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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ハイブリッドシステム
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/26 20071001AFI20231107BHJP
   B60K 6/485 20071001ALI20231107BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20231107BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B60K6/26 ZHV
B60K6/485
B60W10/06 900
B60W10/08 900
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021559553
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 CN2019082386
(87)【国際公開番号】W WO2020206668
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-10-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520514724
【氏名又は名称】ウェイチャイ パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュー、 フェンロン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、 レイ
(72)【発明者】
【氏名】シュー、 ヤーメイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、 ジェンシン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、 ビン
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-275603(JP,A)
【文献】特開2013-162613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/26
B60K 6/485
B60W 10/06
B60W 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両に適用されるハイブリッドシステムであって、
エンジンとモータとを含み、前記モータは、モータロータ、モータステータ及びモータコントローラを含み、
前記エンジンの出力軸は、前記モータロータの中心軸に接続され、前記モータロータの中心軸の両端には、それぞれ1つのモータ軸受が接続され、前記モータ軸受によって前記モータロータに支持を提供し、
前記モータコントローラは、前記モータステータに接続され、前記モータステータに駆動電流を提供し、
前記モータステータは、伝動機構を介して前記自動車両の駆動軸に接続されることで、前記駆動軸は回動する際、前記モータステータを回動させ、
前記モータは、前記モータの回転速度に応じて出力トルクを特定するとともに前記駆動軸に伝送するためのものであり、
前記モータの回転速度は、前記モータロータの回転速度と前記モータステータの回転速度との差に等しく、
前記伝動機構は、フランジであり、
前記フランジの外縁と前記モータステータとは、取り外し可能に接続され、
前記フランジの接続孔と前記駆動軸とは、取り外し可能に接続され、
前記フランジには、内歯車及び外歯車が設けられ、
前記内歯車は、前記フランジの接続孔内に設けられて前記駆動軸における歯車構造と互いに係合し、
前記外歯車は、前記フランジの縁に設けられて前記モータステータにおける歯車構造と互いに係合することを特徴とするハイブリッドシステム。
【請求項2】
前記モータロータの中心軸の両端は、それぞれ、前記モータ軸受の内輪に締まり嵌められていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項3】
前記モータのモータケースは、前記自動車両のシャーシに固定接続されていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両工程の技術分野に関わり、より具体的に、ハイブリッドシステムに関わる。
