(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
E02F9/16 C
(21)【出願番号】P 2020209241
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 一人
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-002160(JP,A)
【文献】特開平11-291750(JP,A)
【文献】特開2013-035402(JP,A)
【文献】特開2011-020640(JP,A)
【文献】特開2013-082260(JP,A)
【文献】実開昭51-093540(JP,U)
【文献】特開2009-274462(JP,A)
【文献】特開2010-090671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
B60H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に設けられた運転席を保護する保護機構と、
前記保護機構の内部の暖房を行う暖房装置と、
作動油により駆動される油圧機器と、
冷却対象物
である前記作動油と周囲の空気との間で熱交換を行う熱交換部を有し且つ
前記作動油を冷却する冷却装置と、
前記熱交換部により暖められた空気を前記暖房装置に案内し、当該暖房装置でさらに暖められた空気を前記保護機構の内部に案内する第1流路と、を備えた作業機。
【請求項2】
機体と、
前記機体に設けられた運転席を保護する保護機構と、
前記保護機構の内部の暖房を行う暖房装置と、
電気機器と、
前記電気機器を冷却する冷却水を流す冷却水路と、冷却対象物
である前記冷却水と周囲の空気との間で熱交換を行う熱交換部とを有し
、且つ
前記冷却水を冷却する冷却装置と、
前記熱交換部により暖められた空気を前記暖房装置に案内し、当該暖房装置でさらに暖められた空気を前記保護機構の内部に案内する第1流路と、を備えた作業機。
【請求項3】
機体と、
前記機体に設けられた運転席を保護する保護機構と、
前記保護機構の内部の暖房を行う暖房装置と、
作動油により駆動される油圧機器と、
電気機器と、
冷却対象物と周囲の空気との間で熱交換を行う熱交換部を有し且つ前記冷却対象物を冷却する冷却装置と、
前記熱交換部により暖められた空気を前記暖房装置に案内し、当該暖房装置でさらに暖められた空気を前記保護機構の内部に案内する第1流路と、を備え
、
前記冷却装置として、前記冷却対象物である前記作動油と周囲の空気との間で熱交換を行う前記熱交換部を有するオイルクーラである第1冷却装置と、前記電気機器を冷却する
冷却水を流す冷却水路を含むと共に、前記冷却対象物である前記冷却水と周囲の空気との間で熱交換を行う前記熱交換部を有するラジエータを含んだ第2冷却装置とを設けた作業機。
【請求項4】
前記第1流路は、前記油圧機器の近傍を通って配策されており、前記熱交換部により暖められた空気を前記油圧機器で暖められた当該油圧機器の周囲の空気でさらに暖めて前記暖房装置に案内する請求項1又は3に記載の作業機。
【請求項5】
前記第1流路は、前記電気機器の近傍を通って配策されており、前記熱交換部により暖められた空気を前記電気機器で暖められた当該電気機器の周囲の空気でさらに暖めて前記暖房装置に案内する請求項2又は3に記載の作業機。
【請求項6】
前記暖房装置は、前記機体に設けられた蓄電池の電力により駆動して、前記第1流路を流れる空気を暖める請求項1
~5のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項7】
前記熱交換部により暖められた空気を、前記第1流路を通して前記保護機構の内部に送風する送風装置と、を備えた請求項1
~6のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項8】
前記保護機構の内部の空気を前記冷却装置に案内する第2流路
と、
前記保護機構の内部の空気を前記第2流路へ通して前記冷却装置に導く内気循環状態と、前記第2流路から前記冷却装置への前記空気の流れを遮断して、外気を前記冷却装置に導く外気導入状態とに切り替え可能な内外気切替機構と、を備えた請求項
1~7のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項9】
前記保護機構の内部の冷房を行う冷房装置と、
前記冷房装置から前記保護機構の内部への空気の流れを遮断して、前記暖房装置で暖められた空気を前記保護機構の内部に導く暖房状態と、前記暖房装置から前記保護機構の内部への空気の流れを遮断して、前記冷房装置から送風された冷気を前記保護機構の内部に導く冷房状態とに切り替え可能な冷暖房切替機構と、を備えた請求項1~
8のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項10】
前記冷却装置又は前記第1流路から外部へ空気を排気する第3流路と、
前記冷却装置から前記第1流路又は前記第1流路から前記保護機構の内部への空気の流れを遮断して、前記冷却装置又は前記第1流路から前記第3流路に空気を導く排気状態と、前記冷却装置又は前記第1流路から前記第3流路への空気の流れを遮断して、前記冷却装置から前記第1流路又は前記第1流路から前記保護機構の内部に空気を導く非排気状態とに切り替え可能な排気オンオフ切替機構と、を備えた請求項1~
9のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項11】
前記冷却装置により冷却される前記電気機器は、蓄電池、電動モータ、前記蓄電池の電力で前記電動モータを駆動させるモータ駆動装置、及び前記蓄電池の電圧を異なる電圧に変換する電圧変換装置のうちの少なくとも1つを含む請求項
3又は5に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバックホー等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動モータを制御する制御盤の内部で暖められた空気を保護機構の内部に導くことにより、ヒータ等の暖房装置を別途設けることなく暖房運転を行う電動式建設機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、制御盤の内部で温められた空気だけで保護機構内の暖房を十分に行えない場合がある。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、作業機の保護機構の内部をエネルギ効率良く且つ十分に暖めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る作業機は、機体と、機体に設けられた運転席を保護する保護機構と、保護機構の内部の暖房を行う暖房装置と、作動油により駆動される油圧機器と、冷却
対象物である前記作動油と周囲の空気との間で熱交換を行う熱交換部を有し且つ前記作動油を冷却する冷却装置と、熱交換部により暖められた空気を暖房装置に案内し、当該暖房装置でさらに暖められた空気を保護機構の内部に案内する第1流路と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、作業機の保護機構の内部をエネルギ効率良く且つ十分に暖めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】作業機の冷却経路と暖房経路を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
先ず、作業機1の全体構成について説明する。
図5は、作業機1の全体側面図である。
作業機1は電動バックホーである。作業機1は、機体(旋回台)2と走行装置10と作業装置20等を備えている。
【0009】
機体2の上には、作業者が着座する運転席4と、運転席4を前後、左右、及び上から保護する保護機構6が設けられている。保護機構6は、骨格を成すフレーム(符号省略)と、フレーム間に設けられた壁体(符号省略)とを有している。フレームは機体2に固定されている。壁体には、運転席4から周囲を目視可能な透明部分(いわゆる窓)が設けられている。保護機構6は、運転席4の周囲の空間と外部とを仕切っている。即ち、保護機構6により、運転席4を有する運転室4Rが形成されている。
【0010】
