(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ワイヤレスメッシュネットワークにおけるマルチバンド通信
(51)【国際特許分類】
H04W 28/02 20090101AFI20231107BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20231107BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20231107BHJP
H04W 80/02 20090101ALI20231107BHJP
【FI】
H04W28/02
H04W72/0457
H04W84/18
H04W80/02
(21)【出願番号】P 2021518457
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 US2019054701
(87)【国際公開番号】W WO2020072906
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-30
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ショーン・ホルコム
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・クリフォード・マシューズ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ドナルド・カールガード
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ショーン・カルバート
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0054847(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0183468(US,A1)
【文献】国際公開第2018/116965(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続された複数の第2のノードを有する無線メッシュネットワーク上でメッセージを送信する方法であって、
第1のノードの第1の物理層であって、第1の通信帯域に関連付けられた第1の物理層が、前記第1のノードの通信スタックのメディアアクセス制御(MAC)層に登録することと、
前記第1のノードの第2の物理層であって、第2の通信帯域に関連付けられた第2の物理層が、前記第1のノードの通信スタックのMAC層に登録することと、
前記第1の通信帯域および前記第2の通信帯域の両方を介して前記無線メッシュネットワーク内の第2のノードと通信するように構成された前記第1のノードが、
前記第1の通信帯域および
前記第2の通信帯域を介して
前記第2のノードに接続する
ことと、
前記
第1のノード
のMAC層が、前記第2のノードに送信するメッセージを特定することと、
前記第2のノードが前記第1の通信帯域を介して前記メッセージを受信
できかつ前記第2の通信帯域を介して前記メッセージを受信
できることを、前記
第1のノード
のMAC層が判断する
ことと
、
前記
第1のノード
のMAC層が、
前記第1の物理層により送信するメッセージのフレームの第1の集合と、前記第2の物理層により送信するメッセージのフレームの第2の集合とを動的に決定する
ことと
、
前記
第1のノード
の第1の物理層が、前記
第1の通信帯域を介して前記メッセージ
のフレームの第1の集合を前記第2のノードに送信する
ことと
、
前記第1のノードの第2の物理層が、前記第2の通信帯域を介して前記メッセージのフレームの第2の集合を前記第2のノードに送信することと
を
含む方法。
【請求項2】
前記第1の物理層は、前記第1の通信帯域で送信するように構成された第1の無線機を備え、前記第2の物理層は、前記第2の通信帯域で送信するように構成された第2の無線機を備え、前記第1の無線機と前記第2の無線機は、MACアドレスを共有する、
請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記第1の物理層に対応する第1のデータ構造、及び前記第2の物理層に対応する第2のデータ構造を保持することをさらに
含み、
前記第1
の物理層は、前記第1
の物理層でのフレームの受信を示すために、前記第1
のデータ構造へのポインタを
前記MAC層に渡す、
請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のノードの第1の物理層が、前記第1の通信帯域
を介して前記メッセージ
のフレームの第1の集合を前記第2のノードに送信することは、前記メッセージの完全版を
前記第1
の通信帯域で送信すること
を含み、
前記第1のノードの第2の物理層が、前記第2の通信帯域を介して前記メッセージのフレームの第2の集合を前記第2のノードに送信することは、前記メッセージの前記完全版を前記第2の通信帯域で送信すること
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の通信帯域が前記第2の通信帯域と比較してより低いエアタイムで
第2のメッセージを送信できるという判断に基づいて、
前記第2のメッセージを送信するための前記第1の通信帯域
を動的に選択することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の通信帯域が前記第2の通信帯域と比較してより強い無線リンクを有するという判断に基づいて、
第2のメッセージを送信するための前記第1の通信帯域
を動的に選択することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記
第1のノードは、
前記MAC層を使用するように構成された
前記第1の物理層および
前記第2の物理層を有する通信スタックを含むユーティリティメータである、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1の通信帯域で第2のノードと通信するように構成された第1の無線機を備える第1の物理層と、
第2の通信帯域で前記第2のノードと通信するように構成された第2の無線機を備える第2の物理層と、
前記第1の物理層および前記第2の物理層の両方で使用されるメディアアクセス制御(MAC)層であって、前記第1の無線機および前記第2の無線機が共通のMACアドレスを有する、メディアアクセス制御(MAC)層と、
コンピュータ
