(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】眼の治療中の眼球追跡用システム
(51)【国際特許分類】
A61F 9/01 20060101AFI20231107BHJP
A61F 9/013 20060101ALI20231107BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
A61F9/01
A61F9/013
A61F9/007 180
(21)【出願番号】P 2020546332
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 US2019020839
(87)【国際公開番号】W WO2019173403
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-02
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510017365
【氏名又は名称】アヴェドロ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AVEDRO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アドラー,デスモンド・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】アッシャー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スミルノフ,ミハイル・ゼット
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-521988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0184717(US,A1)
【文献】国際公開第2017/184717(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/01
A61F 9/013
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の角膜にクロスリンキング治療を施すためのシステムであって、
光活性化光を放射するように構成された光源、
前記光源から前記光活性化光を受け取り、且つ前記光活性化光を用いて
第1のピクセル化照射を提供するように構成された空間光変調器であって、前記
第1のピクセル化照射の最大領域を規定する前記空間光変調器、及び
前記空間光変調器に
前記第1のピクセル化照射を前記角膜上に投射させて、治療領域に施与された架橋剤を光活性化することにより前記治療領域に架橋活性を生成するように構成されたコントローラであって、前記第1のピクセル化照射は、前記空間光変調器によって規定された前記最大領域よりもより小さな領域を有している前記コントローラ、
を含み、
前記コントローラは、さらに
視線角度、及び/又は、頭部の位置の変化によって引き起こされる幾何学的歪みを決定するように構成され、前記
幾何学的歪みに応答して、前記コントローラは、前記空間光変調器を制御して、
前記第1のピクセル化照射を幾何学的に変形させて第2のピクセル化照射を生成させ、前記治療領域に施与された架橋剤の光活性化を継続させるために、
前記第2のピクセル
化照射を前記治療領域に投射
させる、
上記システム。
【請求項2】
前記空間光変調器は、前記
第1及び第2のピクセル化照射の最大領域を規定する境界を含み、前記第1のピクセル化照射は、前記境界内の第1の位置に中心を置かれ、且つ前記第2のピクセル化照射は、前記境界内の第2の位置に中心を置かれ、前記第2の位置は、前記第1の位置とは異なっている。請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記空間光変調器を制御して、所望の形状及びサイズに従って前記第1のピクセル化照射を前記角膜の平面上に投射し、角膜の動きは、前記角膜の前記平面の動きを含み、前記コントローラは、前記空間光変調器を、前記第2のピクセル化照射を前記角膜の前記平面上に投射し、所望の形状及びサイズを生成するように制御する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のピクセル化照射によって投射されていない少なくとも1つの部分を含
む所望の治療領域をさらに含み、前記第2のピクセル化照射は、前記第1のピクセル化照射によって投射されていない前記所望の治療領域の少なくとも1つの部分を投射する1つ以上のピクセルを含み、前記空間光変調器は、異なる時間的パラメータに従って前記第1のピクセル化照射及び前記第2のピクセル化照射を前記角膜へ投射する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のピクセル化照射は、前記所望の治療領域内に投射されうる全ての完全なピクセルを含み、前記第2のピクセル化照射される1つ以上のピクセルは、前記第1のピクセル化照射されるピクセルと組み合わされて前記所望の治療領域全体を投射するところの、残りのピクセルを含んでいる、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のピクセル化照射は、前記所望の治療領域の実質的に内側に投射され、前記第2のピクセル化照射される1つ以上のピクセルは、前記所望の治療領域の内側及び外側に投射される、請求項
4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のピクセル化照射は、所定の期間中、前記角膜上に投射され、前記第2のピクセル化照射は、前記期間中、速い速度で前記角膜上にディザリングされる、請求項
4に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のピクセル化照射は、前記空間光変調器に対する更新サイクルの全てで前記角膜上に投射され、前記第2のピクセル化照射は、更新サイクルの交互で前記角膜上に投射される、請求項
4に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のピクセル化照射及び前記第2のピクセル化照射は、2つの軸によって規定される平面上に投射され、前記第1のピクセル化照射及び前記第2のピクセル化照射は、同一の形状及びサイズを有し、且つ前記第1のピクセル化照射及び前記第2のピクセル化照射は、前記2つの軸の少なくとも1つに沿って空間的にオフセットされている、請求項
4に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国仮出願第62/638,621号(2018年3月5日に出願)の優先権を主張するものであり、参照によってその内容は全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、眼の治療のためのシステム及び方法に関し、より具体的には、眼の所望の領域に治療を施すために眼の動きを追跡するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
クロスリンキング治療(架橋治療ともいう)は、疾患(例えば円錐角膜)に罹っている眼を治療するために使用されうる。特に、円錐角膜は、角膜内の構造変化によって角膜が弱くなり、異常な円錐形に変形する眼球の変性疾患である。クロスリンキング治療は、円錐角膜によって弱められた領域を強化し且つ安定化させ、望ましくない形状変化を防ぐことができる。
【0004】
クロスリンキング治療はまた、レーシック(LASIK:Laser-Assisted in site Keratomileusis(レーザ支援その場円錐角膜矯正))手術などの外科的手術の後に用いられてもよい。例えば、レーシック後拡張症として知られる合併症は、レーシック手術によって引き起こされる角膜の薄化と弱化が原因で発生する可能性がある。レーシック後拡張症では、角膜に進行性の急勾配(ふくらみ)が生じる。したがって、クロスリンキング治療は、レーシック手術後の角膜の構造を強化且つ安定化し、レーシック後拡張症を防ぐことができる。
