(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】オールアルミニウムヒーター
(51)【国際特許分類】
H05B 3/26 20060101AFI20231107BHJP
H05B 3/02 20060101ALI20231107BHJP
H05B 3/12 20060101ALI20231107BHJP
H05B 3/28 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H05B3/26
H05B3/02 B
H05B3/12 A
H05B3/28
(21)【出願番号】P 2020558053
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(86)【国際出願番号】 US2019027865
(87)【国際公開番号】W WO2019204433
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-23
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502137880
【氏名又は名称】ワトロー エレクトリック マニュファクチュアリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】マルガヴィオ, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】イングリッシュ, カート
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-502408(JP,A)
【文献】特開2000-012195(JP,A)
【文献】特表2004-528677(JP,A)
【文献】国際公開第2008/065930(WO,A1)
【文献】特開2004-031631(JP,A)
【文献】特開2005-026082(JP,A)
【文献】特開2006-225260(JP,A)
【文献】特開昭63-157401(JP,A)
【文献】特開平10-144459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/26
H05B 3/02
H05B 3/12
H05B 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、
アルミニウム材料からなる加熱層
であって、当該加熱層がヒーターとしても結合層としても機能するように、該アルミニウム材料が該セラミック基板に気密接合され且つファイブナインの純度を有している、加熱層と、
を含むヒーター。
【請求項2】
経路層と、
該加熱層を該経路層に接続する複数の第1のビアと、
をさらに備える、請求項1に記載のヒーター。
【請求項3】
該経路層および該複数の第1のビアは、該アルミニウム材料でできている、請求項2に記載のヒーター。
【請求項4】
該経路層を該セラミック基板の表面に接続する複数の第2のビアをさらに含み、該複数の第2のビアは該アルミニウム材料でできている、請求項2に記載のヒーター。
【請求項5】
該セラミック基板が窒化アルミニウム(AlN)でできている、請求項1に記載のヒーター。
【請求項6】
該セラミック基板は、該アルミニウム材料によって結合された複数のプレート部材を含む、請求項1に記載のヒーター。
【請求項7】
該複数のプレート部材が、第1のプレート部材と、複数の第1のビアが貫通して延びる第2のプレート部材とを含み、該加熱層が該第1のプレート部材と該第2のプレート部材との間に配置されている、請求項6に記載のヒーター。
【請求項8】
該第2のプレート部材と第3のプレート部材との間に配置され、該複数の第1のビアと接触する経路層をさらに備える、請求項7に記載のヒーター。
【請求項9】
該複数のプレート部材が、第1のプレート部材、複数の第1のビアが貫通して延びる第2のプレート部材、及び複数の第2のビアが貫通して延びる第3のプレート部材を含み、該加熱層が該第1のプレート部材と該第2のプレート部材との間に配置されている、請求項6に記載のヒーター。
【請求項10】
該複数の第1のビアおよび該複数の第2のビアが該アルミニウム材料からなり、該第3のプレート部材が、該複数の第2のビア内の該アルミニウム材料によって、該第2のプレート部材に結合されている、請求項9に記載のヒーター。
【請求項11】
該第2のプレート部材と該第3のプレート部材との間に配置されて、該複数の第1のビアおよび該複数の第2のビアと接触している経路層をさらに備える、請求項10に記載のヒーター。
【請求項12】
該複数の第2のビアに結合された端子ワイヤをさらに備える、請求項9に記載のヒーター。