可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、
前記コンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリとを
備え、
前記コンピュータ可読命令は
、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに
、
前記第1の物理層を前記MAC層に登録させることと、
前記第2の物理層を前記MAC層に登録させることと、
前記第1の通信帯域および前記第2の通信帯域の両方で前記第2のノードと通信するように構成されている場合、前記第1の通信帯域および前記第2の通信帯域を介して前記第2のノードに接続
することと
、
前記第2のノードに送信するメッセージを特定することと、
前記第2のノード
が前記第1の通信帯域を介して前記メッセージを受信
できかつ前記第2の通信帯域
を介して前記メッセージを受信
できることを判断することと、
前記第1の物理層により送信するメッセージのフレームの第1の集合と、前記第2の物理層により送信するメッセージのフレームの第2の集合とを動的に
決定することと、
前記
第1の物理層により、前記第1の無線機を用いて、前記第1の通信帯域で前記メッセージ
のフレームの第1の集合を前記第2のノード
宛てに送信
させることと
、
前記第2の物理層により、前記第2の無線機を用いて、前記第2の通信帯域で前記メッセージのフレームの第2の集合を前記第2のノード宛てに送信させることと
を含む動作を実行させる、
ノード。
【請求項9】
前記動作は、前記第1の物理層に対応する第1のデータ構造、及び前記第2の物理層に対応する第2のデータ構造を保持することをさらに含み、
前記第1
の物理層は、前記第1
の物理層でのフレームの受信を示すために、前記第1
のデータ構造へのポインタを前記MAC層に渡す、
請求項
8に記載のノード。
【請求項10】
前記動作は、
前記第1の通信帯域および前記第2の通信帯域から、前記第2のノードに前記メッセージを送信するために使用する前記第2の通信帯域を動的に選択することと、
前記メッセージを第1のフレームと第2のフレームに分割することと、
前記第2のフレームを前記第2の通信帯域で前記第2のノードに送信することと
をさらに含み、
前記第1の通信帯域で前記第2のノードにメッセージを送信することは、前記第1の通信帯域で前記第2のノードに前記第1のフレームを送信することを含む、
請求項
8に記載のノード。
【請求項11】
前記動作は、
前記第1の通信帯域および前記第2の通信帯域から、前記第2のノードに前記メッセージを送信するために使用する前記第2の通信帯域を動的に選択することと、
前記メッセージを前記第2の通信帯域で前記第2のノードに送信することと
をさらに含み、
前記メッセージの一部が、前記第1の通信帯域及び前記第2の通信帯域の両方を介して前記第2のノードに送信される、
請求項
8に記載のノード。
【請求項12】
前記第1の通信帯域を動的に選択することは、前記第1の通信帯域が前記第2の通信帯域と比較してより低いエアタイムで前記第2のノードにメッセージを送信できると判断することを含む、
請求項
8に記載の
ノード。
【請求項13】
前記第1の通信帯域を動的に選択することは、前記第1の通信帯域が前記第2の通信帯域と比較してより強い無線リンクを有する
と判断することを含む、
請求項
8に記載の
ノード。
【請求項14】
ユーティリティメータである、
請求項
8に記載の
ノード。
【請求項15】
無線メッシュネットワークのノード間で通信するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、プログラム命令を有するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含み、
前記プログラム命令は、プロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに、
第1のノードの第1の物理層であって、第1の通信帯域に関連付けられた第1の物理層が、前記第1のノードの通信スタックのメディアアクセス制御(MAC)層に登録することと、
前記第1のノードの第2の物理層であって、第2の通信帯域に関連付けられた第2の物理層が、前記第1のノードの通信スタックのMAC層に登録することと、
前記第1の通信帯域および前記第2の通信帯域の両方を介して前記無線メッシュネットワーク内の第2のノードと通信するように構成された前記第1のノードが、
前記第1の通信帯域および
前記第2の通信帯域を介し
て前記第2のノードに接続
する
ことと、
前記
第1のノード
のMAC層が、前記第2のノードに送信するメッセージを特定
することと、
前記第2のノードが前記第1の通信帯域を介して前記メッセージを受信
できかつ前記第2の通信帯域を介して前記メッセージを受信
できる
ことを、前記第1のノードのMAC層が判断
することと、
前記
第1のノード
のMAC層が、
前記第1の物理層により送信するメッセージのフレームの第1の集合と、前記第2の物理層により送信するメッセージのフレームの第2の集合とを動的に決定
する
ことと
、
前記
第1のノード
の第1の物理層が、前記
第1の通信帯域を介して前記メッセージ
のフレームの第1の集合を前記第2のノードに送信
する
ことと
、
前記第1のノードの第2の物理層が、前記第2の通信帯域を介して前記メッセージのフレームの第2の集合を前記第2のノードに送信することと
を
含む方法を実行させる、
コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記第1の物理層は、前記第1の通信帯域で送信するように構成された第1の無線機を備え、前記第2の物理層は、前記第2の通信帯域で送信するように構成された第2の無線機を備え、前記第1の無線機と前記第2の無線機は、MACアドレスを共有することを特徴とする、
請求項
15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
前記第1の物理層に対応する第1のデータ構造、及び前記第2の物理層に対応する第2のデータ構造を保持することをさらに
含み、
前記第1
の物理層は、前記第1
の物理層でのフレームの受信を示すために、前記第1
のデータ構造へのポインタを前記MAC層に渡す、
請求項
