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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】アダプタ取付構造
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20231107BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20231107BHJP
   G02B 6/40 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/46
G02B6/40
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020553436
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2019041565
(87)【国際公開番号】W WO2020085395
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2018199436
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】沖 栄輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎祐
(72)【発明者】
【氏名】仲田 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】ズォン テゥアン ギアー
(72)【発明者】
【氏名】横地 隆径
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0269019(US,A1)
【文献】中国実用新案第207336837(CN,U)
【文献】特開2009-229997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36、6/40、6/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタが接続される複数のアダプタをラックに取り付けるアダプタ取付構造であって、
前記複数のアダプタのそれぞれが挿通される挿通孔を有すると共に、挿通された前記複数のアダプタを前記ラックの表側に露出し、前記ラックに固定される第1パネルと、
前記第1パネルよりも前記ラックの裏側において前記第1パネルと固定されると共に、前記複数のアダプタのそれぞれを固定する第2パネルと、
を備え
前記第1パネルは、前記ラックの裏側に折り曲げられる第1折り曲げ部を有し、
前記第2パネルは、前記第1折り曲げ部に沿うように折り曲げられる第2折り曲げ部を有する、
アダプタ取付構造。
【請求項2】
前記第1パネルは、前記アダプタを露出する表面部を含んでおり、
前記第1折り曲げ部は、前記表面部の左右方向の両端から前記ラックの裏側に延びる一対の第1側面部と、前記表面部の下端から前記ラックの裏側に延びる底面部とを含む、
請求項に記載のアダプタ取付構造。
【請求項3】
前記第1折り曲げ部は、前記底面部の前記左右方向の両端から上方に延びる一対の第2側面部を更に含む、
請求項に記載のアダプタ取付構造。
【請求項4】
前記第1側面部及び前記第2側面部のそれぞれは、前記第2パネルにネジ止めされている、
請求項に記載のアダプタ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、アダプタ取付構造に関する。
本出願は、2018年10月23日の日本出願第2018-199436号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光コードを接続するための複数の光アダプタが実装されたアダプタパネルの取付構造が記載されている。アダプタパネルの取付構造では、左右に並ぶ2枚のアダプタパネルのそれぞれがシャーシの前端に取り付けられる。アダプタパネルは、シャーシの前面パネルに沿って延びる板状とされている。アダプタパネルには、シャーシの前面パネルに形成された取付孔に嵌合するラッチと、前面パネルの左右方向中央に位置する掛止部品に係止される爪状突起部とを有する。ラッチが取付孔に嵌合すると共に、爪状突起部が掛止部品に掛止されることによって、シャーシにアダプタパネルが取り付けられる。ラッチはアダプタパネルの左右方向の一端に設けられ、爪状突起部はアダプタパネルの左右方向の他端に設けられる。
【0003】
