(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】トンネル内非常用設備及びコードリール
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20231107BHJP
E21F 17/18 20060101ALI20231107BHJP
A62C 3/00 20060101ALI20231107BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G08B17/00 G
E21F17/18
A62C3/00 J
H05K7/00 A
(21)【出願番号】P 2021163252
(22)【出願日】2021-10-04
(62)【分割の表示】P 2017225595の分割
【原出願日】2017-11-24
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】島本 夏希
【審査官】馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094694(JP,A)
【文献】特開平06-251267(JP,A)
【文献】特開2002-325126(JP,A)
【文献】特開2000-049922(JP,A)
【文献】特開2005-284935(JP,A)
【文献】実開昭60-033559(JP,U)
【文献】実開昭56-060385(JP,U)
【文献】実開昭56-026484(JP,U)
【文献】特開2001-187674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
H05K 7/00
H04M 1/02 - 1/23
H04M 11/00 - 11/10
B65H 75/00 - 75/32
B65H 54/56 - 54/88
H04R 1/06
E21F 17/18
A62C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災受信盤に設けられた通話器と、
トンネル内に設置された設備機器
に接続される通話機との間を通話接続する
トンネル内非常用設備であって、
前記防災受信盤に
設けられた前記通話器に接続される
通話セットのコードを巻き付け
て前記防災受信盤に出し入れ自在に収納可能なコードリールを備え
、
前記コードリールは、
前記コードを外周部に巻き付けた状態で、前記コードに設けられたマイクを内部空間に収納して係止可能なドラムと、
前記ドラムの一端に配置され、前記内部空間を閉鎖する閉鎖フランジと、
前記ドラムの他端に配置され、前記内部空間を開放する開口フランジと、
前記閉鎖フランジの外端面に配置された磁石部材と、
前記開口フランジの周縁の複数個所に形成され、前記コードを掛け止め可能な切欠と、
を備えたことを特徴とする
トンネル内非常用設備。
【請求項2】
防災受信盤に設けられた通話器と、トンネル内に設置された設備機器に接続される通話機との間を通話接続するトンネル内非常用設備で使用され、前記防災受信盤に設けられた前記通話器に接続される
通話セットのコードを巻き付け
て前記防災受信盤に出し入れ自在に収納可能なコードリールであって、
前記コードを外周部に巻き付けた状態で、前記コードに設けられたマイクを内部空間に収納して係止可能なドラムと、
前記ドラムの一端に配置され、前記内部空間を閉鎖する閉鎖フランジと、
前記ドラムの他端に配置され、前記内部空間を開放する開口フランジと、
前記閉鎖フランジの外端面に配置された磁石部材と、
前記開口フランジの周縁の複数個所に形成され、前記コードを掛け止め可能な切欠と、
を備えたことを特徴とするコードリール。
【請求項3】
請求項2記載のコードリールに於いて、前記通話セットは、マイクとイヤホンを別々に又は一体に備えたことを特徴と
するコードリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内の設備機器側に設けられた子通話器との間で通話連絡をとる防災受信盤に設けられた親通話器のコードをコードリールに巻いて収納するトンネル内非常用設備及びコードリールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路等のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。
【0003】
このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器、手動通報装置、非常電話設備が設けられ、また火災の消火や延焼防止のために消火栓装置が設けられ、更
