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特許7379537セミアクティブアンチヨーダンパ、制振システム、および車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】セミアクティブアンチヨーダンパ、制振システム、および車両
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20231107BHJP
   B60G 13/08 20060101ALI20231107BHJP
   B61F 5/24 20060101ALI20231107BHJP
   F16F 9/46 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
F16F15/02 B
B60G13/08
B61F5/24 B
F16F9/46
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021568075
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2020090836
(87)【国際公開番号】W WO2020253443
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】201910536480.6
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518232342
【氏名又は名称】中車青島四方机車車輛股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 旭
(72)【発明者】
【氏名】孔 ▲海▼朋
(72)【発明者】
【氏名】曹 洪勇
(72)【発明者】
【氏名】周 平宇
(72)【発明者】
【氏名】宋 ▲曉▼文
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-198522(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0074197(US,A1)
【文献】特開平08-270257(JP,A)
【文献】特開2018-035829(JP,A)
【文献】特開平08-239040(JP,A)
【文献】特開2016-023718(JP,A)
【文献】特開2018-122624(JP,A)
【文献】国際公開第2018/177976(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/02-15/027
F16F 9/46
B60G 13/08
B61F 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧シリンダと、油圧シリンダ内で往復運動を行う時に前記油圧シリンダの内部を2つのシリンダブロックに区画するピストンと、を有するセミアクティブアンチヨーダンパであって、
少なくとも2つの並列岐路を有し、
各前記岐路の両端は、それぞれ2つの前記シリンダブロックに連通し、各前記岐路は、それぞれ直列に連通する一方向絞り弁と調整可能な電磁弁とを有し、前記調整可能な電磁弁は、ダンパがセミアクティブモードにある時に当該ダンパの減衰係数を調整するために用いられ、
前記セミアクティブアンチヨーダンパは、非常用油路をさらに有し、
前記非常用油路の両端は、それぞれ2つの前記シリンダブロックに連通し、前記非常用油路には、調整不可能な電磁開閉弁が取り付けられ、前記電磁開閉弁は、ダンパがパッシブモードにある時に前記非常用油路の起動の制御に用いられ、前記非常用油路は、直列に連通するダンピング孔と前記電磁開閉弁とを有し、
前記セミアクティブアンチヨーダンパがセミアクティブモードにある時、前記ピストンは前記油圧シリンダ内で往復運動を行うため、前記油圧シリンダ内の2つの前記シリンダブロック間に油圧差が生じ、前記油圧シリンダ内の2つの前記シリンダブロック間の前記油圧差により、油液が流れる前記岐路を変更し、対応する前記岐路における前記調整可能な電磁弁を利用して油液の減衰力を調整し、
前記セミアクティブアンチヨーダンパが低減衰モードにある時、前記電磁開閉弁は開弁し、全ての前記岐路の前記調整可能な電磁弁は開弁して、全ての前記岐路は遮断状態ではなくされ、各前記岐路における前記調整可能な電磁弁の制御電圧を制御することにより、対応する前記岐路における前記調整可能な電磁弁の減衰係数が最小値になり、この時点で、前記非常用油路及びすべての前記岐路を油液が流れて減衰力を発生させることを特徴とするセミアクティブアンチヨーダンパ。
【請求項2】
前記岐路は、第1岐路と第2岐路とを有し、
前記第1岐路の一端と前記第2岐路の一端とは、第1ノードに並列接続され、前記第1岐路の他端と前記第2岐路の他端とは、第2ノードに並列接続され、前記第1ノードと前記第2ノードとは、それぞれ前記油圧シリンダの2つの前記シリンダブロックに連通し、前記第1岐路と前記第2岐路との流れ方向は逆であることを特徴とする請求項1に記載のセミアクティブアンチヨーダンパ。
