(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231107BHJP
H02M 7/493 20070101ALI20231107BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02M7/493
(21)【出願番号】P 2020144858
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和之
(72)【発明者】
【氏名】江口 博之
(72)【発明者】
【氏名】椎山 拓己
(72)【発明者】
【氏名】小川 誠
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-274842(JP,A)
【文献】特開2014-110665(JP,A)
【文献】特開2008-312372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両のバッテリと接続し、前記バッテリに蓄電された直流を単相交流に変換して出力する第1外部給電器、第2外部給電器及び第3外部給電器と、
前記第1外部給電器、前記第2外部給電器及び前記第3外部給電器から出力される前記単相交流を120°の位相差で同期させた三相交流を生成する制御手段と、を備え
、
前記第1外部給電器、前記第2外部給電器及び前記第3外部給電器は、
前記直流を前記単相交流に変換した第1単相交流を出力する第1インバータ回路と、
前記直流を前記単相交流に変換し、前記第1単相交流に対して120°の位相差を有する第2単相交流を出力する第2インバータ回路と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1外部給電器から出力された前記第2単相交流と、前記第2外部給電器から出力された前記第1単相交流との位相を同期させ、当該位相の同期に合わせて、前記第2外部給電器から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流の位相を補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する第1位相同期部と、
前記第2補正単相交流と、前記第3外部給電器から出力された前記第1単相交流と、の位相を同期させ、当該位相の同期に合わせて、前記第3外部給電器から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流の位相を補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する第2位相同期部と、
を備えることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記第1外部給電器、前記第2外部給電器及び前記第3外部給電器は、
単相交流を出力する単相交流モード、または、三相交流を出力するための三相交流モードの運転モードに基づいて、前記第1インバータ回路及び前記第2インバータ回路の出力を制御する制御回路を更に備え、
前記三相交流モードが設定された場合に、前記制御回路は、前記第1単相交流に対する前記第2単相交流の位相差を120°に設定することを特徴とする請求項
1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記第1外部給電器からの出力、前記第1位相同期部及び前記第2位相同期部からの出力に基づいて前記三相交流を生成する生成手段を更に備えることを特徴とする請求項
1または
2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記生成手段は、
前記第1外部給電器から出力された前記第1単相交流と、
前記第1位相同期部から出力され、前記第1外部給電器の前記第1単相交流に対して120°の位相差を有する前記第2外部給電器の前記第1補正単相交流と、
前記第2位相同期部から出力され、前記第2外部給電器の前記第1補正単相交流に対して120°の位相差を有する、前記第3外部給電器の前記第1補正単相交流と、
に基づいて前記三相交流を生成することを特徴とする請求項
3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記生成手段は、前記第3外部給電器からの出力が予め設定したタイミングで得られない場合、
前記第1外部給電器から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流と、
前記第1位相同期部から出力され、前記第1外部給電器の前記第2単相交流に対して120°の位相差を有する前記第2外部給電器の前記第2補正単相交流と、
に基づいて前記三相交流を生成することを特徴とする請求項
3に記載の電源システム。
【請求項6】
前記生成手段は、前記第2外部給電器からの出力が予め設定したタイミングで得られない場合、
前記第1外部給電器から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流と、
前記第2位相同期部から出力され、前記第1外部給電器の前記第2単相交流に対して120°の位相差を有する前記第3外部給電器の前記第1補正単相交流と、
に基づいて前記三相交流を生成することを特徴とする請求項