保護機構6の内部(運転室4R)の運転席4の周囲には、作業機1を操作するための操作装置5が設けられている。作業者は、運転席4に着座した状態で、操作装置5を操作可能である。
なお、本実施形態においては、運転席4に着座した作業者の前側(
図5の矢印A1方向)を前方、当該作業者の後側(
図5の矢印A2方向)を後方として説明する。また、その前後方向に直交する水平方向を幅方向として説明する。さらに、運転席8に着座した作業者が前方A1に向いた状態で、左側を左方、作業者の右側を右方として説明する。
【0011】
走行装置10は、機体2を走行させる装置であって、走行フレーム11と走行機構12とを有する。走行フレーム(トラックフレーム)11は、周囲に走行機構12を取り付け、且つ上部に機体2を支持する構造体である。
走行機構12は、例えばクローラ式の走行機構である。走行機構12は、走行フレーム11の左側と右側にそれぞれ設けられている。走行機構12は、アイドラ13と、駆動輪14と、複数の転輪15と、無端状のクローラベルト16と、走行モータML、MRとを有している。
【0012】
アイドラ13は、走行フレーム11の前部に配置されている。駆動輪14は、走行フレーム11の後部に配置されている。複数の転輪15は、アイドラ13と駆動輪14との間に設けられている。クローラベルト16は、アイドラ13、駆動輪14、及び転輪15に亘って巻掛けられている。
左用走行モータMLは、走行フレーム11の左側にある走行機構12に含まれている。右用走行モータMRは、走行フレーム11の右側にある走行機構12に含まれている。これら走行モータML、MRは、油圧モータから構成されている。各走行機構12では、走行モータML、MRの動力により、駆動輪14が回転駆動して、クローラベルト16を周方向に循環回走させる。
【0013】
走行装置10の前部には、ドーザ装置18が装着されている。ドーザ装置18は、ドーザシリンダC5の伸縮によって上下に揺動する。ドーザシリンダC5は、支持フレーム11に取り付けられている。ドーザシリンダC5は、油圧シリンダから構成されている。
機体2は、走行フレーム11上に旋回ベアリング3を介して、旋回軸心X回りに回転可能に支持されている。機体2の内部には、旋回モータMTが設けられている。旋回モータMTは、油圧モータ(油圧機器Mに含まれる油圧アクチュエータ)から構成されている。機体2は、旋回モータMTの動力により旋回軸心X回りに旋回する。
【0014】
作業装置20は、機体2の前部に支持されている。作業装置20は、ブーム21と、アーム22と、バケット(作業具)23と、油圧シリンダC1~C5を有する。ブーム21の基端側は、スイングブラケット24に横軸(機体2の幅方向に延伸する軸心)廻りに回動可能に枢着されている。このため、ブーム21は上下方向(鉛直方向)に揺動可能になっている。アーム22は、ブーム21の先端側に横軸廻りに回動可能に枢着されている。このため、アーム22は、前後方向或いは上下方向に揺動可能になっている。バケット23は、アーム22の先端側にスクイ動作及びダンプ動作が可能に設けられている。
【0015】
作業機1は、バケット23に代えて、或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。この他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノーブロア等が例示できる。
スイングブラケット24は、機体2内に備えられたスイングシリンダC1の伸縮によって左右に揺動する。ブーム21は、ブームシリンダC2の伸縮によって上下(前後)に揺動する。アーム22は、アームシリンダC3の伸縮によって上下(前後)に揺動する。バケット23は、バケットシリンダ(作業具シリンダ)C4の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作を行う。スイングシリンダC1、ブームシリンダC2、アームシリンダC3、及びバケットシリンダC4は、油圧シリンダから構成されている。
【0016】
作業機1は、上述した走行モータML、MRや油圧シリンダC1~C5を有する走行装置10や作業装置20や旋回モータMTにより作業を行う。走行モータML、MRや旋回モータMTや油圧シリンダC1~C5といった油圧アクチュエータは、油圧機器に含まれる。走行装置10も作業機1に備わる作業装置である。
次に、作業機1の電気的構成について説明する。
【0017】
図1は、作業機1の電気ブロック図である。
作業機1の操作装置5は、操作レバー5aと操作スイッチ5bとを有している。操作レバー5aと操作スイッチ5bは、運転席5に着座した作業者が操作可能になっている。
図1では、便宜上、操作レバー5aと操作スイッチ5bをそれぞれ1つのブロックで示しているが、実際には、操作レバー5aと操作スイッチ5bはそれぞれ複数設けられている。
【0018】
制御装置7は、機体2内に設けられていて、CPU7aと記憶部7bとを有している。CPU7aは、
図1に示すような、作業機1に備わる各部の動作を制御する。記憶部7bはメモリ等から構成されている。CPU7aが各部の動作を制御するための情報、データ、及びプログラムなどは、記憶部7bに記憶されている。また、記憶部7bには、CPU7aが各部の動作を制御するためのデータは、読み書き可能に記憶部7bに記憶されている。
【0019】
スタータスイッチ8は、保護機構6の内部に設けられ、運転席5に着座した作業者が操作可能になっている。スタータスイッチ8をオン操作することで、制御装置7が作業機1に備わる各部を始動させる。また、スタータスイッチ8をオフ操作することで、制御装置7が作業機1に備わる各部を停止させる。
電動モータ9は、作業機1の駆動源であって、例えば永久磁石埋込式の三相交流同期モータから構成されている。インバータ38は、電動モータ9を駆動させるモータ駆動装置である。インバータ38は、電動モータ9及びジャンクションボックス39と接続されている。ジャンクションボックス39は、インバータ38の他に、バッテリユニット30とDC-DCコンバータ40と充電口41に接続されている。ジャンクションボックス39は、バッテリユニット30から入力された電力をインバータ38やDC-DCコンバータ40に出力する。
【0020】
インバータ38は、バッテリユニット30からジャンクションボックス39を経由して入力された直流電力を三相交流電力に変換し、当該三相交流電力を電動モータ9に供給する。これにより、電動モータ9が駆動する。また、インバータ38は、電動モータ9に供給する電力の電流や電圧を任意に変更可能である。制御装置7は、インバータ38の動作を制御して、電動モータ9を駆動させたり停止させたりする。
【0021】
DC/DCコンバータ40は、バッテリユニット30からジャンクションボックス39を経由して入力された直流電流の電圧を、異なる電圧に変換する電圧変換装置である。本実施形態では、DC/DCコンバータ40は、バッテリユニット30の高電圧を所定の低電圧に変換する降圧コンバータである。DC/DCコンバータ40は、電圧変換後に低圧バッテリ33へ電力を供給する。
【0022】
充電口41は、外部電源に接続された充電ケーブル(図示省略)が嵌合されるコネクタなどから構成されている。ジャンクションボックス39は、外部電源から充電ケーブルを経由して充電口41より入力された電力を、バッテリユニット30に出力する。バッテリユニット30は、その充電口41より入力された電力で充電される。
バッテリユニット30は蓄電池であり、複数のバッテリパック31、32を有している。複数のバッテリパック31、32は、互いに並列に接続されている。バッテリパック31、32は、例えばリチウムイオン電池や鉛蓄電池等の二次電池から成る。バッテリパック31、32は、内部に複数のセルを有しており、複数のセルが電気的に直列及び/又は並列に接続されている。
図1では、バッテリユニット30に2つのバッテリパック31、32を設けているが、バッテリユニット30が有するバッテリパックの数は2つに限定されず、1つでもよいし又は3つ以上でもよい。
【0023】
各バッテリパック31、32には、接続切換部31a、32aが設けられている。各接続切換部31a、32aは、例えばリレー又はスイッチ等から構成されていて、接続状態と遮断状態とに切り替わる。制御装置7は、接続切替部31a、32aのうち、一方の接続切替部を接続状態に切り替えて、他方の接続切替部を遮断状態に切り替えることにより、バッテリパック31、32のうち、一方のバッテリパックからジャンクションボックス39及びインバータ38を経由して電動モータ9に電力を供給し、他方のバッテリパックからの電力供給を停止する。つまり、制御装置7は、バッテリパック31、32の電力の出力と出力停止とを制御する。
