(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】レーダー信号の圧縮のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H03M 7/40 20060101AFI20231107BHJP
G01S 13/931 20200101ALN20231107BHJP
【FI】
H03M7/40
G01S13/931
(21)【出願番号】P 2022002079
(22)【出願日】2022-01-11
(62)【分割の表示】P 2018509614の分割
【原出願日】2016-08-17
【審査請求日】2022-02-03
(32)【優先日】2016-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】4339/CHE/2015
(32)【優先日】2015-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】アニル マニ
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】カーティック ラマスブラマニアン
【審査官】大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-025073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0054661(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0156054(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 7/40
G01S 13/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
複数の圧縮タイプの各々に対するそれぞれの量子化誤差に基づいて前記複数の圧縮タイプから1つの圧縮タイプを選択するように構成される圧縮管理構成要素であって、
前記圧縮タイプに関連する圧縮パラメータを決定するように構成されるパラメータ決定エンジンと、
前記パラメータ決定エンジンに結合され、圧縮されたデータを生成するためにデータを圧縮するように構成される圧縮エンジンと、
を含む、前記圧縮管理構成要素と、
前記圧縮管理構成要素に結合され、前記圧縮
されたデータを格納するように構成されるメモリと、
を含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数の圧縮タイプが、ブロック浮動小数点(BFP)圧縮とビットパッキング(PAC)圧縮と指数ゴロム(EG)圧縮と可変ビット幅ブロック浮動小数点(VBBFP)圧縮とを含む、システム。
【請求項3】
請求項
2に記載のシステムであって、
前記パラメータ決定エンジンが、前記PAC圧縮である圧縮タイプに応答して圧縮パラメータを決定しない、システム。
【請求項4】
請求項
2に記載のシステムであって、
前記圧縮管理構成要素が、前記VBBFP圧縮である圧縮タイプに応答して前記データのブロックを複数の同じサイズのサブブロックを含むスーパーブロックに分割するように更に構成される、システム。
【請求項5】
請求項
4に記載のシステムであって、
前記圧縮管理構成要素が、スーパーブロックスケール係数を決定するように更に構成される、システム。
【請求項6】
請求項
2に記載のシステムであって、
前記EG圧縮に関連する圧縮パラメータがk係数とスケール係数とを含む、システム。
【請求項7】
請求項
6に記載のシステムであって、
前記パラメータ決定エンジンが、前記k係数と前記スケール係数とを受信することに応答して前記EG圧縮のための圧縮パラメータを決定しない、システム。
【請求項8】
請求項
2に記載のシステムであって、
前記パラメータ決定エンジンが、前記BFP圧縮である圧縮タイプに応答して共通スケール係数を決定する、システム。
【請求項9】
請求項
8に記載のシステムであって、
前記共通スケール係数が前記データの仮数に基づいて決定され、前記仮数が整数である、システム。
【請求項10】
方法であって、
圧縮管理構成要素によってデータのブロックを受信することと、
前記圧縮管理構成要素によって
複数の圧縮タイプの各々に対するそれぞれの量子化誤差に基づいて前記複数の圧縮タイプから1つの圧縮タイプを選択することと、
パラメータ決定エンジンによって前記圧縮タイプに基づいて圧縮パラメータを決定することと、
圧縮エンジンによって圧縮データを生成するためにデータを圧縮することと、
メモリによって前記圧縮データを格納することと、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の方法であって、
前記複数の圧縮タイプが、ブロック浮動小数点(BFP)圧縮とビットパッキング(PAC)圧縮と指数ゴロム(EG)圧縮と可変ビット幅ブロック浮動小数点(VBBFP)圧縮とを含む、方法。
【請求項12】
請求項
11に記載の方法であって、
前記圧縮パラメータを決定することが、前記PAC圧縮である圧縮タイプに応答して実行されない、方法。
【請求項13】
請求項
11に記載の方法であって、
前記圧縮管理構成要素によって前記VBBFP圧縮である圧縮タイプに応答して前記データのブロックを複数の同じサイズのサブブロックを含むスーパーブロックに分割することを更に含む、方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の方法であって、
前記圧縮管理構成要素によってスーパーブロックスケール係数を決定することを更に含む、方法。
【請求項15】
請求項
11に記載の方法であって、
前記EG圧縮に関連する圧縮パラメータがk係数とスケール係数とを含む、方法。
【請求項16】
請求項
15に記載の方法であって、
前記パラメータ決定エンジンが、前記k係数と前記スケール係数とを受信することに応答して前記EG圧縮のための圧縮パラメータを決定しない、方法。
【請求項17】
請求項
11に記載の方法であって、
前記パラメータ決定エンジンによって前記BFP圧縮である圧縮タイプに応答して共通スケール係数を決定することを更に含む、方法。
【請求項18】
請求項
17に記載の方法であって、
前記共通スケール係数が前記データの仮数に基づいて決定され、前記仮数が整数である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全般的に、レーダーシステムに関し、特に、レーダーシステムにおけるレーダー信号の圧縮に関する。
【背景技術】
【0002】
オートモーティブ応用例等の用途における埋め込み周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムの使用は急速に進化している。例えば、埋め込みFMCWレーダーシステムは、アダプティブ・クルーズ・コントロール、衝突警告、死角警告、車線変更支援、駐車支援、及び後方衝突警告等、車両に関する多くの応用例において有用である。レーダーシステムの視野におけるオブジェクトの3次元画像(レンジ(range)、速度、及び角度)を取得するためのFMCWレーダーシステムにおけるレーダー信号の処理は、多次元フーリエ変換処理を含み、多次元フーリエ変換処理は、レーダーデータをストアするために有意な量のメモリを必要とする。埋め込みFMCWレーダーシステムに用いられるレーダートランシーバー集積回路(IC)上のオンチップメモリの量は、ストアされ得るデータの量を制限し、そのため、レーダートランシーバーICの性能を限定する。より大きいメモリ容量を含むことは、ダイサイズ及びICのコストの両方において望まない増加を生じる。
【発明の概要】
【0003】
レーダーシステムにおけるレーダー信号の圧縮のための方法および装置の説明される例において、レーダーシステムが、レンジ値のブロックを圧縮してレンジ値の圧縮されたブロックを生成するように構成される圧縮構成要素、及び圧縮構成要素によって生成されたレンジ値の圧縮されたブロックをストアするように構成されるレーダーデータメモリを含む。
【0004】
レーダーシステムにおけるレーダー信号の圧縮のために、例示の方法が、デジタル化された中間周波数(IF)信号の処理から生成されるレンジ値のブロックを受け取ること、レンジ値の圧縮されたブロックを生成するためにレンジ値の各ブロックを圧縮することであって、この圧縮がレーダーシステムの圧縮構成要素によって実施されること、及びレンジ値の圧縮されたブロックをレーダーデータメモリにストアすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【0006】
【
図2】ビットパッキング(PAC)圧縮の例である。
【0007】
【
図3】次数k(order k)指数ゴロム(EG)圧縮の例である。
【0008】
【
図4】圧縮管理構成要素の例示の高レベルアーキテクチャのブロック図である。
【
図5】圧縮管理構成要素の例示の高レベルアーキテクチャのブロック図である。
【0009】
【
図6】圧縮パラメータを決定するための例示の方法のフローチャートである。
【
図7】圧縮パラメータを決定するための例示の方法のフローチャートである。
【
図8】圧縮パラメータを決定するための例示の方法のフローチャートである。
【
図9】圧縮パラメータを決定するための例示の方法のフローチャートである。
【0010】
【
図10】圧縮管理構成要素の例示の高レベルアーキテクチャのブロック図である。
【
図11】圧縮管理構成要素の例示の高レベルアーキテクチャのブロック図である。
【0011】
【
図12】BFP圧縮されたサンプルブロックの例示のフォーマットを図示する。
【0012】
【
図13】EG圧縮されたサンプルブロックの例示のフォーマットを図示する。
【0013】
【
図14】BFP圧縮に対するサンプルの仮数を抽出するための例示の方法のフローチャートである。
【0014】
【
図15】サンプルのブロックにおけるサンプルのEGエンコードのための例示の方法のフローチャートである。
【0015】
【
図16】可変ビット幅BFP(VBBFP)圧縮されたサンプルブロックの例示のフォーマットを図示する。