3に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単相交流を出力する外部給電器を複数台用いて三相交流を生成することが可能な電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、供給される直流電力を、DC/AC変換回路により単相交流の交流電力に変換し、変換した交流電力を商用系統へ出力する電力変換装置の構成が開示されている。
【0003】
また、車両の電動化が進む状況で、車両に搭載して車両の走行用バッテリから電力を外部給電する可搬型の外部給電器が普及しつつある。このような外部給電器は、通常時においては、電気製品等の負荷へ電力を供給することが可能であり、系統電力が使用できない災害時等においては、避難所などの救援拠点で電力を供給することが可能であり、外部給電器が必要とされる活躍の場は広くなりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、可搬型の外部給電器は単相交流の電力を出力するようになっており、電力供給拠点の設備系の電源として三相交流の電力が必要とされる場合には、設備系の電源として電力を供給することができない場合が生じ得る。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、単相交流を出力する外部給電器を複数台用いて三相交流を生成することが可能な電源システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電源システムは、
電動車両のバッテリと接続し、前記バッテリに蓄電された直流を単相交流に変換して出力する第1外部給電器、第2外部給電器及び第3外部給電器と、
前記第1外部給電器、前記第2外部給電器及び前記第3外部給電器から出力される前記単相交流を120°の位相差で同期させた三相交流を生成する制御手段と、を備え、
前記第1外部給電器、前記第2外部給電器及び前記第3外部給電器は、
前記直流を前記単相交流に変換した第1単相交流を出力する第1インバータ回路と、
前記直流を前記単相交流に変換し、前記第1単相交流に対して120°の位相差を有する第2単相交流を出力する第2インバータ回路と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1外部給電器から出力された前記第2単相交流と、前記第2外部給電器から出力された前記第1単相交流との位相を同期させ、当該位相の同期に合わせて、前記第2外部給電器から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流の位相を補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する第1位相同期部と、
前記第2補正単相交流と、前記第3外部給電器から出力された前記第1単相交流と、の位相を同期させ、当該位相の同期に合わせて、前記第3外部給電器から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流の位相を補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する第2位相同期部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、単相交流を出力する外部給電器を複数台用いて三相交流を生成することが可能な電源システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施形態を示す添付図面は明細書の一部を構成し、その記述と共に本発明を説明するために用いられる。
【
図1】実施形態に係る電源システムの構成を示す図。
【
図3】第1実施形態の給電制御装置の構成を示す図。
【
図4】第1位相同期回部及び第2位相同期回部の処理を説明する図。
【
図5】第2実施形態の給電制御装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[第1実施形態]
(電源システム10の構成)
図1は実施形態に係る電源システムの構成を示す図であり、電源システム10は、第1外部給電器20A、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cと、給電制御装置30とを有する。
【0012】
第1外部給電器20A、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cの夫々は、電動車両VEHのバッテリBTと接続し、バッテリBTに蓄電された直流を単相交流に変換して出力する。第1外部給電器20A、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cはケーブル3を介して給電制御装置30と接続する。第1外部給電器20A、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cは、それぞれ同一の構造を有しており、以下の説明では、全体的な外部給電器を説明する際の表記として単に「外部給電器20」と表記する場合もある。
【0013】
電動車両VEHは、例えば、バッテリBTに蓄えられた電力によってモータジェネレータを駆動させ、モータジェネレータの駆動力によって走行する車両(EV)やプラグインハイブリッド車両(PHEV)、または燃料電池車両(FCV車両)であってもよい。
【0014】
第1外部給電器20A、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cは、それぞれ所定の接続規格のコネクタ60を介して、それぞれ電動車両VEHと接続し、電動車両VEHのバッテリBTに蓄電されている直流を単相交流に変換して出力する。
