(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】姿勢評価プログラム、姿勢評価装置、姿勢評価方法、及び姿勢評価システム。
(51)【国際特許分類】
A61B 5/107 20060101AFI20231107BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20231107BHJP
G06T 13/40 20110101ALI20231107BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20231107BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20231107BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
A61B5/107 300
G06T7/70 B
G06T13/40
A61B5/11 120
A63B69/00 A
A63B71/06 Z
(21)【出願番号】P 2020151655
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】516300977
【氏名又は名称】高木 りか
(73)【特許権者】
【識別番号】520349713
【氏名又は名称】有賀 康祐
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 康祐
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170264(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/008771(WO,A1)
【文献】特開2012-081089(JP,A)
【文献】特開2020-065229(JP,A)
【文献】国際公開第2012/039467(WO,A1)
【文献】特開2018-011960(JP,A)
【文献】特開2015-107141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
G06T 1/00
7/00 - 7/90
11/60 - 13/80
17/05
19/00 - 19/20
G06V 10/00 - 20/90
30/418
40/16
40/20
A63B 69/00 - 71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置において実行される姿勢評価プログラムであって、
コンピュータ装置を、
被評価者の身体部位の
2点を結ぶ線分の法線を用いて表すことのできる向きを、身体部位の向きとして特定する向き特定手段と、
特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示手段、
として機能させ、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる
2点のいずれとも異なる
、姿勢評価プログラム。
【請求項2】
コンピュータ装置において実行される姿勢評価プログラムであって、
コンピュータ装置を、
被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに、それぞれの身体部位の少なくとも2点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定手段と、
身体部位ごとに、特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、それぞれの身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示手段
として機能させ、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる複数の点のいずれとも異な
り、
複数の前記所定の点が、直線上であるか否かにより被評価者の姿勢を評価することのできる点である、姿勢評価プログラム。
【請求項3】
向き特定手段が、身体部位の向きの特定のもととなる2点を結ぶ線分の法線を用いて表すことのできる向きを、身体部位の向きとして特定する、請求項
2に記載の姿勢評価プログラム。
【請求項4】
前記所定の点が、外後頭隆起、第四胸椎棘突起、及び、第二仙骨棘突起である、請求項
1又は2に記載の姿勢評価プログラム。
【請求項5】
向き特定手段及び/又は向き表示手段が、被評価者を正面方向、側面方向及び背面方向から撮像した画像、又は、正面方向、側面方向及び上面方向から撮像した画像をもとに実行される、請求項1又は2に記載の姿勢評価プログラム。
【請求項6】
コンピュータ装置を、
複数の身体部位の
それぞれの位置を特定する位置特定手段と、
向き特定手段により特定された向き、及び/又は、位置特定手段により特定された位置に応じて、仮想モデルに設定された仮想骨格を変更する仮想骨格変更手段と、
変更された仮想骨格に応じた仮想モデルをレンダリングし、2次元画像または3次元画像として表示する仮想モデル表示手段
として機能させる、請求項1又は2に記載の姿勢評価プログラム。
【請求項7】
被評価者の身体部位の
2点を結ぶ線分の法線を用いて表すことのできる向きを、身体部位の向きとして特定する向き特定手段と、
特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示手段と
を備え、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる
2点のいずれとも異なる
、姿勢評価装置。
【請求項8】
被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに、それぞれの身体部位の少なくとも2点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定手段と、
身体部位ごとに、特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、それぞれの身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示手段と
を備え、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる複数の点のいずれとも異な
り、
複数の前記所定の点が、直線上であるか否かにより被評価者の姿勢を評価することのできる点である、姿勢評価装置。
【請求項9】
コンピュータ装置において実行される姿勢評価方法であって、
被評価者の身体部位の
2点を結ぶ線分の法線を用いて表すことのできる向きを、身体部位の向きとして特定する向き特定ステップと、
特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示ステップと
を有し、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる
2点のいずれとも異なる
、姿勢評価方法。
【請求項10】
コンピュータ装置において実行される姿勢評価方法であって、
被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに、それぞれの身体部位の少なくとも2点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定ステップと、
身体部位ごとに、特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、それぞれの身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示ステップと
を有し、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる複数の点のいずれとも異な
り、
複数の前記所定の点が、直線上であるか否かにより被評価者の姿勢を評価することのできる点である、姿勢評価方法。
【請求項11】
第1装置と、該第1装置と通信接続が可能な第2装置とを備え、
第1装置又は第2装置が、被評価者の身体部位の
2点を結ぶ線分の法線を用いて表すことのできる向きを、身体部位の向きとして特定する向き特定手段を備え、
第1装置又は第2装置が、特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示手段を備え、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる
2点のいずれとも異なる
、姿勢評価システム。
【請求項12】
第1装置と、該第1装置と通信接続が可能な第2装置とを備え、
第1装置又は第2装置が、被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに、それぞれの身体部位の少なくとも2点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定手段を備え、
第1装置又は第2装置が、身体部位ごとに、特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、それぞれの身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示手段を備え、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる複数の点のいずれとも異な
り、
複数の前記所定の点が、直線上であるか否かにより被評価者の姿勢を評価することのできる点である、姿勢評価システム。
【請求項13】
