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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】戸体
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/70 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
E06B3/70 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020057556
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156018
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 潤一
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-8505(JP,A)
【文献】実開昭53-91243(JP,U)
【文献】実開平2-111785(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54 - 3/88
E06B 7/00 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の開口部を開閉する戸体であって、
戸体本体と、
前記戸体本体の表面に取り付けられる一対の固定部材と、
前記一対の固定部材に取り付けられる意匠パネルとを備え、
前記固定部材は、戸体側固定片と、前記戸体側固定片から突設されたパネル固定片および遮蔽片とを備えて形成され、
前記意匠パネルは、表面板部と、前記表面板部の両端部から前記戸体本体側に延出された側面板部とを備えて形成され、
前記固定部材の前記戸体側固定片は前記戸体本体の表面に緊結具で固定され、
前記意匠パネルの前記側面板部は前記パネル固定片に緊結具で固定され
前記表面板部には孔が形成され、
前記遮蔽片は、前記意匠パネルの表側から前記孔を介して前記緊結具に向けられる視線を遮蔽して前記緊結具を隠す
ことを特徴とする戸体。
【請求項2】
請求項1に記載の戸体において、
前記パネル固定片は、
前記戸体側固定片から室外側に突設された連結片と、
前記連結片から前記戸体本体の外周側に向かって突出された2つの突出片とを備え、
前記意匠パネルの前記側面板部は、前記2つの突出片間にねじ込まれた前記緊結具である連結ねじで前記パネル固定片にねじ止めされている
ことを特徴とする戸体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の戸体において、
前記パネル固定片の室外側端部には、前記意匠パネルの前記側面板部を案内する傾斜面が形成されている
ことを特徴とする戸体。
【請求項4】
建築物の開口部を開閉する戸体であって、
戸体本体と、
前記戸体本体の表面に取り付けられる一対の固定部材と、
前記一対の固定部材に取り付けられる意匠パネルとを備え、
前記固定部材は、戸体側固定部と、前記戸体側固定部から突設されたパネル係止片とを備えて形成され、
前記意匠パネルは、表面板部と、前記表面板部の両側端から前記戸体本体側に延出された側面板部と、前記側面板部から内側に延出された裏面板部とを備えて形成され、
前記固定部材の前記戸体側固定部は前記戸体本体の表面に緊結具で固定され、
前記意匠パネルの前記裏面板部は前記戸体本体と前記パネル係止片とに挟まれて固定されている
ことを特徴とする戸体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は戸体に係り、特に意匠パネル付きの戸体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドア本体の外面に化粧材(意匠パネル)が設けられているドア(戸体)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このドアは、化粧材がドア本体の表面に、両面テープにより接着固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-30353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ドアでは、化粧材を両面テープで接着固定しているため、両面テープの劣化で化粧材の固定が不安定となるという課題がある。
