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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ワイヤレス充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231107BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20231107BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231107BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20231107BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20231107BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 301D
H02J7/00 S
H01F38/14
H01M10/44 Q
H02J50/10
H02J50/70
H05K7/20 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020186105
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2021097590
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2020-11-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】201911300344.3
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268432
【氏名又は名称】台達電子企業管理(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F&7F&8F, Building 1, No.1675, Huadong Road, Pudong, Shanghai, 201209, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】曾剣鴻
(72)【発明者】
【氏名】鄒本澤
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/017646(WO,A1)
【文献】特開2006-49555(JP,A)
【文献】特開2019-30150(JP,A)
【文献】特開平11-354959(JP,A)
【文献】国際公開第2018/042816(WO,A1)
【文献】特開2019-201130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0215984(US,A1)
【文献】特開2000-216581(JP,A)
【文献】特開2013-150393(JP,A)
【文献】放熱器の使い方~火を噴かない設計のために[online],1998.08.27.[検索日2022.09.29],インターネット<http://elm-chan.org/docs/hs.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
H02J50/00-50/90
H01M10/42-10/48
H01F38/14
H01F38/18
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型装置をワイヤレス充電するためのワイヤレス充電装置であって、
前記携帯型装置は受電用コイルを備え、
前記ワイヤレス充電装置は、筐体と送電駆動ボードと送電用コイルアセンブリとを備え、
前記筐体は、天板と収容空間と底板と隔板と複数の側壁とを備え、前記天板は、前記携帯型装置を載置するために用いられ、前記隔板は、前記天板と前記底板との間に位置され、少なくとも一つの前記側壁は、前記筐体の外側に向かって複数の放熱シートが設けられ、各前記放熱シートが対応の側壁に立設され、前記隔板と前記複数の側壁とが一体的に形成された構造であり、又は、前記隔板と前記複数の側壁とが高熱伝導性材料によって接着され、前記隔板及び前記複数の側壁は良好な熱伝導体であり、前記底板が熱放散性材料で構成され、
前記送電駆動ボードは、前記収容空間内に収容され、動作中、外部電力を受け取って駆動電力に変換するために用いられ、前記送電駆動ボードが動作している時、第1熱源を形成し、且つ、前記送電駆動ボードが送電駆動ボード熱抵抗を有し、前記送電駆動ボードは、前記底板を介して熱を放散し、
前記送電用コイルアセンブリは、前記収容空間内に収容され且つ前記隔板上に設けられ、且つ前記天板と前記送電駆動ボードとの間に位置され、前記送電用コイルアセンブリは、前記受電用コイルと電磁結合するために用いられ、且つ、動作中、前記送電駆動ボードによって出力される前記駆動電力を受け取り、前記携帯型装置を充電するために、電磁結合によって、前記駆動電力を前記受電用コイルに伝達させ、前記送電用コイルアセンブリが動作している時、第2熱源を形成し、且つ、前記送電用コイルアセンブリが送電用コイルアセンブリ熱抵抗を有し、前記送電用コイルアセンブリと前記送電駆動ボードとの間にインタフェース熱抵抗を有し、前記送電用コイルアセンブリは、前記隔板を介して前記複数の放熱シートに熱を放散し、
前記第2熱源の熱損失と前記送電用コイルアセンブリ熱抵抗との積が15よりも小さく、前記インタフェース熱抵抗が前記送電駆動ボード熱抵抗の2倍以上であり、前記第1熱源の熱損失と前記送電駆動ボード熱抵抗との積が80以下であることで、前記ワイヤレス充電装置から前記受電用コイルへの熱エネルギーの総伝達量が前記第2熱源の熱損失よりも小さい、ことを特徴とするワイヤレス充電装置。
【請求項2】
各前記放熱シートの長さと前記側壁の厚さの平均値との和は、前記隔板の平均厚さの2倍以上である、ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項3】