【0016】
【
図17】VBBFP圧縮パラメータを決定するための例示の方法のフローチャートである。
【0017】
【
図18】VBBFPエンコードのためのサンプルの仮数を抽出するための例示の方法のフローチャートである。
【0018】
【
図19】VBBFPエンコードされたサンプルブロックの伸張のための例示の方法のフローチャートである。
【0019】
【
図20】例示の周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムのブロック図である。
【0020】
【
図21】例示のダイレクトメモリアクセスアーキテクチャのブロック図である。
【
図22】例示のダイレクトメモリアクセスアーキテクチャのブロック図である。
【
図23】例示のダイレクトメモリアクセスアーキテクチャのブロック図である。
【
図24】例示のダイレクトメモリアクセスアーキテクチャのブロック図である。
【
図25】例示のダイレクトメモリアクセスアーキテクチャのブロック図である。
【
図26】例示のダイレクトメモリアクセスアーキテクチャのブロック図である。
【0021】
【
図27】レーダーシステムにおいてレーダー信号を圧縮するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
整合性を保つために、種々の図において類似の要素は類似の参照番号が付されている。
【0023】
周波数変調連続波(FMCW)レーダーが、1つ又は複数の送信アンテナを介して、チャープと称される無線周波数(RE)周波数ランプを送信する。また、フレームと称される単位で、複数のチャープが送信され得る。送信されたチャープは、レーダーの視野(FOV)における任意のオブジェクトから反射され、1つ又は複数の受信アンテナによって受信される。各受信アンテナに対して受信された信号は、中間周波数(IF)信号にダウンコンバートされ、その後、デジタル化される。デジタル化されたサンプルは、事前処理されメモリにストアされ、このメモリは本明細書においてレーダーデータメモリと称される。フレーム全体に対するデータがレーダーデータメモリにストアされた後、データは、FOVにおける任意のオブジェクトを検出するために、及び検出されたオブジェクトのレンジ、速度、及び到来角を識別するために、後処理される。
【0024】
事前処理には、データを周波数ドメインに変換するため、各反射されたチャープのデジタル化されたサンプルに対してレンジ高速フーリエ変換(FFT)を実施することが含まれ得る。このレンジFFTは一次元(1D)FFTとも称され得る。ピーク値がオブジェクトのレンジ(距離)に対応する。この処理は、通常、インラインで実施され、現在のチャープに対してサンプルが収集されている間に、前のチャープのデジタル化されたサンプルにレンジFFTが実施される。各受信チャネルに対するレンジFFTの結果(即ち、レンジ値)は、更なる処理のために、レーダーデータメモリに保存される。通常、レンジFFTの結果は、レーダーデータメモリにおいて行方向にストアされて、レンジ値のアレイを形成する。
【0025】
各レンジに対して、フレーム内のチャープの対応するレンジ値の各々にわたってドップラーFFTが実施される。従って、レーダーデータメモリにストアされているレンジ値のアレイの列の各々に対して、ドップラーFFTが実施される。このドップラーは、二次元(2D)FFTとも称され得る。結果のレンジドップラーアレイにおけるピークは、あり得るオブジェクトのレンジ及び相対スピード(速度)に対応する。ドップラーFFTを実施するために、レンジ値の各列がレーダーデータメモリから読みだされ、列のレンジ値に対してドップラーFFTが実施される。列データアクセスは、行アクセスを伴うデータに対する転置演算に数学的に等しいので、列データアクセスは転置アクセスと称され得る。ドップラーFFT値は、同じ列メモリ位置にストアバックされ得る。
【0026】
ドップラーFFTの後、FOVにおけるオブジェクトを検出するために、及び検出されたオブジェクトのレンジ、速度、及び到来角を識別するために、レーダーデータメモリにストアされたレンジ-ドップラーアレイに対して、その他の後処理(オブジェクト検出、角度推定等)が実施され得る。後処理が完了した後、レーダーデータメモリにおけるデータは廃棄され得る。
【0027】
後処理(ドップラーFFT、角度推定、又はオブジェクト検出等)が開始され得る前に、(チャープのフレームに対応する)デジタル化されたデータの全てがレーダーデータメモリ内にあることが要求される。更に、分解能期待値(即ち、チャープ毎のデジタル化されたサンプルの数によって制御されるレンジ分解能)、速度分解能(これはフレーム毎のチャープの数によって制御される)、及び角度分解能(これは受信アンテナの数によって制御される)が、レーダーデータメモリのサイズに直接的に影響を与える。オートモーティブレーダーの応用分野において、分解能期待値を満たすために必要とされる現在のレーダーデータメモリサイズは、1~2メガバイト(MB)の規模であり、今後何年かの間に、より高度な分解能が要求されるので、増大することが予期される。
【0028】
本開示の実施形態は、より多くのレーダーデータをレーダーデータメモリにストアすることを可能にし、そのため同じ量のメモリにおいて分解能の増大を可能にする、レーダーデータのためのメモリ圧縮手法を提供する。従って、こういった圧縮手法は、一層大きなデバイスの能力を維持しながら、オンチップメモリ要求を低減するために有用である。これらの圧縮手法は、レーダー信号処理のために設計され、レンジFFTによって出力されたサンプルがレーダーデータメモリにストアされるときは、レンジFFTの後に実施される。
【0029】
幾つかの実施形態において、1D FFTの後、レーダーデータのブロック浮動小数点(BFP)圧縮が実施される。信号処理におけるブロック浮動小数点表示は、限られた数のビットによって表され得るダイナミックレンジを増大する。従って、ブロック浮動小数点表示が、信号データの低減された精度を維持しつつ、広いダイナミックレンジを網羅し得る。例示のブロック浮動小数点表示において、サンプルのブロックが、各サンプルに共通の指数、及び各サンプルに対する仮数として表される。共通の指数は、ブロックにおける最大のサンプルに基づいて、サンプルのブロックに対して決定される。幾つかの例において、グループにおける各サンプルに対する仮数は、最大サンプルの仮数を収容するビットの数によって表される。他の例において、仮数のサイズは、所望とされる精度及び圧縮サイズに基づいて固定である。そのような例において、各サンプルに対する仮数は、サンプルにおける最上位1ビットで始まる各サンプルのk最上位ビットであり、kは所望とされる仮数サイズである。
【0030】
ブロックに対する共通指数及び仮数を表すビットは、ブロックに対する圧縮されたサンプルを表すために連続的にパックされ得る。ブロック浮動小数点表示は、振幅が時間とともに変動し、しかも特定のグループにおいて近隣のサンプルが類似の振幅を有する、信号ダイナミクスに対して有用である。本明細書のこれ以降において、「共通指数」の代わりに用語「共通スケール係数」が用いられる。共通スケール係数は、僅かな差があるものの、BFPにおける共通指数に密接に関連する。包括的なBFPにおいて、仮数は0と1との間の端数であると考えられる。サンプルは、仮数×2eを計算することによって再生成され、eは指数である。下記BFPにおいて、仮数は、0と2mantissa bw-1との間の整数であり、bwはビット幅である。
【0031】
FMCWレーダー信号処理において、1D FFTの後のチャープが、90dB程度の高さのダイナミックレンジを有し得る。この高いダイナミックレンジは、近隣の目標と遠方の目標との間の経路損失差の結果である。各ビットが約6dBのダイナミックレンジを提供するので、90dBのダイナミックレンジは約15ビットの仮数を必要とし得るため、BFP表示にとって、そのような高いダイナミックレンジは望ましくない可能性がある。しかしながら、単一のレンジビンに対する、アンテナを横切るダイナミックレンジは相対的に小さい(例えば、30dB未満であり、これは約5ビットの仮数を必要とし得る)。更に、近隣のレンジビンに対する、及び異なるチャープを横切る同じレンジビンに対するダイナミックレンジもまた非常に小さくなり得る。このように、ブロック浮動小数点圧縮手法は、1D FFTの後、同じレンジビン又は近隣のレンジビンにおけるサンプルを圧縮するために有用である。
【0032】
例えば、2つの受信チャネルを備えるFMCWレーダーシステムを考えてみる。その場合、1D FFTの出力は、帯域内(I)チャネルに対して16ビット、及び各受信チャネルの直交位相(Q)チャネルに対して16ビットの、32ビットの複素サンプルである。BFP圧縮を用いると、1D FFTの出力は、2つの受信チャネルを横切る同じレンジビンに対応する2つのサンプルのブロック(2×2×16=64ビット)を取ること、ブロックに対して4ビットの共通スケール係数を用いること、及び、ブロックの4個のサンプルの各々に対して7ビットの仮数を用いることによって圧縮され得る。合計の圧縮されたブロックサイズは、32ビット(2×2×7+4=32ビット)であり、50パーセント圧縮となる。各仮数が7ビットを占有するので、ビン毎の可能なダイナミックレンジは約42dBである。なお、単一のレンジビンに対するアンテナを横切るダイナミックレンジに起因するビン毎のダイナミックレンジ要求である30dBも、約12dBのマージンをもって、満足することに留意されたい。
【0033】
一般的に、1D FFTサンプルのBFP圧縮を実施するために、サンプルのブロックに対する共通スケール係数が決定され、その後、この共通スケール係数に基づいて、サンプルが圧縮される。共通スケール係数の決定は、ブロックにおける最大サンプルの絶対値に基づく。
図1は、8ビットサンプル(23 127 64 124)のブロックに対するBFP圧縮の例である。簡潔にするため、この例では、8のサンプルビット幅を用いている。現在のFMCWレーダーシステムにおいて、より典型的なサンプルビット幅は16であり、将来のシステムにおいては、さらに大きくなり得る。ブロックにおけるサンプル値は、[00010101b、01111111b、01000000b、01111100b]として、バイナリで書き込まれる。サンプルのブロックの元のビット幅は、32ビットである。
