(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】口腔内シート
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20231107BHJP
A61C 17/00 20060101ALI20231107BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231107BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20231107BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
A61K8/02
A61C17/00 Z
A61K9/70
A61P1/02
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2021190676
(22)【出願日】2021-11-25
(62)【分割の表示】P 2021092352の分割
【原出願日】2019-11-14
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】筒井 生
(72)【発明者】
【氏名】都合 知一
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-168370(JP,A)
【文献】特開2001-335470(JP,A)
【文献】特開2009-001571(JP,A)
【文献】特表2004-534809(JP,A)
【文献】特開2001-322928(JP,A)
【文献】特表2006-509036(JP,A)
【文献】特開2016-117682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61C 17/00
A61K 9/70
A61P 1/02
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯牙貼着シートと、該歯牙貼着シートの歯牙に貼付される面を被覆する剥離シートとを備える、口腔内シートであって、
前記歯牙貼着シートは、歯列に沿う第1方向と該第1方向と直交する第2方向とを有し、且つ本体部と、該本体部から第1方向の一方に延出した延出部とを有しており、
前記歯牙貼着シートは、
前記延出部によって、該延出部を含む第1方向の全長を2等分する歯牙貼着シート中心線に対して左右非対称に形成されており、
第2方向に沿う長さを幅と表現したときに、前記延出部の幅が前記歯牙貼着シートの全幅に対して20%以上70%以下であり、
前記延出部の第1方向の長さが2.8mm以上であり、
前記歯牙貼着シートは、引張強度20MPa時のひずみが2%以上であ
り、且つ唾液に対し溶解性を有する作用層と該作用層よりも溶解性が低い保護層とを有しており、
前記作用層を介して貼付した後、ブラッシングすることにより前記歯牙貼着シートが崩壊する、口腔内シート。
【請求項2】
前記歯牙貼着シートの厚みは、35μm以上500μm以下である、請求項1に記載の口腔内シート。
【請求項3】
前記歯牙貼着シートは、ヘーズ値が80以下である、請求項1又は2に記載の口腔内シート。
【請求項4】
前記歯牙貼着シートと前記剥離シートとは互いに色が異なっている、請求項1~3の何れか1項に記載の口腔内シート。
【請求項5】
前記本体部は、前記第1方向における該本体部の全長を2等分する本体部中心線に対して左右対称に形成されている、請求項1~4の何れか1項に記載の口腔内シート。
【請求項6】
前記延出部は、前記本体部における第2方向の一方に偏って配されている、請求項1~5の何れか1項に記載の口腔内シート。
【請求項7】
前記歯牙貼着シートは、第1方向の他方に延出した延出部を有しない、請求項1~6の何れか1項に記載の口腔内シート。
【請求項8】
前記歯牙貼着シートとして、上の歯に貼付して用いられる上の歯用シートと、下の歯に貼付して用いられる下の歯用シートとが、第1方向を揃えて、同一又は連結された前記剥離シートに貼付されており、
前記上の歯用シートと前記下の歯用シートとで、前記延出部が第1方向の同じ側に並んでいる、請求項1~7の何れか1項に記載の口腔内シート。
【請求項9】
前記歯牙貼着シートが、歯牙に貼付される面を形成し、歯牙に対して作用する機能成分を含む作用層を備える、請求項1~8の何れか1項に記載の口腔内シート。
【請求項10】
前記歯牙貼着シートが、前記歯牙貼着シートの歯牙に貼付される面の表面に凹部を有する、請求項1~9の何れか1項に記載の口腔内シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯牙に貼付されて用いられる口腔内シートに関する。
【背景技術】
【0002】
歯牙のエナメル質の表面や内部に汚れが沈着することで、歯牙が着色したり、歯牙全体が変色したりすることが知られている。歯牙を白色化して、歯牙の外観を向上させる観点から、歯牙に貼付されて用いられるシートが提案されている。例えば、特許文献1には、相互に異なる形状を有する上歯用パッチと下歯用パッチとを具備し、これらパッチが所定の幅と形状を有する、歯牙美白パッチが記載されている。
【0003】
特許文献2には、2枚のスパンレース不織布と、これら不織布間に介在された所定厚さのポリエチレン又はポリプロピレン層とからなる3層構造を有する支持体上に、膏体組成物からなる粘着剤層が形成されている、歯牙又は歯茎用貼付シートが記載されている。
【0004】
特許文献3には、軸方向の伸長に対して抵抗力を生じる第1の区域及び第2の区域を有する裏当て層と、該裏当て層上に配設された口腔ケア組成物とを具備しており、該裏当て層は、ひずみ可能な網状組織を含み、使用時に少なくとも2つの段階の抵抗力が生じる、口腔ケア活性物質の送達のための材料のストリップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2006-509036号公報
【文献】特開2010-168370号公報