前記底板と前記複数の側壁との間の接触面積は、前記底板の総面積の5%よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項4】
携帯型装置をワイヤレス充電するためのワイヤレス充電装置であって、
前記携帯型装置は受電用コイルを備え、
前記ワイヤレス充電装置は、筐体と送電駆動ボードと送電用コイルアセンブリとを備え、
前記筐体は、天板と隔板と底板と複数の側壁と収容空間とを備え、前記天板は、前記携帯型装置を載置するために用いられ、前記隔板は、前記天板と前記底板との間に位置され、且つ前記隔板によって、前記収容空間を第1収容空間と第2収容空間とに分割し、前記第1収容空間が前記天板に隣接し、前記第2収容空間が前記底板に隣接し、少なくとも一つの前記側壁は、前記筐体の外側に向かって複数の放熱シートを形成し、各前記放熱シートが対応の前記側壁に立設され、前記隔板と前記複数の側壁とが一体的に形成された構造であり、又は、前記隔板と前記複数の側壁とが高熱伝導性材料によって接着され、前記隔板と前記複数の側壁は良好な熱伝導体であり、前記底板が熱放散性材料で構成され、
前記送電駆動ボードは、前記第2収容空間内に収容され、動作中、外部電力を受け取って駆動電力に変換するために用いられ、前記送電駆動ボードが動作している時、第1熱源を形成し、且つ、前記送電駆動ボードが送電駆動ボード熱抵抗を有し、前記送電駆動ボードは、前記底板を介して熱を放散し、
送電用コイルアセンブリは、前記第1収容空間内に収容され、前記送電用コイルアセンブリは、前記受電用コイルと電磁結合するために用いられ、且つ、動作中、前記送電駆動ボードによって出力される前記駆動電力を受け取り、前記携帯型装置を充電するために、電磁結合によって、前記駆動電力を前記受電用コイルに伝達させ、前記送電用コイルアセンブリが動作している時、第2熱源を形成し、且つ、前記送電用コイルアセンブリが送電用コイルアセンブリ熱抵抗を有し、前記送電用コイルアセンブリと前記送電駆動ボードとの間にインタフェース熱抵抗を有し、
前記送電用コイルアセンブリが前記隔板上に設けられ、且つ前記天板と前記送電駆動ボードとの間に位置され、各前記放熱シートの長さと前記側壁の厚さの平均値との和は、前記隔板の平均厚さの2倍以上であり、前記送電用コイルアセンブリは、前記隔板を介して複数の放熱シートに熱を放散し、前記底板と前記複数の側壁との間の接触面積は、前記底板の総面積の5%よりも小さく、前記ワイヤレス充電装置から前記受電用コイルへの熱エネルギーの総伝達量が前記第2熱源の熱損失よりも小さく、
前記第2熱源の熱損失と送電用コイルアセンブリ熱抵抗との積が15よりも小さく、前記インタフェース熱抵抗が前記送電駆動ボード熱抵抗の2倍以上であり、前記第1熱源の熱損失と前記送電駆動ボード熱抵抗との積が80以下である、ことを特徴とするワイヤレス充電装置。
【請求項5】
前記底板と前記複数の側壁との間に間隙を有し、前記間隙によって、前記底板と前記複数の側壁が接触せず、前記間隙には電磁吸収材料を有し、電磁吸収材料によって、前記底板と前記複数の側壁とが接続し、前記電磁吸収材料は、熱伝導率が低い、ことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項6】
前記天板がプラスチック製材料又はPCB板で構成される、ことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項7】
前記天板と前記隔板との間に、接着性材料を有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項8】
携帯型装置をワイヤレス充電するためのワイヤレス充電装置であって、
前記携帯型装置は受電用コイルを備え、
前記ワイヤレス充電装置は、筐体と空気流ガイドカバーと送電駆動ボードと送電用コイルアセンブリとファンとを備え、
前記筐体は、第1天板と第1底板と複数の第1側壁と収容空間とを備え、
前記空気流ガイドカバーは前記筐体を封入するために用いられ、且つ、第2天板と第2底板と複数の第2側壁とを備え、前記第2天板は、前記携帯型装置を載置するために用いられ、各前記第2側壁は、対応の第1側壁に隣接しており、前記複数の第2側壁のうちの少なくとも一つの前記第2側壁は、給風開口を有し、前記給風開口が前記第1天板に隣接しており、前記第2底板は、前記第1底板に隣接しており、前記第2底板は、送風開口を有し、前記送風開口と前記給風開口との間に通路を形成し、空気は、前記給風開口から流れ込み、前記通路を通じて、前記送風開口より排出し、前記給風開口の断面積は前記送風開口の断面積の1.2倍以上であり、
前記ファンは、前記送風開口内に設けられ、前記ファンが作動している時、前記ワイヤレス充電装置に対して熱を放散し、
前記送電駆動ボードは、前記収容空間内に収容され、動作中、外部電力を受け取って駆動電力に変換するために用いられ、前記送電駆動ボードが動作している時、第1熱源を形成し、且つ、前記送電駆動ボードが送電駆動ボード熱抵抗を有し、
前記送電用コイルアセンブリは、前記収容空間内に収容され、前記第1天板と前記送電駆動ボードとの間に位置され、前記送電用コイルアセンブリは、前記受電用コイルと電磁結合するために用いられ、且つ、動作中、前記送電駆動ボードによって出力される前記駆動電力を受け取り、前記携帯型装置を充電するために、電磁結合によって、前記駆動電力を前記受電用コイルに伝達させ、前記送電用コイルアセンブリが動作している時、第2熱源を形成し、且つ、前記送電用コイルアセンブリが送電用コイルアセンブリ熱抵抗を有し、前記送電用コイルアセンブリと前記送電駆動ボードとの間にインタフェース熱抵抗を有し、
前記ワイヤレス充電装置から前記受電用コイルへの熱エネルギーの総伝達量が前記第2熱源の熱損失よりも小さく、前記第2熱源の熱損失と送電用コイルアセンブリ熱抵抗との積が15よりも小さく、前記インタフェース熱抵抗が前記送電駆動ボード熱抵抗の2倍以上であり、前記第1熱源の熱損失と前記送電駆動ボード熱抵抗との積が80以下である、ことを特徴とするワイヤレス充電装置。
【請求項9】
