IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライジェル ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッドの特許一覧

特許7379467RIP1阻害剤化合物並びにそれを製造及び使用するための方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】RIP1阻害剤化合物並びにそれを製造及び使用するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/10 20060101AFI20231107BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20231107BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20231107BHJP
   C07D 491/08 20060101ALI20231107BHJP
   C07D 498/08 20060101ALI20231107BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20231107BHJP
   C07D 471/08 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
C07D471/10 101
A61K31/553
C07D491/107
C07D491/08
C07D498/08
C07D413/14 CSP
C07D471/08
A61P43/00 111
A61P3/00
A61P35/00
A61P35/02
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021510283
(86)(22)【出願日】2019-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019030473
(87)【国際公開番号】W WO2019213445
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】62/666,452
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504294145
【氏名又は名称】ライジェル ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】ダルウィーシュ,イーハブ
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ジャーシン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マスダ,エステバン
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ヴァネッサ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-512488(JP,A)
【文献】特表2017-524028(JP,A)
【文献】国際公開第2017/136727(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/004500(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】
(式中
環Bは、5員環のヘテロアリールであり;
Lは、C1~10脂肪族リンカーであり;
は、R又はRであり、少なくとも1個のRは、Rであって、ここで、R は、-NR であり、2個のR 基は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のR 基で置換されたC 3~10 複素環式基を形成し、前記2個のR 基は、一緒になって、第2のC 3~10 複素環式基を形成し
及びRのそれぞれは、独立に、Rであり;
各R及び各Rは、独立に、R又はRであって、ここで、R は、それぞれの場合に独立に、-NR であって、(i)各R は、独立に、R 若しくはR であるか;又は(ii)2個のR 基は、それらが結合されている窒素と一緒になって、C 3~10 複素環式基を形成し
は、それぞれの場合に独立に、H、D、C1~10脂肪族又はC ~10環式脂肪族であり;
は、それぞれの場合に独立に、-OR、-NR、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヘテロアルキル、又は3~6環式アルキルであ
mは、1~4であり;
nは、0、1又は2であり;及び
pは、0、1、2、3、4又は5である)
を有する化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】

【化2】
を満たす構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項3】
環Bは、式
【化3】
(式中、少なくとも1個のWは、窒素であり、及びそれぞれの残りのWは、独立に、炭素、CH、酸素、硫黄、窒素又はNHから選択される)
を満たす構造を有する、請求項1又は2に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項4】
環Bは、
【化4】
から選択されるトリアゾール、又は
【化5】
から選択されるオキサゾールである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項5】
は、Rであって、Rは、C~C脂肪族であり;及び/又はRは、Rであって、Rは、C~C脂肪族であり、且つRは、Rであって、Rは、水素である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項6】
における、前記2個のR基によって形成される前記第2のC3~10複素環式基及びRの前記2個のR基によって形成される前記C3~10複素環式基は、一緒になって、スピロ環式基又は二環式基を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項7】
前記スピロ環式基は、少なくとも2個の環を含み、前記スピロ環式基の第1の環及び第2の環は、異なる数の炭素原子、異なる数のヘテロ原子又は両方を有し、前記スピロ環式基の各環は、前記環中にヘテロ原子を含む、請求項6に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項8】
前記スピロ環式基は、少なくとも1個の酸素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む、請求項6または7に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項9】
前記スピロ環式基は、前記化合物の炭素原子にカップリングされている第1の環であって、3~7個の原子を有する第1の環と、3~7個の原子を有する第2の環とを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項10】
前記スピロ環式基は、スピロ環系において、合計7個を超える原子を含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項11】
前記2個のR基によって形成される前記C3~10複素環及びRの前記2個のR基によって形成される前記C3~10複素環は、二環式基を提供し、及び前記二環式基は、前記二環式基中に2個以上のヘテロ原子を含む、請求項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項12】
前記二環式基は、縮合二環式基又は架橋二環式基であり、前記二環式基は、式Iの環Aであるフェニル基に前記二環式基の窒素原子を通して結合されている、請求項11に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項13】
は、
【化6】
(式中、各nは、独立に、0~4の範囲の整数であり、及びRは、独立に、水素、脂肪族、芳香族又は複素脂肪族から選択される)
である、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項14】
【化7】
から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項15】
【化8】
である、請求項1~10、13又は14のいずれか一項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩
【請求項16】
【化9】
である、請求項1~10、13又は14のいずれか一項に記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項17】
【化10】
である化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩及び添加剤、治療薬、アジュバント又はこれらの組合せを含む医薬組成物。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩又は請求項18に記載の医薬組成物を含む薬剤であって、受容体相互作用タンパク質-1(RIP1)キナーゼを、前記化合物もしくはその医薬的に許容される塩又は前記医薬組成物と接触させることを含むことを特徴とする、薬剤。
【請求項20】
(i)請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩、立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、若しくは同位体;或いは(ii)請求項18に記載の医薬組成物を含む、対象の疾患を治療するための薬剤であって、前記対象に、治療有効量の前記化合物又はその医薬的に許容される塩、立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、若しくは同位体;或いは治療有効量の前記医薬組成物を投与することを含むことを特徴とし、前記対象は、前記疾患を有するか又はそれを有するか若しくは発症する疑いがあり、前記疾患は、受容体相互作用タンパク質-1(RIP1)キナーゼが関与する疾患である、薬剤。
【請求項21】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩を製造するための方法であって、
式Aを有する出発物質を、Rを含有する試剤であって、式R-Hを有する、Rを含有する試剤と、前記出発物質及び前記Rを含有する試剤を遷移金属触媒、配位子成分及び溶媒と組み合わせることによってカップリングさせて、Rで官能基化された生成物を生成することと;
前記Rで官能基化された生成物のアミン基を脱保護して、アミン化合物を提供することと;
前記アミン化合物と、酸を含有するカップリング相手との間にアミド結合を形成することと
を含み、
式Aは、
【化11】
であり;
前記Rで官能基化された生成物は、式B
【化12】
を満たす構造を有し;及び
前記酸を含有するカップリング相手は、式C
【化13】
を満たす構造を有し;式中、
Xは、ハロゲン又はトリフラートであり;
PGは、アミン保護基であり;及び
環B、L、R、R、R、R、m、n及びpのそれぞれは、請求項1に記載の通りである、方法。
【請求項22】
前記アミド結合は、前記アミン化合物と、前記酸を含有するカップリング相手とをプロピルホスホン酸無水物及びジイソプロピルエチルアミンの存在下でカップリングさせることによって形成される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月3日に出願された先願である米国仮特許出願第62/666,452号の出願日の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
本開示は、受容体相互作用タンパク質キナーゼ-1(「RIP1」)の阻害並びにRIP1が関連する疾患及び/又は状態の治療等のための化合物並びにその化合物を製造及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
受容体相互作用タンパク質キナーゼ-1(本明細書では「RIP1」と称する)は、チロシンキナーゼ様ファミリーに属する、自然免疫シグナル伝達に関与するセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。RIP1は、細胞シグナル伝達の調節において中心的な役割を果たし、そのプログラム細胞死における役割は、炎症性腸疾患、乾癬、他の疾患等の様々な炎症性疾患、及び/又は炎症、及び/又はネクロプトーシス細胞死が関与する状態と関連付けられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本明細書では、式I
【化1】
を有する化合物の実施形態又はその医薬的に許容される塩を開示する。当業者は、式Iの範囲に包含される化合物にその立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、同位体及び/又はプロドラッグも含まれることを理解するであろう。
【0005】
式Iにおいて、環Bは、5員環のヘテロアリールであり;Lは、C1~10脂肪族リンカーであり;Rは、R又はRであり、少なくとも1個のRは、Rであり;R及びRのそれぞれは、独立に、Rであり;各R及び各Rは、独立に、R又はRであり;Rは、それぞれの場合に独立に、H、D、C1~10脂肪族又はC1~10環式脂肪族であり;Rは、それぞれの場合に独立に、ハロゲン又は-NRであり、(i)各Rは、独立に、R若しくはRであるか;又は(ii)2個のR基は、それらが結合されている窒素と一緒になって、C3~10複素環式基を提供し;Rは、それぞれの場合に独立に、-OR、-NR、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヘテロアルキル、C3~6シクロアルキルであるか、又は2個のR基は、一緒になって、その2個のR基が結合されているR基と一緒にC3~10複素環式基を提供し;mは、1~4、例えば1、2、3又は4であり、特定の実施形態では1又は2であり;nは、0、1又は2であり;及びpは、0、1、2、3、4又は5である。
【0006】
本開示化合物は、次式
【化2】
を満たす構造を有することができる。
【0007】
上述の実施形態のいずれか又は全てにおいて、環Bは、式
【化3】
(式中、少なくとも1個のWは、窒素であり、及びそれぞれの残りのWは、独立に、炭素、CH、酸素、硫黄、窒素又はNHから選択される)
を満たす構造を有することができ、特定の環Bの実施形態は、トリアゾール又はオキサゾールである。好適なトリアゾールの例としては、以下のいずれかが挙げられる。
【化4】
【0008】
好適なオキサゾールの例として、以下のいずれかが挙げられる。
【化5】
【0009】
特定の開示化合物は、R基(ここで、Rは、C~C脂肪族である)であるか又はR基(ここで、Rは、ハロゲンである)であるR基を含み、Rは、Rであり、Rは、C~C脂肪族であり、且つRは、Rであり、Rは、水素である。
【0010】
は、Rであり、Rは、-NRであり、2個のR基は、それらが結合されている窒素と一緒になって、C3~10複素環式基を提供する。一部の実施形態において、C3~10複素環式基は、1個若しくは複数のR基で置換されており、及び/又は特定の実施形態では両方のR基が結合されている窒素以外に1個若しくは複数の更なるヘテロ原子を含む。一部の実施形態において、そのC3~10複素環式基は、2個のR基で置換されており、これらは、一緒になって、C3~10複素環式基を提供し、このC3~10複素環は、R基と一緒になって、スピロ環式基又は二環式基を提供し得る。ここに開示する特定のスピロ環式基は、少なくとも2個の環を含み、各環は、環中に異なる数の原子を有する。一部の実施形態において、スピロ環式基は、少なくとも2個の環を含み、スピロ環式基の第1の環及び第2の環は、異なる数の炭素原子、異なる数のヘテロ原子又は両方を有する。更なる実施形態において、スピロ環式基の各環は、環中にヘテロ原子を含み、スピロ環式基の各環は、少なくとも1個の酸素原子及び少なくとも1個の窒素原子等、環中に異なるヘテロ原子を有し得るか、又は環中に同一のヘテロ原子を有し得る。一部の実施形態において、スピロ環式基は、窒素原子を含む第1の環と、酸素原子を含む第2の環とを含む。スピロ環式基は、環Aであるフェニル基にカップリングされている第1の環を含み、第1の環は、3~7個の原子を有し、第2の環は、3~7個の原子を有する。通常、スピロ環式基は、スピロ環系において、合計7個を超える原子を含み、一部の実施形態は、スピロ環系において、合計9個の原子を含むスピロ環式基を有する。
【0011】
2個のR基によって形成されるC3~10複素環及びRの2個のR基によって形成されるC3~10複素環は、二環式基、例えば二環式基内に2個以上の窒素及び/又は酸素等のヘテロ原子を含む環式基を提供し得る。二環式基は、環Aであるフェニル基に二環式基の窒素原子を通して結合され得る。一部の実施形態において、二環式基は、縮合二環式基又は架橋二環式基であり得る。
【0012】
上述の実施形態のいずれか又全てにおいて、Rは、
【化6】
(式中、各nは、独立に、0~4の範囲の整数、例えば0、1、2、3又は4であり;及びRは、独立に、水素;脂肪族、例えばC1~10脂肪族;芳香族、例えばC5~10芳香族;又は複素脂肪族、例えばC1~10複素脂肪族から選択される)
から選択される。例示的な化合物の実施形態を本明細書に開示する。これらは、化合物I-1~I-27のいずれか1つ又は複数から選択することができる。
【0013】
本明細書では、本明細書に開示する式及び/又は化合物種(又はその医薬的に許容される塩、立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、同位体若しくはプロドラッグ)のいずれかに従う1種の化合物(又は複数の化合物)と、少なくとも1種の追加の活性及び/又は不活性な剤、例えば添加剤、治療薬、アジュバント又はこれらの組合せとを含む医薬組成物の実施形態も開示する。
【0014】
本明細書では、開示化合物を使用するための方法の実施形態も開示する。この種の実施形態の1つは、受容体相互作用タンパク質-1(RIP1)キナーゼを、本明細書に開示する式及び/又は化合物種の任意のものに従う化合物(又はその医薬的に許容される塩、立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、同位体若しくはプロドラッグ)又は本明細書に記載する医薬組成物の実施形態と接触させることを含む。接触は、エクスビボ又はインビボで行われ得る。
【0015】
また、対象の疾患を治療するための方法であって、対象に、(i)治療有効量の、本明細書に開示する式及び/又は化合物種のいずれかに従う化合物(又はその医薬的に許容される塩、立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、同位体若しくはプロドラッグ);及び/又は(ii)治療有効量の、本明細書に記載する医薬組成物の実施形態を投与することを含み、この対象は、受容体相互作用タンパク質-1(RIP1)キナーゼが関与する疾患を有するか又はそれを有するか若しくは発症する疑いがある、方法も開示する。
【0016】
本開示の上記及び他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
I.用語の概説
以下に示す用語及び方法の説明は、本開示をより詳細に説明するため及び本開示の実施において当業者を指導するために提供するものである。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」)は、文脈がそうでないことを明確に指示していない限り、1つ又は2つ以上を意味する。「又は」という語は、文脈がそうでないことを明確に指示していない限り、提示された代替的な構成要素の単一の構成要素又は2つ以上の構成要素の組合せを指す。本明細書において用いられる「含む」は、「包含する」を意味する。したがって、「A又はBを含む」は、「A、B又はA及びBを包含する」を意味し、追加の構成要素を排除しない。本明細書に引用する特許及び特許出願を含む全ての参考文献は、参照により本明細書に援用される。
【0018】
