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特許73793753次元物体を製造するための装置及び方法
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  • 特許-3次元物体を製造するための装置及び方法 図1
  • 特許-3次元物体を製造するための装置及び方法 図2
  • 特許-3次元物体を製造するための装置及び方法 図3a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】3次元物体を製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/34 20140101AFI20231107BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231107BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20231107BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20231107BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20231107BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20231107BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20231107BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20231107BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20231107BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231107BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231107BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20231107BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B23K26/34
G03F7/20 501
B23K26/21 Z
B23K26/082
B22F3/105
B22F3/16
B29C64/153
B29C64/268
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
G02B26/10 104Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020559406
(86)(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 FR2019050942
(87)【国際公開番号】W WO2019207239
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】1853547
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517160927
【氏名又は名称】アッドアップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルラント ジル
(72)【発明者】
【氏名】デナヴィット フランク
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/156824(WO,A1)
【文献】特開2017-148829(JP,A)
【文献】特開2017-042808(JP,A)
【文献】特開2017-115244(JP,A)
【文献】米国特許第05352405(US,A)
【文献】特表平09-504054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
B29C 64/00 - 64/40、
67/00 - 67/08、
67/24 - 69/02、
73/00 - 73/34
B29D 1/00 - 29/10、33/00、
99/00
B33Y 10/00 - 99/00
G02B 26/10 - 26/12
G03F 7/20
B22F 3/105
B22F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的付加造形によって3次元物体を製造するための装置であって、
付加造形粉末の少なくとも1つの層(150)を支持するのに適する支持体(140)と、
レーザビーム(111)を放出するのに適するレーザソース(110)と、
前記粉末層の少なくとも一部分を走査するために前記レーザビームを該粉末層の上に向けるのに適する走査デバイス(130)と、
前記走査デバイスの上流に配置されて走査軌道を変調するためのデバイス(120)であって、該変調デバイスが、前記レーザソースによって放出された前記レーザビームを反射してそれを該走査デバイスに向けて誘導するのに適する変調ミラー(121)を含み、前記レーザビームの伝播方向と前記レーザビームが遭遇するミラー面のレベルでの前記変調ミラーに対する法線との間の角度が20°と45°の間である前記デバイス(120)と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記走査デバイス(130)は、第1の走査ミラー(131)、及び/又は、第2の走査ミラー(132)を含み、該走査デバイスは、第1の走査回転軸(133)に対する該第1の走査ミラーの向き、及び/又は、第2の走査回転軸(134)に対する該第2の走査ミラーの向きを修正するのに適しており、前記変調デバイス(120)は、第1の変調回転軸(122)、及び/又、は第2の変調回転軸(123)に対する前記変調ミラーの向きを修正するのに適していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記走査デバイスは、走査角度値の第1の範囲にわたって前記第1の走査回転軸(133)に対する前記第1の走査ミラー(131)の向き、及び/又は、走査角度値の第2の範囲にわたって前記第2の走査回転軸(134)に対する前記第2の走査ミラー(132)の前記向きを修正するのに適しており、