被評価者の身体部位の
2点を結ぶ線分の法線を用いて表すことのできる向きを、身体部位の向きとして特定する向き特定ステップと、
特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示ステップと
を有し、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる
2点のいずれとも異なる
、姿勢評価方法。
【請求項14】
被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに、それぞれの身体部位の少なくとも2点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定ステップと、
身体部位ごとに、特定した身体部位の向きに関するオブジェクトとして、それぞれの身体部位の所定の点を始点とするオブジェクトを表示する向き表示ステップと
を有し、
前記所定の点が、身体部位の向きの特定のもととなる複数の点のいずれとも異な
り、
複数の前記所定の点が、直線上であるか否かにより被評価者の姿勢を評価することのできる点である、姿勢評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の姿勢の状態を把握することができる姿勢評価プログラム、姿勢評価装置、姿勢評価方法、及び姿勢評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人々が健康状態を維持していくためには、日頃から適度な運動を実施することが重要である。近年では、運動機能の増進を図るために、トレーニング施設を利用する等して運動をする人も増加している。また、整骨院、整体院、又はリハビリテーション施設などの治療施設においても、患者に種々の運動を実施させることにより、患者の症状の軽減、治療、又は機能回復を図る、いわゆる運動療法が行われている。
【0003】
運動の効果を高めるためには、人の身体の状態を見極めたうえで、運動メニューを決定し、正しいフォームで実施させることが必要である。例えば、一般的に奨励されているような運動メニューであっても、その人の身体の状態が、その運動メニューを実施するために適した状態になかったり、誤ったフォームで実施されたりした場合、その運動メニューを実施しても、本来は使うべきではない筋肉が使用されたり、関節や関節周囲の軟部組織に過剰な負荷がかかったりし、故障や不定愁訴の原因となるおそれがある。
【0004】
より効果的で、故障や不定愁訴の原因とならないような運動メニューを提供するためには、その人の姿勢の状態を定量的に把握することが好ましい。また、運動メニューを正しく実施させるためには、本人のフォームと理想のフォームの差異を可視化し、実施する本人に認識させることが望ましい。これらの姿勢の状態を把握することができれば、その人にとってより適した運動メニューを提供し、正しく実施させることが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、姿勢の状態を把握することが可能な姿勢評価プログラム、姿勢評価装置、姿勢評価方法、及び姿勢評価システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の[1]~[27]により、上記の課題を解決するものである。
[1]コンピュータ装置において実行される姿勢評価プログラムであって、コンピュータ装置を、被評価者の身体部位の少なくとも2点を特定する第1特定手段と、第1特定手段により特定された点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定手段として機能させる、姿勢評価プログラム;
[2]コンピュータ装置を、身体部位の少なくとも1点を特定する第2特定手段と、第2特定手段により特定された点と関連付けて、特定した向きに関する情報を表示する向き表示手段として機能させる、前記[1]に記載の姿勢評価プログラム;
[3]複数の身体部位が存在し、コンピュータ装置を、第2特定手段により身体部位ごとに特定された点をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示手段として機能させる、前記[1]又は[2]に記載の姿勢評価プログラム;
[4]被評価者の身体部位の少なくとも2点を特定する第1特定手段と、第1特定手段により特定された点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定手段とを備える、姿勢評価装置;
[5]コンピュータ装置において実行される姿勢評価方法であって、被評価者の身体部位の少なくとも2点を特定する第1特定ステップと、第1特定ステップにより特定された点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定ステップとを有する、姿勢評価方法;
[6]第1装置と、該第1装置と通信接続が可能な第2装置とを備え、被評価者の身体部位の少なくとも2点を特定する第1特定手段と、第1特定手段により特定された点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定手段とを備える、姿勢評価システム;
[7]被評価者の身体部位の少なくとも2点を特定する第1特定ステップと、第1特定ステップにより特定された点をもとに、身体部位の向きを特定する向き特定ステップとを有する、姿勢評価方法;
[8]コンピュータ装置において実行される姿勢評価プログラムであって、コンピュータ装置を、被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに少なくとも1点を特定する第2特定手段と、第2特定手段により身体部位ごとに特定された点をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示手段として機能させる、姿勢評価プログラム;
[9]被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに少なくとも1点を特定する第2特定手段と、第2特定手段により身体部位ごとに特定された点をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示手段とを備える、姿勢評価装置;
[10]コンピュータ装置において実行される姿勢評価方法であって、被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに少なくとも1点を特定する第2特定ステップと、第2特定ステップにより身体部位ごとに特定された点をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示ステップとを有する、姿勢評価方法;
[11]第1装置と、該第1装置と通信接続が可能な第2装置とを備え、被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに少なくとも1点を特定する第2特定手段と、第2特定手段により身体部位ごとに特定された点をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示手段とを備える、姿勢評価システム;
[12]被評価者の複数の身体部位について、身体部位ごとに少なくとも1点を特定する第2特定ステップと、第2特定ステップにより身体部位ごとに特定された点をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示ステップとを有する、姿勢評価方法;
[13]コンピュータ装置において実行される姿勢評価プログラムであって、コンピュータ装置を、被評価者の身体部位の少なくとも1点に取り付けられたセンサをもとに特定される向きに関する情報を、身体部位の向きに関する情報として表示する向き表示手段として機能させる、姿勢評価プログラム;
[14]被評価者の身体部位の少なくとも1点に取り付けられたセンサをもとに特定される向きに関する情報を、身体部位の向きに関する情報として表示する向き表示手段を備える、姿勢評価装置;
[15]コンピュータ装置において実行される姿勢評価方法であって、被評価者の身体部位の少なくとも1点に取り付けられたセンサをもとに特定される向きに関する情報を、身体部位の向きに関する情報として表示する向き表示ステップを有する、姿勢評価方法;
[16]第1装置と、該第1装置と通信接続が可能な第2装置とを備え、被評価者の身体部位の少なくとも1点に取り付けられたセンサをもとに特定される向きに関する情報を、身体部位の向きに関する情報として表示する向き表示手段を備える、姿勢評価システム;
[17]被評価者の身体部位の少なくとも1点に取り付けられたセンサと、コンピュータ装置とを備え、コンピュータ装置が、前記センサをもとに特定される向きに関する情報を、身体部位の向きに関する情報として表示する向き表示手段を備える、姿勢評価システム;
[18]コンピュータ装置において実行される姿勢評価プログラムであって、コンピュータ装置を、被評価者の複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点に取り付けられたセンサをもとに特定される位置をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示手段として機能させる、姿勢評価プログラム;
[19]被評価者の複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点に取り付けられたセンサをもとに特定される位置をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示手段を備える、姿勢評価装置;