【0005】
クロスリンキング治療はまた、近視、遠視、近視、遠視、乱視、不規則乱視、老眼などの障害を矯正するために角膜の屈折変化を誘発するために使用されうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
円錐角膜を治療するために、又は屈折矯正を行うために、例えば、効果的なクロスリンキング手術は、クロスリンキング剤(架橋剤)を用いて治療されるべき角膜の特定の領域に、可能な限り正確に光活性化用の光(以下、「光活性化光」と呼ぶ)を照射する。特定の領域の外側に光活性化光を照射することは、角膜に望ましくない構造変化を生じさせ、治療結果に悪影響を与える可能性がある。しかし、光活性化光を正確に照射することは、手術中に起こりうる眼の動きのために成功するのが難しい場合がある。そのような眼の動きは、例えば、平面(角膜深度を横断する)に沿った角膜並進移動、視線角度の変化、及び/又は、隔壁の動きを含みうる。クロスリンキング手術では、角膜を光活性化光に少なくとも1分間(例えば、1~20分間)曝す必要があるため、手術中に眼の動きが発生する可能性が非常に高くなる。眼の動きの発生に対処するために、システム及び方法は、角膜の位置のいかなる変化をも決定するために能動的眼球追跡システムを用いることができ、且つそれに応じて照射システムが、角膜の特定の領域に光活性化光を正確に照射するように調整されうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1の例示的な実施形態によれば、眼の角膜にクロスリンキング治療を施すためのシステムは、光活性化光を放射するように構成された光源を含んでいる。本システムは、上記光源から上記光活性化光を受け取り、且つ上記光活性化光を用いて第1のピクセル化照射を提供するように構成された空間光変調器を含んでいる。上記空間光変調器は、上記第1のピクセル化照射の最大領域を規定する。本システムは、上記空間光変調器に上記第1のピクセル化照射を角膜に投射させ、治療領域に施与された架橋剤を光活性化することにより上記治療領域内に架橋活性を生成するように構成されたコントローラを含んでいる。上記第1のピクセル化照射は、上記空間光変調器によって規定される最大領域よりも小さな領域を有する。上記コントローラはさらに、視線角度、及び/又は、頭部の位置の変化によって引き起こされる幾何学的歪みを決定するように構成されている。上記幾何学的歪みに応答して、上記コントローラは、上記空間光変調器を制御して、前記第1のピクセル化照射を幾何学的に変形させて第2のピクセル化照射を生成させ、上記治療領域に施与された架橋剤の光活性化を継続させるために、上記治療領域に上記第2のピクセル化照射を投射する。
【0008】
上記の例示的な実施形態において、より小さなピクセル化照射を使用することにより、空間光変調器に対してより広い範囲の位置調整を提供することができる。しかし、より小さなピクセル化照射パターンは、より少ないピクセルで構成される。ピクセル化照射のサイズ(寸法)を小さくすることは、眼に投射されうる最小分解可能な空間的特徴を劣化させる可能性があり、「ピクセル化」欠陥を生成しうる。そのような影響に対処するために、眼の角膜にクロスリンキング治療を施すためのシステムは、第1のピクセル化照射によって投射されていない少なくとも1つの部分を含む所望の治療領域をさらに含む。第2のピクセル化照射は、第1のピクセル化照射によって照射されていない所望の治療領域の少なくとも1つの部分を投射する1つ以上のピクセルを含む。空間光変調器は、異なる時間的パラメータに従って第1のピクセル化照射及び第2のピクセル化照射を角膜に投射する。例えば、第1のピクセル化照射は、所望の治療領域内に投射されうるすべての完全なピクセルが含まれ、そして第2のピクセル化照射される1つ以上のピクセルは、第1のピクセル化照射されるピクセルと組み合わされて所望の治療領域全体を照射するところの残りのピクセルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の態様による、角膜コラーゲンの架橋を生成するために架橋剤と光活性化光とを眼の角膜に施与する1の例示的システムを示す図である。
【
図2A】本開示の態様による、能動的眼球追跡システムを備えた1の例示的治療システムを示す図である。
【
図2B】
図2Aの例示的治療システムの1の照射パターンを示す図である。
【
図3A】本開示の態様による、代替の能動的眼球追跡システムを備えた1の例示的治療システムを示す図である。
【
図3B】
図3Aの例示的治療システムの1の照射パターンを示す図である。
【
図4A】
図3Aの例示的治療システムの1の例示的な照射パターンを示す図である。
【
図4B】対象眼球の回転変化に応答しての、
図4Aの照射パターンの変形に基づく、別の例示的な照射パターンを示す図である。
【
図5A】
図3Aの例示的治療システムのための例示的な照射パターンを示す図である。
【
図5B】対象による眼の視線角度、及び/又は、頭部の動きの変化によって生成された幾何学的歪みに応答しての、
図5Aの照射パターンの変形に基づく、別の例示的な照射パターンを示す図である。
【
図6A】
図3Aの例示的治療システムのための所望の照射パターンに対応する1の例示的なピクセル活性化を示す図である。
【
図6B】
図6Aによって示されたピクセル活性化から生じるピクセル化欠陥を解決するための1の例示的なアプローチを示す図である。
【
図6C】
図6Aによって示されたピクセル活性化から生じるピクセル化欠陥を解決するための別の例示的なアプローチを示す図である。
【
図7A】本開示の態様による、サイズが25μm×25μmであるピクセルによって規定された実質的に円形のUV照射パターン(直径=4mm)を示す図である。
【
図7B】本開示の態様による、サイズが100μm×100μmであるピクセルによって規定された実質的に円形のUV照射パターン(直径=4mm)を示す図である。
【
図7C】本開示の態様による、サイズが200μm×200μmであるピクセルによって規定された実質的に円形のUV照射パターン(直径=4mm)を示す図である。
【
図7D】本開示の態様による、サイズが400μm×400μmであるピクセルによって規定された実質的に円形のUV照射パターン(直径=4mm)を示す図である。
【
図7E】本開示の態様による、サイズが750μm×750μmであるピクセルによって規定された実質的に円形のUV照射パターン(直径=4mm)を示す図である。
【
図7F】本開示の態様による、サイズが1000μm×1000μmであるピクセルによって規定された実質的に円形のUV照射パターン(直径=4mm)を示す図である。
【
図8A】
図7Aにおいて規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化(治療前から治療後の)を示す図である。
【
図8B】
図7Bにおいて規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図8C】
図7Cにおいて規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図8D】
図7Dにおいて規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図8E】
図7Eにおいて規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図8F】
図8Fにおいて規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図9A】本開示の態様による、実質的に円形のUV照射パターンを施与するために、より大きなピクセル(750μm×750μm)とより小さなピクセル(10μm×10μm)とをそれぞれ用いた2つのクロスリンキング治療の結果の角膜前面の高さ(μm)のモデル化された差異を示す図である。