【請求項3】
前記第1ノードと前記第2ノードとは、それぞれ1つの主油路を介して前記油圧シリンダの2つの前記シリンダブロックに連通し、2つの前記主油路の間に少なくとも1つの圧力逃し岐路が連通し、各前記圧力逃し岐路同士は並列接続されることを特徴とする請求項2に記載のセミアクティブアンチヨーダンパ。
【請求項4】
前記圧力逃し岐路には、圧力逃し弁が直列接続されることを特徴とする請求項3に記載のセミアクティブアンチヨーダンパ。
【請求項5】
貯油タンクをさらに有し、
前記貯油タンクは、それぞれ貯油路を介して2つの前記主油路に連通し、各前記貯油路にそれぞれ絞り弁が直列接続されることを特徴とする請求項3に記載のセミアクティブアンチヨーダンパ。
【請求項6】
前記主油路と前記貯油タンクとの間に、さらに圧力逃し油路が連通し、前記圧力逃し油路は、各前記貯油路と並列接続され、前記圧力逃し油路に圧力逃し弁が直列に取り付けられることを特徴とする請求項5に記載のセミアクティブアンチヨーダンパ。
【請求項7】
コントローラと、台車に取り付けられた少なくとも1つの、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセミアクティブアンチヨーダンパと、を有し、
前記コントローラの信号入力端と信号出力端とは、それぞれ各前記ダンパに接続されていることを特徴とする制振システム。
【請求項8】
データ収集機構をさらに有し、
前記データ収集機構は、前記ダンパに取り付けられ、前記コントローラの信号入力端に接続され、前記データ収集機構は、前記ダンパのリアルタイム動作パラメータを前記コントローラに伝送するに用いられ、これにより、前記コントローラは、前記リアルタイム動作パラメータに基づいて前記ダンパに必要な減衰力を算出して、前記ダンパに前記減衰力を含む制御信号をフィードバックすることを特徴とする請求項7に記載の制振システム。
【請求項9】
前記データ収集機構は、圧力センサと変位センサとを有し、前記油圧シリンダの2つの前記シリンダブロック内に、それぞれ前記圧力センサが設けられ、前記変位センサは、前記ピストンに取り付けられ、前記圧力センサと前記変位センサとは、それぞれ前記コントローラの信号入力端に接続されることを特徴とする請求項8に記載の制振システム。
【請求項10】
前記データ収集機構は、前記コントローラの信号入力端に接続される加速度センサを有することを特徴とする請求項8に記載の制振システム。
【請求項11】
前記コントローラには、外部接続インタフェースが設けられ、前記外部接続インタフェースに遮断リレーが接続されることを特徴とする請求項7に記載の制振システム。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれか一項に記載の制振システムを備えることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本願は、2019年06月20日に提出された、出願番号が2019105364806であり、発明の名称が「セミアクティブアンチヨーダンパ、制振システム、および車両」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ダンパの技術分野に関し、特にセミアクティブアンチヨーダンパ、制振システム、および車両に関する。
【背景技術】
【0003】
アンチヨーダンパは、サスペンションシステムの重要な構成要素であり、主な役割として、台車枠と車体との間に旋回減衰力を発生させて、両者の間の振動エネルギーを消費することで、ヨー振動を抑える役割を果たす。
【0004】
アンチヨーダンパは、列車運行の安定性に影響を与える重要な部品であり、列車が異なる状態で運行する場合、ダンパのパラメータに対するニーズも異なる。制振原理から分かるように、従来のアンチヨーダンパは、パッシブアンチヨーダンパである。従来のパッシブダンパは、その特性曲線が固定されており、その性能パラメータが列車ニーズに応じてリアルタイムに調整することはできないため、列車の運行ニーズに応じて列車のサスペンションシステムを常に最適なマッチング状態にすることができない。
【0005】
一方、現在では、列車が路線、国境、地域を跨いで運行する状況がますます多くなっていくに連れて、ダンパのパラメータに対するニーズもますます多様化しており、従来のパッシブダンパは、その性能パラメータが固定されて調整不可能であるため、様々な線路のニーズに適応することが難しい。
【0006】