15に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、ワイヤレスメッシュネットワークに関し、より詳細には、ワイヤレスメッシュネットワーク上のマルチバンド通信に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレスメッシュネットワーク上の通信では、スループットと信頼性が重要な課題となる。ノードが通信中であるにもかかわらず、通信チャネルにアクセスできない場合、スループットが影響を受け得る。他のノードが既にそのチャンネルを通信に使用している場合や、そのチャンネルが利用できない場合である。このような状況になると、ノードは、速度を落として情報の送信を遅らせることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ネットワーク上で通信されるデータの種類が様々な場合、ある種類のデータの通信が別の種類のデータの通信に影響を与え得る。例えば、ファームウェアの更新などの大量のデータを通信すると、ネットワークの保守に必要なデータなど、他の種類のデータの通信が妨げられたり、遅れたりし得る。変動する環境条件や帯域内干渉により、無線ネットワークの通信障害が認められることがある。通信の信頼性を向上させることは、リトライを最小限に抑え、通信距離を最大化するために有益である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、互いに接続された複数のピアノードの無線メッシュネットワークを介してメッセージを送信する方法が提供される。本方法によれば、ノードは、第1の通信帯域および第2の通信帯域を介して、無線メッシュネットワーク内の第2のノードに接続し、ノードは、第1の通信帯域および第2の通信帯域の両方を介して第2のノードと通信するように構成される。ノードは、第2のノードに送信するメッセージを特定する。ノードは、第2のノードが第1の通信帯域を介してメッセージを受信可能であり、かつ第2の通信帯域を介してメッセージを受信可能であると判断する。ノードは、無線メッシュネットワークを介して第2のノードにメッセージを送信するために、第1の通信帯域および第2の通信帯域から選択した通信帯域を動的に決定する。ノードは、選択した通信帯域でメッセージを第2のノードに送信する。
【0005】
別の実装では、ノードは、第1物理層、第2物理層、およびメディアアクセス制御(MAC)層を含む。第1の物理層は、第1の通信帯域で第2のノードと通信するように構成された第1の無線機を含む。第2の物理層は、第2の通信帯域で第2のノードと通信するように構成された第2の無線機を含む。MAC層は、第1物理層と第2物理層の両方でサービスされており、第1無線機と第2無線機は共通のMACアドレスを有する。ノードは、プロセッサとメモリをさらに含み、プロセッサは、コンピュータ読み取り可能な命令を実行するように構成され、メモリは、プロセッサによって実行されるとプロセッサに動作を実行させるコンピュータ読み取り可能な命令を格納するように構成される。このような操作には、第1の通信帯域および第2の通信帯域を介して第2のノードに接続することが含まれ、これにより、ノードは、第1の通信帯域および第2の通信帯域の両方を介して第2のノードと通信するように構成される。操作は、第2のノードに送信するためのメッセージを特定することをさらに含む。操作は、第2のノードが、第1の通信帯域を介してメッセージを受信することが可能であり、かつ、第2の通信帯域を介してメッセージを受信することが可能であると判定することをさらに含む。操作は、第1の通信帯域および第2の通信帯域から、第2のノードにメッセージを送信するために使用する第1の通信帯域を動的に選択することと、第1の無線機を用いて第1の通信帯域を介して第2のノードにメッセージを送信することをさらに含む。
【0006】
さらに別の実施態様では、無線メッシュネットワークのノード間で通信するためのコンピュータプログラム製品は、プログラム命令を有するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む。プログラム命令は、プロセッサにある方法を実行させるために、プロセッサによって実行可能である。本方法によれば、ノードは、第1の通信帯域および第2の通信帯域を介して、無線メッシュネットワーク内の第2のノードに接続し、ノードは、第1の通信帯域および第2の通信帯域の両方を介して第2のノードと通信するように構成される。さらに本方法によれば、ノードは、第2のノードに送信するためのメッセージを特定する。さらに本方法によれば、ノードは、第2のノードが第1の通信帯域を介してメッセージを受信することが可能であり、第2の通信帯域を介してメッセージを受信することが可能であると判断する。さらに本方法によれば、ノードは、無線メッシュネットワークを介して第2のノードにメッセージを送信するために使用する、第1の通信帯域および第2の通信帯域から選択された通信帯域を動的に決定し、ノードは、選択された通信帯域を介して第2のノードにメッセージを送信する。
【0007】
これらの例示的な側面および特徴は、現在説明されている主題を限定または定義するためではなく、本出願に記載されている概念の理解を助けるための例を提供するために言及されている。現在説明されている主題の他の側面、利点、および特徴は、本願明細書全体を検討した後に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のこれらおよびその他の特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むことで、よりよく理解される。
【0009】
【
図1】本明細書に記載されている特定の実装方法による、デバイスの通信スタックのブロック図である。
【
図2】本明細書に記載されている特定の実装に従って、メッセージのフレームが複数の通信帯域に分散されているメッセージを送信する例を示している。
【
図3】本明細書に記載されている特定の実装に従って、特に通信帯域の利用可能性に基づいて、メッセージの送信のために通信帯域を動的に選択する例を示している。
【
図4】本明細書に記載されている特定の実装に従って、特にトラフィックタイプに基づいて、メッセージの送信のために通信帯域を動的に選択する例を示している。
【
図5】本明細書に記載されている特定の実装にしたがって、複数の通信帯域にわたってメッセージのフレームを送信する例を示している。
【
図6】本明細書に記載されているある実施態様にしたがって、第1の通信帯域でフレームの第1の部分を送信し、第2の通信帯域でフレームの第2の部分を送信する例を示している。
【