また、両面テープを用いずに、意匠パネルに固定した金具を、ドア本体に形成した角穴に引っ掛けることで意匠パネルをドア本体に取り付けることも考えられる。しかしながら、意匠パネルとドア本体とが完全に固定されていないため、意匠パネルが室内外方向等にがたついたり、ドア本体に角穴を形成するため気密性が低下するという課題もある。
【0005】
本発明の目的は、意匠パネルをがたつき無く確実に取り付けることができ、気密性の低下も防止できる戸体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の戸体は、建築物の開口部を開閉する戸体であって、戸体本体と、前記戸体本体の表面に取り付けられる一対の固定部材と、前記一対の固定部材に取り付けられる意匠パネルとを備え、前記固定部材は、戸体側固定片と、前記戸体側固定片から突設されたパネル固定片および遮蔽片とを備えて形成され、前記意匠パネルは、表面板部と、前記表面板部の両端部から前記戸体本体側に延出された側面板部とを備えて形成され、前記固定部材の前記戸体側固定片は前記戸体本体の表面に緊結具で固定され、前記意匠パネルの前記側面板部は前記パネル固定片に緊結具で固定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の戸体は、建築物の開口部を開閉する戸体であって、戸体本体と、前記戸体本体の表面に取り付けられる一対の固定部材と、前記一対の固定部材に取り付けられる意匠パネルとを備え、前記固定部材は、戸体側固定部と、前記戸体側固定部から突設されたパネル係止片とを備えて形成され、前記意匠パネルは、表面板部と、前記表面板部の両側端から前記戸体本体側に延出された側面板部と、前記側面板部から内側に延出された裏面板部と備えて形成され、前記固定部材の前記戸体側固定部は前記戸体本体の表面に緊結具で固定され、前記意匠パネルの前記裏面板部は前記戸体本体と前記パネル係止片とに挟まれて固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の戸体によれば、意匠パネルをがたつき無く確実に取り付けることができ、気密性の低下も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の戸体である扉の外観姿図である。
図2】前記扉の内観姿図である。
図3】前記扉の縦断面図である。
図4】前記扉の横断面図である。
図5】前記扉の要部を拡大して示す横断面図である。
図6】第2実施形態の戸体である扉の要部を拡大して示す横断面図である。
図7】第3実施形態の戸体である扉の要部を拡大して示す横断面図である。
図8】第4実施形態の戸体である扉の要部を拡大して示す横断面図である。
図9】第5実施形態の戸体である扉の要部を拡大して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図1図5に基づいて説明する。
図1図4に示すように、ドア1は、いわゆる片開きドアであり、建物の外壁開口部に固定されるドア枠10と、このドア枠10に開閉自在に支持される戸体である扉2とを備えて構成されている。なお、図3図9においては、後述する障子枠30、通風障子40、意匠パネル50、固定部材60の断面を示すハッチングを一部省略している。
【0011】
ドア枠10は、図3、4に示すように、上枠11、下枠12および左右の縦枠13、14を有する。なお、図4の左側に配置される縦枠13が吊元側とされて丁番15が取り付けられ、図1の左側に配置される縦枠14が戸先側とされている。本実施形態では、上枠11、縦枠13、縦枠14は、アルミ押出形材からなる室外部材および室内部材を、ウレタン樹脂等の断熱部材で連結して構成されたアルミ断熱形材で構成され、下枠12はアルミ押出形材で構成されており、断熱性能を高めたドア枠10とされている。
【0012】
[扉の構成]
戸体である扉2は、戸体本体5と、意匠パネル50と、意匠パネル50を戸体本体5に固定する一対の固定部材60とを備えている。戸体本体5は、扉体20と、障子枠30と、通風障子40とで構成されている。
【0013】