前記変調デバイス(120)は、変調角度値の第1の範囲にわたって第1の変調回転軸(122)、及び/又は、変調角度値の第2の範囲にわたって前記第2の変調回転軸(123)に対する前記変調ミラーの前記向きを修正するのに適しており、
走査角度値の前記第1の範囲、及び/又は、前記第2の範囲は、変調角度値の前記第1の範囲、及び/又は、第2の範囲よりも広い、
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記走査デバイスは、第1の走査回転軸(133)に対する前記第1の走査ミラー(131)の向き、及び/又は、前記第2の走査回転軸(134)に対する前記第2の走査ミラー(132)の前記向きを走査回転速度で修正するように構成され、
前記変調デバイス(120)は、前記第1の変調回転軸(122)及び/又は前記第2の変調回転軸(123)に対する前記変調ミラー(121)の前記向きを変調回転速度で修正するように構成され、
前記走査回転速度は、前記変調回転速度よりも低い、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記走査デバイスは、第1の走査ミラー(131)及び第2の走査ミラー(132)を含み、該第1の走査ミラーは、前記変調ミラー(121)から出力された前記レーザビームを反射してそれを該第2の走査ミラーに向けて誘導するのに適しており、該第2の走査ミラーは、該第1の走査ミラーから出力された該レーザビームを反射してそれを付加造形粉末の前記層(150)に向けて誘導するのに適しており、
このシステムが、前記粉末層の平面内で2つの自由度で該レーザビームによる該粉末層の走査の軌道を制御するために、前記第1の走査回転軸に対する該第1の走査ミラーの向き及び前記第2の走査回転軸に対する該第2のミラーの向きを制御するのに適していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記変調デバイス(120)は、1.5kHzよりも高い、好ましくは10kHzよりも高いか又はそれに等しい周波数の振動を含む変調に従って前記走査軌道を変調するのに適していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記レーザビームの伝播方向と前記レーザビームが遭遇するミラー面のレベルでの前記変調ミラーに対する法線との間の角度が、25°と35°の間であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記変調ミラー(121)は、炭化珪素を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記変調ミラー(121)は、楕円ミラーであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記変調ミラー(121)は、前記第1の変調回転軸(122)に対する第1の振動と、前記第2の変調回転軸(123)に対する第2の振動とを同時に振動させるのに適している、請求項2に記載の装置
【請求項11】
前記第1の変調回転軸(122)に対する前記第1の振動と、前記第2の変調回転軸(123)に対する前記第2の振動とが、振幅及び/又は周波数において独立して制御される、請求項10に記載の装置
【請求項12】
前記第1の変調回転軸(122)に対する前記第1の振動が、前記第2のmodulation回転軸(123)に対する前記第2の振動に対して位相オフセットを有するように制御される、請求項10又は11に記載の装置
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の前記装置を用いて実施される3次元物体を選択的付加造形によって製造する方法であって、
走査軌道に沿って付加造形粉末の前記層(150)の少なくとも一部を走査する指令に従って前記走査デバイス(130)を制御する段階と、
前記走査デバイスの制御と同時に、前記レーザビームが前記粉末層(150)のレベルで変調走査軌道に従うように前記走査軌道を変調する指令に従って前記変調デバイス(120)を制御する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項2、10、11、又は12のいずれか1項に記載の前記装置を用いて実施される3次元物体を選択的付加造形によって製造する方法であって、
走査軌道に沿って付加造形粉末の前記層(150)の少なくとも一部を走査する指令に従って前記走査デバイス(130)を制御する段階と、
前記走査デバイスの制御と同時に、前記レーザビームが前記粉末層(150)のレベルで変調走査軌道に従うように前記走査軌道を変調する指令に従って前記変調デバイス(120)を制御する段階と、を含み、
前記変調デバイス(120)を前記制御する段階では、該変調デバイスは、変調回転速度で前記第1及び/又は第2の変調回転軸(122、123)に対する前記変調ミラー(121)の前記向きを修正するように制御され、
前記走査デバイス(130)を前記制御する段階では、該走査デバイスは、前記変調回転速度よりも低い走査回転速度で前記第1の走査回転軸(133)に対する前記第1の走査ミラー(131)の及び/又は前記第2の走査回転軸(134)に対する前記第2の走査ミラー(132)の前記向きを修正するように制御される、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的付加造形の技術分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