【請求項13】
該複数のプレート部材の隣接する表面の表面粗さが100nmから5μmの間である、請求項6から12のいずれか一項に記載のヒーター。
【請求項14】
該セラミック基板が、第1のプレート部材および第2のプレート部材を含み、
該加熱層が、該第1のプレート部材に配置されており、
経路層および複数の第1のビアが該第2のプレート部材に配置されており、
該第1のプレート部材および該第2のプレート部材は窒化アルミニウムでできており、
該加熱層、該経路層、および該複数の第1のビアは、アルミニウム材料でできており、
該第1のプレート部材および第2のプレート部材は、該アルミニウム材料によって互いに結合されている、請求項1に記載のヒーター。
【請求項15】
複数の第2のビアが貫通して延びる第3のプレート部材をさらに備え、該第3のプレート部材は窒化アルミニウムでできており、該複数の第2のビアは該アルミニウム材料でできており、該第3のプレート部材は該複数の第2のビア内の該アルミニウム材料によって該第2のプレート部材に結合されている、請求項14に記載のヒーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2018年4月17日に提出された米国仮出願番号62/658,768の優先権を主張する。上記米国出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して電気ヒーターに関し、より具体的には、セラミック基板ヒーターおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
この項での記述は、本開示に関連する背景情報を提供するだけであり、必ずしも公知技術を構成するものではない。
【0004】
典型的なセラミック基板ヒーターは、一般に、セラミック基板と、セラミック基板内に埋め込まれた抵抗加熱要素とを含む。抵抗加熱要素によって生成された熱は、セラミック材料の優れた熱伝導性のために、セラミック基板の近くに配置された加熱ターゲットに迅速に伝達することができる。
【0005】
しかしながら、セラミック材料は、濡れ性が悪いため、金属材料に結合するのが難しいことが知られている。セラミック材料および金属材料の多くは非濡れ性であり、これにより溶融金属が毛細管圧に逆らってセラミック材料の細孔内に流入して、それらの間を良好に結合することが困難になる。抵抗加熱要素の熱膨張係数(CTE)がセラミック基板のCTEと大きく異なる場合、セラミック基板と抵抗加熱要素の間の結合が悪化する可能性がある。したがって、セラミック基板と抵抗加熱要素との間の界面に亀裂またはエアギャップが生じ、それにより、セラミック材料を介しての抵抗加熱要素から加熱ターゲットへの熱伝達に悪影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、とりわけ、セラミック基板に抵抗加熱要素を形成することに関する問題を扱う。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態において、ヒーターは、セラミック基板と、アルミニウム材料からなる加熱層とを含む。一変形形態では、ヒーターは、経路層と、加熱層を経路層に接続する複数の第1のビアとを備える。いくつかの形態では、経路層および複数の第1のビアは、アルミニウム材料でできている。少なくとも1つの形態では、ヒーターは、経路層をセラミック基板の表面に接続する複数の第2のビアをさらに含み、複数の第2のビアはアルミニウム材料でできている。本開示のいくつかの態様では、セラミック基板は窒化アルミニウム(AlN)でできている。別の変形例では、セラミック基板は、アルミニウム材料によって結合された複数のプレート部材を含む。
【0008】
他の形態では、複数のプレート部材は、加熱層が配置されている第1のプレート部材と、アルミニウム材料から作製された複数の第1のビアが貫通して延びる第2のプレート部材とを含む。いくつかの態様では、経路層は、第2のプレート部材に配置され、複数の第1のビアと接触している。他の態様では、複数のプレート部材は、加熱層が配置された第1のプレート部材と、複数の第1のビアが貫通して延びる第2のプレート部材と、複数の第2のビアが貫通して延びる第3のプレート部材とを含む。
【0009】
一形態では、複数の第1のビアおよび複数の第2のビアはアルミニウム材料から作製され、第3のプレート部材は複数の第2のビア内のアルミニウム材料によって第2のプレート部材に結合される。いくつかの態様では、経路層は、第2のプレート部材に配置され、複数の第1のビアおよび複数の第2のビアと接触している。本開示の少なくとも1つの態様では、ヒーターは、複数の第2のビアに結合された端子ワイヤを含む。いくつかの態様において、複数のプレート部材の隣接する表面の表面粗さは、100nmから5μmの間である。