扉体20は、図3、4に示すように、枠体21と、枠体21の室外側に固定された室外面材22と、枠体21の室内側に固定された室内面材23と、室外面材22と室内面材23との間に設けられた断熱芯材24とを備えている。扉体20の戸先側には、図1、2に示すように、操作ハンドル26が取り付けられている。なお、図3、4では、操作ハンドル26は省略している。この扉体20は、断熱ドア用として一般的な構成であるため、詳細な説明を省略する。
扉体20には、上下方向に細長い矩形形状とされた開口25が形成されている。
【0014】
障子枠30は、扉体20の開口25に配置されるために上下方向に細長い矩形枠状に形成され、上枠31、下枠32、左右の縦枠33、34を四周枠組みして構成されている。上枠31、下枠32、縦枠33、34は、それぞれアルミ押出形材からなる室外部材および室内部材を、ウレタン樹脂等の断熱部材で連結して構成されたアルミ断熱形材で構成されている。
障子枠30の室外側開口には、網戸用のネット35が取り付けられている。
【0015】
通風障子40は、障子枠30に合わせて上下方向に細長い矩形形状とされ、障子枠30に開閉可能に取り付けられている。本実施形態の通風障子40は、上框41、下框42、左右の縦框43、44とを四周枠組みして、複層ガラス45を保持することで構成されている。上框41、下框42、左右の縦框43、44は、それぞれアルミ押出形材からなる室外部材および室内部材を、ウレタン樹脂等の断熱部材で連結して構成されたアルミ断熱形材で構成されている。
【0016】
図3に示すように、障子枠30の上枠31および下枠32の室外部材と、通風障子40の上框41および下框42の室外部材との間には、縦すべり出し用のヒンジ36が取り付けられている。これにより、通風障子40は、室内側に開閉可能に障子枠30に取り付けられている。また、通風障子40の戸先側の縦框43と、障子枠30の縦枠33とには、錠装置37が取り付けられている。
このため、錠装置37を開錠し、通風障子40を室内側に開くと、後述する意匠パネル50の孔およびネット35を介して通気が可能となり、扉2を閉めた状態で外気を室内に取り込むことができる。
【0017】
[意匠パネル]
意匠パネル50は、図1図3図5に示すように、扉体20の室外側表面に設けられて扉2のデザインのバリエーションを増やすために設けられるものである。
意匠パネル50は、表面板部51と、表面板部51の左右両端部から扉体20側に折り曲げられて延出された側面板部52、53と、表面板部51の上下両端部から扉体20側に折り曲げられて延出された上面板部54および下面板部55とを備えて形成されている。
表面板部51は、戸体本体5の表面に沿って配置されて戸体本体5の室外側表面に露出するため、デザイン性を考慮して加工されている。例えば、本実施形態の意匠パネル50は、図1に拡大して示すように、多数の孔が開口されたパンチングパネルを用いている。意匠パネル50のデザインとしては、パンチングパネルに限定されず、上下に複数の小窓を形成したパネル等のデザイン性を考慮した各種パネルが利用できる。
【0018】
[固定部材]
固定部材60は、図5に示すように、戸体側固定片61と、戸体側固定片61から突設されたパネル固定片62および遮蔽片63とを備えて断面略コ字状に形成されたアルミ押出形材で構成されている。この固定部材60は、意匠パネル50の側面板部52、53の内周面に沿って上下方向に長尺な部材であり、上端は意匠パネル50の上面板部54の下面に当接し、下端は下面板部55の上面に当接する長さ寸法とされている。
【0019】
戸体側固定片61は、障子枠30の縦枠33、34の室外部材331、341にねじ止めされている。なお、室外部材331、341と、戸体側固定片61との間には、室外面材22が配置されている。このため、室外部材331、341から室外面材22を貫通して戸体側固定片61に螺合される緊結具である連結ねじ65によって、固定部材60は、戸体本体5の室外面に固定されている。
【0020】
パネル固定片62は、戸体側固定片61の外側端から室外側に突設されている。パネル固定片62の先端外側面は、室外側から室内側に向かうにしたがって外側となるように傾斜された傾斜面621が形成されている。
意匠パネル50の側面板部52、53は、パネル固定片62にねじ止めされている。すなわち、側面板部52、53からパネル固定片62に螺合される緊結具である連結ねじ66によって、意匠パネル50の側面板部52、53は固定部材60に固定されている。
なお、固定部材60は、上下方向に長尺であるため、連結ねじ65、66は、上下方向の複数箇所に設けられている。また、連結ねじ65、66は、例えばタッピングねじ等が利用できる。