特段の指定がない限り、本明細書又は特許請求の範囲において使用する成分の量、分子量、百分率、温度、時間等を表す全ての数字は、「約」という語で修飾されているものと理解すべきである。したがって、暗示的又は明示的な特段の指定がない限り、記載された数値パラメータは、求められている所望の特性及び/又は標準的な試験条件/方法下における検出限界に依存し得る近似値である。実施形態と、提示した先行技術とを直接的且つ明示的に区別する場合、その実施形態の数字は、「約」という語が明示的に記載されていない限り、近似ではない。
【0019】
特に説明がない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者が一般に理解する意味と同義である。本明細書に記載するものと類似の又は均等な方法及び材料を本開示の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。材料、方法及び実施例は、例示のみを目的とするものであり、限定を意図するものではない。
【0020】
化学構造を図示又は説明する場合、そうでないことが明確に述べられていない限り、炭素は、全て各炭素が4価に一致するように水素を含むものとみなす。例えば、次に示す概略図の左側の構造では、9個の水素原子が存在することが暗に示されている。右側の構造では、9個の水素原子が図示されている。
【化7】
【0021】
構造内の特定の原子を文字列で、水素又は水素原子を有するものとして例えば-CHCH-と記載する場合もある。当業者は、上に説明した表記法が、有機構造を簡潔且つ単純に表記するものとして化学分野において一般的であることを理解するであろう。
【0022】
R基が環系上に「固定されていない」、例えば次に示す基のR
【化8】
のように表記されている場合、他に定めがない限り、置換基R(例えば、上のR)は、安定な構造が形成される限り、記号
【化9】
を伴う結合を有する原子を除いて、この縮合二環系のいずれの原子上にも位置し得る。
【0023】
R基が、飽和炭素を含む環系上に存在するものとして、例えば、次式:
【化10】
のように表記されている場合、この例において、yは、環上において、その時点で図示されている水素、暗に示されている水素又は明示的に定義されている水素のそれぞれが置換されることを想定して1を超え得;その場合、他に定めがない限り、2個のRが同一炭素上に位置し得る。単純な例は、Rがメチル基の場合である。図示した構造では、図示した環の炭素(「環状」炭素)上のジェミナルジメチルとして存在することもできる。他の例において、同一炭素上の2個のRは、その炭素を含めて環内に含まれ得、したがってスピロ環(「スピロ環式」基)構造を形成する。例えば、次に示すように、2個のRは、
【化11】
等のスピロ環配置でピペリジン又はアゼチジン環と一緒にオキセタン又はテトラヒドロピラン環を形成し得る。
【0024】
本明細書において用いられる「置換された」という語は、ある語において、その後に続くあらゆる修飾語を指しており、例えば「置換されたアリールC1~8アルキル」という語では「C1~8アルキル」部位、「アリール」部位又はアリールC1~8アルキル基の両方の部位に置換が起こり得る。
【0025】
「置換された」が特定の基又は部分を修飾するために使用されている場合、その特定の基又は部分の少なくとも1個の水素原子、場合により2個以上の水素原子が、独立に、以下に定義する同一の又は異なる置換基に置き換えられていることを意味する。特定の実施形態において、基、部分又は置換基は、「無置換である」又は「置換されている」のいずれかであることが明確に定義されていない限り、置換又は無置換であり得る。したがって、本明細書に定義する基のいずれも、文脈上そうでないことが示唆されていないか、又は具体的な構造式が置換を除外していない限り、置換又は無置換であり得る。特定の実施形態において、置換基は、置換されていることが明確に定義されていても定義されていなくてもよいが、依然として任意選択的に置換されることが考えられる。例えば、「脂肪族」部分又は「環式」部分は、置換又は無置換であり得るが、「無置換の脂肪族」又は「無置換の環式」は、置換されていない。
【0026】
特定の基又は部分の飽和炭素原子上の1個以上の水素原子を置換する「置換基(substituent)」又は「置換基(substituent group)」は、特段の指定がない限り、-R60、ハロ、=O、-OR70、-SR70、-N(R80、ハロアルキル、パーハロアルキル、-CN、-NO、=N、-N、-SO70、-SO 、-SO70、-OSO70、-OSO 、-OSO70、-P(O)(O(M、-P(O)(O2+、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO 、-CO70、-C(S)OR70、-C(O)N(R80、-C(NR70)(R80、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO 、-OCO70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO 、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)N(R80、-NR70C(NR70)R70及び-NR70C(NR70)N(R80であり得、R60は、C1~10脂肪族、複素脂肪族又は脂環式、典型的にはC1~6脂肪族、より典型的にはC1~6アルキルであり、R60は、任意選択的に置換され得;各R70は、それぞれの場合に独立に、水素又はR60であり;各R80は、それぞれの場合に独立に、R70であるか、又は代わりに、2個のR80基は、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、O、N及びSから選択される1~4個の同一の又は異なる追加のヘテロ原子を任意選択的に含む3~7員環の脂肪族複素環を形成し、そのうちのNは、任意選択的に、R70置換基、例えばH又はC~Cアルキル置換基を有し;各Mは、正味1価の正電荷を有する対イオンである。各Mは、それぞれの場合に独立に、例えばアルカリ金属イオン、例えばK、Na若しくはLi;アンモニウムイオン、例えばN(R60;プロトン化されたアミノ酸イオン、例えばリジンイオン又はアルギニンイオン;又はアルカリ土類金属イオン、例えば[Ca2+0.5、[Mg2+0.5若しくは[Ba2+0.5(添え字「0.5」は、例えば、このような2価のアルカリ土類金属イオンに対する対イオンの1個が本発明の化合物のイオン化された形態であり、他がクロリド等の典型的な対イオンであり得るか、又は2個のイオン化された化合物がこの種の2価のアルカリ土類イオンに対する対イオンの役割を果たし得るか、又は二重にイオン化された化合物がこの種の2価のアルカリ土類イオンに対する対イオンの役割を果たし得ることを意味する)である。具体例として、-N(R80は、-NH、-NH-アルキル、-NH-ピロリジン-3-イル、N-ピロリジニル、N-ピペラジニル、4N-メチル-ピペラジン-1-イル、N-モルホリニル等が挙げられる。単一の炭素上の任意の2個の水素原子は、例えば、=O、=NR70、=N-OR70、=N又は=Sで置換され得る。
【0027】
不飽和炭素を含む基の不飽和炭素原子上の水素原子を置き換える置換基は、特段の指定がない限り、-R60、ハロ、-O、-OR70、-SR70、-S、-N(R80、パーハロアルキル、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、-N、-SO70、-SO 、-SO70、-OSO70、-OSO 、-OSO70、-PO -2(M、-PO -22+、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO 、-CO70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)N(R80、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO 、-OCO70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO 、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)N(R80、-NR70C(NR70)R70及び-NR70C(NR70)N(R80であり、R60、R70、R80及びMは、上記と同義である。独立した実施形態において、置換基は、-O、-OR70、-SR70又は-Sではない。
【0028】
この種の窒素原子を含む基の窒素原子上の水素原子を置き換える置換基は、特段の指定がない限り、-R60、-O、-OR70、-SR70、-S、-N(R80、パーハロアルキル、-CN、-NO、-NO、-S(O)70、-SO 、-SO70、-OS(O)70、-OSO 、-OSO70、-PO 2-(M、-PO 2-2+、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70)(OR70)、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)N(R80、-NR70C(NR70)R70及び-NR70C(NR70)N(R80であり、R60、R70、R80及びMは、上記と同義である。
【0029】
一実施形態において、置換されている基は、少なくとも1個の置換基~その具体的な部分に可能な数までの置換基、例えば1個の置換基、2個の置換基、3個の置換基又は4個の置換基を有する。
【0030】
また、基又は部分が、置換された置換基で置換されている実施形態において、この種の置換された置換基の入れ子は、3に制限され、それにより重合体の形成を防ぐ。したがって、第2の基(それ自体、親構造に結合されている第3の基上の置換基である)上の置換基である第1の基を含む基又は部分において、第1(最外)基は、無置換の置換基で置換されているのみであり得る。例えば、-(アリール-1)-(アリール-2)-(アリール-3)を含む基において、アリール-3は、それ自体、無置換の置換基で置換されているのみであり得る。
【0031】
本明細書に定義する基又は部分のいずれも、当業者に理解されるように、例えば例示されている化合物種と比較して原子価則を考慮することにより及び/又は官能性度を考慮することにより、開示されている構造(例えば、親構造又は核構造)の他の任意の部位に結合することができるが、但し、これは、その基又は部分がその構造の他の部位に結合されていることが明確に述べられているか又は文脈により暗に示されていない場合に限る。
【0032】
「アシル」は、-C(O)R基を指し、Rは、H、脂肪族、複素脂肪族又は芳香族(アリール及びヘテロアリールの両方を含む)である。例示的なアシル部分としては、これらに限定されるものではないが、-C(O)H、-C(O)アルキル、-C(O)C~Cアルキル、-C(O)C~Cハロアルキル、-C(O)シクロアルキル、-C(O)アルケニル、-C(O)シクロアルケニル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール又は-C(O)ヘテロシクリルである。具体例としては、-C(O)H、-C(O)Me、-C(O)Et又は-C(O)シクロプロピルが挙げられる。
【0033】
「脂肪族」は、実質的に炭化水素を基本とする基又は部分を指す。脂肪族基又は部分は、アルキル、アルケニル又はアルキニル基(アルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基も含む)を含む非環式形態、その環式形態(シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルを含む脂環式基又は部分等)であり得、更に直鎖及び分岐鎖配置並びにあらゆる立体及び位置異性体も含まれる。脂肪族基は、そうでないことが明確に述べられていない限り、1~25個の炭素原子を含み(C1~25);例えば、非環式脂肪族基若しくは部分の場合、1~15個(C1~15)、1~10個(C1~10)、1~6個(C1~6)若しくは1~4個(C1~4)の炭素原子を含むか、又は脂環式基若しくは部分の場合、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、3~6個(C3~6)若しくは3~4個(C3~4)の炭素原子を含む。脂肪族基は、「無置換の脂肪族」又は「置換された脂肪族」と明確に称されていない限り、置換又は無置換であり得る。脂肪族基は、1個又は複数の置換基(脂肪族鎖中の各メチレン炭素に関して2個の置換基まで、又は脂肪族鎖の-C=C-二重結合の各炭素に関して1個の置換基まで、又は末端メチン基の炭素に関して1個の置換基まで)で置換され得る。
【0034】
「低級脂肪族」は、1~10個の炭素原子(C1~10)、例えば1~6個(C1~6)又は1~4個(C1~4)の炭素原子を含む脂肪族基を指し;低級脂環式基の場合、3~10個(C3~10)、例えば3~6個(C3~6)の炭素原子を含む脂肪族基を指す。
【0035】
「アルコキシ」は、-OR基を指し、Rは、置換若しくは無置換のアルキル又は置換若しくは無置換のシクロアルキル基である。特定の例において、Rは、C1~6アルキル基又はC3~6シクロアルキル基である。例示的なアルコキシ基がメトキシ(-OCH)及びエトキシ(-OCHCH)である。置換されたアルコキシにおいて、Rは、置換されたアルキル又は置換されたシクロアルキルであり、ここに開示する化合物におけるその例としては、-OCFH等のハロアルコキシ基が挙げられる。
【0036】
「アルコキシアルキル」は、-アルキル-OR基を指し、Rは、置換若しくは無置換のアルキル又は置換若しくは無置換のシクロアルキル基であり;例示的なアルコキシアルキル基が-CHCH-O-CHCHである。
【0037】
「アルキル」は、1~少なくとも25個の(C1~25)炭素原子、より典型的には1~10個の(C1~10)炭素原子、例えば1~6個の(C1~6)炭素原子を有する飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。アルキル部分は、置換又は無置換であり得る。この語は、例えば、直鎖及び分岐ヒドロカルビル基、例えばメチル(CH)、エチル(-CHCH)、n-プロピル(-CHCHCH)、イソプロピル(-CH(CH)、n-ブチル(-CHCHCHCH)、イソブチル(-CHCH(CH)、sec-ブチル(-CH(CH)(CHCH)、t-ブチル(-C(CH)、n-ペンチル(-CHCHCHCHCH)及びネオペンチル(-CHC(CH)を含む。
【0038】
「アミノ」は、-NH、-NHR又は-NRR基を指し、各Rは、独立に、H、脂肪族、複素脂肪族、芳香族(アリール及びヘテロアリールの両方を含む)若しくは複素環式脂肪族から選択されるか、又は2個のR基は、それらが結合されている窒素と一緒になって複素環を形成している。この種の複素環の例としては、2個のR基が、それらが結合されている窒素と一緒になって、
【化12】
基(式中、Rは、R70、-C(O)R70、-C(O)OR60又は-C(O)N(R80である)のように、-O-又は-N(R)等の1又は2個のヘテロ原子基が任意選択的に介在している-(CH2~5環を形成しているものが挙げられる。
【0039】
「アミド」は、-N(R)アシル基を指し、Rは、水素、複素脂肪族又は脂肪族、例えばアルキル、特にC1~6アルキルである。
【0040】
「芳香族」は、特段の指定がない限り、5~15個の環原子を有する、単環(例えば、フェニル、ピリジニル又はピラゾリル)又は少なくとも1個の環が芳香族である複数の縮合した環(例えば、ナフチル、インドリル又はピラゾロピリジニル)を有する、共役している環状の基又は部分、即ち少なくとも1個の環、任意選択的に複数の縮合した環が、連続した非局在化π電子系を有する基又は部分を指す。通常、面外π電子の数は、ヒュッケル則(4n+2)に従う。親構造への結合点は、通常、縮合環系の芳香族部位を介する。その例を次に示す。
【化13】
しかしながら、特定の例、文脈又は明示的な開示において、結合点は、縮合環系の非芳香族部位を介することを示唆する場合もある。その例を次に示す。
【化14】
芳香族基又は部分は、例えば、アリール基又は部分のように環内に炭素原子のみを含み得るか、又は例えばヘテロアリール基又は部分のように、1個若しくは複数個の環炭素原子と、非共有電子対を有する1個若しくは複数個の環ヘテロ原子(例えば、S、O、N、P又はSi)とを含み得る。特段の指定がない限り、芳香族基は、置換又は無置換であり得る。
【0041】
「アリール」は、特段の指定がない限り、単環(例えば、フェニル)を有するか、又は少なくとも1個の環が芳香族である複数の縮合した環(例えば、1、2、3、4-テトラヒドロキノリン、ベンゾジオキソール及びこれに類するもの)を有する、6~15個の炭素原子を有する芳香族炭素環式基を指す。芳香族環の任意の部位がヘテロ原子を含む場合、この基は、ヘテロアリールであり、アリールではない。アリール基は、例えば、単環式、二環式、三環式又は四環式であり得る。特段の指定がない限り、アリール基は、置換又は無置換であり得る。
【0042】
「アリール脂肪族」は、その親に脂肪族部分を介して結合されているアリール基を指す。アリール脂肪族としては、アラルキル又はアリールアルキル基、例えばベンジル及びフェニルエチルが挙げられる。
【0043】
「カルボキシル」は、-COHを指す。
【0044】
「カルボキサミド」は、-C(O)アミノを指す。
【0045】
「カルボキシルエステル」又は「カルボキシエステル」は、-C(O)OR基を指し、Rは、脂肪族、複素脂肪族又は芳香族(アリール及びヘテロアリールの両方を含む)である。
【0046】
「カルボキシレート」は、-C(O)O又はその塩を指す。
【0047】
「シアノ」は、-CN基を指す。
【0048】
「脂環式」は、単環(例えば、シクロヘキシル)又は縮合環、架橋環若しくはスピロ環系のような多環を有する環式脂肪族基を指し、この系内の環又はこの系内の環の少なくとも1個は、脂肪族である。通常、親構造への結合点は、多環系の脂肪族部位を介している。脂環式は、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルを含む飽和系及び不飽和系を包含する。脂環式基は、3~25個の炭素原子;例えば、3~15個、3~10個又は3~6個の炭素原子を含み得る。特段の指定がない限り、脂環式基は、置換又は無置換であり得る。例示的な脂環式基としては、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルが挙げられる。
【0049】
「ハロ」「ハライド」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。
【0050】
「ハロアルキル」は、1個又は複数のハロゲンで置換されたアルキル部分を指す。例示的なハロアルキル部分としては、-CHF、-CHF及び-CFが挙げられる。
【0051】
「複素脂肪族」は、少なくとも1個のヘテロ原子及び少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族化合物又は基、即ち少なくとも2個の炭素原子を含む脂肪族化合物又は基の少なくとも1個の炭素原子が少なくとも1対の非共有電子対を有する原子、典型的には窒素、酸素、リン、ケイ素又は硫黄に置き換わっている脂肪族化合物又は基を指す。複素脂肪族化合物又は基は、置換若しくは無置換であり得るか、又は分岐若しくは非分岐、キラル若しくはアキラル及び/又は非環式若しくは環式であり得、例えば複素脂環式基であり得る。
【0052】
「ヘテロアリール」は、特段の指定がない限り、5~15個の環原子を有し、少なくとも1個の炭素原子及び少なくとも1個のN、S、O、P、Si等のヘテロ原子を有する芳香族基又は部分を指す。ヘテロアリール基又は部分は、単環(例えば、ピリジニル、ピリミジニル又はピラゾリル)又は複数の縮合した環(例えば、インドリル、ベンゾピラゾリル又はピラゾロピリジニル)を含み得る。ヘテロアリール基又は部分は、例えば、単環式、二環式、三環式又は四環式であり得る。特段の指定がない限り、ヘテロアリール基又は部分は、置換又は無置換であり得る。
【0053】