【0024】
また、各バッテリパック31、32には、BMU(battery management unit)31b、32bが設けられている。
図1では、BMU31b、32bはバッテリパック31、32内に設けられているが、BMU31b、32bは対応するバッテリパック31、32に内蔵されていてもよいし、又はバッテリパック31、32の外側に設置されていてもよい。
【0025】
各BMU31b、32bは、対応するバッテリパック31、32を監視・制御する。具体的には、BMU31b、32bは、バッテリパック31、32の内部に備わるリレーの開閉を制御して、バッテリパック31、32からの電力供給の開始及び停止を制御する。また、BMU31b、32bは、バッテリパック31、32の温度、電圧、電流、又は内部のセルの端子電圧等を検出する。
【0026】
さらに、BMU31b、32bは、例えばバッテリパック31、32の内部のセルの端子電圧に基づいて、電圧測定方式によりバッテリパック31、32の残容量を検出する。なお、バッテリパック31、32の残容量の検出方法は、電圧測定方式に限定されず、クーロン・カウンタ方式、電池セル・モデリング方式、インピーダンス・トラック方式などのような他の方式であってもよい。また、バッテリパック31、32の残容量を検出する容量検出部を、BMU31b、32bとは別に設けてもよい。
【0027】
低圧バッテリ33は、バッテリユニット30より低電圧の蓄電池である。低圧バッテリ33は、DC/DCコンバータ40から供給される電力により充電される。低圧バッテリ33は、作業機1に備わる電気機器に電力を供給する。容量検出装置34は、低圧バッテリ33の残容量を検出する電気回路から成る。
ラジエータ35は、電動モータ9、インバータ38、DC/DCコンバータ40、及びバッテリユニット30等の電気機器を冷却するための冷却水を冷却する。冷却水は、単なる水ではなく、例えば寒冷地でも凍らないような液体から構成されている。
【0028】
ラジエータ35は、ファンモータ35aと、当該ファンモータ35aの動力により回転駆動するラジエータファン35f及び熱交換部35b(第2熱交換部、後述の
図3に図示)を有している。ファンモータ35aは、低圧バッテリ33の電力で駆動する。
冷却用ポンプ36は、ラジエータ35及び電気機器9、38、40、30と共に、機体2内に配設された冷却水路60(
図3に図示)に設けられている。冷却用ポンプ36は、冷却水路60に対して冷却水を吐出及び循環させる。
【0029】
オイルクーラ37は、前述した油圧アクチュエータML、MR、MT、C1~C5や、後述する油圧ポンプP1、P2及びコントロールバルブV(
図2等に図示)といった油圧機器を通過した作動油を冷却する。オイルクーラ37は、ファンモータ37aと、当該ファンモータ37aの動力により回転駆動するオイルクーラファン37f及び熱交換部37b(第1熱交換部、後述の
図3に図示)を有している。ファンモータ37aは、低圧バッテリ33の電力で駆動する。
【0030】
電動暖房装置42は、低圧バッテリ33の電力により駆動して、保護機構6の内部の暖房を行う。電動暖房装置42は、電気ヒータから構成され、電熱線42aとファンモータ42bとを有している。電熱線42aは、通電されることにより高熱を発する。ファンモータ42bは、後述するファン42f(
図3に図示)を回転駆動させる。ファンモータ42bは、低圧バッテリ33の電力で駆動する。
【0031】
暖気用ファンモータ45は、後述するファン75a、75b、75c(
図3に図示)の動力源である。
図1では、便宜上、暖気用ファンモータ45を1つのブロックで示しているが、暖気用ファンモータ45はファン75a、75b、75c毎に設けられている。また、暖気用ファンモータ45を駆動するためのモータ駆動回路(図示省略)もファン75a、75b、75c毎に設けられている。
【0032】
電動冷房装置46は、例えばエアコンから構成されている。電動冷房装置46は、低圧バッテリ33の電力により駆動して、保護機構6の内部の冷房を行う。油温検出装置47は、作動油の温度(油温)を検出するセンサから成る。室温検出装置48は、保護機構6の内部の温度(室温)を検出するセンサから成る。水温検出装置49は、冷却水の温度(水温)を検出するセンサから成る。
【0033】
次に、作業機1に備わる油圧回路について説明する。
図2は、作業機1に備わる油圧回路Kを示した図である。
油圧回路Kには、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、コントロールバルブV、油圧ポンプP1、P2、作動油タンクT、オイルクーラ37、操作弁PV1~PV6、アンロード弁58、及び油路50等の油圧機器が設けられている。
【0034】
複数設けられた油圧ポンプP1、P2のうち、一方は作動用油圧ポンプP1であり、他方はコントロール用油圧ポンプP2である。これらの油圧ポンプP1、P2は、電動モータ9の動力により駆動する。
作動用油圧ポンプP1は、作動油タンクTに貯留された作動油を吸引した後、コントロールバルブVに向かって作動油を吐出する。
図2では、便宜上、作動用油圧ポンプP1を1つ図示しているが、これに限らず、作動用油圧ポンプを適宜数設ければよい。
【0035】
コントロール用油圧ポンプP2は、作動油タンクTに貯留された作動油を吸引した後吐出することにより、信号用又は制御用等の油圧を出力する。即ち、コントロール用油圧ポンプP2はパイロット油を供給(吐出)する。コントロール用油圧ポンプP2も適宜数設ければよい。
コントロールバルブVは、複数の制御弁V1~V8を有している。各制御弁V1~V8は、油圧ポンプP1、P2から各油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに出力する作動油の流量を制御(調整)する。
【0036】
具体的には、スイング制御弁V1は、スイングシリンダC1に供給する作動油の流量を制御する。ブーム制御弁V2は、ブームシリンダC2に供給する作動油の流量を制御する。アーム制御弁V3は、アームシリンダC3に供給する作動油の流量を制御する。バケット制御弁V4は、バケットシリンダC4に供給する作動油の流量を制御する。ドーザ制御弁V5は、ドーザシリンダC5に供給する作動油の流量を制御する。左用走行制御弁V6は、左側の走行モータMLに供給する作動油の流量を制御する。右用走行制御弁V7は、右側の走行モータMRに供給する作動油の流量を制御する。旋回制御弁V8は、旋回モータMTに供給する作動油の流量を制御する。
【0037】
操作弁PV1~PV6は、操作装置5に備わる各種の操作レバー5a(
図1)の操作に応じて作動する。各操作弁PV1~PV6の作動量(操作量)に比例して、パイロット油が各制御弁V1~V8に作用することで、各制御弁V1~V8のスプールが動かされる。そして、各制御弁V1~V8のスプールの動かされた量に比例する量の作動油が、制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに供給される。さらに、各油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTが、各制御弁V1~V8からの作動油の供給量に応じて駆動する。
【0038】
言い換えれば、操作レバー5aが操作されることで、制御弁V1~V8に作用する作動油(パイロット油)の油圧が調整されて、制御弁V1~V8が制御される。そして、制御弁V1~V8から油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに供給される作動油の量が調整されて、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTの駆動と停止とが制御される。
【0039】
油路50は、例えばホース又は金属等の材料で形成された管から構成されている。油路50は、油圧回路Kに設けられた各部を接続し、各部に対して作動油又はパイロット油を流す流路である。油路50には、第1油路51、第2油路52、第1吸引油路54、第2吸引油路55、及び制限油路57が含まれている。
第1吸引油路54は、作動用油圧ポンプP1が作動油タンクTから吸引した作動油を流す流路である。第2吸引油路55は、コントロール用油圧ポンプP2が作動油タンクTから吸引した作動油を流す流路である。