【0034】
50パーセントの圧縮を達成するために、圧縮されたブロックサイズは16ビットでなければならない。各サンプルが8ビットであるので、16ビットのうち3ビットはスケール係数に割り当てられ、残りの13ビットのうちの12ビットは4つの仮数の間で分けられ、各々3ビットが割り当てられる。13番目のビットは用いられない。スケール係数は、4つのサンプルの最大値、127に基づき、それは7ビット幅である。従って、各サンプルに対する仮数の3ビットは、ビット[6、5、4]であり、サンプル毎に、4ビット[3、2、1、0]がドロップされるので、共通スケール係数は4になる。圧縮されたブロックは、3ビットスケール係数100bであり、その後、各々がそれぞれのブロックの3最上位ビット(MSB)である、4つの3ビット仮数が続く。
【0035】
幾つかの実施形態において、量子化の影響を低減するために、サンプル値は、切り捨ての前に丸められる。数学的には、丸めることは以下のようになる。サンプル値からnビットがドロップされるべき場合は、値に2n-1が加算され、その結果がnビット切り捨てられる。本明細書において更に詳細に説明するように、幾つかの実施形態において、2n-1の代わりにディザーが加算され得る。
図1の例では、丸め及びディザーは用いられない。
【0036】
幾つかの実施形態において、ビットパッキング(PAC)と称される特殊なタイプのBFP圧縮が実施される。PAC圧縮手法において、入力サンプルは、固定スケール係数及び仮数ビット幅を用いてストアされる。値が固定されているのでスケール係数のストレージは必要ない。例えば、32ビットサンプル、14の共通スケール係数、及び18ビットの仮数ビット幅を想定すると、32ビットのIサンプル及び32ビットのQサンプルが、18ビットのIサンプル及び18ビットのQサンプルとしてストアされ得る。
図2は、4の固定スケール係数及び4ビットの仮数ビット幅を備える
図1の例を用いてPACを図示している。
【0037】
幾つかの実施形態において、1D FFTの後、指数ゴロム(EG)圧縮が実施される。通常、数個の大型サンプルがオブジェクトの反射に対応し、残りのサンプルは相対的に小さいので、レーダーデータは、レンジ次元において疎らであることが予期される。このように、レンジ次元を横切る平均ビット幅は小さい。従って、サンプルビット幅に比例するスペースを各サンプルが占有する可変ビット幅圧縮手法が、データをストアするために必要とされる平均ビット幅(サンプル毎の)を有意に低減し得る。
【0038】
1つのそのような可変ビット幅手法は、次数k指数ゴロム(EG)コーディングである。例えば、そのようなコーディングの説明は、参照として本明細書に組み込まれる、2016年1月22日付けのhttps://en.wikipedia.org/wiki/Exponential-Golomb_codingから利用可能なウィキベディア「指数ゴロムコーディング」にある。概して、次数k指数ゴロムコードは、本明細書ではゴロムパラメータkと称され得る値「k」によってパラメータ化される。ゴロムパラメータkは、入力ベクトルにおける最も共通するビット幅を表し、エンコードされた値の可変ビット幅の商と、固定ビット幅の余りとの間の境界を決定するために用いられる。本明細書において更に詳細に説明されるように、幾つかの実施形態において、kの値は、可能な値のリストを検索することによって選択され、それによって値が入力サンプル値に基づいて最適化される。
【文献】“Exponential-Golomb coding,”Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Exponential-Golomb_coding
【0039】
図3は、k=2及び8のサンプルビット幅を想定した、値x=21の次数k EGコーディングの例である。サンプル値は、初期的に、商と余りに割り算され(300)、余りは、サンプル値の最下位kビットである。その後、商に1の値が加算され(302)、これは、2
kをサンプル値xに加算することに等しい。増分された商のビット幅n
extraがその後決定され(304)、圧縮されたサンプルが構成される(306)。圧縮されたサンプルにおいて、最初の2ビットビットは、n
extra-1の1進(unary)表示であり、真ん中の3ビットは、増分された商の2進表示であり、最後の2ビットは、余りの2進表示である。
【0040】
上述されるように、FMCWレーダー信号処理において、チャープに対応するデジタル化された時間ドメインサンプルに対してレンジFFTサンプルがまず実施される。レンジFFTサンプルは、その後、レーダーデータメモリにアレイとしてストアされる。本説明のため、ストレージは行方向であると想定される。幾つかの実施形態において、データは列方向にストアされる。後続の2D FFT(又は任意の一層高次のFFT)を実施するために、このアレイのデータは列方向にアクセスされ、これには「転置アクセス」演算が必要となる。更に、列においてサンプルをアクセスするとき、これらのサンプルは、メモリにおいて連続的ではない。そのため、ダイレクトメモリアクセス(DMA)デバイスが用いられる場合、DMAは、一般的にジャンプと称されるアドレスオフセットを用いて、第1のサンプルの後、各サンプルにアクセスするようにプログラムされる必要がある。ジャンプが一定である場合、そのようなメモリアクセスは最も効率的である。ジャンプが一定でない場合、列にアクセスするために必要なジャンプのシーケンスが記憶される必要があり得、それは付加的なメモリを必要とし得、圧縮オーバーヘッドを増大させ得る。
【0041】
幾つかの実施形態において、ジャンプが一定であることを確実にするために、BFPスキーム及びEGスキームはいずれも、本明細書においてサンプルのブロックと称され得る固定数のサンプルを固定数のビットに圧縮する。これは、BFP圧縮を用いる場合、仮数及び共通スケール係数ビット幅が固定であるため、圧縮されたサイズが一定であるので簡単である。しかしながら、テキストブックEGエンコードは、エンコードされた出力のビット幅を保証しない可変ビット幅手法である。従って、テキストブックEGエンコードを用いて所望のビット幅が達成されない場合、量子化が実施される。幾つかの実施形態において、この量子化は、所望のビット幅を保証するために、最下位ビットの幾つかをドロップする形式をとる。本明細書において、ドロップするビットの数は、スケール係数又はEGスケール係数と称される。
【0042】
図4、
図5、
図10、及び
図11は、BFP圧縮及び次数k EG圧縮の両方を実装する、圧縮管理構成要素400に対する例示の高レベルアーキテクチャのブロック図である。動作中に用いられるべき圧縮のタイプは、ユーザ構成可能である。幾つかの実施形態において、1つの圧縮のタイプのみが実装される。圧縮管理構成要素400は、埋め込みレーダーシステムにおける使用に適し、レーダー信号処理の1D FFTによって出力されるサンプルの圧縮及び伸張を管理する。
図4のブロック図に示されるように、圧縮管理構成要素400は、ダイレクトメモリアクセスデバイス(DMA)とインタフェースするように設計される。
【0043】
概して、圧縮管理構成要素400は、利用可能なメモリの予測可能であり既知である使用を確実にするために、ビットでの圧縮された出力サイズが所望の値以下であることを確実にする。圧縮管理構成要素400は、BFP圧縮及びEG圧縮の両方に対して、2パス圧縮を提供する。2パス圧縮では、圧縮動作に対するパラメータが第1のパスにおいて決定され、実際の圧縮は、決定されたパラメータに従って、第2のパスで実施される。BFP圧縮に対して、第1のパスは、圧縮されるべきサンプルのブロックに対する共通スケール係数を決定する。EG圧縮に対して、第1のパスは、圧縮されるべきサンプルのブロックに対するゴロムパラメータkの最適値と、所望の圧縮比を保証するために用いるスケール係数とを決定する。このEGスケール係数は、ドロップする最下位ビットの数とも称される。
【0044】
図4を参照すると、圧縮管理構成要素400は、パラメータ決定エンジン402、圧縮エンジン418、伸張エンジン420、入力ピン/ポンバッファ410、412、出力ピン/ポンバッファ414、416、及びリニアフィードバックシフトレジスタ(LFSR)408を含む。
図10及び
図14を参照して更に詳細に説明するように、LFSR408は、エンコードされたサンプルにディザーを付加するために用いられるディザー信号を提供する。
【0045】
入力ピン/ポンバッファ410、412は、圧縮されるべきサンプルのブロックを交互に受け取るためにDMAと圧縮エンジン418との間に、及び伸張されるべき圧縮されたサンプルブロックを交互に受け取るためにDMAと伸張エンジン420との間に結合される。出力ピン/ポンバッファ414、416は、DMAによってレーダーデータメモリにストアされるべき圧縮されたサンプルブロックを受け取るために圧縮エンジン418とDMAとの間に、及び、DMAによってメモリにストアされるべきサンプルの伸張されたブロックを受け取るために伸張エンジンとDMAとの間に結合される。ピン/ポンバッファメカニズムは、圧縮エンジン又は伸張エンジンが、入力ピンバッファ上で作動している場合に、DMAが入力ポンバッファへのアクセスを有するようになされ、また逆も同じであるようになされている。同様に、圧縮エンジン又は伸張エンジンが出力ピンバッファ上で作動している場合、DMAが出力ポンバッファへのアクセスを有し、また逆も同じである。
【0046】
パラメータ決定エンジン402は、圧縮プロセスの第1のパスを実装する。パラメータ決定エンジン402は、サンプルが入力ピン/ポンバッファ410、412にストアされているので、DMAから入力サンプルのストリームを受け取るように結合される。
図5~
図9を参照して更に詳しく説明されるように、パラメータ決定エンジン402は、BFP圧縮に対するパラメータ値及びEG圧縮に対するパラメータ値を計算するための機能性を含む。従って、パラメータ決定エンジン402は、サンプルのブロックに対する共通スケール係数を決定するための機能性、及びサンプルのブロックに対するゴロムパラメータk及びスケール係数を決定するための機能性を含む。