「ヘテロシクリル」、「複素環(heterocyclo)」及び「複素環(heterocycle)」は、芳香族及び非芳香族環系の両方を指し、より具体的には、少なくとも1個の炭素原子、典型的には複数の炭素原子と、少なくとも1個、例えば1~5個のヘテロ原子とを含む安定な3~15員環部分を指す。ヘテロ原子は、窒素、リン、酸素、ケイ素又は硫黄原子であり得る。ヘテロシクリル部分は、単環式部分であり得るか、又は例えば少なくとも1個の環がヘテロ原子を含む場合、二環式又は三環式環系のように複数の環を含み得る。この種の多環部分は、縮合環又は架橋環系に加えて、スピロ環系を含むことができ;ヘテロシクリル部分の窒素、リン、炭素、ケイ素又は硫黄原子のいずれも、任意選択的に酸化されて様々な酸化状態になり得る。便宜上、窒素、特に(これに限らないが)芳香環内窒素として定義されるものは、具体例にそのようなものが明示的に定義されていないが、それらの対応するN-オキシド形態を包含することを意味する。したがって、例えばピリジニル環を有する化合物の場合、対応するピリジニル-N-オキシドは、明示的に除外されているか又は文脈により除外されていない限り、本発明の他の化合物として包含される。加えて、環内窒素原子は、任意選択的に4級化され得る。複素環は、部分的に又は完全に飽和している複素環であるヘテロアリール部分及び複素脂環式又は複素環式脂肪族部分を含む。ヘテロシクリル基の例としては、これらに限定されるものではないが、アゼチジニル、オキセタニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、カルバゾイル、シンノリニル、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジニル、パーヒドロアゼピニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾイル、テトラヒドロイソキノリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、2-オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、トリアゾリル、イソキサゾリル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、ジアザビシクロヘプタン、ジアザパン、ジアゼピン、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエリイル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジオキサホスホラニル及びオキサジアゾリルが挙げられる。
【0054】
「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0055】
「ニトロ」は、-NO基を指す。
【0056】
「ホスフェート」は、-O-P(O)(OR’)基を指し、各-OR’は、独立に、-OH;-O-脂肪族、例えば-O-アルキル若しくは-O-シクロアルキル;-O-芳香族(-O-アリール及び-O-ヘテロアリールの両方を含む);-O-アラルキルであるか;又は-OR’は、-Oであり、Mは、1価の正電荷を有する対イオンである。各Mは、アルカリイオン、例えばK、Na、Li;アンモニウムイオン、例えばN(R”)(ここで、R”は、H、脂肪族、複素脂肪族又は芳香族(アリール及びヘテロアリールの両方を含む)である);又はアルカリ土類金属イオン、例えば[Ca2+0.5、[Mg2+0.5又は[Ba2+0.5であり得る。ホスホノオキシアルキルは、-アルキル-ホスフェート基、例えば-CHOP(O)(OH)又はその塩(例えば、-CHOP(O)(ONa)等を指し、(((ジアルコキシホスホリル)オキシ)アルキル)は、ホスホノオキシアルキル基のジアルキルエステル(例えば、-CHOP(O)(O-tert-ブチル)等)を指す。
【0057】
「ホスホネート」は、-P(O)(OR’)基を指し、各-OR’は、独立に、-OH;-O-脂肪族、例えば-O-アルキル又は-O-シクロアルキル;-O-芳香族、(-O-アリール及び-O-ヘテロアリールの両方を含む);若しくは-O-アラルキルであるか;又は-OR’は、-Oであり、Mは、1価の正電荷を有する対イオンである。各Mは、正電荷を有する対イオンであり、例示として、アルカリ金属イオン、例えばK、Na、Li;アンモニウムイオン、例えばN(R”)(式中、R”は、H、脂肪族、複素脂肪族又は芳香族(アリール及びヘテロアリールの両方を含む)である);又はアルカリ土類金属イオン、例えば[Ca2+0.5、[Mg2+0.5又は[Ba2+0.5であり得る。ホスホノアルキルは、-アルキル-ホスホネート基、例えば-CHP(O)(OH)又は-CHP(O)(ONa等を指し、((ジアルコキシホスホリル)アルキル)は、ホスホノアルキル基のジアルキルエステル、例えば-CHP(O)(O-tert-ブチル)等を指す。
【0058】
「患者」又は「対象」は、一般に、任意の生物を指すが、より典型的には哺乳動物及び他の動物、特にヒトを指す。したがって、開示された方法は、ヒトの療法にも獣医学的用途にも適用可能である。
【0059】
「医薬的に許容される添加剤」は、有効成分を含む製剤中に含有される有効成分以外の物質を指す。本明細書において用いられる添加剤は、医薬組成物の粒子内に組み込まれ得るか、又は医薬組成物の粒子と物理的に混合され得る。添加剤は、例えば、活性剤を希釈するため及び/又は医薬組成物の性質を修正するために使用され得る。添加剤としては、これらに限定されるものではないが、粘着防止剤、結合剤、コーティング、腸溶性コーティング、崩壊剤、着香剤、甘味剤、着色剤、滑剤、流動促進剤、収着剤、防腐剤、担体又は溶媒を挙げることができる。添加剤は、デンプン及び化工デンプン、セルロース及びセルロース誘導体、糖類及びその誘導体、例えば二糖、多糖及び糖アルコール、タンパク質、合成ポリマー、架橋ポリマー、酸化防止剤、アミノ酸又は防腐剤であり得る。例示的な添加剤としては、これらに限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、植物性ステアリン酸、スクロース、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸エステル(ビタミンE TPGS又はTPGSとしても知られる)、カルボキシメチルセルロース、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル、セレン、システイン、メチオニン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、糖、シリカ、タルク、炭酸マグネシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、タルトラジン、アスパルテーム、塩化ベンザルコニウム、ゴマ油、没食子酸プロピル、ピロ亜硫酸ナトリウム又は羊毛脂が挙げられる。
【0060】
「アジュバント」は、他の剤、典型的には有効成分の効果を修正する成分である。アジュバントは、多くの場合、薬理作用及び/又は免疫作用を有する剤である。アジュバントは、有効成分の効果を、免疫応答を増大させることによって修正することができる。アジュバントは、製剤の安定剤として作用することもできる。例示的なアジュバントとしては、これらに限定されるものではないが、水酸化アルミニウム、ミョウバン、リン酸アルミニウム、死菌、スクアレン、界面活性剤、サイトカイン、パラフィン油及びアジュバントの組合せ、例えば完全フロイントアジュバント又は不完全フロイントアジュバントが挙げられる。
【0061】
「医薬的に許容される担体」は、担体又は溶媒である添加剤、例えば懸濁助剤、溶解助剤又はエアゾール化助剤等を指す。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, The University of the Sciences in Philadelphia, Editor, Lippincott, Williams, &Wilkins, Philadelphia, PA, 21st Edition (2005)(参照により本明細書に援用される)には、1種又は複数の治療用組成物及び追加の医薬品を医薬的に送達するのに適した例示的な組成物及び配合物が記載されている。
【0062】
一般に、担体の性質は、利用する具体的な投与方式に依存することになる。例えば、非経口製剤は、通常、医薬的及び生理学的に許容される流体、例えば水、生理食塩水、平衡塩溶液、ブドウ糖水溶液、グリセロール又は溶媒等の注射可能な流体を含む。一部の例において、医薬的に許容される担体は、対象への投与(例えば、非経口、筋肉内又は皮下注射による)に適したものになるように滅菌され得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、防腐剤及びpH緩衝剤並びにこれらに類するもの、例えば酢酸ナトリウム又はモノラウリン酸ソルビタンを含み得る。
【0063】
「医薬的に許容される塩」は、当業者に知られているように、様々な有機及び無機対イオンから誘導された、化合物の医薬的に許容される塩を指し、例示のみを目的として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム等を含み、分子が塩基性官能基を含む場合、有機又は無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等を含む。「医薬的に許容される酸付加塩」は、「医薬的に許容される塩」の一部であり、相手となる酸により形成されているが、遊離塩基の生物学的有効性を維持している。特に、開示化合物は、これらに限定されるものではないが、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸に加えて、アミノ酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、キシナホ酸等の有機酸を含む様々な医薬的に許容される酸と塩を形成する。「医薬的に許容される塩基付加塩」は、「医薬的に許容される塩」の一部であり、無機塩基から誘導された例えばナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等である。例示的な塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩である。医薬的に許容される有機塩基から誘導された塩としては、これらに限定されるものではないが、1級、2級及び3級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環式アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等の塩が挙げられる。例示的な有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである(例えば、S. M. Berge, et al.,“Pharmaceutical Salts,”J. Pharm. Sci., 1977; 66: 1-19を参照されたく、これは、参照により本明細書に援用される)。特定の開示された実施形態において、化合物は、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、塩酸塩又はナトリウム塩であり得る。
【0064】
化合物又は医薬組成物に関する「有効量」は、タンパク質又は酵素を阻害するなど、具体的な所望の結果を達成するのに十分な化合物又は医薬組成物の量を指す。特定の実施形態において、「有効量」は、RIP1を阻害するため;組織、系、対象若しくは患者において所望の生物学的若しくは医学的応答を誘導するため;指定された障害若しくは疾患を治療するため;その症状の1つ若しくは複数を軽減若しくは根絶するため;及び/又は疾患若しくは障害の発生を予防するために十分な量である。「有効量」を構成する化合物の量は、当業者に理解されているように、化合物、所望の結果、疾患の状況及びその重症度、治療される患者のサイズ、年齢及び性別等に応じて変化し得る。
【0065】
「プロドラッグ」は、インビボで変換されて生物学的に活性な化合物又は親化合物よりも生物活性が高い化合物になる化合物を指す。インビボ変換は、例えば、加水分解又は酵素的変換により起こり得る。プロドラッグ部分の一般的な例としては、これらに限定されるものではないが、活性化形態がカルボン酸部分を有する化合物のエステル及びアミド形態が挙げられる。本発明の化合物の医薬的に許容されるエステルの例としては、これらに限定されるものではないが、ホスフェート基及びカルボン酸のエステル、例えば脂肪族エステル、特にアルキルエステル(例えば、C1~6アルキルエステル)が挙げられる。他のプロドラッグ部分としては、リン酸エステル、例えば-CH-O-P(O)(OR’)又はその塩(式中、R’は、H又はC1~6アルキルである)が挙げられる。更なる許容されるエステルとしては、シクロアルキルエステル及びアリールアルキルエステル、例えば、これらに限定されるものではないが、ベンジルが挙げられる。本発明の化合物の医薬的に許容されるアミドの例としては、これらに限定されるものではないが、1級アミド並びに2級及び3級アルキルアミド(例えば、約1~約6個の炭素原子を有するもの)が挙げられる。本発明による化合物の開示された例示的な実施形態のアミド及びエステルは、従来法に従って調製することができる。プロドラッグに関する十分な検討がT. Higuchi and V. Stella,“Pro-drugs as Novel Delivery Systems”, Vol 14 of the A. C. S. Symposium Series, and in Bioreversible Carriers in Drug Design, ed .Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987で行われており、この両方は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0066】
「溶媒和物」は、溶媒分子が溶質の分子又はイオンと組み合わさって形成される複合体を指す。溶媒は、有機溶媒、無機溶媒又は両方の混合物であり得る。例示的な溶媒としては、これらに限定されるものではないが、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール;アミド、例えばN,N-ジ脂肪族アミド、例えばN,N-ジメチルホルムアミド;テトラヒドロフラン;アルキルスルホキシド、例えばジメチルスルホキシド;水;及びこれらの組合せが挙げられる。本明細書に記載する化合物は、水及びエタノール等の医薬的に許容される又は許容されない溶媒と合一した場合、非溶媒和形態としても溶媒和形態としても存在し得る。本開示化合物の溶媒和形態は、本明細書に開示する実施形態の範囲に包含される。
【0067】
「スルホンアミド」は、-SOアミノ又は-N(R)スルホニル基又は部分を指し、Rは、H、脂肪族、複素脂肪族又は芳香族(アリール及びヘテロアリールの両方を含む)である。
【0068】
「スルファニル」は、-SH、-S-脂肪族、-S-複素脂肪族、-S-芳香族、(-S-アリール及び-S-ヘテロアリールの両方を含む)基又は部分を指す。
【0069】
「スルフィニル」は、-S(O)H、-S(O)脂肪族、-S(O)複素脂肪族又は-S(O)芳香族(-S(O)アリール及び-S(O)ヘテロアリールの両方を含む)基又は部分を指す。
【0070】
「スルホニル」は、-SOH、-SO脂肪族、-SO複素脂肪族、-SO芳香族(-SOアリール及び-SOヘテロアリールの両方を含む)基を指す。
【0071】
本明細書において用いられる「治療する」又は「治療」は、患者又は対象、特に対象とする疾患又は状態を有するヒトの対象とする疾患又は状態を治療することに関連し、その例として、これらに限定されるものではないが、
(i)患者若しくは対象における疾患若しくは状態の発生を予防すること、特にこの種の患者若しくは対象がその状態の素因を有しているが、依然としてそれを有すると診断されていない場合に予防すること;
(ii)疾患若しくは状態を阻害すること、例えばその進行を停止若しくは緩徐化させること;
(iii)疾患又は状態を緩和すること、例えば症状を縮小させるか、又は疾患、若しくは状態、若しくはその症状を退行させること;又は
(iv)疾患若しくは状態を安定化させること
が挙げられる。
【0072】
本明細書において用いられる「疾患」及び「状態」という語は、互換的に使用することもできるが、特定の不調又は状態に関して原因物質が分かっていない場合があり(そのため、依然として病因が定まっていない)、したがって依然として疾患として認められていない望ましくない状態又は症候群にすぎないが、多少の特定の一連の症状が臨床家によって同定されている点で異なる場合もある。
【0073】
上に示した定義及び以下に示す一般式は、許容できない置換パターン(例えば、5個のフルオロ基で置換されたメチル)を包含することを意図していない。この種の許容できない置換パターンは、当業者によって容易に認識される。
【0074】
当業者は、化合物が互変異性、配座異性、幾何異性及び/又は光学異性の現象を呈し得ることを理解するであろう。例えば、特定の開示された化合物は、1個又は複数の不斉中心及び/又は二重結合を含むことができ、その結果として、立体異性体、例えば二重結合異性体(即ち幾何異性体)、エナンチオマー、ジアステレオマー及びこれらの混合物、例えばラセミ混合物として存在することができる。他の例として、特定の開示された化合物は、エノール型、ケト型及びこれらの混合物等の幾つかの互変異性体として存在することができる。本明細書及び特許請求の範囲における様々な化合物名、式及び化合物の図は、可能性のある互変異性体、配座異性体、光学異性体又は幾何異性体の1種のみを表し得るが、当業者は、開示された化合物が、本明細書に記載する化合物の任意の互変異性体、配座異性体、光学異性体及び/又は幾何異性体並びにこれらの様々な異なる異性体の混合物も包含することを理解するであろう。エナンチオマー及び/又は立体異性体の混合物等の異なる異性体の混合物は、当業者に知られている技法を用いて分離することにより、それぞれ別々の、特に本開示の利点を有するエナンチオマー及び/又は立体異性体を得ることができる。例えば、アミド結合の周りの回転又はピリジニル環及びビフェニル基等の2個の直接結合されている環間の回転が制限されている場合、アトロプ異性体も可能であり、これらも同様に本発明の化合物に具体的に包含される。
【0075】
任意の実施形態において、化合物中又は化合物の特定の基若しくは部分中に存在するあらゆる水素が重水素又は三重水素に置き換えられ得る。したがって、アルキルが言及されている場合、重水素化アルキルも包含され、1個~存在する最大数の水素が重水素に置き換えられ得る。例えば、エチルは、C又は1~5個の水素が重水素に置き換わったC、例えばC5-xを指す。
【0076】
II.RIP1活性化合物及びRIP1活性化合物を含む医薬組成物
A.化合物
本明細書では、RIP1を阻害するため、及び/又はRIP1が関連する疾患及び/又は状態を治療するために有用な化合物並びにそのような化合物を含む医薬組成物を開示する。一部の実施形態において、化合物は、選択的キナーゼ阻害剤である。例えば、例示的な化合物は、RIP1を、RIP2、RIP3又はRIP2及びRIP3の両方に対して選択的に阻害する能力を有する。一部の実施形態において、本開示化合物は、式I
【化15】
を満たす構造又はその医薬的に許容される塩を有することができる。ここに開示する一般式は、その範囲において、この化合物のあらゆる立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、同位体及び/又はプロドラッグ(その点を除いて、この種の式により要求される構造上の特徴を有する)を包含することを当業者は理解するであろう。
【0077】
式Iにおいて、
環Bは、5員環のヘテロアリールであり;
Lは、C1~10脂肪族リンカーであり;
は、R又はRであり、少なくとも1個のRは、Rであり;
及びRのそれぞれは、独立に、Rであり;
各R及び各Rは、独立に、R又はRであり;
は、それぞれの場合に独立に、H若しくはD(L及び/又はRがRである実施形態を除く)、C1~10脂肪族又はC1~10環式脂肪族であり;
は、それぞれの場合に独立に、ハロゲン又は-NRであり、(i)各Rは、独立に、R若しくはRであるか、又は(ii)2個のR基は、それらが結合されている窒素と一緒になって、C3~10複素環式基を提供し、一部の実施形態では1個又は複数のR及び/又はR基で置換されており、及び/又は両方のR基が結合されている窒素以外に1個又は複数の更なるヘテロ原子を有する、C3~10複素環式基を提供し;
は、それぞれの場合に独立に、-OR、-NR、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヘテロアルキル、C3~6シクロアルキルであるか、又は2個のR基は、一緒になって、その2個のR基が結合されているR基と一緒にC3~10複素環式基を提供し、一部の実施形態では、そのC3~10複素環式基は、1個又は複数のR基で置換されており;