前記送電駆動ボードの幅は、前記送電用コイルアセンブリの最大幅よりも小さく、及び/又は前記送電駆動ボードの長さは、前記送電用コイルアセンブリの最大長よりも小さい、ことを特徴とする請求項8に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項10】
携帯型装置をワイヤレス充電するためのワイヤレス充電装置であって、
前記携帯型装置は受電用コイルを備え、
前記ワイヤレス充電装置は、筐体と送電駆動ボードと送電用コイルアセンブリと空気流ガイドカバーとファンとを備え、
前記筐体は、第1天板と第1底板と複数の第1側壁と収容空間とを備え、
前記空気流ガイドカバーは、前記筐体を封入するために用いられ、前記空気流ガイドカバーは、第2天板と第2底板と複数の第2側壁とを備え、前記第2天板が前記携帯型装置を載置するために用いられ、各前記第2側壁は、対応の前記第1側壁に隣接しており、且つ前記複数の第2側壁のうちの少なくとも一つの前記第2側壁は、給風開口を有し、前記第2底板が前記第1底板に隣接しており、前記第2底板は、送風開口を有し、前記送風開口と前記給風開口との間に通路を形成し、空気が前記給風開口から流れ込み、前記通路を通じて前記送風開口より排出し、
前記ファンは、前記送風開口内に設けられ、前記ファンが作動している時、前記ワイヤレス充電装置に対して熱を放散し、
前記送電駆動ボードは、前記収容空間内に収容され、動作中、外部電力を受け取って駆動電力に変換するために用いられ、前記送電駆動ボードが動作している時、第1熱源を形成し、且つ、前記送電駆動ボードが送電駆動ボード熱抵抗を有し、
前記送電用コイルアセンブリは、前記収容空間内に収容され、前記第1天板と前記送電駆動ボードとの間に位置され、前記送電用コイルアセンブリは、前記受電用コイルと電磁結合するために用いられ、且つ、動作中、前記送電駆動ボードによって出力される前記駆動電力を受け取り、前記携帯型装置を充電するために、電磁結合によって、前記駆動電力を前記受電用コイルに伝達させ、前記送電用コイルアセンブリが動作している時、第2熱源を形成し、且つ、前記送電用コイルアセンブリが送電用コイルアセンブリ熱抵抗を有し、前記送電用コイルアセンブリと前記送電駆動ボードとの間にインタフェース熱抵抗を有し、
前記送電駆動ボードの幅は、前記送電用コイルアセンブリの最大幅よりも小さく、又は、前記送電駆動ボードの長さは、前記送電用コイルアセンブリの最大長よりも小さく、
前記ワイヤレス充電装置から前記受電用コイルへの熱エネルギーの総伝達量が前記第2熱源の熱損失よりも小さく、
前記第2熱源の熱損失と送電用コイルアセンブリ熱抵抗との積が15よりも小さく、前記インタフェース熱抵抗が前記送電駆動ボード熱抵抗の2倍以上であり、前記第1熱源の熱損失と前記送電駆動ボード熱抵抗との積が80以下である、ことを特徴とするワイヤレス充電装置。
【請求項11】
前記ファンはファン筐体を備え、前記ファン筐体と前記第1底板との間の最短距離が0.5mm以下であり、前記ファン筐体と前記第1底板との間に高熱伝導性材料を有する、ことを特徴とする請求項10に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項12】
少なくとも一つの前記第1側壁は、前記筐体の外側に向かって複数の放熱シートを形成し、少なくとも一つの前記放熱シートが対応の前記第1側壁に立設される、ことを特徴とする請求項8又は請求項10に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項13】
各前記放熱シートの長さと前記第1側壁の厚さの平均値との和は、前記第1天板と前記第1底板との間に位置する隔板の平均厚さの2倍以上である、ことを特徴とする請求項12に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項14】
前記筐体は隔板を備え、前記隔板が前記第1天板と前記第1底板との間に位置され、前記隔板が良好な熱伝導体であり、前記送電用コイルアセンブリが前記隔板上に配置され、且つ、前記隔板と前記複数の第1側壁とが一体的に形成された構造であり、又は、前記隔板と前記複数の第1側壁とが高熱伝導性材料によって接着される、ことを特徴とする請求項8又は請求項10に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項15】
前記ワイヤレス充電装置から前記受電用コイルへの熱エネルギーの総伝達量が0よりも低い、ことを特徴とする請求項1又は請求項4又は請求項8又は請求項10のいずれか一つに記載のワイヤレス充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス充電装置に関し、特に、充電効率及び充電速度を向上させたワイヤレス充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ワイヤレス充電技術の発達に伴い、携帯電話などのモバイル機器のワイヤレス充電機能は、その利便性から消費者に人気が高まっている。しかし、ワイヤレス充電装置もモバイル機器も、ワイヤレス充電の過程で多くの熱が発生する問題がある。モバイルデバイスの場合、過度に高い温度はモバイルデバイスのパフォーマンスと寿命に直接影響し、それによって、ユーザーエクスペリエンスに影響を与える問題があった。
【0003】
従来のワイヤレス充電装置は、送電コイルと送電駆動ボードを含み、送電駆動ボードは、送電コイルを駆動するために外部電力を受け取る。モバイルデバイスは、送電コイルと電磁的に結合し、送電コイルによって出力された電気エネルギーを受電するための受電コイルを含む。ワイヤレス充電装置がモバイルデバイスを充電するように動作しているとき、ワイヤレス充電デバイスの送電コイル、送電駆動ボード、およびモバイルデバイスの受電コイルは、それぞれ熱源が生成し、環境に対する熱抵抗もある。さらに、送電コイルと送電駆動ボードの間、および送電コイルと受電コイルの間にも熱抵抗がある。
【0004】