現在、車両システムは、旋盤加工の全体の周期内に、アンチヨーダンパのパラメータに対するニーズも同じではない。新しい車輪のテーパが比較的小さく、アンチヨーダンパは、主に剛性特性を示す。走行距離の増加に伴い、車輪のテーパは大きくなり、アンチヨーダンパが減衰特性を示す必要性が高まる。従来のパッシブダンパは、その性能パラメータが固定されて調整不可能であるため、同様に旋盤加工周期を延ばして運営コストを低減するという目的を達成することが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施例は、従来技術における従来のアンチヨーダンパの性能パラメータが調整不可能であることによる様々な欠陥を解決するためのセミアクティブアンチヨーダンパ、制振システム、および車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術課題を解決するために、本発明は、油圧シリンダと、油圧シリンダ内で往復運動を行う時に前記油圧シリンダの内部を2つのシリンダブロックに区画するピストンと、を有するセミアクティブアンチヨーダンパを提供し、当該セミアクティブアンチヨーダンパは、
少なくとも2つの並列岐路を有し、
各前記岐路の両端は、それぞれ2つの前記シリンダブロックに連通し、各前記岐路には、それぞれ調整可能な電磁弁が取り付けられ、前記調整可能な電磁弁は、ダンパがセミアクティブモードにある時に当該ダンパの減衰係数を調整するために用いられる。
【0009】
一部の実施例において、各前記岐路は、それぞれ直列に連通する一方向絞り弁と前記調整可能な電磁弁とを有する。
【0010】
一部の実施例において、前記岐路は、第1岐路と第2岐路とを有し、
前記第1岐路の一端と前記第2岐路の一端は、第1ノードに並列接続され、前記第1岐路の他端と前記第2岐路の他端とは、第2ノードに並列接続され、前記第1ノードと前記第2ノードとは、それぞれ前記油圧シリンダの2つのシリンダブロックに連通し、前記第1岐路と前記第2岐路との流れ方向は逆である。
【0011】
一部の実施例において、前記第1ノードと前記第2ノードとは、それぞれ1つの主油路を介して前記油圧シリンダの2つのシリンダブロックに連通し、2つの前記主油路の間に少なくとも1つの圧力逃し岐路が連通し、各前記圧力逃し岐路同士は並列接続される。
【0012】
一部の実施例において、前記圧力逃し岐路には、圧力逃し弁が直列接続される。
【0013】
一部の実施例において、当該ダンパは、貯油タンクをさらに有し、
前記貯油タンクは、それぞれ貯油路を介して2つの前記主油路に連通し、各前記貯油路にそれぞれ絞り弁が直列接続される。
【0014】
一部の実施例において、前記主油路と前記貯油タンクとの間に、さらに圧力逃し油路が連通し、前記圧力逃し油路は、各前記貯油路と並列接続され、前記圧力逃し油路に圧力逃し弁が直列に取り付けられる。
【0015】
一部の実施例において、当該ダンパは、非常用油路をさらに有し、
前記非常用油路の両端は、それぞれ2つの前記シリンダブロックに連通し、前記非常用油路には、調整不可能な電磁開閉弁が取り付けられ、前記電磁開閉弁は、ダンパがパッシブモードにある時に前記非常用油路の起動の制御に用いられる。
【0016】
一部の実施例において、前記非常用油路は、直列に連通するダンピング孔と前記電磁開閉弁とを有する。
【0017】
本発明は、制振システムをさらに提供し、当該制振システムは、コントローラと、台車に取り付けられた少なくとも1つの上記セミアクティブアンチヨーダンパと、を有し、
前記コントローラの信号入力端と信号出力端とは、それぞれ各前記ダンパに接続されている。
【0018】
一部の実施例において、当該システムは、データ収集機構をさらに有し、
前記データ収集機構は、前記ダンパに取り付けられ、前記コントローラの信号入力端に接続され、前記データ収集機構は、前記ダンパのリアルタイム動作パラメータを前記コントローラに伝送するに用いられ、これにより、前記コントローラは、前記リアルタイム動作パラメータに基づいて前記ダンパに必要な減衰力を算出して、前記ダンパに前記減衰力を含む制御信号をフィードバックする。
【0019】
一部の実施例において、前記データ収集機構は、圧力センサと変位センサとを有し、前記油圧シリンダの2つのシリンダブロック内に、それぞれ前記圧力センサが設けられ、前記変位センサは、前記ピストンに取り付けられ、前記圧力センサと前記変位センサとは、それぞれ前記コントローラの信号入力端に接続される。
【0020】
一部の実施例において、前記データ収集機構は、前記コントローラの信号入力端に接続される加速度センサを有する。
【0021】
一部の実施例において、前記コントローラには、外部接続インタフェースが設けられ、前記外部接続インタフェースに遮断リレーが接続される。
【0022】
本発明は、上記制振システムを備える車両をさらに提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の上記技術案は以下の有益な効果を奏する。