【0021】
遮蔽片63は、戸体側固定片61の内側端から室外側に突設されている。このため、パネル固定片62および遮蔽片63は、左右方向(見付け方向)に離れて配置され、左右方向において、パネル固定片62および遮蔽片63間に戸体側固定片61が位置するように構成されている。
また、障子枠30の縦枠33、34に取り付けられた各固定部材60においては、遮蔽片63が互いに対向して配置されている。
遮蔽片63は、パンチングパネルである意匠パネル50の孔から視認した際に、連結ねじ65、66を隠すためのものであり、遮蔽片63の室外側への突出寸法は、連結ねじ65、66を隠すことができる寸法に設定されている。
本実施形態では、遮蔽片63の室外側への突出寸法は、パネル固定片62に比べて僅かに短くされ、遮蔽片63の室外側先端は、意匠パネル50の表面板部51に接触せず、僅かな隙間が生じるように設定されている。
【0022】
[第1実施形態の効果]
固定部材60を戸体本体5にねじ止めし、意匠パネル50を固定部材60にねじ止めしているので、意匠パネル50を両面テープのみで接着した場合のように、両面テープの劣化によって意匠パネル50の固定が不安定となることを防止でき、意匠パネル50を確実に戸体本体5に固定できる。
また、意匠パネル50はねじ止めによって固定されているので、室内外方向などにがたつくことも防止できる。さらに、戸体本体5には、連結ねじ65用の孔が加工されるだけであり、戸体本体5への加工は最低限に留めることができるため、意匠パネル50の係止用の角穴を加工した場合に比べて、気密性を向上できる。
【0023】
固定部材60には遮蔽片63を設けたので、意匠パネル50の孔から意匠パネル50の裏側を視認しても、連結ねじ65、66は遮蔽片63で遮られて隠される。このため、遮蔽片63を設けない場合に比べて、意匠性を向上できる。
【0024】
固定部材60のパネル固定片62に傾斜面621を設けたので、意匠パネル50の側面板部52、53を、室外側からパネル固定片62の外側面に配置する際に、側面板部52、53の先端部が傾斜面621に当接してパネル固定片62の外側面側に案内され、意匠パネル50を固定部材60に容易に取り付けることができる。
【0025】
固定部材60を上下方向に長尺なアルミ押出形材で構成し、意匠パネル50の上面板部54および下面板部55を、固定部材60の上端および下端に当接させているので、意匠パネル50が上下方向にがたつくことも防止できる。
【0026】
障子枠30の縦枠33、34に取り付けられた各固定部材60は、同一断面形状であるため、製造コストも低減できる。
【0027】
[第2実施形態]
図6に、第2実施形態の戸体である扉2Aの要部を示す。扉2Aは、扉体20の開口25にFIX窓として採光用パネル70を設けた点と、一対の固定部材60Aを戸体本体5Aの扉体20に固定した点が第1実施形態と相違する。
【0028】
採光用パネル70は複層ガラスで構成され、開口25に配置されたパネル保持枠71で保持されている。パネル保持枠71は、採光用パネル70の室外側を保持する外額縁72と、複層ガラス45の室内側を保持する内額縁73とを備える。外額縁72は、アルミ押出形材で構成され、内額縁73は合成樹脂製とされ、内額縁73は外額縁72にねじ止めされている。
したがって、扉2Aの戸体本体5Aは、扉体20と、採光用パネル70と、パネル保持枠71とで構成されている。
【0029】
固定部材60Aは、固定部材60と同様に、戸体側固定片61、パネル固定片62、遮蔽片63を備えて断面略コ字状に形成されたアルミ押出形材である。ただし、固定部材60に対して、戸体側固定片61の左右方向の幅寸法が短くされている点と、戸体側固定片61がパネル固定片62および遮蔽片63の室内側端部よりも僅かに室外側の位置で連結され、固定部材60Aを戸体本体5Aに固定した際に、戸体側固定片61と戸体本体5Aとの間に空間が確保されることが相違する。固定部材60Aの他の構成は、固定部材60と同様であるため、説明を省略する。
【0030】
扉2Aの扉体20には、室外面材22および断熱芯材24に埋め込まれたインサートナット67が固定されている。このため、インサートナット67のフランジ部分が戸体側固定片61と、戸体本体5A(具体的には室外面材22)との間の空間に配置されている。固定部材60Aは、室外側から戸体側固定片61を介してインサートナット67にねじ込まれる緊結具である連結ねじ68によって戸体本体5Aに固定されている。