一般的に、送電ボードと送電駆動ボードによって生成される熱源は、送電コイルと受電コイルによって生成される熱源よりも大きい。より良い充電効果を確保するために、通常、ワイヤレス充電デバイスの送電コイルとモバイルデバイスの受電コイルの圏数の削減、又は距離を縮むことを利用している。しかし、モバイルデバイスには臨界温度(critical temperature)がある。モバイルデバイスが閾値温度を超えると、充電を継続できないか、又は、ディレーティングが必要になる。これにより、モバイルデバイスの受電コイルの温度許容度(temperature tolerance)が低くなり、一般に、送電駆動ボードの温度許容差は、受電コイルの温度許容差よりも高くなるが、従来の放熱方法では、送電駆動ボードを冷却するだけで、受電コイルは無視されている(受電コイルは、モバイルデバイスの内部バッテリーに近く、内部バッテリーは感熱要素である)。従来の熱放散方法は、送電コイルと送電駆動ボードの熱抵抗を増加させ、モバイルデバイスの表面を主な熱放散手段にしている。そのため、熱源の大部分が最終的にモバイルデバイスに伝達される。その結果、モバイルデバイスは過熱しやすく、充電効率と充電速度が低下する。
【0005】
このため、上記の既知の技術的欠陥を改善できるワイヤレス充電装置をどのように開発するかは、当業者にとっては、解決するべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解消しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ワイヤレス充電装置を提供することであり、前記ワイヤレス充電装置は、ワイヤレス充電装置の充電効率及び充電速度を大幅に向上させることができる。
【課題を解消するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の好適な実施形態は、携帯型装置をワイヤレス充電するためのワイヤレス充電装置を提供する。携帯型装置は受電用コイルを備える。ワイヤレス充電装置は、筐体と送電駆動ボードと送電用コイルアセンブリとを備える。筐体は、天板と収容空間とを備え、前記天板は、前記携帯型装置を載置するために用いられる。送電駆動ボードは収容空間内に収容され、動作中、外部電力を受け取って駆動電力に変換するために用いられる。送電駆動ボードが動作している時、第1熱源を形成し、且つ、送電駆動ボードが送電駆動ボード熱抵抗を有する。送電用コイルアセンブリは収容空間内に収容され、送電用コイルアセンブリは、受電用コイルと電磁結合するために用いられ、且つ、動作中、送電駆動ボードによって出力される駆動電力を受け取り、携帯型装置を充電するために、電磁結合によって、駆動電力を受電用コイルに伝達させ、送電用コイルアセンブリが動作している時、第2熱源を形成し、且つ、送電用コイルアセンブリが送電用コイルアセンブリ熱抵抗を有し、送電用コイルアセンブリと送電駆動ボードとの間にインタフェース熱抵抗を有する。第2熱源の熱損失と送電用コイルアセンブリ熱抵抗との積が15よりも小さく、インタフェース熱抵抗は、送電駆動ボード熱抵抗の2倍以上であり、且つ第1熱源の熱損失と送電駆動ボード熱抵抗との積は80以下であり、ワイヤレス充電装置から受電用コイルへの熱エネルギーの総伝達量が第2熱源の熱損失よりも小さい。
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明の他の好適な実施形態は、携帯型装置をワイヤレス充電するためのワイヤレス充電装置を提供する。携帯型装置は受電用コイルを備える。ワイヤレス充電装置は、筐体と送電駆動ボードと送電用コイルアセンブリとを備える。筐体は、天板と隔板と底板と複数の側壁と収容空間とを備え、天板は、前記携帯型装置を載置するために用いられ、隔板は、天板と底板との間に位置され、且つ、隔板によって、収容空間を第1収容空間と第2収容空間とに分割する。第1収容空間は天板に隣接しており、第2収容空間は底板に隣接しており、少なくとも一つの側壁は、筐体の外側に向かって複数の放熱シートを形成し、各放熱シートは、対応の側壁に立設され、隔板及び複数の側壁は、いずれも良好な熱伝導体である。送電駆動ボードは、第2収容空間内に収容され、動作中、外部電力を受け取って駆動電力に変換するために用いられる。送電駆動ボードが動作している時、第1熱源を形成し、且つ、送電駆動ボードが送電駆動ボード熱抵抗を有する。送電用コイルアセンブリは、第1収容空間内に収容され、送電用コイルアセンブリは、送電用コイルアセンブリは、受電用コイルと電磁結合するために用いられ、且つ、動作中、送電駆動ボードによって出力される駆動電力を受け取り、携帯型装置を充電するために、電磁結合によって、駆動電力を受電用コイルに伝達させ、送電用コイルアセンブリが動作している時、第2熱源を形成し、且つ、送電用コイルアセンブリが送電用コイルアセンブリ熱抵抗を有し、送電用コイルアセンブリと送電駆動ボードとの間にインタフェース熱抵抗を有する。送電用コイルアセンブリは、隔板上に設けられ、各放熱シートの長さと側壁の厚さの平均値との和は、隔板の平均厚さの2倍以上であり、送電用コイルアセンブリは、隔板を介して複数の放熱シートに熱を放散し、底板と複数の側壁との間の接触面積は、底板の総面積の5%よりも小さく、ワイヤレス充電装置から受電用コイルへの熱エネルギーの総伝達量が第2熱源の熱損失よりも小さい。
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の他の好適な実施形態は、携帯型装置をワイヤレス充電するためのワイヤレス充電装置を提供する。携帯型装置は受電用コイルを備える。ワイヤレス充電装置は、筐体と空気流ガイドカバーと送電駆動ボードと送電用コイルアセンブリとを備える。筐体は、第1天板と第1底板と複数の第1側壁と収容空間とを備える。空気流ガイドカバーは、筐体を封入するために用いられ、且つ、第2天板と第2底板と複数の第2側壁とを備える。第2天板が携帯型装置を載置するために用いられ、各第2側壁は、対応の第1側壁に隣接しており、且つ複数の第2側壁のうちの少なくとも一つの第2側壁は、給風開口を有し、第2底板が第1底板に隣接しており、第2底板は、送風開口を有し、送風開口と給風開口との間に通路を形成し、空気が給風開口から流れ込み、通路を通じて前記送風開口より排出する。送電駆動ボードは収容空間内に収容され、動作中、外部電力を受け取って駆動電力に変換するために用いられる。送電駆動ボードが動作している時、第1熱源を形成し、且つ、送電駆動ボードが送電駆動ボード熱抵抗を有する。送電用コイルアセンブリは収容空間内に収容され、且つ第1天板と送電駆動ボードとの間に位置され、送電用コイルアセンブリは、受電用コイルと電磁結合するために用いられ、且つ、動作中、送電駆動ボードによって出力される駆動電力を受け取り、携帯型装置を充電するために、電磁結合によって、駆動電力を受電用コイルに伝達させ、送電用コイルアセンブリが動作している時、第2熱源を形成し、且つ、送電用コイルアセンブリが送電用コイルアセンブリ熱抵抗を有し、送電用コイルアセンブリと送電駆動ボードとの間にインタフェース熱抵抗を有し、ワイヤレス充電装置から受電用コイルへの熱エネルギーの総伝達量が第2熱源の熱損失よりも小さい。