【0015】
コネクタ60の接続規格としては、急速充電規格であるChadeMO規格のコネクタを用いることが可能であるが、コネクタ60の接続規格としては、この例に限られず、種々の接続規格のコネクタを用いることが可能である。
【0016】
給電制御装置30は、第1外部給電器20A、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cから出力される単相交流を120°の位相差で同期させた三相交流を生成し、出力する。
【0017】
(外部給電器の構成)
第1外部給電器20A、第2外部給電器20B、及び第3外部給電器20Cは、それぞれ同一の構成を有しており、以下の説明では、代表として第1外部給電器20Aの構成について説明する。
図2は第1外部給電器20Aの構成を示す図である。
図2に示すように、第1外部給電器20Aは、コネクタ60を介して電動車両VEHと接続可能なインタフェース部21と、電動車両VEHからの直流を単相交流に変換して出力するインバータユニット22と、フィルタ部24と、接続部26とを有する。
【0018】
インバータユニット22は、3つのインバータ回路(第1インバータ回路22a、第2インバータ回路22b、第3インバータ回路22c)を有しており、各インバータ回路は、インタフェース部21から入力された直流を所定周波数(例えば50Hzあるいは60Hzの商用周波数)の単相交流(正弦波交流)に変換する。3つのインバータ回路は、例えばHブリッジ回路として構成され、MOSFETやIGBT等のトランジスタにより構成された複数のスイッチ素子と、各スイッチ素子にそれぞれ並列に接続されたダイオードとを有する。各スイッチ素子は制御回路23から出力される制御信号によりオンオフされ、これにより直流が単相交流に変換される。
【0019】
また、インバータユニット22は、各インバータ回路から出力された交流の電圧値を検出するインバータ出力電圧用の電圧検出センサS1、S2と、各インバータ回路の出力を制御する制御回路23と、を有する。電圧検出センサS1、S2は、インバータの出力電圧を検出するとともに、給電制御装置30に接続している他の外部給電器(第2外部給電器20B、第3外部給電器20C)において出力されている電力線L1、L2からの情報を取得するセンサでもある。電圧検出センサS1、S2の検出結果に基づいて、制御回路23は、各インバータ回路の動作状態を管理する。電圧検出センサS1、S2は、電圧センサと電流センサとにより構成される。制御回路23は、CPU,ROM,RAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含むマイクロコンピュータにより構成される。
【0020】
インバータユニット22は、フィルタ部24に接続される。フィルタ部24は、高調波除去用のLCフィルタ24a(ローパスフィルタ)と、ノイズ除去用のノイズフィルタ24bとを備え、インバータユニット22で変換された交流出力は、LCフィルタ24aとノイズフィルタ24bに入力されて高調波やノイズが除去される。
【0021】
フィルタ部24は、接続部26に接続される。接続部26は、給電制御装置30、または、負荷50と接続可能な接続端子26a、26b、26cを有する。
図2に示す例では、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bが、それぞれ接続端子26a、26bを介して給電制御装置30に接続された状態を示し、第3インバータ回路22cが接続端子26cを介して負荷50に接続された状態を示している。
【0022】
第1外部給電器20Aと給電制御装置30とを接続するケーブル3は、電力線L1、L2を含む。電力線L1、L2は、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bから出力された単相交流の電力線である。また、第3インバータ回路22cから出力された出力された単相交流は電力線L3により負荷50に給電される。
【0023】
操作部40は、第1外部給電器20Aのユーザインタフェース(UI)である。操作部40は、第1外部給電器20Aと別体に設けられ、ユーザが持ち歩き可能なリモートコントロールボックス(図示せず)に無線(あるいは有線)を介して接続することが可能な接続インタフェース41(接続I/F)を有する。
【0024】
また、操作部40は、第1外部給電器20Aの運転(始動)・停止を指示する運転スイッチ42(運転SW)と、第1外部給電器20Aの運転モードとして、三相交流モードと単相交流モード(100V)、及び単相交流モード(200V)の切替を指示するモード設定スイッチ43(モード設定SW)を備える。モード設定スイッチ43の指示により、第1外部給電器20Aの運転モードを設定することができる。制御回路23は、単相交流を出力する単相交流モード、または、三相交流を出力するための三相交流モードの運転モードに基づいて、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bの出力を制御する。
【0025】
第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bは、位相調整回路29に接続されており、制御回路23は、モード設定スイッチ43の指示により設定された運転モードに基づいて、位相調整回路29の設定を切替える。
【0026】