【
図9B】
図9Aの2つのクロスリンキング処理の結果の角膜前面の接曲率(D)のモデル化された差異を示す図である。
【
図10A】本開示の態様による、サイズが25μm×25μmのピクセルによって規定される実質的に環状のUV照射パターン(内径=4mm、外径=8.5mm)を示す図である。
【
図10B】本開示の態様による、サイズが100μm×100μmのピクセルによって規定される実質的に環状のUV照射パターン(内径=4mm、外径=8.5mm)を示す図である。
【
図10C】本開示の態様による、サイズが200μm×200μmのピクセルによって規定される実質的に環状のUV照射パターン(内径=4mm、外径=8.5mm)を示す図である。
【
図10D】本開示の態様による、サイズが400μm×400μmのピクセルによって規定される実質的に環状のUV照射パターン(内径=4mm、外径=8.5mm)を示す図である。
【
図10E】本開示の態様による、サイズが750μm×750μmのピクセルによって規定される実質的に環状のUV照射パターン(内径=4mm、外径=8.5mm)を示す図である。
【
図10F】本開示の態様による、サイズが1000μm×1000μmのピクセルによって規定される実質的に環状のUV照射パターン(内径=4mm、外径=8.5mm)を示す図である。
【
図11A】
図10Aに規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図11B】
図10Bに規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図11C】
図10Cに規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図11D】
図10Dに規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図11E】
図10Eに規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図11F】
図10Fに規定されたUV照射パターンを用いたクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化を示す図である。
【
図12A】本開示の態様による、実質的に環状のUV照射パターンを施与するために、より大きなピクセル(750μm×750μm)とより小さなピクセル(10μm×10μm)とをそれぞれ用いた2つのクロスリンキング治療の結果の角膜前面の高さ(μm)のモデル化された差異を示す図である。
【
図12B】
図12Aの2つのクロスリンキング治療の結果の角膜前面の接曲率(D)のモデル化された差異を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、その特定の実施形態が、例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかし、開示された特定の形態に本開示を限定することを意図するものではなく、逆に、本開示の趣旨に含まれるすべての修正、均等物、及び代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0011】
図1は、眼1の角膜2においてコラーゲンの架橋(cross-linking:クロスリンキング)を生成するための1の例示的治療システム100を示す。本治療システム100は、架橋剤130を角膜2に施与するためのアプリケータ132を含んでいる。例示的実施態様において、アプリケータ132は、光増感剤130を液滴として角膜2に施与する点眼器、シリンジなどでありうる。架橋剤を施与するための例示的システム及び方法は、「Systems and Methods for Delivering Drugs to an Eye(薬剤を眼に施与するためのシステム及び方法)」と題された米国特許出願公開第2017/0296383号(2017年4月13日出願)に記載されている。その内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0012】
架橋剤130は、架橋剤130を角膜上皮2aを通して角膜基質2b内の下部領域へと通過させることを可能にする製剤で提供されうる。代わりに、角膜上皮2aは、架橋剤130が下部組織に、より直接的に施与されうるように、除去されるか、さもなければ切開されてもよい。
【0013】
治療システム100は、光源110及び光を角膜2に向けるための光学素子112を有する照射システムを含んでいる。この光は、架橋剤130の光活性化を引き起こして、角膜2において架橋活性を生み出す。例えば、架橋剤はリボフラビンを含むことができ、光活性化用の光(以下、光活性化光と呼ぶ)は紫外A(UVA)(例えば、約365nm)光を含むことができる。代わりに、光活性化光は、別の波長、例えば可視波長(例えば、約452nm)を含んでもよい。以下でさらに説明するように、角膜架橋は、光化学動的反応の機構に従って、角膜組織内に化学結合を生成することによって角膜強度を改善する。例えば、リボフラビン及び光活性化光は、疾患(例えば、円錐角膜又はレーシック後拡張症)に対処するために、角膜組織を安定化、及び/又は、強化するように施与されてもよい。
【0014】
治療システム100は、本システム100(光源110、及び/又は、光学素子112を含んでいる)の態様を制御する1つ以上のコントローラ120を含んでいる。1実施形態において、角膜2は、架橋剤130で(例えば、点眼器、シリンジなどを用いて)より幅広く治療され得、且つ光源110からの光活性化光は、治療される角膜2の領域に特定のパターンに従って選択的に向けられうる。
【0015】
光学素子112は、光源110によって放射された光活性化光を、角膜2上の特定のパターンに向け且つ集束するための、1つ以上の鏡又はレンズを含みうる。光学素子112は更に、光源110によって放射された光の波長を部分的に遮断するために、且つ架橋剤130を光活性化するために角膜2に向けられた光の特定の波長を選択するために、フィルタを含みうる。更に、光学素子112は、光源110によって放射された光のビームを分割するための1つ以上のビームスプリッタを含んでもよく、且つ光源110によって放射された光を吸収するための1つ以上のヒートシンクを含んでもよい。光学素子112はまた、光活性化光を角膜2内の特定の焦点面に(例えば、架橋活性が望まれる下部領域2b内の特定の深さで)正確かつ精密に集束させうる。
【0016】
更に、角膜2の選択された領域において所望の程度の架橋を達成するために、光活性化光の固有の特性が変更されうる。1つ以上のコントローラ120は、波長、帯域幅、強度、出力、位置、浸透の深さ、及び/又は、治療期間(露光サイクルの期間、暗サイクルの期間、及び露出サイクルと暗サイクルの継続時間の比率)の任意の組み合わせに従って、光活性化光を正確に施与するように、光源110、及び/又は、光学素子112の動作を制御することができる。
【0017】
架橋剤130の光活性化に関するパラメータは、例えば、所望の架橋を達成するために必要とされる時間を短縮するように調整されうる。1実装例において、時間は分から秒に減らすことができる。いくつかの構成は、5mW/cm2の放射照度で光活性化光を照射できるが、必要な架橋を達成するのに必要な時間を短縮するために、光活性化光は、より大きな照度(例えば、5mW/cm2の倍数)で照射されうる。角膜2に吸収されるエネルギーの総線量は、角膜上皮2aの領域を通して吸収されるエネルギー量である実効線量として記載されうる。例えば、角膜表面2aの領域に対する実効線量は、例えば、5J/cm2、又は20J/cm2又は30J/cm2の高さでありうる。記載された実効線量は、エネルギーの1回の適用から、又はエネルギーの繰り返しの適用から与えられうる。