[20]コンピュータ装置において実行される姿勢評価方法であって、被評価者の複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点に取り付けられたセンサをもとに特定される位置をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示ステップを有する、姿勢評価方法;
[21]第1装置と、該第1装置と通信接続が可能な第2装置とを備え、被評価者の複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点に取り付けられたセンサをもとに特定される位置をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示手段を備える、姿勢評価システム;
[22]被評価者の身体部位の少なくとも1点に取り付けられたセンサと、コンピュータ装置とを備え、コンピュータ装置が、被評価者の複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点に取り付けられたセンサをもとに特定される位置をもとに、一の身体部位の位置と、他の身体部位の位置との位置関係を示す情報を表示する位置関係表示手段を備える、姿勢評価システム;
[23]コンピュータ装置において実行される姿勢評価プログラムであって、コンピュータ装置を、被評価者の複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点における向きを特定する向き特定手段と、前記複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点の位置を特定する位置特定手段と、向き特定手段により特定された向き、及び/又は、位置特定手段により特定された位置に応じて、仮想モデルに設定された仮想骨格を変更する仮想骨格変更手段と、変更された仮想骨格に応じた仮想モデルをレンダリングし、2次元画像または3次元画像として表示する仮想モデル表示手段として機能させる、姿勢評価プログラム;
[24]コンピュータ装置を、仮想モデルに所定の動作を実行させる動作実行手段として機能させる、前記[23]に記載の姿勢評価プログラム;
[25]被評価者の複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点における向きを特定する向き特定手段と、前記複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点の位置を特定する位置特定手段と、向き特定手段により特定された向き、及び/又は、位置特定手段により特定された位置に応じて、仮想モデルに設定された仮想骨格を変更する仮想骨格変更手段と、変更された仮想骨格に応じた仮想モデルをレンダリングし、2次元画像または3次元画像として表示する仮想モデル表示手段とを備える、姿勢評価装置;
[26]コンピュータ装置において実行される姿勢評価方法であって、被評価者の複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点における向きを特定する向き特定ステップと、前記複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点の位置を特定する位置特定ステップと、向き特定ステップにより特定された向き、及び/又は、位置特定ステップにより特定された位置に応じて、仮想モデルに設定された仮想骨格を変更する仮想骨格変更ステップと、変更された仮想骨格に応じた仮想モデルをレンダリングし、2次元画像または3次元画像として表示する仮想モデル表示ステップとを有する、姿勢評価方法;
[27]第1装置と、該第1装置と通信接続が可能な第2装置とを備え、被評価者の複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点における向きを特定する向き特定手段と、前記複数の身体部位のそれぞれの少なくとも1点の位置を特定する位置特定手段と、向き特定手段により特定された向き、及び/又は、位置特定手段により特定された位置に応じて、仮想モデルに設定された仮想骨格を変更する仮想骨格変更手段と、変更された仮想骨格に応じた仮想モデルをレンダリングし、2次元画像または3次元画像として表示する仮想モデル表示手段とを備える、姿勢評価システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、姿勢の状態を把握することが可能な姿勢評価プログラム、姿勢評価装置、姿勢評価方法、及び姿勢評価システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるコンピュータ装置の構成を表すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかる姿勢評価処理のフロ-チャートである。
【
図3】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。
【
図4】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。
【
図5】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。
【
図6】本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。
【
図7】本発明の実施の形態にかかる運動メニューテーブルを表す図である。
【
図8】本発明の実施の形態にかかるアバター表示処理のフローチャートである。
【
図9】本発明の実施の形態にかかる仮想骨格モデルを表す図である。
【
図10】本発明の実施の形態にかかる姿勢評価システムの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によれば、人の姿勢の状態を簡易な方法で的確に把握することが可能である。被評価者の姿勢の状態を把握することができれば、例えば、緊張亢進(短縮)の状態にある筋(以下、「緊張筋」ともいう)や、緊張低下(弛緩または弱化)の状態にある筋(以下、「弛緩筋」ともいう)の位置など、被評価者の筋のバランスを把握することができる。筋の状態を把握することができれば、それぞれの筋に適切に働きかける運動メニュー、すなわち、その被評価者にとってより適した運動メニューを提供し、正しく実施させることが可能になる。
【0010】
以下、図面等を用いて本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、本明細書において説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同である。
【0011】
なお、本明細書において、「クライアント」とは、姿勢の評価を受ける被評価者のことであり、例えば、トレーニング施設の利用者、スポーツ愛好家、アスリート、運動療法を実施している患者などが含まれる。また、「トレーナー」とは、クライアントに対して運動の指導やアドバイスを行う者のことをいい、例えば、トレーニング施設のインストラクター、スポーツトレーナー、コーチ、柔道整復師、理学療法士などが含まれる。また、「画像」は、静止画像、動画像のいずれであっても良い。
【0012】
[第一の実施の形態]
まず、本発明の第一の実施の形態の概要について説明をする。以下では、第一の実施の形態として、クライアントの姿勢の状態の評価をコンピュータ装置に実行させるプログラムを例示して説明をする。
【0013】
第一の実施の形態にかかるプログラムによれば、例えば、トレーナーやクライアント自身によって、クライアントの姿勢を撮像し、撮像された画像をもとにクライアントの姿勢を把握することができる。その結果、クライアントに適した運動メニューを提供することが可能となる。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態にかかるコンピュータ装置の構成を示すブロック図である。コンピュータ装置1は、制御部11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13、サウンド処理部14、センサ部16、グラフィックス処理部18、表示部19、通信インタフェース20、インタフェース部21、及びカメラ部23を少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0015】
コンピュータ装置1は、ユーザ(例えば、トレーナー又はクライアント)が操作するための端末である。コンピュータ装置1としては、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDA、サーバ装置等が挙げられるが、これに限定されない。コンピュータ装置1は、通信ネットワーク2を介して、他のコンピュータ装置と通信接続が可能であることが好ましい。
【0016】
通信ネットワーク2としては、例えば、インターネット、有線もしくは無線の公衆電話網、有線もしくは無線LAN、又は専用回線等、有線又は無線の公知の各種の通信ネットワークが挙げられる。
【0017】
制御部11は、CPUやROMから構成され、時間を計時する内部タイマを備えている。制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムを実行し、コンピュータ装置1の制御を行う。RAM12は、制御部11のワークエリアである。記憶部13は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。
【0018】