図7】本明細書に記載された特定の実装による、ワイヤレスメッシュネットワーク内の第2のノードにメッセージを送信する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の側面および例は、単一のMACアドレスを使用して、少なくとも2つの通信帯域で通信可能なネットワークデバイスに関するものである。複数の通信帯域を同時に使用してネットワーク上の他のデバイスと通信することで、信頼性の向上、スループットの向上、または全二重動作を実現する。通信帯域の選択は、デバイスの通信スタックの上位層には透過的に行われる。1つのMACアドレスで複数の通信帯域を使用することで、干渉の緩和やネットワークの負荷分散などのメリットがある。さらに、1つのメッシュネットワーク上でより多くのエンドポイントをサポートでき、メッシュネットワークの形成がより速くなり、時間の同期がより緊密になる可能性がある。
【0011】
図1は、1つのMACアドレスを使用して2つの通信帯域をサポートするデバイス101のスタック(通信スタックとも呼ばれる)の例を示している。いくつかの実装では、デバイス101は、ワイヤレスメッシュネットワークのノード(例えば、コンピューティングデバイス)である。一般的に無線メッシュネットワークとは、ピアの無線ノードをメッシュトポロジーに編成した通信ネットワークのことである。いくつかの実装では、ワイヤレスメッシュネットワークはアドホックネットワークであり、ノードは、ワイヤレスメッシュネットワーク内に既に存在する1つ以上のピアノードに動的に接続することで参加する。
【0012】
いくつかの実装では、スタック100は、2つの物理層106、単一のMAC層104、およびMAC層104の上の様々な上位層102を含む。いくつかの実装では、例えば、デバイス101は、OSI(Open Systems Interconnection)通信モデルに従っており、したがって、上位層102は、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、およびアプリケーション層を含む。ここに記載されている層は、抽象化のレベルであり、各層を実装するために様々なハードウェアやソフトウェアが使用可能であることは、当業者であれば理解できるだろう。物理層106およびMAC層104を含む各層は、上の層にサービスを提供してもよく、また、様々な層が一緒になって、デバイス101が他のデバイスと通信することを可能にしてもよい。例えば、各物理層106は、MAC層104から要求されたフレームを送信することで、MAC層104にサービスを提供する。
【0013】
いくつかの実装では、各物理層106は、異なる通信帯域で通信するように構成されており、さらに、各物理層106は、別個の無線として実装されてもよい。したがって、例示的なデバイス101は、2つのハードウェア無線を有し、それぞれがスタック100内の別個の物理層106として動作する。一例を挙げると、第1物理層106aは2.4GHz帯で通信し、第2物理層106bは900MHz帯で通信する。別の例では、第1物理層106aは5.8GHz帯で通信を行い、第2物理層106bは433MHz帯で通信を行う。他のシステムでは、他の通信帯域が使用されることもある。
図1では2つの物理層106を図示しているが、他のデバイス101では2つ以上の物理層106を使用してもよい。単一のスタック100で単一のMAC層104と複数の物理層106を使用するデバイス101は、複数のスタック100を持つ装置よりも低コストである。
【0014】
いくつかの実装では、MAC層104は、上位層100に物理層106へのアクセスを提供する。単一のMAC層104が存在するので、デバイス101は、物理層106がサポートする通信帯域のいずれかを介した通信に使用される単一のMACアドレスを有することになる。いくつかの実装によれば、本明細書に記載されたMAC層104は、従来のMAC層に比べて利点がある。例えば、各物理層106(例えば、各無線機)は、MAC層104に登録することで、MAC層104が両方の物理層106を認識できるようになる。MAC層104は、利用可能な物理層106にフレームを分配するために、本明細書で説明したようなロジックを実装する。例えば、MAC層140は、本明細書で説明したように、各フレーム(すなわち、送信するデータ)の送信にどの物理層106を使用するかを決定するロジックを含む。
【0015】
起動時には、物理層106のそれぞれがMAC層104に登録する。MAC層104は、各物理層106のデータ構造107のインスタンスを作成し、各物理層106にハンドルを割り当てる。例えば、MAC層104は、第1データ構造107aを第1物理層106aに関連付け、第2データ構造107bを第2物理層106bに関連付けてもよい。各物理層106について、それぞれのデータ構造107は、その物理層106に関する情報をMAC層104に提供してもよい。例えば、そのようなデータ構造107の一例は、対応する物理層106の使用を可能にするためにMAC層104によってアクセス可能な1つ以上のフレームバッファ、状態変数、およびステータスインジケータを含む。デバイス101がフレームを受信すると、MAC層104はそのハンドルを使って、どの物理層106がフレームを受信したかを判断する。各物理層106について、それぞれのハンドルは、それぞれのデータ構造107へのポインタであってもよい。新しいフレームが物理層106に到着すると、物理層106はMAC層104に通知メッセージを送信し、通知メッセージには物理層106に対応するハンドルが含まれる。したがって、MAC層104は、ハンドルを利用してデータ構造107にアクセスし、その結果、新しいフレームを受信した物理層106のステータスを更新できる。
【0016】
MAC層104は、上位層から他のデバイスに送信するデータを受信すると、どの通信帯域を使用するかを決定したり、複数の通信帯域を使用することを決定したりする。判定は、動作モードに基づいて行われてもよい。一例では、動作モードは以下を含む。1)選択ダイバーシティモード、2)高信頼性モード、3)高スループットモード。いくつかの実装では、デバイス101のモードは動的である。しかし、他の実装では、デバイスのモードは固定されているか、または手動で変更可能である。いずれの場合も、デバイス101は、デバイス101の現在のモードに部分的に基づいて、メッセージを送信する方法を動的に決定してもよい。
【0017】
複数の通信帯域のいずれを使用するかを決定する際、または複数の通信帯域を使用してもよいと決定する際、送信デバイス101は、受信装置の能力を考慮してもよい。デバイス101は、隣接するノードが複数の通信帯域をサポートしているかどうかを示す情報を含む、隣接するノードに関する情報を保持してもよい。この情報は、デバイス101が以前に、1つ以上の通信帯域で近隣のデバイスからの通信を聞いたことに基づいていてもよい。