にトンネル躯体を火災から防護するために水噴霧ヘッドから消火用水を散水させる水噴霧などが設置され、非常用設備の設備機器を監視センターに設けられた防災受信盤からの伝送回線に接続して監視制御することでトンネル非常用設備を構築している。
【0004】
また、監視センターの防災受信盤とトンネル内に設置した設備機器との間で点検時等に通話連絡を行う通話設備が設けられている。この通話設備は、防災受信盤の前面パネルに親器として使用する通話器を取り出し自在に収納しており、トンネル内に設置された設備機器、例えば消火栓装置に設けられた通話ジャック端子に、現場担当者が携帯している端末子器として使用する通話器をプラグで接続し、防災受信盤の親通話器とトンネル内の子通話器との間で通話連絡を取りながら設備機器の点検作業を進めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-055024号公報
【文献】特開2009-285126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような従来の防災受信盤で通話器を使用しながら点検等の作業を行う場合には、担当者は点検内容や点検結果をノート等に記録しながら作業を進めており、両手が塞がれていることが多いことから、防災受信盤に収納している通話器にマイクとイヤホンの付いた通話セットをコードにより接続し、ハンドフリーとして通話連絡をとりながら作業を進めている。
【0007】
しかしながら、通話連絡を必要とする作業を行う場合、担当者は所定の場所、例えば防災受信盤の盤内や盤裏面などに保管している通話セットを取り出して、防災受信盤に配置された通話器に通話セットのコードを接続して使用することになり、また、通話を伴う作業が終了した場合には、通話器から通話セットのコードを外し、元の場所に通話セットを戻して保管させる必要があり、通話連絡に使用する通話セットの保管や取り扱いが煩雑になる問題がある。
【0008】
この問題を解決するためには、防災受信盤に配置している通話器に、通話セットのコードを接続したままにしておけば良い。しかしながら、通話セットのコードは防災受信盤での作業による動きを可能にするため例えば1メートルから2メートルといった長さが必要であり、通話器に通話セットを接続したままにしていると、防災受信盤の前に通話セットの長いコードが垂れ下がった状態となり、通話器を使用していない場合に邪魔になる問題がある。
【0009】
本発明は、防災受信盤に収納されている通話器に、コードにより接続して使用するマイクとイヤホンを備えた通話セットの取り扱いを、簡単且つ便利にして通話連絡を取りながら行う作業の作業効率を向上させるトンネル内非常用設備及びコードリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(非常用設備)
本発明は、防災受信盤に設けられた通話器と、トンネル内に設置された設備機器に接続される通話器との間を通話接続するトンネル内非常用設備であって、
防災受信盤に設けられた通話器に接続されるマイクとイヤホンを備えた通話セットのコードを巻き付けて防災受信盤に出し入れ自在に収納可能なコードリールを備えたことを特徴とする。
【0011】
(コードリールの構成)
コードリールは、
コードを外周部に巻き付けた状態で、コードに設けられたマイクを内部空間に収納して係止可能なドラムと、
ドラムの一端に配置され、内部空間を閉鎖する閉鎖フランジと、
ドラムの他端に配置され、内部空間を開放する開口フランジと、
閉鎖フランジの外端面に配置された磁石部材と、
開口フランジの周縁の複数個所に形成され、コードを掛け止め可能な切欠と、
を備える。
【0012】
(コードリール)
本発明は、防災受信盤に設けられた通話器と、トンネル内に設置された設備機器に接続される通話器との間を通話接続するトンネル内非常用設備で使用され、防災受信盤に設けられた通話器に接続されるマイクとイヤホンを備えた通話セットのコードを巻き付けて防災受信盤に出し入れ自在に収納可能なコードリールであって、
コードを外周部に巻き付けた状態で、コードに設けられたマイクを内部空間に収納して係止可能なドラムと、
ドラムの一端に配置され、内部空間を閉鎖する閉鎖フランジと、
ドラムの他端に配置され、内部空間を開放する開口フランジと、
閉鎖フランジの外端面に配置された磁石部材と、
開口フランジの周縁の複数個所に形成され、コードを掛け止め可能な切欠と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(基本的な効果)