一方では、本発明に係るセミアクティブアンチヨーダンパのピストンは油圧シリンダ内で往復運動を行う時に油圧シリンダの内部を2つのシリンダブロックに区画し、当該ダンパは、少なくとも2つの並列岐路を有し、各岐路の両端は、それぞれ2つのシリンダブロックに連通し、各岐路には、それぞれ調整可能な電磁弁が取り付けられ、調整可能な電磁弁は、ダンパがセミアクティブモードにある時に当該ダンパの減衰係数を調整するために用いられる。本発明のセミアクティブアンチヨーダンパは、正常に動作する時にセミアクティブモードにあり、この際、当該ダンパは、油圧シリンダ内の二つのシリンダブロックの間の油圧差により油液が流れる岐路を変更し、対応する岐路における調整可能な電磁弁を利用して油液の減衰力を調整することで、ダンパはセミアクティブモードにある状態で制御可能な減衰力および減衰係数を有することを確保し、従来技術における従来のアンチヨーダンパの性能パラメータが調整不可能であることによる上記様々な欠陥を解決する。
【0024】
他方では、本発明の上記の制振システムは、コントローラと、台車に取り付けられた少なくとも1つの上記のセミアクティブアンチヨーダンパと、を有し、コントローラの信号入力端と信号出力端とは、それぞれ各ダンパに接続され、車両運行の実際状態に基づいてコントローラを利用して現在必要なダンパ性能パラメータを算出し、続いてコントローラは現在性能パラメータ付きの制御信号をダンパに伝送することにより、ダンパが車両運行ニーズに応じて各性能パラメータをリアルタイムに調整可能であることを確保して、列車のサスペンションシステムを常に最適なマッチング状態にさせ、且つ様々な地域環境および線路で必要とされる車両運行ニーズに適応し、車両旋盤加工周期を効果的に延ばすことができ、車両の耐用年数を向上させ、運営コストを低減することができる。
【0025】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を要しない前提で、更にこれらの図面に基づいてその他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例に係る制振システムの制御構造の模式図である。
図2】本発明の実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパの油路構造の模式図である。
図3】本発明の実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパがセミアクティブモードにある岐路状態の模式図(1)である。
図4】本発明の実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパがセミアクティブモードにある岐路状態の模式図(2)である。
図5】本発明の実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパがパッシブモードにある岐路状態の模式図である。
図6】本発明の実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパが低減衰モードにある時の岐路状態を示す図である。
図7】本発明の実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパの正面図である。
図8】本発明の実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパの平面図である。
図9】本発明の実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面および実施例を参照しながら、本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【0028】
本発明の実施例の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」、「前端」、「後端」、「頭部」、「尾部」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づく方位又は位置関係であり、本発明を便利且つ簡単に説明するためのものに過ぎず、示された装置又は素子が必ず特定の方位にあり、特定の方位において構成されて操作されると明示又は暗示するものではないので、本発明に対する限定であると理解されるべきではない。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は目的を説明するためのものであり、相対的な重要性を明示又は暗示すると理解されるべきではない。
【0029】
本実施例は、セミアクティブアンチヨーダンパ100、制振システム、および車両を提供する。そのうち、セミアクティブアンチヨーダンパ100の主体構造は、図7図9に示され、ダンパの油路制御構造は、図2図6に示されている。制振システムは、当該セミアクティブアンチヨーダンパ100を有する。制振システムの制御構造は、図1に示されている。当該車両は当該制振システムを備える。
【0030】