は、ハロゲン、C1~10脂肪族-C5~10芳香族又は=Oであり;
mは、1~4、例えば1、2、3又は4であり、特定の実施形態では1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;及び
pは、0、1、2、3、4又は5である。
【0078】
式Iの特定の実施形態において、5員環のヘテロアリール基は、式
【化16】
(式中、少なくとも1個のWは、窒素であり、及びそれぞれの残りのWは、独立に、炭素、CH、酸素、硫黄、窒素又はNHから選択される)
を満たす構造を有することができる。一部の実施形態において、5員環のヘテロアリール基は、トリアゾール又はオキサゾールである。トリアゾールの例として、以下のいずれかが挙げられる。
【化17】
【0079】
オキサゾールの例として、以下のいずれかが挙げられる。
【化18】
【0080】
式Iの特定の実施形態において、Lは、C1~10脂肪族リンカー、例えばC~Cアルキレンリンカー(例えば、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-又は-CHCHCHCH-)である。一部の実施形態において、Lは、-CH-である。
【0081】
は、式Iに示すように、フェニル環Aの任意の好適な炭素原子、例えば1、2、3又は4位に位置することができる。一部の実施形態において、1個のRは、Rであり、Rは、C~C10アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシル)であり、第2のRは、Rであり、Rは、ハロゲン(例えば、Br、F、I又はCl)であるか、又は-NRであり、2個のR基は、それらが結合されている窒素と一緒になって、C4~9複素環式基を提供する。一部の実施形態において、このC4~9複素環式基は、1個若しくは複数のR基で置換されており、及び/又は両方のR基が結合されている窒素以外に1個若しくは複数の更なるヘテロ原子を有する。一部の化合物の実施形態は、R基である少なくとも1個のR基を含み、Rは、-NRであり、(i)各Rは、独立に、R若しくはRであるか;又は(ii)2個のR基は、それらが結合されている窒素と一緒になって、C4~9複素環式基を提供する。一部の実施形態において、Rは、-NRであり、一方のRは、Rであり、Rは、Hであり、他方のRは、Rであり、Rは、C1~6ハロアルキルである。一部の実施形態において、複素環式基は、1又は2個のヘテロ原子を含む(Rの窒素原子を含む)。特定の複素環式基は、R基の窒素原子と、酸素原子又は更なる窒素原子のいずれかとを含む。一部の化合物の実施形態において、複素環式基は、式Iの環Aであるフェニル環にR基の窒素原子を通して結合されている。一部の実施形態において、複素環式基は、2個のR基で置換されており、Rは、それぞれの場合に独立に、C1~6ハロアルキル(例えば、-CHCl)又はC1~6ヘテロアルキル(例えば、CHOH)である。複素環式基はと、を6員環又は7員環の複素環式基である。例示的な実施形態において、複素環式基は、
【化19】
(式中、各nは、独立に、0~4の範囲の整数、例えば0、1、2、3又は4であり;及びRは、水素;脂肪族、例えばC1~10脂肪族;芳香族、例えばC5~10芳香族;又は複素脂肪族、例えばC1~10複素脂肪族から選択される)
である。
【0082】
一部の実施形態において、Rは、Rであり、Rは、-NRであり、両方のR基は、それらが結合されている窒素と一緒になって、少なくとも2個のR基で置換されたC4~9複素環式基を提供し、この2個のR基は、一緒になって、それらが結合されているR基と一緒にC3~10複素環式基を提供する。この種の実施形態において、この2個のR基は、二環式基又はスピロ環式基が提供されるように一緒になり得、二環式基又はスピロ環式基の一方の環は、R基によって提供されるものであり、二環式基又はスピロ環式基の他方の環は、2個のR基によって提供されるものである。スピロ環式基を含む実施形態において、スピロ環式基の各環は、同数の原子を有し得るか、又は異なる数の原子を有し得る。特定の実施形態において、スピロ環式基は、少なくとも2個の環を含み、スピロ環式基の第1の環及び第2の環は、異なる数の炭素原子、異なる数のヘテロ原子又は両方を有する。一部の実施形態において、スピロ環式基の2個の環は、同数の炭素原子、同数のヘテロ原子又はその両方を有する。一部の実施形態において、スピロ環式基の各環は、環中にヘテロ原子を含み、そのヘテロ原子は、各環で同一であり得るか、又はスピロ環式基の各環は、環中に異なるヘテロ原子を有し得る。スピロ環式基は、環Aであるフェニル基の炭素原子にカップリングされている第1の環を含むことができ、第1の環は、3~7個の原子を有し、第2の環は、3~7個の原子を有する。一部の実施形態において、スピロ環式基は、R基の窒素原子以外に少なくとも1個の酸素原子を含む。スピロ環式基は、スピロ環系において、合計7個を超える原子を含み得、特定の実施形態は、スピロ環系において、合計9個の原子を含む。例示的な実施形態において、Rは、2個のR基と一緒に、以下のスピロ環:
【化20】
(式中、Rは、水素;脂肪族、例えばC1~10脂肪族;芳香族、例えばC5~10芳香族;又は複素脂肪族、例えばC1~10複素脂肪族から選択される)
を提供し得る。
【0083】
二環式基は、R基及びそれに結合されている2個のR基によって提供され得る。この二環は、二環式基内に2個以上のヘテロ原子を含む基であり得る。この種の実施形態において、2個以上のヘテロ原子は、窒素及び/又は酸素である。一部の実施形態において、二環式基は、Rが-NRである場合、R基の窒素原子を介して、本明細書において与える一般式に示す環Aであるフェニル基の炭素原子に結合されている。二環式基は、縮合二環式基及び架橋二環式基を含むあらゆる二環式基となり得るが、特定の例示的な実施形態では、二環式基は、2.2.1二環、3.2.1二環又は3.2.2二環である。例示的な実施形態において、Rが2個のR基と一緒に二環式基を提供する場合、二環は、
【化21】
(式中、各nは、独立に、0~4の範囲の整数、例えば0、1、2、3又は4であり;及びRは、独立に、水素;脂肪族、例えばC1~10脂肪族;芳香族、例えばC5~10芳香族;又は複素脂肪族、例えばC1~10複素脂肪族から選択される)
であり得る。
【0084】
一部の実施形態において、R及びRのそれぞれは、独立に、Rであり、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルである。特定の実施形態において、R及びRは、独立に、水素又はメチルである。例示的な実施形態において、Rは、メチルであり、Rは、水素である。
【0085】
一部の実施形態において、各Rは、独立に、及び/又は各Rは、独立に、R又はRであり、Rは、それぞれの場合に独立に、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、Rは、クロロ、ブロモ、ヨード又はフルオロである。特定の実施形態において、各R及び/又は各Rは、独立に、低級アルキル又はフルオロである。
【0086】
一部の実施形態において、mは、1であり;nは、0又は1であり;pは、0又は1である。特定の実施形態において、mは、1であり、nは、0であり、pは、0又は1である。
【0087】
式Iの化合物は、式II及びIIA~IICのいずれか1つ又は複数を満たす構造を有することもできる。
【化22】
【0088】
式II及びIIA~IICにおいて、R及びRのそれぞれは、式Iに関して記載した通りである。特定の実施形態において、Rは、Rであり、Rは、-NRであり、2個のR基は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のR基で置換された複素環式基を提供し、このR基は、それぞれの場合に独立に、C1~6ハロアルキル若しくはC1~6ヘテロアルキルであるか、又は2個のR基は、一緒になって、その2個のR基が結合されているR基と一緒にC3~10複素環式基を提供する。一部の実施形態において、2個のR基、二環式基又はスピロ環式基である。特定の実施形態では、Rが存在し、これは、フルオロである。他の特定の実施形態では、Rは、存在しない。式IIA~IICにおいて、各Wは、独立に、窒素又は酸素である。
【0089】
一部の実施形態において、式Iの化合物は、式III(ここで、Rは、複素環式基である);式IVA又はIVB(ここで、Rは、複素環式基であり、更にスピロ環式基である);又は式VA、VB若しくはVC(ここで、Rは、複素環式基であり、更に二環式基である)のいずれか1つ又は複数を満たす構造を有することもできる。
【化23】
【0090】
式IIIにおいて、各Rは、それぞれの場合に独立に、C1~6ハロアルキル(例えば、アルキル-Cl、アルキル-Br、アルキル-F又はアルキル-I)又はC1~6ヘテロアルキル(例えば、アルキル-OH)である。式IIIの特定の実施形態において、一方のRは、-CHOHであり、他方のRは、-CHClである。式IVA及びIVBにおいて、各Yは、独立に、窒素、酸素又は-C(R-であり、各Rは、それぞれの場合に独立に、水素又はC~Cアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルである。式IVA、IVB、VA及びVBの特定の実施形態において、少なくとも1個のYは、酸素であり、残りの可変基Yは、全て-CH-である。式IVA、IVB、VA及びVBの特定の実施形態において、少なくとも1個のYは、酸素であり、例えば、少なくとも1個のYは、酸素であり、残りの可変基Yは、全て-CH-である。式VCの特定の実施形態において、Yは、窒素又は-CR-であり、Rは、水素又は脂肪族、特にC~Cアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルである。式VCの特定の実施形態において、Xは、窒素であり、Yは、窒素である。式III、IVA、IVB及びVA~VCのいずれか1つにおいて、環Bは、以下である。
【化24】
【0091】
式I、II、IIA~IIC、III、IVA、IVB又はVA~VCの1つ又は複数の範囲に包含される特定の例示的な開示化合物として、以下が挙げられる。
【化25】
【化26】
【0092】
式I~V、VIA、VIB又はVIIA~VIICの1つ又は複数の範囲に包含される例示的な化合物として以下が挙げられる:
I-1:(S)-N-(7-(4-(クロロメチル)-4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1-(4-フルオロベンジル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-2:(S)-1-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-3:(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
I-4:(S)-1-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-5:(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-6:N-((S)-7-((1S,4S)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-5-ベンジルイソオキサゾール-3-カルボキサミド;
I-7:N-((S)-7-((1S,4S)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1-(4-フルオロベンジル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-8:(S)-1-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-7-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-9:(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-7-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-4-オキソ-2,3,4,5テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
I-10:(S)-5-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-7-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-11:(S)-5-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-12:(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-7-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-13:N-((3S)-7-(8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-5-ベンジルイソオキサゾール-3-カルボキサミド;
I-14:(S)-N-(7-(1,4-ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン-4-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-5-ベンジルイソオキサゾール-3-カルボキサミド;
I-15:(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-8-(3-オキサ-9-アザスピロ[5.5]ウンデカン-9-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-16:(S)-N-(7-(1,4-ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン-4-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-5-ベンジル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-17:(S)-5-ベンジル-N-(7-((3-クロロプロピル)アミノ)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-18:(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(1-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-19:(S)-5-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(1-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-20:(S)-N-(7-(アゼチジン-1-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-5-ベンジル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-21:(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-22:(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(8-オキサ-2-アザスピロ[4.5]デカン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-23:(S)-5-ベンジル-N-(7-(2-ベンジル-1-オキソ-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-24:(S)-5-ベンジル-N-(7-(2-ベンジル-1-オキソ-2,9-ジアザスピロ[5.5]ウンデカン-9-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-25:(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(3-オキサ-9-アザスピロ[5.5]ウンデカン-9-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;
I-26;(S)-5-ベンジル-N-(7-(3,3-ジフルオロアゼチジン-1-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド;及び
I-27:(S)-5-ベンジル-N-(7-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド。
【0093】
本開示から考えられる更なる例示的な化合物種を次に示す。
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【0094】
一部の実施形態において、化合物の1種又は複数を医薬組成物又は薬剤に含有させることができ、一部の実施形態において、1種又は複数の化合物は、その親化合物又は医薬的に許容される塩、立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、同位体若しくはプロドラッグの形態であり得る。医薬組成物は、通常、開示された1種又は複数の化合物以外に少なくとも1種の追加の成分、例えば医薬的に許容される添加剤、アジュバント、追加の治療薬(以下の項に記載する)又はこれらの任意の組合せを含む。
【0095】
医薬的に許容される添加剤は、医薬組成物に様々な目的で、例えば医薬組成物を対象に送達するために希釈すること、製剤の処理を容易にすること、製剤に有利な材料特性を付与すること、送達器具からの分散を容易にすること、製剤を安定化させること(例えば、酸化防止剤又は緩衝剤)、製剤に好ましい若しくは口に合う味又は粘稠性を付与すること等を目的として含有させることができる。医薬的に許容される添加剤としては、医薬的に許容される担体を挙げることができる。例示的な添加剤としては、これらに限定されるものではないが、単-、二-及び多糖類、糖アルコール並びに他のポリオール、例えばラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール、デンプン又はこれらの組合せ;界面活性剤、例えばソルビトール、ジホスファチジルコリン及びレシチン;増量剤;緩衝剤、例えばリン酸及びクエン酸緩衝剤;粘着防止剤、例えばステアリン酸マグネシウム;結合剤、例えば糖類(二糖類、例えばスクロース及びラクトース等)、多糖類(例えば、デンプン、セルロース、微結晶セルロース)、セルロースエーテル(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ゼラチン、合成ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール);コーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロースエーテル、セラック、トウモロコシタンパク質ゼイン及びゼラチン);放出助剤(例えば、腸溶性コーティング);崩壊剤(例えば、クロスポビドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びデンプングリコール酸ナトリウム);フィラー(例えば、二塩基性リン酸カルシウム、植物性油脂、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム);着香剤及び甘味剤(例えば、ミント、チェリー、アニス、モモ、アンズ又は甘草、キイチゴ及びバニラ);滑剤(例えば、鉱物、例えばタルク又はシリカ、脂肪、例えば植物性ステアリン、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸);防腐剤(例えば、酸化防止剤、例えばビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル及びセレン、アミノ酸、例えばシステイン及びメチオニン、クエン酸及びクエン酸ナトリウム、パラベン、例えばメチルパラベン及びプロピルパラベン);着色剤;圧縮助剤;乳化剤;カプセル化剤;ガム類;造粒剤;及びこれらの組合せが挙げられる。