意匠パネル50は、第1実施形態と同じく、側面板部52、53を固定部材60Aのパネル固定片62に連結ねじ66で固定している。
【0031】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態においても、第1実施形態と同じ効果を奏することができる。
さらに、扉体20にインサートナット67を埋め込み、インサートナット67にねじ込まれる連結ねじ68で固定部材60Aを戸体本体5Aに固定しているので、パネル保持枠71に対する加工を不要にでき、気密性も向上できる。
【0032】
[第3実施形態]
図7に、第3実施形態の戸体である扉2Bの要部を示す。第3実施形態は、第1実施形態の固定部材60とは形状が異なる固定部材80を用いた点が相違し、その他の構成は第1実施形態と同じである。このため、以下では、固定部材80について説明する。
【0033】
固定部材80は、アルミ押出形材で構成され、戸体側固定片81と、パネル固定片82と、遮蔽片83とを備える。戸体側固定片81および遮蔽片83は、固定部材60の戸体側固定片61および遮蔽片63と同じ形状であるため、説明を省略する。
パネル固定片82は、固定部材60のパネル固定片62と構成が相違する。すなわち、パネル固定片62は略板状とされ、第1実施形態では、パネル固定片62に形成される丸穴に連結ねじ66をねじ込んで意匠パネル50を固定していた。
一方、パネル固定片82は、図7に示すように、戸体側固定片81から室外側に突設された連結片821と、連結片821から左右方向(見付け方向)の扉体20の外周側に向かって突出された突出片822、823とを備えている。
すなわち、ドア1を室外側から見た際に、意匠パネル50の右側の側面板部52に沿って配置される固定部材80では、突出片822、823は、右側つまり吊元側の縦枠13の方向に突出されている。一方、意匠パネル50の左側の側面板部53に沿って配置される固定部材80では、突出片822、823は、左側つまり戸先側の縦枠14の方向に突出されている。
【0034】
突出片822は、連結片821の室外側先端から左右方向に突出され、その突出方向の先端から室外側に向かって傾斜片824が設けられている。傾斜片824は、基端側から先端側に向かって、つまり室内側から室外側に向かって意匠パネル50の中心側に向かうように設けられ、傾斜片824の表面によって前記傾斜面621と同様の傾斜面824Aが形成されている。
突出片823は、連結片821の基端部と先端部との間から左右方向に突出され、その突出方向の先端から室内側に向かって突片825が設けられている。
突出片822、823の突出寸法は同じであり、その先端には意匠パネル50の側面板部52、53が当接する。
また、突出片822、823間には、固定部材80の長手方向つまり上下方向に連続する溝826が形成されている。溝826の幅寸法は、意匠パネル50の側面板部52、53を固定するための連結ねじ66をねじ込んで固定できる寸法とされている。すなわち、溝826にタッピングねじである連結ねじ66をねじ込んだ際に、突出片822、823に雌ねじを形成して連結ねじ66を固定できるように設定されていればよい。
【0035】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態においても、第1実施形態と同じ効果を奏することができる。
さらに、固定部材80のパネル固定片82は、突出片822、823を備えることで、パネル固定片82に穴開け加工などを行わずに、連結ねじ66をねじ込むことができる。このため、パネル固定片62に下穴加工が必要な固定部材60を用いる場合に比べて、現場などでの加工作業を軽減できる。
【0036】
[第4実施形態]
図8に、第4実施形態の戸体である扉2Cの要部を示す。第3実施形態は、第2実施形態と同じ戸体本体5Aを用いており、意匠パネル50を固定する固定部材は、第3実施形態と同様の固定部材80Cを用いたものである。このため、以下では、固定部材80Cについて説明する。
【0037】
固定部材80Cは、アルミ押出形材で構成され、固定部材80と同様に、戸体側固定片81C、パネル固定片82、遮蔽片83を備えている。パネル固定片82および遮蔽片83は、固定部材80と同じ形状であるため、同一符号を付して説明を省略する。