【0018】
本治療システム100の光学素子112は、光活性化光の照射を空間的及び時間的に変調するために、微小電気機械システム(MEMS: microelectromechanical system)装置、例えばデジタル微小ミラーデバイス(DMD: digital micro-mirror device)を含みうる。DMD技術を用いて、光源110からの光活性化光は、半導体チップ上のアレイ状に配置された極めて微小なミラー(鏡)によって作成される精確な空間パターンで投射される。各鏡は、投射された光のパターンの1つ以上のピクセルを表す。DMDを用いると、トポグラフィー(topograph)に導かれた架橋を実行できる。トポグラフィーによるDMDの制御は、いくつかの異なる空間的及び時間的な照度及び線量プロファイルを用いうる。これらの空間的及び時間的な線量プロファイルは、連続波照射を用いて作成できるが、周波数及びデューティサイクルを変化させる形の下で、照射源をパルス化することによるパルス化照射を介して調整されうる。代わりに、DMDは、連続波照射を用いて究極の柔軟性を提供するように、ピクセル毎にピクセルの周波数とデューティサイクルが異なるように調整しうる。あるいは、パルス化照射と、調整されたDMD周波数及びデューティサイクルの組み合わせとの両方が組み合わされてもよい。この空間的に決定される架橋は、治療前の計画、及び/又は、治療中の角膜架橋の実時間の監視及び調整のために、線量測定法、干渉法、光干渉断層法(OCT)、角膜トポグラフィーなどと組み合わされうる。線量測定システムの態様については、以下でさらに詳しく説明する。さらに、臨床前の患者情報を有限要素生体力学的コンピューターモデリングと組み合わせて、患者固有の治療前計画を作成することもできる。
【0019】
光活性化光の投射の態様を制御するために、実施形態はまた、多光子励起顕微鏡法の態様を採用しうる。具体的には、特定波長の単一光子を角膜2へ照射するというよりも、本治療システム100は、架橋を開始するように結合するところの、より長い波長(即ち、より低いエネルギー)の複数の光子を照射しうる。有利には、より長い波長は、より短い波長よりも角膜2内で散乱される程度が少なく、このことは、より長い波長の光が、より短い波長の光よりもより効率的に角膜2に浸透することを可能にする。角膜内のより深い所での入射照射の遮蔽効果はまた、従来の短波長照射よりも低減される。何故なら、光増感剤による光の吸収は、より長い波長ではるかに少ないからである。このことは、深さに固有の架橋に対する制御を強化可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、2つの光子が用いられうる。ここで、各光子は、さらに以下で説明される光化学的反応を生成するように、架橋剤130内の分子を励起するのに必要なエネルギーの約半分を運ぶ。架橋剤分子が同時に両方の光子を吸収する場合、それは角膜組織において反応性ラジカルを放出するのに十分なエネルギーを吸収する。実施形態はまた、架橋剤分子が反応性ラジカルを放出するためには、例えば、3、4、又は5個の光子を同時に吸収しなければならないような、より低いエネルギーの光子を利用してもよい。複数の光子がほぼ同時に吸収される可能性は低く、したがって励起光子の高フラックスが必要になり、高フラックスはフェムト秒レーザーを通じて施与されうる。
【0020】
多数の条件とパラメータとが、架橋剤130による角膜コラーゲンの架橋に影響を与える。例えば、光活性化光の照度及び線量は、架橋の量及び速度に影響を与える。
【0021】
架橋剤130が具体的にはリボフラビンである場合、UVA光は連続的(CW)に又はパルス光として照射されてもよく、この選択は、架橋の量、速度、及び程度に影響を与える。UVA光がパルス光として照射される場合、露光サイクル、暗サイクルの期間、及び露出サイクルの暗サイクル期間に対する比率は、結果として角膜硬化に影響を与える。パルス光照射は、同じ量又は線量のエネルギーを施与する連続波照射で達成できるよりも、角膜組織の硬化をより強めたり弱めたりするために用いられうる。適切な長さと周波数との光パルスは、より最適な化学増幅を達成するために用いられうる。パルス光治療について、オン/オフのデューティサイクルは、約1000/1から約1/1000の間でありうる。照度は平均照度が約1mW/cm2から約1000mW/cm2の間であり得、パルスレートは約0.01Hzから約1000Hzの間、又は約1000Hzから約100,000Hzの間でありうる。
【0022】
本治療システム100は、DMD(光源110を電子的にオン及びオフする)を採用することにより、及び/又は、機械的若しくは光電子的(例えば、ポッケルスセル)シャッター又は機械的チョッパー又は回転アパーチャを用いることにより、パルス光を生成しうる。DMDのピクセルに固有の変調機能、及び変調された周波数、デューティサイクル、照度、及び角膜に照射される線量に基づく後続の剛性付与の故に、複雑な生体力学的剛性パターンが角膜に付与され、様々な程度の屈折矯正を可能にする。これらの屈折矯正には、眼の状態(例えば、円錐角膜、透明な周辺疾患、レーシック後拡張症、及び角膜の生体力学的変化/変性などの他の状態)の故に、例えば、近視、遠視、乱視、不規則な乱視、老眼、及び複雑な角膜の屈折面矯正の組み合わせが含まれることがある。DMDのシステム及び方法の具体的な利点は、それが、ランダム化された非同期パルストポグラフィーのパターン化のために、2Hz~84Hzの間のパルス周波数に対する感光性てんかん発作又はフリッカーめまいを引き起こす可能性を除去するところの、非周期的で均一に見える照射を生成することを可能にすることである。
【0023】
例示的な実施形態は階段状のオン/オフパルス光機能を用いうるけれども、同様の効果を得るために、角膜へ光を照射する別の機能が用いられうることが理解される。例えば、正弦波関数、鋸歯状波関数、又は他の複雑な関数又は曲線、あるいは関数又は曲線の任意の組み合わせに従って、光が角膜に照射されうる。実際、関数は、オン/オフ値の間でより緩やかな遷移を有する場合に、実質的に階段状でありうることが理解されよう。さらに、照度は、オフサイクル中にゼロの値まで減少する必要はなく、オフサイクル中にゼロを超える場合があることが理解されよう。所望の効果は、2以上の値の間で照度を変化させる曲線に従って、角膜に光を当てることによって得られうる。
【0024】
光活性化光を施与するためのシステム及び方法の例は、例えば、「Systems and Methods for Applying and Monitoring Eye Therapy(眼科治療を施し及び監視するためのシステム及び方法)」と題された米国特許出願公開第2011/0237999号(2011年3月18日出願)、「Systems and Methods for Applying and Monitoring Eye Therapy(眼科治療を施し及び監視するためのシステム及び方法)」と題された米国特許出願公開第2012/0215155号(2012年4月3日出願)、及び「Systems and Methods for Corneal Cross-Linking with Pulsed Light(パルス光による角膜架橋のためのシステムと方法)」と題された米国特許出願公開第2013/0245536号(2013年3月15日出願)に記載されている。これらの出願の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0025】
酸素の添加はまた、角膜の硬化の程度に影響を与える。人の組織において、O
2含有量は大気と比較して極めて低い。しかし、角膜における架橋の速度は、光活性化光が照射されるときのO
2の濃度に関連している。したがって、所望の程度の架橋が達成されるまで、架橋速度を制御するために、照射中に能動的にO
2の濃度を増加又は減少させることが有利でありうる。酸素は、いくつかの異なる方法でクロスリンキング治療中に施与されてもよい。1つのアプローチは、リボフラビンをO