図1に示すように、本実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパ100のピストン2は、油圧シリンダ1内で往復運動を行う時に油圧シリンダ1の内部を2つのシリンダブロックに区画する。図1に示される油圧シリンダ1は平置き状態である。図1に示すように、ピストン2は、油圧シリンダ1内で左右往復運動を行う。図1に示されるピストン2の左側シリンダブロックを第1シリンダブロックPAとし、ピストン2の右側シリンダブロックを第2シリンダブロックPBとする。
【0031】
本実施例の上記ダンパは、少なくとも2つの並列岐路を有する。各岐路の両端は、それぞれ油圧シリンダ1の2つのシリンダブロックに連通する。各岐路には、それぞれ調整可能な電磁弁PVが取り付けられる。調整可能な電磁弁PVは、ダンパがセミアクティブモードにある時に、当該岐路を通過する油液の減衰力を調整することで当該ダンパの減衰係数を調整するために用いられる。それにより、正常に動作中のダンパの各性能パラメータをリアルタイムに調整し、ダンパに対するセミアクティブ制御の目的を達成する。
【0032】
当該セミアクティブアンチヨーダンパ100は、正常動作時にセミアクティブモードにあり、この時、ピストン2が油圧シリンダ1内で往復運動を行うため、油圧シリンダ1内の2つのシリンダブロック間に油圧差が生じる。この油差の変化に応じて、油液は各岐路間で流れて切り換わる。油液が流れる対応する岐路上の調整可能な電磁弁PVにより油液の減衰力を調整する。これにより、ダンパがセミアクティブモードにおいて制御可能な減衰力と減衰係数とを有することを確保し、従来のアンチヨーダンパの性能パラメータが調整不可能であることによる様々な欠陥を解決する。
【0033】
油路の制御を容易にするために、図2に示すように、ダンパに2つの並列岐路が設けられている。そのうちの1つの岐路は、入口が第1シリンダブロックPAに連通し、出口が第2シリンダブロックPBに連通する。他の1つの岐路は、入口が第2シリンダブロックPBに連通し、出口が第1シリンダブロックPAに連通する。言い換えると、2つの並列岐路内の油液の流れが逆となっている。
【0034】
各岐路の流れ方向を合理的に制御するために、本実施例で説明する各岐路は、それぞれ直列に連通する一方向絞り弁と調整可能な電磁弁PVとを有する。各岐路の予め設定された流れ方向に基づき、一方向絞り弁と調整可能な電磁弁PVとを同一の岐路に直列接続することで、逆方向に流れる油液を即時に遮断し、岐路内の油液の流れ方向を合理的に制限することができる。好ましくは、調整可能な電磁弁PVは、電磁比例弁であり、これにより、当該岐路を流れる油液の減衰力をより正確に調整することができる。
【0035】
当該ダンパに3つ又は3つ以上の並列岐路を設けてもよいことが理解できる。全ての岐路を並列し、且つ全ての岐路を二組に分け、二組の岐路内の油液の流れ方向が逆となるようにすれば、ダンパに対するセミアクティブ制御を実現することができる。
【0036】
本実施例の上記ピストン2の左右両側のシリンダブロックは容積が等しく、且つピストン2が油圧シリンダ1内で往復運動を行う時、二組の岐路内の油液が流れる油路は同じであり、これによりダンパの減衰力を調整する時に、システムがより安定することを確保する。好ましくは、油圧シリンダ1にそれぞれ油注入口FP10と油排出口BP10とが連通し、これにより、油注入口FP10により外部から当該ダンパ内部に送油と油補給とを行い、且つ油排出口BP10により余分な油液をダンパから引き出すことにより、ダンパ内部の油液システムのバランスを確保する。
【0037】
本実施例では、図2に示すように、全ての岐路は、第1岐路B1と第2岐路B2とを有し、第1岐路B1の一端と第2岐路B2の一端とは、第1ノードN1に並列接続され、第1岐路B1の他端と第2岐路B2の他端とは、第2ノードN2に並列接続され、第1ノードN1と第2ノードN2とは、それぞれ油圧シリンダ1の2つのシリンダブロックに連通する。
【0038】
本実施例では、第1岐路B1と第2岐路B2との流れが逆になっている。具体的には、第1岐路B1は、直列接続された第1一方向絞り弁CV1および第1調整可能な電磁弁PV1を有する。第1一方向絞り弁CV1は、第1岐路B1の油液の流れを、油液が第1シリンダブロックPAから流出した後、第1岐路B1を通って第2シリンダブロックPB内に流れ戻るように制限する。第2岐路B2は、第2一方向絞り弁CV2および第2調整可能な電磁弁PV2を有する。第2一方向絞り弁CV2は、第2岐路B2の油液の流れを、油液が第2シリンダブロックPBから流出した後、第2岐路B2を通って第1シリンダブロックPA内に流れ戻るように制限する。
【0039】
ダンパがセミアクティブモードにある場合、図3に示すように、油圧シリンダ1の第1シリンダブロックPA内の油圧が第2シリンダブロックPB内の油圧より大きい時、油液は、第1シリンダブロックPA内から流出した後、第1ノードN1を流れた後に第1岐路B1内に入り、第1岐路B1内から流出した油液は、第2ノードN2を流れた後に第2シリンダブロックPB内に戻ることで、第1岐路B1と油圧シリンダ1との間に油液制御回路が形成される。第2岐路B2内の第2絞り弁は、油液を第1ノードN1と第2絞り弁との間に閉じ込めることで、油液が第2岐路B2を流れて制御回路を形成することができなくなる。この時、第1調整可能な電磁弁PV1は、第1岐路B1内の油液の減衰力を正確に調整し、即ち、ダンパのシステム減衰係数を調整することができ、これによりダンパの性能パラメータをリアルタイム、且つ確実に調整する。