【0040】
第1油路51は、作動用油圧ポンプP1が吐出した作動油をコントロールバルブVの制御弁V1~V8に向かって流す流路である。第1油路51は、コントロールバルブV内で複数に分岐して、各制御弁V1~V8に接続されている。
第2油路52は、制御弁V1~V8を通過した作動油を作動油タンクTに向かって流す流路である。作動油タンクTは作動油を貯留する。第2油路52には、往復油路52aと排出油路52bとが含まれている。
【0041】
往復油路52aは、各制御弁V1~V8と制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTとを2本1対で接続するように複数設けられている。往復油路52aは、接続された制御弁V1~V8から油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに作動油を供給したり、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTから制御弁V1~V8に作動油を戻したりする流路である。排出油路52bの一端側は複数に分岐して、各制御弁V1~V8に接続されている。排出油路52bの他端部は、作動油タンクTに接続されている。
【0042】
第1油路51を通っていずれかの制御弁V1~V8に流れた作動油の一部は、当該制御弁V1~V8を通過して往復油路52aの一方を通り、制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに供給される。そして、その油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTから排出された作動油は、往復油路52aの他方を通って接続された制御弁V1~V8に戻り、当該制御弁V1~V8を通過して、排出油路52b流れる。
【0043】
また、第1油路51を通っていずれかの制御弁V1~V8に流れた作動油の他部は、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTへ供給されることなく、当該制御弁V1~V8を通過して排出油路52bに流れる。排出油路52bには、オイルクーラ37が設けられている。オイルクーラ37は、いずれかの制御弁V1~V8から排出油路52bを通って流れて来た作動油を冷却する。
【0044】
オイルクーラ37で冷却された作動油は、排出油路52bを通って作動油タンクTに戻る。上述したように、油路54、51、52は、作動油を作動油タンクTと油圧ポンプP1とコントロールバルブVの制御弁V1~V8と(一部の作動油は油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTも)に対して循環させるように配設されている。
制限油路57は、コントロール用油圧ポンプP2が吐出した作動油を操作弁PV1~PV6に流す流路である。制限油路57の一端部は、コントロール用油圧ポンプP2に接続され、他端側は複数に分岐して、各操作弁PV1~PV6の一次側のポート(一次ポート)に接続されている。
【0045】
制限油路57には、アンロード弁58が設けられている。アンロード弁58は、作動用油圧ポンプP1から油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに対する作動油の供給を遮断することにより、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTの駆動、即ち作業装置20の駆動を禁止又は制限する。
詳しくは、アンロード弁58は、アンロードレバー(図示省略)を操作することにより、供給位置と遮断位置とに切り換えられる。アンロード弁58が供給位置に切り替わることで、コントロール用油圧ポンプP2から制限油路57に吐出された作動油が操作弁PV1~PV6に供給されて、制御弁V1~V8の操作が可能になる。またこれにより、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT及び作業装置20の操作も可能となる。操作弁PV1~PV6から排出された作動油は、別の排出油路(図示省略)を通って作動油タンクTに戻る。
【0046】
対して、アンロード弁58が遮断位置に切り替わることで、コントロール用油圧ポンプP2から制限油路57に吐出された作動油が作動油タンクTに排出されて、操作弁PV1~PV6に供給されなくなり(供給停止)、制御弁V1~V8の操作が禁止又は制限される。またこれにより、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT及び作業装置20の操作も禁止又は制限される。
【0047】
次に、作業機1の冷却経路と暖房経路について説明する。
図3は、作業機1の冷却経路と暖房経路を示した模式図である。
作業機1には、作動油の冷却経路と、冷却水の冷却経路とが備わっている。
作動油の冷却経路には、前述の油路50(
図3では1点鎖線で図示)が含まれている。油路50には、作動油タンクT、油圧ポンプP1、P2、油圧機器V、C1~C5、ML、MR、MT、58、PV1~PV6、及びオイルクーラ37が設けられている。
【0048】
作動油タンクTに貯留された作動油は、油圧ポンプP1、P2により吸引された後吐出され、油路50を通って、油圧機器に含まれるコントロールバルブVの制御弁V1~V8、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、又はアンロード弁58若しくは操作弁PV1~PV6に流れて行く。詳しくは、作動用油圧ポンプP1から吐出された作動油は、少なくともコントロールバルブVの制御弁V1~V8のいずれかに流れて行く。コントロール用油圧ポンプP2から吐出された作動油は、少なくともアンロード弁58に流れて行く。
【0049】
油圧ポンプP1、P2、制御弁V1~V8、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、アンロード弁58、及び操作弁PV1~PV6は、駆動時に熱を発する。このため、油路50を流れる作動油は、油圧ポンプP1、P2、制御弁V1~V8、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、アンロード弁58、又は操作弁PV1~PV6を通過する際に、これらの油圧機器から熱を吸収して、当該熱で温められる(熱交換)。
【0050】
油圧機器V(V1~V8)、C1~C5、ML、MR、MT、58、PV1~PV6を通過した作動油は、油路50を通って、オイルクーラ37に流れて行く。オイルクーラ37は、油路50を通って流れて来た作動油を、熱交換部37bとオイルクーラファン37fにより冷却する。
具体的には、熱交換部37bは、例えば高熱伝導性を有する金属などの材料で形成されている。熱交換部37bは、作動油を流すチューブと、当該チューブの周囲に設けられた複数のフィンとを有している(詳細図示省略)。この熱交換部37bのチューブの一端部から他端部へと作動油が流れることで、当該作動油とチューブやフィンの周囲にある空気との間で熱交換が行われる。これにより、油路50を通って熱交換部37bに流れて来た作動油が冷却(除熱)され、熱交換部37bの周囲の空気が暖められる。
【0051】
また、オイルクーラファン37fがファンモータ37aの動力により回転駆動することで、周囲の空気を吸い込んで、熱交換部37bに冷却風を送風する。これにより、熱交換部37bが冷却されて、熱交換部37bによる作動油の冷却性能が高まる。オイルクーラ37は、作動油を冷却する冷却装置である。作動油は、オイルクーラ37の冷却対象物である。油圧機器V(V1~V8)、C1~C5、ML、MR、MT、58、PV1~PV6は、オイルクーラ37が冷却した作動油によって冷却される。つまり、油圧機器V(V1~V8)、C1~C5、ML、MR、MT、58、PV1~PV6も、オイルクーラ37の冷却対象物である。
【0052】
冷却水の冷却経路には、前述の冷却水路60(
図3では2点鎖線で図示)が含まれている。冷却水路60には、電動モータ9、インバータ38、DC/DCコンバータ40、及びバッテリユニット30、並びに冷却ポンプ36及びラジエータ35が設けられている。冷却水路60は金属製の管から構成されている。冷却水路60は、電動モータ9、インバータ38、DC/DCコンバータ40、及びバッテリユニット30に接触或いは近接するように配設されている。
【0053】