【0010】
少なくとも1つの形態では、セラミック基板は、第1のプレート部材と第2のプレート部材とを含み、加熱層は第1のプレート部材に配置され、経路層と複数の第1のビアは第2のプレート部材に配置される。また、第1のプレート部材および第2のプレート部材は窒化アルミニウムでできており、加熱層、経路層、および複数の第1ビアはアルミニウム材料でできており、第1のプレート部材および第2のプレート部材は、アルミニウム材料により結合されている。。
【0011】
本開示のいくつかの態様では、第3のプレート部材が含まれ、複数の第2のビアが第3のプレート部材を貫通して延びる。このような態様では、第3のプレート部材は窒化アルミニウムでできており、複数の第2のビアはアルミニウム材料でできており、第3のプレート部材は、複数の第2のビアのアルミニウム材料によって第2のプレート部材に結合されている。
【0012】
適用可能な更なる領域は、本明細書の説明から明らかになるであろう。この説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0013】
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の教示に従って作られたセラミックヒーターの断面図である。
【0015】
【
図2】本開示の教示に従ってセラミックヒーターを製造する方法のフローチャートである。
【0016】
【
図3A】本開示の教示に従って、それぞれ、第1のトレンチ、第1のビアホール、および第2のビアホールを備えた、第1のプレート部材、第2のプレート部材、および第3のプレート部材を準備するステップを示す。
【0017】
【
図3B】本開示の教示に従って、第2のプレート部材を第1のプレート部材に結合するステップを示す。
【0018】
【
図3C】本開示の教示に従って、第3のプレート部材を第1および第2のプレート部材のアセンブリに結合するステップを示す。
【0019】
【
図3D】本開示の教示に従って、第3のプレート部材の第2のビアに端子ワイヤを結合するステップを示す。
【0020】
【
図4】本開示の教示に従って作られた、複数の加熱層および位置合わせ穴を有する第1のプレート部材の変形例の斜視図である。
【0021】
対応する参照番号は、添付図面のいくつかの図にわたって対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明は、本質的には単なる例示であり、本開示、応用、または使用を制限することを意図するものではない。
【0023】
図1に示されるように、本開示の教示に従って製造されたセラミックヒーター10は、窒化アルミニウム(AlN)などのセラミック材料で作られた基板12、熱を生成するための加熱層14、あるいは経路層16、複数の第1のビア18、および複数の第2のビア20を含む。経路層16が含まれる場合、第1のビア18は、加熱層14を経路層16に接続するために、加熱層14と経路層16との間に配置される。また第2のビア20は、経路層16を端子ワイヤ22に接続するために、経路層16の(
図1において)下において基板12の中央領域に配置される。セラミックヒーター10は、半導体加工で支持ペデスタルの一部として使用され得る。
【0024】
基板12は平板状であり、上に載せられる加熱ターゲットを加熱するための上面30と、端子ワイヤ22が延びる底面32とを画定している。支持ペデスタルを形成するために、管状シャフト(図示せず)をセラミックヒーター10の底面32に結合し、端子ワイヤ22を取り囲むようにすることができる。基板12は、複数のプレート部材34、36、38を含むことができる。例示的な例では、3つのプレート部材34、36、38が示されているが、基板12は、任意の数のプレート部材を含むことができる。第1のプレート部材34と第2のプレート部材36の間、および第2のプレート部材36と第3のプレート部材38の間の隣接する表面の表面粗さは、5μm未満、特に100nmから5μmの間である。
【0025】
加熱層14は、第1のプレート部材34に配置される。経路層16および第1のビア18は、第2のプレート部材36に配置される。第2のビア20は、第3のプレート部材38に配置され、第3のプレート部材38を貫通して延びる。加熱層14、経路層16、第1および第2のビア18、20は、すべてアルミニウム材料からできているようにすることができる。しかしながら、加熱層14は、本開示の範囲内において、第1のプレート部材34上にまたは部分的に第1のプレート部材34内に配置され得ることを理解されたい。同様に、経路層16は、本開示の範囲内において、その上または中に、あるいはそれらの組み合わせで配置され得る。