【0040】
同様に、図4に示すように、ダンパがセミアクティブモードにある場合、油圧シリンダ1の第2シリンダブロックPB内の油圧が第1シリンダブロックPA内の油圧より大きい時、油液は、第2シリンダブロックPB内から流出した後、第2ノードN2を流れた後に第2岐路B2内に入り、第2岐路B2内から流出した油液は、第1ノードN1を流れた後に第1シリンダブロックPA内に流れ戻ることで、第2岐路B2と油圧シリンダ1との間に別の油液制御回路が形成される。第1岐路B1内の第1絞り弁は、油液を第2ノードN2と第1絞り弁との間に閉じ込めることで、油液が第1岐路B1を流れて制御回路を形成することができなくなる。この時、第2調整可能な電磁弁PV2は、第2岐路B2内の油液の減衰力を正確に調整し、即ち、ダンパのシステム減衰係数を調整することができ、これによりダンパの性能パラメータをリアルタイム、且つ確実に調整する。
【0041】
ダンパが故障または電源オフ時に正常に運行できることを確保するために、本実施例のダンパは、非常用油路B3をさらに有する。非常用油路B3の両端はそれぞれ2つのシリンダブロックに連通する。図5に示すように、好ましくは、非常用油路B3と残りの全ての岐路との間の並列接続を確保するように、非常用油路B3は、一端が第1ノードN1に接続され、他端が第2ノードN2に接続される。非常用油路B3が電源オフ状態で油圧シリンダ1に対して油液の閉ループ回路を正常に提供できることを確保するために、当該非常用油路B3には調整不可能な電磁開閉弁SVが取り付けられ、電磁開閉弁SVは、ダンパがパッシブモードにある時に非常用油路B3の起動の制御に用いられる。これにより、故障又は電源オフ時にダンパは非常用油路B3を起動してパッシブモードに切り替えられる。
【0042】
本実施例では、図5に示すように、非常用油路B3は、直列に連通しているダンピング孔TV1と電磁開閉弁SVとを有する。パッシブモードでは、非常用油路B3を除く残りの全ての岐路は各岐路における一方向絞り弁と調整可能な電磁弁PVとの電源オフにより中断されて、対応する岐路内の回路に沿った油液の流通状態が遮断されるが、非常用油路B3における電磁開閉弁SVを手動で開いたり、電源オフ後に自動的に起動状態にジャンプしたりすることにより、油圧シリンダ1内から流出した油液が非常用油路B3内を通って流れ、油圧シリンダ1内に流れ戻り、非常用油路B3と油圧シリンダ1との間に油液非常用制御回路が形成されることを確保する。
【0043】
本実施例では、非常用油路B3のダンピング孔TV1は調整不可能な流れ制限オリフィスであり、電磁開閉弁SVは、当該非常用油路B3内の油液の流量と減衰力とのいずれかを調整不可能である。そのため、油液が当該非常用油路B3を流れ、且つ残りの全ての岐路が遮断されると、当該ダンパはパッシブモードになる。
【0044】
本実施例のダンパは、上記のセミアクティブモードとパッシブモードとに加えて、低減衰モードも有することが理解できる。
【0045】
ダンパがセミアクティブモードにある時、非常用油路B3の電磁開閉弁SVは帯電常時閉状態にあり、且つ各岐路の調整可能な電磁弁PVはいずれも帯電状態にあり、この時、ダンパのシステム減衰力は、作動油が各岐路の調整可能な電磁弁PVを流れることによって発生し、減衰係数の大きさは、対応する調整可能な電磁弁PVの制御電圧によって決定される。油路制御の安定化を容易にするために、上記の第1岐路B1における第1調整可能な電磁弁PV1の制御電圧が第2岐路B2における第2調整可能な電磁弁PV2の制御電圧と等しい。
【0046】
ダンパがパッシブモードにある時、ダンパは故障または電源オフ状態にあり、各岐路の調整可能な電磁弁PVと一方向絞り弁とが動作停止して、各岐路の流通状態が完全に遮断され、油液が岐路内で非流通状態になる。この時、非常用油路B3の調整不可能な電磁開閉弁SVが起動して、当該非常用油路B3を油液が流れて制御回路が形成される。ダンパの減衰力は、作動油が調整不可能なダンピング孔TV1を流れることによって発生する。
【0047】
ダンパが低減衰モードにある時、図6に示すように、非常用油路B3の電磁開閉弁SVは開弁し、全ての岐路の調整可能な電磁弁PVは帯電して開弁すると、全ての岐路は遮断状態ではない。残りの岐路における調整可能な電磁弁PVの制御電圧を制御することにより、対応する岐路における調整可能な電磁弁PVの減衰係数が最小値になり、この時点で、非常用油路B3及びすべての岐路を油液が流れて減衰力を発生させることができる。この時、ダンパによって発生された減衰力が非常に小さいので、ダンパは低減衰モードにあると考えられる。当該低減衰モードは、緩和曲線の出入りなどの低減衰挙動に適した。緩和曲線とは、平面線形において、直線と円曲線との間または円曲線と円曲線との間に設けられた曲率が連続的に変化する曲線をいう。緩和曲線は、道路平面線形の要素の一つであり、直線と円曲線との間、または半径が大きく異なる2つの、ステアリングが同じ円曲線の間に設けられた、曲率が連続的に変化する曲線である。車両走行が緩和曲線に従う場合、緩和曲線への進入時と緩和曲線からの退出時との挙動は低減衰挙動である。