【文献】特表2016-502415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したシートは、使用時に、歯牙の表面に貼付して使用される。しかしながら、貼付操作中に該シートにおける歯牙貼着面がどちらであったかわからなくなったり、貼付操作中に歯牙貼着面に必要以上に触れて歯牙への適用効果が低下してしまったりと、使用時における口腔内シートの操作性に課題があることを、本発明者らは見出した。
【0007】
したがって、本発明の課題は、従来技術が有する上述した解決課題を解決し得る口腔内シートを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、歯牙貼着シートと、該歯牙貼着シートの歯牙に貼付される面を被覆する剥離シートとを備える、口腔内シートである。
前記歯牙貼着シートは、歯列に沿う第1方向と該第1方向と直交する第2方向とを有し、且つ本体部と、該本体部から第1方向の一方に延出した延出部とを有していることが好ましい。
前記歯牙貼着シートは、前記延出部を含む第1方向の全長を2等分する歯牙貼着シート中心線に対して左右非対称に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用時の操作性に優れる口腔内シートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係る口腔内シートの一実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す歯牙貼着シートの第1方向に沿う断面図である。
【
図3】
図3(a)~(c)は、
図1に示す口腔内シートの使用方法を説明するための図である。
【
図4】
図4(a)~(c)は、本発明に係る歯牙貼着シートの他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2には、本発明の口腔内シートの一実施形態が示されている。本実施形態の口腔内シート1は、歯牙貼着シート3と、該歯牙貼着シート3の歯牙に貼付される貼付面41を被覆する剥離シート2とを備えている。口腔内シート1は、剥離シート2から歯牙貼着シート3を剥離して、該歯牙貼着シート3を歯牙に貼付することにより使用される。使用方法については、後で詳述する。本実施形態の口腔内シート1は、使用前において、歯牙貼着シート3の貼付面41と剥離シート2とが対向するように、該歯牙貼着シート3と剥離シート2とが剥離可能に積層されている。口腔内シート1は、剥離シート2上に、該剥離シート2と同じ面積の歯牙貼着シート3が剥離可能に積層されていても良いが、剥離シート2上に、該剥離シート2よりも面積の小さい歯牙貼着シート3が剥離可能に積層されていることが好ましい。
【0012】
歯牙貼着シート3は、貼付面41と、該貼付面41とは反対側の面である裏面45とを有している(
図2参照)。
【0013】
本実施形態の歯牙貼着シート3は、
図2に示すように、貼付面41を形成する作用層42と、裏面45を形成する保護層44とが積層した積層構造を有している。
作用層42は、歯牙や歯茎、歯肉に対して作用する機能成分を好ましくは含有している。機能成分は、作用層42が歯牙や歯茎、歯肉と接触した状態下で該歯牙や歯茎、歯肉へ移行して、該機能成分の作用を発現する。作用層42は、歯牙のエナメル質、象牙質、歯茎、及び歯肉からなる群から選ばれる1つ以上の部位に作用し得る機能成分を含有し得る。機能成分は、歯牙を白色化する作用、冷たいものがしみる知覚過敏を抑制する作用、う蝕や歯周病を予防する作用等の各種作用を発現するものを、特に制限なく用いることができる。本実施形態においては歯牙に対して作用する機能成分を含有しているが、歯茎や歯肉に対して作用する機能成分を含有していても良い。
【0014】
本実施形態において作用層42は、唾液に対し溶解性を有する。斯かる構成により、作用層42から歯牙への機能成分の移行性を向上し得る。前記溶解性を向上させる観点から、歯牙貼着シート3において作用層42、即ち貼付面41を形成する部分は、水溶性高分子を含有していることが好ましい。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、デキストリン、ポリエチレンオキシド、水溶性ナイロン、天然多糖類等が挙げられる。天然多糖類としては、アルギン酸ナトリウム、トラントガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、プルラン等が挙げられる。
【0015】
使用時における歯牙貼着シート3の保型性を向上させる観点から、歯牙貼着シート3は、作用層42よりも溶解性が低い保護層44を有していることが好ましい。斯かる構成により、歯牙貼着シート3を歯牙や歯茎、歯肉に貼付した状態(以下、貼付状態ともいう)において、歯牙貼着シート3が裏面45から溶解することを抑制し得る。これにより、歯牙や歯茎、歯肉への機能成分の移行性が向上するとともに、貼付状態の歯牙貼着シート3が溶解することによる不快感を低減することができる。溶解性の高低は、唾液に対する溶解性であるが、便宜上生理食塩水に対する溶解性で判断してもよい。
【0016】
後述するように歯に貼付した歯牙貼着シート3を脱離させる観点から、保護層44は、水不溶性でかつ親水基を有するポリマーを含有することが好ましい。斯かるポリマーは、水不溶性であることから疎水性を示し、また親水基を有することから水又は水溶性溶媒中に分散可能な性質を有している。前記ポリマーとしては、例えば、エチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、ポリビニルアセタール、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、マンナン、カゼイン、ナイロン、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、オキサゾリン変性シリコーン等が挙げられる。これらのポリマーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
使用後に歯牙貼着シート3を歯牙表面から容易に脱離させる観点から、例えば、作用層42にプルラン、及び保護層44にエチルセルロースの組み合わせが好ましい。
【0017】
作用層42及び保護層44それぞれは、上述した成分以外に、他の各種の添加剤を含有してもよい。他の各種の添加剤としては、例えば、中和剤、可塑剤、界面活性剤、香料等が挙げられる。