選択的付加造形は、粉末状材料(金属粉末、セラミック粉末など)の連続階層上の選択されたゾーンの圧密によって3次元物体を生成するする段階で構成される。圧密ゾーンは、3次元物体の連続断面に対応する。圧密は、圧密ソースを使用して実行される全体的又は部分的な選択的融合によって層毎に行われる。このソースは、従来、放射線ソース(例えば、高電力レーザビーム)又は粒子ビームソース(例えば、EBMとして公知の電子ビーム又はこの分野で一般的に使用される専門用語での電子ビーム溶融)である。
【0003】
しかし、従来の付加造形機械は、今日では不十分と見なされる生産性速度を有する。
【0004】
付加造形機械器の生産性を高めるために、レーザソースの数が増加される場合がある。しかし、これは、いくつかの欠点を有する。そのようなシステムの有効性は限られている。異なるレーザソースの存在は、空間の問題を呈する。同じく、レーザソースの増倍は、有意なコストを必然的に伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記に提示した欠点の少なくとも1つを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的に対して、
-付加造形粉末の少なくとも1つの層を支持するのに適する支持体と、
-レーザビームを放出するのに適するレーザソースと、
-粉末層の少なくとも一部分を走査するようにレーザビームを粉末層の上に向けるのに適する走査デバイスと、
-走査デバイスの上流に配置されて走査軌道を変調するためのデバイスであって、変調デバイスが、レーザソースによって放出されたレーザビームを反射するのにかつそれを走査デバイスに向けて誘導するのに適する変調ミラーを含み、変調ミラー上のレーザソースによって放出されるレーザソースの入射角が、20と45°の間である上記変調するためのデバイスと、
を含む、選択的付加造形によって3次元物体を製造するための装置を提供する。
【0007】
有利なことに、本発明は、単独で又は技術的に実施可能なその組合せのうちのいずれかで取られる以下の特徴によって補足される:
-走査デバイスは、第1の走査ミラー及び/又は第2の走査ミラーを含み、走査デバイスは、第1の走査回転軸に対する第1の走査ミラーの及び/又は第2の走査回転軸に対する第2の走査ミラーの向きを修正するのに適している、
-変調デバイスは、第1の変調回転軸及び/又は第2の変調回転軸に対する変調ミラーの向きを修正するのに適している、
-走査デバイスは、第1の範囲の走査角度値にわたって第1の走査回転軸に対する第1の走査ミラーの及び/又は第2の範囲の走査角度値にわたって第2の走査回転軸に対する第2の走査ミラーの向きを修正するのに適している、
-変調デバイスは、第1の範囲の変調角度値にわたって第1の変調回転軸及び/又は第2の範囲の変調角度値にわたって第2の変調回転軸に対する変調ミラーの向きを修正するのに適している、
-走査角度値の第1及び/又は第2の範囲は、変調角度値の第1及び/又は第2の範囲よりも広い、
-走査デバイスは、走査回転速度で第1の走査回転軸に対する第1の走査ミラーの及び/又は第2の走査回転軸に対する第2の走査ミラーの向きを修正するように構成される、
-変調デバイスは、変調回転速度で第1の変調回転軸及び/又は第2の変調回転軸に対する変調ミラーの向きを修正するように構成される、
-走査回転速度は、変調回転速度よりも低い、
-走査デバイスは、第1の走査ミラー及び第2の走査ミラーを含み、第1の走査ミラーは、変調ミラーから出力されたレーザビームを反射してそれを第2の走査ミラーに向けて誘導するのに適しており、第2の走査ミラーは、第1の走査ミラーから出力されたレーザビームを反射してそれを付加造形粉末の層の上に向けるのに適しており、システムは、粉末層の平面内で2つの自由度でレーザビームによる粉末層の走査の軌道を制御するために第1の走査回転軸に対する第1の走査ミラーの及び第2の走査回転軸に対する第2のミラーの向きを制御するのに適している、
-変調デバイスは、1.5kHzよりも高い、好ましくは10kHzよりも高いか又はそれに等しい周波数での振動を含む変調に従って軌道を変調するのに適している、
-変調ミラー上にレーザソースによって放出されるレーザビームの入射角は、25と35°の間である、
-変調ミラー上にレーザソースによって放出されるレーザビームの入射角は、28と32°の間である、
-変調ミラーは、炭化珪素を含む、
-変調ミラーは、楕円形状の平面ミラーである。
【0008】
本発明はまた、そのような装置を用いて実施されてかつ以下の段階:
-走査軌道に沿って付加造形粉末の層の少なくとも一部を走査する指令に従う走査デバイスの制御の段階と、
-走査デバイスの制御と同時に、レーザビームが粉末層のレベルで変調された走査軌道に従うように走査軌道を変調する指令に従う変調デバイスの制御の段階と、
を含む、選択的付加造形によって3次元物体を製造する方法に関する。
【0009】
本発明は、単独で又は技術的に実施可能なその組合せのいずれかで取られる以下の特徴によって有利に補足される:
-変調デバイスを制御する段階では、変調デバイスは、変調回転速度で第1及び/又は第2の変調回転軸に対する変調ミラーの向きを修正するように制御される、
-走査デバイスを制御する段階では、走査デバイスは、変調回転速度よりも低い走査回転速度で第1の走査回転軸に対する第1の走査ミラーの及び/又は第2の走査回転軸に対する第2の走査ミラーの向きを修正するように制御される。
【0010】
本発明の更に別の目標、特徴、及び利点は、以下の図面を参照して単に例示のために与えられて限定ではない以下の説明を読むことから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の例示的実施形態による装置を概略的に描く図である。
図2図1からの装置の斜視図を描く図である。
図3a】本発明の例示的実施形態による軌道のパターンを描く図である。
図3b】本発明の例示的実施形態による軌道のパターンを描く図である。
図3c】本発明の例示的実施形態による軌道のパターンを描く図である。
図4a】本発明の例示的実施形態による軌道のパターンを描く図である。