戸体側固定片81Cは、固定部材80の戸体側固定片81に対して、左右方向の幅寸法が短くされている点と、戸体側固定片81Cがパネル固定片82および遮蔽片83の室内側端部よりも僅かに室外側の位置で連結され、固定部材80Cを戸体本体5Aに固定した際に、戸体側固定片81Cと戸体本体5Aとの間に空間が確保されることが相違する。
【0038】
固定部材80Cは、第2実施形態の固定部材80と同じく、室外側から戸体側固定片81Cを介してインサートナット67にねじ込まれる連結ねじ68によって戸体本体5Aに固定されている。
意匠パネル50は、第3実施形態と同じく、側面板部52、53から固定部材80Cの突出片822、823間に連結ねじ66をねじ込むことで固定されている。なお、図8の例では、側面板部52、53がパネル固定片82から僅かに離れて配置されているが、このような状態でも連結ねじ66によって側面板部52、53をパネル固定片82に固定できる。
【0039】
[第4実施形態の効果]
第4実施形態においても、第3実施形態の固定部材80と同様の固定部材80Cを用いることで同じ効果を奏することができる。
さらに、扉体20にインサートナット67を埋め込み、インサートナット67にねじ込まれる連結ねじ68で固定部材80Cを戸体本体5Aに固定しているので、第2実施形態と同じ効果を奏することができる。
【0040】
[第5実施形態]
図9に、第5実施形態の戸体である扉2Dの要部を示す。第5実施形態は、意匠パネル50Dの形状が一部相違する点と、前記各実施形態の固定部材60、60A、80、80Cとは形状が異なる固定部材90を用いた点が相違し、その他の構成は第1、3実施形態と同じである。このため、以下では、固定部材90について説明する。
【0041】
意匠パネル50Dは、意匠パネル50とは、側面板部52、53の室内側端部からパネル内周側に向かって裏面板部56、57が延出され、意匠パネル50Dの左右端部が断面略コ字状に形成されている点が相違し、他の構成は意匠パネル50と同じであるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
固定部材90は、アルミ押出形材で構成され、戸体側固定部91と、パネル係止片92、93と、受け片94と、突出片95とを備えている。戸体側固定部91は、意匠パネル50の表面板部51の内面に当接する当接片911と、当接片911から室内側に延出された突出片912、913とを備える。突出片912、913間には、固定部材90の長手方向つまり上下方向に連続する溝914が形成されている。溝914の幅寸法は、溝826と同様に、固定部材90を戸体本体5に固定するための連結ねじ65をねじ込んで固定できる寸法とされている。
【0043】
パネル係止片92は、突出片912の側面から左右方向に突出されている。パネル係止片92は、意匠パネル50Dの裏面板部56、57を室外面材22との間で挟み込み、意匠パネル50Dが室内外方向に移動しないように位置決めできるように設けられている。
また、裏面板部56、57の先端は突出片912に当接され、意匠パネル50Dが左右方向に移動しないように位置決めできるようにされている。
【0044】
受け片94は、突出片913の基端部から左右方向に延出されている。受け片94は、室内外方向の位置が当接片911よりも室内側とされ、受け片94と表面板部51との間には両面テープ96を配置可能に設けられている。
【0045】
突出片95は、受け片94から室内側に向かって延出されている。突出片912と突出片95との間に突出片913が設けられ、各突出片912、913、95は互いに平行にかつ、同じ突出寸法で構成されている。このため、各突出片912、913、95の先端は室外面材22に当接される。
パネル係止片93は、突出片95の側面から左右方向に突出されている。すなわち、パネル係止片92およびパネル係止片93は、突出片912および突出片95から互いに反対方向に突出されている。図9では、連結ねじ65がねじ込まれる戸体側固定部91に近いパネル係止片92によって、裏面板部56、57を係止しているが、固定部材90の向きを変えることで、戸体側固定部91から離れたパネル係止片93で裏面板部56、57を係止して意匠パネル50Dが室内外方向に移動しないように位置決めし、裏面板部56、57の先端を突出片95に当接することで、意匠パネル50Dが左右方向に移動しないように位置決めすることもできる。
【0046】
固定部材90の上端および下端は、前記各実施形態と同じく、意匠パネル50Dの上面板部54、下面板部55に当接し、意匠パネル50Dが上下方向に移動しないように位置決めしている。