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明の他の好適な実施形態は、携帯型装置をワイヤレス充電するためのワイヤレス充電装置を提供する。携帯型装置は受電用コイルを備える。ワイヤレス充電装置は、筐体と送電駆動ボードと送電用コイルアセンブリとを備える。筐体は、第1天板と第1底板と複数の第1側壁と収容空間とを備える。送電駆動ボードは収容空間内に収容され、動作中、外部電力を受け取って駆動電力に変換するために用いられる。送電駆動ボードが動作している時、第1熱源を形成し、且つ、送電駆動ボードが送電駆動ボード熱抵抗を有する。送電用コイルアセンブリは収容空間内に収容され、且つ第1天板と送電駆動ボードとの間に位置され、送電用コイルアセンブリは、受電用コイルと電磁結合するために用いられ、且つ、動作中、送電駆動ボードによって出力される駆動電力を受け取り、携帯型装置を充電するために、電磁結合によって、駆動電力を受電用コイルに伝達させ、送電用コイルアセンブリが動作している時、第2熱源を形成し、且つ、送電用コイルアセンブリが送電用コイルアセンブリ熱抵抗を有し、送電用コイルアセンブリと送電駆動ボードとの間にインタフェース熱抵抗を有する。送電駆動ボードの幅は、送電用コイルアセンブリの最大幅よりも小さく、又は、送電駆動ボードの長さは、送電用コイルアセンブリの最大長よりも小さく、ワイヤレス充電装置から受電用コイルへの熱エネルギーの総伝達量が第2熱源の熱損失よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の好適な実施形態におけるワイヤレス充電装置の構造概念図であり、本実施形態では、携帯型装置がワイヤレス充電装置の筐体の天板上に配置されている。
図2図1に示すワイヤレス充電装置の分解構造概念図である。
図3図1に示すワイヤレス充電装置の断面構造概念図である。
図4図1に示すワイヤレス充電装置の熱等価回路図である。
図5】本発明の第2の好適な実施形態におけるワイヤレス充電装置の局在部の構造概念図である。
図6】本発明第3の好適な実施形態におけるワイヤレス充電装置の構造概念図であり、本実施形態では、携帯型装置がワイヤレス充電装置の空気流ガイドカバーの天板上に配置されている。
図7図6に示すワイヤレス充電装置の分解構造概念図である。
図8図6に示すワイヤレス充電装置の断面構造概念図である。
【符号の説明】
【0012】
1、1a:ワイヤレス充電装置 2:携帯型装置 10:筐体
101:天板 102:底板 103:側壁 104:隔板
105:放熱シート 106:間隙 11:送電駆動ボード
110:電子素子 12:送電用コイルアセンブリ
14:収容空間 14a:第1収容空間 14b:第2収容空間
S1:第1熱源 S2:第2熱源 S3:第3熱源
R1:送電駆動ボード熱抵抗 R2:送電用コイルアセンブリ熱抵抗
M1:インタフェース熱抵抗 3:外部電源
4:空気流ガイドカバー 41:天板 42:底板 43:側壁
431:給風開口 421:送風開口 5:ファン
6:通路 W1:放熱シートの長さ W2:側壁の厚さ d:隔板の平均厚さ
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の特徴及び利点を具体化するいくつかの典型的な実施形態を詳細に説明する。本発明は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な方法で変更を行うことができ、以下の説明および図面は、本発明を例示しており、限定するのではないことを理解されたい。
【0014】
図1図4を参照されたい。図1は、本発明の第1好適な実施形態におけるワイヤレス充電装置の構造概念図であり、ここで、携帯型装置がワイヤレス充電装置の筐体の天板に配置されている。図2は、図1に示すワイヤレス充電装置の分解構造概念図である。図3は、図1に示すワイヤレス充電装置の断面構造概念図である。図4は、図1に示すワイヤレス充電装置の熱等価回路図である。図に示すように、本実施形態におけるワイヤレス充電装置1には、携帯型装置2が載置されており、且つ、ワイヤレス充電装置1は、携帯型装置2をワイヤレス充電することができる。携帯型装置2は、受電用コイル(図示せず)を備え、受電用コイルが動作中に第3熱源S3を形成する。本実施形態におけるワイヤレス充電装置1は、筐体10、送電駆動ボード11、及び送電用コイルアセンブリ12を備える。
【0015】
筐体10は、天板101、底板102、及び複数の側壁103を備える。天板101は、携帯型装置2を載置するために使用される。ある実施形態では、天板101は、プラスチック材料又はPCB板で構成されるが、天板101は、ポッティング法によって形成されても良い。底板102は、天板101に対向して配置される。ある実施形態では、底板102は、プラスチック材料又はPCB板などの放熱材料で構成されるが、底板102は、ポッティング法によって形成されても良い。複数の側壁103は、天板101と底板102との間に周方向に配置されており、複数の側壁103、天板101及び底板102は、収容空間14を構成する。
【0016】