制御部11は、プログラム及びデータをRAM12から読み出して処理を行う。制御部11は、RAM12にロードされたプログラム及びデータを処理することで、サウンド出力の指示をサウンド処理部14に出力したり、描画命令をグラフィックス処理部18に出力したりする。
【0019】
サウンド処理部14は、スピーカであるサウンド出力装置15に接続されている。制御部11がサウンド出力の指示をサウンド処理部14に出力すると、サウンド処理部14は、サウンド出力装置15にサウンド信号を出力する。サウンド出力装置15は、例えば、クライアントの姿勢や運動内容に関する指示、運動についてのフィードバックなどを、音声で出力することも可能である。
【0020】
センサ部16は、深度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPSセンサ、指紋認証センサ、近接センサ、磁力センサ、輝度センサ、GPSセンサ、及び気圧センサからなる群より選択される少なくとも1以上のセンサを備えている。
【0021】
グラフィックス処理部18は、表示部19に接続されている。表示部19は、表示画面19aを備えている。また、表示部19は、タッチ入力部19bを備えていてもよい。制御部11が描画命令をグラフィックス処理部18に出力すると、グラフィックス処理部18は、フレームメモリ17に画像を展開し、表示画面19aに画像を表示するためのビデオ信号を出力する。タッチ入力部19bは、ユーザの操作入力を受け付けるものであり、タッチ入力部19b上における指やスタイラス等による押圧や、指等の位置の移動を検知し、その座標位置の変化等を検出する。表示画面19a及びタッチ入力部19bは、例えば、タッチパネルのように、一体的に構成されていてもよい。グラフィックス処理部18は、フレーム単位で1枚の画像の描画を実行する。
【0022】
通信インタフェース20は、無線又は有線により通信ネットワーク2に接続が可能であり、通信ネットワーク2を介してデータを送受信することが可能である。通信ネットワーク2を介して受信したデータは、RAM12にロードされ、制御部11により演算処理が行われる。
【0023】
インタフェース部21には、入力部22(例えば、マウスやキーボード等)が接続され得る。ユーザによる入力部22からの入力情報は、RAM12に格納され、制御部11は、入力情報をもとに各種の演算処理を実行する。
【0024】
カメラ部23は、クライアントを撮像するものであり、例えば、クライアントの静止状態及び/又は動作状態における姿勢や、クライアントが運動を実施している様子などを撮像する。カメラ部23により撮像された画像は、グラフィックス処理部18に出力される。なお、カメラ部23はコンピュータ装置1に備えられていなくても良く、例えば、外部の撮像装置によって撮像した画像を取り込むことで、クライアントを撮像した画像を取得しても良い。
【0025】
次に、本発明の実施の形態にかかる、コンピュータ装置の姿勢評価処理について説明をする。
図2は、本発明の実施の形態にかかる姿勢評価処理のフローチャートを示す図である。ユーザ(例えば、トレーナー又はクライアント)が、コンピュータ装置1にインストールされた専用のアプリケーション(以下、専用アプリ)を起動し、カメラ機能の開始ボタンを選択すると、カメラ機能が開始される(ステップS1)。ユーザは、コンピュータ装置1を利用して、クライアントの身体の一部又は全身を、例えば、正面方向から、又は、側面方向から撮像する(ステップS2)。クライアントは、静止した状態で、且つ、両腕を下方におろし、水平面に対して垂直な方向に両脚で立った状態で撮像される。なお、クライアントの身体の一部又は全身を、正面方向及び側面方向以外の方向(例えば、高さ方向)から撮像することも可能である。また、より正確に姿勢の状態を把握するために、クライアントは可能な限り、身体のラインが認識できる服装であることが好ましい。
【0026】
ここで正面方向の撮像とは、人の顔が見え、人の身体が左右対称に視認できる方向からの撮像をいう。そして、側面方向の撮像とは、正面方向に垂直で、且つ、水平面に平行な方向からの撮像をいい、人の身体の左右のいずれかの方向からの撮像をいう。これらの撮像は、撮像された画像の一辺が、水平面に垂直又は平行となるように実行されることが好ましい。なお、高さ方向の撮像とは、水平面とは垂直な方向からの撮像をいう。
【0027】
なお、ここでは、ステップS2にて、カメラ機能にてクライアントを撮像することとしたが、他のコンピュータ装置等にて撮像した画像の画像データを、このコンピュータ装置1に取り込んで、以下のステップS3以降にて利用してもよい。また、この場合において、画像は、静止画像だけでなく、動画像であってもよい。
【0028】
次に、撮像されたクライアントの画像は、表示画面19aに表示される(ステップS3)。ユーザは、表示画面19aに表示されたクライアントの画像を視認し、身体部位のうちの少なくとも2点を特定する(ステップS4)。ステップS4における点の特定対象となる身体部位としては、例えば、頭部、胸郭部、骨盤部などがあげられるが、その他の身体部位が点の特定対象として含まれていてもよい。ステップS4では、それぞれの身体部位において、少なくとも2点を特定する。この2点は、身体部位の向き(傾き)を特定するために用いられるもので、身体部位ごとに、身体のどの部分を所定の2点とするかについて、予め定められていることが好ましい。
【0029】
また、同じ身体部位であっても、正面方向から撮像した画像の場合と、側面方向から撮像した画像の場合で、所定の2点は異なるものであることが好ましい。正面方向から撮像した画像の場合であれば、身体の左右における高さ方向の向きを把握することが可能となり、側面方向から撮像した画像の場合であれば、身体の前後における高さ方向の向きを把握することが可能となる。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。表示画面には、クライアントの身体を正面方向から撮像した画像が表示されている。身体30には、頭部31、胸郭部32、骨盤部33が含まれる。正面方向から撮像した画像の場合、例えば、頭部31については両目の中心34a、34bを、胸郭部32については両肩の肩鎖関節35a、35b(例えば、鎖骨と肩甲骨の連結部に相当する箇所、つまり該連結部に最も近いと想定される箇所)を、骨盤部33については骨盤の左右の上前腸骨棘36a、36b(骨盤の左右方向に最も突出した点に最も近いと想定される箇所)を、所定の2点とすることができる。
【0031】
図4は、本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。表示画面には、クライアントの身体30を側面方向から撮像した画像が表示されている。側面方向から撮像した画像の場合、例えば、頭部31については眉間37a、顎の頂部37bを、胸郭部32については胸骨柄に相当する箇所38a(胸骨柄に最も近いと想定される箇所)、第十肋骨下縁に相当する箇所38b(第十肋骨下縁に最も近いと想定される箇所)を、所定の2点とすることができる。また、骨盤部33については、上前腸骨棘に相当する箇所39a(腸骨に最も近いと想定される箇所)及び第二仙骨棘突起39bを、所定の2点とすることができる。
【0032】
ステップS4では、正面方向又は側面方向のいずれか一方向から撮像した画像について、身体部位の向きを特定するための2点を特定してもよいが、正面方向及び側面方向など、複数の方向から撮像した画像について、該2点を特定してもよい。このように正面方向及び側面方向で、身体部位ごとに計4点を特定することで、各身体部位の左右及び前後の向きを把握することが可能となる。
【0033】
ステップS4にて身体部位の点を特定する際には、タッチパネルに指でタッチ操作をして点を特定することができるが、例えば、タッチパネルにスタイラスでタッチ操作をして点を特定してもよいし、ユーザが入力部22を操作して画像上でカーソルを所望の点まで移動させることで点を特定してもよい。また、ユーザによる操作により身体部位の点を特定する方法とは別に、画像データから、所定のコンピュータプログラムに従って、或いは、AIによる処理により、身体部位の所定の2点を自動的に特定する方法を採用してもよい。
【0034】
次に、身体部位ごとに特定された2点をもとに、身体部位ごとにその向きを特定する(ステップS5)。例えば、胸郭部について、両肩の肩鎖関節35a及び35bを特定した場合のように、姿勢が正常な状態であれば、水平面に平行になるような2点を特定した場合は、2点間を結ぶ線分を用いて、身体部位の向きを表すことができる。この場合、ステップS5では、2点間を結ぶ線分と、画像中の水平面と垂直な直線又は水平面と平行な直線とにより形成される角度や、いずれか1点を起点として他方を終点とするベクトルなどのパラメータで、身体部位の向きを特定することができる。
【0035】
また、例えば、頭部について、眉間37a、顎の頂部37bを特定した場合のように、姿勢が正常な状態であれば、水平面に垂直になるような2点を特定した場合は、2点間を結ぶ線分の法線を用いて、身体部位の向きを表すことができる。この場合、ステップS5では、2点間を結ぶ線分の法線と、画像中の水平面と垂直な直線又は水平面と平行な直線とにより形成される角度や、2点間を結ぶ線分の法線ベクトルなどのパラメータで、身体部位の向きを特定することができる。
【0036】
次に、ユーザは、表示画面19aに表示されたクライアントの画像を視認し、身体部位のうちの少なくとも1点を特定する(ステップS6)。ステップS6における点の特定対象となる身体部位としては、例えば、頭部、胸郭部、骨盤部などがあげられるが、その他の身体部位が点の特定対象として含まれていてもよい。ステップS6では、それぞれの身体部位において、少なくとも1点を特定する。この1点は、身体部位の位置のずれを把握するために用いられるもので、身体部位ごとに、身体のどの部分を所定の1点とするかについて、予め定められていることが好ましい。また、ステップS6において特定する点には、ステップS4で特定された点が含まれていてもよく、つまり、ステップS4とステップS6で特定する点は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