【0026】
あるいは、加熱層14、経路層16、第1のビアおよび第2のビアのうちの1つまたは複数は、アルミニウム材料からなるものとすることができ、残りは、本開示の範囲から逸脱することなく、他の金属材料からなるものとすることができる。加熱層14、経路層16、第1のビアおよび第2のビア18、20がすべてアルミニウム材料からなるものである場合、これらの層/ビアと基板12との間に気密結合が形成され、それにより一般的なセラミックヒーターで必要となる気密処理の必要性を排除する。アルミニウム材料の使用によりアルミニウム材料とセラミック材料との間に生じる気密結合については、以下でより詳細に説明する。
【0027】
アルミニウム材料は、高温で発熱体として動作するために必要な抵抗温度係数(TCR)を備えている。TCRは、温度が上昇すると電気抵抗率が上昇する材料の特性を表す。アルミニウムは、合金組成(たとえば、純度ファイブナイン、7072、6061、5456など)に応じて、室温で2.65×10-8~5.9×10-8Ω-mの範囲の抵抗率を有し、4290×10-6/℃のTCRを有する。アルミニウムの抵抗率は高温で大幅に増加するため、アルミニウムは発熱体に適している。5456(AlMg5Mn1、A95456)アルミニウムなどのアルミニウム合金は、室温での抵抗率が高く、高温での抵抗率も高いため、純アルミニウムよりも使用され得る。
【0028】
加熱層14は、5から200μmの間の厚さを有し得る。経路層16は加熱層14よりも厚くされ、加熱層14に加熱を集中させて経路層16における加熱を低減するようにされている。
【0029】
図2および
図3Aに示すように、セラミックヒーター10を製造する方法50は、ステップ52において、第1のトレンチ40を有する第1のプレート部材34、第1のビアホール42を有する第2のプレート部材36、および第2のビアホール44を有する第3のプレート部材38を準備することから始まる。あるいは、第2のプレート部材36は、このステップにおいて、第1のビアホール42および第2のトレンチ46の両方を有するように形成され得る。第1のトレンチ40は、加熱層14の形状を画定するために使用されるので、第1のトレンチ40の形状は、加熱層14に一定または変化し得る所定の厚さを提供するために正確に制御される必要がある。第1のトレンチ40は、同じ厚さの加熱層14を形成するために、5から200μmの範囲の厚さを有することができる。
【0030】
次に、ステップ54において、第1のプレート部材34の第1のトレンチ40、第2のプレート部材36の第1のビアホール42、および第3のプレート部材38の第2のビアホール44にアルミニウム材料が供給される。第1のトレンチ40内にアルミニウム材料を供給するのに、アルミニウム材料は、アルミホイル、アルミニウム粉末、または第1のトレンチ40内に配置することができる任意の他の固体形態の形態であり得る。第1のビアホール42および第2のビアホール44にアルミニウム材料を供給するために、アルミニウム材料は、第1および第2のビアホール42、44に挿入されるアルミニウムロッドの形態であり得る。あるいは、アルミニウム材料は、とりわけ、スパッタリング、堆積、コールドスプレー、陰極アーク堆積、または他の薄膜プロセスによってアルミニウム粉末を第1のトレンチ40、第1のビアホール42、および第2のビアホール44に供給することにより設けられ得る。本明細書に記載のアルミニウム材料は、必ずしも加熱層14、ビア42、44、および経路層16に対して同じアルミニウム材料である必要はなく、本開示の範囲内において、加熱層等のそれぞれにおいて異なるアルミニウム材料/組成物を使用できる。
【0031】
その後、ステップ56において、第1のプレート部材34、第2のプレート部材36、および第3のプレート部材38は、熱プロセスに供されて、第1のプレート部材34内の加熱層14、第2のプレート部材36を貫通して延びる第1のビア18、第3のプレート部材38を貫通して延びる第2のビア20を形成する。熱プロセスは、1.33×10-3Pa(10-5Torr)~1.33×10-5Pa(10-7Torr)の真空中、または0.1~6.4MPaの圧力で、660℃~1100℃で約10~90分実行される。
【0032】