送電駆動ボード11は、収容空間14に収容され、且つ底板102に隣接している。これによって、動作中、底板102を介して熱放散を行うことができる。送電駆動ボード11は、例えばMOSFETなどの少なくとも一つの電子素子110を備える。送電駆動ボード11は、底板102の貫通孔を介して外部電源3に電気的に接続され、外部電源3から出力される外部電力を受け取ることができる。送電駆動ボード11は、動作中に外部電力を受け取り、駆動電力に変換するために使用される。送電駆動ボード11は、動作中に第1熱源S1が生成され、且つ送電駆動ボード11は、環境に対して送電駆動ボード熱抵抗R1を有する。
【0017】
送電用コイルアセンブリ12は、収容空間14に収容され、且つ天板101に隣接している。送電用コイルアセンブリ12の配置は、携帯型装置2の受電用コイルの配置及び送電駆動ボード11の配置に対応し、送電用コイルアセンブリ12は、携帯型装置2の受電用コイルと電磁結合(磁界結合、電磁誘導、electromagnetic coupling)することに使用され、送電用コイルアセンブリ12が動作しているとき、送電駆動ボード11によって出力された駆動電力を受け取り、その駆動電力を受電用コイルに電磁結合して、受電用コイルを介して携帯型装置2をワイヤレス充電させる。この時、送電用コイルアセンブリ12では、動作中に第2熱源S2が生成するので、送電用コイルアセンブリ12は、環境に対して送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2を有する。また、送電用コイルアセンブリ12と送電駆動ボード11との間に、インタフェース熱抵抗(interfacial thermal resistance)M1を有する。
【0018】
ある実施形態では、携帯型装置2内の受電用コイルの耐温度の温度閾値は、約40℃であるため、室温が25℃の場合、送電用コイルアセンブリ12が生成した第2熱源S2を40℃以下に制御すると、送電用コイルアセンブリ12によって生成された第2熱源S2が受電用コイルへ伝達することを抑えること、または、受電用コイルによって生成された第3熱源S3の熱発散を促進することができる。したがって、本実施形態においては、第2熱源S2の自己発熱は15℃未満である必要があり、且つ、第2熱源S2の熱損失と送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2との積が15未満であることは必要である。そのため、上述した目的を達成するために、送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2は可能な限り小さく設計する必要がある。また、送電駆動ボード11によって生成される第1熱源S1の自己散熱の能力を向上させ、第1熱源S1が送電用コイルアセンブリ12又は受電用コイルへ伝達することを制限させるために、第1熱源S1と第2熱源S2との間のインタフェース熱抵抗M1は可能な限り大きく設定する必要がある。本実施形態では、インタフェース熱抵抗M1は、送電駆動ボード熱抵抗R1の2倍以上であることが好ましい。これによって、送電駆動ボード11によって生成される第1熱源S1を直接環境に放散し、インタフェース熱抵抗M1を介して送電用コイルアセンブリ12又は受電用コイルへの伝達を回避することができる。さらに、送電駆動ボード11における電子素子110も温度に耐えられる温度閾値を有する。前記温度閾値は約105℃である。室温が25℃である場合、送電駆動ボード11における電子素子110が動作不能になるのを防ぐために、送電駆動ボード11によって生成される第1熱源S1の温度が80℃以下であることが必要である。したがって、本実施形態では、第1熱源S1の自己発熱が80℃以下であることが必要であり、これによって、第1熱源S1の熱損失と送電駆動ボード熱抵抗R1との積が80未満であることは必要である。そのため、上述した目的を達成するために、送電駆動ボード熱抵抗R1は可能な限り小さく設定する必要がある。本実施形態におけるワイヤレス充電装置1は、第2熱源S2の熱損失と送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2との積が15未満であり、インタフェース熱抵抗M1が送電駆動ボード熱抵抗R1の2倍以上であり、第1熱源S1の熱損失と送電駆動ボード熱抵抗R1との積が80以下であることによって、ワイヤレス充電装置1から携帯型装置2の受電用コイルへ伝達される総熱エネルギーは第2熱源S2の熱損失よりも少ないことを実現でき、送電駆動ボード11及び送電用コイルアセンブリ12の熱エネルギーが受電用コイルへ伝達されず、自体で熱を放散することができる。ある実施形態では、ワイヤレス充電装置1から携帯型装置2の受電用コイルへ伝達される総熱エネルギーが0よりも小さく、換言すると、受電用コイルの熱エネルギーが送電用コイルアセンブリ12及び送電駆動ボード11に伝達され得る。
【0019】
以上の内容より、本実施形態におけるワイヤレス充電装置1は、第2熱源S2の熱損失と送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2との積が15未満であり、インタフェース熱抵抗M1が送電駆動ボード熱抵抗R1の2倍以上であり、第1熱源S1の熱損失と送電駆動ボード熱抵抗R1との積が80以下であることによって、ワイヤレス充電装置1から携帯型装置2の受電用コイルへ伝達される総熱エネルギーが第2熱源S2の熱損失よりも小さく、送電駆動ボード11及び送電用コイルアセンブリ12の熱エネルギーが受電用コイルに伝達されないことを実現できる。したがって、本実施形態におけるワイヤレス充電装置1は、主な熱放散方法として携帯型装置2を使用せず、送電駆動ボード11及び送電用コイルアセンブリ12を熱放散部材としている。これによって、ワイヤレス充電装置1が動作しているとき、携帯型装置2の温度が制御され、充電効率及び充電速度が大幅向上することができる。
【0020】