冷却ポンプ36から吐出された冷却水は、冷却水路60を通って、バッテリユニット30、DC/DCコンバータ40、インバータ38、及び電動モータ9に流れて行く。なお、冷却水路60における冷却ポンプ36、バッテリユニット30、DC/DCコンバータ40、インバータ38、及び電動モータ9の配置順は、
図3に示した配置順に限定するものではなく、他の配置順であってもよい。
【0054】
また、上記以外の電気機器(ジャンクションボックス39等)を冷却水路60に設けてもよい。また、冷却水路60に代えて、途中で分岐するような冷却水路を設けてもよい。さらに、バッテリユニット30、DC/DCコンバータ40、インバータ38、及び電動モータ9等といった電装品のうち、少なくとも一部を冷却水で冷却するように冷却水路を設け、当該冷却水路に設けたラジエータ35で当該冷却水を冷却するようにしてもよい。
【0055】
バッテリユニット30、DC/DCコンバータ40、インバータ38、及び電動モータ9は、駆動することで熱を発する。このため、冷却水路60を流れる冷却水は、バッテリユニット30、DC/DCコンバータ40、インバータ38、及び電動モータ9を通過する際に、これらの電気機器30、40、38、9から熱を吸収して、当該熱で温められる(熱交換)。冷却水路60は、冷却水を介して電気機器30、40、38、9を冷却する。
【0056】
電動モータ9を通過した冷却水は、冷却水路60を通って、ラジエータ35に流れて行く。ラジエータ35は、冷却水路60を通って流れて来た冷却水を、熱交換部35bとラジエータファン35fにより冷却する。
具体的には、熱交換部35bは、例えば高熱伝導性を有する金属などの材料で形成されている。熱交換部35bは、作動油を流すチューブと、当該チューブの周囲に設けられた複数のフィンとを有している(詳細図示省略)。この熱交換部35bのチューブの一端部から他端部へと作動油が流れることで、当該作動油とチューブやフィンの周囲にある空気との間で熱交換が行われる。これにより、冷却水路60を通って熱交換部35bに流れて来た冷却水が冷却(除熱)され、熱交換部35bの周囲の空気が暖められる。
【0057】
また、ラジエータファン35fがファンモータ35aの動力により回転駆動することで、周囲の空気を吸い込んで、熱交換部35bに冷却風を送風する。これにより、熱交換部35bが冷却されて、熱交換部35bによる冷却水の冷却性能が高まる。ラジエータ35と冷却水路60は、冷却水と電気機器30、40、38、9を冷却する冷却装置である。冷却水と電気機器30、40、38、9は、ラジエータ35と冷却水路60の冷却対象物である。
【0058】
作業機1に備わる暖房経路には、暖かい空気を流す第1流路71と第2流路72が設けられている。
第1流路71の一端部は、保護機構6の内部(運転室4R)に連通している。第1流路71の他端部側は、2本に分岐している。第1流路71の他端部の一方は、オイルクーラ37のオイルクーラファン37fの排気側に連通している。第1流路71の他端部の他方は、ラジエータ35のラジエータファン35fの排気側に連通している。第1流路71の分岐点よりオイルクーラ37側とラジエータ35側には、排気オンオフ切替機構76b、76cがそれぞれ設けられている。第1流路71の分岐点より保護機構6側には、ファン75a、75bと排気オンオフ切替機構76aと電動暖房装置42と冷暖房切替機構77が設けられている。
【0059】
第1流路71は、ラジエータ35やオイルクーラ37の熱交換部35b、37bにより冷却水や作動油との熱交換で暖められた空気を取り入れて、当該空気を電動暖房装置42に案内し、電動暖房装置42でさらに暖められた空気を保護機構6の内部(運転室4R)に案内する流路である。
オイルクーラファン37fは、当該ファン37fの吸気側にある熱交換部37bに冷却風を送風すると共に、熱交換部37bで暖められた周囲の空気を第1流路71に送風する。ラジエータファン35fは、当該ファン35fの吸気側にある熱交換部35bに冷却風を送風すると共に、熱交換部35bで暖められた周囲の空気を第1流路71に送風する。即ち、オイルクーラファン37fとラジエータファン35fは、冷却送風と暖気送風の兼用ファンである。
【0060】
他の例として、オイルクーラ37の熱交換部37bをオイルクーラファン37fの排気側に設け、オイルクーラファン37fから送風されて熱交換器37bで暖められた空気が第1流路71に送られる構成にしてもよい。また、ラジエータ35の熱交換部35bをラジエータファン35fの排気側に設け、ラジエータファン35fから送風されて熱交換器35bで暖められた空気が第1流路71に送られる構成としてもよい。
【0061】
ファン75aは、第1流路71の分岐点と排気オンオフ切替機構76aとの間に設けられている。ファン75aは、対応する暖気用ファンモータ45(
図1)の動力により回転駆動して、第1流路71を流れる空気を排気オンオフ切替機構76aに向かって送風する。
電動暖房装置42は、第1流路71の排気オンオフ切替機構76aと冷暖房切替機構77との間に設けられている。電動暖房装置42の電熱線42aは、低圧バッテリ33の電力により駆動(発熱)して、第1流路71を流れる空気を暖める。電動暖房装置42のファン42fは、ファンモータ42b(
図1)の動力により回転駆動して、第1流路71を流れる空気を冷暖房切替機構77に向かって送風する。
【0062】
ファン75bは、第1流路71の一端部と冷暖房切替機構77との間に設けられている。ファン75bは、対応する暖気用ファンモータ45(
図1)の動力により回転駆動して、第1流路71を流れる空気を保護機構6の内部に向かって送風し、且つ当該空気を保護機構6の内部で対流させる。
上述した複数のファン35f、37f、75a、42f、75bは、ラジエータ35やオイルクーラ37の熱交換部35b、37bにより暖められた空気を、第1流路71に通して保護機構6の内部に送風する送風装置である。
【0063】
排気オンオフ切替機構76aは、第1流路71と第3流路73aとの間に設けられている。第3流路73aは、第1流路71から機体2の外部へ空気を排気する流路である。排気オンオフ切替機構76aは、例えば1つ以上のダンパと当該ダンパを移動させる機構等から構成され、排気状態と非排気状態とに切り替え可能である。
排気オンオフ切替機構76aが排気状態に切り替わることで、第1流路71のファン75a側から電動暖房装置42側(保護機構6の内部側)への空気の流れが遮断され(第1流路71の閉塞状態)、第1流路71のファン75a側から第3流路73aに空気が導かれて(第3流路73aの開通状態)、当該空気が機体2の外部へ排出される。また、排気オンオフ切替機構76aが非排気状態に切り替わることで、第1流路71のファン75a側から第3流路73aへの空気の流れが遮断され(第3流路73aの閉塞状態)、第1流路71のファン75a側から電動暖房装置42側(保護機構6の内部側)に空気が導かれる(第1流路71の開通状態)。
【0064】
冷暖房切替機構77は、第1流路71と第4流路74との間に設けられている。第4流路74は、電動冷房装置46から送風された冷気を第1流路71に案内する流路である。冷暖房切替機構77は、例えば1つ以上のダンパと当該ダンパを移動させる機構等から構成され、冷房状態と暖房状態とに切り替え可能である。
冷暖房切替機構77が冷房状態に切り替わることで、第1流路71の電動暖房装置42側から保護機構6の内部に到る空気の流れが遮断されて(第1流路71の閉塞状態)、電動冷房装置46から第4流路74に送風された空気(冷気)が第1流路71のファン75b側を通って、保護機構6の内部に導かれる。また、冷暖房切替機構77が暖房状態に切り替わることで、電動冷却装置46から流路74、71を通って保護機構6の内部に到る空気の流れが遮断されて、第1流路71の電動暖房装置42側から保護機構6の内部に空気(暖気)が導かれる(第1流路71の開通状態)。
【0065】
第2流路72の一端部は、保護機構6の内部に連通している。第2流路72の他端部側は、2本に分岐している。第2流路72の分岐点には、内外気切替機構78が設けられている。第2流路72の他端部の一方は、オイルクーラ37のオイルクーラファン37fの吸気側に連通している。第2流路72の他端部の他方は、ラジエータ35のラジエータファン35fの吸気側に連通している。第2流路72は、保護機構6の内部の空気を取り入れて、当該空気をラジエータファン35fとオイルクーラファン37fの吸気側に導く流路である。内外気切替機構78には、機体2の外部に通じる第5流路79a、79bが接続されている。