【0048】
本実施例において、ダンパの油液の圧力が高すぎることを防止し、且つダンパがアンロード力、アンロード速度、および減衰係数等のパラメータを調整する時の安全性を向上させるために、第1ノードN1および第2ノードN2は、それぞれ主油路を介して油圧シリンダ1の2つのシリンダブロックに連通し、2つの主油路の間に少なくとも1つの圧力逃し岐路が連通し、各圧力逃し岐路同士は並列接続されることが好ましい。圧力逃し岐路には圧力逃し弁が直列に接続される。
【0049】
本実施例では、2つの主油路の間に2つの圧力逃し岐路が並列接続され、2つの圧力逃し岐路は、それぞれ圧力逃し弁PRV1と圧力逃し弁PRV2とが直列接続され得る。圧力逃し弁PRV1と圧力逃し弁PRV2とは、個別かつ協調的にダンパの最大減衰力を限定し、各岐路内の調整可能な電磁弁PVと協働して作用することができ、ダンパのアンロード力、アンロード速度、および減衰係数などのパラメータに対する安全で正確な調整を実現する。
【0050】
本実施例のダンパは、貯油タンクをさらに有する。貯油タンクはそれぞれ貯油タンクを介して2つの主油路に連通している。2つの貯油路には、それぞれ絞り弁である第3絞り弁CV3と第4絞り弁CV4とが直列接続されている。主油路と貯油タンクとの間に圧力逃し油路が更に連通し、圧力逃し油路は、各貯油路と並列に接続され、圧力逃し油路に圧力逃し弁PRV3が直列に取り付けられる。圧力逃し弁PRV3は、貯油タンク内部の最大圧力を制限することができる。圧力逃し弁PRV3には、最大安全圧力値P0が予め設定されており、貯油タンク内部の圧力が安全圧力値P0よりも大きくなると、圧力逃し弁PRV3が直ちに開き、ダンパの主油路内の油液が貯油タンクに直接流れ戻る。貯油タンクには、貯油タンクポートRP10が設けられており、必要に応じて貯油タンク内の油液量を増減して、油液の高さや油液の圧力を制御する。
【0051】
図1に示すように、本実施例に係る制振システムは、コントローラ3と、台車に取り付けられた少なくとも1つの上記のようなセミアクティブアンチヨーダンパ100と、を有する。そのうち、コントローラ3の信号入力端と信号出力端とは、それぞれ各ダンパに接続されており、車両運行の実際状態に基づいて、コントローラ3により現在必要なダンパ性能パラメータを算出した後、コントローラ3は、現在性能パラメータ付きの制御信号をダンパに伝送することにより、ダンパが車両の運行ニーズに応じて各性能パラメータをリアルタイムに調整可能であることを確保する。
【0052】
コントローラ3が計算時に信頼性の高いデータソースを有すると共に、コントローラ3とダンパとの間に良好で安定した信号制御回路を形成することを確保するために、当該システムはデータ収集機構をさらに有することが好ましい。データ収集機構は、ダンパに取り付けられ、コントローラ3の信号入力端に接続されており、ダンパのリアルタイム動作パラメータをコントローラ3に伝送するために用いられる。これにより、コントローラ3は、リアルタイム動作パラメータに基づいてダンパに必要な減衰力を算出し、減衰力を含む制御信号をダンパにフィードバックする。
【0053】
本実施例では、コントローラ3には、少なくとも2つのデータインタフェースが設けられている。本実施例のコントローラ3は、主に第1インタフェースC1、第2インタフェースC2、および第3インタフェースC3を含む。そのうち、第1インタフェースC1は、信号出力端であり、第2インタフェースC2は、信号入力端であり、第3インタフェースC3は、給電および外部機器のアクセス端である。第1インタフェースC1は、ダンパ上の各岐路の調整可能な電磁弁PVに接続されており、コントローラ3の計算結果に基づいて調整可能な電磁弁PVの制御電圧などのパラメータをリアルタイムに調整して、ダンパの性能パラメータの調整を実現するために用いられる。
【0054】
本実施例のデータ収集機構は、圧力センサP11、P12、および変位センサPP1を有する。油圧シリンダ1の2つのシリンダブロック内には、それぞれ圧力センサP11が設けられている。圧力センサおよび変位センサは、コントローラ3における信号入力端である第2インタフェースC2にそれぞれ接続される。圧力センサP11、P12は、第1シリンダブロックPAと第2シリンダブロックPBとにそれぞれ対応して取り付けられており、油圧シリンダ1内のピストン2の両側の2つのシリンダブロック内部の油液の圧力値をリアルタイムに感知するために用いられる。変位センサPP1は、油圧シリンダ1全体に対するダンパ内のピストン2またはピストンロッドの変位量をリアルタイムで感知するために、ピストン2またはピストンロッドに取り付けられている。
