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特許7379362低B含有R-Fe-B系焼結磁石及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】低B含有R-Fe-B系焼結磁石及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20231107BHJP
   B22D 11/06 20060101ALI20231107BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20231107BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20231107BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20231107BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20231107BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H01F1/057 170
B22D11/06 360B
B22F3/00 F
B22F3/24 B
B22F9/04 C
B22F9/04 D
B22F9/04 E
C22C38/00 303D
H01F41/02 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020551894
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2019091536
(87)【国際公開番号】W WO2019242581
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-09-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】201810629609.3
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519091753
【氏名又は名称】福建省長汀金龍希土有限公司
【氏名又は名称原語表記】Fujian Changting Golden Dragon Rare-Earth Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Industrial New Developed Zone, Changting, Fujian Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】藍 琴
(72)【発明者】
【氏名】周 燕
(72)【発明者】
【氏名】永田 浩
(72)【発明者】
【氏名】施 ▲ヤオ▼
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】小池 秀介
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/208508(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/133067(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/057
H01F 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低B含有R-Fe-B系焼結磁石であって、前記焼結磁石はR2Fe14B型主相を含み、RはNdを含む少なくとも1つの希土類元素であり、
前記焼結磁石は以下の成分を含み、
28.5wt%~31.5wt%のR、
0.86wt%~0.94wt%のB、
0.2wt%~1wt%のCo、
0.2wt%~0.45wt%のCu、
0.3wt%~0.5wt%のGa、
0.02wt%~0.2wt%のTi、および
61wt%~69.5wt%のFe、
前記焼結磁石は、結晶粒界の全体積の75%以上を占めるR6-T13-δ-M1+δ系列相を有し、TはFeとCoとから少なくとも一つ選ばれ、Mは80wt%以上のGaと20wt%以下のCuとを含み、δは-0.14から0.04であり、
Rにおいて、Dy含有量が1%以下である
低B含有R-Fe-B系焼結磁石。
【請求項2】
前記成分は、5.0wt%以下のXと不可避不純物とを含み、
前記Xは、Zn、Al、In、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ge、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Hf、Ta、Wのうちの少なくとも一つの元素から選択され、