2で過飽和にすることである。このようにして、リボフラビンが眼に施与されるとき、高濃度のO
2がリボフラビンと一緒に角膜内に直接施与され、リボフラビンが光活性化光に曝されるときにO
2を含む反応に影響を与える。別のアプローチによれば、(選択された濃度での)O
2の定常状態が角膜の表面で維持され、角膜は選択された量のO
2に曝され、O
2を角膜に入らせることができる。
図1に示されたように、例えば、治療システム100はまた、酸素源140と、酸素を任意選択的に選択された濃度で角膜2に随意に供給される酸素供給デバイス142とを含む。クロスリンキング治療中に酸素を施与するための例示的なシステム及び方法は、たとえば、「Eye Therapy(眼科治療)」という標題の米国特許第8,574,277号(2010年10月21日出願)、「Systems and Methods for Corneal Cross-Linking with Pulsed Light(パルス光による角膜架橋のためのシステム及び方法)」という標題の米国特許出願公開2013/0060187(2012年10月31日出願)に記載されている。これらの出願の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。さらに、眼の治療において酸素濃度と光活性化光を施与するための例示的なマスクデバイスが、「Systems and Methods for Treating an Eye with a Mask Device(マスクデバイスで眼を治療するためのシステム及び方法)」と題する米国特許出願公開第2017/0156926号(2016年12月3日出願)に記載されている。その内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。例えば、マスクは、眼の表面上に一貫した既知の酸素濃度を与えるために、眼を覆って配置されうる。
【0026】
リボフラビンは、照射エネルギー、具体的には光、を吸収すると、光活性化を受ける。リボフラビン光活性化に関して、タイプI及びタイプIIの2つの光化学的動的経路がある。タイプIとタイプIIの両方の機構に含まれる反応と、架橋活性を生成する光化学動的反応の別の側面とは、「Systems and Methods for Cross-Linking Treatments of an Eye(眼のクロスリンキング治療のためのシステムと方法)」と題する米国特許出願公開第2016/0310319号(2016年4月27日出願)に記載されている。その内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0027】
例えば、円錐角膜を治療するため、又は屈折矯正を達成するために、効果的なクロスリンキング手術は、架橋剤で治療される角膜の特定の領域に、可能な限り正確に光活性化光を照射する。特定の領域の外側に光活性化光を照射することは、角膜に望ましくない構造変化が生じさせ、治療結果に悪影響を与える可能性がある。しかし、光活性化光の正確な照射は、処置中に起こりうる眼の動きのために、達成するのが困難な場合がありうる。このような眼の動きは、例えば、
図1に示されるように、x-y平面に沿った並進移動、視線角度の変化、及び/又は、隔壁の動きを含みうる。(
図1において、角膜2の深さはz軸に沿って測定され、光活性化光のパターンは横方向x-y平面に投射される場合がある。)クロスリンキング手術は、角膜を光活性化光に少なくとも1分間、例えば1~20分間、露光させる必要があるので、処置中に何らかの眼の動きが発生する可能性は非常に高い。
【0028】
眼の動きの発生に対処するため、実施形態は、角膜の位置の変化を決定するために能動的眼球追跡システムを用いることができ、それに応答して、照射システムが、角膜の特定の領域に光活性化光を正確に照射するように調整されうる。
図2Aは、能動的眼球追跡システムを備えた例示的な治療システム200を示す。治療システム200は、光活性化光を眼1の角膜2に向けるための照射システムを含む。照射システムは、上述のように、光源110及び光学素子112を含む。例えば、光源110は、角膜2に施与されたリボフラビンを光活性化するために、UV光を放射する1つ以上のLEDを含みうる。DMD(Digital Micromirror Device)212を含む光学素子112は、光活性化光を角膜2上に正確な空間パターンでx-y平面に沿って照射する。さらに、治療システム200は、治療システム200の態様を制御するための1つ以上のコントローラ120を含む。
【0029】
能動的眼球追跡システムに関して、治療システム200は、手術中に眼1の画像を動的に取り込むカメラ(画像キャプチャ装置)252を含んでいる。1つ以上のコントローラ120は、治療システム200に対する眼1の基準点(例えば瞳孔)の位置を検出するために、画像を処理しうる。基準点の位置を基準として用いて、1つ以上の基準点コントローラ120は、角膜2の特定の領域の場所を決定しうる。このようにして、1つ以上のコントローラ120は、光活性化光を特定の領域の場所に照射するように、治療システム200を調整することができる。カメラ252と、画像を処理し且つ治療システム200を調整するためのソフトウェア(例えば、一時的でない媒体に記憶されたコンピュータ可読命令)とは、一団として視覚システムとして知られうる場合がある。
【0030】
図2Bを参照すると、DMD212のミラーアレイ全体は、光活性化光を照射するための最大領域202を規定する。最大領域202は、境界202a~dを含む。DMD212のアレイの任意の部分が、最大領域202の任意の部分から光活性化光を施与するように、活性化されうる。例えば
図2Bに示されたように、DMD212のアレイの一部分が、実質的に円形で、位置(x
c、y
c)を中心とし直径D
1を有する照射パターン204を生成するように、活性化されうる。照射パターン204の直径D
1は、対向する境界202a、b間のy軸に沿った距離、及び対向する境界202c、d間のx軸に沿った距離よりも若干小さくてよい。したがって、照射パターン204と境界202a~dとの間に空間があってもよい。この空間は、照射パターン204の中心が、直径D
1を有する同一形状を維持しつつ、領域202内で短い距離だけ平行移動されることを可能にする。例えば、DMD212のアレイの別の部分が、異なる位置(x
c+δ
x1、y
c+δ
y1)を中心とする照射パターン204を生成するように、活性されうる。ここで、δ
x1はx軸に沿った可能な並進移動を表し、δ
y1はy軸に沿った可能な並進移動を表す。領域202内での照射パターン204の並進移動は、角膜2に照射れるときの対応する光活性化光の位置を変化させる。このようにして、カメラ252を介して検出される眼の動きに応答して、1つ以上のコントローラ120が、DMD212を制御し、光活性化光の照射を、望ましい結果を得るため角膜2の指定された領域に達するように調整しうる。
【0031】
しかし、1つ以上のコントローラ120がDMD212を用いて行うことができる調整は、照射パターン204と境界202a~dとの間の空きスペースの少なさによって制限される。DMD212のみでは、1つ以上のコントローラ120は、より大きな眼の動きに応答するために、照射パターン204の位置に対する領域202内での十分に大きな調整をすることができない可能性がある。言い換えると、照射パターン204は、それが所望の距離だけ移動させられる前に、境界202a~dの1つに到達してしまう可能性がある。DMD212では行うことができないより大きな調整を行うために、治療システム200は、1つ以上の光学素子112と結合された電気機械X-Y運動システム254を含んでいる。1つ以上のコントローラ120は、より大きな眼の動きに応答して、角膜2とのより良好な機械的位置合わせを行うために、1つ以上の光学素子112を移動するようにX-Y運動システム254を制御することができる。例えば、X-Y運動システム254は、1つ以上の光学素子112及び対応する光活性化光をx軸、及び/又は、y軸に沿って移動させるように動作させうる電気機械ステージを含みうる。このようにして、治療システム200は、眼の動きの変動量に応じて、より小さな調整のためにはDMD212を用い、より大きな調整のためにはX-Y運動システム254を用いる。