【0047】
圧縮エンジン418は圧縮プロセスの第2のパスを実装する。圧縮エンジン418は、サンプルのブロックを圧縮する際に用いられるべき圧縮パラメータを受け取るようにパラメータ決定エンジン402に結合される。
図10を参照して更に詳細に説明されるように、圧縮エンジン418は、入力ピン/ポンバッファ410、412の一方から読み出されるサンプルのブロックに対してBFP圧縮を実施するための、及び圧縮されたサンプルブロックを出力ピン/ポンバッファ414、416の一方にストアするための機能性を含む。圧縮エンジン418はまた、入力ピン/ポンバッファ410、412の一方から読み出されるサンプルのブロックに対してEG圧縮を実施するための、及び圧縮されたサンプルブロックを出力ピン/ポンバッファ414、416の一方にストアするための機能を含む。
【0048】
伸張エンジン420は、圧縮エンジン418によって実施される圧縮を反転させる。
図11を参照して更に詳細に説明するように、伸張エンジン420は、入力ピン/ポンバッファ410、412の一方から読み出される圧縮されたサンプルブロックに対してBFP伸張を実施するための、及び伸張されたサンプルのブロックを、出力ピン/ポンバッファ414、416の一方にストアするための機能性を含む。伸張エンジン420はまた、入力ピン/ポンバッファ410、412の一方から読み出される圧縮されたサンプルブロックに対してEG伸張を実施するための、及び伸張されたサンプルのブロックを出力ピン/ポンバッファ414、416にストアするための機能性を含む。
【0049】
図5を参照すると、パラメータ決定エンジン402は、符号拡張構成要素502、先頭ビットカウンタ構成要素504、BFPパラメータ決定構成要素506、及びEGパラメータ決定構成要素508を含む。符号拡張構成要素502は、必要に応じ、各サンプルを32ビットに符号拡張する。先頭ビットカウンタ構成要素504は、BFPパラメータ決定構成要素506及びEGパラメータ決定構成要素506に対して必要に応じ、先頭ゼロビットに続く連続する先頭ゼロビット及び連続する先頭1ビットのカウントを決定するための機能性を含む。更に具体的には、BFPパラメータ決定構成要素506に対して、先頭ビットカウンタ構成要素504は、ブロックにおけるサンプルの絶対値の最大を決定するための、及び最大の最上位ビットにおける連続する先頭ゼロの数N
0を決定するための機能性を含む。例えば、最大が、値00000111111010101010101010101000bを有する場合、N
0=5である。幾つかの実施形態において、先頭ビットカウンタ構成要素504は、最大可能ビット幅を備えるサンプルをつくるため、サンプルの絶対値を結合するようにOR演算を行うことによって最大を決定する。先頭ビット決定構成要素504は、N
0の値を提供するために、BFPパラメータ決定構成要素506に結合される。
【0050】
EGパラメータ決定構成要素506に対して、先頭ビットカウンタ構成要素504は、ブロックにおける各サンプルの絶対値の最上位ビットにおける連続する先頭ゼロビットの数N0、及び各サンプルにおける連続する先頭ゼロビットに続く複数の連続する1ビットの数N1を決定するための機能性を含む。例えば、入力サンプルが00000111111010101010101010101000bである場合、N0=5、及びN1=6である。先頭ビット決定構成要素504は、各サンプルに対して、N0及びN1の両方の値を提供するため、EGパラメータ決定構成要素508に結合される。
【0051】
BFPパラメータ決定構成要素506は、サンプルのブロックに対する共通スケール係数を決定するための機能性を含む。サンプルのブロックに対する共通スケール係数は、ブロックにおける最大のサンプルの絶対値のビット幅に基づく。上述したように、先頭ビット決定構成要素504は、最大サンプル値、及び最大の最上位ビットにおける連続する先頭ゼロの数N0を決定する。
【0052】
図6は、最大のサンプル値及びN
0が与えられるときの、BFPパラメータ決定構成要素506によって実施され得る共通スケール係数を決定するための方法のフローチャートである。初期的に、最大サンプル値のビット幅bwが計算される(600)。ビット幅bwは、最大サンプル値の最上位ビットにおける、第1の非ゼロビットで始まり、計算されるため、ビット幅はbw=32-N
0として計算される。計算されたビット幅bwは、その後、符号ビットを含むように、1増分され(602)、bw=bw+1となる。その後、共通スケール係数bが、仮数の所望のビット幅未満のビット幅bwとして計算され(604)、b=bw-仮数bwとなる。最終的に、共通スケール係数は圧縮エンジン418に出力される(606)。
【0053】
図5を再度参照すると、EGパラメータ決定構成要素508は、サンプルのブロックに対してゴロムパラメータk及びスケール係数bを決定するための機能性を含む。幾つかの実施形態において、ゴロムパラメータkの値は、所定の値のアレイから選択される。幾つかのそのような実施形態において、アレイにおける値はユーザ指定される。任意の適切な数の所定の値がアレイに存在し得る。幾つかの実施形態において、所定の値の数は16以下である。上述したように、先頭ビット決定構成要素504は、最上位ビットにおける連続する先頭ゼロの数N
0、及び各サンプルに対するN
0連続する先頭ゼロに続く連続する先頭1の数N
1を決定する。
図7~
図9は、各サンプルに対するN
0及びN
1の値、及びkに対する候補値のアレイが与えられるときの、サンプルのブロックに対するゴロムパラメータk及びスケール係数bを決定する方法のフローチャートであり、この方法はEGパラメータ決定構成要素508によって実施され得る。
【0054】
最初に
図7を参照すると、候補値のアレイにおける候補のゴロムパラメータ値k
iの各々に対して、ビットにおけるエンコードされたブロックサイズS
1が初期的に計算される(700)。エンコードされたブロックサイズの計算の例は、以下に
図8を参照して説明する。最適なk
i及びスケール係数bが、サンプルブロックに対して、エンコードされたブロックサイズS
1に基づいて決定される(702)。最適なk
i及びスケール係数bの決定は、以下に
図9を参照して説明する。最適なk
i及びスケール係数bのインデックスiは、その後、圧縮エンジン418に出力される(704)。
【0055】
図8は、各候補ゴロムパラメータ値k
iに対するエンコードされたブロックサイズS
iの計算のための例示の方法のフローチャートである。概して、サンプルのブロックにおける各サンプル(818)について、エンコードされたビット幅が各候補ゴロムパラメータk
iに対して計算され(804~816)、対応するエンコードされたブロックサイズS
iが更新される(812)。所与のサンプルに対して、初期的に、先頭連続ゼロビットのないサンプルのビット幅bw
1が計算される(800)。先頭連続ゼロビットN
0のないサンプルのビット幅bw
2、及び続く連続1ビットN
1も計算される(802)。その後、ゴロムパラメータ2
kiの加算の後のサイズのビット幅bwが、初期候補のゴロムパラメータ値k
iに対して計算される(806~810)。対応するブロックサイズ累積器S
iは、2bw-(k
i+1)によって与えられる合計のエンコードされたビット幅を用いて、更新される(812)。ビット幅bwを計算するステップ(806~810)、及びブロックサイズ累積器S
iを合計のエンコードされたビット幅を用いて更新するステップ(812)は、次の候補k
iがある場合は、それに対して繰り返される(816)。
【0056】
図9は、エンコードされたブロックサイズS
iが与えられるときの、最適なk
i及びスケール係数bの決定のための例示の方法のフローチャートである。対応するエンコードされたブロックサイズS
iに基づいて、各候補ゴロムパラメータ値k
iに対してスケール係数b
iが初期的に計算される(900~908)。スケール係数b
iは、エンコードされたブロックサイズS
iと所望のエンコードされたサイズとの間の差e
iをまず計算する(902)ことによって計算される。計算された差e
iは、スケール係数b
iを計算するために、所望のサイズに合うようにドロップされる必要があり得るビットの数を計算する(904)ために用いられる。スケール係数b
iを計算するための疑似コードが表1に示される。この表において、log2_nsamps_blkは、ブロックにおけるサンプルの数のビット幅である。
【表1】
【0057】
各kiに対してスケール係数biが計算された後、最小有効biが、サンプルブロックを圧縮するためのスケール係数bとして選択され(910)、対応する候補ゴロムパラメータ値kiが、ゴロムパラメータkとして選択される。bi≦kiの場合、スケール係数biは有効である。スケール係数b及び対応するkiのインデックスiが戻される(912)。有効スケール係数が存在しない場合、エラーがシグナリングされ得る。
【0058】
図10を参照すると、圧縮エンジン418は、入力フォーマッティング構成要素1002、BFPエンコーダ構成要素1004、EGエンコーダ構成要素1006、ビットパッキング構成要素1008、及び圧縮制御構成要素1010を含む。圧縮エンジン418への入力はサンプルのブロックであり、圧縮エンジン418の出力は、BFPフォーマット又はEGフォーマットの一方における圧縮されたサンプルブロックである。幾つかの実施形態において、圧縮されたサンプルブロックの所望のサイズはユーザ指定され、圧縮エンジンは、各圧縮されたサンプルブロックが所望のサイズ内に適合することを確実にする。幾つかの実施形態において、所望のサイズは8ビットの倍数である。
【0059】
図12は、BFP圧縮されたサンプルブロックの例示のフォーマットを図示する。圧縮されたブロックは、ブロックにおけるサンプルに対するスケール係数を含むヘッダーで始まる。ヘッダーの後、2の補数フォーマットにおける各サンプルの仮数のシーケンスが続く。スケール係数のビット幅及び仮数のビット幅はユーザ指定される。スケール係数のビット幅及び仮数のビット幅が所望のビット幅未満である場合、圧縮されたブロックの最後にパディングが存在し得る。パディングビットの数は、所望のビット幅、指定された仮数ビット幅、指定されたスケール係数ビット幅、及びブロック毎のサンプルの数に依存する。