前記XがNb、Zr、Crのうちの少なくとも一つを含む場合、Nb、Zr、Crの合計含有量が0.20wt%以下であることを特徴とする
請求項1に記載の低B含有R-Fe-B系焼結磁石。
【請求項3】
残部がFeである請求項2に記載の低B含有R-Fe-B系焼結磁石。
【請求項4】
前記不可避不純物は、Oを含み、前記焼結磁石のO含有量は、0.5wt%以下である 請求項2に記載の低B含有R-Fe-B系焼結磁石。
【請求項5】
低B含有R-Fe-B系焼結磁石の製造方法であって、前記焼結磁石はR2Fe14B型主相を含み、RはNdを含む少なくとも1つの希土類元素であり、
前記焼結磁石は以下の成分を含み、
28.5wt%~31.5wt%のR、
0.86wt%~0.94wt%のB、
0.2wt%~1wt%のCo、
0.2wt%~0.45wt%のCu、
0.3wt%~0.5wt%のGa、
0.02wt%~0.2wt%のTi、および
61wt%~69.5wt%のFe、
前記焼結磁石は、Rにおいて、Dy含有量が1%以下であり、
前記焼結磁石は、前記焼結磁石の原料成分の溶融液を冷却速度102℃/秒~104℃/秒で急冷合金に調製する工程と、前記急冷合金を水素吸蔵によって粉砕し、続いて粉砕された急冷合金を微粉砕によって微粉末にし、磁場形成法を用いて成形体を得て、真空中又は不活性ガス中において、900℃~1100℃の温度で前記成形体を焼結した後、熱処理を施して産物を得る工程と、によって製造される
低B含有R-Fe-B系焼結磁石の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石製造の技術分野に関し、特に低B含有R-Fe-B系焼結磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
R―T―B系焼結磁石(R、希土類元素;T、遷移金属元素;B、ホウ素)は、その優れた磁気特性により、風力発電、電気自動車およびインバータエアコンの分野で広く使用されている。
これらの分野の需要はますます拡大しており、製造業者も磁石性能に対する要求を徐々に増加させている。
【0003】
通常、Hcjを改善するためには、より大きな異方性磁界を持つDyやTbのようなより重い希土類元素がR―T―B系焼結磁石に添加される。
しかしながら、この方法では残留磁束密度Brが減少するという問題がある。また、DyやTbなどの重希土類の資源は限られて高価であり、供給不安や価格変動が大きいなどの問題がある。
そのため、DyやTbなどの重希土類の使用量を低減し、R―T―B系焼結磁石のHcjやBrを増加させる技術の開発が必要である。
【0004】
特許文献1では、従来一般的に使用されているR-T-B系合金のB含有量と比較して、B含有量を比較的小さい特定範囲に制限し、Al、GaおよびCuから選択される1つ以上の金属元素Mを含むことにより、R17相が生成されることを記載している。
17相から発生する遷移金属リッチ相R13Mの体積分率を十分に確保することにより、重希土類の含有量が抑制され、Hcjを増加させたR-T-B系焼結磁石が得られる。
【0005】
特許文献2では、一般的なR-T-B合金と比較してB含有量を低下させることによって、R-T-Ga相が形成されることを記載している。
しかし、本発明者らの研究結果によれば、R-T-Ga相も若干の磁性を有している。
R-T-B系焼結磁石の結晶粒内に多量のR-T-Ga相が存在する場合、Hcjの増加が妨げられる。
R-T-B系焼結磁石において発生するR-T-Ga相の量を低く抑えるためには、R17相の発生量が少なくなるようにR量及びB量を適切な範囲に設定し、R17相の発生量に応じてR量及びGa量を最適な範囲に設定する必要がある。
-T13-Ga相の発生量を抑制することにより、結晶粒界により多くのR-Ga、R-Ga-Cu相が形成され、高Br、高Hcjの磁石が得られると考えられる。
また、合金粉末段階でのR-T-Ga相の生成量を抑制することにより、最終的に得られるR-T-B系焼結磁石におけるR-T-Ga相の生成量を最終的に抑制できると考えられる。
【0006】
要約すると、従来技術では、焼結磁石のR-T-Ga相全体の研究に焦点を当てており、異なる組成のR-T-Ga相の異なる性能を無視している。
したがって、先行技術の異なる文献において、R-T-Ga相が反対の技術的効果を有するという結論に研究は到達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2013/008756号