【0018】
選択ダイバーシティモードでは、宛先デバイス(すなわち、受信デバイス)が複数の通信帯域をサポートしている場合、MAC層104は、宛先デバイスとの完全なフレームの通信のために、通信帯域の1つを選択する。MAC層104は、通信帯域の1つを選択する際に、チャネルのLQI(リンク品質指標)、チャネルアクセスレイテンシ(すなわち、チャネルの利用可能性)、S/N(信号対雑音)比、チャネルアクセス時間(すなわち、送信時間)、受信機のノイズフロア、出力電力、故障率、リンクバジェットなどを考慮してもよい。ユースケースに応じて、異なる要素を使用したり、重み付けをしたりすることがある。
【0019】
高信頼性モードでは、デスティネーションデバイスが複数の通信帯域をサポートしている場合、MAC層104は、デスティネーションデバイスへの同じ情報の通信に複数の通信帯域を使用する。デバイス101は、複数の通信帯域で同じフレームを通信する。そのため、メッセージの少なくとも一部、場合によってはメッセージ全体が複数の通信帯域で送信されることになる。
【0020】
高スループットモードでは、デスティネーションデバイスが複数の通信帯域に対応している場合、MAC層104は、デスティネーションデバイスに通信する情報を複数に分割し、複数の通信帯域で同時に送信する。デバイス101は、各通信帯域で1つのフレームの別個の部分を通信する。
【0021】
各通信帯域がいずれかのモードを使用して動作するようにデバイス101が構成されてもよいし、デバイス101が、通信/モードの組み合わせで使用される放送時間を最小限にするか、そうでなければ減らすことに基づいて、動作モードを決定してもよい。例えば、MAC層104は、2つの物理層106をまたいで(例えば、2つの通信帯域をまたいで)同時にフレームとしてメッセージを送信することにより、または、より強い無線リンクを有する物理層106を選択することにより、送信の潜在的な空中時間(すなわち、送信の持続時間)を短縮できる。
【0022】
デバイス101は、複数の通信帯域を利用して、ネットワークトラフィックの信頼性やスループットを向上させるなど、ネットワークの運用を改善してもよい。以下に、いくつかの例示的なシナリオを説明する。シナリオは別々に説明されているが、2つ以上のシナリオが一緒に動作するように実装されていてもよいし、追加のシナリオと組み合わせてもよいでしょう。
【0023】
セレクション・ダイバーシティ・モード・シナリオ
【0024】
選択ダイバーシティモードでは、デバイス101は複数の通信帯域を使用する。一例では、デバイス(デバイスA)のMAC層104が、宛先デバイス(デバイスB)に通信するフレームを持っている場合、MAC層104は、そのフレームの通信に最適な通信帯域を選択する。
【0025】
デバイスAは、デバイスBとの通信に主に第1の通信帯域を使用するように構成されていてもよいが、デバイスAが第1の通信帯域がビジーであると判断した場合には、デバイスBが両方の通信帯域に対応していることを前提に、第2の通信帯域を使用してデバイスBにフレームを送信してもよい。
【0026】
どちらの通信帯域もビジー状態ではない場合、デバイスAは送信時間を考慮してもよい。例えば、デバイスAは、第1の通信帯域で20秒の期間に0.4秒以上を送信するなど、1つの通信帯域で所定の期間に所定の時間以上を送信しないように構成されていてもよい。この例では、デバイスAは、20秒間のうち0.4秒間、すでに第1の通信帯域を使用した後に、第2の通信帯域を選択できる。
【0027】
物理層106は、送信に1つの物理層106を使用し、受信に別の物理層106を使用することで、MAC層104での全二重通信をサポートしてもよい。例えば、デバイスAは、第1の通信帯域と第1の物理層106を用いてデバイスBにフレームを送信し、同時にデバイスAは、第2の通信帯域と第2の物理層106を用いてデバイスBからフレームを受信できる。このため、例えば、所定のタイムスロット(すなわち、時間間隔、潜在的には、時間間隔の間に使用するために無線チャネルが予め決定されていてもよい)内で、MAC層104は、送信のために第1の物理層106aを利用してもよく、第2の物理層106bを介して送信を受信するために開放されていてもよい。タイムスロットが終了し、新たなタイムスロットが始まると、MAC層104は、第2物理層106bを経由して送信が行われ、第1物理層106aを経由して受信が行われるように、2つの物理層106を切り替えてもよい。
【0028】
図2は、複数の通信帯域を使用して、複数のフレーム220を無線メッシュネットワーク205の第2のノード210などの別の装置に通信し、ネットワークのスループットを向上させることができる例を示している。異なるフレーム220は、異なる通信帯域で送信される。通信帯域が2つある場合、
図2に示すように、第1通信帯域では第1フレーム220aが送信され、第2通信帯域では第2フレーム220bが送信される。
【0029】
この例では、フレーム220を同じ受信装置に送信してもよいし、フレーム220を異なる受信装置に送信してもよい。FIG.2では、両方のフレーム220がデバイスBに送信されることを図示しているが、第1のフレーム220aを第1の通信帯域でデバイスBに送信し、第2のフレーム220bを第2の通信帯域でデバイスCに送信するようにしてもよい。
【0030】
デバイスAのMAC層104は、第1フレーム220aを送信する準備ができると、利用可能な物理層106または通信帯域の評価に基づいて、第1物理層106aを選択してもよい。デバイスAのMAC層104は、第1の通信帯域で第1のフレーム220aを通信している間に、第2のフレーム220bを送信する準備ができていれば、第2の物理層106bを選択して、第2の通信帯域を用いて第2のフレーム220bを送信してもよい。
【0031】
ある例示的なシステムでは、デバイス101は、IEEE 802.15.4で定義されたフレームと一致するフレーム220を通信する。複数の物理層106をサポートするデバイス101が通信するフレーム220は、単一の物理層106をサポートするデバイスが使用するフレームと同じ種類であってもよい。デバイス101は、複数の物理層106を有していても、単一のMACアドレス、LANアドレス、IPv6アドレスを有している場合がある。
【0032】