【0060】
図13は、EG圧縮されたサンプルブロックの例示のフォーマットを図示する。圧縮されたブロックは、ゴロムパラメータアレイにおける圧縮されたブロックに対するゴロムパラメータkのインデックス及び圧縮されたブロックに対するスケール係数を含むヘッダーで始まる。ヘッダーの後、ブロックにおける各サンプルに対する可変ビット幅EG圧縮されたビットシーケンス、及び各サンプルに対する符号ビットが続く。EGエンコードが各サンプルの絶対値に対して実施されるので、各エンコードサンプルの符号は、圧縮されたサンプルブロックにおけるエンコードサンプルに続く。ヘッダーのビット幅、及び添付された符号ビットを備える圧縮されたサンプルのビット幅が所望のビット幅未満である場合、圧縮されたブロックの最後にパディングが存在し得る。
【0061】
図10を再度参照すると、入力フォーマッティング構成要素1002は、必要に応じ、各I及びQサンプルを32ビットに符号拡張する。圧縮制御構成要素1010は、圧縮エンジン418の全体的な動作を制御する。圧縮制御構成要素1010は、入力ピン/ポンバッファ410、412と出力ピン/ポンバッファ414、416との間の切り替えを管理するため、及び、圧縮されたデータが書き込まれるアドレスを管理するため、及び、入力ブロック間で圧縮エンジン418をリセットするため、及び圧縮された出力のフォーマッティングを管理するための機能性を含み得る。幾つかの実施形態において、圧縮制御構成要素1010は、状態機械として実装される。
【0062】
BFPエンコーダ構成要素1004は、サンプルブロックにおける各サンプルから所望のビット幅の仮数を抽出するために、パラメータ決定エンジン402によって決定された共通スケール係数bを用いる。BFPエンコーダ構成要素1004は、各サンプルの仮数ビットを提供するために、ビットパッキング構成要素1008に結合される。
図14は、BFPエンコーダ構成要素1004によって実装され得る、サンプルブロックにおける各サンプルの仮数を抽出するための例示の方法のフローチャートである。サンプルブロックにおける各サンプルに対してステップ1400~1406が繰り返される(1408)。この方法は、サンプルにディザーが付加されることを想定する。幾つかの実施形態において、ディザーの付加は任意であり、そのため、ディザーの付加は、ユーザ指定されるパラメータによってオン又はオフにされ得る。
【0063】
スパーを防止するために、初期的に、ディザーがサンプルに付加される(1400)。
図4を参照して説明するように、付加されるべきディザー信号は、LFSR408によって提供される。任意の適切な数のディザービットが付加され得る。ディザー値は、サンプルごとに異なり得る。概して、ディザーは、量子化に起因して生じ得るパターンを回避するために量子化の前に付加される単なるノイズである。そのようなパターンはスパーとなり得る。幾つかの実施形態において、18dBの合計SFDR保護に対して、ディザーの各ビットがスパーフリーダイナミックレンジ(SFDR)に約6dBを付加するので、ディザー信号は3ビットである。レーダー信号の2D FFT処理の後の、検出信号対ノイズ比は、通常、15~18dBである。従って、18dBのSFDR保護は、スパーがノイズフロアの測定に影響を与えることを防止するために充分であり得る。
【0064】
サンプルへのディザーの付加の説明を簡潔にするために、3ビットのディザーを想定する。幾つかの実施形態において、よりシンプルなハードウェア設計を促進するために、サンプルが量子化されるべきとき、即ち、b≧1のとき、にのみディザーが必要とされる場合であってもディザーが各サンプルに付加される。そのような実施形態において、ディザーに等しい数のゼロがサンプルの最後に付加される。例えば、ディザーが3ビットである場合、3つのゼロが付加される。更に具体的には、6ビットサンプルx=011101bの場合、x’=011101000bである。ディザーの3ビットは、その後、(b-1)番目の位置で始まり付加される。例えば、ディザーが101bでありb=0の場合、x’+ディザー=011101101bである。ディザーが101bでありb=1の場合、x’+ディザー=011101000b+000001010b=011110010bである。
【0065】
ディザーが付加されたサンプルは、その後、仮数を生成するために、スケール係数bとディザービットの数(例えば3)の合計分、右にシフトされる(1402)。上記の2例を継続すると、b=0の場合、値011101101bが3右にシフトされ、その結果、011101bの仮数となり、b=1の場合、値011110010bが4右にシフトされ、その結果、01111bの仮数となる。結果の仮数の値は、その後、値のビット幅が所望のビット幅より大きい場合、所望の仮数ビット幅に飽和される(1404)。仮数はその後、ビットパッキング構成要素1008に出力される(1406)。
【0066】
図10を再度参照すると、EGエンコーダ構成要素1006は、パラメータ決定エンジン402によって決定されたゴロムパラメータk及びスケール係数bを用いて、サンプルのブロックの指数ゴロムエンコードを実施する。EGエンコーダ構成要素1006は、各サンプルのEGエンコードされたビットを提供するために、ビットパッキング構成要素1008に結合される。
図15は、EGエンコーダ構成要素1006によって実装され得る、サンプルのブロックの各サンプルのEGエンコードのための例示の方法のフローチャートである。サンプルブロックの各サンプルに対して、ステップ1500~1518が繰り返される(1520)。この方法は、ディザーがサンプルに付加されることを想定している。幾つかの実施形態において、ディザーの付加は任意であり、そのため、ディザーの付加は、ユーザ指定されるパラメータによってオン又はオフにされ得る。例示の8ビットサンプルx=00010101b、k=3、及びb=1を用いて、この方法を説明する。
【0067】
初期的に、サンプルxの符号sが抽出され(1500)、xがxの絶対値に設定される(1502)。従って、s=0及びx=|x|=00010101bである。その後、ゴロムパラメータがxに付加される(1504)。従って、x=x+2k=00010101b+1000b=00011101bである。その後、xのビット幅bwが計算される(1506)。xのビット幅は、xのMSBにおける先頭連続ゼロ値ビットがドロップされた後のxにおけるビットの数である。従って、bw=5である。
【0068】
その後、ディザーがxに付加される(1508)。
図4を参照して説明されたように、付加されるべきディザー信号は、LFSR408によって提供される。任意の適切な数のディザービットが付加され得る。ディザー値は、サンプルごとに異なり得る。概して、ディザーは、量子化に起因して生じ得るパターンを防止するために量子化の前に付加される単なるノイズである。そのようなパターンはスパーとなり得る。幾つかの実施形態において、18dBの合計SFDR保護に対して、ディザーの各ビットがスパーフリーダイナミックレンジ(SFDR)に約6dBを付加するので、ディザー信号は3ビットである。レーダー信号の2D FFT処理の後の、検出信号対ノイズ比は、通常、15~18dBである。従って、18dBのSFDR保護は、スパーがノイズフロアの測定に影響を与えることを防止するために充分であり得る。
【0069】
サンプルへのディザーの付加の説明を簡潔にするために、3ビットのディザーを想定する。幾つかの実施形態において、よりシンプルなハードウェア設計を促進するために、サンプルが量子化されるべき場合、即ち、b≧1のとき、にのみディザーが必要とされる場合であってもディザーが各サンプルに付加される。そのような実施形態において、ディザーに等しい数のゼロがサンプルの最後に付加される。例えば、3ビットのディザーを想定すると、3つのゼロが付加される。例として、サンプルx=00011101bである場合、x’=00011101000bである。ディザーは、(b-l)番目の最下位ビット位置で付加される。従って、ディザーが111bでありb=1である場合、x’+ディザー=011101000b+000001110b=011110110bである。値のビット幅がbwより大きい場合、結果の値は、ビット幅bwに飽和される(1510)。この例において、ディザーの付加がビット幅を増加させなかったので、飽和は必要ない。
【0070】
エンコードされたサンプルの1進部分は、その後、bw-(k+1)=1として計算される(1512)。このように、エンコードされたサンプルの1進部分は、単一の0である。エンコードされたサンプルの2進部分も計算される(1514)。ディザーが付加されたサンプルは、b+3右にシフトされ(1514)、2進部分は結果のbw-b最下位ビットである。従って、x’+ディザー>>4=0001111bであり、2進部分は1111bである。圧縮されたサンプルを生成するために、1進部分と2進部分は、結合され、符号sが付加され(1516)、圧縮されたサンプルはビットパッキング構成要素1008に出力される(1518)。この例を完了すると、圧縮されたサンプルは011110bである。
【0071】
ビットパッキング構成要素1008は、圧縮制御構成要素1010による制御下で、圧縮されたサンプルブロックのヘッダーのビット、及びエンコーダ構成要素1004、1006の1つから受け取るエンコードされたサンプルのビットを、出力ブロックの中にパッキングする。概して、ビットパッキング構成要素1008は、出力をメモリに容易にストアできるようにするために、(可変ビット幅又は固定ビット幅の)データのセットを、「メモリワード」の既知のチャンクの中にパッキングする。幾つかの実施形態において、ビットパッキング構成要素1008は、ビットストリームをアクセプトし、出力メモリワードサイズにマッチするビットのチャンクを画定し、チャンクが準備できると、出力ピン/ポンバッファの一方にビットストリームを書き込む、シフトレジスタである。
【0072】