また、同じ身体部位であっても、正面方向から撮像した画像の場合と、側面方向から撮像した画像の場合で、所定の1点は異なるものであることが好ましい。正面方向から撮像した画像の場合であれば、身体部位の左右方向のずれを把握することが可能となり、側面方向から撮像した画像の場合であれば、身体の前後方向のずれを把握することが可能となる。
【0038】
これら特定される身体部位の所定の点は、正常な姿勢の人であれば、直線上に並ぶような点であることが好ましい。正面方向から撮像した画像において、頭部、胸郭部、骨盤部において特定される点は、正常な姿勢の人であれば、直線上に並ぶような点であることが好ましい。同様に、側面方向から撮像した画像において、頭部、胸郭部、骨盤部において特定される点は、正常な姿勢の人であれば、直線上に並ぶような点であることが好ましい。このようにすることで、これらの点が直線上に並ばない場合は、身体部位の位置にずれが生じていることを把握することができる。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。表示画面には、クライアントの身体を正面方向から撮像した画像が表示されている。正面方向から撮像した画像の場合、例えば、頭部については両目の中央の点34cを、胸郭部については両肩の肩鎖関節35a、35bの中央の点35cを、骨盤部については、骨盤に相当する部分において左右の上前腸骨棘36a、36bの中央の点36cを、ステップS6にて特定される所定の点とすることができる。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。表示画面には、クライアントの身体を側面方向から撮像した画像が表示されている。側面方向から撮像した画像の場合、例えば、頭部については外後頭隆起37cを、胸郭部については第四胸椎棘突起から第五胸椎棘突起のあたりに相当する箇所38cを、骨盤部については、第二仙骨棘突起39bを、所定の点とすることができる。
【0041】
ステップS6では、正面方向又は側面方向のいずれか一方向から撮像した画像について、身体部位の位置のずれを特定するための点を特定してもよいが、正面方向及び側面方向など、複数の方向から撮像した画像について、身体部位の位置のずれを特定するための点を特定してもよい。例えば、
図3に示す正面方向からの画像と、
図4に示す側面方向からの画像を利用して、正面方向及び側面方向の二方向から各身体部位についての所定の2点または1点を多面的に特定し、正面方向及び側面方向の二方向から特定した点を相互に関連付けて身体部位の位置のずれを評価することで、各身体部位の左右方向及び前後方向の位置のずれを、いずれか一方から評価した場合と比べて、より正確に把握することが可能となる。
【0042】
また、正面方向及び側面方向から撮像した画像に加えて、背面方向や上面方向から撮像した画像なども利用して、クライアントの姿勢について三方向から、あるいは三次元的に、身体部位の位置のずれを特定するための点を特定することで、各身体部位の位置のずれについて、さらに正確に、かつ、より詳細に把握することが可能となる。以下では、一例として、正面方向及び側面方向から撮像した画像に加えて、背面方向から撮像した画像で所定の点を特定する場合について、図を用いて例示する。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。表示画面には、クライアントの身体を背面方向から撮像した画像が表示されている。背面方向から撮像した画像の場合、例えば、頭部については外後頭隆起37cを、胸郭部については第四胸椎棘突起から第五胸椎棘突起のあたりに相当する箇所38cを、骨盤部については、第二仙骨棘突起39bを、所定の点として特定することができる。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態にかかる表示画面の一例を表す図である。
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)には、それぞれ、正面方向、側面方向、及び背面方向から撮像した画像において、身体部位としての頭部、胸郭部、骨盤部を点の特定対象として、所定の点を特定した際の概略図が示されている。これら三方向から撮像した画像について特定される身体部位の所定の点を用いることで、身体部位の位置のずれを、いずれか一方から評価した場合、あるいは、正面方向及び側面方向の二方向から評価した場合と比べて、さらに正確に、かつ、より詳細に把握することができる。例えば、頭部について、正面方向の画像から特定した両目の中心34a、34bと、側面方向及び背面方向の画像から特定した外後頭隆起37cとの位置関係を評価することで、外後頭隆起37cについて、身体の前後方向を軸とした場合の左右方向の傾斜を把握することができる。また、例えば、頭部について、側面方向の画像から特定した眉間37a及び顎の頂部37bと、側面方向及び背面方向の画像から特定した外後頭隆起37cとの位置関係を評価することで、外後頭隆起37cについて、身体の左右方向を軸とした場合の前後方向のずれを把握することができる。
【0045】
また、例えば、正面方向、側面方向、及び背面方向から撮像した画像に加えて、図示しないが、上面方向からの画像から特定した点を組み合わせて身体部位の位置のずれを評価するようにしてもよい。このようにする場合、頭部について、上面方向の画像から特定した眉間37aと、側面方向及び背面方向の画像から特定した外後頭隆起37cとの位置関係を評価することで、外後頭隆起37cについて、身体の上下方向を軸とした場合の左右方向のずれを把握することができる。また、上面方向からの画像を利用する代わりに、深度センサを利用した深度カメラで撮像した画像により、正面方向の画像から特定した点から背面方向の画像から特定した点までの深度を測定することで、上面方向からの画像を利用した場合と同様の身体部位の位置のずれを把握することが可能である。このようにすることで、複数の方向から撮像した画像について特定した点、あるいは、複数の方向からの画像に加えて深度センサで特定したこれらの点の位置関係を評価し、身体部位ごとの向きや身体部位の位置のずれについての正確で詳細な把握が可能になる。
【0046】
ステップS6にて身体部位の点を特定する際には、タッチパネルに指でタッチ操作をして点を特定することができるが、例えば、タッチパネルにスタイラスでタッチ操作をして点を特定してもよいし、ユーザが入力部22を操作して画像上でカーソルを所望の点まで移動させることで点を特定してもよい。また、ユーザによる操作により身体部位の点を特定する方法とは別に、画像から、所定のコンピュータプログラムに従って、或いは、AIによる処理により、身体部位の所定の点を自動的に特定する方法を採用してもよい。
【0047】
次に、身体部位ごとに特定された点をもとに、身体部位の位置のずれを特定する(ステップS7)。例えば、ステップS6にて特定された、異なる身体部位について特定された2点間を結ぶ線分と、画像中の水平面と垂直な直線により形成される角度や、いずれか1点を起点として他方を終点とする単位ベクトルなどのパラメータで、身体部位の位置のずれを特定することができる。
【0048】
ステップS5及びS7にて特定された、身体部位ごとの向き、身体部位間の位置のずれは、記憶部13に記憶される(ステップS8)。
【0049】
ユーザが所持するコンピュータ装置1の表示画面19aでは、ステップS5にて特定された身体部位の向きに関する情報が表示される(ステップS9)。例えば、ステップS5にて特定されたパラメータそのものを表示画面上に表示して、ユーザが身体部位の向きを客観的に把握できるようにしてもよい。また、
図4に示すように、ステップS6において特定された点を始点とする矢印等のオブジェクトを用いて、ステップS5にて特定された身体部位の向きに関する情報を表示してもよい。頭部31の場合であれば、矢印37dにより身体部位の向きが表示され、胸郭部32の場合であれば、矢印38dにより身体部位の向きが表示される。骨盤部33の場合であれば、矢印39dにより身体部位の向きが表示される。このように、身体部位の位置のずれを把握するための点を始点とする矢印を用いて、身体部位の向きに関する情報を表示することで、ユーザは、身体部位のずれ、向きを容易に把握することができる。また、身体部位のずれや向きの視覚的な把握を容易にするものであれば、矢印の代わりに、ステップS4及び/またはステップS6で特定された点同士を結んだ線や、身体部位を表すブロック等を利用して身体部位の向きに関する情報を表示できるようにしてもよい。
【0050】
これらステップS1~S9の処理により、姿勢評価処理は終了する。
【0051】
ユーザは、ステップS9において表示画面19aに表示される姿勢の状態をもとに、筋の状態を把握することができる。例えば、胸郭部32が前方になるに従って下方へ向き、骨盤部33が前方になるに従って上方へ傾いている場合、身体前方の胸郭部32と骨盤部33の近傍にある筋は、緊張亢進(短縮)の状態にあり、身体後方の胸郭部32と骨盤部33の近傍にある筋は、緊張低下(弛緩)の状態にあることがわかる。
【0052】
ステップS6にて身体部位の所定の点の位置や向きを特定する際には、さまざまな方向から撮像したクライアントの姿勢の画像を利用して、ユーザによる操作、あるいはコンピュータプログラムやAIによる処理により、それぞれの身体部位の点を特定することができる。
【0053】