【文献】中国特許出願公開第105453195号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、低B含有量のR-Fe-B系焼結磁石を提供することであり、R、B、Co、Cu、Ga、Tiの最適な含有量範囲は、主相の最適な体積率を確保しつつ、従来のB含有量のR-Fe-B系焼結磁石よりも高いBr値に到達するように選択される。そして、特殊な組成のR-T13-δ1+δ系相を形成し、結晶粒界相の体積率を増加させることにより、より高いHcj値及びSQ値を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によって提供される技術的解決策は以下の通りである。
低B含有R-Fe-B系焼結磁石であって、前記焼結磁石はRFe14B型主相を含み、RはNdを含む少なくとも1つの希土類元素であり、
前記焼結磁石は以下の成分を含み、
28.5wt%~31.5wt%のR、
0.86wt%~0.94wt%のB、
0.2wt%~1wt%のCo、
0.2wt%~0.45wt%のCu、
0.3wt%~0.5wt%のGa、
0.02wt%~0.2wt%のTi、および
61wt%~69.5wt%のFe、
前記焼結磁石は、結晶粒界の全体積の75%以上を占めるR-T13-δ-M1+δ系列相を有し、TはFeとCoとから少なくとも一つ選ばれ、Mは80wt%以上のGaと20wt%以下のCuとを含み、δは-0.14から0.04であることを特徴とする
低B含有R-Fe-B系焼結磁石。
【0010】
本発明におけるwt%は重量パーセンテージである。
【0011】
本発明のRは、Nd、Pr、Dy、Tb、Ho、La、Ce、Pm、Sm、Eu、Gd、Er、Tm、Yb、Lu、イットリウムからなる元素群のうちの少なくとも1つの元素から選択される。
【0012】
低いTRE(全希土類)と低いB含有量の磁石では、不純物相の減少と主相の高い体積率のために、磁石のBrは増加する。
さらに、特定の含有量範囲のCo、Cu、Ga、Tiを添加して、上記特定組成のR-T13-δ-M1+δ系列相を形成する。
焼結磁石の結晶粒界相の体積分率を増加させることにより、結晶粒界分布がより均一かつ連続的になり、結晶粒界においてNdリッチ相の薄層が形成され、結晶粒界をさらに最適化し、デマグネティックカップリング効果(de-magnetic-coupling effect)を生じ、反転磁化ドメイン核の核形成場を改善し、Hcjを有意に改善し、直角度を増加させる。
【0013】
上記特殊組成のR-T13-δ-M1+δ系列相において、Mは、Cu、Ga、Ti等からなる元素群から選択される少なくとも1種の元素であってもよく、例えばR-T13(Ga1-y-sTiCu)が形成される場合にはGaを含有していなければならない。
【0014】
実施例では、焼結磁石は、熱処理された焼結磁石であることが好ましい。
熱処理工程は、Hcjを増加させるために、特殊な組成の上記R-T13-δ-M1+δ系列相(単にR-T13-M相と示される)をより多く形成することを助ける。
【0015】
実施例では、焼結磁石は、10℃/秒~10℃/秒の冷却速度で焼結磁石の原料成分の溶融液を急冷合金に調製する工程と、水素吸蔵によって急冷合金を粉砕し、続いて粉砕された急冷合金を微粉砕によって微粉末にし、磁場形成法又は熱間プレス法を用いて成形体を得て、真空中又は不活性ガス中において、900℃~1100℃の温度で前記成形体を焼結した後、熱処理を施して産物を得る工程によって製造されることが好ましい。
【0016】
本発明において、冷却速度が10℃/秒~10℃/秒であり、焼結温度が900℃~1100℃であることは、業界における通常の選択である。したがって、本実施例では、上述した冷却速度および焼結温度の範囲は、試験および検証されない。
【0017】
本発明によって提供される別の技術的解決策は、以下の通りである。
低B含有R-Fe-B系焼結磁石の製造方法であって、前記焼結磁石はRFe14B型主相を含み、RはNdを含む少なくとも1つの希土類元素であり、
前記焼結磁石は以下の成分を含み、
28.5wt%~31.5wt%のR、
0.86wt%~0.94wt%のB、
0.2wt%~1wt%のCo、
0.2wt%~0.45wt%のCu、
0.3wt%~0.5wt%のGa、
0.02wt%~0.2wt%のTi、および
61wt%~69.5wt%のFe、
前記焼結磁石は、前記焼結磁石の原料成分の溶融液を冷却速度10℃/秒~10℃/秒で急冷合金に調製する工程と、前記急冷合金を水素吸蔵によって粉砕し、続いて粉砕された急冷合金を微粉砕によって微粉末にし、磁場形成法又は熱間プレス法を用いて成形体を得て、真空又は不活性ガス中において、900℃~1100℃の温度で前記成形体を焼結した後、熱処理を施して産物を得る工程と、によって製造される低B含有R-Fe-B系焼結磁石の製造方法。
【0018】
このように、低TRE(全希土類)であり低B含有の焼結磁石において、上記特殊組成のR-T13-δ1+δ系列相の体積分率を増加させることにより、結晶粒界の分布をより均一かつ連続的にすることができ、結晶粒界におけるNdリッチ相の薄層を形成することができる。そのため、結晶粒界をさらに最適化して、デマグネティックカップリング効果を得ることができる。