【0018】
剥離シート2は、歯牙貼着シート3を剥離可能に構成されている。剥離シート2の形成材料は特に制限されず、例えばポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
本実施形態の口腔内シート1は、歯牙貼着シート3として、上の歯に貼付して用いられる上の歯用シートAと、下の歯に貼付して用いられる下の歯用シートBとを有している。以下、特に断りがない限り、歯牙貼着シート3の説明は、上の歯用シートA及び下の歯用シートBそれぞれに適用される。
【0020】
歯牙貼着シート3は、貼付状態において歯列に沿う第1方向Xと該第1方向Xと直交する第2方向Yとを有している。本実施形態の歯牙貼着シート3は、第1方向Xに長い形状を有している。本実施形態の上の歯用シートA及び下の歯用シートBは、第1方向Xの長さが互いに異なっていてもよい。
歯牙貼着シート3は、本体部30と、該本体部30から第1方向Xの一方に延出した延出部36とを有している。本体部30は、歯牙の表面に貼付される主な部分である。延出部36は、第2方向Yの長さが本体部30よりも短い部分である。
【0021】
本実施形態のように、上の歯用シートA及び下の歯用シートBは、第1方向Xにおける本体部30の全長を2等分する本体部中心線CL2の位置が互いに一致するように、同一の剥離シート2に配されているとよい。上の歯用シートAと下の歯用シートBとは、本実施形態のように同一の剥離シート2にて剥離可能に積層されていてもよく、連結された剥離シートにて剥離可能に積層されていてもよく、別体の剥離シートにて剥離可能に積層されていてもよい。
【0022】
本実施形態において歯牙貼着シート3は、歯の表側に貼付される第1領域Fと、折り返されて歯の裏側に貼付される第2領域Rとを有している。本実施形態の歯牙貼着シート3は、第1領域Fを歯の表側に貼付した状態において、後述する折り返し線WLを境に第2領域Rが折り返されると、該第2領域Rが歯の裏側に貼付される。
【0023】
本実施形態の本体部30は、第1方向Xにおける該本体部30の全長を2等分する本体部中心線CL2に対して左右対称に形成されているとよい。本実施形態のように、上の歯用シートA及び下の歯用シートBは、延出部36を含む歯牙貼着シート3の第1方向Xの全長を2等分する歯牙貼着シート中心線CL1の位置が互いに一致するように、同一の剥離シート2に配されていてもよい。
【0024】
歯牙貼着シート3は、歯牙貼着シート中心線CL1に対して左右非対称に形成されている。斯かる歯牙貼着シート3を具備する口腔内シート1は、使用時の操作性に優れており、容易に歯牙の表面に適用することができる。すなわち、貼付操作中に歯牙貼着面がどちらであったかわからなることが抑制できるため、正確に歯牙の表面に適用することができる。この口腔内シート1の操作性について、
図3を参照しながら説明する。
【0025】
口腔内シート1の使用方法では、先ず剥離シート2から歯牙貼着シート3を剥離する操作が行われる。歯牙貼着シート3は、前述したように左右非対称に形成されているので、口腔内シート1の左右及び表裏を容易に識別することができる。また、使用者は、直感的に延出部36を摘むことができ、剥離シート2から歯牙貼着シート3を容易に剥離させることができる〔
図3(a)参照〕。そして延出部36を摘んだ状態で、そのまま歯牙の表面に歯牙貼着シート3を貼付することができ、該シート3を歯に貼付する操作を容易に行うことができる〔
図3(b)参照〕。このように、使用者の手指等と接触する主たる部位として延出部36を設けることで、剥離する操作や貼付する操作に際し、本体部30の作用層42と使用者の手指等との接触が極力抑制されて、本体部30の作用層42における機能成分を安定して維持することができる。即ち、本体部30の作用層42における機能成分の作用の低減を効果的に抑制することができる。特に、作用層42が水溶性高分子を含有している場合、剥離シート2から歯牙貼着シート3を剥離させる際に、手指の水分で歯牙貼着シート3が溶解して機能成分が減少する虞があることを本発明者はこの度見出した。また、延出部36を有することで、歯牙貼着シート3の貼付操作中に貼付面がどちらであったかわからなくなることが抑制できるため、正確に歯牙の表面に適用することができる。
次いで、歯牙貼着シート3は、第1領域Fが歯列に沿って歯の表側に貼付される。この際、延出部36も歯牙の表面に貼付される。次いで、歯牙貼着シート3の第2領域Rを歯の裏側に折り返し〔
図3(c)参照〕、該第2領域Rを歯列に沿って歯の裏側に貼付して、歯牙貼着シート3を貼付状態とする。この貼付状態を所定時間維持した後、歯ブラシ等を用いて歯牙貼着シート3ごとブラッシングを行い、歯牙貼着シート3を崩壊させた後、水で漱いで歯牙貼着シート3を歯から脱離させる。
【0026】
一方、歯牙貼着シート中心線に対して左右対称であり、延出部を有しない従来の口腔内シートは、剥離シート2から剥離する際に、使用者がどこを摘むべきなのかが不明確である。また、剥離する操作と、貼付する操作とで、歯牙貼着シートを摘む箇所を変更しなくてはならず、歯牙貼着シートを摘まみ直さなくてはならない点で操作が煩雑になり易い。さらに、摘まみ直すことで歯牙貼着シートどうしが貼り付いたり、当該シートが使用者の手指に貼り付いたりすることがある。この歯の表面以外への貼り付きにより、作用層42における機能成分が減少し、機能成分の作用が低減する虞がある。また、歯牙貼着シートがその中心線に対して左右対称であると、貼付操作中に貼付面がどちらであったかわからなくなることがある。
【0027】
歯牙貼着シート3を剥離シート2から剥離する操作及び、歯牙貼着シート3を歯に貼付する操作について操作性をより向上させる観点から、歯牙貼着シート3の寸法等は以下の範囲内であることが好ましい。
第1方向Xにおける延出部36の長さL1(
図1参照)は、第1方向Xにおける歯牙貼着シート3の全長L(
図1参照)に対して好ましくは3%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上であり、また好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下であり、また好ましくは3%以上30%以下、より好ましくは10%以上25%以下、さらに好ましくは15%以上20%以下である。