単相交流モード(100V)が設定されると、位相調整回路29は、制御回路23の設定の切替制御に従い、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bの電力線の接続形態を並列接続に設定する。そして、制御回路23は、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bから出力される単相交流(正弦波交流)の電圧(振幅)及び位相が同期する(位相差はゼロになる)ように出力電力の波形を制御する。制御回路23及び位相調整回路29による出力電力の制御により、接続部26から出力される各インバータ回路(第1インバータ回路22a、第2インバータ回路22b、第3インバータ回路22c)の出力としてAC100Vの出力電圧を得ることができる。
【0027】
単相交流モード(200V)が設定されると、位相調整回路29は、制御回路23の設定の切替制御に従い、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bの電力線の接続形態を直列接続に設定する。そして、制御回路23は、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bから出力される交流(正弦波交流)の位相差を180°にするように出力電力の波形を制御する。制御回路23及び位相調整回路29による出力電力の調整により、接続部26(接続端子26a、26b)から出力されるインバータ回路22a、22bの出力としてAC200Vの出力電圧を得ることができる。このとき、第3インバータ回路22cの出力電力は、制御回路23及び位相調整回路29の制御対象とされていないため、接続部26(接続端子26c)から出力されるインバータ回路22cの出力としてAC100Vの出力電圧を得ることができる。
【0028】
三相交流モードが設定された場合に、制御回路23は、第1インバータ回路22aから出力される第1単相交流に対する第2インバータ回路22bから出力される第2単相交流の位相差を120°に設定する。位相調整回路29は、制御回路23の設定の切替制御に従い、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bの電力線の接続形態を直列接続に設定する。第1インバータ回路22aは、電動車両VEHのバッテリBTに蓄電された直流を単相交流に変換し第1単相交流(第1U単層交流)を出力し、第2インバータ回路22bは、異なる電動車両VEHのバッテリBTに蓄電された直流を単相交流に変換し、第1単相交流に対して120°の位相差を有する第2単相交流(第2U単層交流)を出力する。
【0029】
そして、制御回路23は、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bから出力される単相交流(正弦波交流)の電圧(振幅)及び位相が120°になるように出力電力の波形を制御する。
【0030】
制御回路23及び位相調整回路29による出力電力の制御により、接続部26から出力される第1インバータ回路22aの出力として、第1単相交流(第1U単層交流)を得ることができ、第2インバータ回路22bの出力として、第2単相交流(第2U単層交流)を得ることができる。
【0031】
ここで、第1U単層交流及び第2U単層交流は、それぞれ単相交流の出力電圧であるが、第2U単層交流は第1U単層交流に対して120°(2π/3)の位相差を有する出力電圧であり、正弦波交流を数式で表すと、以下の(1)、(2)式のようになる。(1)、(2)式において、Aは出力電圧の電圧振幅を示し、ωは角周波数を示す。
【0032】
第1U単層交流=A・sin(ωt) ・・・(1)
第2U単層交流=A・sin(ωt-2π/3) ・・・(2)
以上の説明では、第1外部給電器20Aの構成を代表例として説明したが、第2外部給電器20B、第3外部給電器20Cについても同様である。
【0033】
ここで、第2外部給電器20Bについて、三相交流モードが設定されると、第1外部給電器20Aと同様に、位相調整回路29は、制御回路23の設定の切替制御に従い、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bの電力線の接続形態を直列接続に設定する。そして、制御回路23は、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bから出力される単相交流(正弦波交流)の電圧(振幅)及び位相が120°になるように出力電力の波形を制御する。
【0034】
制御回路23及び位相調整回路29による出力電力の制御により、接続部26から出力される第1インバータ回路22aの出力として、第1単相交流(第1V単層交流)を得ることができ、第2インバータ回路22bの出力として、第2単相交流(第2V単層交流)を得ることができる。
【0035】
ここで、第1V単層交流及び第2V単層交流は、それぞれ単相交流の出力電圧であるが、第2V単層交流は第1V単層交流に対して120°(2π/3)の位相差を有する出力電圧であり、正弦波交流を数式で表すと、以下の(3)、(4)式のようになる。(3)、(4)式において、Aは出力電圧の電圧振幅を示し、ωは角周波数を示す。
【0036】
第1V単層交流=A・sin(ωt) ・・・(3)
第2V単層交流=A・sin(ωt-2π/3) ・・・(4)
また、第3外部給電器20Cについて、三相交流モードが設定されると、制御回路23及び位相調整回路29による出力電力の制御により、接続部26から出力される第1インバータ回路22aの出力として、第1単相交流(第1W単層交流)を得ることができ、第2インバータ回路22bの出力として、第2単相交流(第2W単層交流)を得ることができる。