図3は、通信帯域を選択ダイバーシティモードで使用して、無線メッシュネットワーク205の第2のノード210などの別のデバイスにメッセージを送信する方法の別の例を示している。このシナリオでは、デバイスAは、主に第1の通信帯域、例えば900MHzの通信帯域を使用してデバイスBと通信するように構成されている。第1通信帯域は複数のチャンネルを含んでいてもよく、デバイス101は1つ以上のチャンネルを使って通信してもよい。一例では、デバイス101は、ホッピングシーケンスのチャネルがそれぞれの通信帯域にあるところで、タイムスロットされたチャネルホッピングプロトコルを使用して通信する。また、他のタイプのプロトコルを使用することもできる。デバイスAおよびBのプライマリバンドとしての第1通信帯域の選択は、LQI、チャネルアクセスレイテンシ、S/Nノイズ比、およびチャネルアクセス時間を含むがこれらに限定されない要因に基づいて行われてもよい。
【0033】
デバイスAのMAC層104は、デバイスBへの通信のために上位層からデータを受信すると、第1通信帯域の物理層106と通信する。第1の通信帯域で通信を開始する前に、物理層106は、第1の通信帯域のチャネルでクリアチャネル評価を行ってもよい。物理層106が、チャネルが利用可能であると判断した場合には、第1通信帯域の物理層106は、上位層からのデータを含むフレーム220をデバイスBに送信し、物理層106が、チャネルに競合があると判断した場合や、チャネルが利用できないと判断した場合には、第2通信帯域を検討する。FIG.3は、第1の通信帯域が利用できず、デバイスAが第2の通信帯域を検討していることを示している。第2の通信帯域の物理層106は、第2の通信帯域のチャネルに対して、クリアチャネル評価を行ってもよい。第1の通信帯域、および第1の物理層106aは、例えば、その物理層106の無線リンクが貧弱な場合や、物理層106がバックオフ期間(すなわち、送信後の待機期間)にある場合には、利用できないことがある。その場合、第1物理層106aは、この特定の送信のために考慮する必要はない。物理層106が、第2の通信帯域のチャネルが利用可能であると判断した場合、第2の通信帯域を用いて、上位層からのデータを含む通信がデバイスAからデバイスBに送信されることになる。両方の物理層106が利用可能であれば、クリアチャネル評価は両方の通信帯域で同時に行うことができる。
【0034】
例えば、デバイスAのMAC層104は、デバイスBに通信すべきデータを上位層から受信すると、両方の物理層と通信して、両方のチャネルが利用可能かどうかを判断する。1つのチャンネルしか利用できない場合は、そのチャンネルに関連付けられた通信帯域が使用される。両方のチャネルが利用可能な場合は、LQI、S/N比、チャネルのアクセス時間、通信の種類など、他の要因を考慮してもよい。両方の通信帯域を考慮する場合は、両方のチャネルをほぼ同時に評価して、一方の通信帯域を選択するのに必要な時間を最小限にしてもよい。
【0035】
複数の通信帯域が通信に利用可能であることの利点の1つは、デバイスAがデバイスBに通信を送信するために、後の時間まで手を引いて待つ必要がないことである。
【0036】
図4は、無線メッシュネットワーク205の第2のノード210などの他のデバイスにメッセージを送信するために、トラフィックタイプに応じた選択ダイバーシティモード動作の別の例を示している。異なる種類のトラフィックを通信するために、異なる通信帯域が使用されることがある。トラフィックの種類は、通信されるデータの時間的な性質、通信されるデータのサイズ、データ通信の頻度、通信されるデータの優先度、トラフィックの送信元または送信先、またはその他の要因に基づいて決定できる。
【0037】
ある例では、2種類のデータと2つの通信帯域がある。第1通信帯域は第1種類のトラフィック用に確保され、第2通信帯域は第2種類のトラフィック用に確保されている。デバイス101がリソースメータリングデバイスに関連する場合、第1のタイプのトラフィックは、検針結果に基づく消費データ、メータのステータスデータ、およびネットワークメンテナンスフレーム220(例えば、ビーコンなどのルーティングまたは同期に関連する通信)を含み、第2のタイプのトラフィックは、ファームウェアの更新を含むことができる。別の例では、第1のタイプのトラフィックは、通常のネットワークトラフィックに関連するものであり、第2のタイプのトラフィックは、Distribution Automation(DA)デバイスから提供されるデータなど、特定の時間に送信される大量のデータに関連するものである可能性がある。DAデバイスは、メッシュネットワーク内の様々なパラメータを監視するため、DAデバイスは、大量のデータを送信するように構成される場合があり、したがって、デバイス101は、そのようなデータ(すなわち、DAデバイスによって提供される)を、より高速またはより信頼性が高いとみなされる通信帯域を介して送信することを決定する場合がある。
【0038】
図4は、第1通信帯域が900MHz帯で、第2通信帯域が2.4GHz帯であることを示している。通常のネットワークトラフィックは、ファームウェアアップデートとは別の帯域で送信されるため、ファームウェアアップデートの通信によって通常のネットワークトラフィックが遅延することはない。これにより、検針データの通信が遅れたり、ファームウェアのアップデートが通常のネットワークトラフィックを阻害することで発生するネットワークパフォーマンスへの悪影響を回避できる。
【0039】
このシナリオでは、MAC層104が上位層からデータを受信すると、データの種類を判断し、その種類のデータに関連する物理層106にデータを送信する。MAC層104は、上位層102からMAC層104に渡されるデータに含まれるビットフィールドパラメータ(すなわち、フラグ)を調べることで、データの種類を判断してもよい。例えば、上位層102は、伝送されるデータの種類を示すために、ビットフィールドパラメータを設定できる。ビットフィールドパラメータの値に基づいて、通信帯域の1つが選択される。
【0040】
また、1つの通信スタックで長距離通信と高速通信の両方を実現する場合もある。一例として、物理層は同じ通信帯域を使って動作することがある。第1物理層106は、長距離通信モードに使用されてもよく、902~907MHzの周波数範囲を含む通信帯域を使用して通信してもよい。高速通信モードに使用される第2の物理層106は、907~928MHzの周波数範囲を含む同一または重複する通信帯域を使用して通信してもよい。
【0041】
また、異なるリンクシナリオに対応した接続性を提供するために、物理層を構成または調整することもできる。例えば、第1の物理層106は433MHzの狭帯域FSK変調で構成され、長距離通信に使用されることがあり、第2の物理層106は2.4GHzの広帯域OFDM変調で構成され、高速通信に使用されることがある。