熱プロセスでは、アルミニウム材料はアルミニウム材料の融点を超えて加熱されて溶融される。溶融アルミニウム材料は、アルミニウム組成物をセラミック材料、特に窒化アルミニウム(AlN)に結合するための良好な濡れ性を有する。したがって、溶融アルミニウムは、第1のトレンチ40、第1のビアホール42、および第2のビアホール44を完全に埋めることができ、第1のトレンチ40、第1のビアホール42、および第2のビアホール44の形状に一致する。溶融アルミニウムが固化すると、アルミニウム材料は、第1のトレンチ40の壁、および第1および第2のビアホール42、44の壁に完全に結合され、その結果、アルミニウム材料と第1のトレンチ40の壁、第1のビアホール42の壁、および第2のビアホール44の壁との間に気密結合が形成される。第1のトレンチ40内のアルミニウム材料は、加熱層14を形成する。第1のビアホール42内のアルミニウム材料は、第1のビア18を形成する。第2のビアホール44のアルミニウム材料は、第2のビア20を形成する。
【0033】
セラミック材料との改善された結合に加えて、アルミニウム材料を使用して加熱層14、経路層16、および第1および第2のビア18、20を形成することは、加熱層14、経路層16、および第1および第2のビア18、20の抵抗および形状をよりよく制御できるという利点を有する。例えば、AlNセラミック内にモリブデン厚膜またはモリブデンロッドを使用する典型的なビア成形方法では、結合プロセスにおいてほとんどの場合にアルミナイドが形成される。したがって、ビアの抵抗と形状を決定して制御することは困難である。
【0034】
第1のトレンチ40および第1のビア18内の溶融アルミニウムが固化した後、ステップ58において第2のプレート部材36が第1のプレート部材34に結合される。
図3Bに示されるように、第2のプレート部材36が第1のプレート部材34に結合されるときに、第1のビア18は加熱層14と接触する。
【0035】
第1および第2のプレート部材34、36の間の結合を容易にするために、第1および第2のプレート部材34、36は、任意選択的に、第1および第2のプレート部材34、36の一方または両方の周辺に沿ってそれらの隣接する表面に少なくとも1つの結合トレンチ(図示せず)を有するように構成され得る。結合トレンチは、第1および第2のプレート部材34、36を一緒に結合するために使用されるアルミニウム材料で満たされて、追加の気密結合を提供する。結合トレンチは、本出願人に共に譲渡された「結合トレンチを備えたセラミックアルミニウムアセンブリ(CERAMIC-ALUMINUM ASSEMBLY WITH BONDING TRENCHES)」と題された同時係属中の米国出願第15/955,431号に記載されており、その内容は全体的に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
アルミニウム材料および結合トレンチを使用して第1および第2のプレート部材34、36を結合するために、隣接する表面に沿った第1のプレート部材34と第2のプレート部材36との間の間隔は5μm未満である。第1および第2のプレート部材34、36は、固体アルミニウム材料と接触するようにして接合される。力と熱が、固体アルミニウム材料の融点より高温でアセンブリに加えられ、固体アルミニウム材料が結合トレンチに流れ込むようにする。追加の熱が、結合トレンチが形成されている第1のプレート部材34または第2のプレート部材36の濡れ温度以上でアセンブリに加えられ、第1のプレート部材34を第2のプレート部材36に結合する。アセンブリが冷却された後、溶融アルミニウムは固化し、第1および第2のプレート部材34、36を一緒に結合して、それらの間に気密結合を形成する。
【0037】
次に、ステップ60で、第2のプレート部材36に第2のトレンチ46を形成する。次に、ステップ62で、アルミニウム材料が第2のプレート部材の第2のトレンチ46に供給される。同様にステップ64において、第2のプレート部材36およびアルミニウム材料が別の熱プロセスにかけられて、第2のプレート部材36の第2のトレンチ46内に経路層16を形成する。この熱プロセスは、ステップ56で説明したものと同様である。
【0038】
あるいは、前述のように、第2のプレート部材36は、アルミニウム材料が供給される前に、ステップ52で第1のビアホール42および第2のトレンチ46を備えるように形成され得る。アルミニウム材料は、第1のビアホール42および第2のトレンチ46に同時に供給されてアセンブリ全体が熱プロセスにかけられる。
【0039】
次に、ステップ66において第3のプレート部材38が第2のプレート部材36に結合される。
図3Cに示されるように、第3のプレート部材38の第2のビア20は、第2のプレート部材36の経路層16と接触する。最後に、ステップ68において、
図3Dに示されるように、端子ワイヤ22が第3のプレート部材38の第2のビア20に結合される。端子ワイヤ22は、端子ワイヤ22を第2のビア20にろう付けまたは溶接することによって冶金学的に、または充填されたアルミニウムをタッピングすることによって機械的に第2のビア20に結合することができる。