第1方向Xにおける延出部36の長さL1(
図1参照)は、好ましくは2.8mm以上、より好ましくは5.6mm以上、さらに好ましくは8.4mm以上であり、また好ましくは20.4mm以下、より好ましくは17mm以下、さらに好ましくは13.6mm以下であり、また好ましくは2.8mm以上13.6mm以下、より好ましくは5.6mm以上17mm以下、さらに好ましくは8.4mm以上13.6mm以下である。
第1方向Xにおける歯牙貼着シート3の全長L(
図1参照)は、好ましくは22mm以上、より好ましくは38mm以上、さらに好ましくは55mm以上であり、また好ましくは112mm以下、より好ましくは91mm以下、さらに好ましくは70mm以下であり、また好ましくは22mm以上112mm以下、より好ましくは38mm以上91mm以下、さらに好ましくは55mm以上70mm以下である。
【0028】
延出部36の幅W1(
図1参照)は、歯牙貼着シート3の全幅W(
図1参照)に対して好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上であり、また好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下であり、また好ましくは20%以上70%以下、より好ましくは30%以上60%以下、さらに好ましくは40%以上50%以下である。延出部36の幅、及び歯牙貼着シート3の全幅Wは、これらの第2方向Yにおける最大長さである。
【0029】
第1方向Xにおける歯牙貼着シート3の全長L(
図1参照)は、歯牙貼着シート3の全幅W(
図1参照)に対して好ましくは120%以上、より好ましくは190%以上、さらに好ましくは250%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは650%以下、さらに好ましくは310%以下であり、また好ましくは120%以上1000%以下、より好ましくは190%以上650%以下、さらに好ましくは250%以上310%以下である。
【0030】
延出部36の幅W1(
図1参照)は、好ましくは4.4mm以上、より好ましくは6.6mm以上、さらに好ましくは8.8mm以上であり、また好ましくは15.4mm以下、より好ましくは13.2mm以下、さらに好ましくは11mm以下であり、また好ましくは4.4mm以上15.4mm以下、より好ましくは6.6mm以上13.2mm以下、さらに好ましくは8.8mm以上11mm以下である。
歯牙貼着シート3の全幅W(
図1参照)は、好ましくは13mm以上、より好ましくは16mm以上、さらに好ましくは20mm以上であり、また好ましくは35mm以下、より好ましくは32mm以下、さらに好ましくは29mm以下であり、また好ましくは13mm以上35mm以下、より好ましくは16mm以上32mm以下、さらに好ましくは20mm以上29mm以下である。
【0031】
本実施形態の本体部30は、第1方向Xに長い形状を有していることが望ましい。
第1方向Xにおける本体部30の長さL2(
図1参照)は、第2方向Yにおける歯牙貼着シート3の全幅Wに対して好ましくは110%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上であり、また好ましくは900%以下、より好ましくは600%以下、さらに好ましくは260%以下であり、また好ましくは110%以上900%以下、より好ましくは150%以上600%以下、さらに好ましくは200%以上260%以下である。
第1方向Xにおける本体部30の長さL2(
図1参照)は、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上、さらに好ましくは40mm以上であり、また好ましくは100mm以下、より好ましくは80mm以下、さらに好ましくは60mm以下であり、また好ましくは20mm以上100mm以下、より好ましくは30mm以上80mm以下、さらに好ましくは40mm以上60mm以下である。
【0032】
操作性及び延出部36の視認性をより向上させる観点から、延出部36は、本体部30における第2方向Yの一方に偏って配されていることが好ましい。斯かる構成により、歯牙貼着シート3における延出部36の視認性を向上させるとともに、歯牙貼着シート3が第1領域F及び第2領域Rを有する場合に、第1領域Fを貼付する操作と、第2領域Rを折り返す操作とを容易にすることができる。
延出部36は、第1領域Fに形成されていてもよく、あるいは、第2領域Rに形成されていてもよいが、第2領域Rを折り返す操作をより容易にする観点から、第1領域Fに形成されていることが好ましく、さらに、第1領域Fにおける第1方向Xの一端側に形成されていることがより好ましい。
【0033】
本実施形態の歯牙貼着シート3は、本体部30における第1方向Xの一方側のみに延出部36を有しているが、歯牙貼着シート3は、本体部30における第1方向Xの両側に延出部36を有していてもよい。歯牙貼着シート3を左右非対称とするため、歯牙貼着シート3が本体部30における第1方向Xの両側に延出部36を有する場合、これら両延出部は、その延出長さや形状が同じでないことが好ましい。ただし、延出部36の視認性を向上させて、直感的な操作を容易にする観点から、歯牙貼着シート3は、第1方向Xの他方に延出した延出部36を有しないことがより好ましい。
【0034】
図1中の口腔内シート1では、上の歯用シートAを、第1領域Fが上側、第2領域が下側に位置するように配し、下の歯用シートBを、第1領域Fが下側、第2領域が上側に位置するように配した状態で示されている。斯かる配置状態は、上の歯用シートA及び下の歯用シートBの口腔内における配置関係と対応しており、直感的な操作を容易にする点で好ましい。
【0035】
本実施形態の上の歯用シートAは、前記配置状態において歯牙貼着シート3側から正面視したときに、延出部36が、第1領域Fの左側に位置している。本体部30における第1方向Xの両側に延出部36を有している場合は、これら両延出部36のうち第1方向Xの長さが長い方、又は面積が大きい方が、第1領域Fの左側に位置していることが好ましい。
