、前記陥没空間を上方から覆い、前記燃料の流通によって前記燃料に混入する異物を除去可能に構成された第2ストレーナ(56)を含む。
【0068】
上記(12)に記載の構成によれば、第2ストレーナは陥没空間を上方から覆うので、貯蔵部から燃料を排出する際に、異物が陥没空間に移動することを防止し、貯蔵部から燃料とともに異物が排出されることを抑制することができる。又は、貯蔵部に燃料を注入する際に、貯蔵部内において異物が陥没空間以外の空間に侵入することを抑制することができる。
【0069】
(13)幾つかの実施形態では、船舶(100)は、上記(1)から(12)の何れか1つに記載の燃料タンクを搭載する。
【0070】
上記(13)に記載の構成によれば、貯蔵部の底部から配管が延在する燃料タンクにおいて、より廉価で且つ軽量にて貯蔵部を構成することで、より健全性を確保することができる船舶を提供することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 燃料タンク
2 貯蔵部
3 貯蔵空間
4 配管部
4a 上流側配管部
5 貯蔵部の底部
6 第1弁(弁)
7 船体
8 防壁部
9 格納空間
10A 後方サドル(固定サドル)
10B 前方サドル(当接サドル)
12 上甲板(防壁部設置部)
14 断熱材
20 燃料調整部
22 下方甲板(防壁部設置部)
26 上側防壁部
27 第1弁用フランジ部
28 下側防壁部
30 第1フランジ部
32 第2フランジ部
34 継ぎ手
35 山折り部
36 谷折り部
44 気密用フランジ部
45 第1ストレーナ
46 貯蔵部の底部の内面
48 陥没空間
50 陥没部
56 第2ストレーナ
100 船舶
D 延在方向
F 燃料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10