本発明は、防災受信盤に設けられた親通話器と、トンネル内に設置された通話端子に着脱自在に接続される子通話器との間を、音声通話回線を介して通話接続するトンネル内非常用設備に於いて、防災受信盤の前面に開口して形成され、親通話器を出し入れ自在に収納する親通話器収納部と、親通話器に接続されるマイクとイヤホンを備えた通話セットのコードを巻き付けられるコードリールと、親通話器収納部に隣接し且つ前面に開口して形成され、コードリールが出し入れ自在に収納されるコードリール収納部とが設けられたため、防災受信盤に配置されている親通話器に通話セットのコードを接続していても、コードはコードリールに巻かれ、防災受信盤前面の親通話器収納部に隣接したコードリール収納部に収納されており、通話セットのコードが長くとも、コードリールに巻かれて収納されることで、盤前面に長いコードが垂れ下がって邪魔になることはなく、通話セットを別の場所に保管して管理する必要がなくなり、通話連絡を伴う作業の際には、関係者は盤前面からコードリールを取り出して通話セットを装着するだけで良く、作業が終了した場合も、コードをコードリールに巻いて戻すだけで良く、通話連絡を伴う作業を効率良く進めることを可能とする。
【0014】
(コードリールの構成による効果)
また、コードリールは、コードが巻き付けられる円筒ドラムと、円筒ドラムの一端に配置されて閉鎖させる閉鎖フランジと、円筒ドラムの他端に配置される開口を備えた開口フランジと、円筒ドラム内の軸方向に起立され、円筒ドラムの両側に閉鎖フランジと開口フランジを挟着固定させると共に、円筒ドラム内に位置する軸部に通話セットのマイクを係止させる連結軸部材と、閉鎖フランジの外端面に配置されたシート状の磁石部材と、開口フランジの周縁の複数個所に形成されてコードを係止させる切欠とを備えたため、円筒ドラムにコードを巻き付けた状態で、コード先端の通話セットに設けられているタイピン付きマイクロホンを、タイピンにより内部の連結軸部材の軸部に挟み付けておくことで、コードリールから飛び出すことなく、コードリール収納部に収納可能となる。
【0015】
また、コードリールに通話セットのマイクロホンが収納されていることで、防災受信盤のコードリール収納部にコードを巻いたコードリールを入れたままで、コードリールのマイクロホンによる通話連絡が可能となる。
【0016】
また、コードリールの閉鎖フランジの外端面にはシート状の磁石部材が設けられていることから、利用者は、コードリール収納部から取り出したコードリールを、作業を進める際に防災受信盤における盤面の任意の位置に吸着保持させ、そこからコードを引き出して通話セットを装着して作業を効率良く進めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】防災受信盤に収納されているコードリールを示した斜視図
【
図4】コードリールを左側面、正面及び右側面で示した説明図
【
図6】コードリールに通話セットのコードを巻いた状態を示した説明図
【
図7】通話セットのコードを巻いたコードリール内にマイクをタイピンで係止した状態を示した説明図
【
図8】コードリールにコードを巻いた通話セットを使用した作業の一例を示した説明図
【
図9】コードリールにコードを巻いた通話セットを使用した作業の他の例を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
[トンネル非常用設備の概要]
図1はトンネル内非常用設備の概要を示した説明図である。
図1に示すように、高速道路または自動車専用道路のトンネルとして、上り線トンネル12aと下り線トンネル12bが構築されており、トンネル内部には、トンネル長手方向に、火災の消火や延焼防止のためにノズル付きホースを収納した消火栓装置14が50メートル間隔で設置されている。
【0019】
また、トンネル内には、消火栓装置14以外の設備機器として、事故に伴う車両火災を検知する火災検知器や、火災通報のために手動通報装置が設けられ、更にトンネル躯体やダクト内を火災から防護するために水噴霧ヘッドから消火用水を散水させる水噴霧などが設置されるが、図示を省略している。
【0020】
一方、監視センター等には防災受信盤10が設置されている。防災受信盤10には、監視制御に使用するタッチパネル付きの液晶ディスプレイ22とトンネル側との通話連絡に使用する親通話器26が設けられており、親通話器26の下側には、親通話器26の通話に使用するマイクとイヤホンを備えた通話セットのコードが巻かれたコードリール30が収納されている。
【0021】
防災受信盤10からは上り線トンネル12aと下り線トンネル12bに対し伝送路18a,18bが引き出され、トンネル内に設置された消火栓装置14の設備機器やそれ以外の非常設備の機器が接続されている。
【0022】
また、防災受信盤10からは通話回線20が引き出され、通話回線20は例えば下り線トンネル12b及び上り線トンネル12aの順に引き回されている。防災受信盤10側の通話回線20には親通話器26が接続され、トンネル内の通話回線20には、例えば、消火栓装置16に設けられている通話ジャック端子16が接続されている。