本実施形態の下の歯用シートBは、前記配置状態において歯牙貼着シート3側から正面視したときに、延出部36が、第1領域Fの左側に位置している。本体部30における第1方向Xの両側に延出部36を有している場合は、これら両延出部36のうち第1方向Xの長さが長い方、又は面積が大きい方が、第1領域Fの左側に位置していることが好ましい。
このように、延出部36が左側に位置している配置、又は本体部30の両側にある延出部36のうち第1方向Xの長さが長い方若しくは面積が大きい方が第1領域Fの左側に位置している配置は、右利きの使用者が使用する場合の操作性の観点から好ましい。具体的には、右手で延出部36を摘んで歯牙貼着シート3を剥離した場合、貼付面41を手前側に裏返すことで、該貼付面41を歯の表側に貼付する操作を容易に行い得る。
【0036】
左利きの使用者が使用する場合、貼付面41を手前側に裏返して、該貼付面41を歯の表側に貼付する操作を容易にする観点から、上の歯用シートA及び下の歯用シートBは、以下の配置であること好ましい。
上の歯用シートAは、前記配置状態において歯牙貼着シート3側から正面視したときに、延出部36が、第1領域Fの右側に位置している。本体部30における第1方向Xの両側に延出部36を有している場合は、これら両延出部36のうち第1方向Xの長さが長い方又は面積が大きい方が、第1領域Fの右側に位置している。
下の歯用シートBは、前記配置状態において歯牙貼着シート3側から正面視したときに、延出部36が、第1領域Fの右側に位置している。本体部30における第1方向Xの両側に延出部36を有している場合は、これら両延出部36のうち第1方向Xの長さが長い方又は面積が大きい方が、第1領域Fの右側に位置している。
したがって、操作性をより向上させる観点から、上の歯用シートA及び下の歯用シートBが、第1方向を揃えて、同一又は連結された剥離シート2に剥離可能に積層されている場合、上の歯用シートAと下の歯用シートBとで、延出部36が第1方向Xの同じ側に並んでいることが好ましい。換言すると、上の歯用シートAと下の歯用シートBとで、延出部36が同じ方向に突出していることが好ましい。あるいは、本体部30における第1方向Xの両側に延出部36を有している場合は、上の歯用シートAと下の歯用シートBとで、本体部30の両側に突出する両延出部36のうち第1方向Xの長さが長い方又は面積が大きい方が、第1方向Xの同じ側に並んでいることが好ましい。
【0037】
本実施形態の歯牙貼着シート3は、前述したように、第1領域Fと第2領域Rとを有しているとよい。本実施形態の歯牙貼着シート3は、本体部30の第1方向Xの両端部それぞれに、第1方向Xの内方に向かって凹む一対の凹部からなる括れ部31を有しており、これが第2領域Rを折り返す折り返し誘導部となっているとよい。具体的には、第1領域Fを歯の表側に貼付した状態において、第2方向Yにおける括れ部31の中央を通る折り返し線WLを境に第2領域Rが折り返されると、該第2領域Rが歯の裏側に貼付される。折り返し線WLは、仮想線であってもよく、折り返しを誘導し得るミシン目等で形成されていてもよい。
歯牙貼着シート3が第1領域F及び第2領域Rを有している場合、第2領域Rを容易に折り返す観点から、歯牙貼着シート3は、本体部30における第1方向Xの両端部に、第2領域Rを第1方向Xに沿って折り返す折り返し誘導部を有していることが好ましい。本実施形態において折り返し誘導部は、前述した括れ部31である。この括れ部31をなす凹部は、U字状、半円状、三角形等の多角形状等、任意の形状とすることができる。また、折り返し誘導部は、本体部30における第1方向Xの両端部それぞれに形成された一対の切れ込み部であってもよく、本体部30における第1方向Xの両端部の何れか一方に形成された凹部又は切れ込み部であってもよい。
【0038】
さらに第2領域Rを複数の領域に分割して、折り返しの容易性を向上させる観点から、第2領域Rは、該第2領域Rを第1方向Xに沿って複数の領域に分割する分割部を1個又は複数有していることが好ましい。本実施形態において分割部は、第2領域Rにおける第1方向Xの中央に1つ形成された凹部32であるとよい。分割部である凹部32は、U字状、半円状、三角形等の多角形状等、任意の形状とすることができる。また、分割部は、第2領域Rの第2方向Y全長に亘る切れ込み部であってもよい。分割部は、第2領域Rの第2方向Y全長に亘って形成されていることが好ましい。第2領域Rの第2方向Y全長とは、第2方向Yにおける第2領域Rの第2方向Y外方側の端縁から折り返し線WLまでの間である。第2領域Rは、1個又は複数の分割部を第1方向Xの任意の位置に有することができる。第2領域Rが1個の分割部を有する場合、上記と同様の観点から、分割部は、本体部30の第2領域Rにおける第1方向Xの中央に形成されていることが好ましい。
【0039】
歯牙貼着シート3は、上の歯用シートA及び下の歯用シートBそれぞれの第1方向Xにおける長さが互いに異なっていてもよい。上の歯は、下の歯よりも他者からの視線に晒され易いので、白色化等の歯を美化する範囲が下の歯よりも広く設定されることが好ましい。斯かる観点から、上の歯用シートAの第1方向X全長は、下の歯用シートBの第1方向X全長に対して好ましくは1.05倍以上、より好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.15倍以上であり、また好ましくは10倍以下、より好ましくは5倍以下、さらに好ましくは1.25倍以下であり、また好ましくは1.05倍以上10倍以下、より好ましくは1.1倍以上5倍以下、さらに好ましくは1.15倍以上1.25倍以下である。上の歯用シートA及び下の歯用シートBの各第1方向X全長は、各シートA,Bの第1方向Xの最大長さである。
【0040】
本実施形態の歯牙貼着シートは、その歯牙に貼付される面の表面に凹部を有することが好ましい。この凹部は、例えば、剥離シート2に形成された凸部21に対応する凹部43であって、剥離シート2を剥離したとき、歯牙貼着シート3の貼付面41の表面に残存するものであってよい。これにより、剥離シート2から剥離した後の歯牙貼着シート3について、貼付面41と裏面45とを前記凹部43によって識別することができる。なお、剥離シート2の凸部21は、剥離シート2の表面に施されたエンボス加工による凹凸であってもよい。