【0066】
第2流路72の内外気切替機構78より保護機構6側には、ファン75cが設けられている。ファン75cは、対応する暖気用ファンモータ45(
図1)の動力により回転駆動して、保護機構6の内部の空気を第2流路72に通して、内外気切替機構78に向かって送風する。内外気切替機構78は、例えば1つ以上のダンパと当該ダンパを移動させる機構等から構成され、内気循環状態と外気導入状態とに切り替え可能である。
【0067】
内外気切替機構78が内気循環状態に切り替わることで、保護機構6の内部の空気が第2流路72を通ってラジエータ35及びオイルクーラ37に導かれる(第2流路72の全開通状態)。第2流路72を通ってラジエータ35やオイルクーラ37に流れて来た空気は、ラジエータファン35fやオイルクーラファン37fにより第2流路71に送風される。
また、内外気切替機構78が外気導入状態に切り替わることで、第2流路72からラジエータ35及びオイルクーラ37への空気の流れが遮断される(第2流路72の閉塞状態)。このとき、第2流路72を通って内外気切替機構78まで流れて来た空気が、一方の第5流路79aを通って外部へ排出されたり、外気が他方の第5流路79bと内外気切替機構78と第2流路72を通って、ラジエータ35及びオイルクーラ37に導かれたりしてもよい。
【0068】
また、内外気切替機構78は、保護機構6の内部の空気を第2流路72を通してラジエータ35又はオイルクーラ37のいずれか一方に導く片側内気循環状態に切り替え可能であってもよい。詳しくは、例えば、内外気切替機構78が保護機構6の内部の空気を第2流路72を通してオイルクーラ37に導く内気循環状態に切り替わることで、第2流路72からラジエータ35への空気の流れが遮断される。また、内外気切替機構78が保護機構6の内部の空気を第2流路72を通してラジエータ35に導く内気循環状態に切り替わることで、第2流路72からオイルクーラ37への空気の流れが遮断される。
【0069】
オイルクーラ37のオイルクーラファン37fの排気側には、第3流路73bが設けられている。第3流路73bは、オイルクーラ37から機体2の外部へ空気を排気する流路である。第3流路73bには、排気オンオフ切替機構76bが設けられている。排気オンオフ切替機構76bは、例えば1つ以上のダンパと当該ダンパを移動させる機構等から構成され、排気状態と非排気状態とに切り替え可能である。
【0070】
排気オンオフ切替機構76bが排気状態に切り替わることで、オイルクーラ37から第1流路71への空気の流れが遮断され、オイルクーラ37から第3流路73bに空気が導かれて(第3流路73bの開通状態)、オイルクーラファン37fにより送風された空気が機体2の外部へ排出される。また、排気オンオフ切替機構76bが非排気状態に切り替わることで、オイルクーラ37から第3流路73bへの空気の流れが遮断され(第3流路73bの閉塞状態)、オイルクーラ37から第1流路71に空気が導かれて、オイルクーラファン37fにより送風された空気が第1流路71に流入する。
【0071】
ラジエータ35のラジエータファン35fの排気側には、第3流路73cが設けられている。第3流路73cは、ラジエータ35から機体2の外部へ空気を排気する流路である。第3流路73cには、排気オンオフ切替機構76cが設けられている。排気オンオフ切替機構76cは、例えば1つ以上のダンパと当該ダンパを移動させる機構等から構成され、排気状態と非排気状態とに切り替え可能である。
【0072】
排気オンオフ切替機構76cが排気状態に切り替わることで、ラジエータ35から第1流路71への空気の流れが遮断され、ラジエータ35から第3流路73cに空気が導かれて(第3流路73cの開通状態)、ラジエータファン35fにより送風された空気が機体2の外部へ排出される。また、排気オンオフ切替機構76cが非排気状態に切り替わることで、ラジエータ35から第3流路73cへの空気の流れが遮断され(第3流路73cの閉塞状態)、ラジエータ35から第1流路71に空気が導かれて、ラジエータファン35fにより送風された空気が第1流路71に流入する。
【0073】
上述した各流路71~74は、例えばダクトにより構成される。他の例として、機体2の内部を複数の壁体で仕切ることで形成された空間により、流路71~74を構成してもよい。また、各切替機構76a、76b、76c、77、78は、それぞれ少なくとも1つ以上のダンパと当該ダンパの移動機構等で構成したが、その他の弁体と当該弁体を作動させる機構等により各切替機構76a、76b、76c、77、78を構成してもよい。
【0074】
保護機構6の内部の暖房を行う際は、電動暖房装置42が駆動されて、電熱線42aが発熱し、ファン42fが回転駆動する。また、例えば、排気オンオフ切替機構76a、76b、76cが非排気状態に切り替えられ、冷暖房切替機構77が暖房状態に切り替えられる。内外気切替機構78は、内気循環状態に切り替えられてもよいし、又は外気導入状態に切り替えられてもよい。さらに、ファン75a、75b、75c、35f、37fが回転駆動する。なお、ラジエータファン35fとオイルクーラファン37fは、作業機1の起動時に常時回転駆動するようにしてもよい。
【0075】
上記により、ラジエータ35の熱交換部35bで冷却水により暖められた周囲の空気が、ラジエータファン35fにより第1流路71に送風される。また、オイルクーラ37の熱交換部37bで作動油により暖められた周囲の空気が、オイルクーラファン37fにより第1流路71に送風される。そして、第1流路71に流れ込んだ暖かい空気が、ファン75aによっても送風されて、排気オンオフ切替機構76aを通って電動暖房装置42に流れて行く。電動暖房装置42でさらに空気は暖められ、当該空気はさらにファン42f、75bによって送風され、冷暖房切替機構77を通って保護機構6の内部に流れ込む。このため、保護機構6の内部が暖められる。
【0076】
また、保護機構6の内部にある暖かい空気は、ファン75cによって第2流路72に取り込まれて、第2流路72を流れて行く。そして、内外気切替機構78が内気循環状態に切り替えられている場合には、第2流路72を流れて来た空気は、内外気切替機構78を通って、ラジエータ35のラジエータファン35fとオイルクーラ37のオイルクーラファン37fの吸気側に流れて行く。そして、これらのファン35f、37fの吸気側にある空気、即ち熱交換部35b、37bの周囲の空気は、再びラジエータファン35fとオイルクーラファン37fにより第1流路71に送風される。つまり、熱交換部35a、37bと電動暖房装置42で暖められた空気が、熱交換部35a、37bと電動暖房装置42と保護機構6の内部を繰り返し循環して、保護機構6の内部の暖房が行われる(内気循環暖房状態)。
【0077】
また、内外気切替機構78が外気導入状態に切り替えられている場合には、第2流路72を流れて来た空気は、内外気切替機構78と第5流路79aを通って外部へ排気され、代わりに外気が第5流路79aと内外気切替機構78と第2流路72を通ってラジエータ35のラジエータファン35fとオイルクーラ37のオイルクーラファン37fの吸気側に導入される。そして、これらのファン35f、37fの吸気側にある空気、即ち熱交換部35b、37bにより暖められた周囲の空気と上記外気とが、ラジエータファン35fとオイルクーラファン37fにより第1流路71に送風される。つまり、熱交換部35a、37bと電動暖房装置42で暖められた空気が、熱交換部35a、37bと電動暖房装置42と保護機構6の内部を繰り返し循環せず、外気を導入して保護機構6の内部の暖房が行われる(外気導入暖房状態)。
【0078】
他の例として、保護機構6の内部の暖房時に、内外気切替機構78を前述した片側内気循環状態に切り替えて、ラジエータ35とオイルクーラ37の熱交換部35a、37bのうち一方の熱交換部と電動暖房装置42で暖められた空気を、当該一方の熱交換部と電動暖房装置42と保護機構6の内部に繰り返し循環させてもよい。
保護機構6の内部の暖房を行わないときは、少なくとも排気オンオフ切替機構76a、76b、76cが排気状態に切り替えられ、ファン75aが回転駆動する。これにより、熱交換部35b、37bの周囲にある空気が、ファン35f、37fによって第3流路73c、73bに送風されて、排気オンオフ切替機構76c、76bを通って、機体2の外部へ排出される。また、熱交換部35b、37bの周囲にある空気が、ファン35f、37fによって第1流路71にも送風されて、排気オンオフ切替機構76aと第3流路73aを通って、機体2の外部へ排出される。