特許文献2には、光コネクタ接続パネルが記載されている。光コネクタ接続パネルは、ラックの内部において鉛直方向に沿って配置された複数のマウントアングル(支持体)に取り付けられる。光コネクタ接続パネルは、矩形箱状とされたパネル本体を備える。パネル本体の前面には、複数の光アダプタが固定されたアダプタパネルが取り付けられている。アダプタパネルにおいて複数の光アダプタは格子状に配列されており、アダプタパネルは横長に延びる長方形状とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-294531号公報
【文献】特開2003-29055号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の一側面に係るアダプタ取付構造は、光コネクタが接続される複数のアダプタをラックに取り付けるアダプタ取付構造である。アダプタ取付構造は、ラックの表側に複数のアダプタを露出すると共に、ラックに固定される第1パネルと、第1パネルよりもラックの裏側において第1パネルと固定されると共に、複数のアダプタのそれぞれを固定する第2パネルと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係るアダプタ取付構造を備えたモジュールの例を示す図である。
図2図2は、図1のモジュールを裏側から見た図である。
図3図3は、図1のアダプタ取付構造を示す斜視図である。
図4図4は、図3のアダプタ取付構造から第1パネルを外した斜視図である。
図5図5は、図3のアダプタ取付構造の第1パネルを示す斜視図である。
図6図6は、図5の第1パネルを示す側面図である。
図7図7は、図3のアダプタ取付構造の第2パネルを示す正面図である。
図8図8は、図7の第2パネルを示す斜視図である。
図9図9は、第2実施形態に係るアダプタ取付構造を示す斜視図である。
図10図10は、図9のアダプタ取付構造を図9とは異なる方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
前述した各アダプタパネルは板状とされており、板状のアダプタパネルに複数のアダプタが取り付けられている。複数のアダプタのそれぞれには光コネクタが接続される。アダプタパネルが板状とされている場合、アダプタに対する光コネクタの接続に伴うアダプタパネルの撓みが懸念される。特に、アダプタパネルに取り付けられたアダプタの数が多く、アダプタパネルに複数のアダプタが高密度に配列されている場合、アダプタに対する光コネクタの接続時等にアダプタパネルが変形することが懸念される。
【0008】
前述した各アダプタパネルでは、アダプタパネルから複数のアダプタが突出している。アダプタパネルに取り付けられたアダプタの数が多い場合には、複数のアダプタのそれぞれを識別するためにアダプタパネルに識別番号が設けられることがある。このときに、アダプタパネルからのアダプタの突出量が多い場合、アダプタの突出によって上記の識別番号が見えづらくなることが懸念される。従って、アダプタパネルでは、変形を抑えると共にアダプタの突出量を抑えることが求められる。
【0009】
本開示の一側面は、変形を抑えることができると共にアダプタの突出量を低減させることができるアダプタ取付構造を提供することを目的とする。
【0010】
[本開示の効果]
本開示によれば、変形を抑えると共にアダプタの突出量を低減させることができる。
【0011】
[実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係るアダプタ取付構造は、光コネクタが接続される複数のアダプタをラックに取り付けるアダプタ取付構造である。アダプタ取付構造は、複数のアダプタのそれぞれが挿通される挿通孔を有すると共に、挿通された複数のアダプタをラックの表側に露出し、ラックに固定される第1パネルと、第1パネルよりもラックの裏側において第1パネルと固定されると共に、複数のアダプタのそれぞれを固定する第2パネルと、を備える。
【0012】
一実施形態に係るアダプタ取付構造は、ラックに固定されると共にアダプタを露出する第1パネルと、第1パネルに固定されると共にアダプタを固定する第2パネルとを備える。アダプタ取付構造はラックの表側に位置する第1パネルとラックの裏側に位置する第2パネルとを備え、2枚のパネルが一体となったパネルに複数のアダプタのそれぞれが取り付けられる。従って、2枚のパネルによって強度を高めることができるので、パネルの変形を抑制することができる。複数のアダプタのそれぞれは、第1パネルからラックの表側に露出すると共に、第1パネルよりもラックの裏側に位置する第2パネルに固定される。ラックの裏側に位置する第2パネルに各アダプタが固定されることにより、第1パネルからのアダプタの突出量を低減させることができる。例えばアダプタ取付構造にアダプタを識別する識別番号が設けられる場合であっても、各アダプタの突出量が抑えられていることによって当該識別番号を見やすくすることができる。
【0013】