貼付面41と裏面45との識別性をより向上させる観点から、貼付面41に形成された凹部43の深さは、好ましくは8μm以上、より好ましくは11μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、また好ましくは53μm以下、より好ましくは46μm以下、さらに好ましくは40μm以下であり、また好ましくは8μm以上53μm以下、より好ましくは11μm以上46μm以下、さらに好ましくは15μm以上40μm以下である。斯かる凹部43の深さは、後述する<歯牙貼着シート3の厚みの測定方法>と同様の方法により測定できる。
【0041】
歯の表面や歯間等の凹凸に対する歯牙貼着シート3の密着性を向上させる観点から、歯牙貼着シート3の厚みは、好ましくは35μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは60μm以上であり、また好ましくは500μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは70μm以下であり、また好ましくは35μm以上500μm以下、より好ましくは50μm以上150μm以下、さらに好ましくは60μm以上70μm以下である。歯牙貼着シート3の厚みは、以下の方法により測定することができる。
【0042】
<歯牙貼着シート3の厚みの測定方法>
歯牙貼着シート3の厚みはデジタルマイクロスコープ(例えば、KEYENCE製VHX-1000)を用いて測定できる。歯牙貼着シート3の切断面を、前記デジタルマイクロスコープを用いて20~100倍の倍率で無荷重にて観察し、該切断面の最大厚みを測定する。測定は、歯牙貼着シート3を任意の3か所で切断した各断面について行い、これら3か所の最大厚みの平均値を歯牙貼着シート3の厚みとする。
【0043】
歯牙貼着シート3を歯に貼付する操作性を向上させる観点から、歯牙貼着シート3の引張強度20MPa時のひずみは、好ましくは2%以上であり、より好ましくは3%以上であり、さらに好ましくは4%以上であり、よりさらに好ましくは5%以上である。なお、歯牙貼着シート3の引張強度20Mpa時のひずみは、以下の方法により測定することができる。
【0044】
<ひずみの測定方法>
レオメーター(AntonPaar製、MCR502)にて引張強度20MPaに対する歯牙貼着シートのひずみの測定を行う。測定対象のシートをひずみの測定のための治具にセットし、ひずみを測定する。解析ソフトはRheoplus32を使用する。測定治具にはユニバーサル伸長測定システム(UXF12/UNI)を使用する。室温環境下(約25℃)で引張応力を1~20MPaで変化させたときの引張ひずみを計測する。測定時間は30秒とし、引張応力は1ポイント/1秒で線形的に制御する。引張ひずみは、回転式ドラムと固定ドラムに挟まれたシートの初期長さ約20mmからの変化量を%で示す。
【0045】
歯面の凹凸や歯並びに応じて歯牙貼着シート3を容易に貼付する観点から、歯牙貼着シート3のヘーズ値(曇り度)は、好ましくは80以下、より好ましくは70以下であり、さらに好ましくは60以下、さらに一層好ましくは50以下である。ヘーズ値は以下の方法により測定される。
【0046】
<ヘーズ値(曇り度)の測定方法>
日本工業規格のプラスチック製品試験方法(JIS K 7136)に準拠し、ヘーズ値(曇り度)を測定する。ヘーズ値はヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、商品名「NDH7000II」)を用いて測定される。サンプル上の任意の3点の測定結果から、その平均値をもってヘーズの値とする。
【0047】
歯牙貼着シート3を剥離シート2から剥離する操作をより容易にする観点から、歯牙貼着シート3と剥離シート2とは、互いに色が異なっていることが好ましい。
【0048】
前述したように、歯牙貼着シート3は水溶性高分子を含んで構成されている。使用前における歯牙貼着シート3の吸湿を抑制する観点から、口腔内シート1は包装材で個包装されていることが好ましい。上記と同様の観点から、包装材は、その内部を密閉したものであることが好ましい。斯かる包装材は、1枚又は複数枚のシートを、超音波シール、ヒートシール、高周波シール等の公知の接合方法を用いて接合することにより形成されている。包装材の形成材料としては、例えば熱可塑性樹脂のフィルム、該フィルムにアルミニウムなどの金属薄膜をラミネートしたもの等が挙げられる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上述した実施形態の口腔内シート1は、歯牙貼着シート3が作用層42と保護層44とが積層した積層構造を有していたが、歯牙貼着シート3は作用層42のみからなるものであってもよく、作用層42と保護層44の間に更なる中間層を有するものであってもよい。
また、上述した実施形態の本体部30は、第1方向Xに長い形状を有していたが、一方向に長い形状を有していなくともよい。例えば、本体部30は、第2方向Yの長さが、歯の高さ方向の長さに相当するか、あるいは短い長さであるものでもよい。また、本体部30が略正方形であるものであってもよい〔
図4(a)参照〕。
また、上述した実施形態の歯牙貼着シート3は、第1領域F及び第2領域Rを有するものであったが、歯牙貼着シート3は、第1領域F又は第2領域Rのみを有するものであってもよい。例えば、歯牙貼着シート3は、第1領域Fに相当する部分からなる本体部30と、該本体部30の第1方向Xの一方に該本体部30の第2方向Yにおける中央又は一方側に偏って配された延出部36とを有する形態であってもよい〔
図4(b)及び(c)参照〕。
また、上述した実施形態の口腔内シート1は、上の歯用シートA及び下の歯用シートBを有するものであったが、口腔内シート1は、上の歯用シートA又は下の歯用シートBのみを有するものであってもよい。
【0050】
<1>
歯牙貼着シートと、該歯牙貼着シートの歯牙に貼付される面を被覆する剥離シートとを備える、口腔内シートであって、
前記歯牙貼着シートは、歯列に沿う第1方向と該第1方向と直交する第2方向とを有し、且つ本体部と、該本体部から第1方向の一方に延出した延出部とを有しており、
前記歯牙貼着シートは、前記延出部を含む第1方向の全長を2等分する歯牙貼着シート中心線に対して左右非対称に形成されている、口腔内シート。
【0051】
<2>
前記歯牙貼着シートは、第1方向に長い形状を有している、前記<1>に記載の口腔内シート。