【0079】
保護機構6の内部の冷房を行う際は、電動冷房装置46が駆動して、電動暖房装置42が停止する。また、少なくとも冷暖房切替機構77が冷房状態に切り替えられ、ファン75bが回転駆動する。これにより、電動冷房装置46から送風された冷気が、第4流路74と冷暖房切替機構77を通って、ファン75bにより保護機構6の内部に送風される。このため、保護機構6の内部が冷やされる。
【0080】
保護機構6の内部の暖房や冷房は、例えば、作業者が操作装置5の操作スイッチ5b(
図1)で所定の操作を行うことで、オン(実行)・オフ(停止)してもよい。この場合、制御装置7(
図1、主にCPU7a)が操作スイッチ5bの所定の操作を検出して、電動暖房装置42や電動冷房装置46やファン35f、37f、42f、75a、75b、75cを駆動又は停止すればよい。
【0081】
切替機構76a、76b、76c、77、78の状態は、手動又は自動で切り替えてもよい。手動の場合は、例えば、作業者が切替機構76a、76b、76c、77、78に対応する操作ノブ(図示省略)を操作することで、切替機構76a、76b、76c、77、78の状態が切り替わる。他の例として、作業者が操作スイッチ5bで所定の操作を行うことで、制御装置7が当該操作を検出して、電動式又は油圧式等のアクチュエータ(図示省略)を作動させることにより、当該アクチュエータの駆動力で切替機構76a、76b、76c、77、78の状態を切り替えてもよい。
【0082】
また、他の例として、制御装置7が、室温検出装置48(
図1)により検出した保護機構6の内部の室温、油温検出装置47により検出した作動油の油温、水温検出装置49により検出した冷却水の水温、又は容量検出装置34により検出した低圧バッテリ33の残容量等に基づいて、電動暖房装置42、電動冷房装置46、ファン35f、37f、42f、75a、75b、75c、又は切替機構76a、76b、76c、77、78の動作を制御してもよい。
【0083】
また、前述したように、電動暖房装置42、電動冷房装置46、ファン35f、37f、42f、75a、75b、75c、又は切替機構76a、76b、76c、77、78は、低圧バッテリ33の電力で駆動するが、これらはバッテリユニット30(
図1)の電力で駆動するようにしてもよい。また、電動暖房装置42の構成は上述した構成に限らず、電力により駆動されて保護機構6の内部の暖房を行えるものであればよい。
【0084】
また、第1流路71や第2流路72に設けるファンの数は、
図3に示した数に限定されるものではなく、例えば各流路71、72の長さや断面積や引き回し状態等に応じて適宜設定すればよい。また、第2流路72のファン75cは省略してもよい。また、第3流路73a、73b、73cや第4流路74や第5流路79a、79bにも、ファンを適宜数設けてもよい。
【0085】
次に、作業機1の機体2内の配置を説明する。
図4は、作業機1の機体2内の配置例を示した図である。
図4では、機体2の内部を上方から見た状態を示している。機体2内において、コントロールバルブVは、旋回ベアリング3の前側(A1方向側)に配置されている。作動油タンクTは、旋回ベアリング3の右側で且つスイングシリンダC1の上方に配置されている。旋回ベアリング3の後方A2には、仕切り板80が機体2の幅方向と平行に設けられている。仕切り板80は、機体2の内部空間を前後に仕切っている。
【0086】
仕切り板80の後ろ側(A2方向側)には、後部ルームRが設けられている。後部ルームR内には、バッテリユニット30、インバータ38、ジャンクションボックス39、DC/DCコンバータ40、油圧ポンプP1、P2、電動モータ9、ラジエータ35、オイルクーラ37等が設けられている。
バッテリユニット30のバッテリパック31、32は、機体2の幅方向に並べて配置されている。インバータ38、ジャンクションボックス39、及びDC/DCコンバータ40は、バッテリパック31、32の上方に配置されている。
【0087】
油圧ポンプP1、P2、電動モータ9、ラジエータ35、及びオイルクーラ37は、バッテリユニット30の右側に配置されている。電動モータ9は、油圧ポンプP1、P2の後ろ側に配置されている。ラジエータ35は、電動モータ9の上方に配置されている。ラジエータ35の熱交換部35bは、ラジエータファン35fよりバッテリユニット30側に配置されている。オイルクーラ37は、油圧ポンプP1、P2の上方に配置されている。オイルクーラ37の熱交換部37bは、オイルクーラファン37fよりバッテリユニット30側に配置されている。
【0088】
仕切り板80には、複数の貫通孔81、82、83が形成されている。左側の貫通孔81の前側には、電動暖房装置42が配置されている。右側の貫通孔83には、油路50を構成するホース(図示省略)等が挿入される。機体2の上方には、保護機構6(運転室4R)が搭載されている。
図3に示した第1流路71と第2流路72と第3流路73a、73b、73cは、例えば
図4に太線の矢印で示すように配設される。
【0089】
詳しくは、
図4において、第1流路71は、ラジエータファン35fの排気側(
図4で右側)とオイルクーラファン37fの排気側からそれぞれ右方へ進行した後、曲がって互いに合流する。次に、第1流路71は上昇して、バッテリユニット30、DC/DCコンバータ40、ジャンクションボックス39、及びインバータ38の上方を進行した後、バッテリユニット30の左側で下降してから、前方A1に曲がる。次に、第1流路71は、前方A1に進行して、仕切り板80の貫通孔81を貫通し、電動暖房装置42に到達する。そして、第1流路71は、電動暖房装置42から上昇して、機体2の内部を抜け出し、保護機構6の内部に到達する。
【0090】
上記のように第1流路71を配設することで、熱交換部35b、37bで暖められた空気と当該空気の熱だけでなく、油圧ポンプP1、P2、電動モータ9、バッテリユニット30、DC/DCコンバータ40、ジャンクションボックス39、又はインバータ38により直接暖められた周囲の空気と当該空気の熱も、電動暖房装置42を経由して保護機構6の内部に移動し、保護機構6の内部の暖房が行われる。
【0091】
第2流路72は、保護機構6の内部から下降して、機体2の内部に入り込み、後方A2へ曲がって、仕切り板80の貫通孔82を貫通する。そして、第2流路72は、後方A2へ進行して、オイルクーラ37やラジエータ35の上方(又は下方)で2本に分岐し、そのうち1本はラジエータファン35fの吸気側(
図4で左側)に到達し、もう1本はオイルクーラファン37fの吸気側に到達する。
【0092】
このように第2流路72を配設することで、保護機構6の内部の空気及び熱が各ファン35f、37fの吸気側に戻るので、暖かい空気が第1流路71と第2流路72を通って、熱交換部35b、37bと電動暖房装置42と保護機構6の内部とを循環する。また、保護機構6の内部の暖かい空気が熱交換部35b、37bに送風されるので、熱交換部35b、37bで冷却水と作動油が暖められる。このため、例えば低温環境下では、電気機器30、40、39、38、9や油圧機器P1、P2、V(V1~V8)、C1~C5、ML、MR、MT、58、PV1~PV6が冷却水や作動油により暖機されて、作業装置20や走行装置10の正常作動が可能になる時間が短縮される。
【0093】
第3流路73aは、バッテリユニット30の左側から左方へ進行して、機体2の左側面に形成された通気口2aに到達している。第3流路73bは、オイルクーラファン37fの排気側から右方へ進行して、機体2の右側面に形成された通気口2bに到達している。第3流路73cは、ラジエータファン35fの排気側から右方へ進行した後、前方A1に曲がり、さらに右方へ曲がって、通気口2bに到達している。このように第3流路73a、73b、73cを配設することで、保護機構6の内部の暖房を行わないときに、後部ルームR内の空気及び熱が機体2の通気口2a、2bから外部へ排出される。
【0094】
本実施形態の作業機1は、以下の効果を奏する。
本実施形態の作業機1は、機体2と、機体2に設けられた運転席4を保護する保護機構6と、保護機構6の内部の暖房を行う暖房装置42と、冷却対象物と周囲の空気との間で熱交換を行う熱交換部35b、37bを有し且つ冷却対象物を冷却する冷却装置35、37と、熱交換部35b、37bにより暖められた空気を暖房装置42に案内し、当該暖房装置42でさらに暖められた空気を保護機構6の内部に案内する第1流路71と、を備えている。