【0019】
本発明において、熱処理の温度範囲は、業界における通常の選択である。したがって、本実施例では、上記の温度範囲は試験および検証されない。
【0020】
なお、本発明において、Fe含有量が61wt%~69.5wt%であること、δが(-0.14~0.04)であること、冷却速度が10℃/秒~10℃/秒であること、焼結温度が900℃~1100℃であること等の含有量及び範囲は、業界における通常の選択である。したがって、本実施例では、Fe含有量、δ等の範囲は、試験および検証されない。
【0021】
なお、本発明に開示されている数値範囲には、この範囲における全ての点の値が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1.7における焼結磁石のEPMAマッピングにより形成されたNd、Cu、GaおよびCoの分布図である。
図2】比較例1.4における焼結磁石のEPMAマッピングにより形成されたNd、Cu、Ga及びCoの分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、以下の実施例に関連してさらに詳細に説明する。
【0024】
各実施例で説明された磁気特性評価方法、成分含量測定方法およびFE-EPMA試験方法は以下の通りである。
磁気特性評価方法: 焼結磁石の磁気性能は、中国国家計量研究所のBH大型希土類永久磁石用NIM―10000H型非破壊試験システムを用いて決定される。
【0025】
成分含量測定方法:各成分は、高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-OES)を用いて測定される。
また、O(酸素量)は、ガス分析装置を用いてガス溶融赤外吸収法に基づいて求められる。
N(窒素量)は、ガス分析装置を用いてガス溶融熱伝導率法に基づいて決定される。
C(炭素量)は、ガス分析装置を用いて燃焼赤外吸収法に基づいて求められる。
【0026】
FE-EPMA試験:焼結磁石の配向方向に垂直な面は、研磨され、電界放出型電子プローブマイクロアナライザ[日本電子光学研究所(JEOL)8530F]を用いて検出される。
まず、加速電圧15kV、プローブビーム電流50nAの試験条件下で、定量分析とマッピングにより、磁石中のR-T13-M相とM中のGaとCuの含有量とは決定される。その際、R-T13-M相の体積分率の統計データは、後方散乱電子イメージング(BSE)により収集される。
具体的には、BSE画像10枚が2000倍率でランダムに撮影され、画像解析ソフトを用いて割合が算出される。
【0027】
本発明において、選択された熱処理温度範囲および熱処理方法は、業界における通常の選択であり、通常、二段階熱処理である。二段階熱処理では、第一段階熱処理における温度は800℃~950℃であり、第二段階熱処理における温度は400℃~650℃である。
【0028】
実施例では、焼結磁石の成分は、5.0wt%以下のXおよび不可避不純物を含み、Xは、Zn、Al、In、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ge、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Hf、Ta、およびWからなる元素群のうちの少なくとも一つの元素から選択される。XがNb、Zr、またはCrのうちの少なくとも一つの元素を含む場合、Nb、Zr、およびCrの合計含有量は、0.20wt%以下であることが好ましい。
【0029】
実施例では、残部はFeであることが好ましい。
【0030】
実施例では、不可避的不純物はOを含み、焼結磁石のO含有量は0.5wt%以下であることが好ましい。
低酸素含有(5000ppm以下)の磁石は良好な磁気特性を有するが、その磁石の粒子は高温での焼結中に凝集して成長する傾向がある。
したがって、その磁石は、急冷合金、粉末および焼結磁石の微細構造の改良によって生じる効果に敏感に反応する。
同時に、酸素含有量が低いことによって、R―O化合物が少なくなり、Rは、Hcjを増加させるために、R-T13-M相の形成に完全に利用されることができ、R―O化合物不純物相が減少し直角度が増加する。
【0031】
また、本発明で言及される不可避不純物は、原材料や製造工程に不可避的に混入する少量のC、N、S、Pおよびその他不純物を含む。
したがって、本発明の焼結磁石の製造方法においては、C含有量を0.25wt%以下、より好ましくは0.1wt%以下にし、N含有量を0.15wt%以下にし、S含有量を0.05wt%以下にし、P含有量を0.05wt%以下にすることが好ましい。
【0032】
低酸素環境で磁石を製造するステップは、従来技術に属する。本開示の全ての実施例は、その低酸素環境で磁石を製造するステップで実施される。それは、本実施例では再度詳細に説明されないことに留意されたい。