【背景技術】
【0002】
車両工程技術の発展に連れて、自動車両の駆動方式は、伝統の純粋なエンジン駆動から、混合駆動、純粋な電気駆動へ発展している。
油・電気のハイブリッド駆動は、比較的に成熟の動力システムのため、主流の新エネルギー車両の駆動方式になる。
【0003】
油・電気のハイブリッド車両では、ハイブリッドシステムは、その運転の乗り心地、エネルギーの使用効率などのキーパラメータを决定する主な構成である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術におけるハイブリッドシステムは、主に、シリーズシステム、パラレルシステム、シリーズパラレルシステム、及び、遊星歯車機構などの構成を含むシリーズパラレルシステムなどを有する。
ただし、これらのハイブリッドシステムを構成する部材が多いため、その構成が複雑であり、障害箇所も多い。
【0005】
前記問題を解決するために、本発明は、ハイブリッドシステムの構成を簡単化し、ハイブリッドシステムの障害箇所を減少させるという目的を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を実現するために、本発明の実施例は、ハイブリッドシステムであって、自動車両に適用され、前記ハイブリッドシステムは、エンジンとモータとを含み、前記モータは、モータロータ、モータステータ及びモータコントローラを含み、
前記エンジンの出力軸は、モータロータの中心軸に接続され、前記モータロータの中心軸の両端には、それぞれ1つのモータ軸受が接続され、前記モータ軸受によって前記モータロータに支持を提供し、
前記モータコントローラは、モータステータに接続され、前記モータステータに駆動電流を提供し、
前記モータステータは、伝動機構を介して前記自動車両の駆動軸に接続されることで、前記駆動軸は、回動する際、前記モータステータを回動させ、
前記モータは、モータの回転速度に応じて、出力トルクを特定するとともに、前記駆動軸に伝送するためのものであり、前記モータの回転速度は、モータロータの回転速度と前記モータステータの回転速度との差に等しい。
【0007】
前記伝動構成は、フランジであるのが好ましい。
【0008】
前記フランジの外縁とモータステータとは、取り外し可能に接続され、前記フランジの接続孔と駆動軸とは、取り外し可能に接続されるのが好ましい。
【0009】
前記フランジには、内歯車及び外歯車が設けられ、前記内歯車は、フランジの接続孔内に設けられ、前記駆動軸における歯車構造と互いに係合し、前記外歯車は、フランジの縁に設けられ、前記モータステータにおける歯車構造と互いに係合するのが好ましい。
【0010】
前記モータステータとフランジの外縁とは、係着され、または、溶接され、及び/または、フランジの接続孔と駆動軸とは、係着され、または、溶接されるのが好ましい。
【0011】
前記フランジには、凹溝構造が設けられ、前記凹溝構造は、フランジの、前記モータロータに向かう側に位置しており、前記モータ軸受を収容して支持するものであり、前記フランジの接続孔は、前記凹溝構造の溝底に設けられるのが好ましい。
【0012】
前記モータロータの中心軸の両端は、それぞれ、前記モータ軸受のインナリングに締まり嵌められるのが好ましい。
【0013】
前記モータのモータケースは、前記自動車両のシャーシに固定接続されるのが好ましい。
【0014】
前記フランジの、前記凹溝構造に対して反対側の領域は、突起構成であり、前記突起構成の径方向断面は、非円形断面であるのが好ましい。
【0015】
本発明の実施例であるハイブリッドシステムは、エンジンとモータから構成され、前記モータのモータステータは、伝動機構を介して自動車両の駆動軸に接続されることで、前記モータステータは、自動車両のシャーシなどの構成に対しても相対回動でき、これによって、エンジンとモータとからなるハイブリッドシステムは、自動車両の起動、アイドル、前進及び後退などの各種運転状態の応用を満たして、ハイブリッドシステムの部品の数を大幅に減少させ、ハイブリッドシステムの全体構成を簡単化し、ハイブリッドシステムの障害箇所を減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例または従来技術を説明するために、以下は、実施例または従来技術の図面を紹介し、以下の図面は、本発明の実施例のみであり、当業者にとって、提供された図面に基づき、他の図面を取得できる。