【0096】
B.治療薬の組合せ
本明細書に記載する化合物は、単独で、互いに組み合わせて、別々の医薬組成物中で、単一の医薬組成物中で一緒に又は他の確立された療法と補助的に若しくは併用して使用することができる。1種若しくは複数の化合物又は1種の化合物(又は複数の化合物)を含む組成物は、1回又は複数回投与することができる。一部の実施形態において、本発明の化合物は、治療される障害又は状態に有用な他の治療薬と併用することができる。これらの他の治療薬は、本開示化合物と、同時に、任意の順序で連続的に同じ投与経路又は異なる投与経路で投与することができる。連続投与する場合、本化合物及び治療薬は、少なくとも1種の化合物及び治療薬の効果持続時間が少なくとも1種の他の化合物及び/又は治療薬の効果持続時間と重複するように投与され得る。4種の成分を含む組合せの例示的な実施形態において、最初に投与される成分の効果持続時間は、2番目、3番目及び4番目の成分の効果持続時間と重複し得るが、2番目、3番目及び4番目の成分の効果持続時間は、独立に、互いに重複してもしなくてもよい。4種の成分を含む組合せの他の例示的な実施形態において、最初に投与される成分の効果持続時間は、2番目の成分の効果持続時間と重複するが、3番目又は4番目とは重複せず;2番目の成分の効果持続時間は、最初及び3番目の成分の効果持続時間と重複し;4番目の成分の効果持続時間は、3番目の成分のものとのみ重複する。一部の実施形態において、全ての化合物及び/又は治療薬の効果持続時間は、互いに重複する。
【0097】
一部の実施形態において、化合物は、他の治療薬、例えば鎮痛剤、抗生物質、抗凝血剤、抗体、抗炎症剤、免疫抑制剤、グアニル酸シクラーゼ-Cアゴニスト、腸分泌促進剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、抗真菌剤又はこれらの組合せと一緒に投与される。抗炎症剤は、ステロイド又は非ステロイド性抗炎症剤であり得る。特定の実施形態において、非ステロイド性抗炎症剤は、アミノサリチレート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ジクロフェナク、エトドラク、ファモチジン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナムブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチン又はこれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態において、免疫抑制剤は、メルカプトプリン、コルチコステロイド、アルキル化剤、カルシニューリン阻害剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、抗リンパ球グロブリン、抗胸腺細胞グロブリン、抗T細胞抗体又はこれらの組合せである。一実施形態において、抗体は、インフリキシマブである。
【0098】
一部の実施形態において、本発明化合物は、抗癌剤又は殺細胞剤と一緒に使用することができる。抗癌及び抗悪性腫瘍化合物の様々な分類として、これらに限定されるものではないが、アルキル化剤、代謝拮抗物質、BCL-2阻害剤、ビンカアルキロイド、タキサン、抗生物質、酵素、サイトカイン、白金錯体)、プロテアソーム阻害剤、置換尿素、キナーゼ阻害剤、ホルモン及びホルモン拮抗剤並びに脱メチル化剤、例えばDNMT阻害剤、例えばアザシチジン及びデシタビンが挙げられる。例示的なアルキル化剤として、これらに限定されるものではないが、メクロロタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、エチレンイミン、メチルメラミン、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)及びカルムスチンが挙げられる。例示的な代謝拮抗物質の例としては、これらに限定されるものではないが、葉酸類似体メトトレキサート;ピリミジン類似体フルオロウラシル、シトシンアルビノシド;プリン類似体メルカプトプリン、チオグアニン及びアザチオプリンが挙げられる。例示的なビンカアルキロイドの例としては、これらに限定されるものではないが、ビンブラスチン、ビンクリスチン、パクリタキセル及びコルヒチンが挙げられる。例示的な抗生物質の例としては、これらに限定されるものではないが、アクチノマイシンD、ダウノルビシン及びブレオマイシンが挙げられる。抗悪性腫瘍剤として有効な酵素の例としては、L-アスパラギナーゼが挙げられる。例示的な配位化合物としては、これらに限定されるものではないが、一例として、シスプラチン及びカルボプラチンが挙げられる。例示的なホルモン及びホルモン関連化合物としては、これらに限定されるものではないが、一例として、副腎皮質ステロイドであるプレドニゾン及びデキサメタゾン;アロマターゼ阻害剤であるアミノグルテチミド、フォルメスタン及びアナストロゾール;プロゲスチン化合物であるカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン;並びに抗エストロゲン化合物タモキシフェンが挙げられる。一部の実施形態において、本発明化合物は、抗癌剤又は殺細胞剤と一緒に使用することができる。
【0099】
上記及び他の有用な抗癌化合物は、Merck Index, 13th Ed. (O’Neil M. J. et al., ed.) Merck Publishing Group (2001)及びGoodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 12th Edition, Brunton L. L. ed., Chapters 60-63, McGraw Hill, (2011)に記載されており、この両方は、参照により本明細書に援用される。
【0100】
ここに開示した阻害剤と併用することができるCTLA 4抗体の中には、YERVOY(登録商標)としてBristol-Myers Squibbから市販されているイピリムマブがある。
【0101】
併用される他の化学療法薬としては、癌免疫療法剤、例えばPD-1阻害剤、例えばニボルマブ及びランブロリズマブ等のチェックポイント経路阻害剤並びにペンブロリズマブ、MEDI-4736及びMPDL3280A/RG7446等のPD-L1阻害剤が挙げられる。本明細書に開示する化合物と併用される更なるチェックポイント阻害剤としては、抗LAG-3剤、例えばBMS-986016(MDX-1408)が挙げられる。
【0102】
ここに開示した阻害剤と併用される他の化学療法剤としては、ヒト化モノクローナル抗体であるエロツズマブ(BMS-901608)等の抗SLAMF7剤、抗KIRモノクローナル抗体であるリリルマブ(BMS-986015)等の抗KIR剤及び完全ヒト化モノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)等の抗CD137剤が挙げられる。
【0103】
ここに開示した化合物は、有利には、CAR-T療法と併用することもできる。現時点で利用可能なCAR-T療法の例は、アキシカブタゲンシロロイセル及びチサゲンレクルユーセルである。
【0104】
本発明の化合物と併用するのに有用な他の抗増殖化合物の例としては、これらに限定されるものではないが、増殖因子受容体を標的とする抗体(例えば、抗Her2);及びサイトカイン、例えばインターフェロン-α及びインターフェロン-γ、インターロイキン-2並びにGM-CSFが挙げられる。
【0105】
本発明化合物と併用するのに有用な他の化学療法剤としては、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、マリゾミブ等のプロテアソーム阻害剤が挙げられる。
【0106】
ここに開示した化合物と特に悪性腫瘍の治療において併用するのに有用なキナーゼ阻害剤の例としては、Btk阻害剤、例えばイブルチニブ;CDK阻害剤、例えばパルボシクリブ;EGFR阻害剤、例えばアファチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、オシメルチニブ及びバンデチニブ;Mek阻害剤、例えばトラメチニブ;Raf阻害剤、例えばダブラフェニブ、ソラフェニブ及びベムラフェニブ;VEGFR阻害剤、例えばアキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ;BCR-Abl阻害剤、例えばボスチニブ、ダサチニブ、イマチニブ及びニロチニブ;FLT-3阻害剤、例えばギルテリチニブ及びキザルチニブ;PI3-キナーゼ阻害剤、例えばイデラリシブ;Syk阻害剤、例えばフォスタマチニブ;並びにJAK阻害剤、例えばルキソリチニブ及びフェドラチニブが挙げられる。
【0107】
他の実施形態において、第2の治療薬は、次に示すいずれかから選択することができる:
鎮痛剤 - モルヒネ、フェンタニル、ヒドロモルフォン、オキシコドン、コデイン、アセトアミノフェン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、トラマドール、ベンラファキシン、フルピルチン、メペリジン、ペンタゾシン、デキストロモラミド、ジピパノン;
抗生物質 - アミノグリコシド(例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン及びパロマイシン)、カルバペネム(例えば、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム、シラスタチン及びメロペネム)、セファロスポリン(例えば、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファレキシン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム及びセフォビプロール、グリコペプチド(例えば、テイコプラニン、バンコマイシン及びテラバンシン)、リンコサミド(例えば、クリンダマイシン及びインコマイシン、リポペプチド(例えば、ダプトマイシン)、マクロライド(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン及びスペクチノマイシン)、モノバクタム(例えば、アズトレオナム)、ニトロフラン(例えば、フラゾリドン及びニトロフラントイン)、ペニシリン(例えば、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、テモシリン及びチカルシリン)、複合ペニシリン製剤(例えば、アモキシシリン/クラブラン酸、アンピシリン/スルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタム、チカルシリン/クラブラン酸)、ポリペプチド(例えば、バシトラシン、コリスチン及びポリミキシンB)、キノロン(例えば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン及びテマフロキサシン)、スルホンアミド(例えば、マフェニド、スルホンアミドクリソイジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルイミド、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム及びトリメトプリム-スルファメトキサゾール)、テトラサイクリン(例えば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン及びテトラサイクリン)、抗酸菌化合物(例えば、クロファジミン、ダプソン、カプレオマイシン、サイクロセリン、エタンブトール、エチオナミド、イソニアジド、ピラジンアミド、リファンピシン(リファンピン)、リファブチン、リファペンチン及びストレプトマイシン)並びに他のもの、例えばアルスフェナミン、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、フシジン酸、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、プラテンシマイシン、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファキシミン、チアムフェニコール、チゲサイクリン及びチミダゾール;
抗体 - 抗TNF-α抗体、例えばインフリキシマブ(Remicade(商標))、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ;抗-B細胞抗体、例えばリツキシマブ;抗IL-6抗体、例えばトシリズマブ;抗IL-1抗体、例えばアナキンラ;抗PD-1及び/又は抗PD-L1抗体、例えばニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、BMS-936559、MPDL3280A、AMP-224、MEDI4736;イキセキズマブ、ブロダルマブ、オファツムマブ、シルクマブ、クレノリキシマブ、クラザキウマブ、フェザキヌマブ、フレチクマブ、マブリリムマブ、オクレリズマブ、サリルマブ、セクキヌマブ、トラリズマブ、ザノリムマブ;
抗凝血剤 - ワルファリン(Coumadin(商標))、アセノクマロール、フェンプロクモン、アトロメンチン、フェニンジオン、ヘパリン、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、リバロキサバン、アピキサバン、ヒルジン、レピルジン、ビバリルジン、アルガトロバム、ダビガトラン、キシメラガトラン、バトロキソビン、ヘメンチン;
抗炎症剤 - ステロイド、例えばブデソニド、非ステロイド性抗炎症剤、例えばアミノサリチレート(例えば、スルファサラジン、メサラミン、オルサラジン及びバルサラジド)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(COX-2阻害剤、例えばロフェコキシブ、セレコキシブ)、ジクロフェナク、エトドラク、ファモチジン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、イブプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナンブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチン;
免疫抑制剤 - メルカプトプリン、コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン及びプレドニゾロン、アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリン、シロリムス及びタクロリムス、イノシン一リン酸脱水素酵素(IMPDH)阻害剤、例えばミコフェノレート、ミコフェノール酸モフェチル及びアザチオプリン並びに細胞性免疫を抑制しながらレシピエントの液性免疫応答を完全に保つように設計された剤(様々な抗体(例えば、抗リンパ球グロブリン(ALG)、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、モノクローナル抗T細胞抗体(OKT3))及び放射線照射を含む)。アザチオプリンは、現在、Salix Pharmaceuticals, Inc.から商品名Azasanで入手可能であり;メルカプトプリンは現在、Gate Pharmaceuticals, Inc.から商品名Purinetholで入手可能であり;プレドニゾン及びプレドニゾロンは、現在、Roxane Laboratories, Incから入手可能であり;メチルプレドニゾロンは、現在、Pfizerから入手可能であり;シロリムス(ラパマイシン)は、現在、Wyeth-Ayerstから商品名Rapamuneで入手可能であり;タクロリムスは、現在、Fujisawaから商品名Prografで入手可能であり;シクロスポリンは、現在、Novartisから商品名Sandimmuneで、且つAbbottから商品名Gengrafで入手可能であり;IMPDH阻害剤、例えばミコフェノール酸モフェチル及びミコフェノール酸は、現在、Rocheから商品名Cellceptで、且つNovartisから商品名Myforticで入手可能であり;アザチオプリンは、現在、Glaxo Smith Klineから商品名Imuranで入手可能であり;抗体は、現在、Ortho Biotechから商品名Orthocloneで、Novartisから商品名Simulect(バシリキシマブ)で、且つRocheから商品名Zenapax(ダクリズマブ)で入手可能である;及び
グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト又は腸分泌促進物質、例えばLinzessの名称で販売されているリナクロチド。
【0108】
これらの様々な剤は、市販形態の薬物に添付されている添付文書に規定されている、それらの標準的又は一般的な用量に従って使用することができる(The Physician’s Desk Referenceの2006年版の添付文書も参照されたい)(その開示は、参照により本明細書に援用される)。
【0109】
III.化合物の製造方法
開示化合物が任意の許容される合成方法により調製できることは、本開示の利益を受ける当業者に理解されるであろう。以下の実施例において、好適な方法の一例を特定の化合物を参照しながら示す。化合物の例示的な製造方法は、次に示すスキーム1に従う第1反応ステップを含むことができる。
【化31】
【0110】
スキーム1では、好適な金属を触媒とするクロスカップリング条件を用いて、出発化合物100とRを含む試剤102とを反応させることにより、Rで官能基化された生成物104が得られる。Xは、ハロゲン又はトリフラート基等、金属を触媒とするクロスカップリングに好適な基であり、PGは、アミン保護基であり、これは、これらに限定されるものではないが、9-フルオレニルメトキシカルボニル(「Fmoc」)基、t-ブチルオキシカルボニル(「Boc」)基、トリチル(「Tr」)基、アリルオキシカルボニル(「Alloc」)基、ベンジルオキシカルボニル(「Cbz」)基等から選択することができる。一部の実施形態において、金属を触媒とするクロスカップリング条件は、遷移金属触媒、例えばPd(0)触媒(例えば、Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(PPh等)を配位子成分、例えばPd(0)触媒からPd(II)を生じさせることができる配位子(例えば、BINAP配位子、BINOL配位子、等)、塩基(例えば、t-BuONa)及び溶媒と組み合わせて使用することを含む。一部の実施形態において、クロスカップリングステップは、反応混合物を好適な温度(例えば、60℃以上、例えば70℃~140℃、又は80℃~120℃、又は85℃~100℃)で加熱することを含む。
【0111】
スキーム1に示す方法の代表例を次のスキーム2A~2Gに示す。
【化32】
【化33】
【0112】
本化合物を生成する方法の実施形態は、Rで官能基化された生成物104を、本開示の範囲に包含される所望の化合物に変換するために用いられる追加のステップを更に含むことができる。一部の実施形態において、これらの追加のステップは、アミン化合物300を得るための第1の脱保護ステップを含むことができる。次いで、アミン化合物300は、スキーム3に示すように、アミン化合物と、好適な酸であるカップリング相手302とを反応させることにより、アミド化合物304に変換される。
【化34】
【0113】
スキーム3において、脱保護は、アミン保護基(スキーム1及び3に示す「PG」)を除去することができる任意の好適な試剤の使用を含むことができる。一部の実施形態において、脱保護ステップには、TFA等の酸が使用される。更なる実施形態では、脱保護ステップにピペリジン等の塩基を使用し得る。脱保護に好適な他の酸及び塩基は、本開示の利益を受ける当業者に容易に認識される。アミド形成ステップは、アミン化合物300の遊離アミンとカップリング相手302の酸官能基との間のアミド形成を促進することができる試剤を用いて実施することができる。好適なカップリング相手は、本開示の利益を受ける当業者に認識されている方法を用いて合成することができるか、又は商業的供給源から購入することができる。一部の実施形態では、アミドを形成するために、プロピルホスホン酸無水物をジイソプロピルエチルアミン等の塩基と組み合わせて使用し得るが、2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-ヘキサフルオロホスフェート、2-(6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド・HCl、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ブロモ-トリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等の他の試剤をジイソプロピルエチルアミン及びイソプロピルアミン等と組み合わせて使用することもできる。ジクロロメタン(「DCM」)等の好適な溶媒も使用される。