【0023】
トンネル内で点検などの作業を行う担当者は、例えば、上り線トンネル12aの左端の消火栓装置14に示すように、携帯している子通話器27を消火栓装置14の通話ジャック端子16に接続することで、防災受信盤10に設けられた親通話器26との間での通話連絡が可能となる。なお、親通話器26と子通話器27は、同じ通話器であるが、子通話器27は電池電源で動作する点が相違する。
【0024】
(防災受信盤の収納構造)
図2は防災受信盤の外観を示した説明図であり、
図2(A)に防災受信盤全体を示し、
図2(B)に親通話器とコードリールを収納した部分を拡大して示している。
【0025】
図2に示すように、防災受信盤10の前面パネル11の中央には液晶ディスプレイ22が配置され、液晶ディスプレイ22の左側に親通話器収納部24が前面に開口して形成され、その中に、親通話器26が収納され、
図1に示したように、親通話器26は通話回線20に接続されている。
【0026】
親通話器収納部24の下側に隣接して前面に開口されたコードリール収納部28が形成され、その中にコードリール30が出し入れ自在に収納されている。コードリール30には、親通話器26にプラグ接続されたマイクとイヤホンを備えた通話セットのコードが巻かれている。
【0027】
防災受信盤10の親通話器26とトンネル内の子通話器27との間で通話連絡を取りながら作業を進める場合には、担当員はコードリール30をコードリール収納部28から取出して通話セットのコードを引き出し、通話セットのイヤホンを耳にセットすると共に、マイクはタイピンにより顔に近い衣服に留め、この状態で通話連絡を取りながら作業を進めることになる。
【0028】
[コードリールの構造]
図3は防災受信盤に収納されているコードリールを示した斜視図、
図4はコードリールを左側面、正面及び右側面で示した説明図、
図5はコードリールの断面構造を示した説明図であり、
図5(A)は
図4(A)のX-X断面を示し、
図5(B)は
図4(A)のY-Y断面を示している。
【0029】
図3及び
図4に示すように、コードリール30は、通話セットのコードを巻く円筒ドラム32、円筒ドラム32の右端に配置されて閉鎖させる閉鎖フランジ34、円筒ドラム32の左端に配置される開口38を備えた開口フランジ36で構成される。
【0030】
円筒ドラム32の両側に配置された閉鎖フランジ34と開口フランジ36は、
図5の断面図に示すように、円筒ドラム32内の軸方向に起立された2本の連結軸部材42に対し、外側からビス46をねじ込むことで、円筒ドラム32の両側に閉鎖フランジ34と開口フランジ36を挟着固定させている。なお、ビス46の頭部はフランジ面の凹陥部に収納され、フランジ面から飛び出すことはない。
【0031】
このような円筒ドラム32に対する閉鎖フランジ34と開口フランジ36の組み付け固定により、コードリール30の内部に、左側の開口38を備えた内部空間48が形成される。コードリール30内の内部空間48に位置している連結軸部材42の軸部には、通話セットに設けられたマイクをタイピンにより係止させることで、コードリール30内の内部空間48にマイクを保持可能としている。
【0032】
再び
図3及び
図4を参照するに、開口フランジ36の周囲4か所には、円周方向の長穴を中央で外側に開口した形状の切欠40が形成され、コードリール30に巻き付けた通話セットのコードを、切欠40を通すことで掛け止め可能としている。
【0033】
また、閉鎖フランジ34の外側端面には、シート状の磁石部材44が2枚配置されており、
図2に示した防災受信盤10は板金パネルで作られていることから、磁石部材44によりコードリール30を防災受信盤10のパネル面の任意の位置に磁気吸着により保持させることを可能とする。
【0034】
[コードリールによる通話セットの保持]
図6はコードリールに通話セットのコードを巻いた状態を示した説明図である。
図6に示すように、コードリール30には、親通話器の通話に使用する通話セット50のコード52が巻き付けられている。通話セット50はコード52の一端にプラグ54が設けられ、プラグ54は親通話器に接続されたコードに設けられた電話ジャック端子56に接続される。なお、プラグ54を親通話器のジャック端子に直接接続しても良い。
【0035】
通話セット50におけるコード52の他端にはイヤホン60とマイク62が接続されている。イヤホン60はイヤーホルダ58に取り付けられており、イヤーホルダ58により係員の耳にイヤホン60を装着可能としている。マイク62にはタイピン64が設けられ、係員の衣服にマイク62を装着可能としている。