図4b】本発明の例示的実施形態による軌道のパターンを描く図である。
図5】本発明の例示的実施形態による方法を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
装置の全体構造
図1及び図2を参照して、装置1を説明する。装置1は、例えば付加造形により、例えば選択的付加造形によって物体を製造するための装置1とすることができる。物体は、3次元物体とすることができる。
【0013】
装置1は、支持体140を含むことができる。支持体140は、材料、例えば付加造形材料の少なくとも1つの層150を支持するのに適切とすることができる。材料の層150は、粉末の例えば付加造形粉末の層150である場合がある。
【0014】
装置1は、ソース110を含むことができる。ソース110は、圧密ソースである場合がある。ソース110は、放射線ソース、例えばレーザソース、例えばレーザビームを放出するのに適する例えばレーザ光ソースとすることができる。
【0015】
装置1は、走査デバイス130を含むことができる。走査デバイスは、例えば、例えば走査軌道に沿って例えば層150の少なくとも一部を走査するように、レーザビームを例えば層150の上に向けるのに適切とすることができる。
【0016】
装置1は、デバイス120、例えば変調デバイス120、例えば走査軌道を変調するためのデバイスを含む。デバイス120は、走査デバイス130の上流に配置することができる。デバイス120は、ミラー121、例えば変調ミラー121を含むことができる。ミラー121は、レーザソースによって放出されたレーザビームを反射するのに及び/又はそれを走査デバイスに向けて誘導するのに適切とすることができる。ミラー121上にレーザソースによって放出されるレーザビームの入射角αは、20と45°の間であり、及び/又はレーザソースによって放出されてデバイス120に向けて誘導されるレーザビームとデバイス120から出力されて走査デバイス130に向けて誘導されるレーザビームとの間に形成される角度は、40と90°の間である。
【0017】
入射角は、レーザビームの伝播方向とレーザビームが遭遇するミラー面のレベルでのミラーに対する法線との間の角度である。
【0018】
用語「上流」及び「下流」は、レーザソースによって放出されるレーザビームの光子の流束の方向に対して、すなわち、レーザビームの光路に対して上流及び下流を意味する。すなわち、事前変調を用いて走査デバイス130によって定められた主軌道を変調すること及び従って変調軌道を取得することが可能である。
【0019】
実際に、軌道の変調は、レーザソースによって供給されるエネルギの分布の改善を可能にし、これは、溶融槽の拡幅又は溶融材料のより広いビード及びレーザ経路に対応するベクトル数の低減、及びその結果として融合速度の増加、すなわち、同じ時間単位に対するより大きい溶融表面積によって反映される。正しい融合を得るために、材料は、例えばJ/mm2で表されるフルエンスと呼ばれる時間単位当たりのエネルギ量を必要とする。フルエンスが低すぎると、融合が完了せず、材料は、必要な特性を持たないことになる。フルエンスが高すぎると、レーザスポットのほぼ中心で溶融槽が動的になりすぎることになり、これは、しぶき、スパーク、レーザビームを邪魔するかなりの煙、又は泡立ちのような望ましくない現象に至ることになる。そのような望ましくない現象は、得られる材料の品質を低減する。すなわち、レーザスポットの所与の直径に対して、レーザエネルギ及び融合速度、及び従って生産性は、従来技術では制限される。コンパクト性及び有効性に悪影響を及ぼさない変調デバイスに起因して、本発明は、第2の軌道が粉末槽の上の主軌道上に重ね合わされることを可能にする変調の導入を可能にする。
【0020】
すなわち、軌道の中に変調を導入することにより、局所的レーザスポット及び直線的軌道に固有の制限を回避することが可能である。
【0021】
装置は、すなわち、材料へのエネルギ伝達の効率の増加を可能にする。実際に、レーザビームの電力は、高度に局在化されるので、粉末のような材料は、急速に溶融し、得られる溶融槽は、光子に対してミラーとして作用する。その結果は、この関連では供給されるエネルギの有意な再放出である。
【0022】
すなわち、、関連コストを制限しながら実施するのが単純に留まるより有効なソリューションを取得することが可能である。
【0023】
複数のレーザソースの追加とは対照的に、レーザソースの取得及びその使用に必要な電力の両方にリンクするコストを制限することが可能である。
【0024】
軌道の変調は、溶融槽の冷却動力学のより良い制御及び従って形成された材料の状態、特に金属の場合に冶金学的状態の改善も可能にする。
【0025】
更に、変調パターンの選択により、変調は、例えば溶融槽の縁部と中心の間又は1つの縁部、中心、及び別の縁部の間のエネルギを調節してしぶき及び/又はスパークのような望ましくない現象を制限するために溶融槽の幅にわたって堆積されるエネルギの量を制御することを可能にする。
【0026】
同じく、ソース、変調デバイス、及び走査デバイスの間の相対的な配置の選択により、有効かつコンパクトなデバイスを取得することが可能である。
【0027】
実際に、装置は、いくつかのレーザソースを備えたソリューションと比較して特にコンパクトである。主張する配置は、単一レーザのみを必要とし、かつ付加造形の観点から品質を低減することなく特にコンパクトである。
【0028】
特に、角度のそのような選択は、反射ゾーンの低減及び従って変調ミラーの寸法及び従ってその慣性の低減を可能にする。すなわち、例えば1.5kHzよりも高い高振動周波数を達成すること及び従って変調デバイスの効率を高めることが可能である。
【0029】
同じく、そのような装置は、走査デバイスの広範囲な修正の必要なく、例えば走査デバイスのアクチュエータを制御するためのシステムに干渉することなく、既存の機器を修正することによって取得することができる。
【0030】
レーザソース
レーザソース110は、例えばレーザファイバ、例えば連続レーザ、例えばガウスエネルギ分布を有する単一モードレーザを含む。