【0033】
本実施例では、微粉砕はジェット粉砕プロセスであるであることが好ましい。
このようにして、焼結磁石におけるR-T13-M相の分散度はさらに高められる。
【0034】
本実施例では、R中のDy、Tb、GdまたはHoの含有量は1%以下であることが好ましい。
Dy、Tb、GdまたはHoの含有量が1%以下の焼結磁石の場合、R-T13-δ1+δ系列相の存在は、磁石のHcjを増加させる効果をより顕著に改善する。
【0035】
実施例1
原料調製プロセス:純度99.5%のNdとDy、工業用Fe-B、工業用純Feおよび純度99.9%のCo、Cu、Ti、GaおよびAlが調製された。
【0036】
精錬方法:調製した原料はアルミナ製るつぼに入れられ、10-2Paの真空中、1500℃以下の温度で高周波真空誘導溶解炉において真空精錬が行われた。
【0037】
鋳造方法:真空精錬後、Arガスはガス圧が50,000Paに達するまで溶解炉に導入され、鋳造が冷却速度10℃/sec~10℃/secで単ロール急冷法を用いて行われ、急冷合金が得られた。
その急冷合金は、600℃で60分間断熱熱処理され、その後室温まで冷却された。
【0038】
水素粉砕法:急冷合金が収納された水素粉砕炉は室温で真空化された。その後、純度99.5%の水素ガスが水素粉砕炉に導入された。
水素圧は0.1MPaに維持された。
水素を十分に吸収した後、水素粉砕炉は500℃まで昇温されながら真空化された。その後、冷却が行われ、水素粉砕粉末が抽出された。
【0039】
微粉砕工程:酸化ガス含有量が100ppm以下の窒素大気下で、水素焼却粉末が粉砕室内において0.4MPaの圧力下で2時間ジェットミル粉砕を受け、微粉体が得られた。
酸化性ガスとは、酸素又は水分を示す。
【0040】
オクタン酸メチルは、ジェットミル粉砕粉末に添加された。
オクタン酸メチルの添加量は混合粉末の重量の0.15%であり、その混合物はV型ミキサーを用いて完全に混合された。
【0041】
磁場形成法:直角配向磁場成形機を用い、1.8Tの磁場中において、0.4ton/cmの成形のための圧力下で、オクタン酸メチルを添加した上記粉末は一次成形により辺長25mmの立方体に成形された。一次成形後、その立方体は、0.2Tの磁場中で消磁された。
【0042】
一次成形後、成形体が空気にさらされることを防ぐために、成形体は密封された。その後、その成形体は二次成形機(静水圧プレス成形機)を用いて1.4ton/cmの圧力で二次成形された。
【0043】
焼結工程:各成形体は、10-3Paの真空中で焼結するための焼結炉に移され、200℃及び800℃のそれぞれで2時間維持された後、1060℃で2時間焼結された。
続いて、Arガスは、ガス圧が0.1MPaになるまで導入された。その後、焼結体は室温まで冷却された。
【0044】
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中において900℃で2時間一次熱処理された後、520℃で2時間二次熱処理され、室温まで冷却され、抽出された。
【0045】
加工方法:焼結体は磁場の配向方向を厚さ方向とした直径10mmおよび厚さ5mmの磁石に加工され、焼結磁石が得られた。
【0046】
実施例及び比較例の焼結体から製造された磁石は、ICP-OES試験及び磁気特性試験を直接的に受け、磁気特性が評価された。
実施例および比較例における磁石の構成および評価結果を表1および表2に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
結論は以下の通りである。
低TRE(全希土類)の焼結磁石では、B含有量が0.86wt%未満の場合、B含有量が過度に低いために過剰の2―17相が発生する。Co、Cu、GaおよびTiの相乗的な添加は、結晶粒界に少量のR-T13-M相を形成するだけであり、焼結磁石のHcjに明らかな改善はなく、直角度を減少させる。
一方、B含有量が0.94wt%を超えると、B含有量が増加するため、R1.1FeのようなBリッチ相が発生する。そして、主相の体積分率が減少し、焼結磁石のBrが減少するため、Co、Cu、Ga、Tiの相乗的な添加は、R-T13-M相をほとんど形成しないか、または形成しなく、そして焼結磁石のHcjに明らかな改善はない。
しかしながら、B含有量が0.86wt%~0.94wt%の場合、Co、Cu、Ga、Tiの相乗的な添加により、十分な体積分率を有するR-T13-M相が結晶粒界に十分に生成され、焼結磁石の特性がより明らかに改善される。
【0047】
また、低B含有焼結磁石では、TRE(全希土類)の含有量が28.5wt%未満の場合、TREの含有量が少なすぎ、α-Feが沈殿することによって、焼結磁石の特性が低下する。
一方、TRE含有量が31.5wt%を超える場合、TRE含有量が増加するため、主相の体積分率が減少する。