本実施形態では、筐体10は、天板101と底板102との間に位置される隔板104をさらに備える。隔板104は、天板101と底板102とに平行に配置されても良いが、これに限定されない。送電用コイルアセンブリ12は、隔板104上に配置され、且つ、送電用コイルアセンブリ12は、天板101と送電駆動ボード11との間に配置されても良い。隔板104は、良好な熱伝導体であり、これによって、送電用コイルアセンブリ12の送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2が低減し、送電用コイルアセンブリ12によって生成される第2熱源S2は、隔板104を介して筐体10に伝達され、その結果、送電用コイルアセンブリ12の第2熱源S2は、より容易に環境に放散される。本実施形態では、隔板104と複数の側壁103とが一体的に形成され、且つ前記隔板104及び前記複数の側壁103は、いずれも良好な熱伝導体である。それにより、送電用コイルアセンブリ12の送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2を低減し、送電用コイルアセンブリ12によって生成される第2熱源S2は、隔板104を介して筐体10に迅速に伝達すことができる。
【0021】
図5は、本発明の第2の好適な実施形態におけるワイヤレス充電装置の局在部の構造概念図である。ある実施形態では、図5に示すように、少なくとも一つの側壁103は、筐体10の外側に向かって複数の放熱シート105を形成し、各放熱シート105は、対応の側壁103に立設されており、筐体10の熱を放散するために用いられる。また、送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2を低減するために、環境と直接接触する放熱シート105も面積を拡大して、熱放散面として機能させることができる。本実施形態では、各放熱シート105の長さW1及び対応の側壁103の厚さW2の平均値との和は、隔板104の平均厚さdの2倍以上であり、これにより、隔板104の厚さを利用して放熱シート105を設置するのに十分なスペースを提供することができる。ある実施形態では、底板102は、筐体10の外側に向かって複数の放熱シートを形成し、前記放熱シートは、筐体10の熱を放散させ、且つ、送電用コイルアセンブリ熱抵抗を低減することができる。
【0022】
ある実施形態では、隔板104と複数の側壁103とは、一体的に形成された構造ではなく、高熱伝導性材料によって接合されても良い。隔板104及び複数の側壁103は、良好な熱伝導体であるため、送電用コイルアセンブリ12によって生成される第2熱源S2は、隔板104を介して複数の放熱シート105に熱を放散することができる。ある実施形態では、送電用コイルアセンブリ12と送電駆動ボード11との間のインタフェース熱抵抗M1を増加させることで、送電駆動ボード11によって生成される第1熱源S1がインタフェース熱抵抗M1を介して送電用コイルアセンブリ12に伝達されるのを回避することができる。具体的には、例えば、駆動板11が底板102上に配置され、底板102と複数の側壁103との間の接触面積を底板102の総面積の5%よりも小さくし、送電用コイルアセンブリ12と送電駆動ボード11との間のインタフェース熱抵抗M1を増加させる。他の実施形態では、底板102と複数の側壁103との間に間隙106が設けられ、図5に示すように、底板102と複数の側壁103とが接触せず、底板102と複数の側壁103との間の間隙106には、電磁吸収材料が設けられている(図示せず)。電磁吸収材料は、底板102及び複数の側壁103に接続するために使用され、電磁吸収材料は、熱伝導率が低いため、送電用コイルアセンブリ12と送電駆動ボード11との間のインタフェース熱抵抗M1が大幅に増加し、駆動板11の熱は、主に底板102を介して放散し、熱エネルギーができる限り送電用コイルアセンブリ12に伝達することを抑えることができる。
【0023】
また、隔板104によって、収容空間14を第1収容空間14a及び第2収容空間14bに分割することができる。第1収容空間14aは、天板101に隣接しており、送電用コイルアセンブリ12は、第1収容空間14a内に設けられている。第2収容空間14bは、底板102に隣接しており、送電駆動ボード11は、第2収容空間14b内に設けられている。ある実施形態では、天板101と隔板104との間にある第1収容空間14aは、例えば熱伝導性接着剤が充填されるように、接着性材料(gluing material, e.g., a thermal conductive glue)を有する。これによって、筐体10の機械的強度及び熱伝導性を高めることに加え、天板101を厚みのより薄い材料に変更しても良く、且つ、筐体10自体の熱抵抗を低減するとともに、ワイヤレス充電装置1の全体の厚さを薄くすることができる。
【0024】
上述した実施形態では、送電用コイルアセンブリ12によって生成される第2熱源S2が0.6Wであり、送電駆動ボード11によって生成される第1熱源S1が3.6Wであり、隔板104の厚さが1mmであり、放熱シート105の平均長さが5mmである場合、熱抵抗の計算式(1)及び(2)で計算することができる。送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2は、4.2℃/Wであり、送電駆動ボード熱抵抗R1は、15.8℃/Wである。この際、インタフェース熱抵抗M1は、28℃/Wである。なお、上述したパラメーターは、本発明のワイヤレス充電装置1の各パラメーターを限定するものではないことを留意されたい。
【0025】

この式において、∂は熱交換係数であり、Aは放熱面積である。
【0026】

この式において、δは距離であり、λは熱伝導率であり、Aは放熱面積である。
【0027】