図11を参照すると、伸張エンジン4208は、ビットアンパッキング構成要素1102、BFPデコーダ構成要素1104、EGデコーダ構成要素1106、出力フォーマッティング構成要素1108、及び伸張制御構成要素1110を含む。出力フォーマッティング構成要素1108は、各伸張されたサンプルを、符号拡張し、必要に応じ、16ビット又は32ビットに飽和させる。
【0073】
伸張制御構成要素1110は、伸張エンジン420の全体的な動作を制御する。伸張制御構成要素1110は、入力ピン/ポンバッファ410、412と出力ピン/ポンバッファ414、416との間の切り替えを管理するため、及び、伸張されたデータが書き込まれるアドレスを管理するため、及び、圧縮された入力ブロック間で伸張エンジン420をリセットするための機能性を含み得る。幾つかの実施形態において、伸張制御構成要素は状態機械として実装される。
【0074】
BFPデコーダ構成要素1104は、圧縮されたサンプルブロックのBFP復号を実施する。BFPデコーダ構成要素1104は、復号されたサンプルを出力するため、出力フォーマッティング構成要素1108に結合される。BFPデコーダ構成要素1104は、圧縮されたサンプルブロックに対するスケール係数b、及びブロックにおける各サンプルに対する仮数を受け取るため、ビットアンパッキング構成要素1102に結合される。各エンコードされたサンプルを復号するために、BFPデコーダ構成要素1104は、対応する仮数を32ビットに符号拡張し、結果に2bを掛けて、出力サンプルを生成する。各出力サンプルは、出力フォーマッティング構成要素1108に出力される。
【0075】
EGデコーダ構成要素1106は、圧縮されたサンプルブロックの指数ゴロム復号を実施する。EGデコーダ構成要素1106は、復号されたサンプルを提供するために、出力フォーマッティング構成要素1108に結合される。EGデコーダ構成要素1106は、圧縮されたサンプルブロックに対するゴロムパラメータkのインデックスi、圧縮されたサンプルブロックに対するスケール係数b、及びブロックにおける各エンコードされたサンプルを受け取るために、ビットアンパッキング構成要素1102に結合される。
【0076】
k及びbが与えられると、圧縮されたサンプルブロックにおける各サンプルの復号が以下のように実施され得る。初期的に、ビットアンパッキング構成要素1102が、サンプルにおける先頭ゼロの数N0をカウントし、N0をEGデコーダ構成要素1106に提供する。EGデコーダ構成要素1106は、N0を用いて、サンプルのビット幅bwを計算し、従って、bw=(N0+2)+(k-b)である。この式をさらに説明すると、(k-b)ビットは、圧縮されたサンプルの余りの部分にあり、(N0+1)ビットは、圧縮されたサンプルの商の部分にある。最後のビットは、符号ビットに対するものであり、それはサンプルの最後に付加される。
【0077】
EGデコーダ構成要素1106は、ビット幅bwを伸張制御構成要素1110に通信する。それによって、ビットアンパッキング構成要素1102が、サンプルのbwビットをEGデコーダ構成要素1106に提供する。EGデコーダ構成要素1106は、bwビットに2bを掛け、結果からゴロム定数2kを除去し、符号ビットを適用して、出力サンプルを生成する。各出力サンプルは、出力フォーマッティング構成要素1108に出力される。
【0078】
例えば、ビットアンパッキング構成要素1102が16ビット長のバレルシフタであり、バレルシフタのビットが0111100101010101bによって与えられていると想定する。k=3及びb=1とする。バレルシフタは、先頭ゼロの数をカウントし、そのため、N0=1である。バレルシフタはその後、1111001010101010bに更新され、第1のビットがイジェクトされ、別のビットが取り入れられる。サンプルビット幅はその後、EGデコーダ構成要素1106によって、上述の式を用いて、5として計算される。バレルシフタの第1の5ビット、11110bは、EGデコーダ構成要素1106へイジェクトされる。符号ビットはLSBであり、これは、この例では0であり、正の数を示している。従って、圧縮されたサンプルは1111bであり、それに2bが掛けられて、11110bとなる。その後、ゴロム定数(2k、k=3)が積算の結果から引かれ、10110bが生成され、これは、復号された出力サンプルである。
【0079】
ビットアンパッキング構成要素1102は、伸張制御構成要素1110の制御下で、圧縮されたサンプルブロックを読み出すように、及び、BFPデコーダ構成要素1104又はEGデコーダ構成要素1106による復号のためにコンテンツをアンパックするように動作する。ビットアンパッキング構成要素1102は、EGエンコードされたサンプルにおける先頭ゼロの数をカウントするため、及びエンコードされたサンプルの1進部分を抽出するために用いられる、先頭ゼロカウントモードと、指定された数のビットを入力圧縮されたサンプルブロックから抽出するために用いられる通常モードとの2つの動作モードを実装する。
【0080】
更に具体的には、入力圧縮されたブロックがBFPを用いて圧縮されたときは、スケール係数のビット及び各仮数のビットを抽出するため、及びそれらをBFPデコーダ構成要素1104に提供するために、通常モードが用いられる。ブロックのサイズ、スケール係数のビット幅、及び仮数のビット幅を決定するパラメータは、伸張制御構成要素1110によって提供される。入力圧縮されたブロックがEGを用いて圧縮されたときは、ゴロムパラメータkのインデックスのビット、スケール係数のビット、及び各EGエンコードされたサンプルの2進部分のビットを抽出するために通常モードが用いられる。ブロックのサイズ、インデックスのビット幅、スケール係数のビット幅、及びエンコードされたサンプルのビット幅を決定するパラメータは、伸張制御構成要素1110によって提供される。幾つかの実施形態において、ビットアンパッキング構成要素1102はシフトレジスタである。
【0081】
幾つかの実施形態において、圧縮管理構成要素400は、上述したPAC圧縮手法(これは、BFPの特殊なタイプである)を提供するように構成可能である。そのような実施形態において、スケール係数及び仮数ビット幅は既知であるので、BFP圧縮の第1のパスはスキップされる。また、圧縮されたサンプルブロックにヘッダーは含まれない。
【0082】
幾つかの実施形態において、圧縮管理構成要素400は、ゴロムパラメータk及びEG圧縮に対するスケール係数に対して、ユーザ指定された値を用いるように構成可能である。そのような実施形態において、EG圧縮に対するパラメータ値は既知であるので、EG圧縮の第1のパスはスキップされる。また、圧縮されたサンプルブロックにヘッダーは含まれない。幾つかのそのような実施形態において、ゴロムパラメータkに対してユーザ指定される値は、値のアレイであり得る。サンプルのブロックがEGエンコーダ1006によって圧縮されるので、アレイにおける値は、サンプルのブロックをエンコードするために用いられる。例えば、32の値がアレイにある場合、第1の値はサンプルのブロックをエンコードするために用いられ、第2の値はサンプルの次のブロックをエンコードするために用いられ、第3の値はサンプルの次のブロックをエンコードするために用いられる等、32の値すべてが用いられるまで成される。その後、サイクルは、アレイにおける第1の値で始まり繰り返される。アレイは任意の適切な数の値を含み得る。幾つかの実施形態において、アレイのサイズは、入力ピン/ポンバッファにストアされ得るサンプルブロックの最大数に基づく。
【0083】
幾つかの実施形態において、可変ビット幅ブロック浮動小数点(VBBFP)圧縮等のBFP圧縮の変形が実施される。VBBFP圧縮では、圧縮されるべきサンプルのブロックが、m個のサンプルの、複数の同じサイズのサブブロックに分割される。任意の適切な値のmが用いられ得る。サンプルのブロックは、本明細書ではスーパーブロックと称される。スーパーブロックにおけるサンプルの数、及びサブブロックにおけるサンプルの数mは、経験的に決定され得る。スーパーブロックのサブブロックにおけるサンプルに対する仮数は、サブブロックに対して計算されるスケール係数に加えて、スーパーブロックに対して計算されるスーパーブロックスケール係数を用いて決定される。BFPと同様に、VBBFP圧縮は2パスプロセスであり、第1のパスにおいてサンプルのスーパーブロックの圧縮に対するパラメータが決定され、第2のパスにおいて、パラメータを用いてサンプルの実際の圧縮が実施される。
図17は、VBBFP圧縮パラメータを決定するための例示の方法のフローチャートであり、
図18は、これらのパラメータを用いてVBBFP圧縮を実施するための例示の方法のフローチャートである。
【0084】
図16は、スーパーブロックが2つのサブブロックを含むことを想定する、VBBFP圧縮されたサンプルのスーパーブロックのフォーマットを図示する。圧縮されたブロックは、スーパーブロックにおけるサンプルに対するスーパーブロックスケール係数bを含むヘッダーで始まり、その後、各々が
図12のフォーマットを有する、スーパーブロックのBFP圧縮されたサブブロックが続く。スーパーブロックスケール係数Bのビット幅bwB、並びに、共通スケール係数b1及びb2のビット幅bw
bは、ユーザ指定され得る。特に示されていないが、圧縮されたスーパーブロックの合計のビット幅が所望のビット幅未満である場合、圧縮されたブロックの最後にパディングが存在し得る。パディングビットの数は、所望のビット幅、指定された仮数ビット幅、指定された共通スケール係数ビット幅、指定されたスーパーブロックスケール係数ビット幅、及びスーパーブロック毎のサンプルの数に依存する。
【0085】
図17は、サンプルのスーパーブロックのVBBFP圧縮パラメータを決定するための例示の方法のフローチャートである。BFPとは異なり、任意のサブブロックに対して仮数に対するビットの数は固定されていない。代わりに、仮数は、第1のパスにおいて、量子化が必要ではないと想定して計算される。初期的に、各サブブロック1702に対してサブブロックスケール係数が計算される(1700)。サブブロックに対するサブブロックスケール係数を計算するために、サブブロックにおける各サンプルに対する絶対値の最大値が計算される。この最大値のビット幅は、サブブロックにおける各サンプルの仮数に対するビット幅であり、従って、計算されたビット幅はサブブロックスケール係数bである。サブブロックスケール係数が計算された後、圧縮されたスーパーブロックのビット幅が推定される(1704)。スーパーブロックのビット幅Sは、