【0095】
上記構成によれば、作業機1において、冷却装置35、37の熱交換部35b、37bで暖められた空気を保護機構6の内部の暖房に利用するので、エネルギ効率を向上させることができる。また、熱交換部35b、37bで暖められた空気を暖房装置でさらに暖めてから保護機構6の内部に案内するので、保護機構6の内部を十分に暖めることができる。
【0096】
また、暖房装置42は、機体2に設けられた蓄電池30、33の電力により駆動して、第1流路71を流れる空気を暖める。このような電動暖房装置42を用いても、電動暖房装置42だけで保護機構6の内部の暖房を行うのではなく、冷却装置35、37の熱交換部35b、37bで暖められた空気も利用して保護機構6の内部の暖房を行う。このため、保護機構6の内部をエネルギ効率良く且つ十分に暖めることができると共に、蓄電池30、33の消費電力を低減することができ、作業機1の各部の稼働時間を長く確保することが可能となる。
【0097】
また、作業機1は、熱交換部35b、37により暖められた空気を、第1流路71を通して保護機構6の内部に送風する送風装置35f、37f、75a、42f、75bを備えている。この構成によれば、熱交換部35b、37により暖められた空気を、第1流路71を通して暖房装置42に送り込み、暖房装置42さらに暖められた空気を保護機構6の内部に送り込むことができる。
【0098】
また、送風装置は、冷却装置35、37に冷却風を送風し且つ冷却装置35、37により暖められた周囲の空気を第1流路71に送風する兼用ファン35f、37fを含んでいる。この構成によれば、冷却対象物の冷却と保護機構6の内部の暖房とを同時に行うことができる。
また、作業機1は、保護機構6の内部の空気を冷却装置に案内する第2流路72を備えている。この構成によれば、暖かい空気を第1流路71と第2流路72を通して、冷却装置35、37の熱交換部35b、37bと暖房装置42と保護機構6の内部に循環させて、保護機構6の内部の暖房をよりエネルギ効率良く行うことができる。また、保護機構6の内部にある暖かい空気が、第2流路72を通ってファン35f、37fの吸気側に導かれるため、例えば低温環境下において、当該暖かい空気で冷却対象物を暖めて、冷却対象物の機能や性能を維持することもできる。
【0099】
また、作業機1は、保護機構6の内部の空気を第2流路72へ通して冷却装置35、37に導く内気循環状態と、第2流路72から冷却装置35、37への前記空気の流れを遮断して、外気を冷却装置35、37に導く外気導入状態とに切り替え可能な内外気切替機構78を備えている。この構成によれば、熱交換部35b、37bと暖房装置42と保護機構6の内部とに暖かい空気を循環させて、保護機構6の内部を暖房する内気循環暖房状態と、外気を導入して保護機構6の内部を暖房する外気導入暖房状態とを、必要に応じて切り替えることができる。
【0100】
また、作業機1は、保護機構6の内部の冷房を行う冷房装置46と、冷房装置46から保護機構6の内部への空気の流れを遮断して、暖房装置42で暖められた空気を保護機構6の内部に導く暖房状態と、暖房装置42から保護機構6の内部への空気の流れを遮断して、冷房装置46から送風された冷気を保護機構6の内部に導く冷房状態とに切り替え可能な冷暖房切替機構77と、を備えている。この構成によれば、保護機構6の内部の暖房と冷房とを切り替えて行うことができる。
【0101】
また、作業機1は、冷却装置35、37又は第1流路71から外部へ空気を排出する第3流路73c、73b、73aと、冷却装置35、37又は第1流路71から第3流路73c、73b、73aに空気を導く排気状態と、冷却装置35、37又は第1流路71から第3流路73c、73b、73aへの空気の流れを遮断して、冷却装置35、37から第1流路71又は第1流路71から保護機構6の内部に空気を導く非排気状態とに切り替え可能な排気オンオフ切替機構76c、76b、76aと、を備える。この構成によれば、必要に応じて、冷却装置35、37の熱交換部35b、37により暖められた空気を、機体2の外部へ排出したり、暖房装置42や保護機構6の内部に送り込んだりすることができる。
【0102】
また、作業機1は、作動油により駆動される油圧機器(油圧ポンプP1、P2、コントロールバルブV、制御弁V1~V8、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、アンロード弁58、操作弁PV1~PV6)を備え、冷却装置35、37は、冷却対象物である作動油を冷却するオイルクーラ37を含んでいる。この構成によれば、油圧機器により暖められた作動油をオイルクーラ37で冷却することができる。また、オイルクーラ37で作動油の熱により暖められた空気を、第1流路71を通して暖房装置42及び保護機構6の内部に送って、保護機構6の内部をエネルギ効率良く且つ十分に暖めることができる。
【0103】
また、作業機1は、電気機器(電動モータ9、インバータ38、バッテリユニット30、DC-DCコンバータ40)を備え、冷却装置は、前記電気機器を冷却する冷却水を流す冷却水路60と、冷却対象物である冷却水を冷却するラジエータ35と、を含んでいる。この構成によれば、電気機器により暖められた冷却水をラジエータ35で冷却することができる。また、ラジエータ35で冷却水の熱により暖められた空気を、第1流路71を通して暖房装置42及び保護機構6の内部に送って、保護機構6の内部をエネルギ効率良く且つ十分に暖めることができる。
【0104】
図3に示した実施形態では、冷却装置であるラジエータ35とオイルクーラ37の熱交換部35b、37bの両方により暖められた空気を、第1流路71を通して暖房装置42を経由させて、保護機構6の内部に送風している。然るに、ラジエータ35とオイルクーラ37の熱交換部35b、37bのうち一方により暖められた空気を、第1流路71を通して暖房装置42を経由させて、保護機構6の内部に送風するようにしてもよい。
【0105】
さらに、冷却装置により冷却される電気機器は、蓄電池(バッテリユニット)30、電動モータ9、蓄電池30の電力で電動モータ9を駆動させるモータ駆動装置(インバータ)38、及び蓄電池30の電圧を異なる電圧に変換する電圧変換回路(DC-DCコンバータ)40のうちの少なくとも1つを含んでいる。この構成によれば、電気機器30、9、38、40により温められた冷却水の熱により、ラジエータ35の熱交換部35bの周囲の空気を暖めて、当該空気の熱を利用して、保護機構6の内部をエネルギ効率良く且つ十分に暖めることができる。
【0106】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態では、本発明をバックホー等の作業機1に適用する場合の例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限らず、例えば、ホイールローダ、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ等の他の建設機械に適用してもよく、トラクター、コンバイン、田植機、芝刈機等の農業機械に適用してもよい。また、本発明は、電動作業機に限らず、電動モータ以外のエンジンなどの駆動源を搭載した作業機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 作業機
2 機体
4 運転席
6 保護機構
9 電動モータ(電気機器)
30 バッテリユニット(電気機器、蓄電池)
33 低圧バッテリ(蓄電池)
35 ラジエータ(冷却装置)
35b 熱交換部
35f ラジエータファン(送風装置、兼用ファン)
37 オイルクーラ(冷却装置)
37b 熱交換部
37f オイルクーラファン(送風装置、兼用ファン)
38 インバータ(モータ駆動装置、電気機器)
40 DC-DCコンバータ(電圧変換装置、電気機器)
42 電動暖房装置(暖房装置)
42f ファン(送風装置)
46 電動冷房装置(冷房装置)
58 アンロード弁(油圧機器)
60 冷却水路(冷却装置)
71 第1流路
72 第2流路
73a、73b、73c 第3油路
75a、75b ファン(送風装置)
76a、76b、76c 排気オンオフ切替機構
77 冷暖房切替機構
78 内外気切替機構
C1~C5、ML、MR、MT 油圧アクチュエータ(油圧機器)
P1、P2 油圧ポンプ(油圧機器)
PV1~PV6 操作弁(油圧機器)
V コントロールバルブ(油圧機器)
V1~V8 制御弁(油圧機器)