図1】モータの回転速度とトルク方向との限定模式図である。
図2】従来技術におけるハイブリッドシステムの構成模式図である。
図3】従来技術におけるハイブリッドシステムの構成模式図である。
図4】従来技術におけるハイブリッドシステムの構成模式図である。
図5】従来技術におけるハイブリッドシステムの構成模式図である。
図6】本発明の一実施例であるハイブリッドシステムの構成模式図である。
図7図6のAA線に沿う断面構成模式図である。
図8】本発明の一実施例であるモータ効率の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
背景技術に記載するように、従来技術におけるハイブリッドシステムの部材が多いため、システム構成が複雑であり、多くの部品の数によって、ハイブリッドシステムの障害箇所も多い。
【0018】
以下は、従来技術におけるハイブリッドシステムを紹介し、これらのハイブリッドシステムの、各運転状態でのエンジンとモータとの回転速度及びトルクの方向を説明するために、ハイブリッドシステムのモータの回転速度及びトルクの方向を限定し、図1において、横軸は、モータの回転速度を示し、単位が回転/分(rpm)であり、縦軸は、モータから出力されたトルクを示し、単位がニュートン/メートル(N・m)である。
図1の座標系において、第1象限における値は、モータの回転速度が正値であり、モータのトルクが正値であることを示し、第2象限における値は、モータの回転速度が負値であり、モータのトルクが正値であることを示し、第3象限における値は、モータの回転速度及びトルクがいずれも負値であることを示し、第4象限における値は、モータの回転速度が正値であり、モータのトルクが負値であることを示す。
また、モータの回転速度は、車両の前進方向を正値とし、モータのトルクが正値であると、トルクの方向が、車両の前進方向と同様であり、モータのトルクが負値であると、トルクの方向が、車両の前進方向と反対する。
【0019】
図2は、従来技術におけるハイブリッドシステムのシリーズシステムであり、エンジン1、発電機2、及び、駆動モータ3などから構成される。
発電機2は、エンジン1の出力軸に直接的に接続され、エンジン1は、自動車両の直接駆動を担当せず、発電機2の必要な電力の提供のみを担当し、発電機2は、エンジン1に対する起動及び発電という2つの機能を担当し、駆動モータ3は、自動車両を走行させるように駆動する(駆動エネルギーは、車載動力電池または発電機発電に由来する)こと、及び自動車両の運動エネルギーの回収過程を担当する。
【0020】
エンジン1の起動過程において、発電機2は、エンジン1を起動させ、
車両が駐車している場合、発電機2は、エンジン1と同じ回転速度であり、駆動モータ3の回転速度は、0rpmであり、
車両の発進、行進過程において、駆動モータ3の回転速度は、0rpmから高くなり、モータの回転速度は、車速に正比例し、
車両の制動過程において、一般的に、エンジン1は、停止し、これによって、発電機の回転速度は、0rpmになり、駆動モータの回転速度は、0rpmに漸減し、車両がバックしている場合、駆動モータは、逆転する。
【0021】
ハイブリッドシステムは、エンジン1+発電機2+駆動モータ3によって構成され、アセンブリは、長くて且つコストが高く、発電機2の、運転過程での回転速度及びトルクは、第1象限(エンジン1の起動過程のみ)、及び、第4象限に関わり、駆動モータ3の、運転過程での回転速度及びトルクは、第1象限、第3象限及び第4象限に関わる。
【0022】
図3は、従来技術におけるハイブリッドシステムのパラレルシステムであり、エンジン1、クラッチ6、モータ4、トランスミッション5などから構成されている。
エンジン1とモータ4とは、クラッチ6を介して結合/離間を実現し、モータ4は、トランスミッション5によって車両全体の駆動軸に接続される。
エンジン1は、車両の直接駆動、共同駆動、及び、駐車発電などの機能を担当し、クラッチ6は、エンジン1とモータ4との結合及び離間に対する制御を担当し、モータ4は、車両の直接駆動、共同駆動、制動エネルギーの回収及び駐車発電などの機能を担当し、トランスミッション5は、モータ4の回転速度、エンジン1の回転速度と車両全体車速との合致を満たすように、シフト位置の変更を担当する。
【0023】
エンジン1の起動過程において、トランスミッションは、ニュートラルになり、クラッチは接合され、モータは、エンジン1を起動させ、