一実施形態に係るアダプタ取付構造において、第1パネルは、ラックの裏側に折り曲げられる第1折り曲げ部を有してもよい。この場合、第1パネルがラックの裏側に折り曲げられる第1折り曲げ部を有することにより、第1パネルの強度を高めることができる。従って、アダプタに対する光コネクタの接続等に伴う第1パネルの変形をより確実に抑えることができる。
【0014】
一実施形態に係るアダプタ取付構造において、第2パネルは、第1折り曲げ部に沿うように折り曲げられる第2折り曲げ部を有してもよい。この場合、複数のアダプタを固定する第2パネルが第2折り曲げ部を有するので、第2パネルの強度を高めることができる。従って、アダプタへの外力の付与に伴う第2パネルの変形をより確実に抑えることができる。
【0015】
一実施形態に係るアダプタ取付構造において、第1パネルは、アダプタを露出する表面部を含んでいてもよい。第1折り曲げ部は、表面部の左右方向の両端からラックの裏側に延びる一対の第1側面部と、表面部の下端からラックの裏側に延びる底面部とを含んでもよい。この場合、第1折り曲げ部が一対の第1側面部と底面部とを含むことにより、第1パネルの強度を一層高めることができる。その結果、第1パネルの変形を一層確実に抑制することができる。
【0016】
一実施形態に係るアダプタ取付構造において、第1折り曲げ部は、底面部の左右方向の両端から上方に延びる一対の第2側面部を更に含んでもよい。この場合、第1折り曲げ部が第2側面部を更に含むことにより、光コネクタの接続等に伴う変形を更に確実に抑制することができる。
【0017】
一実施形態に係るアダプタ取付構造において、第1側面部及び第2側面部のそれぞれは、第2パネルにネジ止めされていてもよい。この場合、第1パネルの第1側面部及び第2側面部のそれぞれが第2パネルにネジ止めされることにより、第1パネル及び第2パネルの固定を一層強固にすることができると共に、第1パネル及び第2パネルの板金溶接等を不要とすることができる。従って、板金溶接等のコストを抑えることができると共に、第1パネル及び第2パネルの仕上がりの外観を良好にすることができる。
【0018】
[実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るアダプタ取付構造の具体例を図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の具体例に限定されるものではなく、請求の範囲に示され、請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るアダプタ取付構造10を備えた例示的なモジュール1を示す平面図である。図2は、モジュール1のアダプタ取付構造10との反対側を示す側面図である。アダプタ取付構造10は、光コネクタが接続される複数のアダプタ11をラックに取り付ける構造であり、複数のアダプタ11を露出した状態で保持する。一例として、モジュール1は、データセンタのラックに取り付けられるカセット式の機器であって、ラックの光配線架を構成する。モジュール1は、長手方向である第1方向D1、幅方向である第2方向D2、及び高さ方向である第3方向D3に延びる矩形箱状とされている。
【0020】
アダプタ取付構造10は、モジュール1の第1方向D1の一端に設けられている。モジュール1の第1方向D1の他端にはアダプタ3が設けられている。アダプタ3は、例えば、MPOコネクタが接続されるMPOアダプタである。この場合、モジュール1は、MPOコネクタと単心コネクタとのプラグアンドプレイ接続を行うMPOカセットであってもよい。例えば、モジュール1の内部には、複数の光導波部材(一例として光ケーブル)が配線されている。複数の光導波部材のそれぞれには、アダプタ3に接続される多心のMPOコネクタが光接続する。
【0021】
複数の光導波部材のそれぞれは、複数のアダプタ11のそれぞれに接続された光コネクタと光接続する。一例として、アダプタ3には24心のMPOコネクタが接続する。例えば、モジュール1の内部には24本の光ケーブルが配線されており、24本の光ケーブルのそれぞれは24個のアダプタ11のそれぞれに接続された光コネクタと光接続する。アダプタ取付構造10では、例えば、光コネクタ24個分のアダプタ11が格子状に配列されている。24個分のアダプタ11は、例えば、光コネクタ2個分(2連)が一組となったアダプタが、上下2段にそれぞれ6個ずつ、計12個(2段×6個)並んで構成されている。例えば、各アダプタ11は2連LCアダプタであり、各アダプタ11に接続される光コネクタはLCコネクタである。この場合、モジュール1は、単心のLCコネクタと多心のMPOコネクタとを互いに光接続するMPOカセットモジュールである。
【0022】