【0031】
レーザビームは、250Wよりも高いか又はそれに等しい、例えば500Wよりも高いか又はそれに等しい、例えば5000Wよりも低いか又はそれに等しい、例えば3000Wよりも低いか又はそれに等しい、例えば750と2500Wの間、例えば1000又は2000Wに等しい電力を有することができる。
【0032】
レーザビームは、粉末層150と接触する状態になり、レーザスポット又はスポットを形成することができる。スポットは、例えば50よりも大きいか又はそれに等しい又は60μm、例えば300よりも小さいか又はそれに等しい又は250μm、例えば50と250μmの間、例えば70又は150又は250μmに等しい所与の直径を有することができる。
【0033】
使用するレーザビームは、例えば、1070nmの波長を有することができる。
【0034】
装置1は、焦点距離を制御するための光学要素1101、例えばレーザソースからの出力に配置された焦点距離を制御するための光学レンズを含むことができる。焦点距離を制御するための光学要素は、焦点距離を調節するために移動可能であり、例えば、レーザソース110により近く及び/又はそこから更に離れるように移動するように移動可能であり、例えばレーザソースを離れるレーザビーム111によって形成される軸に沿って移動可能である場合がある。
【0035】
装置1は、例えばレーザソース110と変調デバイス120の間に配置された焦点距離を制御するための光学要素との間に集束デバイス11102を含むことができる。
【0036】
装置1は、例えばトップハットタイプ又はドーナツタイプのエネルギ分布を取得するために、例えば走査された粉末層の部分の面、例えば上面に送出されるエネルギを均質化するようにレーザビームを成形するためのデバイスを含むことができる。成形デバイスは、回折レンズ又は屈折要素である又はそれを含むことができる。
【0037】
走査デバイス
走査デバイス130は、第1の走査ミラー131及び/又は第2の走査ミラー132を含むことができる。走査デバイス130は、すなわち、例えば走査角度値の範囲にわたって1又は2以上の回転軸に対する第1の走査ミラー131の及び/又は第2の走査ミラー132の向きを修正するのに適切とすることができる。走査デバイス130は、例えば走査角度値の第1の範囲にわたって第1の走査回転軸133に対する第1の走査ミラー311の向きを修正するのに適切とすることができる。走査デバイス130は、例えば走査角度値の第2の範囲にわたって第2の走査回転軸134に対する第2の走査ミラー132の向きを修正するのに適切とすることができる。
【0038】
走査デバイス130は、走査回転速度で第1の走査回転軸133に対する第1の走査ミラー131の及び/又は第2の走査回転軸134に対する第2の走査ミラー132の向きを修正するように構成することができる。
【0039】
第1の走査ミラー131は、変調ミラー121から出力されたレーザビーム112を反射してそれを第2の走査ミラー132に向けて誘導するのに適している及び/又はそのように制御することができる。第2の走査ミラー132は、第1の走査ミラー132から出力されたレーザビームを反射してそれを層150の上に向けるのに適切とすることができる。システムは、例えば粉末層の平面の2つの方向に例えば粉末層の平面内で2つの自由度でレーザビームによる層150の走査の軌道を制御するために、第1の走査回転軸133に対する第1の走査ミラー132の及び第2の走査回転軸134に対する第2のミラー132の向きを制御するのに適切とすることができる。粉末層の平面は、粉末層の面、例えば上面に対応する平面とすることができる。
【0040】
走査デバイス130は、例えば第1の走査ミラー131及び/又は第2の走査ミラー132の向きを修正するための少なくとも1つのアクチュエータを含むことができる。従って、走査デバイス130は、第1の走査回転軸133に対する第1の走査ミラー131の向きを修正するための第1のアクチュエータと、第2の回転軸134に対する第2の走査ミラー132の向きを修正するための第2のアクチュエータとを含むことができる。
【0041】
第1の走査ミラー131及び/又は第2の走査ミラー132は、平面ミラー及び/又は例えば切断形状、楕円形、又は矩形、例えば正方形、又は円形に成形されたミラーとすることができる。
【0042】
走査デバイス130は、付加造形粉末の層150の少なくとも一部のレベルで走査軌道又は主軌道をレーザビームに対して課す又はそれに沿ってレーザビームを誘導するのに適切とすることができる。走査軌道又は主軌道は、変調デバイス120による変調がない場合にレーザビームによって辿られると考えられる経路に対応する。それは、すなわち、走査デバイス130のある一定の制御に対応する。最終的な軌道は、すなわち、以下に説明するように主軌道及び2次軌道に依存する。
【0043】
主軌道は、1又は2以上の例えば直線部分を含むことができる。これらの部分は、変調がない場合にビームが粉末層150に実質的に到達し、従って、これらの部分を辿るスポットを形成すると考えられる軌道の各部分に対応する。これらの部分は、例えばベクトルを形成する。
【0044】
軌道は、対応する瞬間にレーザビームが放出されない又は走査デバイス130に到達しないので変調がない場合にレーザビームが粉末層150に実質的に到達しないと考えられる部分に対応する2つの部分を分離する1又は2以上のジャンプを含むことができる。
【0045】
少なくとも2つの部分、例えば、2つの連続部分は、ベクトルギャップと呼ばれるギャップによって分離することができる。主軌道の連続部分は、例えば、同じギャップによって分離される。ギャップは、例えば100μmよりも大きく、例えば200μmよりも大きく、例えば400μmよりも大きく、例えば1000μmよりも小さく、例えば700μmよりも小さく、例えば500μmに等しい。変調デバイスを含む装置は、従来技術と比較してベクトルギャップの増加を可能にし、従って、主軌道の長さ及び従って製造時間を短縮することによってより高い効率を可能にする。
【0046】