車両が駐車している場合、クラッチは、離間され、モータの回転速度は、0になり、トランスミッションは、低変速段またはニュートラルにあり、
車両の発進、行進過程において、トランスミッションは、低変速段にあり、モータの回転速度は、0から高くなり(クラッチは、離間され)、対策に応じて、トランスミッションの変速段を変更し、及び、エンジン1は、駆動に介入し(クラッチは、接合される)、
車両の制動過程において、クラッチは、離間され、モータは、負トルクになり、モータの回転速度0に漸減し、
車両がバックしている場合、クラッチは、離間され、トランスミッションは、低変速段にあり、モータは、逆転する(或いは、トランスミッションは、リバースにあり、モータは、正転する)。
【0024】
ハイブリッドシステムは、エンジン1+クラッチ+モータ+トランスミッションから構成され、アセンブリの部品の数が多くて且つアセンブリは、長く、運転過程は、トランスミッションの変速段の変更に関わるため、変速段の変更によるショックを招致し、快適性を低減させ、制御ロジックが複雑になり、総コストが高くなる恐れがある。
電動機の、運転過程での回転速度及びトルクは、第1象限、第3象限(トランスミッションがリバースにある場合、当該象限に関わらない)、及び、第4象限に関わる。
【0025】
図4は、従来技術におけるシリーズパラレルシステムであり、エンジン1、発電機7、クラッチ6、駆動モータ8などから構成されている。
発電機7は、直接的にエンジン1に接続され、エンジン1は、車両の直接駆動、共同駆動及び駐車発電などの機能を担当し、発電機7は、エンジン1の起動、発電、駆動などの機能を担当する。
クラッチ6は、発電機と駆動モータとの結合/離間を担当し、駆動モータ8は、走行させるように車両を駆動する(電源は、車載動力電池または発電機の発電に由来する)こと、及び車両の制動エネルギーの回収を担当する。
【0026】
エンジン1の起動過程において、発電機は、エンジン1を起動させ、
車両が駐車している場合、クラッチは、離間され、発電機は、エンジン1と同じ回転速度であり、駆動モータの回転速度は、0であり、
車両の発進、行進過程において、クラッチは、離間され、駆動モータの回転速度は、0から高くなり、モータの回転速度は、車速に正比例し、対策に応じて、エンジン1、発電機は、駆動に介入し(クラッチは、結合される)、
車両の制動過程において、クラッチは、離間され、一般的に、エンジン1は、停止し、これによって、発電機の回転速度は、0になり、駆動モータの回転速度は、0に漸減し、車両がバックしている場合、クラッチは、離間され、駆動モータは、逆転する。
【0027】
また、遊星歯車機構などの構成から形成されたシリーズパラレルシステムがある。
【0028】
図4におけるハイブリッドシステムは、エンジン1+クラッチ及び2台のモータを含み、アセンブリの部品の数が多いため、アセンブリが長く且つ制御が複雑になり、総コストが高くなり、第1モータの、運転過程での回転速度及びトルクは、第1象限(エンジン1の起動過程のみに用いられる)、及び、第4象限に関わり、第2モータの、運転過程での回転速度及びトルクは、第1象限、第3象限及び第4象限に関わる。
【0029】
また、図5は、従来技術における、遊星歯車座などの構成から形成されたシリーズパラレルシステムを示し、ガソリンエンジン、第1モータ、第2モータ、太陽歯車、減速歯車、遊星歯車、遊星歯車座及びリングギヤなどの構成を含む。
図5に示されるシリーズパラレルシステムの制御過程は、図4に示されるシステムに類似する。
【0030】
図2図5から分かるように、従来技術におけるハイブリッドシステムの構成は、複雑であり、実際の応用過程において、モータは、ある運転状態で、0回転速度または低回転速度領域で運転し、これらの領域において、モータの効率及びトルクの応答などの性能も良くない。
【0031】
これに鑑みると、本発明の実施例は、自動車両に適用されるハイブリッドシステムを提供し、前記ハイブリッドシステムは、エンジンとモータとを含み、前記モータは、モータロータ、モータステータ及びモータコントローラを含み、
前記エンジンの出力軸は、モータロータの中心軸に接続され、前記モータロータの中心軸の両端には、それぞれ1つのモータ軸受が接続され、前記モータ軸受を介して前記モータロータに支持を提供し、
前記モータコントローラは、モータステータに接続され、前記モータステータに駆動電流を提供し、