例えば、モジュール1は、ラックに対して着脱される複数のシャーシのそれぞれに取り付けられ、シャーシに嵌合するナイラッチ2を備える。なお、モジュール1は、シャーシ以外のもの(例えばMPOカセットベース)を介してラックに取り付けられてもよい。ナイラッチ2は、例えば、アダプタ取付構造10の第2方向D2の両端のそれぞれに設けられる。
【0023】
図3は、アダプタ取付構造10を示す斜視図である。図4は、アダプタ取付構造10から第1パネル20を外した構成を示す斜視図である。図3及び図4に示されるように、アダプタ取付構造10は、ラックに固定されると共にラックの表側に露出する第1パネル20と、ラックの裏側に位置する第2パネル30とを備える。
【0024】
図3に示されるように、第1パネル20は、第2パネル30よりもラックの表側に配置され、複数のアダプタ11をラックの表側に露出する。ここで「表側」とは、第1方向D1の一方側(図3では左斜め下方向)に相当し、ラックにアダプタ取付構造10が取り付けられたときにラックの外側を向く方向を示している。「裏側」とは、第1方向D1の他方側(図3では右斜め上方向)に相当し、ラックにアダプタ取付構造10が取り付けられたときにラックの内側を向く方向を示している。
【0025】
第1パネル20は、アダプタ11を露出する矩形状の表面部21と、ラックの裏側に折り曲げられる第1折り曲げ部22とを備える。表面部21は、例えば、第2方向D2に延びると共に複数のアダプタ11を露出する挿通孔21aを有する本体部21bと、本体部21bから更に第2方向D2の両端側に延びる一対の突出部21cとを有する。前述したナイラッチ2は、第1パネル20の第1方向D1に挿通されており、例えば、表面部21の各突出部21cを第1方向D1に貫通している。
【0026】
表面部21において、複数のアダプタ11は、例えば、第2方向D2及び第3方向D3の双方に沿って格子状に配列されている。表面部21には、例えば、複数のアダプタ11のそれぞれを識別する識別番号X1,X2,X3,X4,X5,X6,X7,X8が表示されている。一例として、識別番号X1は「1」、識別番号X2は「2」、識別番号X3は「3」、識別番号X4は「4」、識別番号X5は「21」、識別番号X6は「22」、識別番号X7は「23」、識別番号X8は「24」である。
【0027】
これにより、例えば、左から1番目且つ上から1番目のアダプタ11は「1番」、右から1番目且つ上から4番目のアダプタ11は「24番」、左から3番目且つ上から2番目のアダプタ11は「10番」、というように各アダプタ11を識別可能となる。なお、アダプタ取付構造の識別番号の態様は、表面部21に示された識別番号X1~X8に限られず、適宜変更可能である。
【0028】
第1パネル20は、第1方向D1に沿って曲げられた第1折り曲げ部22を備えており、例えば、第1折り曲げ部22は本体部21bから第1方向D1に折り曲げられている。よって、第1折り曲げ部22の第2方向D2の位置は、突出部21cの第2方向D2の位置よりもアダプタ取付構造10の内側に位置している。なお、第1折り曲げ部22の詳細については後述する。
【0029】
第2パネル30は、例えば、第1パネル20の表面部21と各第1折り曲げ部22とによって画成された空間に収容される。第1パネル20と第2パネル30とは複数のネジN1によって互いに固定される。第2パネル30は、複数のアダプタ11のそれぞれを固定する。各アダプタ11には板バネ11aが設けられている。板バネ11aは、アダプタ11が第2パネル30に押し付けられたときに上方に押し広げられて第2パネル30に引っ掛かる。これにより、各アダプタ11が第2パネル30に固定される。アダプタ取付構造10に対するアダプタ11の固定部は、第1パネル20よりもラックの裏側に設けられる。
【0030】
図3及び図4に示されるように、第2パネル30は、各アダプタ11が固定される本体部31と、本体部31の第2方向D2の両端のそれぞれから第1方向D1に折り曲げられる第2折り曲げ部32とを備える。第2折り曲げ部32は、第1パネル20の第1折り曲げ部22に沿うように折り曲げられる部位であって、例えば、第1折り曲げ部22の反対側(ラックの表側)に折り曲げられる。第2折り曲げ部32は、第1折り曲げ部22よりもアダプタ取付構造10の第2方向D2の内側に位置する。第2折り曲げ部32は、第1折り曲げ部22に挿通されたネジN1が挿入されるネジ穴32aを有する。第2折り曲げ部32は、例えば、第3方向D3に並ぶ一対のネジ穴32aを有する。
【0031】