なお、ここでは、画像をもとに、身体部位の所定の点の位置や向きを特定することとしたが、モーションキャプチャセンサを、それぞれの身体部位の所定の点に直接取り付けることで、身体部位の所定の点の空間内における位置や向きを特定してもよい。クライアントは、両腕を下方におろし、水平面に対して垂直な方向に両脚で立ち、静止した状態で、所定の点の位置や向きを測定する。モーションキャプチャセンサを用いることで、ステップS1~S4を省略することができ、ステップS5~S9までの処理が実行される。ここで、モーションキャプチャセンサを取り付ける所定の点は、正常な姿勢の人であれば、直線上に並ぶような点であることが好ましい。なお、モーションキャプチャセンサとしては、光学式、慣性センサ式、機械式、磁気式など、いずれの方式を用いてもよい。
【0054】
とりわけ、モーションキャプチャセンサを身体部位それぞれの所定の点に直接取り付けて姿勢を評価する場合には、点の特定対象となる1の身体部位につき、該身体部位の向き(身体部位の傾きを含む)や位置のずれを測定可能な1点を特定すればよいため、身体部位の所定の点の特定を簡便に行うことができる。なお、モーションキャプチャセンサとして、光学式、慣性センサ式、磁気式など、いずれの方式を用いてもよい。光学式センサを用いる場合は、反射マーカを所定の点に取り付け、慣性センサ式を用いる場合は、ジャイロセンサを所定の点に取り付ける。また、磁気式を用いる場合は、磁気センサを所定の点に取り付ける。
【0055】
モーションキャプチャセンサで得られた、所定の点の位置及び向きに関する情報は、無線通信により、コンピュータ装置1へ送信され、ステップS5~S9の処理が実行される。
【0056】
ところで、本発明では、ステップS5及びS7において特定されたパラメータをもとに、適切な運動メニューを特定して、ユーザにレコメンドすることも可能である。
図7は、本発明の実施の形態にかかる運動メニューテーブルを示す図である。運動メニューテーブル40には、各身体部位の向きのパターン41と関連付けて、そのパターンに適切な運動メニュー42が設定されている。そして、運動メニューテーブル40を参照し、ステップS5において特定された身体部位ごとのパラメータがいずれの向きのパターンに該当するかに応じて、適切な運動メニュー42を特定し、特定された運動メニューを、コンピュータ装置1の表示画面19aに表示することができる。
【0057】
ここで、各身体部位の向きのパターンとは、頭部・胸郭部の向きのパラメータの組み合わせや、胸郭部・骨盤部の向きのパラメータの組み合わせ、頭部・胸郭部・骨盤部の向きのパラメータの組み合わせなどがあげられる。そのため、例えば、身体の前方になるにしたがって頭部が下方に傾いており、胸郭部が上方に傾いている場合と、身体の前方になるにしたがって頭部が上方に傾いており、胸郭部が下方に傾いている場合とでは、異なる運動メニューを特定することができる。
【0058】
なお、運動メニューテーブル40には、身体部位の位置のずれのパターンと関連付けて、そのパターンに適切な運動メニューが設定されていてもよい。そして、運動メニューテーブル40を参照し、ステップS7において特定された身体部位ごとの位置のずれが、いずれのパターンに該当するかに応じて、適切な運動メニューを特定し、特定された運動メニューを、コンピュータ装置1の表示画面19aに表示することができる。
【0059】
本発明の第一の実施の形態では、ステップS5及びS7において特定されたパラメータをもとに、クライアントの姿勢を反映させたアバターを表示画面に表示させることも可能である。
図8は、本発明の実施の形態にかかるアバター表示処理を表す図である。まず、ユーザは、コンピュータ装置1において専用アプリを起動させ、アバター表示機能の開始ボタンを選択すると、アバター表示機能が開始される(ステップS11)。
【0060】
アバター表示機能にて表示画面19aに表示されるアバターには仮想骨格が設定されており、可動できる仮想骨格を移動させることにより、アバターに動作を行わせることが可能となる。アバターは、男性のアバター、女性のアバターなど複数の種類が設けられており、ユーザはこれらのアバターから所望のアバターを適宜選択することが可能である。また、アバターには、理想の姿勢時における基準となる仮想骨格が設定されている。ステップS11にてアバター表示機能が開始されると、ステップS5及びS7において特定されたパラメータをもとに、アバターの仮想骨格を変形する(ステップS12)。
【0061】
図9は、本発明の実施の形態にかかる仮想骨格モデルを表す図である。仮想骨格モデル51は、例えば、肩、肘、手首等の可動部に設けられた複数の仮想関節52(
図9では丸印で表示)と、上腕、下腕、手等にあたる、各仮想関節52を連結させる直線状の仮想骨格53(
図9では直線で表示)から構成されている。ステップS12における仮想骨格の変形は、以下のように実施される。
【0062】
例えば、
図9(a)で示す基準の仮想骨格モデル51に対して、胸郭部の向きを反映させる場合、仮想関節52aの位置を固定させ、且つ、仮想関節52aとその両側にある仮想関節52b、52cが直線上に並ぶように維持したまま、ステップS5に応じたパラメータに応じて、仮想関節52b、52cの位置を移動させる。例えば、仮想関節52bを下方に移動させ、仮想関節52cを上方に移動させる。この結果、仮想骨格53a及び53bも移動する。
【0063】
図9(b)は、変形後の仮想骨格モデル51´である。仮想骨格53は、両端の仮想関節の座標から定義できるから、変形後の仮想骨格53a´は、変形後の仮想関節52a´及び52b´の座標により定義することができる。変形後の仮想骨格53b´は、変形後の仮想関節52a´及び52c´の座標により定義することができる。他の仮想関節52、他の仮想骨格53についても、同様に処理をすることができる。
【0064】
仮想骨格53には、アバターを可視化するために複数のポリゴンの頂点座標が関連付けられており、ステップS12において仮想骨格53が変形されると、その変形に応じて、関連付けられたポリゴンの頂点の座標も変更される(ステップS13)。頂点の座標が変更されたポリゴンからなるアバターのモデルデータをレンダリングすることにより、アバターを2次元画像または3次元画像として表示することができる(ステップS14)。ステップS11~S14により、アバター表示処理は終了する。
【0065】
なお、ステップS11~S14によりアバターを表示する際に、アバターに動作を付与して表示することも可能である。アバターに動作を付与するためのモーションプログラムでは、動作の開始時と動作の終了後における各仮想関節52において形成される角の角度(例えば、肘、肩、首部分の3点の関節点により形成される肩部分の角の角度)、及び、該角についてのモーション時における角速度を定めておき、時間の経過とともに仮想関節52において形成される角を変化させることで、所定のモーションを付与することができる。
【0066】
[第二の実施の形態]
次に、本発明の第二の実施の形態の概要について説明をする。以下では、第二の実施の形態として、コンピュータ装置と、該コンピュータ装置と通信により接続可能なサーバ装置とにおいて実現される、クライアントの姿勢を評価するシステムを例示して説明をする。
【0067】
図10は、本発明の実施の形態にかかる姿勢評価システムの構成を示すブロック図である。図示するように、本実施の形態におけるシステム4は、ユーザが操作するコンピュータ装置1と、通信ネットワーク2と、サーバ装置3とから構成される。コンピュータ装置1は、通信ネットワーク2を介してサーバ装置3と接続されている。サーバ装置3は、コンピュータ装置1と常時接続されていなくてもよく、必要に応じて、接続が可能であればよい。
【0068】
コンピュータ装置1の具体的な構成については、第一の実施の形態で述べた内容を必要な範囲で採用することができる。また、サーバ装置3は、例えば、制御部、RAM、記憶部、及び通信インタフェースを少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されるように構成することができる。制御部は、CPUやROMから構成され、時間を計時する内部タイマを備えている。制御部は、記憶部に格納されたプログラムを実行し、サーバ装置3の制御を行う。RAMは、制御部のワークエリアである。記憶部は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部は、プログラム及びデータをRAMから読み出し、コンピュータ装置1から受信した情報等をもとに、プログラムを実行する処理を行う。
【0069】
通信インタフェースは、無線又は有線により通信ネットワーク2に接続が可能であり、通信ネットワーク2を介してデータを送受信することが可能である。通信ネットワーク2を介して受信したデータは、例えば、RAMにロードされ、制御部により演算処理が行われる。
【0070】
第二の実施の形態にかかる姿勢評価システムにおいては、
図2に示す姿勢評価処理、及び、
図8に示すアバター表示処理と同様の処理が、コンピュータ装置1及びサーバ装置3のいずれかにおいて、実行される。
【0071】
以下、姿勢評価システムにおける姿勢評価処理について説明をする。ユーザが、コンピュータ装置1にインストールされた専用アプリを起動し、カメラ機能の開始ボタンを選択すると、カメラ機能が開始される。ユーザは、コンピュータ装置1を利用して、クライアントの身体の一部又は全身を、例えば、正面方向から、又は、側面方向から撮像する。クライアントは、水平面に対して垂直な方向に立った状態で撮像される。
【0072】
なお、ここでは、カメラ機能にてクライアントを撮像することとしたが、他のコンピュータ装置等にて撮像した画像の画像データを、このコンピュータ装置に取り込んで利用してもよい。
【0073】