【0037】
ここで、第1W単層交流及び第2W単層交流は、それぞれ単相交流の出力電圧であるが、第2W単層交流は第1W単層交流に対して120°(2π/3)の位相差を有する出力電圧であり、正弦波交流を数式で表すと、以下の(5)、(6)式のようになる。(5)、(6)式において、Aは出力電圧の電圧振幅を示し、ωは角周波数を示す。
【0038】
第3W単層交流=A・sin(ωt) ・・・(5)
第3W単層交流=A・sin(ωt-2π/3) ・・・(6)
(給電制御装置30の構成)
(1)~(6)式で示される単相交流が給電制御装置30に入力される。給電制御装置30は、第1外部給電器20A、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cから出力される(1)~(6)式で示される単相交流に基づいて三相交流を生成し、出力する。
【0039】
図3は第1実施形態の給電制御装置の構成を示す図である。給電制御装置30は、内部構成として、インタフェース部31(I/F部)、制御回路32、第1位相同期部33、第2位相同期部34及び生成部35を有する。
【0040】
インタフェース部31(I/F部)は、第1外部給電器20A、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cと接続可能インタフェースである。制御回路32はCPU,ROM,RAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含むマイクロコンピュータにより構成され、第1位相同期部33、第2位相同期部34及び生成部35の動作を制御する。
【0041】
第1位相同期部33及び第2位相同期部34は、例えば、PLL回路(PLL:Phase-locked loop)により構成することが可能である。
【0042】
(第1位相同期部33の処理)
第1位相同期部33は、第1外部給電器20Aから出力された第2単相交流(第2U単層交流)と、第2外部給電器20Bから出力された第1単相交流(第1V単層交流)との位相を同期させる。
【0043】
図4は、第1位相同期部33及び第2位相同期部34の位相同期処理を説明する図である。第1位相同期部33は、第1外部給電器20Aから出力された第2単相交流(第2U単層交流)と、第2外部給電器20Bから出力された第1単相交流(第1V単層交流)とを比較して、第2単相交流(第2U単層交流)と、第1単相交流(第1V単層交流)との位相差を求める。
図4に示す例では、第1単相交流(第1V単層交流)は第2単相交流(第2U単層交流)に対して位相差α(ラジアン)の遅れを有することを示している。
【0044】
位相差α(ラジアン)の遅れをゼロにする(所定の閾値範囲内に収束する)ように、第1位相同期部33は、第2外部給電器20Bからの出力を補正する。すなわち、第1位相同期部33は、位相の同期に合わせて、第2外部給電器20Bから出力された第1単相交流(第1V単層交流)及び第2単相交流(第2V単層交流)の位相を補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する。
【0045】
第1補正単相交流及び第2補正単相交流を、数式で表すと、以下の(7)、(8)式のようになる。第1位相同期部33は、位相差α(ラジアン)の遅れをゼロにするように、(3)、(4)式において、位相をαラジアン進めた以下の(7)、(8)式より、第1補正単相交流(第1V補正単相交流)及び第2補正単相交流(第2V補正単相交流)を生成し出力する。
【0046】
第1V補正単相交流=A・sin(ωt+α) ・・・(7)
第2V補正単相交流=A・sin(ωt-2π/3+α) ・・・(8)
(第2位相同期部34の処理)
第2位相同期部34は、第2補正単相交流(第2V補正単相交流)と、第3外部給電器20Cから出力された第1単相交流(第1W単層交流)との位相を同期させる。
【0047】
第2位相同期部34は、第2補正単相交流(第2V補正単相交流)と、第3外部給電器20Cから出力された第1単相交流(第1W単層交流)とを比較して、第2補正単相交流(第2V補正単相交流)と、第1単相交流(第1W単層交流)との位相差を求める。
図4に示す例では、第1単相交流(第1W単層交流)は第2補正単相交流(第2V補正単相交流)に対して位相差β(ラジアン)の遅れを有することを示している。
【0048】
位相差β(ラジアン)の遅れをゼロにする(所定の閾値範囲内に収束する)ように、第2位相同期部34は、第3外部給電器20Cからの出力を補正する。すなわち、第2位相同期部34は、位相の同期に合わせて、第3外部給電器20Cから出力された第1単相交流(第1W単層交流)及び第2単相交流(第2W単層交流)の位相を補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する。
【0049】
第1補正単相交流(第1W補正単相交流)及び第2補正単相交流(第2W補正単相交流)を、数式で表すと、以下の(9)、(10)式のようになる。第2位相同期部34は、位相差β(ラジアン)の遅れをゼロにするように、(5)、(6)式において、位相をβラジアン進めた以下の(9)、(10)式より、第1補正単相交流(第1W補正単相交流)及び第2補正単相交流(第2W補正単相交流)を生成し出力する。
【0050】
第1W補正単相交流=A・sin(ωt+β) ・・・(9)
第2W補正単相交流=A・sin(ωt-2π/3+β) ・・・(10)
(生成部35の処理)
生成部35は、第1外部給電器20Aからの出力、第1位相同期部33及び第2位相同期部34からの出力に基づいて三相交流を生成する。