【0047】
このような本実施形態では、固定部材90の受け片94に両面テープ96を粘着させた状態で、意匠パネル50Dの裏面板部56、57に固定部材90を当接させながら、両面テープ96を表面板部51に粘着させる。
そして、意匠パネル50Dに取り付けられた固定部材90を連結ねじ65によって戸体本体5に固定する。
【0048】
[第5実施形態の効果]
第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、固定部材90を用いたので、意匠パネル50の側面板部52、53を固定部材90に固定する連結ねじが不要となる。このため、ねじ止め作業を少なくできて作業性を向上でき、側面板部52、53に連結ねじが露出しないので意匠性も向上できる。
【0049】
固定部材90は、意匠パネル50が室内外方向、左右方向に移動しないように規制できるため、意匠パネル50がバタつくことも防止できる。また、意匠パネル50は、両面テープ96を介して固定部材90に固定されているので、意匠パネル50を上下方向にも移動しないように固定できる。
【0050】
固定部材90は、パネル係止片92、93を備えているので、意匠パネル50Dの幅寸法に応じて、裏面板部56、57を係止するパネル係止片92、93を選択できる。このため、1種類の固定部材90によって、幅寸法の異なる意匠パネル50Dを固定できる。
また、固定部材90の戸体側固定部91は、突出片912、913間に連結ねじ65をねじ込んでいるので、突出片913が遮蔽片としても機能し、連結ねじ65を隠すことができて意匠性を向上できる。
【0051】
[変形例]
本発明は、以上の各実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
第5実施形態の固定部材90は、図9に示す形状に限定されない。例えば、向きを代えて利用する必要が無い場合は、戸体側固定部91とパネル係止片92とのみを備える固定部材を用いてもよい。
また、固定部材90の戸体側固定部91は、当接片911、突出片912、913を備えて構成されるものに限定されず、第1実施形態の固定部材60の戸体側固定片61のように、連結ねじ65がねじ込まれる下穴が加工される板状の固定部でもよい。
さらに、第5実施形態では、固定部材90および意匠パネル50間に両面テープ96を配置していたが、この両面テープ96は必ずしも設けなくてもよい。
【0052】
固定部材60、60Aの形状や、固定部材80、80Cの形状も前記各実施形態に限定されない。例えば、傾斜面621、824Aは必ずしも設けなくてもよいし、遮蔽片63、83は意匠パネル50に当接する長さ寸法で形成してもよい。
さらに、固定部材60、60A、80、80C、90は、意匠パネル50の上下寸法と同様の長尺部材で構成していたが、複数のピース材で構成してもよい。
また、固定部材60、60A、80、80C、90を戸体本体5の室外面に固定する緊結具や、側面板部52、53をパネル固定片62に固定する緊結具は、連結ねじ65、66、68に限らず、ブラインドリベットなどでもよい。すなわち、緊結具は、2つの部材を機械的に接合できるものであればよい。
【0053】
意匠パネル50は、上面板部54、下面板部55を備えないものでもよい。
戸体である扉2、2A、2B、2C、2Dは、通風機能や採光機能を有するものに限定されず、扉体20に開口を設けずに通風機能や採光機能を有しない扉でもよい。また、扉2は、前記実施形態のような断熱性能を高めたものに限定されない。
【0054】
[発明のまとめ]
本発明は、建築物の開口部を開閉する戸体であって、戸体本体と、前記戸体本体の表面に取り付けられる一対の固定部材と、前記一対の固定部材に取り付けられる意匠パネルとを備え、前記固定部材は、戸体側固定片と、前記戸体側固定片から突設されたパネル固定片および遮蔽片とを備えて形成され、前記意匠パネルは、表面板部と、前記表面板部の両端部から前記戸体本体側に延出された側面板部とを備えて形成され、前記固定部材の前記戸体側固定片は前記戸体本体の表面に緊結具で固定され、前記意匠パネルの前記側面板部は前記パネル固定片に緊結具で固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、固定部材を戸体本体に緊結具で固定し、意匠パネルを固定部材に緊結具で固定しているので、意匠パネルをがたつき無く確実に戸体本体に固定できる。また、戸体本体には、緊結具用の孔が加工されるだけであり、戸体本体への加工は最低限に留めることができるため、気密性を向上できる。さらに、固定部材には遮蔽片を設けたので、意匠パネルの孔から意匠パネルの裏側を視認できる場合でも、緊結具を遮蔽片で隠すことができ、意匠性を向上できる。