図6図7及び図8を参照されたい。図6は、本発明の第3の好適な実施形態におけるワイヤレス充電装置の構造概念図であり、携帯型装置がワイヤレス充電装置の空気流ガイドカバーの天板上に配置されている。図7は、図6に示すワイヤレス充電装置の分解構造概念図である。図8は、図6に示すワイヤレス充電装置の断面構造概念図である。図に示すように、本実施形態におけるワイヤレス充電装置1aの構造及び機能は、図1に示すワイヤレス充電装置1と同様であるため、同一の構成および機能については同一の符号を付して説明を省略する。図1に示すワイヤレス充電装置1と比較して、本実施形態におけるワイヤレス充電装置1aは、高出力ワイヤレス充電技術に適用することができる。ワイヤレス充電装置1aは、筐体10を封入するための空気流ガイドカバー4を備えており、空気流ガイドカバー4は、天板41と底板42と複数の側壁43とを備えている。また、当該空気流ガイドカバー4は、単一の構成要素であっても良く、ワイヤレス充電装置1aのシステムを収容するための空間として使用されても良い。空気流ガイドカバー4の天板41は、携帯型装置2を載置するために使用され、且つ、筐体10の天板101に隣接している。空気流ガイドカバー4の各側壁43は、対応の筐体10の側壁103に隣接しており、且つ、空気流ガイドカバー4の複数の側壁43のうちの少なくとも一つの側壁43には、給風開口431が設けられている。給風開口431は、空気流ガイドカバー4の天板41及び筐体10の天板101に隣接しており、空気を空気流ガイドカバー4内に供給して、筐体10の側壁103を冷却することに使用される。空気流ガイドカバー4の底板42は、筐体10の底板102に隣接しており、且つ、空気流ガイドカバー4の底板42には送風開口421が設けられている。送風開口421と給風開口431との間に通路6を形成し、空気が給風開口431より流れ込み、通路6を介して送風開口421より排出することができる。これにより、筐体10の底板102を冷却し、送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2を低減することができる。また、送電用コイルアセンブリ12は、空気流の流れによって、熱を環境に発散することもできる。ここでは、送風開口421によって排出される空気流の温度は、給風開口431に流入する時の空気の温度よりも高い。ある実施形態では、空気流強度を高めるために、給風開口413の断面積は、送風開口421の断面積の1.2倍以上に設定する。ある実施形態では、空気流強度を高めるために、給風開口413の個数が複数設けられ、前記複数の給風開口413は、空気流ガイドカバー4の複数の側壁43に均一に分配されても良い。この場合、給風開口413の総断面積は、送風開口421の総断面積の1.2倍以上である。
【0028】
送電用コイルアセンブリ12の第2熱源S2が携帯型装置2内の受電用コイルに熱を放散するのを防ぐために、環境に対する送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2を低減して、送電用コイルアセンブリ12の熱を直接環境に放散させる。この場合、送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2を低減させるために、筐体10の側壁103の平均厚さを増加させるべきであるが、筐体10の側壁103の平均厚さの増加によるワイヤレス充電装置1aの全体のサイズの増加を抑えるために、送電駆動ボード11のサイズを適切に縮小することができる。ワイヤレス充電装置1aの全体のサイズは、送電用コイルアセンブリ12のサイズに対して相対的であるため、送電駆動ボード11のサイズを適切に縮小するため、ある実施形態では、送電駆動ボード11の幅を送電用コイルアセンブリ12の最大幅よりも小さくするか、及び/又は、送電駆動ボード11の長さを送電用コイルアセンブリ12の最大長よりも小さくするように変更する。
【0029】
そして、図6図8を参照されたい。送風開口421は、空気流ガイドカバー4の底板42と筐体10の底板102との間に設置され、送風開口421が通路6に接続されている。本実施形態におけるワイヤレス充電装置1aでは、ファン5をさらに備え、ファン5が送風開口421内に収容され、ファン5が作動している時、通路6内の空気流は、ファン5によってさらに押されて、送風開口421から迅速に出て、ワイヤレス充電装置1aに対して熱を放散させることができる。
【0030】
ある実施形態では、ファン5は、ファン筐体を備える(図示せず)。この場合、筐体10の底板102の熱エネルギーをファン筐体に伝達させ、その熱をファン5内部に形成させた風の流れによって直接奪われるために、ファン筐体と筐体10の底板102との間の熱抵抗を低減させる必要がある。ファン筐体と筐体10の底板102との間の熱抵抗を低減させるために、ファン筐体と筐体10の底板102との間の最小距離を0.5mm以下に設定するか、又は、ファン筐体と筐体10の底板102との間に高熱伝導性材料を使用する方式を採用する。また、ファン5に前記ファン筐体がない場合、ファン5と筐体10の底板102との間の熱抵抗を低減することもできる。
【0031】
上述した実施形態では、送電用コイルアセンブリ12によって生成される第2熱源S2が0.6Wであり、送電駆動ボード11によって生成される第1熱源S1が3.6Wであり、隔板104の厚さが1mmであり、放熱シート105の平均長さが5mmである場合、以下の熱抵抗の計算式(1)及び(2)で計算でき、その送電用コイルアセンブリ熱抵抗R2が3.9℃/Wであり、送電駆動ボード熱抵抗R1が17℃/Wであり、インタフェース熱抵抗M1が31℃/Wである。なお、上述したパラメーターは、本発明のワイヤレス充電装置1の各パラメーターを限定するものではないことを留意されたい。
【0032】

この式において、∂は熱交換係数であり、Aは放熱面積である。
【0033】

この式において、δは距離であり、λは熱伝導率であり、Aは放熱面積である。
【0034】
上述したように、本実施形態におけるワイヤレス充電装置は、第2熱源の熱損失と送電用コイルアセンブリ熱抵抗との積が15以下よりも小さく、インタフェース熱抵抗が送電駆動ボード熱抵抗の2倍以上であり、第1熱源の熱損失と送電駆動ボード熱抵抗との積が80以下であることで、ワイヤレス充電装置から携帯型装置の受電用コイルへの総熱エネルギーが第2熱源の熱損失よりも小さいことを実現することができる。これによって、送電駆動ボード及び送電用コイルアセンブリの熱エネルギーが受電用コイルに伝達されない。したがって、本実施形態におけるワイヤレス充電装置では、主な熱放散方法として携帯型装置を使用せず、送電駆動ボード及び送電駆動アセンブリを主な熱放散部材とする。これによって、ワイヤレス充電装置が動作しているとき、携帯型装置の温度が制御され、充電効率及び充電速度が大幅向上することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8