【0032】
図3Aは、代替の能動的眼球追跡システムを備えた1つの例示的な治療システム300を示している。
図2Aに示された治療システム200とは対照的に、治療システム300は、X-Y運動システム254を採用しない。むしろ、治療システム300は、DMD312を使用して、実質的にすべての所望の調整をデジタル的に行う。上記のDMD212と同様に、DMD312内のミラーアレイ全体は、
図3Bに示されるように、光活性化光を施与するための同じ最大領域202を規定する。最大領域202は、同じ境界202a~dを含む。DMD312のアレイの任意の部分は、この最大領域202の任意の部分から光を施与するように作動されうる。
図2Aに示された照射パターン204のために採用されたX-Y運動システム254の必要性を除去するために、DMD312は、照射パターン204よりも大幅に小さな照射パターン304を照射する。
【0033】
図2Bと
図3Bとの比較は、同じ最大領域202内でのそれぞれの照射パターン204、304の間の差異を明らかに示している。より小さい面積の照射パターン304は、より少ないDMDアレイを作動させることによって生成される。照射パターン304は、実質的に円形であり、位置(x
c、y
c)を中心とするが、照射パターン204の直径D
1よりも小さい直径D
2を有する。したがって、照射パターン204と境界202a~dとの間よりも、照射パターン304と境界202a~dとの間にはより多くの空きスペースがある。このより大きなスペースによって、照射パターン304の中心は、領域202内でx軸、及び/又は、y軸に沿って、照射パターン204の中心よりも大きな程度にまで平行移動されることが可能になる。言い換えると、DMD312のアレイの別の部分が、異なる位置(x
c+δ
x2、y
c+δ
y2)を中心とする照射パターン304を生成するように作動されうる。ここで、δ
x2はδ
x1よりも大きく、δ
y2はδ
y1よりも大きく、そしてδ
x1とδ
y1とは、治療システム200が有するそれぞれの軸に沿った可能な並進移動を表す。
【0034】
領域202内での照射パターン304の並進移動は、角膜2に適用されるとき対応する光活性化光の位置を変える。DMD312による照射パターン304のより大きな可能性のある並進移動は、x軸、及び/又は、y軸に沿う光活性化光の施与のために、より広い範囲の調整を可能にする。このようにして、カメラ252を介して検出される眼の動きに応答して、1つ以上のコントローラ120は、DMD312を用いて、光活性化光が角膜2の特定の領域に到達して所望の結果を達成するように、実質的にすべての所望の調整を行うことができる。
【0035】
治療システム200は、より低速のモーターを用いる可能性のある電気機械的X-Y運動システム254に依存している。対照的に、DMD312は、約60Hzの速度で命令に対してデジタル的に応答することができるので、治療システム300は、より迅速に光活性化光の施与に対する位置調整を行いうる。
【0036】
DMD312を用いることによって、治療システム300は、X‐Y運動システム254では不可能である別の位置補正も行うことができる。例えば、治療システム300は、眼の位置の回転変化に対応する回転変形を、DMD312を介して眼に照射される照射パターンに対して適用することにより、眼の位置の回転変化に一層効果的に応答することができる。
図4Aは、DMD312のアレイの一部分を作動させることによって生成された初期照射パターン404aを示す。照射パターン404aは、初期回転状態を有している。治療システム300がカメラ252を介して眼の位置の回転変化を検出するとき、DMD312のアレイの別の部分が、
図4Bに示された照射パターン404bを生成するように作動されうる。照射パターン404bは、眼の位置の回転変化に応答するところの初期状態とは異なる回転状態を用いて、初期照射パターン404aの幾何学的変形を提供する。
【0037】
さらに、治療システム300は、視線角度、及び/又は、頭部の位置の変化によって引き起こされる幾何学的歪みに対して一層効果的に応答しうる。例えば、
図5Aは、DMD312のアレイの一部分を作動させることによって生成される初期照射パターン504aを示す。図示されたように、照射パターン504aは実質的に円形である。好ましくは、治療システム300からの光活性化光は、対応する実質的に円形の形状で、角膜2内の所望の平面(例えば、x-y平面)上に予測されたように投射される。しかし、視線角度、及び/又は、頭部の位置の変化は、角膜2内の所望の平面の角度を変化させ、且つ、初期照射パターン504aとは異なる形状に、光活性化光の投射を幾何学的に歪ませる可能性がある。例えば、視線角度、及び/又は、頭部の位置の変化は、照射パターン504aを引き延ばす可能性があり、その結果、所望の平面に楕円形状が投射される。治療システム300がカメラ252を介して視線角度、及び/又は、頭部の位置の変化を検出するとき、DMD312のアレイの別の部分は、
図5Bに示されるような照射パターン504bを生成するように起動されうる。照射パターン504bは、視線角度、及び/又は、頭部の位置の変化によって引き起こされる幾何学的歪みを補償することができる所定の異なる形状で、初期照射パターン504aの幾何学的変形を提供する。照射パターン504bが角膜の所望の平面上に投射されるとき、この投射は正確に所望の形状を有する。具体的には、
図5A~Bの例において、投射は実質的に円の形状を有する。しかし、別の用途においては、投射は、別の所望の形状(例えば、楕円形など)を有してもよい。
【0038】
より小さな照射パターンを用いることにより、より広い範囲の位置調整がDMD312に対して提供される。上述のように、DMDは、ミラーのアレイに従ってピクセル化されている照射パターンを提供する。DMDからの照射パターンは離散数のピクセルで構成されているので、より小さな照射パターンはより少ないピクセルで構成されている。このように、照射パターンのサイズを小さくすることは、眼に投射されうる最小分解可能な空間的特徴を劣化させ、「ピクセル化」による欠陥(artifacts:アーティファクト)を生じさせる可能性がある。
図6Aに示されるように、DMD312は、複数のピクセル602aによって規定された最大照射領域602を提供する。治療システム300は、より広い範囲の位置調整を可能にするところのより小さな照射パターンを生成するために、これらピクセルのサブセットを作動させることができる。例えば、
図6Aの602aは、所望の照射パターン606の境界(輪郭)を示している。しかし、所望の照射パターン606のサイズのせいで、ピクセル604aのみが、所望の照射パターン606内部に実質的に適合している。もしピクセル604aのみが作動されると、所望の照射パターン606の一部分は満たされないままである。しかし、所望の照射パターン606の残りの部分を満たすために、ピクセル604bが作動されても、結果として生じる照射パターンは所望の形状を持たない。どちらの場合も、結果として得られる照射パターンは、所望の照射パターン606に対応する滑らかな縁がない。一般的に、
図6Aの例は、所与のDMDアレイのサイズに関して、DMDでの能動的眼球追跡のための可能な調整の範囲と所望の照射パターンを得るための解像度との間のトレードオフを示している。
【0039】
図6Bは、