前記モータステータは、伝動機構を介して前記自動車両の駆動軸に接続されることで、前記駆動軸は、回動する際、前記モータステータを回動させ、
前記モータは、モータの回転速度に応じて、出力トルクを特定するとともに、前記駆動軸に伝送し、前記モータの回転速度は、前記モータロータの回転速度と前記モータステータの回転速度との差に等しい。
【0032】
前記ハイブリッドシステムは、エンジンとモータから構成され、前記モータのモータステータは、伝動機構を介して自動車両の駆動軸に接続されることで、前記モータステータは、自動車両のシャーシなどの構成に対しても相対回動でき、これによって、エンジンとモータとからなるハイブリッドシステムは、自動車両の起動、アイドル、前進及び後退などの各種運転状態の応用を満たして、ハイブリッドシステムの部品の数を大幅に減少させ、これによって、ハイブリッドシステムの全体構成を簡単化し、ハイブリッドシステムの障害箇所を減少させる。
【0033】
以下は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例のみである。
本発明の実施例に基いた他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に属している。
【0034】
本発明の実施例は、自動車両に適用されるハイブリッドシステムを提供し、図6及び図7に示すように、図7は、図6の、AA線に沿う断面構成模式図であり、
前記ハイブリッドシステムは、エンジン10とモータ20とを含み、モータ20は、モータロータ22、モータステータ21及びモータコントローラを含み、
前記エンジン10の出力軸は、モータロータ22の中心軸23に接続され、モータロータ22の中心軸23の両端には、それぞれ1つのモータ軸受31が接続され、
前記モータコントローラは、モータステータ21に接続され、
前記モータステータ21は、伝動機構32を介して自動車両の駆動軸40に接続され、
前記モータ20は、モータ20の回転速度に応じて、出力トルクを特定し、駆動軸40に伝送し、モータ20の回転速度は、モータロータ22の回転速度と前記モータステータ21の回転速度との差に等しい。
【0035】
前記モータコントローラは、モータステータ21に駆動信号を提供することで、モータ20のステータは、前記駆動信号に応じて、駆動磁場を特定し生成し、
駆動磁場のカバーで、モータロータ22は、駆動磁場からの駆動力を受けるとともに、それと接続されたエンジン10の出力軸から伝送されたトルクを受信し、駆動磁場及び/またはエンジン10の出力軸から伝送されたトルクの制御で回転する。
自動車両の運転状態が複雑であるため、ある運転状態で、モータロータ22は、駆動磁場の制御のみで回転し、ある運転状態で、モータロータ22は、エンジン10の制御のみで回転し、ある運転状態で、モータステータ21及びモータロータ22は、駆動磁場とエンジン10との共同制御で回転する。
【0036】
前記モータロータ22の中心軸23の両端には、それぞれ1つのモータ軸受31が接続され、2つのモータ軸受31は、モータステータ21とモータロータ22との支持及び相対回動を保証する。
【0037】
図6を参照し、前記伝動機構32は、フランジである。
【0038】
前記フランジの外縁とモータステータとの間は、取り外し可能に接続され、フランジの接続孔と駆動軸との間は、取り外し可能に接続される。
【0039】
例えば、歯車の方式で、フランジの外縁とモータステータとの間の取り外し可能な接続、及び、フランジの接続孔と駆動軸との間の取り外し可能な接続を実現し、
前記フランジには、内歯車及び外歯車が設けられ、
前記内歯車は、フランジの接続孔内に設けられ、駆動軸における歯車構造と互いに係合し、
前記外歯車は、フランジの縁に設けられ、モータステータにおける歯車構造と互いに係合する。
【0040】
前記モータステータとフランジの外縁とは、係止され、または溶接され、及び/またはフランジの接続孔と駆動軸とは係止され、または溶接される。
【0041】
さらに、前記フランジには、凹溝構造が設けられ、
前記凹溝構造は、フランジの、モータロータ22に向かう側に位置しており、1つのモータ軸受31を配置することに用いられ、
前記フランジの接続孔は、凹溝構造の溝底に設けられており、駆動軸に接続されることに用いられる。
【0042】
さらに、モータロータが回動過程で揺れることを防止するために、モータロータの中心軸の両端は、それぞれ、モータ軸受の内輪に締まり嵌められる。
【0043】