として推定され得、ここで、nは、スーパーブロックにおけるサブブロックの数であり、b
iは、サブブロックiに対するサブブロックスケール係数であり、bw
bは、各サブブロックスケール係数のビット幅であり、bw
Bは、スーパーブロックスケール係数のビット幅である。符号ビットのストレージを収容するために、各サブブロックスケール係数に1が付加される。
【0086】
スーパーブロックの推定されたサイズSが、所望の圧縮されたサイズより大きい場合(1706)、スーパーブロックに対するスケール係数Bが決定される(1708)。そうでない場合は、スケール係数Bはゼロに設定される(1710)。スケール係数Bの値は、スーパーブロックの圧縮されたサイズが所望のサイズ以下になるようにスーパーブロックにおける各サンプルからドロップされるべき最下位ビットの数である。サブブロックスケール係数及びスーパーブロックスケール係数の値は、スーパーブロックをエンコードする際に用いるために、出力される(1712)。スーパーブロックスケール係数bは、B=ceil((S-CZ)/(2×m))として計算され得、ここで、CZは所望の圧縮されたサイズであり、関数ceilは、実数をその実数以上の近似整数に変換する。
【0087】
図18は、サブブロックスケール係数及びスーパーブロックスケール係数を用いて、スーパーブロックにおける各サンプルのVBBFP圧縮を実施するための例示の方法のフローチャートである。各サブブロック1810における各サンプル1808について、サンプル値は、スーパーブロックスケール係数Bによって指定されるように、サンプル値の最下位ビットの数をドロップする(1800)ことによって切り捨てられる。その後、サンプルの仮数が計算され(1802)、出力される(1806)。仮数の計算は、
図14のステップ1400~1404に類似する。スーパーブロックスケール係数は、サブブロックのエンコードされた値の前に出力され、サブブロックに対するサブブロックスケール係数は、サブブロックにおけるサンプルの仮数の前に出力される。
【0088】
図19は、スーパーブロックスケール係数B及びサブブロックスケール係数が与えられるときの、圧縮されたスーパーブロックのVBBFP復号のための例示の方法のフローチャートである。圧縮されたスーパーブロックの各サブブロック1908における各サンプル1906に対して、仮数が32ビットに符号拡張される(1900)。仮数のビット幅は、サブブロックスケール係数bによって与えられる。復号されたサンプルを生成するために、結果に2
Bが掛けられ(1902)、ここで、Bはスーパーブロックスケール係数であり、復号されたサンプルが出力される(1904)。
【0089】
図20は、本明細書で説明するようにレーダー信号の圧縮を実施するように構成される、例示のFMCWレーダーシステム2000のブロック図である。この実施形態において、レーダーシステムは、埋め込み応用例における用途に適するレーダー集積回路(IC)である。レーダーIC2000は、FMCW信号を送信するための複数の送信チャネル2004、及び反射され送信された信号を受け取るための複数の受信チャネル2002を含み得る。受信チャネル及び送信チャネルの任意の適切な数、及び受信チャネルの数及び送信チャネルの数は異なり得る。
【0090】
送信チャネルが、適切なトランスミッタ及びアンテナを含む。受信チャネルが、適切なレシーバ及びアンテナを含む。また、受信チャネル2002の各々は同一であり、受け取った無線周波数(RF)信号を増幅するための低ノイズ増幅器(LNA)2005、2007と、送信された信号を受信した信号とミックスして、中間周波数(IF)信号(代替的に、デチャープされた信号、ビート信号、又は生レーダー信号と称される)を生成するためのミキサー2006、2008と、ビート信号をフィルタリングするためのベースバンドバンドパスフィルタ2010、2012と、フィルタリングされたIF信号を増幅するための可変ゲイン増幅器(VGA)2014、2016と、アナログIF信号をデジタルIF信号に変換するためのアナログデジタルコンバータ(ADC)2018、2020とを含む。
【0091】
受信チャネル2002は、デジタルIF信号をDFE2022に提供するため、デジタルフロントエンド(DFE)構成要素2022に結合される。DFEは、サンプリングレートを低減し、信号をベースバンドに戻すために、デジタルIF信号に対して間引きフィルタリングを実施するための機能性を含む。DFE2022はまた、DCオフセット除去等の他の動作をデジタルIF信号に対して実施し得る。DFE2022は、DFE2022の出力を信号プロセッサ構成要素2044に送信するために、信号プロセッサ構成要素2044に結合される。
【0092】
信号プロセッサ構成要素2044は、レーダーシステム2000のFOVにおける任意のオブジェクトを検出するため、及び検出されたオブジェクトのレンジ、速度、及び到来角を識別するために、レーダーデータのフレームのデジタルIF信号に対して信号処理を実施するように構成される。信号プロセッサ構成要素2044は、信号処理の間にレーダーデータメモリ2026に対するデータの読み出し及び書き込みを行うために、ダイレクトメモリアクセス(DMA)構成要素2046を介してレーダーデータメモリ構成要素2024に結合される。信号処理(上述したような事前処理及び後処理等)を実施するために、信号プロセッサ構成要素2044は、メモリ構成要素2048にストアされているソフトウェア命令を実行する。信号プロセッサ構成要素2044は、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの組み合わせを含み得る。例えば、信号プロセッサ構成要素2044は、デジタル信号プロセッサ、MCU、FFTエンジン、DSP+MCUプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)であり得る。
【0093】
レーダーデータメモリ構成要素2024は、信号プロセッサ構成要素2044によって実施される信号処理の間、レーダーデータに対してストレージを提供する。レーダーデータストレージ構成要素2024は、圧縮管理構成要素2025及びレーダーデータメモリ構成要素2026を含む。レーダーデータメモリ構成要素2026は、スタティックRAM等の任意の適切なランダムアクセスメモリ(RAM)であり得る。レーダーデータメモリ構成要素2026は、予期されるチャープの最大フレームに対応するレーダーデータをストアするために充分なメモリを含む。
【0094】
圧縮管理構成要素2025は、レンジ値のブロックの圧縮及び伸張を実装する。更に具体的には、圧縮管理構成要素2025は、信号プロセッサ構成要素2044によって実施されるレンジFFTの結果を受け取るために、DMA構成要素2046に結合される。圧縮管理構成要素2025は、レンジ値(即ち、レンジサンプル)のブロックを圧縮するための、及びレーダーデータメモリ構成要素2026におけるストレージのために、圧縮されたサンプルブロックをDMA構成要素2046に提供するための機能性を含む。
【0095】
更に、圧縮管理構成要素2025は、圧縮されたサンプルブロックをレーダーデータメモリ構成要素2026から受け取るために、DMA構成要素2046に結合される。圧縮管理構成要素2025は、圧縮されたサンプルブロックを伸張するための、及び信号プロセッサ構成要素2044による更なる処理のため、メモリ2048へのストレージのために、伸張されたサンプル(レンジ値)をDMA構成要素2046に提供するための機能性を含む。
【0096】
圧縮管理構成要素2025は、本明細書に説明されるように、BFP圧縮/伸張、EG圧縮/伸張、PAC圧縮/伸張、及び/又は、VBBFP圧縮/伸張を実装するための機能性を含み得る。幾つかの実施形態において、圧縮管理構成要素2025は、
図4の圧縮管理構成要素400のアーキテクチャを有し得る。
【0097】
例えば、オンチップメモリ構成要素2048は、オンチップストレージ(コンピュータ可読媒体等)を提供し、オンチップストレージは、レーダーIC2000の種々の構成要素間でデータを通信するために、及びレーダーIC2000上でプロセッサによって実行されるソフトウェアプログラムをストアするために用いられ得る。オンチップメモリ構成要素2048は、リードオンリーメモリ及び/又はスタティックRAM等のランダムアクセスメモリ(RAM)の任意の適切な組み合わせを含み得る。
【0098】
ダイレクトメモリアクセス(DMA)構成要素2046は、レーダーデータメモリ2026と信号プロセッサ構成要素2044との間でデータ転送を実施するために、レーダーデータストレージ構成要素2024に結合される。
【0099】
制御構成要素2027は、レーダーIC2000の動作を制御するための機能性を含む。例えば、制御構成要素2027は、レーダーIC2000の動作を制御するためのソフトウェアを実行するMCUを含み得る。
【0100】
シリアルペリフェラルインタフェース(SPI)2028は、レーダー信号処理の結果の外部通信のためのインタフェースを提供する。例えば、信号プロセッサ構成要素2044によって実施される信号処理の結果は、オブジェクト追跡、オブジェクトの移動の速度、及び移動の方向等の特定用途向け処理のために、別のプロセッサに通信され得る。
【0101】
プログラマブルタイミングエンジン2042は、レーダーフレームにおけるチャープのシーケンスに対するチャープパラメータ値を制御構成要素2027から受け取るための、及び、フレームにおけるチャープの送信及び受信をパラメータ値に基づいて制御するチャープ制御信号を生成するための機能性を含む。例えば、チャープパラメータは、レーダーシステムアーキテクチャによって定義され、どのトランスミッタをイネーブルするかを指示するためのトランスミッタイネーブルパラメータ、チャープ周波数スタート値、チャープ周波数勾配、アナログデジタル(ADC)サンプリング時間、ランプエンド時間、及びトランスミッタスタート時間を含み得る。