図6Aによって示されたピクセル化による欠陥(以下、ピクセル化欠陥と呼ぶ)を解決するための、且つ所望の照射パターン606に対応するより滑らかな縁を持つ照射パターンを生成すためのアプローチを示している。具体的には、1つ以上のコントローラ120は、手術中、ピクセル604bを高速でディザリングするためにDMD312を操作することができる。例えば、ピクセル604bは、DMD312に対する毎秒の更新サイクルで交互に作動されうる。手術中にディザリングされるときのピクセル604bによって施与される光活性化光の総照射量は、手術の全期間にわたってピクセル604bを作動させる場合よりも少ない。従って、ディザリングは、所望の照射パターン606及びそれに対応する光活性化光の線量をより厳密に近似するところの、より滑らかな照射パターンを提供するように適用されうる。
【0040】
図6Cは、
図6Aによって示されたピクセル化欠陥を平滑化するための別のアプローチを示す。具体的には、ディザリングは、
図6Aに示されたピクセル604aによって規定された基本形状を、インターリーブされた時間点でx軸又はy軸に沿って+/-1ピクセルだけ交互にシフトさせることによって適用されうる。例えば、1つの更新サイクルで、DMD312は、ピクセル608aによって部分的に規定された境界を含むように、基本形状を(
図6Aに示された位置から)正のy方向に1ピクセルだけ並進移動されるように動作させられる。次の更新サイクルで、DMD312は、ピクセル608bによって部分的に規定された境界を含むように、基本形状を(
図6Aに示される位置から)正のx方向に1ピクセルだけ並進移動させるように動作させられる。次の更新サイクルで、DMD312は、ピクセル608cによって部分的に規定された境界を含むように、基本形状を(
図6Aに示される位置から)負のy方向に1ピクセルだけ並進移動させるように動作させられる。次の更新サイクルで、DMD312は、ピクセル608dによって部分的に規定された境界を含むように、基本形状を(
図6Aに示される位置から)負のx方向に1ピクセルだけ並進移動させるように動作させられる。これら一連のステップは、所望の照射パターン606及び対応する光活性化光の線量をより厳密に近似するより滑らかな照射パターンを提供するために繰り返される。
【0041】
DMDの最大許容ピクセルサイズと上記の実施形態についての最適パラメータとは、クロスリンキング手術に対する角膜の応答の生体力学的モデリングによって決定されうる。
【0042】
図7A~Fは、約4mmの直径を有する実質的に円形のUV照射パターン706を施与するために、ピクセルサイズが増大していくピクセルを用いることを示す。照射パターン706は、例えば、近視を治療するために、対応する架橋活性の領域を角膜内に生成するために用いられてもよい。
図7Aにおいては、照射パターン706は、サイズが25μm×25μmであるピクセル708aによって規定されている。
図7Bにおいては、照射パターン706は、サイズが100μm×100μmであるピクセル708bによって規定されている。
図7Cにおいては、照射パターン706は、サイズが200μm×200μmであるピクセル708cによって規定されている。
図7Dにおいては、照射パターン706は、サイズが400μm×400μmであるピクセル708dによって規定されている。
図7Eにおいては、照射パターン706は、サイズが750μm×750μmであるピクセル708eによって規定されている。
図7Fにおいては、照射パターン706は、サイズが1000μm×1000μmであるピクセル708fによって規定されている。眼球の動きの照射パターン706への影響は、照射パターン706の縁に沿う100μmのぼかし機能で、
図7A~Fにモデル化されている。
【0043】
それに対応して、
図8A~Fは、それぞれ
図7A~Fに示されたような、UV照射パターン706を施与するための増大するピクセルサイズを用いて、架橋治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化(治療前から治療後への)を示す。
図8Aは、照射パターン706がピクセル708a(25μm×25μm)によって規定されているときの結果を示す。
図8Bは、照射パターン706がピクセル708b(100μm×100μm)によって規定されているときの結果を示す。
図8Cは、照射パターン706がピクセル708c(200μm×200μm)によって規定されているときの結果を示す。
図8Dは、照射パターン706がピクセル708d(400μm×400μm)によって規定されているときの結果を示す。
図8Eは、照射パターン706がピクセル708e(750μm×750μm)によって規定されているときの結果を示す。
図8Fは、照射パターン706がピクセル708f(1000μm×1000μm)によって規定されているときの結果を示す。表1は、様々なピクセルサイズに対する角膜中央3mm領域にわたる角膜曲率測定における変化(D)を示す。
【表1】
【0044】
図9A~Bは、実質的に円形のUV照射パターンを施与するために、それぞれより大きなピクセル及びより小さなピクセルを用いた2つの架橋処理の結果のモデル化された差異を示す。具体的には、より大きなピクセルは750μm×750μmのサイズであり、より小さなピクセルは10μm×10μmのサイズである。
図9Aは、より大きいピクセルを用いた後に得られた角膜前面の高さ(μm)から、より小さいピクセルを用いた後に得られた角膜前面の高さ(μm)を引いたものを示す。
図9Bは、より大きなピクセルを用いた後に得られた角膜前面の接曲率(D)から、より小さなピクセルを用いた後に得られた角膜前面の接曲率(D)を引いたものを示す。
【0045】
しかし、
図8A~Fの結果と表1とが示すように、接曲率及び角膜曲率の変化は、実質的に円形の照射パターンに関して、250μm×250μm(又は400μm×400μm)までのピクセルサイズを用いる治療に対して事実上類似している。より大きなピクセルサイズの(例えば、より小さな10μm×10μmのピクセルと比較された)同様の結果は、上記の例示的なシステム300の眼球追跡アプローチの効果的な実装を可能にする。
【0046】
図10A~Fは、実質的に環状のUV照射パターン1006を施与するための増大したピクセルサイズの使用を示す。照射パターン1006は、約4mmの内径及び約8.5mmの外径を有する。照射パターン1006は、例えば、遠視又は老眼を治療するために、それに対応する角膜内の架橋活動の領域を生成するために用いられてもよい。
図10Aにおいて、照射パターン1006は、サイズが25μm×25μmのピクセル1008aによって規定されている。
図10Bにおいて、照射パターン1006は、サイズが100μm×100μmのピクセル1008bによって規定されている。
図10Cにおいて、照射パターン1006は、サイズが200μm×200μmのピクセル1008cによって規定されている。
図10Dでにおいて、照射パターン1006は、サイズが400μm×400μmのピクセル1008dによって規定されている。
図10Eにおいて、照射パターン1006は、サイズが750μm×750μmのピクセル1008eによって規定されている。
図10Fにおいて、照射パターン1006は、サイズが1000μm×1000μmのピクセル1008fによって規定されている。照射パターン1006に対する眼球の動きの影響は、照射パターン1006の縁に沿う100μmのぼかし機能によって、
図10A~Fにモデル化されている。
【0047】
これに対応して、
図11A~Fは、
図10A~10Fに示されたようなUV照射パターン1006を施与するために増大するピクセルサイズを用いるクロスリンキング治療後の角膜前面の接曲率のモデル化された変化(治療前から治療後の)をそれぞれ示す。
図11Aは、照射パターン1006がピクセル1008a(25μm×25μm)によって規定されているときの結果を示す。
図11Bは、照射パターン1006がピクセル1008b(100μm×100μm)によって規定されているときの結果を示す。
図11Cは、照射パターン1006がピクセル1008c(200μm×200μm)によって規定されているときの結果を示す。