さらに、ユーザが前記フランジを便利に取り外しまたは装着するために、フランジは、凹溝構造に対して反対側の領域が突起構成であり、突起構成の径方向断面は、非円形断面、例えば、矩形構成、または、レンチに適し得る他の構成である。
【0044】
本発明の実施例において、モータのモータステータ21は、自動車両のシャーシなどの固定構成に接続されず、伝動機構32によって自動車両の駆動軸に接続されるため、モータステータ21は、自動車両のシャーシに対して回転できる。
具体的に、モータステータ21が駆動軸40に接続されるため、ある運転状態で、駆動軸40から伝送されたトルク信号を受信でき、また、モータステータ21は、さらに駆動信号を受信し、駆動磁場を発生させることができ、駆動磁場は、モータロータ22を回動させるように駆動できることに加えて、モータロータ22の回動は、駆動磁場を発生させるモータステータ21に対して、1つの駆動力を発生させるため、モータステータ21は、駆動軸40から伝送されたトルク信号及び/またはモータロータ22の回転状態の制御で回転する。
即ち、ある運転状態で、モータステータ21は、駆動軸40から伝送されたトルク信号の制御のみで回転し、ある運転状態で、モータステータ21は、モータロータ22の回転状態の制御のみで回転し、ある運転状態で、前記モータステータ21は、駆動軸40から伝送されたトルク信号と前記モータロータ22の回転状態との共同制御で回転する。
【0045】
一般的に、前記モータステータ21が受信した駆動信号は、駆動電流信号及び駆動電圧信号を含む。
【0046】
本発明の1つの実施例において、図6を参照し、ハイブリッドシステムは、モータステータ21とモータロータ22とがパッケージされたモータケース24を含み、前記モータケース24は、自動車両のシャーシに固定接続される。
【0047】
前記モータケース24は、モータステータ21及びモータロータ22に保護装置を提供するとともに、モータ20の集積度を向上させる。
【0048】
本発明の別の実施例において、自動車両は、二輪駆動自動車両である場合、駆動軸40は、自動車両のリヤアクスルまたはフロントアクスルである。
【0049】
前記駆動軸40が自動車両のリヤアクスルである場合、自動車両は、後輪駆動車両であり、駆動軸40が自動車両のフロントアクスルである場合、自動車両は、前輪駆動車両である。
【0050】
本発明の別の実施例において、自動車両が四輪駆動自動車両である場合、駆動軸40は、自動車両のデフロック入力ポートである。
【0051】
四輪駆動自動車両において、フロントアクスルとリヤアクスルとはデフロックによって接続され、ハイブリッドシステムは、デフロック入力ポートに接続されることで、自動車両の伝動システムに駆動力を提供する。
【0052】
前記ハイブリッドシステムは、エンジン10及びモータ20から構成され、前記モータのモータステータ21は、伝動機構32を介して自動車両の駆動軸に接続されることで、前記モータステータ21も自動車両のシャーシなどの構成に対して相対回動でき、これによって、エンジン10とモータ20とからなるハイブリッドシステムは、自動車両の起動、アイドル、前進及び後退など各種の運転状態の応用を満たして、ハイブリッドシステムの部品の数を大幅に減少させ、ハイブリッドシステムの全体構成を簡単化するとともに、ハイブリッドシステムの障害箇所を減少させる。
【0053】
以下は、本発明の実施例であるハイブリッドシステムの制御ロジックを簡単に説明する。
【0054】
自動車両の全ての運転状態で、ハイブリッドシステムは、いずれも以下の条件を満たして、即ち、
駆動軸40の回転速度:nVeh=nEng-nTM
駆動軸40のトルク:TVeh+Ta=TEng=TTM
そのうち、
Veh-自動車両の駆動軸40の回転速度(自動車両の車速に正比例する)である;
Eng-自動車両のエンジン10の回転速度である;
TM-モータ20の回転速度(モータロータ22の、モータステータ21に対する回転速度)である;
Veh-自動車両の抵抗トルクであり、自動車両の風抵抗と摩擦抵抗から変換して取得される;
a-自動車両の加速トルクであり、即ち、動力システムが抵抗トルクを克服した後の残りトルクである;
Eng-エンジン10の正味出力トルクである;
TM-モータ20の出力トルクである;
【0055】
具体的に、自動車両の駐車状態で:
a)エンジン10は、停止し、モータ20の回転速度は、0である;