【0102】
無線周波数シンセサイザ(RFSYNTH)2030は、タイミングエンジン2042からのチャープ制御信号に基づいて、送信のためのFMCW信号を生成するための機能性を含む。幾つかの実施形態において、RFSYNTH2030は、電圧制御発振器(VCO)を備える位相同期ループ(PLL)を含む。
【0103】
マルチプレクサ2032は、RFSYNTH2030及び入力バッファ2036に結合される。マルチプレクサ2032は、入力バッファ2036において受信する信号と、RFSYNTH2030によって生成される信号との間で選択を行うように構成可能である。例えば、出力バッファ2038は、マルチプレクサ2032に結合され、マルチプレクサ2032によって選択された信号を別のレーダーICの入力バッファに送信するために用いられ得る。
【0104】
クロックマルチプレクサ2040は、送信信号の周波数を、ミキサー2006、2008の周波数まで増大させる。クリーンアップPLL(位相同期ループ)2034は、外部低周波数基準クロック(図示せず)の信号の周波数をRFSYNTH2034の周波数まで増大させるように、及び基準クロック位相ノイズをクロック信号からフィルタリング除去するように動作する。
【0105】
図21~
図26は例示のDMAアーキテクチャのブロック図である。
図21は、メモリ圧縮/伸張のない通常モードの動作を図示するブロック図であり、
図22~
図27は、DMAと、
図20のレーダーメモリ構成要素2026等のレーダー信号事前処理からのレンジ値をストアするレーダーデータメモリとの間に圧縮管理構成要素を挿入するための変形を図示する。
図21~
図26は、DMAの文脈において一般的に理解される用語ACNT、BCNT、SRC_BINDX、及びDST_BINDXを用いる。多次元DMA転送において、ACNTは、第1次元において転送されるバイトの数を指し、BCNTは、2次元転送を構成するような第1次元転送の総数を指す。用語SRC_BINDX及びDST_BINDXは、各第1次元転送の完了後の、ソースポインタ又はデスティネーションポインタの増分の総数を指す。
【0106】
まず
図22を参照すると、圧縮のためのDMAの例が図示されている。この例では、サイズACNTバイトのブロックが、圧縮管理構成要素に入力され、圧縮管理構成要素の出力はCBバイトである。CBバイトの数は、圧縮管理構成要素によって既知である。その他は全て、デスティネーションの開始位置を含め、通常DMA動作と同じである。圧縮管理構成要素は、ACNT入力バイト毎にDMAからの書き込みアドレスをラッチし、CBバイトの圧縮されたデータが、最後にラッチされたアドレスからレーダーデータメモリ内に連続して書き込まれる。動作のこのモードは、圧縮されるべきデータがソースにおいて連続して利用可能であるときに、有用である。
【0107】
図23を参照すると、圧縮のためのDMAの別の例が図示されている。この例では、サイズACNT×BCNTのブロックが圧縮管理構成要素に入力され、圧縮管理構成要素の出力はCBバイトである。CBバイトの数は圧縮管理構成要素によって既知である。その他は全て、デスティネーションの開始位置を含め、通常DMA動作と同じである。圧縮管理構成要素は、ACNT×BCNT入力バイト毎にDMAから書き込みアドレスをラッチし、CBバイトの圧縮されたデータが、最後にラッチされたアドレスからレーダーデータメモリ内に連続して書き込まれる。動作のこのモードは、受信チャネルを横切るデータを単一ブロックに圧縮する場合等、圧縮されるべきデータがソースにおいて連続して利用可能でないときに有用である。
【0108】
図24を参照すると、伸張のためのDMAの例が図示されている。この例では、CB連続バイトのブロックが圧縮管理構成要素に入力され、CBバイトの数は圧縮管理構成要素によって既知である。圧縮管理構成要素は、ACNT出力バイト毎に読み出しアドレスをラッチし、最後にラッチされたアドレスから開始し、連続してレーダーデータメモリからCBバイトを読み出す。
【0109】
図25を参照すると、伸張のためのDMAの別の例が図示されている。この例では、CB連続バイトのブロックが圧縮管理構成要素に入力され、CBバイトの数は圧縮管理構成要素によって既知である。圧縮管理構成要素は、ACNT×BCNT出力バイト毎に読み出しアドレスをラッチし、最後にラッチされたアドレスから開始し、連続してレーダーデータメモリからCBバイトを読み出す。
【0110】
図26を参照すると、圧縮のためのDMAの別の例が図示されている。動作のこのモードは、指数ゴロムコード等の可変長コードの伸張に対して有用である。この例では、レンジ値の複数のビンが単一ブロックとして圧縮され、圧縮されたブロックサイズは固定され、ブロックに含まれる各ビンは可変数のビットを有し得る。しかしながら、伸張された後、各ビンのサイズはACNTバイトである。圧縮されたデータの第1のブロックは、ソースアドレスSRC_ADDRで開始し、後続の各ブロックはSRC_BINDXバイト離れて配置される。そのような圧縮されたブロックの多数のBCNTが存在する。管理構成要素は、BCNTブロックを順次横切り、各ブロックから次のビンをピックアップする。各ビンは、ACNTバイトに伸張され、ACNTバイトはDMAにパスされる。このプロセスは、BCNTブロックの各々におけるCCNTビンが伸張されるように、CCNT回数繰り返される。
【0111】
図27は、レーダーシステムにおいてレーダー信号を圧縮するための方法のフローチャートである。この方法は、レーダーシステムの受信チャネルからのデジタル化された中間周波数(IF)信号に適用されるレンジFFTによって生成されるレンジ値のブロックを圧縮するために実施され得る。レンジ値は、チャープのフレームの送信の結果として、受信チャネルによって受信される反射された信号の処理の間に生成される。従って、チャープの送信されたフレームに対応するレンジ値のブロックが圧縮される。
【0112】
チャープの送信されるフレームに対応するレンジ値の各ブロック2706の場合、ブロックは圧縮されてレンジ値の圧縮されたブロックを生成し(2702)、レンジ値の圧縮されたブロックはレーダーデータメモリにストアされる(2704)。幾つかの実施形態において、ブロックは、本明細書に説明されるようにBFP圧縮を用いて圧縮される。幾つかの実施形態において、ブロックは、本明細書に説明されるように次数k EG圧縮を用いて圧縮される。幾つかの実施形態において、ブロックは、本明細書に説明されるようにPAC圧縮を用いて圧縮される。幾つかの実施形態において、ブロックは、本明細書に説明されるようにVBBFP圧縮を用いて圧縮される。
【0113】
幾つかの実施形態において、ブロックの圧縮2702は、圧縮の各タイプの量子化誤差に基づいて、ブロックに対して最適な圧縮のタイプを2つ又はそれ以上の圧縮のタイプから選択することを含む。圧縮のタイプは、上述した圧縮のタイプの2つ又はそれ以上を含み得る。
【0114】
レンジ値を圧縮するために単一の圧縮手法が用いられる実施形態を本明細書に記載してきた。幾つかの実施形態において、本明細書に説明される2つ又は3つの圧縮方法の中から、最良の方法がサンプルのブロックに対して選択される。例えば、EG、BFP、及び/又はVBBFPを用いて、圧縮されたブロックのサイズ及びドロップするためのビットの数(量子化誤差)が計算され得る。その後、ブロックを圧縮するために、最少の量子化誤差を加算する方法(即ち、最小のスケール係数を用いる方法)が選択され得る。そのような実施形態において、どの圧縮手法が用いられたかを示すために、圧縮された出力に1つ又は複数のビットが付加され得る。
【0115】
別の例において、導入された量子化(即ち、スケール係数)は、圧縮の質の指標としてユーザに対して利用可能にされ得る。スケール係数の値が減少すると、圧縮の質は上昇する。ユーザは、この情報を、圧縮の間に損失する情報が多すぎるか否かを判定するため、及びそれに従って圧縮パラメータを調整するために用い得る。
【0116】
別の例において、kサンプルのブロックの伸張の間、伸張されたサンプルの全てではなく、それらのkサンプルのユーザ指定されるサブセットが伸張出力として提供され得る。幾つかの実施形態において、利用可能なメモリの多くが圧縮されたサンプルブロックをストアしている可能性があるので、伸張されたデータのサイズは利用可能なメモリを超え得る。
【0117】
幾つかの実施形態の別の例において、レンジ値の異なる部分が、異なる量圧縮されるように、ユーザが圧縮を構成し得る。例えば、レンジFFTの出力がNサンプルである場合、初期のKサンプルがBFP圧縮を用いて圧縮され、残りのN-KサンプルがEG圧縮を用いて圧縮されることをユーザが指定し得る。
【0118】
幾つかの実施形態の別の例において、サンプルは複素サンプルであり、サンプル値の実部及び虚部は別々に圧縮される。
【0119】
別の例において、本明細書において、レーダーシステムが車両における埋め込みレーダーシステムである幾つかの実施形態を記載してきた。監視及びセキュリティ応用例、及び工場や倉庫におけるロボットの操作等、埋め込みレーダーシステムの他の応用例に対する実施形態も可能である。
【0120】
本明細書において、方法のステップが順次提示され説明されるが、図に示され、本明細書に説明されるステップの1つ又は複数が、同時に実施され得、組み合わされ得、及び/又は、図に示され、本明細書に説明される順とは異なる順に実施され得る。
【0121】
レーダーシステムにおける構成要素は、異なる名称で参照され得、及び/又は、説明された機能性から逸脱することなく、本明細書に示されない方式で組み合わされ得る。用語「結合する」及びその派生語は、間接的、直接的、光学的、及び/又はワイヤレス電気的接続を含む。例えば、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、そのような接続は、直接的な電気的接続を介して、他のデバイス又は接続を介する間接的な電気的接続を介して、光学的電気的接続を介して、及び/又は、ワイヤレス電気的接続を介してなされ得る。
【0122】
特許請求の範囲内で、説明された実施形態における変更が可能であり、他の実施形態が可能である。