【0114】
スキーム3に示す方法のステップの代表例を次のスキーム4A~4Nに示す。
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【0115】
上のスキーム4A~4Nにおいて、酸であるカップリング相手402は、次に示す手順を用いて生成することができる:5-ベンジルイソオキサゾール-3-カルボン酸エチルの溶液を、NaOHをMeOH及び水中に溶解した溶液に分配する。20℃で適切な時間静置した後、溶媒を真空下で除去する。残渣を希塩酸で酸性化した後、EtOAcで抽出する。有機相を水及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空乾燥させる。スキーム4A~4Nに記載した、他のカップリング相手となる酸は、類似の方法を用いて、好適な出発物質(例えば、5-ベンジル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸エチル、1-ベンジル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸エチル及びそのフッ素化形態)を使用することにより生成することができる。
【0116】
IV.化合物の使用方法
A.疾患/障害
開示された化合物に加えてその組合せ及び/又は医薬組成物は、インビボ又はエクスビボのいずれかでキナーゼを、1種若しくは複数の本開示化合物又は1種若しくは複数の本開示化合物を含む組成物と接触させることにより、RIP1キナーゼを阻害するために使用することができる。1種若しくは複数の開示化合物又は1種若しくは複数の開示化合物を含む組成物は、様々な疾患及び/又は障害の軽減、治療又は予防に使用することもできる。特定の実施形態において、開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物は、RIP1の阻害又はRIP1が関与する経路の阻害が治療的に有用である状態の治療に有用となり得る。一部の実施形態において、化合物は、RIP1キナーゼ活性を直接阻害する。特定の実施形態において、開示された化合物は、自己免疫性疾患、炎症性疾患、心血管疾患、神経障害、神経変性疾患、アレルギー性疾患、呼吸器疾患、腎臓疾患、癌、虚血状態、赤血球欠乏、肺及び脳損傷(例えば、虚血再灌流又はシスプラチン及び/又は脳血管障害により引き起こされるもの)並びに細菌及びウイルス感染の治療に有用である。
【0117】
一部の実施形態において、開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物は、アレルギー性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、I型糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁性肝硬変症、ブドウ膜炎、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、自己免疫性筋炎、ウェゲナー肉芽腫症、魚鱗癬、グレーブス眼症又は喘息の治療又は予防に使用することができる。
【0118】
開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物は、骨髄が関連する免疫調節疾患又は臓器移植拒絶又は移植片対宿主病の治療にも有用であり得る。本化合物(又は医薬組成物又はこれらの組合せ)で治療することができる炎症性疾患及び免疫調節疾患の例としては、これらに限定されるものではないが、臓器若しくは組織の移植、移植により起こる移植片対宿主病、自己免疫症候群(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本病、多発性硬化症、全身性硬化症、全身性炎症反応症候群、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎等)、感染後自己免疫疾患(リウマチ熱及び感染後糸球体腎炎等)、炎症性及び増殖性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水泡症、蕁麻疹、血管性浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増多症、エリテマトーデス、ざ瘡、円形脱毛、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に伴うブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮変性症、角膜白斑、眼天疱瘡、蚕食性角膜潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、フォークト・小柳・原田病、サルコイドーシス、花粉症、可逆的閉塞性気道疾患、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性若しくは難治性喘息、遅発型喘息及び気道過敏性、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患及び血栓症に起因する血管損傷、虚血性腸疾患、虚血再灌流傷害、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、熱傷に伴う腸の病変、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性腸炎、片頭痛、鼻炎、湿疹、質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症、多発性筋炎、ギランバレー症候群、メニエール病、多発性神経炎(polyneuritis)、多発性神経炎(multiple neuritis)、単発神経炎、神経根障害、甲状腺機能亢進症、バセドウ病、赤芽球癆、再生不良性貧血(aplastic anemia)、再生不良性貧血(hypoplastic anemia)、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、骨粗鬆症、サルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光アレルギー感受性、皮膚T細胞性リンパ腫、白血病慢性リンパ球性白血病、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎、心筋症若しくは心筋梗塞、強皮症(全身性強皮症を含む)、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、脂肪過多、好酸球性筋膜炎、歯肉、歯周組織、歯槽骨、歯のセメント質の病変、糸球体腎炎、男性型脱毛症又は老人性脱毛症(脱毛の防止又は毛髪の形成及び/又は発毛及び毛髪成長の促進による)、筋ジストロフィー、膿皮症及びセザリー症候群、アジゾン病、臓器の保存、移植若しくは虚血性疾患の際に発生する虚血再灌流傷害、エンドトキシンショック、偽膜性腸炎、薬物性若しくは放射線照射性腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎不全、肺の酸素若しくは薬物により引き起こされる中毒症、肺癌、肺気腫、白内障、鉄沈着症、網膜色素変性症、レチナール変性症、網膜剥離、老人性黄斑変、硝子体瘢痕、角膜アルカリ熱傷、皮膚多形紅斑、線状IgA水疱性皮膚症及びセメント皮膚炎、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染により引き起こされる疾患、加齢、発癌、癌腫の転移及び高山病、ヒスタミン若しくはロイコトリエン-C4放出により引き起こされる疾患、ベーチェット病、自己免疫性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、肝部分切除、急性肝壊死、毒素により引き起こされた壊死、ウイルス性肝炎、ショック若しくは酸素欠乏、B型ウイルス肝炎、非A非B型肝炎、肝硬変、アルコール性肝臓疾患、(アルコール性肝硬変、アルコール性脂肪性肝炎を含む)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、自己免疫性肝胆汁性疾患、アセトアミノフェン毒性、肝毒性、肝不全、劇症肝炎、遅発性肝不全、慢性肝不全の急性増悪、慢性腎臓疾患、腎臓障害/損傷(例えば、腎炎、腎移植、外科手術、腎毒性薬物の投与、急性腎障害により引き起こされるもの)、化学療法効果の増強、サイトメガロウイルス感染症、HCMV感染症、AIDS、癌、老年痴呆、パーキンソン病、精神的外傷又は慢性細菌感染症が挙げられる。
【0119】
特定の実施形態において、本発明化合物は、神経障害性疼痛及び炎症誘発性疼痛を含む神経痛の痛みの治療に有用である。
【0120】
特定の実施形態において、化合物は、インターロイキン-1変換酵素関連発熱症候群、腫瘍壊死因子受容体関連周期性症候群、NEMO欠損症候群、HOIL-1欠損症、直鎖状ユビキチン鎖生成酵素欠乏症候群、リソソーム蓄積症(例えば、ゴーシェ病、GM2ガングリオシドーシス、αマンノース症、アスパルチルグルコサミン尿症、コレステリルエステル蓄積症、慢性ヘキソサミニダーゼA欠乏症、シスチン蓄積症、ダノン病、ファブリー病、ファーバー病、フコシドーシス、ガラクトシアリドーシス、GM1ガングリオシド蓄積症、ムコリピドーシス、乳児型シアル酸蓄積症、若年性ヘキソサミニダーゼA欠損症、クラッベ病、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症、異染性白質ジストロフィー、ムコ多糖症、マルチプルスルファターゼ欠損症、ニーマンピック病、神経セロイドリポフスチン症、ポンぺ病、濃化異骨症、サンドホフ病、シンドラー病、シアル酸蓄積症、Tay-Sach病及びウォルマン病)の治療に有用である。
【0121】
特定の実施形態において、開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、強直性脊椎炎、骨粗鬆症、全身性硬化症、多発性硬化症、乾癬、特に膿疱性乾癬、I型糖尿病、II型糖尿病、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性腸炎)、高グロブリン血症及び周期性発熱症候群、クリオピリン周期性症候群、シュニッツラー症候群、全身性若年性関節リウマチ、成人スティル病、痛風、痛風発作、偽痛風、sapho症候群、キャッスルマン病、敗血症、卒中、アテローム性動脈硬化症、セリアック病、DIRA(Il-1受容体拮抗分子欠損症)、アルツハイマー病、ハンチントン病又はパーキンソン病の治療及び/又は予防に有用である。
【0122】
開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物により治療することができる増殖性疾患としては、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣、子宮頸部、精巣、泌尿生殖器、食道、喉頭、皮膚、骨若しくは甲状腺の良性若しくは悪性腫瘍、固形腫瘍、癌腫、肉腫、膠芽腫、神経芽細胞腫、多発性骨髄腫、消化器癌、特に結腸癌若しくは大腸腺腫、頭頸部の腫瘍、表皮過剰増殖、乾癬、前立腺肥大、新生物、上皮性新生物、腺腫、腺癌、角化棘細胞腫、扁平上皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌、リンパ腫、ホジキン及び非ホジキン、乳癌、濾胞癌、未分化癌、乳頭癌、精上皮腫、黒色腫、IL-1誘発障害、MyD88により惹起される障害(例えば、ABCびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、ホジキンリンパ腫、原発性皮膚T細胞リンパ腫又は慢性リンパ性白血病を含む)、くすぶり型若しくは無痛無症候性多発性骨髄腫又は血液系悪性腫瘍(白血病、急性骨髄性白血病(AML)、DLBCL、ABC DLBCL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性リンパ球性リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞性リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄線維症、真性赤血球増多症、カポジ肉腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、脾辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫を含む)が挙げられる。特に、ここに開示する化合物は、薬剤抵抗性悪性腫瘍、例えばJAK阻害剤であるイブルチニブに耐性が生じたイブルチニブ耐性血液系悪性腫瘍等の悪性腫瘍、例えばイブルチニブ耐性CLL及びイブルチニブ耐性ワルデンストレームマクログロブリン血症の治療に有用である。
【0123】
開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物を用いて治療することができるアレルギー性疾患の例としては、これらに限定されるものではないが、喘息(例えば、アトピー性喘息、アレルギー性喘息、IgE関連アトピー性気管支喘息、非アトピー性喘息、気管支喘息、非アレルギー性喘息、本態性喘息、真性喘息、病態生理学的により惹起される内因性喘息、未知の原因若しくは原因不明の本態性喘息、気腫性喘息、運動誘発性喘息、情動誘発性喘息、環境因子により惹起される外因性喘息、冷気誘発性喘息、職業性喘息、細菌、真菌、原生動物若しくはウイルス感染により惹起される若しくは合併する感染型喘息、初期喘息、乳幼児喘鳴症候群、細気管支炎、咳型喘息又は薬物喘息)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性鼻炎、血管運動性鼻炎、後鼻漏、化膿性又は非化膿性副鼻腔炎、急性又は慢性副鼻腔炎並びに篩骨洞炎、前頭洞炎、上顎洞炎又は蝶形骨洞炎が挙げられる。
【0124】
他の例として、関節リウマチ(RA)では、典型的には全身の標的関節に腫れ、痛み、動きの制限及び圧痛が起こる。RAは、リンパ球が集簇している慢性的な滑膜の炎症を特徴とする。典型的には細胞1個分の厚みを有する層である滑膜の細胞が非常に増加し、樹状細胞、T-、B-及びNK細胞、マクロファージ並びに形質細胞の集団を含むリンパ組織に類似した形態を呈する。この過程に加えて、抗原-免疫グロブリン複合物の形成を含む免疫病理学的機序が過剰に機能すると、最終的に関節の健全性が破壊され、その結果として関節又は関節付近の骨の変形、機能の永久的喪失及び/又は侵食が起こる。開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物は、RAのこれらの症状の任意の1つ、幾つか又は全部を治療、軽減又は予防するために使用することができる。したがって、RAに関して、化合物が、RAに一般に付随する何らかの症状を低減又は軽減する場合、その治療の結果としてその基礎にあるRAが同時に治療される否か及び/又は血中リウマチ因子(「RF」)の量が低下するか否かに関わらず、その治療は、治療効果をもたらすとみなされる。
【0125】
米国リウマチ学会(ACR)は、RAの改善及び臨床的寛解を定義するための基準を策定している。この指標であるACR20(ACR基準の20%の臨床的改善を認める)は、圧痛関節数及び腫脹関節数が20%改善することに加えて、次に示す5項目のうちの3項目が20%改善することが必要である:患者の全般的評価、医師の全般的評価、患者による痛みの評価、身体機能障害及び急性炎症反応の度合い。これらの基準は、50%及び70%の改善に関しても、それぞれACR50及びACR70に拡張される。他の基準としては、Pauluの基準及びX線所見の進行(例えば、シャープスコア)が挙げられる。
【0126】
一部の実施形態において、RAに罹患している患者の治療効果は、患者がACR20を呈した場合に達成される。特定の実施形態において、ACRの改善は、ACRC50又は更にACR70を達成することができる。
【0127】
B.製剤及び投与
1種又は複数の本発明の活性化合物を含む医薬組成物は、任意の好適な方法、例えば混合、溶解、造粒、糖衣、磨り潰し、乳化、カプセル化、内包又は凍結乾燥プロセスにより製造することができる。医薬組成物は、1種又は複数の生理学的に許容される添加剤(例えば、希釈剤、担体又は補助剤)、1種又は複数のアジュバント又はこれらの組合せを用いて製剤化することにより、医薬的に使用することができる製剤を得ることができる。
【0128】
活性化合物は、医薬組成物中にそれ自体配合され得るか、又はその医薬的に許容される塩、立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、同位体若しくはプロドラッグの形態で配合され得る。通常、この種の塩は、対応する遊離酸及び塩基よりも水溶液中に溶解しやすいが、対応する遊離酸及び塩基よりも溶解性が低い塩も形成し得る。
【0129】
本発明の医薬組成物は、実質的にあらゆる投与方式、例えば局所、眼内、経口、頬側、全身、経鼻、注射(静脈内又は腹腔内等)、経皮、直腸内、経腟等の投与に適した形態又は吸入若しくは送気投与に適した形態をとることもできる。
【0130】
局所投与の場合、活性化合物、医薬的に許容される塩、立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、同位体又はプロドラッグは、当技術分野でよく知られている液剤、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁剤等として配合することができる。
【0131】
全身用製剤としては、注射、例えば皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内又は腹腔内注射による投与のために設計されたもの及び経皮、経粘膜、経口又は経肺投与用として設計されたものが挙げられる。
【0132】
有用な注射製剤としては、活性化合物の水性又は油性溶媒中の無菌懸濁液、溶液又は乳濁液が挙げられる。医薬組成物は、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤等の配合助剤も含むことができる。注射製剤は、単位投与形態、例えばアンプル又は複数回投与用容器で提供することができ、添加された防腐剤を含み得る。
【0133】
代わりに、注射製剤は、好適な溶媒(これらに限定されるものではないが、発熱性物質を含まない滅菌水、緩衝液、デキストロース溶液等が挙げられる)で使用前に再構成するための粉末形態で提供することもできる。この目的のために、活性化合物を凍結乾燥等の任意の公知の技法で乾燥させ、使用前に再構成することができる。
【0134】
経粘膜投与の場合、透過される障壁に適した浸透剤が製剤に使用される。この種の浸透剤は、当技術分野において知られている。
【0135】
経口投与の場合、医薬組成物は、例えば、従来の手段により医薬的に許容される添加剤、例えば結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);フィラー(例えば、ラクトース、微結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム);及び/又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)等と一緒に調製されたトローチ剤、錠剤又はカプセル剤の形態をとることができる。錠剤は、当技術分野でよく知られている方法により、例えば糖、フィルム又は腸溶性コーティングでコーティングされ得る。
【0136】