【0042】
高信頼性モード
【0043】
高信頼性モードでは、同じ情報を複数の通信帯域で通信することで冗長性を持たせ、ネットワークの信頼性を向上させている。高信頼性モードは、スループットよりも再試行回数を最小限に抑えることが重要な場合に使用される。いくつかのシステムでは、高信頼性モードは、特定のタイプの情報を送信するために使用されたり、送信デバイス101が特定のタイプのデバイス、例えば、配電自動化デバイスである場合に使用されたりする。例えば、優先度の高いアラームなどの重要なデータは、高信頼性モードで送信できる。
【0044】
図5は、所定のフレーム220が、無線メッシュネットワーク205の第2のノード210などの別のデバイスに複数回送信される可能性があることを示している。
図5に示すように、通信帯域が2つある場合は、両方の帯域で同じフレーム220を送信する。なお、第1通信帯域での通信と第2通信帯域での通信は、ほぼ同時に行われてもよい。
【0045】
第1通信帯域と第2通信帯域のタイムスロットが一致していれば、両帯域でほぼ同時に通信を開始できる。タイムスロットをずらした場合、一方の通信が第1通信帯域の第1のタイムスロット中に第1通信帯域で開始され、他方の通信が第2通信帯域の次のタイムスロット中に第2通信帯域で開始されるように、通信は異なるタイミングで開始されてもよい。
【0046】
デバイスAのMAC層104は、デバイスAが第1の通信帯域と第2の通信帯域の両方を使用してデバイスBに同じフレーム220を送信するように、2つの異なる物理層に同じデータを送信してもよい。デバイスBは、その物理層の両方で同じフレーム220を受信すると、フレーム220の1つのコピーを破棄する。例えば、各メッセージには識別子が付けられていることがある。したがって、デバイスBが、関連するメッセージ識別子を含む、別の通信帯域で受信したフレーム220と同じように見えるフレーム220を受信した場合、デバイスBは、フレーム220が重複であることを知り、したがって、フレーム220を廃棄できる。
【0047】
デバイスBの物理層の1つがフレーム220を受信すると、フレーム220を受信したことを示すメッセージと物理層106のハンドルをMAC層104に転送する。MAC層104は、ハンドルを調べて、どの物理層106が処理すべきフレーム220を持っているかを判断する。
【0048】
デバイス101が複数の通信帯域を使用して同じフレーム220の複数のコピーを送信する場合、いくつかの確認応答の選択肢がある。1つのオプションでは、受信デバイスは、フレーム220が第1の通信帯域で受信されたときに、第1の通信帯域で確認応答を送信し、フレーム220が第2の通信帯域で受信されたときに、第2の通信帯域で確認応答を送信する。送信デバイス101は、確認応答のいずれかを受信すると、送信の成功を確認できる。別のオプションでは、受信デバイスは、フレーム220が通信帯域の一方のみで受信されたか、または通信帯域の両方で受信されたかにかかわらず、1つの確認応答のみを送信する。通信帯域が異なるデータレートで動作している一例では、受信デバイスは、フレーム220を最初に受信した通信帯域で確認応答を送信する。フレーム220が確認されている限り、送信デバイス101は、その送信キューにある次のフレーム220の処理を進める。フレーム220が確認されなければ、送信デバイス101はフレーム220を再送する。
【0049】
ハイスループットモード
【0050】
高スループットモードでは、デバイス101は、フレーム220の異なる部分を異なる通信帯域で送信する。FIG.6は、フレーム220の第1の部分が第1の通信帯域で送信され、フレーム220の第2の部分が第2の通信帯域で、無線メッシュネットワーク205の第2のノード210などの別のデバイスに送信され、両方の部分がほぼ同時に送信されるようにしてもよいことを示している。
【0051】
デバイスAのMAC層104は、送信準備が整ったフレーム220があると、フレームデータを分割して、データの第1の部分を物理層の第1のものに送信し、データの第2の部分を物理層の第2のものに送信する。一部の実装では、インターネットプロトコルv6や低電力無線パーソナルエリアネットワーク(6LoWPAN)など、断片化したメッセージを認識して自動的に再結合する技術を含む、標準的な伝送プロトコルを利用している。このように、元のメッセージの一部を受信すると、デバイスBは受信した様々な部分から元のメッセージを生成するように構成されている。
【0052】
前述のシナリオでは、1つのデバイス101が複数の通信帯域を送信に使用することを説明したが、1つのデバイス101が1つの通信帯域を送信に使用し、1つの通信帯域を受信に使用してもよい。
【0053】
方法例
【0054】
図7は、本明細書に記載された特定の実装による、無線メッシュネットワーク内の第2のノード210にメッセージを送信する方法700のフロー図である。いくつかの実装では、2つ以上の通信帯域を使用して無線メッシュネットワーク上で通信するように構成されたデバイス101は、メッセージを送信するためにこの方法700または同様のものを使用してもよい。
【0055】
ブロック705において、デバイスは、ノードが第1の通信帯域および第2の通信帯域の両方を介して第2のノード210と通信するように構成されるように、第1の通信帯域および第2の通信帯域を介して、無線メッシュネットワーク内の第2のノード210に接続する。例えば、デバイス101がメッシュネットワークに参加する際、デバイス101は、第1及び第2の通信帯域を介して第2のノード210を聴取するなどして、第2のノード210と接続してもよい。
【0056】
ブロック710において、デバイス101は、第2のノード210に送信するためのメッセージを特定する。例えば、通常の動作の中で、デバイス101は時折、送信すべきメッセージを持つことがある。具体的には、例えば、デバイス101が消費データを測定するユーティリティメータである場合、デバイス101は、第2のノード210に送信するための消費データの集まりを時々特定できる。
【0057】
決定ブロック715において、デバイス101は、第2のノード210が、デバイス101が使用可能な1つ以上の通信帯域を介してメッセージを受信できるかどうかを決定する。例えば、デバイス101は、第2のノード210が、第1の通信帯域と第2の通信帯域の両方で受信できるかどうかを判断する。デバイス101が2つ以上の通信帯域を利用できる場合、デバイス101は、第2のノード210がメッセージを受信するために使用できるデバイスの利用可能な通信帯域のどれを決定してもよいことが理解されるであろう。