【0055】
本発明の戸体において、前記パネル固定片は、前記戸体側固定片から室外側に突設された連結片と、前記連結片から前記戸体本体の外周側に向かって突出された2つの突出片とを備え、前記意匠パネルの前記側面板部は、前記2つの突出片間にねじ込まれた前記緊結具である連結ねじで前記パネル固定片にねじ止めされていることが好ましい。
本発明によれば、固定部材のパネル固定片は、2つの突出片を備えることで、パネル固定片に穴開け加工などを行わずに、連結ねじをねじ込むことができる。このため、パネル固定片に下穴を加工する場合に比べて、現場などでの加工作業を軽減できる。
【0056】
本発明の戸体において、前記パネル固定片の室外側端部には、前記意匠パネルの前記側面板部を案内する傾斜面が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、パネル固定片に傾斜面を設けたので、意匠パネルの側面板部を、室外側からパネル固定片の外側面に配置する際に、側面板部の先端部が傾斜面に当接してパネル固定片の外側面側に案内され、意匠パネルを固定部材に容易に取り付けることができる。
【0057】
本発明は、建築物の開口部を開閉する戸体において、戸体本体と、前記戸体本体の表面に取り付けられる一対の固定部材と、前記一対の固定部材に取り付けられる意匠パネルとを備え、前記固定部材は、戸体側固定部と、前記戸体側固定部から突設されたパネル係止片とを備えて形成され、前記意匠パネルは、表面板部と、前記表面板部の両側端から前記戸体本体側に延出された側面板部と、前記側面板部から内側に延出された裏面板部とを備えて形成され、前記固定部材の前記戸体側固定部は前記戸体本体の表面に緊結具で固定され、前記意匠パネルの前記裏面板部は前記戸体本体と前記パネル係止片とに挟まれて固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、固定部材を戸体本体に緊結具で固定し、意匠パネルを固定部材のパネル係止片と戸体本体との間に挟んで固定しているので、意匠パネルをがたつき無く確実に戸体本体に固定できる。また、戸体本体には、緊結具用の孔が加工されるだけであり、戸体本体への加工は最低限に留めることができるため、気密性を向上できる。さらに、意匠パネルの側面板部を固定部材に固定する緊結具が不要となるため、緊結具の固定作業を少なくできて作業性を向上でき、側面板部に緊結具が露出しないので意匠性も向上できる。
【符号の説明】
【0058】
1…ドア、2…扉、2A…扉、2B…扉、2C…扉、2D…扉、5…戸体本体、5A…戸体本体、10…ドア枠、11…上枠、12…下枠、13…縦枠、14…縦枠、15…丁番、20…扉体、21…枠体、22…室外面材、23…室内面材、24…断熱芯材、25…開口、26…操作ハンドル、30…障子枠、31…上枠、32…下枠、33…縦枠、34…縦枠、35…ネット、36…ヒンジ、37…錠装置、40…通風障子、41…上框、42…下框、43…縦框、44…縦框、45…複層ガラス、50…意匠パネル、50D…意匠パネル、51…表面板部、52…側面板部、53…側面板部、54…上面板部、55…下面板部、56…裏面板部、57…裏面板部、60…固定部材、60A…固定部材、61…戸体側固定片、62…パネル固定片、63…遮蔽片、65…連結ねじ、66…連結ねじ、67…インサートナット、68…連結ねじ、70…採光用パネル、71…パネル保持枠、72…外額縁、73…内額縁、80…固定部材、80C…固定部材、81…戸体側固定片、81C…戸体側固定片、82…パネル固定片、83…遮蔽片、90…固定部材、91…戸体側固定部、92…パネル係止片、93…パネル係止片、94…受け片、95…突出片、96…両面テープ、331…室外部材、341…室外部材、621…傾斜面、821…連結片、822…突出片、823…突出片、824…傾斜片、824A…傾斜面、825…突片、826…溝、911…当接片、912…突出片、913…突出片、914…溝。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9