【0036】
図7は通話セットのコードを巻いたコードリール内にマイクをタイピンで係止した状態を示した説明図である。
図7にあっては、マイク62に設けられたタイピン64を、
図3乃至
図5に示したコードリール30の内部空間48に位置する連結軸部材42に挟み付けることで、コードリール30の内部空間48にマイク62を収納して係止させている。
【0037】
このようにマイク62をコードリール30の内部空間に収納して係止させ、更に、コードリール30にプラグ54側のコード52も完全に巻いた状態で、
図2に示したように、コードリール30は防災受信盤10の前面パネル11に形成されたコードリール収納部28に出し入れ自在に収納されることになる。
【0038】
[コードリールの通話セットを用いた作業]
図8はコードリールにコードを巻いた通話セットを使用した作業の一例を示した説明図である。
【0039】
図8に示すように、トンネル内の設備機器を点検する際に、防災受信盤10につく担当者70は、防災受信盤10における前面パネル11に形成されているコードリール収納部28からコードリール30を取り出し、コードリール30に巻かれている通話セットのコード52を伸ばし、イヤホン60を耳に装着すると共に、マイク62を顔に近い衣服などにタイピンにより留める。
【0040】
このとき、コードリール30から完全にコード52を外していない場合には、
図4に示した磁石部材44により前面パネル11の任意の位置にコードリール30を吸着させて作業を行う。コードリール30からコード52を完全に取出している場合には、前面パネル11の任意の位置にコードリール30を吸着固定させるか、コードリール収納部28に戻しておいても良い。
【0041】
ここで、親通話器26は、イヤホン60とマイク62を備えた通話セットをコード52により接続した場合、所謂VOX機能(Voice Operated Rely)に基づく通話制御が行われる。親通話器26のVOX機能は、通話受信から通話送信に切り替えるためのPTTスイッチ(プッシュ・ツー・トーク・スイッチ)を使用することなく、マイクから入力された音声信号を検出すると自動的に送信に切り替わり、音声信号を検出しなくなると自動的に受信に切り替わる機能であり、担当者70はハンドフリーでトンネル内の子通話器との通話連絡ができる。
【0042】
また、親通話器26は、スピーカを備えており、スイッチ切替えによりイヤホンからスピーカへの音声出力に切り替えることができる。
【0043】
図9はコードリールにコードを巻いた通話セットを使用した作業の他の例を示した説明図である。
【0044】
図9に示すように、担当者70は、親通話器26にコード52を介して接続されている通話セットのイヤホン60とマイク62を装着しておらず、
図7に示したように、コードリール30における内部空間48の連結軸部材42にタイピン64によりマイク62を係止して収納保持させたまま、コードリール30を担当者70の顔に近い前面パネル11の位置に吸着させており、併せて、親通話器26をスピーカ出力の動作モードに切り替えている。
【0045】
このため担当者70は、防災受信盤10側の親通話器26のスピーカ出力による子通話器からの連絡内容を聞き、コードリール30に収納保持されているマイク62に向かって話すことで、通話連絡を取ることができ、担当者70は通話セットの装着による動きの規制を受けることなく、通話連絡を取りながら効率よく作業を進めることが可能となる。
【0046】
なお、
図9にあっては、マイク62を保持したコードリール30をコードリール収納部28から取り出して前面パネル11に吸着保持させて使用しているが、コードリール収納部28にマイク62を保持したコードリール30を収納したまま、同様にして、通話連絡を行うようにしても良い。
【0047】
[本発明の変形例]
(通話セット)
上記の実施形態は、イヤホンとマイクを別々に装着可能な通話セットを使用しているが、イヤホンとマイクが一体に設けられたイヤーセットやヘッドセットを用いても良い。
【0048】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0049】
10:防災受信盤
12a:上り線トンネル
12b:下り線トンネル
14:消火栓装置
16,56:通話ジャック端子
18a,18b:伝送路
20:通話回線
22:液晶ディスプレイ
24:親通話器収納部
26:親通話器
27:子通話器
28:コードリール収納部
30:コードリール
32:円筒ドラム
34:閉鎖フランジ
36:開口フランジ
38:開口
40:切欠
42:連結軸部材
44:磁石部材
46:ビス
48:内部空間
50:通話セット
52:コード
54:プラグ
58:イヤーホルダ
60:イヤホン
62:マイク
64:タイピン