<3>
第1方向における前記歯牙貼着シートの全長Lは、該歯牙貼着シートの全幅Wに対して120%以上、好ましくは190%以上、より好ましくは250%以上であり、また1000%以下、好ましくは650%以下、より好ましくは310%以下であり、また120%以上1000%以下、好ましくは190%以上650%以下、より好ましくは250%以上310%以下である、前記<2>に記載の口腔内シート。
<4>
第1方向における前記延出部の長さL1が、第1方向における前記歯牙貼着シートの全長Lに対して3%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、また30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下であり、また3%以上30%以下、好ましくは10%以上25%以下、より好ましくは15%以上20%以下である、前記<1>~<3>の何れか1に記載の口腔内シート。
<5>
第1方向における前記延出部の長さL1は、2.8mm以上、好ましくは5.6mm以上、より好ましくは8.4mm以上であり、また20.4mm以下、好ましくは17mm以下、より好ましくは13.6mm以下であり、また2.8mm以上13.6mm以下、好ましくは5.6mm以上17mm以下、より好ましくは8.4mm以上13.6mm以下である、前記<4>に記載の口腔内シート。
<6>
第1方向における前記歯牙貼着シートの全長Lは、22mm以上、好ましくは38mm以上、より好ましくは55mm以上であり、また112mm以下、好ましくは91mm以下、より好ましくは70mm以下であり、また22mm以上112mm以下、好ましくは38mm以上91mm以下、より好ましくは55mm以上70mm以下である、前記<4>又は<5>に記載の口腔内シート。
<7>
前記本体部は、前記第1方向における該本体部の全長を2等分する本体部中心線に対して左右対称に形成されている、前記<1>~<6>の何れか1に記載の口腔内シート。
<8>
前記本体部は、第1方向に長い形状を有している、前記<1>~<7>の何れか1に記載の口腔内シート。
<9>
第1方向における前記本体部の長さL2は、第2方向における前記歯牙貼着シートの全幅Wに対して110%以上、好ましくは150%以上、より好ましくは200%以上であり、また900%以下、好ましくは600%以下、より好ましくは260%以下であり、また110%以上900%以下、好ましくは150%以上600%以下、より好ましくは200%以上260%以下である、前記<8>に記載の口腔内シート。
<10>
第1方向における前記本体部の長さL2は、20mm以上、好ましくは30mm以上、より好ましくは40mm以上であり、また100mm以下、好ましくは80mm以下、より好ましくは60mm以下であり、また20mm以上100mm以下、好ましくは30mm以上80mm以下、より好ましくは40mm以上60mm以下である、前記<8>又は<9>に記載の口腔内シート。
【0052】
<11>
前記延出部は、前記本体部における第2方向の一方に偏って配されている、前記<1>~<10>の何れか1に記載の口腔内シート。
<12>
前記延出部の幅W1は、前記歯牙貼着シートの全幅Wに対して20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上であり、また70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下であり、また20%以上70%以下、好ましくは30%以上60%以下、より好ましくは40%以上50%以下である、前記<11>に記載の口腔内シート。
<13>
前記延出部の幅W1は、4.4mm以上、好ましくは6.6mm以上、より好ましくは8.8mm以上であり、また15.4mm以下、好ましくは13.2mm以下、より好ましくは11mm以下であり、また4.4mm以上15.4mm以下、好ましくは6.6mm以上13.2mm以下、より好ましくは8.8mm以上11mm以下である、前記<12>に記載の口腔内シート。
<14>
前記歯牙貼着シートの全幅Wは、13mm以上、好ましくは16mm以上、より好ましくは20mm以上であり、また35mm以下、好ましくは32mm以下、より好ましくは29mm以下であり、また13mm以上35mm以下、好ましくは16mm以上32mm以下、より好ましくは20mm以上29mm以下である、前記<12>又は<13>に記載の口腔内シート。
<15>
前記本体部における第1方向の両側に前記延出部を有している、前記<1>~<14>の何れか1に記載の口腔内シート。
<16>
前記歯牙貼着シートは、第1方向の他方に延出した延出部を有しない、前記<1>~<14>の何れか1に記載の口腔内シート。
<17>
前記歯牙貼着シートは、歯の表側に貼付される第1領域と、折り返されて歯の裏側に貼付される第2領域とを有し、
前記延出部が、第1領域に形成されている、前記<1>~<16>の何れか1に記載の口腔内シート。
<18>
前記歯牙貼着シートは、第2領域を折り返す折り返し誘導部を有しており、該折り返し誘導部が、本体部における第1方向の両端部の何れか一方に形成された凹部又は切れ込み部からなる、前記<17>に記載の口腔内シート。
<19>
前記歯牙貼着シートは、前記折り返し誘導部として、前記本体部の第1方向の両端部それぞれに、該第1方向の内方に向かって凹む一対の凹部からなる括れ部を有しており、該括れ部をなす凹部が、U字状、半円状、又は多角形状を有している、前記<18>に記載の口腔内シート。
<20>
前記歯牙貼着シートは、第2領域を第1方向に沿って複数の領域に分割する分割部を1個又は複数有している、前記<17>~<19>の何れか1に記載の口腔内シート。
【0053】
<21>
前記分割部は、第2領域の第2方向全長に亘る切れ込み部である、前記<20>に記載の口腔内シート。
<22>
前記分割部が、第2領域における第1方向の中央に形成されている、前記<20>又は<21>に記載の口腔内シート。
<23>
前記分割部が、第2領域における第1方向の中央に1つ形成された凹部であり、その形状が、U字状、半円状、又は多角形状である、前記<20>に記載の口腔内シート。
<24>
前記歯牙貼着シートが、上の歯に貼付して用いられる上の歯用シートであり、