そのため、焼結磁石のBrが減少する。
さらに、Co,Cu,GaおよびTiの相乗的添加は焼結磁石のHcjに明らかな改善をもたらさない。なぜなら、Rが粒界により多くの他のR―Ga―Cu相を発生させ、R-T13-M相の割合を減少させるためである。
しかし、28.5wt%~31.5wt%のTREでは、Co、Cu、Ga、Tiの相乗的な添加により、十分な体積分率のR-T13-M相が低B含有磁石の結晶粒界に生成され、焼結磁石の特性がより明らかに改善される。
【0048】
実施例1.7の焼結磁石はFE-EPMA試験を受けた。その試験結果は、図1及び表3に示される。図1はNd、Cu、Ga、Coの濃度分布及び対応する位置のBSE画像である。表3はBSE画像中に少なくとも三相が存在することを示す一点定量分析結果である。
灰白色領域1はR-T13-M相であり、RはNdから、Tは主にFeとCoとから、Mは80wt%以上のGaと20wt%以下のCuとからなる。
黒色領域2はRFe14B主相である。明白色領域3は他のRリッチ相である。
10個のBSE画像は、2000倍率でランダムに撮影され、R-T13-M相の体積分率が画像解析ソフトウェアを用いて計算された。それは、R-T13-M相が本実施例のサンプル中の全粒界体積の80%以上を占めていたことを示すことができる。
同様に、実施例1.1~1.6及び実施例1.8の焼結磁石はFE-EPMA試験を受けた。それらすべての結果では、R-T13-M相の体積が全粒界体積の75%以上を占めていた。
-T13-M相では、RがNd、またはNdおよびDyを含み、Tが主としてFeおよびCoを含み、Mが80wt%以上のGaおよび20wt%以下のCuを含む。
【0049】
比較例1.4についてFE-EPMA試験を行った。
その結果は図2に示される。それはNd、Cu、GaおよびCoの濃度分布および対応する位置のBSE画像を示す。
BSE画像における灰白色領域1bはR-T13-M相であり、黒色領域2bはRFe14B主相であり、明白色領域3bは他のRリッチ相である。
比較例の結晶粒界相におけるR-T13M相の割合が小さく、他の組成の明白色のNdリッチ相が大部分であることが分かる。
【0050】
比較例1.1~1.3では、焼結磁石の粒界にR-T13M相がほとんど観察されなかった。または、R-T13M相の体積が粒界の全体積の75%未満であった。
【0051】
実施例2
原料調製プロセス:純度99.8%のNdとDy、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCo,Cu,Ti,Ga,Zr,Siが調製された。
【0052】
精錬方法:調製した原料はアルミナ製るつぼに入れられ、5×10-2Paの真空中、1500℃以下の温度で高周波真空誘導溶解炉にて真空精錬された。
【0053】
鋳造法:真空精錬後、Arガスが55,000Paまで導入され、その環境下で鋳造が行われた。その後、10℃/sec~10℃/secの冷却速度で急冷され、急冷合金が得られた。
【0054】
水素粉砕法:急冷合金は収納された水素粉砕炉は、室温で真空化された。その後、純度99.5%の水素ガスが水素粉砕炉に導入された。
水素圧は0.15MPaに維持された。
水素を十分に吸収させた後、脱水素を十分に行うために温度が上昇されながら水素粉砕炉が真空化された。その後、冷却が行われ、水素粉砕粉末が取り出された。
【0055】
微粉砕工程:酸化ガス含有量が150ppm以下の窒素大気下で、水素焼却粉末が粉砕室内において0.38MPaの圧力下で3時間ジェットミル粉砕を受け、微粉体が得られた。
酸化性ガスは、酸素又は水分を示す。
【0056】
ステアリン酸亜鉛は、ジェットミル粉砕された粉末に添加された。
ステアリン酸亜鉛の添加量は混合粉末の重量の0.12%であり、その混合物はV型ミキサーを用いて完全に混合された。
【0057】
磁場形成工程:直角配向磁場成形機を用いて、1.6Tの磁場中、0.35ton/cmの成形圧力で、上記ステアリン酸亜鉛添加粉末は、一次成形により辺長25mmの立方体に成形された。一次成形後、その立方体は、0.2Tの磁場中で消磁された。
【0058】
一次成形後、成形体が空気にさらされることを防ぐために成形体が密封された。その後、その成形体は二次成形機(静水圧プレス成形機)を用いて1.3ton/cmの圧力で二次成形された。
【0059】
焼結工程:各成形体は、5×10-3Paの真空中で焼結するために焼結炉に移され、300℃及び600℃のそれぞれで1時間維持された後、1040℃で2時間焼結された。
その後、Arガスが、ガス圧が0.1MPaになるまで導入された。そして、焼結体は室温まで冷却された。
【0060】
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中において880℃で3時間一次熱処理された後、500℃で3時間二次熱処理され、室温まで冷却されて抽出された。