経口投与用液体製剤は、例えば、エリキシル剤、液剤、シロップ剤若しくは懸濁剤の形態をとることができるか、又は水若しくは他の好適な溶媒で使用前に構成するための乾燥製品として提供することもできる。この種の液体製剤は、従来の手段で、医薬的に許容される添加剤、例えば懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水添食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチン又はアラビアガム);非水性溶媒(例えば、扁桃油、油状エステル、エチルアルコール、cremophore(商標)又は分留された植物油);及び防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸又はソルビン酸メチル又はプロピル)と一緒に調製することができる。製剤は更に、適切であれば、緩衝塩、防腐剤、着香剤、着色剤、甘味剤を含むことができる。
【0137】
経口投与用製剤は、好適には、公知のように、活性化合物が制御放出されるように製剤化することができる。
【0138】
頬側投与の場合、医薬組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤又はトローチ剤の形態をとることができる。
【0139】
直腸及び経腟投与経路の場合、活性化合物は、カカオ脂又は他のグリセリド等の従来の坐剤基材を含む液剤(停留浣腸用)、坐剤又は軟膏として製剤化することができる。
【0140】
経鼻投与の場合又は吸入若しくは送気による投与の場合、活性化合物、医薬的に許容される塩、立体異性体、N-オキシド、互変異性体、水和物、溶媒和物、同位体又はプロドラッグは、好適な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フルオロカーボン、二酸化炭素又は他の好適な気体を使用する加圧充填物又は噴霧器からエアゾールスプレーの形態で好都合に送達することができる。加圧されたエアゾールの場合、投与単位は、計量された量を送達するための弁を設けることにより決定することができる。吸入器又は送気装置に使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えば、ゼラチンから構成されるカプセル及びカートリッジ)は、化合物とラクトース又はデンプン等の好適な粉末基剤との粉末混合物が収容されるように製剤化することができる。
【0141】
市販の経鼻噴霧器を使用する経鼻投与に適した水性懸濁製剤の具体例は、次に示す成分を含む:活性化合物(0.5 20mg/mL);塩化ベンザルコニウム(0.1 0.2mg/mL);ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80;0.5 5mg/mL);ナトリウムカルボキシメチルセルロース又は微結晶セルロース(1 15mg/mL);フェニルエタノール(1 4mg/ml);及びデキストロース(20 50mg/mL)。最終懸濁剤のpHは、約pH5~pH7の範囲に調整することができ、典型的なpHは、約pH5.5である。
【0142】
吸入による化合物の投与に適した水性懸濁剤の他の具体例は、開示化合物20mg/mL、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)1%(v/v)、サイトレート50mM及び/又は塩化ナトリウム0.9%を含む。
【0143】
眼内投与の場合、活性化合物は眼内投与に適した液剤、乳剤、懸濁剤等に製剤化することができる。化合物を眼内投与するのに適した様々な溶媒が当技術分野において知られている。非限定的な具体例が米国特許第6,261,547号;米国特許第6,197,934号;米国特許第6,056,950号;米国特許第5,800,807号;米国特許第5,776,445号;米国特許第5,698,219号;米国特許第5,521,222号;米国特許第5,403,841号;米国特許第5,077,033号;米国特許第4,882,150号;及び米国特許第4,738,851号に記載されており、これらは、参照により本明細書に援用される。
【0144】
活性化合物を持続的に送達するために、移植又は筋肉内注射による投与のためのデポー製剤として製剤化することができる。有効成分は、好適な高分子又は疎水性物質と一緒に(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)若しくはイオン交換樹脂と一緒に又は難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化することができる。代わりに、活性化合物を経皮的に吸収させるように徐放する円形貼付剤又はパッチ剤として製造された経皮送達系を使用することもできる。この目的のために、浸透増強剤を使用して活性化合物の経皮浸透を促進し得る。好適な経皮パッチ剤は、例えば、米国特許第5,407,713号;米国特許第5,352,456号;米国特許第5,332,213号;米国特許第5,336,168号;米国特許第5,290,561号;米国特許第5,254,346号;米国特許第5,164,189号;米国特許第5,163,899号;米国特許第5,088,977号;米国特許第5,087,240号;米国特許第5,008,110号;及び米国特許第4,921,475号に記載されており、これらは、参照により本明細書に援用される。
【0145】
代わりに、他の医薬送達系を利用することもできる。リポソーム及びエマルジョンは活性化合物の送達に使用することができるよく知られている送達媒体の例である。通常、毒性がより高くなるという代償を払うが、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の特定の有機溶媒も使用することができる。
【0146】
医薬組成物は、必要に応じて、活性化合物を含有する1つ又は複数の単位投与形態を含むことができる包装体又は分注器具中で提供することができる。包装体は、例えば、金属又はプラスチック箔、例えばブリスターパックを含むことができる。包装体又は分注器具には投与のための取扱説明書が添付される場合もある。
【0147】
C.投与量
本開示化合物、医薬組成物又は開示化合物の組合せは、一般に、意図された結果を達成するのに有効な量、例えばRIP1キナーゼを阻害するため及び/又は具体的な状態を治療、予防又は軽減するために有効な量で使用されることになる。開示化合物又はその医薬組成物は、治療効果を達成する目的で治療的に又は予防効果を達成する目的で予防的に投与することができる。治療効果とは、患者がその基礎にある障害に依然として悩まされている可能性の有無とは無関係に、感覚又は状態が改善されたと患者が報告するように、基礎にある治療される障害が根絶若しくは軽減されること及び/又は基礎にある障害に伴う1つ若しくは複数の症状が根絶若しくは軽減されることを意味する。例えば、アレルギーを患っている患者に化合物を投与することにより、基礎にあるアレルギー反応が根絶又は軽減された場合のみならず、患者がアレルゲンに曝露された後のアレルギーに付随する症状の重症度が低下するか又は期間が短縮されたと報告した場合も治療効果が得られている。他の例として、喘息に関連する治療効果としては、喘息発作が発症した後の呼吸の改善又は喘息が発症する頻度若しくは重症度の低下が挙げられる。治療効果としては、改善を実感するか否かに関わらず、疾患の進行が停止又は緩徐化することも挙げられる。
【0148】
当業者に知られているように、開示化合物の好ましい投与量は、治療される患者又は対象の年齢、体重、全体的健康感及び状態の重症度を含む様々な因子に依存し得る。投与量は、吸入により投与する場合、個体の性別及び/又は個体の肺気量に合わせて調整することも必要であり得る。投与量は、2つ以上の状態に罹患している個体又は肺気量及び呼吸能力に悪影響を及ぼす更なる状態、例えば通常、気腫、気管支炎、肺炎、呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患及び呼吸器感染を有する個体に合わせて調整することもできる。開示化合物又はその医薬組成物の投与量及び投与頻度は、開示化合物が状態の急性発症の治療のために処方されるか又は障害の予防的治療のために処方されるかにも依存することになる。当業者は、具体的な個体に最適な用量を決定することができるであろう。
【0149】
予防的投与の場合、本開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物は、上に述べた状態の1つを発症する危険性のある患者又は対象に投与することができる。例えば、患者又は対象が特定の薬物にアレルギーがあるか否か不明である場合、本開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物を、薬物を投与する前に、その薬物に対するアレルギー反応を回避又は軽減するために投与することができる。代わりに、基礎にある障害が診断された患者の症状の発症を回避又は軽減するために予防的投与を用いることができる。例えば、アレルギー患者がアレルゲンに曝露される前に開示化合物又はその医薬組成物を投与することができる。開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物は、上述の不調の1種として知られている原因物質に繰り返し曝露される健康な個体に、障害の発症を予防するために予防的に投与することもできる。例えば、開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物を、アレルギーを誘発することが知られているラテックス等のアレルゲンに繰り返し曝露される健康な個体に、その個体のアレルギーの発症を予防する試みとして投与することができる。代わりに、喘息に罹患している患者に、喘息発作を誘発する活動に参加する前に、出現する喘息症状の重症度を低下させるか又は完全に回避するために、開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物を投与することができる。
【0150】
有効用量は、まず、インビトロ試験で見積もることができる。例えば、対象に使用するための初回用量は、活性化合物の循環血液中又は血清中濃度が、インビトロ試験で求められた具体的な化合物のIC50又はEC50に到達するか又はそれを超えるように配合することができる。用量は、具体的な化合物のバイオアベイラビリティを考慮して、このような循環血中又は血清中濃度に到達するように算出することができる。Fingl&Woodbury, “General Principles,”In: Goodman and Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, Chapter 1, pages 1-46, Pergamon Press及びその中に引用されている参考文献には、有効投与量に関する更なる手引きが記載されている。
【0151】
一部の実施形態において、開示化合物のEC50は、0超~20μM、例えば0超~10μM、0超~5μM、0超~1μM、0超~0.5μM、0超~0.1μM又は0超~0.05μMである。
【0152】
初回用量は、動物モデル等のインビボデータから見積もることもできる。上に述べた様々な疾患の治療又は予防における化合物の有効性を試験するのに有用な動物モデルは、当技術分野でよく知られている。過敏性又はアレルギー反応の好適な動物モデルは、Foster, (1995) Allergy 50 (21Suppl): 6-9, discussion 34-38及びTumas et al., (2001), J. Allergy Clin. Immunol. 107 (6): 1025-1033に記載されている。アレルギー性鼻炎の好適な動物モデルは、Szelenyi et al., (2000), Arzneimittelforschung 50 (11): 1037-42; Kawaguchi et al., (1994), Clin. Exp. Allergy 24 (3):238-244及びSugimoto et al., (2000), Immunopharmacology 48 (1): 1-7に記載されている。当業者は、ヒトへの投与に適した投薬量の決定にこのような情報を適合させることができる。
【0153】
一部の実施形態では、RIP1活性の決定に適した試験を用いることができる。この種の試験方法は、本明細書に開示する化合物の実施形態の有効性を評価するために使用することができ、及び/又は所望の効果を提供することができる化合物の実施形態の量/投与量を決定するために使用することができる。一部の実施形態において、試験は、化合物の実施形態がRIP1を阻害する能力を評価するADP-Glo(商標)アッセイであり得る。他の実施形態では、マウス及び/又はヒト細胞を使用する全細胞アッセイ、例えばU937及び/又はL929細胞ネクロプトーシスアッセイを実施して、インビボ研究に使用することができる化合物の安全及び有効な用量を決定することができる。このような全細胞アッセイを用いて、ヒト及び/又はマウスRIP1に対する化合物の活性をインビトロ条件で評価することができ、それにより、当業者は、インビボでの使用に安全及び有効な投与量を決定することが可能になる。RIP1が関与する疾患又は状態を治療する活性を評価するために本明細書に記載する化合物の実施形態を使用することができる更なる他の試験は、急性低体温マウスモデルであり、これは、TNF-αにより惹起される低体温を阻害する化合物の能力を評価する。これらの試験及びこれらの試験を用いることにより得られる様々な結果のそれぞれを本開示の実施例項に記載する。
【0154】
開示化合物の投与量は、通常、0mg/kg/日を超え、例えば0.0001mg/kg/日、又は0.001mg/kg/日、又は0.01mg/kg/日~少なくとも約100mg/kg/日の範囲となるであろう。より典型的には、投与量(又は有効量)は、少なくとも1回/日、約0.0025mg/kg~約1mg/kgの範囲で投与、例えば0.01mg/kg~約0.5mg/kg又は約0.05mg/kg~約0.15mg/kgとなり得る。1日総投与量は、通常、約0.1mg/kg/日~約5mg/kg/日又は約20mg/kg/日の範囲、例えば0.5mg/kg/日~約10mg/kg/日又は約0.7mg/kg/日~約2.5mg/kg/日の範囲である。投与量は、数ある因子の中でも、開示された化合物の活性、そのバイオアベイラビリティ、投与方式及び上に述べた様々な因子に応じてより高く又はより低くなり得る。
【0155】
投与量及び投与間隔は、個体に対して、開示化合物の治療的又は予防的効果を維持するのに十分な血漿中濃度が得られるように調整することができる。例えば、化合物は、数ある事項の中でも、投与方式、治療される具体的な対象疾患及び処方医師の判断に応じて、1日1回、1日複数回、週1回、週複数回(例えば、隔日)、月1回、月複数回又は年1回投与することができる。当業者は、過度な実験を行うことなく有効な局所投与量を最適化することができるであろう。
【0156】
1種又は複数の開示化合物を含む医薬組成物は、通常、1種又は複数の開示化合物及び/又は他の治療薬を総重量パーセントで0超~99%まで含む。より典型的には、1種又は複数の開示化合物を含む医薬組成物は、開示化合物及び他の治療薬を全体で約1~約20重量パーセントと、医薬的に許容される添加剤を約80~約99重量パーセントとを含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、アジュバントを更に含み得る。
【0157】
好ましくは、開示化合物、開示化合物の組合せ又はその医薬組成物は、相当な毒性を示すことなく治療的又は予防効果を示すであろう。開示化合物の毒性は、標準的な薬学的手順を用いて決定することができる。毒性作用を示す用量及び治療(又は予防)効果を示す用量の比は、治療指数である。高い治療指数を示す開示化合物が好ましい。
【実施例
【0158】
V.実施例
実施例1
【化39】
ステップ1
(S)-7-ブロモ-5-メチル-3-(トリチルアミノ)-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-4(5H)-オン200(下に例示する方法を用いて生成したもの;0.25g、0.49mmol)、7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン塩酸塩(0.10g、0.60mmol)、Pd(dba)(0.025g、0.027mmol)、rac-BINAP(0.05g、0.08mmol)及びNaOBu(0.12g、1.3mmol)のトルエン(5mL)中混合物を85℃で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル/ヘキサン(3/7)で溶出させることにより精製し、(S)-5-メチル-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-3-(トリチルアミノ)-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-4(5H)-オン204を褐色固体として得た(0.26g、96%)。
【化40】
【0159】
ステップ2
(S)-5-メチル-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-3-(トリチルアミノ)-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-4(5H)-オン204(0.26g、0.46mmol)のジクロロメタン(6mL)中混合物にトリフルオロ酢酸(15.7mmol、1.2mL)を加えた。得られた溶液を室温で0.5時間撹拌した。次いで、溶液を減圧下で濃縮した。残渣をメタノールに溶解し、次いで28%水酸化アンモニウム溶液で塩基性化した。得られた混合物を再び減圧下で濃縮し、得られた残渣をクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル→ジクロロメタン/MeOH(10/2)で溶出させることにより精製し、(S)-3-アミノ-5-メチル-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-4(5H)-オン205をペールホワイト色固体として得た(0.16g、91%)。H NMR(CDOD,400MHz)6.96(d,J=8.8Hz,1H),6.38(d,J=2.8Hz,1H),6.32(dd,J=8.8,2.8Hz,1H),4.30(m,1H),3.98(m,1H),3.72(m,1H),3.64(m,8H),3.33(s,3H),1.81(m,4H)ppm;MS m/e:318.2(M+H)
【0160】
ステップ3
(S)-3-アミノ-5-メチル-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-4(5H)-オン3(0.025g、0.08mmol)205及び5-ベンジル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸(0.018mg、0.09mmol)のジクロロメタン(1mL)中混合物を撹拌しながら、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.05ml、0.3mmol)及びTP(プロピルホスホン酸無水物溶液(50%wt.%酢酸エチル中))を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した後、水で反応を停止した。有機層を分離して減圧下で濃縮し、得られた残渣をクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル/ヘキサン(3/7→9/1)で溶出させることにより精製し、(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドI-5を白色固体として得た(0.02g、61%)。H NMR(CDOD,400MHz)7.26(m,5H),7.01(d,J=8.8Hz,1H),6.43(d,J=2.8Hz,1H),6.36(dd,J=9.0,2.4Hz,1H),4.96(m,1H),4.47(m,1H),4.25(m,1H),4.13(s,2H),3.64(m,8H),3.35(s,3H),1.82(m,4H)ppm;MS m/e:503.3(M+H)
【0161】
実施例2
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-1を生成した。
【化41】