b)エンジン10は、アイドルになり、回転速度は、nEng0であり、モータ20の回転速度は、nTM0=nEng0であり、モータ20のトルクは、エンジン10の正味出力トルクに等しく、即ち、TEng0=TTM0=0N・mである;
c)エンジン10は、駐車発電を行って、回転速度は、nEng1であり、モータ20の回転速度は、nTM1=nEng1であり、モータ20のトルクは、エンジン10の正味出力トルクに等しく、即ち、TEng1=TTM1であり、駐車のため、車速は、nVeh1=0であり、この場合、相互作用力によって、モータステータ21の固定トルクは、駆動軸40から提供され、即ち、TVeh1=TTM1≠0であり、駆動軸40は、車輪制動システムを介してモータステータ21の必要なトルクを提供する。
【0056】
自動車両の発進及び走行過程で:
a)自動車両の車速は、0から発進し、モータ20の回転速度は、エンジン10の回転速度から起動し、発進及び走行過程は、エンジン10とモータ20との回転速度を調節することで、システムにおけるエンジン10、モータ20は、いずれもよい動作区間にあり、図8に示すように、発進過程におけるモータ20の動作点をAからBに移転し、車両が発進すると、モータ20の効率は、80%以下から、直接的に96%以上に高められ、システムの効率を向上させると同時に、モータ20のトルクを大幅に低減させるため、モータ20の発熱も大幅に低減させ、モータ20に対する冷却作用は著しい(モータ20の発熱量とモータ20のトルクとは、正の相関関係になる)。
図8において、横軸は、モータ20の回転速度を示し、単位が、rpmであり、縦軸は、モータ20のトルクであり、単位がN・mである。
b)走行発電機能であって、モータ20は、エンジン10の余裕電力(即ち、自動車両の行進のための電力を除いたエンジン10の電力)を利用して走行発電を行う。
【0057】
自動車両の制動過程で:
Veh=0になり、即ち、モータ20の回転速度がエンジン10の回転速度に等しくなるまで、自動車両の車速は、nVeh1≠0から、回転速度関係nVeh=nEng-nTMに応じて少なくなる。
モータ20の回転速度と車速とは、もう固定比率の関係ではないため、制動過程で、モータ20の回転速度を調節することで、より大きい制動電力を提供でき、即ち、モータ20の動作点は、図7におけるAからCに移動し、制動電力は何倍にも高められる。
AからBに移動してもよく、同じ制動電力を提供するという前提で、モータ20の効率を明らかに向上させ、且つモータ20の発熱を低減させる。
制動過程における電力と回転速度トルクとの関係について、公式(1)を参照し、
そのうち、Pは、モータ20の電力を示す。
【0058】
さらに、本発明の実施例は、何れか1つの実施例に記載のハイブリッドシステムを含む自動車両を提供する。
【0059】
本発明の実施例であるハイブリッドシステムは、エンジン10とモータ20から構成され、モータ20のモータステータ21は、直接的に自動車両の駆動軸40に剛性接続されることで、モータステータ21は、自動車両のシャーシなどの構成に対しても相対回動でき、これによって、エンジン10とモータ20とからなるハイブリッドシステムは、自動車両の起動、アイドル、前進及び後退などの各種運転状態の応用を満たして、ハイブリッドシステムの部品の数を大幅に減少させ、ハイブリッドシステムの全体構成を簡単化する。
【0060】
さらに、本発明の実施例であるハイブリッドシステムは、自動車両の発進過程において、モータ20の回転速度がゼロから高くなる訳ではなく、モータ20のトルク応答及びその効率特性が優れて、モータ20の4象限の動作領域を十分に利用して、無段変速を実現し、前記ハイブリッドシステムは、システムの確実性及び経済性を明らかに向上させることができる。
【0061】
本明細書における各実施例は、いずれも他の実施例との相違点を主に説明し、各実施例の間の同様または類似の部分について、互いに参照すればよい。
【0062】
開示された実施例に対する前記説明によって、当業者は本発明を実現しまたは使用できる。
これらの実施例に対する多種の補正は、当業者にとって自明であり、本明細書に定義された一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱しない場合、他の実施例で実現されることができる。
従って、本発明は、本明細書に示されるこれらの実施例に限定されず、本明細書に開示された原理及び新規性特点と一致する、最も幅広い範囲に合う。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8