【0061】
加工方法:焼結体は磁場の配向方向を厚さ方向とした直径20mmおよび厚さ5mmの磁石に加工され、焼結磁石が得られた。
【0062】
実施例及び比較例の焼結体から作製した磁石は、ICP-OES試験及び磁気特性試験を直接的に受け、磁気特性が評価された。
実施例及び比較例における磁石の構成及び評価結果は、表4及び表5に示される。
【表4】
【表5】
結論は以下の通りである。
低TRE(全希土類)及び低B系焼結磁石では、Cu含有量が0.2wt%未満の場合、Cu含有量が過度に低いために、結晶粒界に入る十分な量のCuが存在せず、Co、Ga及びTiの相乗的な添加は結晶粒界に十分なR-T13-M相を形成せず、焼結磁石のHcjの明らかな改善はない。
同様に、Cuの含有量が0.45wt%を超える場合、Cuの含有量が過剰となるため、形成されたR-T13-M相中のM中のCuの含有量は20%を超え、Co、Ga及びTiの相乗的な添加によっても焼結磁石の特性は明らかに改善されない。
しかしながら、Cu含有量が0.2wt%~0.45wt%の場合、Co、GaおよびTiの相乗的な添加により、R-T13-M相の75%以上が結晶粒界に生成され、M中のGa含有量が80%を超え、Cu含有量が20%未満となり、焼結磁石の特性がより明らかに改善される。
【0063】
低TRE(全希土類)及び低B系焼結磁石では、Co含有量が0.2wt%未満の場合、Co含有量が過度に低いため、他のR―Co相が優先的に形成され、Cu、Ga及びTiの相乗的な添加は結晶粒界に十分なR-T13-M相を形成せず、焼結磁石の特性に明らかな改善はない。
同様に、Co含有量が1.0wt%を超えると、Coが過剰になるため、Coの一部が結晶粒界に入り、Cu、Ga及びTiの相乗的な添加は、M中のGa含有量が80%未満のR-T13-M相を形成し、焼結磁石の特性は明らかに改善されない。
しかしながら、Co含有量が0.2wt%~1.0wt%の場合、Cu、GaおよびTiの相乗的な添加により、R-T13-M相の75%以上が結晶粒界に生成され、M中のGa含有量が80%を超え、Cu含有量が20%未満となり、焼結磁石の特性がより明らかに改善される。
【0064】
同様に、実施例2.1~2.7の焼結磁石をFE-EPMA試験したところ、R-T13-M相が結晶粒界の全体積の75%以上を占め、RがNdとDy、Tが主にFeとCo、Mが80wt%以上のGa及び20wt%以下のCuであった。
【0065】
さらに、比較例2.2及び比較例2.4の焼結磁石をFE-EPMA試験をしたところ、R-T13-M相が焼結磁石の結晶粒界に観察された。
-T13-M相は結晶粒界の全体積の75%以上を占めた。しかし、MにおけるGa量は80wt%以下であった。
【0066】
比較例2.1及び比較例2.3の焼結磁石をFE-EPMA試験したところ、R-T13-M相が焼結磁石の結晶粒界に観察された。
そのR-T13-M相は粒界の全体積の75%以下であった。
【0067】
実施例3
原料調製プロセス:純度99.8%のNdとDy、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCo、Cu、Ti、Ga、Ni、Nb、Mnが調製された。
【0068】
精錬方法:調製した原料はアルミナ製るつぼに入れられ、真空精錬が5×10-2Paの真空中で高周波真空誘導溶解炉により行われた。
【0069】
鋳造法:真空精錬後、Arガスは45,000Paまで精錬炉に導入され、その環境下で鋳造が行われた。その後、10℃/sec~10℃/secの冷却速度で急冷され、急冷合金が得られた。
【0070】
水素粉砕法:急冷合金が入れられた水素粉砕炉は室温で真空化された。その後、純度99.9%の水素ガスが水素粉砕炉に導入された。
水素圧は0.12MPaに維持された。
水素を十分に吸収させた後、水素粉砕炉は、十分に脱水素を行うために温度を上げながら真空化された。その後、冷却が行われ、水素粉砕粉末が抽出された。
【0071】
微粉砕工程:酸化ガス含有量が200ppm以下の窒素大気下で、水素粉砕粉末は粉砕室内において0.42MPaの圧力下で2時間ジェットミル粉砕を受け、微粉体が得られた。
酸化性ガスは、酸素又は水分を示す。
【0072】
ステアリン酸亜鉛は、ジェットミル粉砕粉末に添加された。
ステアリン酸亜鉛の添加量は、混合された粉末の重量の0.1%であり、その混合物はV型ミキサーを用いて完全に混合された。
【0073】
磁場形成法:直角配向磁場形成機を用い、1.5Tの磁場中、0.45ton/cmの成形圧力下で、ステアリン酸亜鉛を添加した上記粉末は、一次成形によって一辺長25mmの立方体に成形された。一次成形後、その立方体は消磁された。
【0074】
一次成形後、成形体が空気にさらされないようにするために、成形体は密封された。その後、成形体は、二次成形機(静水圧プレス成形機)を用いて1.2ton/cmの圧力で二次成形された。