図5は、第1パネル20を示す斜視図である。図6は、第1パネル20を第2方向D2から見た側面図である。図5及び図6に示されるように、表面部21には、前述した挿通孔21aが形成されており、挿通孔21aは第1方向D1に貫通している。挿通孔21aは、例えば、第2方向D2に延びる長方形状とされている。一例として、表面部21は、2つの挿通孔21aを有し、2つの挿通孔21aのそれぞれには12個分(2連×6個)のアダプタ11が挿通される。各挿通孔21aには、第1パネル20の左右方向(第2方向)を識別するための切り欠き部21eが形成されている。この切り欠き部21eは挿通孔21aの左右方向(第2方向D2)のいずれかの部分にある場合に限らず、上下方向(第3方向D3)のいずれかの部分に形成されていてもよい。なお、複数の挿通孔21aそれぞれに各切り欠き部21eを形成する場合は、各切り欠き部21eを同じ方向に揃えておくことが好ましい。
【0032】
表面部21の突出部21cは、前述したナイラッチ2が挿通される貫通孔21dを有し、貫通孔21dは第1方向D1に貫通している。第1折り曲げ部22は、表面部21の左右方向の両端からラックの裏側に延びる一対の第1側面部23と、表面部21の下端からラックの裏側に延びる底面部24と、底面部24の左右方向の両端から上方(第3方向D3)に延びる一対の第2側面部25とを有する。
【0033】
第1側面部23は、突出部21cよりも下方の部分から第1方向D1に延びている。第1側面部23は、例えば、矩形板状とされており、第2方向D2に貫通するネジ穴23aを有する。ネジ穴23aには、前述したネジN1が第1側面部23の第2方向D2の外側から挿通される。底面部24は、例えば、表面部21の下端から第1方向D1に延びている。例えば、底面部24の第1方向D1の長さは、第1側面部23の第1方向D1の長さの2倍程度とされている。
【0034】
底面部24は、第2パネル30に下から対向する部位であって、例えば、矩形状とされている。底面部24の第1側面部23よりも後方(ラックの裏側)に第2側面部25が設けられている。第2側面部25は、底面部24の第2方向D2の両端のそれぞれから第3方向D3(上方)に折り曲げられている。第2側面部25は、第1側面部23の後方に位置する後方部25aと、後方部25aから前方(ラックの表側)に延びると共に第1側面部23の上方に位置する前方部25bとを有する。
【0035】
例えば、後方部25aは第3方向D3に沿って縦長に延びる長方形状とされており、前方部25bは後方部25aの上側から前方に延びる長方形状とされている。例えば、第1側面部23の第2方向D2の位置と、第2側面部25の第2方向D2の位置とは、互いに略同一とされている。第2側面部25は第1側面部23と面一であってもよい。
【0036】
例えば、第1側面部23と第2側面部25との間には、切り込み部26が設けられている。切り込み部26は、前方部25b及び表面部21の間に位置する第1切り込み部26aと、前方部25b及び第1側面部23の間に位置する第2切り込み部26bと、後方部25a及び第1側面部23の間に位置する第3切り込み部26cとを含んでいる。第1切り込み部26a、第2切り込み部26b及び第3切り込み部26cは、この順に連続している。第1切り込み部26aは表面部21の裏側において下方に延び、第2切り込み部26bは第1切り込み部26aの下端から後方に延び、第3切り込み部26cは第2切り込み部26bの後端から底面部24まで延びている。
【0037】
第2側面部25の前方部25bは、第2方向D2に貫通するネジ穴25dを有する。ネジ穴25dには、前述したネジN1が第2側面部25の第2方向D2の外側から挿通される。ネジ穴25dは、前述した第1側面部23のネジ穴23aの上方に設けられ、例えば、ネジ穴23a及びネジ穴25dは第3方向D3に沿って配置されている。ネジ穴23a及びネジ穴25dのそれぞれに挿通されたネジN1が前述した第2折り曲げ部32の各ネジ穴32aにねじ込まれることによって第1パネル20と第2パネル30とが互いに固定される。
【0038】
図7は、第2パネル30を前方(ラックの表側)から見た正面図である。図8は、第2パネル30を示す斜視図である。図7及び図8に示されるように、本体部31は、例えば、第1方向D1に貫通すると共にアダプタ11を第1方向D1に挿通する複数の挿通孔31aを有する。一例として、本体部31は、上下に並ぶ2個のアダプタ11の組(2連アダプタ)のそれぞれを挿通する12個(2段×6個)の挿通孔31aを有する。各挿通孔31aは、例えば、矩形状とされている。各挿通孔31aには、第2パネル30の左右方向を識別するための切り欠き部31bが形成されていてもよい。切り欠き部31bは、挿通孔31aの左右方向(第2方向D2)のいずれかの部分ではなく、上下方向(第3方向D3)のいずれかの部分に形成されていてもよい。なお、複数の挿通孔31aのそれぞれに各切り欠き部31bを形成する場合は、各切り欠き部31bを同じ方向に揃えておくことが好ましい。
【0039】