【0051】
生成部35は、第1外部給電器20Aからの出力として、第1外部給電器20Aから出力された第1単相交流(第1U単層交流)を三相交流の生成に使用する。また、生成部35は、第1位相同期部33から出力され、第1外部給電器20Aの第1単相交流(第1U単層交流)に対して120°の位相差を有する第2外部給電器20Bの第1補正単相交流(第1V補正単相交流)を三相交流の生成に使用する。また、生成部35は、第2位相同期部34から出力され、第2外部給電器20Bの第1補正単相交流(第1V補正単相交流)に対して120°の位相差を有する、第3外部給電器20Cの第1補正単相交流(第1W補正単相交流)を三相交流の生成に使用する。すなわち、生成部35は、第1外部給電器20Aから出力された第1単相交流(第1U単層交流)と、第1単相交流(第1U単層交流)に対して120°の位相差を有する第2外部給電器20Bの第1補正単相交流(第1V補正単相交流)と、第1補正単相交流(第1V補正単相交流)に対して120°の位相差を有する第3外部給電器20Cの第1補正単相交流(第1W補正単相交流)とに基づいて、三相交流を生成し、出力する。
【0052】
(変形例)
生成部35は、3つの外部給電器20の出力を用いて三相交流を生成することが可能である。この他、位相差をゼロに補正する際に予め設定した同期精度が得られない場合や、所定の時間内に同期処理が完了しない場合など、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cのいずれか一方からの出力が、予め設定したタイミングで得られない場合が発生し得る。このような場合であっても、生成部35は、第1外部給電器20Aの出力と、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cのうち、出力が得られた他方からの出力と、に基づいて三相交流を生成し、出力することも可能である。
【0053】
例えば、第3外部給電器20Cからの出力が予め設定したタイミングで得られない場合、生成部35は、第1外部給電器20Aから出力された第1単相交流(第1U単層交流)及び第2単相交流(第2U単層交流)と、第1位相同期部33から出力され、第1外部給電器20Aの第2単相交流(第2U単層交流)に対して120°の位相差を有する第2外部給電器20Bの第2補正単相交流(第2V補正単相交流)と、に基づいて三相交流を生成することも可能である。
【0054】
また、第2外部給電器20Bからの出力が予め設定したタイミングで得られない場合、生成部35は、第1外部給電器20Aから出力された第1単相交流(第1U単層交流)及び第2単相交流(第2U単層交流)と、第2位相同期部34から出力され、第1外部給電器20Aの第2単相交流(第2U単層交流)に対して120°の位相差を有する第3外部給電器20Cの第1補正単相交流と、に基づいて三相交流を生成することも可能である。
【0055】
[第2実施形態]
第1実施形態では、給電制御装置30の内部に第1位相同期部33及び第2位相同期部34を設けた構成を説明したが、第1位相同期部33及び第2位相同期部34の構成を、外部給電器20の制御回路23の内部に設けてもよい。
【0056】
図5は第2実施形態の給電制御装置30の構成を示す図であり、インタフェース部31(I/F部)及び生成部35は
図3と同様である。
【0057】
インバータユニット22の制御回路23は、電圧検出センサS1、S2からの入力により、給電制御装置30に接続している他の外部給電器において出力されている電力線L1、L2からの情報を取得することが可能であり、制御回路23は、取得した情報に基づいて、
図4で説明した位相同期処理を行う。
【0058】
例えば、1台の外部給電器(例えば、第1外部給電器20A)が既に給電制御装置30に接続されている場合、自給電器(例えば、第2外部給電器20B)の制御回路23は、第1位相同期部33として機能して、第1外部給電器20Aから出力されている第2単相交流(第2U単層交流)と、自給電器(第2外部給電器20B)から出力される第1単相交流(第1V単層交流)との位相を同期させる。
【0059】
電圧検出センサS1、S2からの入力に基づいて、第2単相交流(第2U単層交流)と第1単相交流(第1V単層交流)との間に位相差αが検出された場合、制御回路23は、位相差αの遅れをゼロにする(所定の閾値範囲内に収束する)ように、自給電器(第2外部給電器20B)からの出力を補正する。すなわち、制御回路23は、位相の同期に合わせて、第2外部給電器20Bから出力する第1単相交流(第1V単層交流)及び第2単相交流(第2V単層交流)の位相を予め補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する。
【0060】
制御回路23の位相同期処理は
図4で説明したものと同様であり、制御回路23は、(7)式、(8)式の第1補正単相交流及び第2補正単相交流が第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bから出力されるように、出力電力の波形を制御する。
【0061】
また、2台の外部給電器(例えば、第1外部給電器20A、第2外部給電器20B)が既に給電制御装置30に接続されている場合、自給電器(例えば、第3外部給電器20C)の制御回路23は、第1位相同期部33及び第2位相同期部34として機能する。
【0062】