【0075】
焼結工程: 焼結工程:各成形体は、5×10-4Paの真空中で焼結する焼結炉に移され、300℃及び700℃のそれぞれで1.5時間維持された後、1050℃で焼結された。
その後、Arガスが大気圧まで導入され、焼結体は、循環冷却によって室温まで冷却された。
【0076】
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中、890℃で3.5時間、一次熱処理を受け、その後550℃で3.5時間二次熱処理を受け、室温まで冷却され、抽出された。
【0077】
加工方法:焼結体は磁場の配向方向を厚さ方向とした直径20mmおよび厚さ5mmの磁石に加工され、焼結磁石が得られた。
【0078】
実施例及び比較例の焼結体から製造された磁石は、ICP-OES試験及び磁気特性試験を直接受け、その磁気特性が評価された。
実施例及び比較例における磁石の構成及び評価結果は表6及び表7に示される。
【表6】
【表7】
結論は以下の通りである。
低TRE(全希土類)及び低B系焼結磁石では、Ga含有量が0.3wt%以下の場合、Ga含有量が低すぎるため、Co、Cu及びTiの相乗的な添加は、M中のGa含有量が80%以下のR-T13-M相を形成し、焼結磁石の特性に明らかな改善は見られなかった。
同様に、Ga量が0.5wt%を超えると、過剰なGa量により他のR-Ga-Cu相(R-T-M相など)が生成され、結晶粒界におけるこれらの相の体積分率は25%を超え、Co、Cu及びTiの相乗的な添加は、結晶粒界に十分なR-T13-M相を形成せず、焼結磁石の特性に明らかな改善は見られない。
しかしながら、Ga含有量が0.3wt%~0.5wt%の場合、Co、Cu及びTiの相乗的な添加により、R-T13-M相の75%以上が結晶粒界に生成され、M中のGa含有量が80%を超え、Cu含有量が20%未満となり、焼結磁石の特性がより明らかに改善される。
【0079】
同時に、低TRE(全希土類)および低B系焼結磁石において、Ga、Cu、Co、およびTiは、特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
Dy含有量が1%より低い場合、Hcjの増加はより明白であった。
例えば、比較例3.2と比較して、実施例3.3の焼結磁石のHcjは3.7kOe増加している。
また、本実施例3.4では、Dyの含有率が1%を超える場合、Ga、Cu、Co、Tiを相乗的に添加することにより、比較例3.3の焼結磁石のHcjと比較して、焼結磁石のHcjが2.8kOeだけ増加する。
【0080】
低TRE(全希土類)及び低B系焼結磁石では、Ti含有量が0.02wt%未満の場合、Ti含有量が低すぎるために、高温焼結が困難となり、焼結密度が不十分となり、焼結磁石のBrが減少する。
焼結が不十分な場合、その後の熱処理で、Cu、Ga、Coの相乗的な添加によって結晶粒界に十分なR-T13-Mが形成されず、焼結磁石の特性の明らかな改善はない。
同様に、Tiの含有量が0.2wt%を超える場合、Tiの過剰によって、TiBx相は、形成されやすくなり、Bの一部を消費する。
B含有量が不足すると、R―T17相が増加し、Cu、Ga、Coの相乗的な添加によって結晶粒界に十分なR-T13-M相が形成されず、焼結磁石の特性は明らかに改善されなかった。
しかしながら、Ti含有量が0.02wt%~0.2wt%の場合、Cu、Ga、Coの相乗的な添加によって磁石の完全焼結が可能となり、R-T13-M相の75%以上がその後の熱処理で結晶粒界に生成され、MにおけるGa含有量が80%を超え、Cu含有量が20%未満となり、焼結磁石の特性がより明らかに改善される。
【0081】
同様に、実施例3.1~3.8の焼結磁石をFE-EPMA試験したところ、R-T13-M相が結晶粒界の全体積の75%以上を占め、RがNdおよびDyであり、Tが主にFeおよびCoであり、Mが80wt%以上のGa又は20wt%以下のCuであった。
【0082】
また、比較例3.1をFE-EPMA試験をしたところ、焼結磁石の結晶粒界にR-T13-M相が観察され、R-T13-M相が結晶粒界の全体積の75%以上を占めていたが、MにおけるGaの含有量は80wt%未満であった。
【0083】
比較例3.2、比較例3.3、比較例3.4、比較例3.5をFE-EPMA試験したところ、R-T13-M相が焼結磁石の結晶粒界に観察され、R-T13-M相は粒界の全体積の75%未満であった。
【0084】
上述の実施例は、本開示のいくつかの特定の実施例をさらに説明するためにのみ役立つ。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の技術的本質に従って上記実施例に加えられた任意の単純な変更、同等の変更、および修正は、本発明の技術的解決法の保護範囲内に入るものとする。
図1
図2