第2折り曲げ部32と本体部31との間には、第3方向D3に延びるスリット部33が形成されている。例えば、一対のスリット部33が本体部31の第2方向D2の両端側のそれぞれに設けられている。各スリット部33は第3方向D3に沿って延びている。第2折り曲げ部32を曲げ加工により形成する際、スリット部33に沿って折り曲げられ易くすることで、折り曲げ部近傍のネジ穴32aの変形を防止することができる。第2折り曲げ部32において第3方向D3に沿って並ぶ一対のネジ穴32aは、前述したネジ穴25d及びネジ穴23aに対応して設けられる。
【0040】
すなわち、第1方向D1及び第3方向D3において、上側のネジ穴32aの位置は第2側面部25のネジ穴25dの位置と一致し、下側のネジ穴32aの位置は第1側面部23のネジ穴23aの位置と一致する。これにより、上側のネジ穴32aの第2方向D2の外側にネジ穴25dが位置した状態でネジ穴25d及びネジ穴32aにネジN1がねじ込まれる。そして、下側のネジ穴32aの第2方向D2の外側にネジ穴23aが位置した状態でネジ穴23a及びネジ穴32aにネジN1がねじ込まれることによって第1パネル20と第2パネル30とが互いに固定される。
【0041】
次に、前述した第1実施形態に係るアダプタ取付構造10の作用効果について詳細に説明する。例えば図3に示されるように、アダプタ取付構造10は、ラックに固定されると共にアダプタを露出する第1パネル20と、第1パネル20に固定されると共にアダプタ11を固定する第2パネル30とを備える。よって、アダプタ取付構造10はラックの表側に位置する第1パネル20とラックの裏側に位置する第2パネル30とを備え、2枚のパネルが一体となったパネルに複数のアダプタ11のそれぞれが取り付けられる。従って、第1パネル20及び第2パネル30の2枚のパネルが一体となることによって強度を高めることができるので、パネルの変形を抑制することができる。
【0042】
複数のアダプタ11のそれぞれは、第1パネル20からラックの表側に露出すると共に、第1パネル20よりもラックの裏側に位置する第2パネル30に固定される。従って、ラックの裏側に位置する第2パネル30に各アダプタ11が固定されることにより、第1パネル20からのアダプタ11の突出量を低減させることができる。よって、例えばアダプタ取付構造10にアダプタ11を識別する識別番号X1~X8が設けられる場合であっても、各アダプタ11の突出量が抑えられていることによって識別番号X1~X8を見やすくすることができる。
【0043】
第1パネル20は、ラックの裏側に折り曲げられる第1折り曲げ部22を有してもよい。この場合、第1パネル20がラックの裏側に折り曲げられる第1折り曲げ部22を有することにより、第1パネル20の強度を高めることができる。従って、アダプタ11に対する光コネクタの接続等に伴う第1パネル20の変形をより確実に抑えることができる。
【0044】
第2パネル30は、第1折り曲げ部22に沿うように折り曲げられる第2折り曲げ部32を有してもよい。この場合、複数のアダプタ11を固定する第2パネル30が第2折り曲げ部32を有するので、第2パネル30の強度を高めることができる。従って、アダプタ11への外力の付与に伴う第2パネル30の変形をより確実に抑えることができる。
【0045】
第1パネル20は、アダプタ11を露出する表面部21を含んでいてもよい。第1折り曲げ部22は、表面部21の左右方向の両端からラックの裏側に延びる一対の第1側面部23と、表面部21の下端からラックの裏側に延びる底面部24とを含んでもよい。この場合、第1折り曲げ部22が一対の第1側面部23と底面部24とを含むことにより、第1パネル20の強度を一層高めることができる。その結果、第1パネル20の変形を一層確実に抑制することができる。
【0046】
第1折り曲げ部22は、底面部24の左右方向の両端から上方に延びる一対の第2側面部25を更に含んでもよい。この場合、第1折り曲げ部22が第2側面部25を更に含むことにより、光コネクタの接続等に伴う変形を更に確実に抑制することができる。
【0047】
第1側面部23及び第2側面部25のそれぞれは、第2パネル30にネジ止めされていてもよい。この場合、第1パネル20の第1側面部23及び第2側面部25のそれぞれが第2パネル30にネジ止めされることにより、第1パネル20及び第2パネル30の固定を一層強固にすることができると共に、第1パネル20及び第2パネル30の板金溶接等を不要とすることができる。すなわち、ネジ止めによって第1パネル20及び第2パネル30を互いに強固に固定することができ、板金溶接等による固定を不要とすることができる。従って、板金溶接等のコストを抑えることができると共に、第1パネル20及び第2パネル30の仕上がりの外観を良好にすることができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るアダプタ取付構造40について図9及び図10を参照しながら説明する。図9及び図10に示されるように、アダプタ取付構造40は、第1パネル20及び第2パネル30とは形状が異なる第1パネル50及び第2パネル60を備える。以下では、第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0049】