次に、撮像されたクライアントの画像は、表示画面19aに表示される。そして、ユーザは、コンピュータ装置1を操作することで撮像したクライアントの画像の画像データを、サーバ装置3へ送信する。サーバ装置3は、コンピュータ装置1から受信したクライアントの画像の画像データをもとに、身体部位のそれぞれについて、少なくとも2点を特定する。点の特定対象となる身体部位としては、例えば、頭部、胸郭部、骨盤部などがあげられる。この2点は、身体部位の向きを特定するために用いられるもので、身体部位ごとに、身体のどの部分を所定の2点とするかについて、予め定められていることが好ましい。また、同じ身体部位であっても、正面方向から撮像した画像の場合と、側面方向から撮像した画像の場合で、所定の2点は異なるものであることが好ましい。
【0074】
次に、サーバ装置3は、上記で特定した2点に加え、さらに、それぞれの身体部位について少なくとも1点を特定する。点の特定対象となる身体部位としては、例えば、頭部、胸郭部、骨盤部などがあげられるが、その他の身体部位が点の特定対象として含まれていてもよい。この1点は、身体部位の位置のずれを特定するために用いられるもので、身体部位ごとに、身体のどの部分を所定の1点とするかについて、予め定められていることが好ましい。また、同じ身体部位であっても、正面方向から撮像した画像の場合と、側面方向から撮像した画像の場合で、所定の1点は異なるものであることが好ましい。また、このとき特定される点には、身体部位の向きを特定するために特定された点が含まれていてもよい。つまり、身体部位の向きを特定するために特定される点と身体部位の位置のずれを特定するために特定される点とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、これら特定される身体部位の所定の点は、正常な姿勢の人であれば、直線上に並ぶような点であることが好ましい。
【0075】
サーバ装置3では、身体部位ごとに特定された2点をもとに、身体部位ごとの向きをパラメータにより特定する。また、サーバ装置3では、身体部位ごとに特定された点をもとに、身体部位の位置のずれをパラメータにより特定する。サーバ装置3では、身体部位ごとの向きについてのパラメータ、身体部位の位置のずれについてのパラメータを、記憶部に記憶する。
【0076】
コンピュータ装置1では、身体部位の向きについてのパラメータ、身体部位の位置のずれについてのパラメータを受信する。コンピュータ装置1の表示画面19aでは、受信をしたパラメータに基いて、身体部位の向き及び身体部位の位置のずれに関する情報が表示される。具体的には、コンピュータ装置1の表示画面19aには、
図3及び
図4に示すものと同様の映像が表示される。
【0077】
第二の実施の形態における姿勢評価システムでは、ステップS5及びS7において特定されたパラメータをもとに、クライアントの姿勢を反映させたアバターを表示画面に表示させるように構成されていることが好ましい。サーバ装置3は、ユーザの操作によってコンピュータ装置1から送信されたクライアントの画像の画像データを受信し、身体部位ごとの向きについてのパラメータ、身体部位の位置のずれについてのパラメータをそれぞれ特定すると、コンピュータ装置1の表示画面19aにおいてクライアントの姿勢を反映させたアバターを表示させるために、アバターの画像データの作成を行う。
【0078】
なお、第二の実施の形態においても、姿勢評価処理において、モーションキャプチャセンサを用いることで、ステップS1~S4を省略することができ、ステップS5~S9までの処理を実行することができる。
【0079】
アバターの画像データの作成が開始されると、サーバ装置3において、身体部位ごとの向きについてのパラメータ、身体部位の位置のずれについてのパラメータをもとに、アバターの仮想骨格を変形する処理が実行される。仮想骨格を変形する処理は、上記のステップS12と同様の処理を行うことができる。
【0080】
仮想骨格には、アバターを可視化するために複数のポリゴンの頂点座標が関連付けられており、仮想骨格の変形に応じて、関連付けられたポリゴンの頂点の座標も変更される。頂点の座標が変更されたポリゴンからなるアバターのモデルデータをレンダリングして得られるアバターの2次元画像データまたは3次元画像データは、サーバ装置3からコンピュータ装置1へ送信される。コンピュータ装置1では、アバターの2次元画像データまたは3次元画像データを受信し、アバターを表示画面に表示する。仮想骨格を変形したアバターにおいても、サーバ装置3においてモーションプログラムを実行し、コンピュータ装置1において動作を付与したアバターを表示する。
【0081】
コンピュータ装置1では、アバター表示機能により、表示画面19a上において、アバターの画像とクライアントの画像とを切り替えたり、クライアントの画像の上にアバターの仮想骨格の画像を重ねた画像を表示したりすることが可能である。このように構成することで、クライアントが自分の姿勢を撮像された画像をもとに、身体部位の向き及び身体部位の位置のずれを、より正確に、かつ、視覚的に把握し、正しいフォームで運動を実施することが可能になる。また、このように構成することで、例えば、トレーナーや他の第三者からインターネットを利用したオンラインサービスを介して指導や助言を受ける際に、アバターの画像を相手側のコンピュータ装置の表示画面に表示することで、クライアントのプライバシー保護に利用することができる。
【0082】
第二の実施の形態における姿勢評価システムでは、コンピュータ装置1がサーバ装置3から受信する身体部位の向き及び位置のずれに関する情報を、正しい姿勢を示す仮想骨格モデルとしてだけでなく、姿勢スコアとして受信できるようにしてもよい。このように構成する場合、身体部位の位置と向きのパラメータを数値化して姿勢スコアを算出し、それぞれのクライアントついて表示画面に姿勢スコアを表示することができる。例えば、身体部位の向きが正常になればなるほど、姿勢スコアは高くなり、身体部位の向きが正常な状態が離れるほど、姿勢スコアは低くなる。
【0083】
第二の実施の形態では、コンピュータ装置と、該コンピュータ装置と通信により接続可能なサーバ装置とにおいて実現されるシステムを例示して説明をしたが、サーバ装置に代えて、携帯型のコンピュータ装置を用いることもできる。つまり、スマートフォンなどのコンピュータ装置と、同じく、スマートフォンなどのコンピュータ装置とによるピアツーピアによるシステムに適用することもできる。
【0084】
[第三の実施の形態]
本発明の第三の実施の形態の概要について説明をする。第三の実施の形態にかかる方法によれば、例えば、トレーナーやクライアント自身によって、クライアントの姿勢を撮像し、撮像された画像をもとにクライアントの姿勢を把握することができる。第三の実施の形態では、コンピュータ装置を利用することなく、クライアントの姿勢を把握することができる。
【0085】
本発明の実施の形態にかかる姿勢評価方法について説明をする。トレーナー又はクライアントは、クライアントの身体の一部又は全身を、例えば、正面方向から、又は、側面方向から撮像した画像を紙などに印刷する。トレーナー又はクライアントは、印刷された画像を視認し、身体部位のうちから、身体部位の向きを特定するための少なくとも2点を特定する。2点の特定対象となる身体部位としては、例えば、頭部、胸郭部、骨盤部などがあげられるが、その他の身体部位が点の特定対象として含まれていてもよい。トレーナー又はクライアントは、画像中の特定した2点にしるしを書き込む。
【0086】
トレーナー又はクライアントは、上記にて特定した2点とは別に、身体部位のうちから、身体部位の位置のずれを把握するための1点を特定する。点の特定対象となる身体部位としては、例えば、頭部、胸郭部、骨盤部などがあげられるが、その他の身体部位が点の特定対象として含まれていてもよい。正面方向から撮像した画像において、頭部、胸郭部、骨盤部において特定される点は、正常な姿勢の人であれば、直線上に並ぶような点であることが好ましい。同様に、側面方向から撮像した画像において、頭部、胸郭部、骨盤部において特定される点は、正常な姿勢の人であれば、直線上に並ぶような点であることが好ましい。トレーナー又はクライアントは、画像中の特定した点にしるしを書き込む。
【0087】
次に、トレーナー又はクライアントは、画像中の特定した2点から求められる身体部位の向きを、画像中に書き込む。例えば、身体部位の向きを矢印で表現するように書き込む。ここで、矢印の起点は、身体部位の位置のずれを把握するための点とすることができる。例えば、頭部について、眉間、顎の頂部を特定した場合のように、姿勢が正常であれば、水平面に垂直になるような2点を特定した場合は、2点間を結ぶ線分と垂直な方向へ延びる矢印とすることができる。例えば、骨盤部について、上前腸骨棘及び、第二仙骨棘突起を特定した場合のように、姿勢が正常な状態であれば、水平面に平行になるような2点を特定した場合は、2点間を結ぶ線分と平行な方向へ延びる矢印とすることができる。
【0088】
[第四の実施の形態]
次に、本発明の第四の実施の形態の概要について説明をする。第四の実施の形態は、第一の実施の形態と同様にコンピュータ装置として実現されるものであってもよく、第二の実施の形態と同様に、コンピュータ装置と、該コンピュータ装置と通信により接続可能なサーバ装置とを備えるシステムとして実現されるものであってもよい。以下に説明する処理は、コンピュータ装置1においてのみ実行が可能なものを除き、コンピュータ装置1又はサーバ装置3のいずれで実行されてもよい。
【0089】
第四の実施の形態では、身体部位の向きや、身体部位の位置のずれを変化させながら、アバターを表示画面19aに表示することが可能である。まず、コンピュータ装置1において専用アプリを起動させ、アバター表示機能の開始ボタンを選択すると、アバター表示機能が開始される。