走査デバイス130は、3軸走査ヘッドを含むことができる。装置1は、次に、好ましくは、焦点距離1101を制御するための光学要素及び/又は上述の集束デバイス11102を含むことができる。
【0047】
走査デバイス130は、2軸走査ヘッドを含むことができる。装置1は、次に、好ましくは、走査デバイス130と層150の間に集束デバイス1を含むことができる。集束デバイス1は、例えばレンズ、例えば平面視野レンズ、例えばF-シータレンズを含む。
【0048】
変調デバイス
変調デバイス120は、変調角度値の範囲にわたって例えば少なくとも1つの回転軸に対して例えば回転によって変調ミラー121の向きを修正するのに適切とすることができる。変調デバイス120は、例えば変調値の第1の範囲にわたって例えば第1の変調回転軸122に対する変調ミラー121の向きを修正するのに適切とすることができる。これに代えて又はこれに加えて、変調デバイス120は、例えば第2の変調値の範囲にわたって第2の変調回転軸123に対する変調ミラー121の向きを修正するのに適切とすることができる。第1の変調回転軸122及び第2の変調回転軸123は、2つの直交軸とすることができる。
【0049】
変調値の第1の範囲及び/又は変調値の第2の範囲は、例えば、±0.0025radと±0.0015radの間、例えば±0.002radの振幅を有する。
【0050】
走査角度値の範囲は、変調角度値の範囲よりも広い場合がある。走査角度値の第1及び/又は第2の範囲は、変調角度値の第1及び/又は第2の範囲よりも広い場合がある。実際に、変調は、例えば、走査デバイス130の制御からもたらされる主軌道上に重ね合わされる2次軌道を課すことにより、主軌道を決定する走査の変調を意図している。
【0051】
変調デバイス120は、変調回転速度で第1の変調回転軸122及び/又は第2の変調回転軸123に対する変調ミラー121の向きを修正するように構成することができる。走査回転速度は、変調回転速度よりも低くすることができる。実際に、変調デバイスは、従って、より大きい反応性を提供することができる。
【0052】
変調デバイス120は、例えば変調ミラー121の向きを修正するための少なくとも1つのアクチュエータを含むことができる。変調デバイス120は、すなわち、第1の変調回転軸122に対する変調ミラーの向きを修正するための第1のアクチュエータと、第2の変調回転軸123に対する変調ミラーの向きを修正するための第2のアクチュエータとを含むことができる。
【0053】
少なくとも1つのアクチュエータ、例えば、第1のアクチュエータ及び/又は第2のアクチュエータは、例えば、少なくとも1kHzよりも高いか又はそれに等しい、例えば1.5kHzよりも高い、例えば2kHzよりも高い、例えば15kHzよりも低い、例えば12kHzよりも低い、例えば1.5と10kHzの間の振動周波数で振動するのに適する圧電アクチュエータである又はそれを含むことができる。そのようなアクチュエータは、コンパクトかつ低コストに留まりながら高周波数が達成されることを可能にする。同じく、そのようなアクチュエータは、変調中の位置、すなわち、振幅の制御に対して及び変調がない場合に対応する基準位置への復帰に対して高い角度精度を可能にする。
【0054】
少なくとも1つのアクチュエータ、例えば、第1のアクチュエータ及び/又は第2のアクチュエータは、電磁気又は機械アクチュエータである又はそれを含むことができる。
【0055】
少なくとも1つのアクチュエータ、例えば、第1のアクチュエータ及び/又は第2のアクチュエータは、例えば、少なくとも10kHzよりも高い、例えば15kHzよりも高い、例えば20kHzに等しい振動周波数で振動するのに適するMEMSとしても公知の微小電気機械システムである又はそれを含むことができる。そのような高変調周波数は、層上の満足できるパターン密度を保持しながら主走査速度の増加を可能にする。
【0056】
少なくとも1つのアクチュエータ、例えば、第1のアクチュエータ及び/又は第2のアクチュエータは、検流計である又はそれを含むことができる。
【0057】
ミラー121上にレーザソースによって放出されるレーザビームの入射角αは、25と35°の間とすることができ、及び/又はレーザソースによって放出されてデバイス120に向けて誘導されるレーザビームとデバイス120から出力されて走査デバイス130に向けて誘導されるレーザビームとの間に形成される角度は、50と70°の間とすることができる。
【0058】
レーザビームは、それが変調ミラー上で反射された時に20と40mmの間の直径、例えば約23mm直径、及び/又は粉末層の面で50と100μmの間の直径を有することができる。
【0059】
45°の入射角αに対して、変調ミラー上で反射された時に約30mm直径のレーザビームに関して、変調ミラーは、少なくとも長さ42mmと幅30mmの楕円反射ゾーンを有するべきである。しかし、30°の入射角に対して、変調ミラーは、長さ35mmと幅30mmの楕円反射ゾーンを有することができる。関連の質量は、従って、18%の程度だけ低減される。
【0060】
変調ミラー上にレーザソースによって放出されるレーザビームの入射角は、28と32°の間、例えば30°に等しいとすることができる。
【0061】
変調ミラー121は、例えば、切断形状又は楕円形の例えば平面又は成形ミラーであるミラーとすることができる。そのような形状は、材料の量を制限するのに特に適しており、粉末層の面上にレーザによって到達することができるゾーンを制限することなく高速振動を可能にする。
【0062】
例えば、楕円ミラーは、Df/cos(α)と2Df/cos(α)の間の長さを有し、Dfは、レーザビームの直径であり、αは、変調ミラー上にレーザソースから放出されるレーザビームの入射角であり、例えば1.6Df/cos(α)に等しい。ミラーは、例えば、Dfと1.1Dfの間、例えばDfに等しい幅を有する。Dfは、例えば、1/e2でのレーザビームの直径又はガウススポットのエネルギの86%パーセントでのD86である。
【0063】
これに代えて、変調ミラー121は、矩形ミラー、例えば正方形、又は円形ミラーである場合がある。
【0064】