第1パネル50は、例えば、表面部21と同様の表面部51と、表面部51の下端からラックの裏側に折り曲げられる第1折り曲げ部52とを備える。第2パネル60は、各アダプタ11が固定される本体部31と同様の本体部61と、本体部61の下端からラックの裏側に折り曲げられる第2折り曲げ部62とを備える。第1折り曲げ部52及び第2折り曲げ部62は共にアダプタ11よりもラックの裏側に延び出しており、第2折り曲げ部62は第1折り曲げ部52の上面52aに載せられている。
【0050】
第1折り曲げ部52及び第2折り曲げ部62は、ネジN2がねじ込まれるネジ穴を有する。第1折り曲げ部52のネジ穴及び第2折り曲げ部62のネジ穴にネジN2がねじ込まれることによって第1パネル50及び第2パネル60は互いに固定される。例えば、第1折り曲げ部52及び第2折り曲げ部62は、第2方向D2に沿って並ぶ一対のネジN2によって互いに固定される。一例として、一対のネジN2は、アダプタ取付構造40の第2方向D2の中央に対して互いに対称となる位置に設けられる。
【0051】
以上、第2実施形態に係るアダプタ取付構造40は、一体化した2枚のパネル(第1パネル50及び第2パネル60)に複数のアダプタ11のそれぞれが取り付けられるので、パネルの変形を抑制することができる。また、ラックの裏側に位置する第2パネル60に各アダプタ11が固定されることにより、第1パネル50からのアダプタ11の突出量を低減させることができる。よって、識別番号X1~X8を見やすくすることができる。
【0052】
第1パネル50は、ラックの裏側に折り曲げられる第1折り曲げ部52を有してもよい。この場合、第1パネル50の強度を高めることができると共に、アダプタ11に対する光コネクタの接続等に伴う第1パネル50の変形をより確実に抑えることができる。第2パネル60は、ラックの裏側に折り曲げられる第2折り曲げ部62を有してもよい。この場合、第2パネル60の強度を高めることができると共に、アダプタ11への外力の付与に伴う第2パネル60の変形をより確実に抑えることができる。
【0053】
以上、本開示に係るアダプタ取付構造の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態及び前述した例のそれぞれに限定されることなく、請求の範囲に記載した要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。すなわち、アダプタ取付構造の第1パネル及び第2パネルの各部の形状、大きさ及び配置態様は上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0054】
例えば、前述の実施形態では、モジュール1に設けられたアダプタ取付構造10について説明した。しかしながら、アダプタ取付構造が取り付けられるモジュールの形状、大きさ及びラックに対する取り付けの態様は、前述したモジュール1に限られず適宜変更可能である。すなわち、アダプタ取付構造10は、モジュール1に設けられることなく単体でラック等に固定してアダプタパネルとして使用することも可能である。また、前述の実施形態では、単心のLCコネクタと多心のMPOコネクタとを互いに光接続するMPOカセットモジュールであるモジュール1について説明した。しかしながら、モジュールが接続する光コネクタの規格は、LC又はMPOに限定されず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…モジュール、2…ナイラッチ、3…アダプタ、10,40…アダプタ取付構造、11…アダプタ、11a…板バネ、20,50…第1パネル、21,51…表面部、21a…挿通孔、21b…本体部、21c…突出部、21d…貫通孔、21e…切り欠き部、22,52…第1折り曲げ部、23…第1側面部、23a…ネジ穴、24…底面部、25…第2側面部、25a…後方部、25b…前方部、25d…ネジ穴、26…切り込み部、26a…第1切り込み部、26b…第2切り込み部、26c…第3切り込み部、30,60…第2パネル、31,61…本体部、31a…挿通孔、31b…切り欠き部、32,62…第2折り曲げ部、32a…ネジ穴、33…スリット部、52a…上面、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、N1,N2…ネジ、X1,X2,X3,X4,X5,X6,X7,X8…識別番号。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
図10