第1位相同期部33として機能する場合は先の説明と同様であり、制御回路23は、第1外部給電器20Aから出力されている第2単相交流(第2U単層交流)と、第2外部給電器20Bから出力されている第1単相交流(第1V単層交流)との位相を同期させる。この位相同期処理により、制御回路23は、第1補正単相交流及び第2補正単相交流を生成する。
【0063】
更に、制御回路23は、第2位相同期部34として機能して、第2補正単相交流(第2V補正単相交流)と、第3外部給電器20Cから出力される第1単相交流(第1W単層交流)との位相を同期させる。
【0064】
電圧検出センサS1、S2からの入力に基づいて、第2補正単相交流(第2V補正単相交流)と第1単相交流(第1W単層交流)との間に位相差βが検出された場合、制御回路23は、位相差βの遅れをゼロにする(所定の閾値範囲内に収束する)ように、自給電器(第3外部給電器20C)からの出力を補正する。すなわち、制御回路23は、位相の同期に合わせて、第3外部給電器20Cから出力する第1単相交流(第1W単層交流)及び第2単相交流(第2W単層交流)の位相を予め補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する。
【0065】
制御回路23の位相同期処理は
図4で説明したものと同様であり、制御回路23は、(9)式、(10)式の第1補正単相交流及び第2補正単相交流が第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bから出力されるように、出力電力の波形を制御する。
【0066】
生成部35の処理は第1実施形態で説明した処理を同様であるが、第2実施形態では、第1位相同期部33からの出力として、第2外部給電器20Bの出力を使用し、第2位相同期部34からの出力として、第3外部給電器20Cからの出力を使用して三相交流を生成する。
【0067】
給電制御装置30の生成部35は、第1外部給電器20Aからの出力、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cからの出力に基づいて三相交流を生成する。
【0068】
生成部35は、第1外部給電器20Aからの出力として、第1外部給電器20Aから出力された第1単相交流(第1U単層交流)を三相交流の生成に使用する。また、生成部35は、第2外部給電器20Bから出力され、第1外部給電器20Aの第1単相交流(第1U単層交流)に対して120°の位相差を有する第2外部給電器20Bの第1補正単相交流(第1V補正単相交流)を三相交流の生成に使用する。
【0069】
更に、生成部35は、第3外部給電器20Cから出力され、第2外部給電器20Bの第1補正単相交流(第1V補正単相交流)に対して120°の位相差を有する、第3外部給電器20Cの第1補正単相交流(第1W補正単相交流)を三相交流の生成に使用する。
【0070】
すなわち、生成部35は、第1外部給電器20Aから出力された第1単相交流(第1U単層交流)と、第1単相交流(第1U単層交流)に対して120°の位相差を有する第2外部給電器20Bの第1補正単相交流(第1V補正単相交流)と、第1補正単相交流(第1V補正単相交流)に対して120°の位相差を有する第3外部給電器20Cの第1補正単相交流(第1W補正単相交流)とに基づいて、三相交流を生成し、出力する。
【0071】
以上説明した構成でも、3つの外部給電器20の出力を用いて三相交流を生成することが可能である。また、第2実施形態の構成でも、第1実施形態で説明した変形例を適用することは可能である。
【0072】
第2実施形態の構成によれば、第1インバータ回路22a及び第2インバータ回路22bから出力する単相交流の位相を120°に制御する際に、外部給電器間における単相交流の位相差(α、β)に基づいて、自給電器から出力する単相交流の位相補正を行うことができる。単相交流の位相を120°に制御する処理及び位相補正を、まとめて行うことにより、処理の高速化を図ることができるとともに、給電制御装置30の構成を簡素化することができる。
【0073】
<その他の実施形態>
また、実施形態で説明された外部給電器20や給電制御装置30の各機能を実現するプログラムは、ネットワーク又は記憶媒体を介して外部給電器20や給電制御装置30に供給され、外部給電器20や給電制御装置30のコンピュータにおける1以上のプロセッサは、このプログラムを読み出して実行することができる。
【0074】
<実施形態のまとめ>
構成1.上記実施形態の電源システムは、電動車両(例えば、
図1のVEH)のバッテリ(例えば、
図1のBT)と接続し、前記バッテリに蓄電された直流を単相交流に変換して出力する第1外部給電器、第2外部給電器及び第3外部給電器と(例えば、
図1の20A、20B、20C)、
前記第1外部給電器、前記第2外部給電器及び前記第3外部給電器から出力される前記単相交流を120°の位相差で同期させた三相交流を生成する制御手段と(例えば、
図1の23、30)、を備える。
【0075】
構成1の電源システムによれば、単相交流を出力する外部給電器を複数台用いて三相交流を生成することが可能な電源システムを提供することが可能になる。
【0076】
構成2.上記実施形態の電源システム(10)では、
前記第1外部給電器、前記第2外部給電器及び前記第3外部給電器(20A、20B、20C)は、
前記直流を前記単相交流に変換した第1単相交流を出力する第1インバータ回路(例えば、
図2の22a)と、
前記直流を前記単相交流に変換し、前記第1単相交流に対して120°の位相差を有する第2単相交流を出力する第2インバータ回路(例えば、
図2の22b)と、
を備え、
前記制御手段(23、30)は、