変調ミラー121は、基板及び反射面コーティングを含むことができる。そのようなコーティングは、ミラー上の光子の反射を改善することができる。そのようなコーティングは、ミラーによるレーザビームのエネルギの吸収を防止又は制限するのを補助し、かつミラーの加熱を防止又は制限し、加熱は、変形に至り、かつビームの品質を低減する。そのようなコーティングは、従って、変調ミラーの使用寿命の延長を可能にする。変調ミラー121は、例えば、炭化珪素を含む。ミラーは、例えば、基板を含み、基板は、例えば、炭化珪素である及び/又は実質的に炭化珪素から形成される。炭化珪素は、ベリリウムのような材料に固有の欠点、例えば、毒性及び供給困難性及び供給コストを有することなく、質量/剛性の観点から良好な性能を提供する。すなわち、変調ミラーの質量及び従って慣性を更に低減し、従って、変調デバイス120のアクチュエータの振動周波数を更に高めることが可能である。
【0065】
変調デバイス120は、変調に従って軌道を変調するのに適切とすることができる。変調デバイス120は、すなわち、付加造形粉末の層150の少なくとも一部のレベルで主軌道上に重ね合わされる変調軌道又は2次軌道をレーザビームに対して課す又はそれに沿ってレーザビームを誘導するのに適切とすることができる。
【0066】
変調ミラー121は、例えば、少なくとも1つの軸、例えば2つの軸に対して、例えば第1の変調回転軸122及び/又は第2の変調回転軸123に対して振動するのに適切とすることができる。変調ミラー121は、すなわち、2つの軸、例えば第1の変調回転軸122及び/又は第2の変調回転軸123に対して同時に及び/又は独立に振動するのに適切とすることができる。
【0067】
変調ミラー121は、すなわち、第1の変調回転軸122に対して第1の振動を使って及び/又は第2の変調回転軸123に対して第2の振動を使って振動するのに適切とすることができる。変調ミラー121は、例えば正弦波又は円形パターンを発生させるために第1の変調回転軸122に対して第1の振動を使って及び第2の変調回転軸123に対して第2の振動を使って同時に振動するのに適切とすることができる。第1の変調回転軸122及び/又は第2の変調回転軸123に対する振動は、例えば、2つの軸122と123の間で独立に振幅及び/又は周波数を制御することができる。
【0068】
第1の変調回転軸122に対する振動は、第2の回転軸123に対する振動に対して相対的な位相オフセットを有するように制御することができる。例えば、位相オフセットを制御することは、パターン形状、パターン形状の変化、及び/又は走査方向に対するパターンの向きの調節を可能にする。
【0069】
振動は、例えば、100μmよりも大きい、例えば200μmよりも大きい、例えば2000μmよりも小さい、例えば1000μmよりも小さい、例えば750μmよりも小さい、例えば500μmに等しい振幅で粉末層150のレベルでの例えば2次軌道に固有の得られる振動を可能にする。振動は、同じスポット移動速度と同じフルエンスに対して溶融槽の幅を広げることを可能にすることができる。従って、ベクトルギャップ及び従って比面積生産性を相応に増大することが可能である。
【0070】
変調ミラーは、例えば、第1の変調回転軸122及び/又は第2の変調回転軸123に対して1.5kHzよりも高い、好ましくは2.5kHzよりも高い、好ましくは10kHzよりも高い周波数で振動するのに適切とすることができる。変調は、パターン、例えば、1.5kHzよりも高い、好ましくは2.5kHzよりも高い、好ましくは例えば10kHzよりも高い周波数で繰り返される周期パターンを含むことができる。パターンは、例えば、振動である。変調は、パターンを形成することができる。従って、変調デバイスを使用して変調を導入することが可能である。
【0071】
2次軌道は、例えば、パターンを粉末層の一部の面で主軌道上に重ね合わせることができるようなパターンを含むことができる。
【0072】
図3aから3cを参照すると、例示的パターンが示されている。パターンは、正弦波である。
【0073】
図3a上では、太字の要素は、ギャップ303及びジャンプ302によって分離された各部分301を含む主軌道を表しており、一方で細い線内の要素は、レーザスポット304が通過する正弦波振動を提示するために2次軌道の重ね合わせ後の変調軌道を表している。
【0074】
図3b上では、2次軌道又は対応する変調軌道は、時間の関数としての軸に沿った変動として示されている。
【0075】
図3cは、時間の関数として第1の変調回転軸305に関連付けられた制御と第2の変調回転軸306に関連付けられた制御との間の2次軌道を詳細に示している。この例では、変調ミラーは、専ら第2の変調回転軸の周りで振動する。
【0076】
図4a及び4bを参照すると、例示的パターンが示されている。パターンは、円形である。
【0077】
図4a上では、第2の軌道又は対応する変調軌道は、時間の関数としての軸に沿った変動として示されている。
【0078】
図4bは、時間の関数として第1の変調回転軸405に関連付けられた制御と第2の変調回転軸406に関連付けられた制御との間の2次軌道を詳細に示している。この例では、変調ミラーは、第1の変調回転軸の周囲と第2の変調回転軸の周囲の両方で振動する。
【0079】
レーザソース110、変調デバイス120、及び走査デバイス130は、例えば、1000cm2/minよりも大きい、例えば2000cm2/minよりも大きい、例えば4000cm2/minよりも大きい、例えば15,000cm2/minよりも小さい、例えば10,000cm2/minよりも小さい、例えば6000cm2/minの程度である面融合速度、すなわち、単位時間当たりのレーザスポットによって覆われる粉末層の面積を可能にするように配置される。変調デバイスが存在に起因して、本発明による装置は、面融合速度及び従って比面積生産性の劇的な増加を可能にする。
【0080】
変調デバイス120及び走査デバイス130は、例えば、0.5と10m/sの間、例えば1と5m/sの間、例えば1又は2m/sに等しいレーザスポットの移動速度を可能にするように配置される。