前記歯牙貼着シートを、第1領域が上側、第2領域が下側に位置するように配して、該歯牙貼着シート側から正面視したときに、前記延出部が、第1領域の左側に位置している、前記<17>~<23>の何れか1に記載の口腔内シート。
<25>
前記歯牙貼着シートが、下の歯に貼付して用いられる下の歯用シートであり、
前記歯牙貼着シートを、第1領域が下側、第2領域が上側に位置するように配して、該歯牙貼着シート側から正面視したときに、前記延出部が、第1領域の左側に位置している、前記<17>~<23>の何れか1に記載の口腔内シート。
<26>
前記歯牙貼着シートとして、上の歯に貼付して用いられる上の歯用シートと、下の歯に貼付して用いられる下の歯用シートとが、第1方向を揃えて、同一又は連結された剥離シートに貼付されており、
前記上の歯用シートと前記下の歯用シートとで、前記延出部が第1方向の同じ側に並んでいる、前記<1>~<25>の何れか1に記載の口腔内シート。
<27>
前記歯牙貼着シートは、前記上の歯用シート及び前記下の歯用シートそれぞれの第1方向における長さが互いに異なっている、前記<26>に記載の口腔内シート。
<28>
前記上の歯用シートの第1方向全長は、前記下の歯用シートの第1方向全長に対して1.05倍以上、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.15倍以上であり、また10倍以下、好ましくは5倍以下、より好ましくは1.25倍以下であり、また1.05倍以上10倍以下、好ましくは1.1倍以上5倍以下、より好ましくは1.15倍以上1.25倍以下である、前記<27>に記載の口腔内シート。
<29>
前記歯牙貼着シートが、歯牙に貼付される面を形成し、歯牙に対して作用する機能成分を含む作用層を備える、前記<1>~<28>の何れか1に記載の口腔内シート。
<30>
前記作用層が、唾液に対し溶解性を有している、前記<29>に記載の口腔内シート。
【0054】
<31>
前記作用層が、水溶性高分子を含有している、前記<30>に記載の口腔内シート。
<32>
前記水溶性高分子が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、デキストリン、ポリエチレンオキシド、水溶性ナイロン、及び天然多糖類から選ばれる1種又は2種以上である、前記<31>に記載の口腔内シート。
<33>
前記天然多糖類は、アルギン酸ナトリウム、トラントガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、及びプルランから選ばれる1種又は2種以上である、前記<32>に記載の口腔内シート。
<34>
前記歯牙貼着シートは、前記作用層と、該作用層よりも溶解性が低い保護層とが積層した積層構造を有している、前記<29>~<33>の何れか1に記載の口腔内シート。
<35>
前記保護層は、水不溶性でかつ親水基を有するポリマーを含有している、前記<34>に記載の口腔内シート。
<36>
前記ポリマーが、セルロース類、ポリビニルアセタール、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、マンナン、カゼイン、ナイロン、アクリル樹脂、及びオキサゾリン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上であり、
前記セルロース類が、エチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースの一方又は双方を含み、
前記アクリル樹脂がポリメタクリル酸樹脂を含む、前記<35>に記載の口腔内シート。
<37>
前記歯牙貼着シートは、前記作用層がプルラン、及び前記保護層がエチルセルロースの組み合わせで構成されている、前記<34>~<36>の何れか1に記載の口腔内シート。
<38>
前記歯牙貼着シートが、前記歯牙貼着シートの歯牙に貼付される面の表面に凹部を有する、前記<1>~<37>の何れか1に記載の口腔内シート。
<39>
前記剥離シートは、その表面に施されたエンボス加工によって形成された凹凸に対応する凸部を有しており、
前記凹部は、前記凸部に対応するものであり、前記剥離シートを剥離したとき、前記歯牙貼着シートの貼付面の表面に残存する、前記<38>に記載の口腔内シート。
<40>
前記剥離シートの形成材料が、ポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>~<39>の何れか1に記載の口腔内シート。
【0055】
<41>
前記歯牙貼着シートの厚みは、35μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは60μm以上であり、また500μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは70μm以下であり、また35μm以上500μm以下、好ましくは50μm以上150μm以下、より好ましくは60μm以上70μm以下である、前記<1>~<40>の何れか1に記載の口腔内シート。
<42>
前記歯牙貼着シートは、引張強度20MPa時のひずみが2%以上であり、好ましくは3%以上であり、より好ましくは4%以上であり、さらに好ましくは5%以上である、前記<1>~<41>の何れか1に記載の口腔内シート。
<43>
前記歯牙貼着シートのヘーズ値(曇り度)は80以下、好ましくは70以下であり、より好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下である、前記<1>~<42>の何れか1に記載の口腔内シート。
<44>
包装材で個包装されている、前記<1>~<43>の何れか1に記載の口腔内シート。
<45>
前記包装材は、その内部を密閉したものである、前記<44>に記載の口腔内シート。
<46>
前記包装材は、1枚又は複数枚のシートを、超音波シール、ヒートシール、又は高周波シールを用いて接合することにより形成されている、前記<44>又は<45>に記載の口腔内シート。
【符号の説明】
【0056】
1 口腔内シート
2 剥離シート
3 歯牙貼着シート
30 本体部
36 延出部
A 上の歯用シート
B 下の歯用シート
CL1 歯牙貼着シート中心線
CL2 本体部中心線
F 第1領域
R 第2領域
X 第1方向
Y 第2方向