前記第1外部給電器から出力された前記第2単相交流と、前記第2外部給電器(20B)から出力された前記第1単相交流との位相を同期させ、当該位相の同期に合わせて、前記第2外部給電器(20B)から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流の位相を補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する第1位相同期部(例えば、
図3の33)と、
前記第2補正単相交流と、前記第3外部給電器(20C)から出力された前記第1単相交流と、の位相を同期させ、当該位相の同期に合わせて、前記第3外部給電器(20C)から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流の位相を補正した第1補正単相交流及び第2補正単相交流を出力する第2位相同期部(例えば、
図3の34)と、
を備える。
【0077】
構成3.上記実施形態の電源システム(10)では、
前記第1外部給電器、前記第2外部給電器及び前記第3外部給電器(20A、20B、20C)は、
単相交流を出力する単相交流モード、または、三相交流を出力するための三相交流モードの運転モードに基づいて、前記第1インバータ回路(22a)及び前記第2インバータ回路(22b)の出力を制御する制御回路(例えば、
図2の23)を更に備え、
前記三相交流モードが設定された場合に、前記制御回路(23)は、前記第1単相交流に対する前記第2単相交流の位相差を120°に設定する。
【0078】
構成4.上記実施形態の電源システム(10)では、
前記第1外部給電器(20A)からの出力、前記第1位相同期部(33)及び前記第2位相同期部(34)からの出力に基づいて前記三相交流を生成する生成手段(例えば、
図3の35)を更に備える。
【0079】
構成5.上記実施形態の電源システム(10)では、前記生成手段(35)は、
前記第1外部給電器(20A)から出力された前記第1単相交流と、
前記第1位相同期部(33)から出力され、前記第1外部給電器(20A)の前記第1単相交流に対して120°の位相差を有する前記第2外部給電器(20B)の前記第1補正単相交流と、
前記第2位相同期部(34)から出力され、前記第2外部給電器(20B)の前記第1補正単相交流に対して120°の位相差を有する、前記第3外部給電器(20C)の前記第1補正単相交流と、
に基づいて前記三相交流を生成する。
【0080】
構成1から構成5の電源システムによれば、単相交流を出力する外部給電器を複数台用いて三相交流を生成することが可能な電源システムを提供することが可能になる。
【0081】
また、三相交流出力用の三相インバータを用いることなく、単相インバータの出力を組み合わせることにより電源システムを構成することが可能になる。すなわち、単相交流を出力する外部給電器を複数台用いて運用することで、三相交流を給電することができる。
【0082】
また、大型の三相交流出力用の三相インバータや三相インバータ用の電源を必要としないため、普通車(電動車両VEH)に積載可能な寸法で、外部給電器20及び給電制御装置30を可搬型のシステムとして構成することが可能になる。これにより、系統電力が使用できない災害時等においては、避難所などの救援拠点に移動して、三相交流による電力を供給することが可能になる。
【0083】
構成6.上記実施形態の電源システム(10)では、
前記生成手段(35)は、前記第3外部給電器(20C)からの出力が予め設定したタイミングで得られない場合、
前記第1外部給電器(20A)から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流と、
前記第1位相同期部(33)から出力され、前記第1外部給電器(20A)の前記第2単相交流に対して120°の位相差を有する前記第2外部給電器(20B)の前記第2補正単相交流と、に基づいて前記三相交流を生成する。
【0084】
構成7.上記実施形態の電源システム(10)では、
前記生成手段(35)は、前記第2外部給電器(20B)からの出力が予め設定したタイミングで得られない場合、
前記第1外部給電器(20A)から出力された前記第1単相交流及び前記第2単相交流と、
前記第2位相同期部(34)から出力され、前記第1外部給電器(20A)の前記第2単相交流に対して120°の位相差を有する前記第3外部給電器(20C)の前記第1補正単相交流と、に基づいて前記三相交流を生成する。
【0085】
構成6または構成7の電源システムによれば、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cのいずれか一方からの出力が、予め設定したタイミングで得られない場合であっても、第1外部給電器20Aの出力と、第2外部給電器20B及び第3外部給電器20Cのうち、出力が得られた他方からの出力と、に基づいて三相交流を生成することが可能になる。
【0086】
これにより、第1外部給電器20Aと第2外部給電器20Bとの間における単相交流の同期精度、及び、第2外部給電器20Bと第3外部給電器20Cとの間における単相交流の同期精度を維持しつつ、安定して三相交流を生成することが可能になる。
【0087】
本発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
10:電源システム、20A:第1外部給電器、20B:第2外部給電器、20C:第3外部給電器、22a:第1インバータ回路、22b:第2インバータ回路、23:制御回路、30:給電制御装置、33:第1位相同期部、34:第2位相同期部、35:生成部