【0040】
図4には、変形例である第1のプレート部材70が示されており、このプレート部材70は複数の加熱層72と、アルミニウムロッドまたはアルミニウム材料を配置するための複数の位置合わせ穴74とを有しており、アルミニウムロッドまたはアルミニウム材料は加熱層72を対応する経路層に接続するために挿入される。
【0041】
本開示のセラミックヒーターでは、加熱層はアルミニウムまたはアルミニウム合金でできているが、この材料は高温での機械的特性が低く、セラミックとはCTEが著しく異なるため、通常、加熱要素として使用されないものである。通常は、AlNのCTEと一致するCTEを持つモリブデンやタングステンなどの金属および金属合金を使用して、AlNで作られたセラミック基板にさまざまな機能層を形成し、高温での金属とセラミック基板の間の熱応力を回避する。通常は、TCRが比較的低い金属材料を使用して、材料の抵抗をより適切に制御する。
【0042】
しかしながら、本開示のセラミックヒーターでは、AlN-Al結合システムに特有の方法でアルミニウム材料の特性を利用している。アルミニウムとAlNの間のCTEは大きく異なるが、アルミニウム材料をセラミック基板に濡らすと、それらの間に良好な結合が生じ、熱応力によって界面に亀裂が発生する可能性が低くなる。したがって、本開示の一形態では、アルミニウム材料(例えば、アルミニウム加熱層)は、アルミニウム材料とセラミック基板との間に別個の結合層を使用したり存在させたりすることなく、セラミックに直接結合される。本開示のセラミックヒーターはまた、通常では加熱要素では望ましくないとされる高いTCRのアルミニウムを使用して、加熱層を形成する。アルミニウム材料で作られた加熱層の抵抗は、米国特許第9,123,755号およびその関連するファミリー出願の教示を用いることによって綿密に監視および制御することができ、これら出願は本出願人に譲渡されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
「内側」、「外側」、「真下」、「下」、「下方」、「上方」、「上」などのような空間的に相対的な用語は、1つの要素または図に示されている別の要素または特徴部分との関係を容易に説明するために本明細書で使用される。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる方向を包含することを意図することができる。たとえば、図のデバイスが裏返されると、他の要素または特徴部分の「下」または「真下」として記述されている要素は、他の要素または特徴部分の「上」に向けられ得る。したがって、「下」という用語の例は、上または下の両方の方向を包含することができる。デバイスは、他の態様で方向付けられ(90度または他の方向に回転され)得るものであり、本明細書で使用される空間的に相対的な記述はそれに応じて解釈される。
【0044】
特に明記しない限り、機械的/熱的特性、組成パーセンテージ、寸法および/または公差、または他の特性を示すすべての数値は、本開示の範囲を説明する際に「約」または「おおよそ」という言葉によって修飾され得るものである。この修飾は、産業慣行、製造技術、テスト能力など、さまざまな理由で望まれる。
【0045】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。単数形で表されているものは、文脈で明確に示されていない限り、複数形も含み得ることを意図している。「含む」および「有する」という用語は包括的であり、したがって、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、演算、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載の方法のステップ、プロセス、および操作は、遂行する順序として具体的に特定されない限り、説明または図示された特定の順序で遂行されることを必ず必要とするとは解釈されるべきではない。追加または代替のステップが採用され得る。
【0046】
本開示の説明は、本質的に単なる例示的なものであり、したがって、本開示の内容から逸脱しない例は、本開示の範囲内にあることが意図されている。そのような例は、開示の精神および範囲からの逸脱と見なされるべきではない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示には特定の例が含まれるが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すれば他の変形例が明らかになるのであるから、開示の真の範囲は特定の例に限定されるべきではない。