【0058】
第2のノード210がデバイス’の通信帯域の1つだけで通信を受信するように構成されているとみなされる場合、ブロック720において、デバイス101は、第2のノード210がメッセージを受信するように構成されている通信帯域を介してメッセージを送信する。例えば、第2のノード210が第1の通信帯域で聞いているが、第2の通信帯域では聞いていないと判断した場合、デバイス101は、第1の通信帯域でメッセージを第2のノード210に送信し、第2の通信帯域では送信しないようにしてもよい。しかし、第2のノード210が第1の通信帯域ではなく第2の通信帯域で聞いていると判断された場合、デバイス101は、第1の通信帯域ではなく第2の通信帯域で第2のノード210にメッセージを送信してもよい。上述したように、デバイス101は、ピアデバイスが使用可能であることが知られている通信帯域の記録を維持してもよく、したがって、デバイス101は、この記録に基づいて、ピアデバイスがどの通信帯域を使用するように構成されているかを決定してもよい。
【0059】
しかし、第2のノード210が第1の通信帯域と第2の通信帯域の両方を使用できると判断された場合、ブロック725において、デバイス101は、2つ以上の通信帯域を使用する可能性や、単一の通信帯域のみを使用することを含めて、使用する通信帯域を動的に決定し、さらに、メッセージをどのように送信するかを決定する。上で詳述したように、例えば、デバイス101は、選択ダイバーシティモード、高信頼性モード、または高スループットモードなどの伝送モードを選択してもよい。選択されたモードの規則は、次に、メッセージの各フレーム220を両方の通信帯域で送信するか、またはメッセージのフレーム220を通信帯域間で分配するかなど、どの1つまたは複数の通信帯域を使用するか、およびそれらの通信帯域をどのように使用するかを決定できる。
【0060】
ブロック730で、デバイス101は、選択された1つまたは複数の通信帯域を介してメッセージを送信する。例えば、デバイス101が、高信頼性モードを使用して両方の通信帯域にメッセージを送信することを決定した場合、デバイス101は、メッセージの各フレーム220を各通信帯域に送信してもよい。別の例として、デバイス101が選択ダイバーシティモードであり、第1の通信帯域が現在メッセージを送信するのにより適している(例えば、より強い無線リンクを有する)と判断した場合、デバイス101は第1の通信帯域を介してメッセージを送信してもよい。さらに別の例として、デバイス101が、高全体モードを使用して両方の通信帯域にわたってメッセージを送信することを決定した場合、デバイス101は、メッセージを2つのフレーム220のセットに分割し、フレーム220の1つのセットを第1の通信帯域にわたって送信し、フレーム220の別のセットを第2の通信帯域にわたって送信してもよい。メッセージを送信するための様々な技術は、本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0061】
一般的な検討事項
【0062】
請求された主題の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が本明細書に記載されている。しかし、当業者であれば、これらの具体的な詳細がなくても、特許請求の範囲の主題を実施できることを理解できるでしょう。例えば、デバイスは2つの通信帯域に限定されない。他の例では、当業者が知っているであろう方法、装置(デバイス)、またはシステムは、請求された主題を不明瞭にしないように、詳細には記載されていない。
【0063】
特に明記しない限り、本明細書では、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「識別」などの用語を用いた議論は、1つ以上のコンピュータまたは同様の電子コンピューティングデバイスまたはデバイスなどのコンピューティングデバイスの動作またはプロセスを指し、メモリ、レジスタ、またはコンピューティングプラットフォームの他の情報記憶デバイス、伝送デバイス、またはディスプレイデバイス内の物理的な電子的または磁気的な量として表されるデータを操作または変換することを理解している。
【0064】
ここで説明するシステムまたはシステムは、特定のハードウェアアーキテクチャまたは構成に限定されるものではない。コンピューティングデバイスは、1つまたは複数の入力を条件として結果を提供するコンポーネントの任意の適切な配置を含むことができる。適切なコンピューティングデバイスには、コンピューティングシステムを汎用コンピューティング装置から本主題の1つまたは複数の例を実装する特殊なコンピューティング装置へとプログラムまたは構成する保存されたソフトウェアにアクセスする多目的マイクロプロセッサベースのコンピュータシステムが含まれる。ここに記載されている教えを、コンピューティングデバイスのプログラミングや構成に使用するソフトウェアに実装するために、任意の適切なプログラミング言語、スクリプト言語、その他の種類の言語、または言語の組み合わせを使用できる。
【0065】
本明細書に開示された方法の例は、そのようなコンピューティングデバイスの操作で実行されてもよい。上記の例で示されたブロックの順序は変化させることができる。例えば、ブロックの順序を変えたり、組み合わせたり、サブブロックに分割したりできる。特定のブロックや処理を並行して行うことができる。
【0066】
本明細書での「~するようになっている」または「~するように構成されている」の使用は、追加のタスクやステップを実行するように適応または構成されたデバイスを排除しない、オープンで包括的な言葉として意図されている。さらに、「~に基づいて」の使用は、オープンで包括的な意味を持ち、1つ以上の記載された条件または値に「基づいて」プロセス、ステップ、計算、またはその他のアクションが、実際には記載されたものを超える追加の条件または値に基づいている可能性がある。本書に記載されている見出し、リスト、および番号は、説明を容易にするためのものであり、限定することを意図していない。
【0067】
以上、本発明の具体的な実施例について説明してきたが、当業者であれば、前述の内容を理解した上で、そのような実施例の変更、変形、および同等のものを容易に作り出すことができることが理解されるであろう。したがって、本開示は、限定ではなく例示を目的として提示されたものであり、当業者が容易に理解できるような修正、変形、および/または追加を本主題に含めることを排除するものではないことを理解されたい。