(S)-N-(7-(4-(クロロメチル)-4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1-(4-フルオロベンジル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)8.56(s,1H),7.82(m,1H),7.65(m,1H),7.38(m,2H),7.07(m,3H),5.43(s,2H),5.00(m,1H),4.60(m,1H),4.49(m,1H),4.40(m,2H),3.43(s,3H),2.38(m,2H),2.02(m,2H),1.35(m,6H)ppm;MS m/e:557.3(M+H)
【0162】
実施例3
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-2を生成した。
【化42】
(S)-1-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDCl,400MHz)8.01(m,2H),7.26(m,2H),7.05(m,3H),6.26(dd,J=9.0,2.8Hz,1H),6.18(d,J=2.8Hz,1H),5.33(s,2H),5.08(m,1H),4.65(m,1H),4.13(m,1H),3.65(m,8H),3.38(s,3H),1.85(m,4H)ppm;MS m/e:521.3(M+H)
【0163】
実施例4
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-3を生成した。
【化43】
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDCl,400MHz)7.69(m,1H),7.26(m,5H),7.01(d,J=8.8Hz,1H),6.26(m,2H),6.18(d,J=2.8Hz,1H),5.00(m,1H),4.61(m,1H),4.13(m,1H),4.08(s,2H),3.64(m,8H),3.38(s,3H),1.84(m,4H)ppm;MS m/e:503.3(M+H)
【0164】
実施例5
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-4を生成した。
【化44】
(S)-1-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)8.56(s,1H),7.40(m,2H),7.09(m,3H),6.96(m,1H),6.90(m,1H),5.45(s,2H),4.97(m,1H),4.51(m,1H),4.49(s,4H),4.31(m,1H),3.38(s,3H),3.12(m,4H),2.01(m,4H)ppm;MS m/e:521.3(M+H)
【0165】
実施例6
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-6を生成した。
【化45】
N-((S)-7-((1S,4S)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-5-ベンジルイソオキサゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)7.28(m,5H),7.02(d,J=8.8Hz,1H),6.58(m,1H),6.53(dd,J=8.4,2.8Hz,1H),6.37(s,1H),4.96(m,1H),4.63(m,1H),4.51(m,1H),4.45(m,1H),4.30(m,1H),4.14(s,2H),3.83(m,2H),3.55(m,1H),3.36(s,3H),3.07(m,1H),2.02(m,1H),1.93(m,1H)ppm;MS m/e:475.1(M+H)
【0166】
実施例7
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-7を生成させた。
【化46】
N-((S)-7-((1S,4S)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1-(4-フルオロベンジル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)8.54(s,1H),7.38(m,2H),7.06(m,3H),6.59(d,J=2.8Hz,1H),6.54(dd,J=8.4,2.8Hz,1H),5.43(s,2H),4.97(m,1H),4.63(m,1H),4.49(m,2H),4.26(m,1H),3.83(m,2H),3.55(m,1H),3.36(s,3H),3.07(m,1H),2.01(m,1H),1.94(m,1H)ppm;MS m/e:493.3(M+H)
【0167】
実施例8
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-8を生成した。
【化47】
(S)-1-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-7-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)8.55(s,1H),7.37(m,2H),7.08(m,3H),6.72(m,2H),5.43(s,2H),4.98(m,1H),4.49(m,1H),4.26(m,1H),3.83(m,2H),3.70(m,2H),3.64(m,4H),3.37(s,3H),2.01(m,2H)ppm;MS m/e:495.3(M+H)
【0168】
実施例9
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-9を生成した。
【化48】
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-7-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-4-オキソ-2,3,4,5テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)7.28(m,5H),7.02(d,J=9.2Hz,1H),6.69(d,J=2.8Hz,1H),6.65(dd,J=9.0,3.2Hz,1H),6.36(s,1H),4.97(m,1H),4.44(m,1H),4.29(m,1H),4.14(s,2H),3.80(m,2H),3.68(m,2H),3.63(m,4H),3.36(s,3H),1.99(m,2H)ppm;MS m/e:477.3(M+H)
【0169】
実施例10
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-10を生成した。
【化49】
(S)-5-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-7-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)7.28(m,2H),7.03(m,3H),6.66(m,2H),4.98(m,1H),4.49(m,1H),4.25(m,1H),4.13(s,2H),3.81(m,2H),3.68(m,2H),3.62(m,4H),3.37(s,3H),1.99(m,2H)ppm;MS m/e:495.3(M+H)
【0170】
実施例11
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-11を生成した。
【化50】
(S)-5-(4-フルオロベンジル)-N-(5-メチル-4-オキソ-7-(7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)7.27(m,2H),7.03(m,3H),6.43(d,J=2.4Hz,1H),6.37(dd,J=8.8,2.8Hz,1H),4.96(m,1H),4.48(m,1H),4.25(m,1H),4.13(s,2H),3.65(m,8H),3.36(s,3H),1.83(m,4H)ppm;MS m/e:519.3(M-H)
【0171】
実施例12
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-12を生成した。
【化51】
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-7-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)7.26(m,4H),7.02(d,J=9.2Hz,1H),6.69(d,J=3.2Hz,1H),6.66(m,1H),4.99(m,1H),4.49(m,1H),4.25(m,1H),4.14(s,2H),3.82(m,2H),3.69(m,2H),3.62(m,4H),3.37(s,3H),1.99(m,2H)ppm;MS m/e:475.3(M-H)
【0172】
実施例13
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-13を生成した。
【化52】
N-((3S)-7-(8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-5-ベンジルイソオキサゾール-3-カルボキサミド H NMR(CDOD,400MHz)7.32(m,5H),7.04(d,J=8.8Hz,1H),6.81(d,J=2.8Hz,1H),6.76(dd,J=8.8,2.8Hz,1H),6.37(s,1H),4.94(m,1H),4.44(m,3H),4.31(m,1H),4.14(s,2H),3.37(m,5H),2.90(m,2H),1.95(m,4H)ppm;MS m/e:489.1(M+H)
【0173】
実施例14
上に記載した合成手順を本明細書に記載するように適合させることにより、次に示す化合物I-14を生成した。
【化53】
(S)-N-(7-(1,4-ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン-4-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-5-ベンジルイソオキサゾール-3-カルボキサミド MS m/e:502.3(M+H)
【0174】
他の例示的な化合物を以下に記載する。
【化54】
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-8-(3-オキサ-9-アザスピロ[5.5]ウンデカン-9-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド
H nmr(400MHz,CDCl)δ 8.08(1H,d,JHz,NH),7.29-7.19(5H,m,C),7.04(1H,d,J 9.0Hz,オキソベンゾオキサザピンH-6),6.74(1H,dd,J 9.0,2.5Hz,オキソベンゾオキサザピンH-7),6.68(1H,d,J 2.5Hz,オキソベンゾオキサザピンH-9),5.06(1H,dt,J 11.0,7.5Hz,オキソベンゾオキサザピンH-3),4.67(1H,dd,J 10.0,7.5Hz,オキソベンゾオキサザピンH-2の1H),4.21(1H,dd,J 11.0,10.0Hz,オキソベンゾオキサザピンH-2の1H),4.13(2H,s,CH),3.70,3.68(4H,2d AB系,J 5.5Hz,ピランH-2,H-6),3.34(3H,s,NCH),3.20,3.18(4H,2d AB系,J 5.5Hz,ピペリジンH-2,H-6),1.70-1.68(4H,m,ピペリジンH-3,H-5),1.56-1.53(4H,m,ピランH-3,H-5);m/z:531[M+H](実測値[M+H],531.2711,C2934の理論値[M+H] 531.2714).
【化55】
(S)-5-ベンジル-N-(7-(2-ベンジル-1-オキソ-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.03-7.93(m,1H),7.34-7.23(m,4H),7.21-7.18(m,2H),7.14-7.09(m,5H),6.96(br d,J=8.8Hz,1H),6.72(br d,J=8.9Hz,1H),6.65(br s,1H),4.94(t,J=9.2Hz,1H),4.50-4.40(m,3H),4.07(t,J=10.0Hz,1H),3.94(br s,2H),3.57-3.51(m,2H),3.30(s,3H),3.18(t,J=6.9Hz,2H),2.86-2.79(m,2H),2.13-2.06(m,2H),1.93(t,J=6.9Hz,2H),1.54-1.50(m,2H);LRMS(M+H)m/z 620.5.
【化56】
(S)-5-ベンジル-N-(7-(2-ベンジル-1-オキソ-2,9-ジアザスピロ[5.5]ウンデカン-9-イル)-5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.00-7.83(m,1H),7.31-7.17(m,6H),7.06-7.04(m,5H),6.91(br d,J=8.8Hz,1H),6.66(br d,J=9.0Hz,1H),6.59(br s,1H),4.93-4.87(m,1H),4.54(br s,2H),4.38(br s,1H),4.08-3.98(m,1H),3.86(br s,2H),3.45-3.39(m,2H),3.24(br s,2H),3.19(br s,3H),2.95-2.88(m,2H),2.37-2.30(m,2H),1.80-1.77(m,4H),1.61-1.58(m,2H);LRMS(M+H)m/z 634.5.
【0175】
実施例15
本実施例では、ADP-Glo(商標)技術を用いる生化学分析により開示化合物を評価した。
【0176】
ADP-Glo(商標)(Promega, Madison, WI, USA)試薬を周囲温度で解凍した。キナーゼ検出バッファーを凍結乾燥されたキナーゼ検出基質と混合することによりキナーゼ検出試薬を調製した。
【0177】
1M MgCl 1000μL、1M トリス-HCL(pH7.4)500μL、BSA 0.5mg/mL(25mg)及び蒸留水3475μLを混合することによりキナーゼ反応バッファーの5×原液500mLを作製した。最終濃度でDTT 100μM及びMnCl 4mMを含むキナーゼ反応バッファーの2×作業溶液3mLを作製した。
【0178】
RIPK1酵素の構成品(Rigel Pharmaceutical, South San Francisco, CA, USA)を氷上で解凍した。希釈されたRIPK1を1×キナーゼ反応バッファー(2×バッファーから希釈)において31ng/ウェルとなるように調製した。166μMのATPアッセイ作業溶液を1×キナーゼ反応バッファー(2×バッファーから希釈)中で調製した。
【0179】
96ウェルプレートを用いて化合物をDMSOで250uMから4倍段階希釈で希釈した後、2×反応バッファーで1:5に希釈した。希釈した化合物1.0uLを384ウェルプレートに2連で加えた。希釈した活性RIPK1 2μlを384ウェルプレートに加え(1列目には加えない)、1列目には2×rxnバッファーを加えた。150nMのAKT(Anaspec, Fremont, CA, USA)をATP作業溶液と等量ずつ混合し、384ウェルプレートに2uL/ウェルずつ加えた。最終反応量を5.0μLとした。
【0180】
プレートを短時間遠心分離にかけ、反応物を30℃で30分間インキュベートした。ADP-Glo(商標)5μlを加えて反応を停止した。プレートを短時間遠心分離にかけ、反応物を室温で40分間インキュベートした。次いで、キナーゼ検出試薬を加え、室温で30分間インキュベートした。Wallac Victor2 Luminometer(PerkinElmer, Waltham, MA, USA)を使用して、発光量(0.1秒間の発光)を測定し、キナーゼ反応による相対発光単位(RLU)を求めた。この実施例により得られたIC50値を表1に示す。
【0181】
【表1】
【0182】
実施例16
本実施例では、U937及びL929細胞を本開示化合物に曝露して細胞ネクロプトーシスアッセイを行うことにより、化合物のヒトRIP1及びマウスRIP1に対する活性を評価した。
【0183】
U937及びL929細胞を米国培養細胞系統保存機関(Manassa, VA, USA)より入手した。両方の細胞を、10%ウシ胎児血清(Sigma, ST Louis, MO, USA)を添加した完全培地であるRPMI 1640(Sigma, ST Louis, MO, USA)において、37℃、5%COで対数増殖期に維持した。ネクロプトーシスアッセイを行うために、L929細胞を、Costar 96ウェル黒色透明底プレート(Fisher Scientific, Hampton, NH, USA)を用いて、100μL/ウェルの培地中、細胞10K個/ウェルで18時間プレーティングした。U937細胞は、アッセイ当日に60μMのzVAD-fmk(Lonza, Basel, Switzerland)を含む50μL/ウェル培地中、細胞50K個/ウェルでプレーティングした。96ウェルプレートのL929細胞から培地を除去し、40uMのzVAD-fmkを添加した新鮮な培地50μL/ウェルと交換した。本実施例では、本開示化合物をそれぞれDMSOで2.5mMから4倍希釈で段階希釈した後、完全培地で1:125に希釈した。次いで、2×化合物を50μL/ウェルでプレートの細胞に加えた。細胞を化合物と一緒に37℃、5%COで1時間プレインキュベートした後、11×TNFα(Peprotech, Rocky Hill, NJ, USA)を10μL/ウェルで加え、TNFαの最終濃度が2ng/mLとなるようにした。37℃、5%COでTNFαによる刺激を加えて18時間後、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Reagent Assay(Promega, Madison, WI, USA)を製造業者の指示書に従って添加し、Wallac Victor 2 Luminometer(PerkinElmer, Waltham, MA, USA)を使用して、発光量からネクロプトーシス細胞の相対量を求めた。本実施例の結果を表2にまとめる。予期しないことに、本実施例から、本明細書に記載する化合物の実施形態が、ヒトRIP1及びマウスRIP1に対して強力な活性を示すことが確認され、それにより、疾患マウスモデルでインビボ評価することが可能になる。これらの結果は、ヒトに安全且つ有効な用量を決定するのに有用である。
【0184】
【表2】
【0185】
実施例17
本実施例では、急性低体温症マウスモデル試験を用いて、本明細書に開示する化合物がTNFαにより惹起される低体温症を阻害する能力を評価した。
【0186】
雌C57BL/6マウスを無作為に群分けし、-1日目に体重を測定した。試験当日(0日目)、マウスに溶媒又は被験物質を強制経口投与した。試験薬経口投与から15分後、組換えヒト腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α、25.0μg)及びzVAD-FMK(200μg)を含む溶液を各マウスの腹腔内(IP)注射を投与した。体温を時間ゼロ(IP注射前)及び1時間毎に直腸プローブ体温測定装置を用いて測定した。TNF-α及びzVAD/FMKをIP注射してから3時間後、マウスをCO窒息により安楽死させ、心穿刺により採血した。サイトカイン及び化合物濃度をそれぞれ測定するために血清及び血漿を採取した。TNFa/zVAD-FMK投与時における血漿中の化合物濃度を測定するためにマウスの別個の群(サテライト群マウス)も含めた。
【0187】
次に示す構造を有する(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド(国際公開第2014/125444号)を比較化合物として、同一のアッセイ手順で使用した。この比較化合物は、30mg/kgで70%の阻害率のみを示した。これと比較して、本開示化合物であるI-5は、15mg/kgで81%の阻害率を達成した。
【化57】
【0188】
本開示の原理を適用することができる多くの可能な実施形態を考慮すると、例示した実施形態は、単に好ましい実施例にすぎないと認識すべきであり、限定を意図するものと解釈すべきではない。むしろ、本開示の範囲は、以下に示す特許請求の範囲により定義される。したがって、本発明者らは、これらの特許請求の範囲及び趣旨に包含される全てを本発明者らの発明として特許請求する。