図11Dは、照射パターン1006がピクセル1008d(400μm×400μm)によって規定されているときの結果を示す。
図11Eは、照射パターン1006がピクセル1008e(750μm×750μm)によって規定されているときの結果を示す。
図11Fは、照射パターン1006がピクセル1008f(1000μm×1000μm)によって規定されているときの結果を示す。表2は、様々なピクセルサイズについての角膜の中央3mm領域にわたる角膜曲率測定における変化(D)の変化を示す。
【表2】
【0048】
図12A~Bは、実質的に環状のUV照射パターンを施与するためにより大きなピクセル及びより小さなピクセルをそれぞれ用いた2つのクロスリンキング治療の結果間のモデル化された差異を示す。具体的には、より大きいピクセルのサイズは750μm×750μmで、より小さいピクセルのサイズは10μm×10μmである。
図12Aは、より大きなピクセルを用いた後に得られた角膜前面の高さ(μm)から、より小さなピクセルを用いた後に得られた角膜前面の高さ(μm)を引いたものを示す。
図12Bは、より大きなピクセルを用いた後に得られた角膜前面の接曲率(D)から、より小さなピクセルを用いた後に得られた角膜前面の接曲率(D)を引いたものを示す。
【0049】
しかし、
図11A~Fの結果と表2とが示すように、実質的に環状の照射パターンについて、200μm×200μm(又は400μm×400μm)までのピクセルサイズを用いた治療について、接曲率及び角膜曲率の変化は実質的に類似している。更に、より大きなピクセルサイズ(例えば、より小さな10μm×10μmピクセルと比較して)の同様の結果は、上述の例示的なシステム300の眼球追跡アプローチの効果的な実装を可能にする。
【0050】
上記の実施形態はDMDデバイスの使用を含みうるが、別の実施形態は、同様の結果を得るために、任意のタイプのプログラム可能な空間光変調器を用いうる。例えば、実施形態は、透過型又は反射型である液晶マイクロディスプレイを用いてもよい。同様の結果を得るために、偏光の変化を与える空間光変調器が、固定偏光子と組み合わせて用いられうる。透過的な実装は、システム全体のサイズに関して付加的な利点を持つ可能性がある。
【0051】
前述のことを考慮して、実施形態は、角膜の架橋を実施するための照射システムと共に使用することができる眼球追跡用の純粋なデジタル手段を採用する。具体的には、それら実施形態は、対象の眼球の所望の領域に位置合わせされた光活性化光ビームを保持するための電気機械的運動システム(例えば、x-y平面に沿った調整のための)を必要としない。有利なことに、このことは、治療システムのコスト及び複雑さを大幅に低減することを可能にする。さらに、他の利点の中でも特に、本システムは、他のシステムに比べての応答時間の増加、眼の回転的動きの調整、及び視線角度、及び/又は、頭部の動きの変化によって引き起こされる幾何学的歪みの補正、を可能にする。
【0052】
上述のように、本開示のいくつかの態様によれば、上述の且つ図示された手順の一部分又はすべてのステップは、コントローラ(例えば、コントローラ120)の制御下で自動化され又は誘導されうる。一般に、コントローラは、ハードウェア要素とソフトウェア要素の組み合わせとして実装されうる。ハードウェア態様は、マイクロプロセッサ、論理回路、通信/ネットワークポート、デジタルフィルタ、メモリ、又は論理回路を含んでいる動作可能に結合されたハードウェア構成要素の組み合わせを含みうる。このコントローラは、コンピュータ実行可能コード(これは、コンピュータ可読媒体に格納されうる)によって指定された動作を実行するように適合されうる。
【0053】
上述されたように、コントローラは、ソフトウェア又は記憶された命令を実行するプログラム可能な処理デバイス(例えば、外部の従来のコンピュータ、又はオンボードのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はデジタル信号プロセッサ(DSP))でありうる。一般に、何らかの処理又は評価のために本開示の実施形態によって用いられる物理プロセッサ、及び/又は、機械は、コンピュータ及びソフトウェア技術の当業者には理解されるように、本開示の例示的な実施形態の教示に従ってプログラムされた1つ以上のネットワーク接続又はネットワーク非接続の汎用コンピュータシステム、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを含みうる。物理的プロセッサ、及び/又は、機械は、画像キャプチャ装置(例えば、カメラ252)と外部でネットワーク化されてもよく、又は画像キャプチャ装置内に常駐するように統合されてもよい。ソフトウェア技術の当業者には理解されるように、適切なソフトウェアは、例示的な実施形態の教示に基づいて、通常の技能のプログラマによって容易に準備されうる。さらに、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムは、電気技術の当業者によって理解されるように、特定用途向け集積回路の準備によって、又は、従来のコンポーネント回路を適切なネットワークで相互接続することによって、実装されうる。このようにして、本例示的実施形態は、ハードウェア回路、及び/又は、ソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
【0054】
本開示の例示的な実施形態は、コンピュータ可読媒体の任意の1つ又は組み合わせに記憶された、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムを制御するための、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムを駆動するための、例示的な実施形態のデバイス及びサブシステムを人間のユーザなどと対話を可能にするための、ソフトウェアを含みうる。このようなソフトウェアには、デバイスドライバー、ファームウェア、オペレーティングシステム、開発ツール、アプリケーションソフトウェアなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。そのようなコンピュータ可読媒体は、実装で実行される処理のすべて又は一部(処理が分散されている場合)を実行するための、本開示の実施形態のコンピュータプログラム製品をさらに含みうる。本開示の例示的な実施形態のコンピュータコードデバイスは、スクリプト、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)、Javaクラス及びアプレット、完全な実行可能プログラムなどを含むが、これらに限定はされない任意の適切な解釈可能又は実行可能なコードメカニズムを含みうる。さらに、本開示の例示的な実施形態の処理の一部分は、より良い性能、信頼性、コストなどのために分散させることができる。
【0055】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の適切な磁気媒体、CD‐ROM、CDRW、DVD、その他の適切な光学媒体、パンチカード、紙テープ、光学式マークシート、穴のパターン若しくは他の光学的に認識可能な印を備えたその他の適切な物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH‐EPROM、その他の適切なメモリチップ若しくはカートリッジ、コンピュータが読み取りうる搬送波又はその他の適切な媒体を含みうる。
【0056】
本開示は1つ以上の特定の実施形態を参照して説明されたが、当業者は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更がそれに加えられうることを認識するであろう。これらの実施形態及びそれらの自明の変形のそれぞれは、本開示の趣旨及び範囲内に含まれると考えられる。本開示の態様による追加の実施形態は、本明細書で説明された実施形態のいずれかの特徴を任意の数だけ組み合わせることができることも想定されている。