【0055】
本実施例のデータ収集機構は、加速度センサを有する。加速度センサは、コントローラ3における信号入力端である第2インタフェースC2に接続される。加速度センサは、車両に搭載されており、コントローラ3に対して、コントローラ3によるダンパに必要なパラメータの計算時の基準データとなる車両運行加速度データを提供するために用いられる。
【0056】
本実施例のコントローラ3には、外部接続インタフェースがさらに設けられており、外部接続インタフェースは、外部の車両統括制御システムに接続される。コントローラ3と車両統括制御システムとの間に遮断リレー4が取り付けられており、遮断リレー4は、車載不安定監視システムと連動し、一旦台車不安定監視システムが警報すると、遮断リレー4は動作してセミアクティブアンチヨーダンパの電源を切断して、制振システム全体の電源を遮断し、ダンパを強制的にパッシブモードに切り替え、この時のダンパは、従来のパッシブダンパと同じ性能を有し、車両が正常に運行し続けることを十分に確保できる。
【0057】
以上説明したように、本実施例に係るセミアクティブアンチヨーダンパ100のピストン2は、油圧シリンダ1内で往復運動を行う時に油圧シリンダ1の内部を2つのシリンダブロックに区画し、当該ダンパは、少なくとも2つの並列岐路を有し、各岐路の両端は、それぞれ2つのシリンダブロックに連通し、各岐路には、それぞれ調整可能な電磁弁PVが取り付けられ、調整可能な電磁弁PVは、ダンパがセミアクティブモードにある時に当該ダンパの減衰係数を調整するために用いられる。当該セミアクティブアンチヨーダンパ100が正常に動作する時にセミアクティブモードにあり、この際、当該ダンパは、油圧シリンダ1内の二つのシリンダブロック間の油圧差により油液が流れる岐路を変更し、対応する岐路における調整可能な電磁弁PVを利用して油液の減衰力を調整することで、ダンパはセミアクティブモードにおいて制御可能な減衰力および減衰係数を有することを確保し、従来技術における従来のアンチヨーダンパの性能パラメータが調整不可能であることによる上記の様々な欠陥を解決する。
【0058】
本実施例に係る制振システムは、コントローラ3と、台車に取り付けられた少なくとも1つの上記のセミアクティブアンチヨーダンパ100と、を有し、コントローラ3の信号入力端と信号出力端とは、それぞれ各ダンパに接続され、車両運行の実際状態に基づいてコントローラ3を利用して現在必要なダンパ性能パラメータを算出し、続いてコントローラ3は現在性能パラメータ付きの制御信号をダンパに伝送することにより、ダンパが車両運行ニーズに応じて各性能パラメータをリアルタイムに調整可能であることを確保して、列車のサスペンションシステムを常に最適なマッチング状態にさせ、且つ様々な地域環境および線路で必要とされる車両運行ニーズに適応し、車両旋盤加工周期を効果的に延ばすことができ、車両の耐用年数を向上させ、運営コストを低減することができる。
【0059】
本発明の実施例は、例示および説明のために提供されたものであり、本発明を網羅するものまたは開示された形態に限定するものではない。当業者にとって、多くの修正および変化は明らかである。実施例は、本発明の原理および実際の応用をよりよく説明し、且つ、当業者が本発明を理解して、特定の用途に適する様々な修正を伴う様々な実施例を設計するために選択して説明される。
【0060】
本発明の説明において、明確な規定および限定がない限り、「取り付け」、「互いに接続」、「接続」などの用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能であり、機械的接続や、電気的接続でも可能であり、直接接続することや、中間媒体を介して互いに間接接続することも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本開示の実施例での具体的な意味を理解することができる。
【符号の説明】
【0061】
100:セミアクティブアンチヨーダンパ
1:油圧シリンダ
2:ピストン
3:コントローラ
4:遮断リレー
PA:第1シリンダブロック
PB:第2シリンダブロック
PV:調整可能な電磁弁
C1:第1インタフェース
C2:第2インタフェース
C3:第3インタフェース
B1:第1岐路
PV1:第1調整可能な電磁弁
CV1:第1一方向絞り弁
B2:第2岐路
PV2:第2調整可能な電磁弁
CV2:第2一方向絞り弁
B3:非常用油路
SV:電磁開閉弁
TV1:ダンピング孔
N1:第1ノード
N2:第2ノード
CV3:第3絞り弁
CV4:第4絞り弁
PRV1:第1圧力逃し弁
PRV2:第2圧力逃し弁
PRV3:第3圧力逃し弁
PP1:変位センサ
P11:第1圧力センサ
P12:第2圧力センサ
FP10:油注入口
BP10:油排出口
RP10:貯油タンクポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9