【0081】
変調ミラー121は、走査デバイス130が3軸走査ヘッドを含む場合に、例えば、集束デバイス11102の下流のレーザソース110によって放出されるレーザビームの収束部のレベルに配置することができる。従って、レーザビームの品質の乱れを制限することが可能である。実際に、焦点距離1101を制御するための光学要素を離れるレーザビームは、発散性であり、集束デバイス11102を離れた後にのみ収束する。変調デバイス120を他の場所、特に更に上流に配置することは、レーザビームを偏心させることによって光学機能を乱す危険を冒すと考えられる。
【0082】
層及び支持体
支持体は、例えば、層が追加される時に移動されるように意図したレートを含む。
【0083】
上記又は各粉末層150は、例えば、10と100μmの間、例えば20と60μmの間、例えば40μmに等しい厚みを有する。
【0084】
上記又は各粉末層150の材料は、例えば、0.5と10J/mm2の間、例えば1と5J/mm2の間、例えば2J/mm2に等しいフルエンスを有する。
【0085】
上記又は各粉末層150の材料は、チタン及び/又はアルミニウム及び/又はインコネル及び/又はステンレス鋼及び/又はマルエージング鋼を含むことができる。上記又は各粉末層150の材料は、チタン及び/又はアルミニウム及び/又はインコネル及び/又はステンレス鋼及び/又はマルエージング鋼で構成することができる。
【0086】
他のソース
レーザソース110と同様に、装置は、第2のソースを含むことができる。第2のソースは、粒子ビームソース、例えば電子ビームソース、例えば電子ビーム溶融ソース(この分野で一般的に使用されている専門用語での)、例えば電子銃とすることができる。
【0087】
従って、装置1は、選択的融合を達成するためにいくつかのエネルギソースを含むハイブリッド装置とすることができる。第2のソースは、物体のコアで選択的融合を実行するのに適する1次エネルギソースを形成することができる。レーザソース110は、周囲ゾーンで、例えば物体の表皮に又はその縁部で選択的融合を実行するのに適する2次エネルギソースを形成することができる。
【0088】
このようにして、その周囲のレベルで及びその容積が異なる機械的又は金属組織学的特性を有する物体を取得することが可能である。
【0089】
装置1はまた、例えば、上述のレーザソースのような1又は2以上の他のレーザソース110を含むことができる。1又は2以上の他のレーザソース110、例えば各他のレーザソース110は、走査デバイス130、例えば上述のような走査デバイス130、及び/又は変調デバイス120、例えば上述のような変調デバイス120を含むことができる。従って、1又は複数の粉末層の異なるゾーンを処理するためにいくつかのレーザソース及び/又は走査デバイス及び/又は変調デバイスを並行して使用して大きい支持体及び大きい粉末層を通じて大きい構成要素を製造することが可能である。
【0090】
制御手段
装置1は、装置を制御するのに、例えば、レーザソース110及び/又は変調デバイス120及び/又は走査デバイス130を制御するのに適する制御手段を含むことができる。
【0091】
制御手段は、例えば、制御ユニットを含む又はそれを形成する。
【0092】
制御手段は、例えばデータストレージ手段、例えばデータストレージユニット、例えばRAMメモリ及び/又はROMメモリを含む。ストレージ手段は、以下に説明する方法に対応する命令を格納するのに適切とすることができる。
【0093】
制御手段は、例えば計算手段、例えばプロセッサを含む。
【0094】
制御手段は、以下に説明するような方法を実施するように構成することができる。
【0095】
方法
図5を参照して、方法を選択的付加造形工程による3次元物体の製造に関して説明する。
【0096】
本方法は、装置1を用いて実施することができる。
【0097】
本方法は、走査軌道又は主軌道に沿って付加造形粉末の層150の少なくとも一部を走査する指令に従って走査デバイス130を制御する段階400を含むことができる。
【0098】
本方法は、走査軌道を変調する指令に従って変調デバイス120を制御するために段階400での走査デバイスの制御と同時に実施される段階402を含むことができる。走査軌道を変調する指令は、例えば、第2の軌道又は変調軌道に対応する。
【0099】
段階400及び402は、レーザビームが粉末層150のレベルで変調された走査軌道に従うように実施することができる。変調された走査軌道は、走査軌道上の変調軌道の重ね合わせに対応することができる。
【0100】
走査デバイス130を制御する段階400では、走査デバイスは、走査回転速度で第1の走査回転軸134に対する第1の走査ミラー131の及び/又は第2の走査ミラー132の向きを修正するように制御することができる。変調デバイス120を制御する段階402では、変調デバイス120は、変調回転速度で第1の変調回転軸122及び/又は第2の変調回転軸123に対する変調ミラー121の向きを修正するように制御することができる。走査回転速度は、変調回転速度よりも低い場合がある。
【0101】
詳細な例
70μmのスポット径、2m/sのスポット移動速度、40μmの層厚、2J/mm2のフルエンスに対して、変調デバイス120なしの従来技術の例示的装置は、それが600cm2/minの面融合速度を達成すると考えられるような50μmのギャップを必要とし、かつ200Wのレーザ電力に制限されると考えられ、一方、変調デバイス120を含む上述の装置のような例示的装置は、例えば、500μmのギャップと500μmの2次軌道の振動幅とを可能にし、かつより大きいレーザ電力、例えば1000から2000Wを使用し、3000から6000cm2/minの面融合速度及び従って5対10の比だけ改善される比面積生産性を可能にすると考えられる。
【符号の説明】
【0102】
1 選択的付加造形によって物体を製造するための装置
110 レーザソース
120 変調デバイス
130 走査デバイス
150 粉末層
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5