【0090】
アバターには仮想骨格が設定されており、可動できる仮想骨格を移動させることにより、アバターに動作を行わせることが可能となる。アバターには、理想の姿勢時における基準となる仮想骨格が設定されており、この基準となる仮想骨格を変形することが可能である。仮想骨格の変形は、ユーザによるコンピュータ装置1への操作にしたがって実行される。より具体的には、頭部、胸郭部、骨盤部のいずれかの仮想骨格の全部または一部の前後方向又は左右方向における向きを変化させることで、仮想骨格を変形させることができる。また、頭部、胸郭部、骨盤部のいずれかの仮想骨格の全部または一部の位置を、前後方向又は左右方向にずらすことで、仮想骨格を変形させることができる。
【0091】
図9において、例えば、基準の仮想骨格に対して、胸郭部の向きを反映させる場合、仮想関節52aの位置を固定させ、且つ、仮想関節52aとその両側にある仮想関節52b、52cが直線上に並ぶように維持したまま、ユーザの入力操作に応じて、仮想関節52b、52cの位置を移動させる。例えば、仮想関節52bを下方に移動させ、仮想関節52cを上方に移動させる。仮想骨格53は、両端の仮想関節52の座標から定義できるから、変形後の仮想骨格53a´は、変形後の仮想関節52a´及び52b´の座標により定義することができる。変形後の仮想骨格53b´は、変形後の仮想関節52a´及び52c´の座標により定義することができる。
【0092】
仮想骨格が変形されると、その変形に応じて、関連付けられたポリゴンの頂点の座標も変更され、ポリゴンからなるアバターのモデルデータをレンダリングすることにより、アバターを2次元画像として表示することができる。また、第一の実施の形態で説明をしたように、モーションプログラムを利用して、アバターに動作を付与することもできる。この場合、ユーザの操作により、アバターの身体部位の向きや位置のずれを変化させつつ、アバターに所定の動作を実行させることが可能となる。
【0093】
[第五の実施の形態]
本発明の第五の実施の形態の概要について説明をする。第五の実施の形態にかかる姿勢評価システムによれば、例えば、トレーナーとクライアントが通信ネットワークを介したリアルタイムのオンラインセッションを行いながら、クライアント自身がスマートフォン等で撮像した画像をもとに身体部位の向きや位置のずれ、身体部位の向き等に関する情報をトレーナーと共有し、トレーナーから適切な運動メニューについての指導を遠隔で受講可能な環境を提供することができる。
【0094】
本実施の形態におけるシステムは、ユーザが操作する第一の装置と、通信ネットワークと、第一の装置と通信により接続可能な第二の装置とから構成される。第一の装置は、通信ネットワークを介して第二の装置と接続されている。
【0095】
第一の装置及び/または第二の装置の具体的な構成については、第一の実施の形態で述べたコンピュータ装置に関する内容を必要な範囲で採用することができる。また、第二の装置は、例えば、制御部、RAM、記憶部、及び通信インタフェースを少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されるように構成することができる。制御部は、CPUやROMから構成され、時間を計時する内部タイマを備えている。制御部は、記憶部に格納されたプログラムを実行し、第二の装置の制御を行う。RAMは、制御部のワークエリアである。記憶部は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部は、プログラム及びデータをRAMから読み出し、第一の装置から受信した情報等をもとに、プログラムを実行する処理を行う。
【0096】
通信インタフェースは、無線又は有線により通信ネットワークに接続が可能であり、通信ネットワークを介してデータを送受信することが可能である。通信ネットワークを介して受信したデータは、例えば、RAMにロードされ、制御部により演算処理が行われる。
【0097】
第五の実施の形態にかかる姿勢評価システムにおいては、
図2に示す姿勢評価処理、及び、
図8に示すアバター表示処理と同様の処理が、第一の装置及び第二の装置のいずれかにおいて、実行される。
【0098】
以下、姿勢評価システムにおける姿勢評価処理について説明をする。まず、クライアントによる第一の装置への操作、または、トレーナーによる第二の装置への操作により、第一の装置及び第二の装置の間で、通信ネットワークを利用したオンラインセッションを開始する。オンラインセッションは、第一の装置及び第二の装置にインストールされた専用アプリにより、第一の装置及び第二の装置の間で直接実行されてもよいし、従来公知の通信用アプリケーションやソーシャルネットワーキングサービスを利用して、クラウドネットワーク上のサーバを経由することにより実行されてもよい。オンラインセッションが開始されると、クライアントは、第一の装置のカメラ機能を利用して、クライアントの身体の一部又は全身を、例えば、正面方向から、又は、側面方向から撮像する。
【0099】
なお、ここでは、カメラ機能にてクライアントを撮像することとしたが、他のコンピュータ装置等にて撮像した画像の画像データを、自分のコンピュータ装置に取り込んで利用してもよいし、カメラ機能により断続的にクライアントの姿勢を撮影してリアルタイムで第一の装置に入力するようにしてもよい。また、Peer tо Peerなどのファイル転送方式を利用したストリーミングやライブ配信によって、第一の装置と第二の装置との間で、断続的に送受信されるものであってもよい。
【0100】
次に、撮像されたクライアントの画像は、第一の装置及び/または第二の装置の表示画面に表示される。クライアントの携帯する第一の装置で身体部位のそれぞれについての点を特定する場合は、第一の装置は、クライアントの姿勢を撮影するとすぐに、撮像された画像をもとに姿勢評価処理を行い、身体部位のうちから、身体部位の向き及び位置のずれを特定するための点を特定する。点の特定対象となる身体部位としては、例えば、頭部、胸郭部、骨盤部などがあげられるが、その他の身体部位が点の特定対象として含まれていてもよい。そして、身体部位ごとに特定された点をもとに、身体部位の向き及び位置のずれをパラメータにより特定する。
【0101】
次に、第一の装置では、身体部位ごとの向きについてのパラメータ、身体部位の位置のずれについてのパラメータを、記憶部に記憶する。そして、第一の装置の表示画面では、記憶したパラメータに基いて、身体部位の向き及び身体部位の位置のずれに関する情報が表示される。
【0102】
また、クライアントは、第一の装置を操作することで撮像したクライアントの画像の画像データを、第二の装置へ送信する。撮像したクライアントの画像の画像データの代わりに、身体部位の向きについてのパラメータ、身体部位の位置のずれについてのパラメータを送信してもよい。第二の装置では、クライアントの画像の画像データ、あるいは、身体部位の向きについてのパラメータ、身体部位の位置のずれについてのパラメータを受信する。そして、第二の装置の表示画面では、受信をしたクライアントの画像の画像データ、または、受信したパラメータに基づいて、身体部位の向き及び身体部位の位置のずれに関する情報が表示される。
【0103】
第五の実施の形態における姿勢評価システムでは、ステップS5及びS7において特定されたパラメータをもとに、クライアントの姿勢を反映させたアバターを表示画面に表示させるように構成されていることが好ましい。このように構成することで、例えば、クライアントがトレーナーとのオンラインセッションを通じて画像をトレーナーの所持するコンピュータ装置に送信する際、クライアント自身を撮像した画像を直接トレーナーには送信したくない場合などに、アバターの画像をトレーナー側のコンピュータ装置の表示画面に表示することで、クライアントのプライバシー保護に利用することができる。また、例えば、クライアントの画像の上にアバターの仮想骨格の画像を重ねた画像を表示できるようにすることで、クライアントの姿勢を撮像された画像の上に理想の私生児の仮想骨格のアバターを重ね、身体部位の向き及び身体部位の位置のずれを、より正確に、かつ、視覚的に把握し、正しいフォームによる運動の実施を促すことが可能になる。
【0104】
本発明の実施の形態においては、特定された1点から身体部位の向きや位置のずれを特定する場合、特定された1点から身体部位の向きや位置のずれを特定可能であれば、いずれの身体部位を用いて所定の1点を特定してもよい。
【0105】
本発明の実施の形態においては、身体部位の向き及び位置のずれを、身体部位の特定した点において特定することで、被評価者の姿勢を把握しているが、これに限定されない。身体部位において特定された所定の点の「位置」、及び、該「位置」における身体部位の「向き」(傾き)を特定することで、被評価者の姿勢を把握してもよい。
【0106】
本発明の実施の形態においては、身体部位ごとの向きについてのパラメータ、あるいは、身体部位の位置のずれについてのパラメータを、コンピュータ装置の記憶部に記憶する場合を例示して説明しているが、本発明にかかる姿勢評価システムにおいて特定された姿勢評価に関する各種のデータを記憶する記憶領域は、コンピュータ装置の記憶部に限定されない。コンピュータ装置を通信ネットワークと接続し、外部のクラウドネットワーク上のクラウドストレージに記憶するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 コンピュータ装置
2 通信ネットワーク
3 サーバ装置
4 システム
11 制御部
12 RAM
13 記憶部
14 サウンド処理部
15 サウンド出力装置
16 センサ部
17 フレームメモリ
18 グラフィックス処理部
19 表示部
20 通信インタフェース
21 インタフェース部
22 入力部
23 カメラ部